935うさちゃんさん
>怖い映画だと聞いたので、劇場には行かなかったのですが、サリィさんは怖かったですか?

そうですね、人殺しの物語ですから、クライム・サスペンスとしてのドキドキ・ハラハラ・・・という点では、怖さを味わいました。
それは快いスリルでしたが・・・
基本的にバイオレンス映画が苦手な私ですが、この作品は血しぶきが飛び散るような残虐な場面はないのでホッとした次第です。 (2008.03.25 21:33:19)

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カテゴリ: 映画の話
*「ポリリズム」を歌っているカワイイ3人組のことではありません(笑)

perfume.jpg


タイトルは、正しくは「パフューム ~ある人殺しの物語」。

牢に繋がれた香水調合師の男が、民衆の怒号が渦巻く広場に引きずり出される場面から、映画が始まります。
公衆の面前で、彼に言い渡される刑は、十字架に磔とし、鉄の棒で体中の骨を折ってから絞首刑にするという、残酷なもの…

それほどまでに重い、彼の犯した罪とは、一体どのようなものだったのか?
そして、なぜ彼はそうせざるを得なかったのか…

一転、物語は時を遡り、主人公の男が魚市場の片隅で産み落とされる場面に切り替わります。

それから映し出される、人間離れした嗅覚を持った彼、ジャン=バティストが歩む数奇な人生…
トム・ティクヴァ(「 ラン・ローラ・ラン 「ヘヴン」 の監督)は、独特の『間合い』を持った美しい映像・演出を見事に織りなし、ベルフィン・フィルが奏でる荘重な音楽がぴたりと嵌まって、この“怪人”の一代記、ぐわわーっとのめりこんで観てしまいました。

原作からして、すでに世界的ベストセラーな訳ですが、この映画も本当に面白かったです。

ジャン=バティストが求め続けたものは、一貫して変わらない。それなのに(だからこそ?)彼自身は、腕利きの調合師から殺人者へと変容してしまう。

絢爛豪華な味わいの中に、猟奇的なムードが漂い、何ともいえぬ倒錯的なイメージがあって…

美女が次々と狙われ、殺人の餌食になっていくにつれ、この感じは何だか既視感がある、この物語のテイストを私はすでに知っている…と、考えていてハッと思いつきました。
そうだ、江戸川乱歩だ!!と。

常人にはとても理解の及ばぬ、歪んだ論理で犯罪にその身を捧げる主人公に、いつしか屋根裏の散歩者や、悪女黒蜥蜴をだぶらせて観てしまいました。
この映画で描かれる犯罪の全容、今は亡き乱歩先生も、きっとこの着想はお気に召したはずと思うのですが。

18世紀の、悪臭に満ちたパリの描写。香水産業の要地として、花々と自然に囲まれたグラースの美しさなど、文章とはまた違う、映像ならではの表現が堪能できる、という点でも見事です。
闇の中から影が滲み出てくるように、主人公が姿を現すシーン…その不気味で、かつ美しいこと!
(ちなみにそれは、映画の中で明かされる彼の特異な体質を表現するものでもあります)

)のクライマックスから、呆気にとられるほど哀しいラストまで…

つくりごと、絵空事の面白さ、愉しさを満喫できた作品でした。うーん、映画館で観なかったのが悔やまれます…


パフューム ある人殺しの物語 スタンダード・エディション

(主人公に香水の調合を教える雇い主役に、ダスティン・ホフマン。好演でしたが、やっぱりこれ、鼻の大きさがキャスティングの決め手だったのだろうか・笑)





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最終更新日  2008.03.24 17:07:39
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怖かった?  
怖い映画だと聞いたので、劇場には行かなかったのですが、サリィさんは怖かったですか?感想を拝見していると、「のめりこんで」「不気味で、かつ美しい」「呆気にとられるほど哀しい」など、魅力ある映画のように受け取れますので、見ればよかったかなあ・・・と思いました。 (2008.03.24 20:37:14)

Re:「パフューム」を観た。(03/24)  
嫌好法師  さん
私もどこかに書きましたが(って、恐らく自分のブログじゃろ、ぼけとんのかい)、「ベン・ハー」(古!)や「パンズ・ラビリンス」などにも匹敵するぐらい強烈な印象を残した映画です。

ぜひ原作本も読んでみたいと思ってます。 (2008.03.25 01:10:18)

Re:怖かった?(03/24)  
サリィ斉藤  さん

どこかで誰かが?  
サリィ斉藤  さん
嫌好法師さん

>私もどこかに書きましたが(って、恐らく自分のブログじゃろ、ぼけとんのかい)

上下をきってご自分にツッコミを入れていらっしゃる様子が浮かぶようです(笑)

パンズ・ラビリンス、観たかったんですが結局映画館で観るチャンスがありませんでした。残念!
それにしても後を引く映画でしたね。 (2008.03.25 21:36:31)

彼が求めたもの  
フィンち さん
処刑台での主人公の涙が とても印象的でした。
ラストシーン 哀しいものがありましたが、私は好きな終わり方でした。(北野武監督の「ソナチネ」好きな方は好きでしょうね~(^-^)b) (2008.12.15 22:54:34)

Re:彼が求めたもの(03/24)  
サリィ斉藤  さん
フィンちさん

>処刑台での主人公の涙が とても印象的でした。
>ラストシーン 哀しいものがありましたが、私は好きな終わり方でした。(北野武監督の「ソナチネ」好きな方は好きでしょうね~(^-^)b)

私も、ラストシーンで映画の印象が大きく左右されるのですが、この映画のラストは好もしかったです。
だんだん、広場が夜明けの光で満たされていくところが美しかったと記憶してます。
「ソナチネ」、そうか~なるほどね。 (2008.12.16 23:48:28)

「踏み絵」的作品。  
フィンち さん
コレを好きだと言える方とは理屈抜きで仲良くなれそう…なんて思ったので、共感して貰えて嬉しかったです♪ (2008.12.17 06:40:11)

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