全24件 (24件中 1-24件目)
1
共謀罪の凶暴性については何度も書きました。共謀罪は、一般市民誰もが巻き込まれるかもしれないだけでなく、密告した人は罪を免れるか軽減されるため、人の連帯や信頼関係が断ち切られ、北朝鮮や文化大革命のころの中国みたいになりかねないところも、問題なのですが、もうひとつ密告社会につながる法案があります。犯罪収益移転防止法(ゲートキーパー法、別名密告法)です。 ゲートキーパー法は一応テロ資金供与の禁止、犯罪利益の移転を防ぐのが目的ということになっていて、対象は金融機関、ファイナンス・リース業者、クレジットカード会社、宅地建物取引業者(不動産業)、貴金属取引業者(宝石店、貴金属店)、郵便物受取業者(私書箱を運営する会社)、電話受付サービス業者(電話秘書サービス会社など)、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士などなど、ユーザーの個人情報を知りうる職種に及びます。疑わしい取引を見つけたら通報しないと罪になるというものです。依頼者には知らされません。 というと、一般人には関係ないと思うかもしれませんが、貸し金業にビルを貸していた場合その業者が適法かどうか疑わしいというだけで通報され、口座が凍結されてしまい、支払いができなくなったり、手形が不渡りになって倒産するかもしれないのです。後で疑いが晴れても取り返しがつきません。おちおち弁護士や行政書士に相談もできなくなります。東京新聞福島みずほのどきどき日記19日の日記に書いてあります。 また、内部告発については条件が厳しいのにゲートキーパー法は確証がなくても疑わしいというだけで通報しなくてはいけないというのもおかしいですね。情報流通促進計画左サイドのカテゴリー「ゲートキーパー法」をご覧ください。
January 30, 2007
コメント(2)
「憂慮する科学者同盟 Union of Concerned Scientists」のサイトにエクソンモービル社が多大なお金をかけて学者や研究機関を使い、タバコ産業を倣ったやり口で、二酸化炭素が地球温暖化に係わっていないかもしれないように思わせる情報操作をしたという記事がありました。Union of Concerned Scientists 最も議論の余地のない事実にも疑問をもたせるようにしたり、一連の研究機関に資金を提供して同業者の論文をわざと曲げて伝えさせたり、ビジネス上の利益より化学のためのように見せかけたり、ブッシュに働きかける、などしたそうですが、例えば、ジョージ・C・マーシャル・インスティトュートは63万ドル受け取り、Patrick Michaels(長年二酸化炭素が温暖化の原因であるという説に反対しており、少なくともエクソンモービルが基金を出している11の団体と係わっている)の本を出版した、とあります。 またAnnapolis center for Science-Based Public Policy やCommittee for a Constructive Tomorrow といったグループにも基金を提供していますが、そのふたつはSallie Ballunas を含む温暖化の異論者たちの研究を奨励しているということです。Sallie Ballunas は少なくとも9つのエクソン出資のグループに係わっており、2003年には過去数千年気候はたいして変わっていないという本を出版し、13人の学者に自分たちの研究を誤用していると反駁されたそうです。検索してみると、この人はホワイトハウスに書面で働きかけています。京都議定書の調印を遅らせても国民の第一の関心は環境ではないなどと言っています。www.whitehouse.gov/ceq/foia/index1/gp_who_4.pdf 「金がすべてでいいのか」とは、個人の心構えというだけでなく、こういう事態を指しているのか、とあらためて気付きました。
January 29, 2007
コメント(4)
この1、2年で東京の風景がまた急激に様変わりしているように感じます。銀座も表通りは海外ブランドのブティックに占拠され、裏通りも長いこと親しんでいたお店が消えたり、ビルが建て替えられたりで、道がわからなくなりそうです。出店したと思うと撤退するのも速い。交詢社も一部古いビルを再利用してすっかり新しくなっていました。お気に入りの古い建物がどんどん消えてしまうのは寂しいものです。 建て替えが決まっている三信ビル、日比谷シャンテ2階の栗原はるみさんのカフェの窓からちょうど正面に見えたので、携帯で写真を撮りました。 前に撮った窓の写真です。
January 28, 2007
コメント(2)
「光の方を見ていなさい。そうすれば闇を見ないでしょう」ということばを読んだことがあります。確かに闇に囚われていけないでしょう。でも、現実も見なくてはなりません。なるべくプラス指向のことを書くつもりのブログなのに、暗い現実を書いてしまうのも、まず現状を知らなくてはと思うから…もちろん、希望ばかりを扱うブログも必要だと思います。 ラジオを聞いていたら、リスナーが電話で意見を言うコーナーで、生徒の中には給食が一日で一番まともな食事という子がいたり、夜間の高校では一日1食という人もいるから、先生が自腹でココアをふるまって暖まってもらってから授業を始めたりしている、と言っていました。日本にもいよいよ第4世界(先進国の中の第3世界)が出現しつつあるのですね…総理が「美しい」「新しい」と連呼すればするほど、おぞましくグロテスクに響きます(あのぬめぬめした声がガマンできない、というのは、個人的な趣味の問題かもしれないけれど)。 石原都知事は福祉を贅沢といったそうですが、身内と接待費で会食(政策を話し合ったと言っているが)して、フランス料理屋で1万円もするワインを6本も飲んだり、3万近い焼酎を飲んだり、料亭で食事したりしたそうです。赤旗まさか赤坂の議員宿舎のことで「くやしかったら議員になってみろ」とのたまった松浪議員みたいに「くやしかったら都知事になってみろ」とおっしゃりはしないでしょうが。 何を言うのも勝手かもしれませんが、そういう発言をする人に投票するべきかどうか、よく考えなくてはなりませんね。石原都知事は排ガス規制などの業績があると思いますが、権力欲ボケ症状が出始めているようでもあり、そろそろ交代どきではないかしら?
January 27, 2007
コメント(9)
母が昔気に入ってカセットで聞いていた長岡輝子さん朗読のホイヴェルス神父様の詩、今も手にはいるのだろうかと検索していて出会ったサイトです。いろいろな人の祈りを集めてあります。ペインクリニックのお医者様のサイトです。祈り ちなみに母がよく聞いていたのは「最上のわざ」です。
January 25, 2007
コメント(10)
あまりの反対の声の多さに政府はホワイトカラーエクゼンプションを取り下げ、共謀罪も今国会では通さない(最近うその情報をマスコミに流して油断させるのが常套手段なので油断禁物ですが)、といい始めました。それでも選挙後、秋に成立させようとしています。つまり国民が支持しないような内容だと自覚しているのです。参議院選でうっかり与党を勝たせたりしたら、「国民の理解を得た」というでしょう。最近与党はなにかというと「国民に選ばれた代表なのだから」と言いますが、白紙委任ではないのだから、一旦選ばれても国民の声に耳を傾けなくてはいけないことを忘れてしまっているようです。当選したら白紙委任されたと思って勝手なことをする人たちには間違っても投票してはいけませんね。 与党が成立させたがっているもう一つの法案「国民投票法案」についてもお読みになってみてください。本当は恐ろしい国民投票法案 憲法のような国の根幹を決めるものについて検討する時間が30日しかないとしたら?自民党はそれだけよく見たら反対したくなるような憲法案を出そうとしているということになりませんか?
January 24, 2007
コメント(8)
銀座松屋にて「黒井健 絵本の世界展」と日本橋三越にて「キルトの100展」を見てまいりました。嫌好法師さんのおかげでよい展覧会を見せていただきました。 黒井健さんの展覧会はたくさんの原画と「猫の事務所」「ホテル」の登場人物の木彫、お嬢さんと合作のフェルトのフィギュアがあり、ちょうどサイン会もあったので混雑していました。 色鉛筆とは思えない緻密なタッチ(色をつけてからこすったり、定着剤をかけてからマスキングテープをはったりしている製作過程も展示されていました)で日本や外国の風景、人間や動物、木などがあるときは晴れ晴れするように、あるときは神秘的に描かれています。なんといっても「ごんぎつね」や「てぶくろをかいに」「ころわん」などがかわいいです。販売コーナーがあったので、友人は味わいあるホテルのバーテンなどが山猫の姿で描かれている「ホテル」を、私は忘れかけていた子供の頃のできごとが描かれているような「SWEET す・て・き・な・と・き」を買いました。どれも欲しくなってしまうのですが… 「12の贈り物」もふたりとも欲しかったのですが、残念ながら売っていませんでした。これはシャーリー・コスタンゾという人が自身の子どもたちのために書いたもので、人は誰しも誕生したときに12の贈り物を授かっている、それは「力」「美しさ」「勇気」「信じる心」「希望」「よろこび」「才能」「想像力」「敬う心」「知恵」「愛」「誠実」、それに加え最高の贈り物は「あなた」というのです。ユウchan 黒井健さんの原絵を展示している「絵本ハウス」が清里にあるのですね。ただし、今は冬期休館中です。黒井健 絵本ハウス 「キルトの100展」はウェンハム美術館のアンティーク、現代アメリカと日本の作家の作品の展覧会です。おばあちゃんを忍びながら縫ったキルト、少女がお人形のためにエプロンやシャツのはぎれでつくったキルト、商品としての、でも手づくりの温かみのあるキルト、そして現代の絵やオブジェに近い作品など、それぞれ興味深く見ました。三越・キルトの100展 黒井健 絵本の世界は昨日まででしたが、着るとは28日まで開催しています。
January 23, 2007
コメント(5)
一昨日ちょっとふれた山本譲司さんのお話です。金曜日夜のTBSラジオ「アクセス」にゲスト出演なさったのですが、「累犯障害者」(新潮社)という本にきっと詳しく書かれていることと思いますが、自ら服役した折に「今までの人生でここがいちばん暮らしやすかった」という受刑者のつぶやきに衝撃を受け、今は出所後の障害者の受け入れ施設を作って奔走しています。 山本さんは戦々恐々と塀の中にはいったところ、本当に悪事をやろうとしてやった人は多くなく、知的障害者が多いことに気付いたそうです。罪状は詐欺が多い、といっても、無銭飲食。コンビニで150円のおむすびを盗んだ、というとき、裁判官も執行猶予をつけるか悩むのだそうです。初犯で身元引受人がいれば執行猶予になるのだけれど、いなければ実刑とか。その人たちは釈放されても行くところがないからみたいです。 カウンセラーなど専門家の指導もないまま、受け入れ先もなくて出所しても、また同じ事を繰り返すしかない。取調べのとき、外国人なら通訳がつくけれど、知的障害者には誰もつかない。人の言葉をおうむがえしにしてしまう人、意思の疎通がうまくできない、普通と違う人たちが、そういう人の扱いに慣れていない警察官の取調べでは本当のことが伝えられない恐れがあるのだそうです。中には冤罪ではないか、という人もいたそうです。TBS「アクセス」インターネット対談&Podcastingその日は、知的障害者が女児を歩道橋から投げ落とした事件がテーマでした。 一昨日もリンクしましたがこちらのインタビューをご覧ください。manmo tv インタビュー 山本さんは元衆議院議員、秘書給与流用の詐欺罪で実刑になりました。が、このようなかたが実刑で、かたや家賃0なのに事務所経費として計上したり飲食代に流用している人たちがいまだに政権の中枢にいるとは選挙民として納得できません。
January 22, 2007
コメント(4)
昨日も嫌なニュースがいろいろありましたが、その中に、婦女暴行罪の真犯人が出て服役した人は無実だったことがわかったというのがありました。ヤフーニュース アリバイもあり、足跡のサイズも違い、最初は否定したというのに、なぜ犯人にされてしまったのでしょう。日本では刑務所にいた以外は何百人の前にいてもアリバイと認められないとか、新しい証拠が出ても見てもらえないとか聞いたことがありますが、本当のようですね。そして人権委員会にも注意されている「代用監獄」があります。(フリーページ参照。ページ内リンクのタグが使えなかったので、下のほうにスクロールしてください)また、諸外国で実施されている取調べの録画もしていません。最近検察で一部録画されることになりましたが、それでは意味があまりないのではないでしょうか。警察は犯人は信頼関係の中で自白するので録画していては信頼関係が築けないなどと主張しますが、「信頼関係」で自白するのは暴力団くらいではないのですか? 警察は無実で服役を済ませた人に謝罪しようとしたが行方が見つからないと言っているそうですが、その人が失ったのは服役した3年だけではありませんよね。行方がすぐわからないことがその証拠でもあります。謝罪して済むことでもありません。今後そのようなことがないために、この機会に代用監獄を考え直すべきです。「成果主義」の歪みもあるのかもしれません。「うそつきは警察のはじまり」などという言葉も聞かれ始めた昨今、正義感を持って警察に入った人が幻滅するようでは本当に残念です。 数日前、元大阪高等検察庁公安部長の三井環氏に有罪判決が下りました。三井氏は検事歴30年の検事でしたが、裏金づくりを公表しようとしたところ(国会で管さんが追及し証言する予定だった)逮捕されたとのことです。三井氏には弁護士が12人ついているがそれはひとりでは恐くてできないからであり、弁護士が検察を恐がらなければならないような世の中でよいのか、検察を見張るのはマスコミと国民、きちんと見ていないと大変なことになる、と訴えています。しかし、検察が好きだから生まれ変わっても検事になるということです。大手新聞・テレビが書けない検察裏金づくりの非道 昨日TBSラジオ「アクセス」で知的障害者の犯罪について山本譲司さんがゲストとして語っていました。元衆議院議員の山本氏は服役したときに刑務所が障害者の施設の代わりになっていると気付き、「累犯障害者」(新潮社)という本を書き、現在障害者のための施設を運営しています。これについてはまた明日にでも書きます。MammoTVインタビュー
January 20, 2007
コメント(8)
歌舞伎チャンネルで今度封切られる映画「筆子・その愛 ―天使のピアノ―」について市川笑也丈にインタビューをしていました。(「筆子・その愛」 公式サイト) 鹿鳴館の華と謳われた筆子さん(1865年~1944年)は皇后の命により留学、女子教育に携わり、高級官吏と結婚しましたが、夫は若くして亡くなり、お子さんは知的障害を持っていました。クリスチャンである石井亮一氏が開いた日本最初の知的障害者のための学校瀧乃川学園に子どもを預け、学園を援助するようになるうちに、石井氏に共鳴、再婚し、知的障害者の教育に献身するようになります。そして障害児者教育の母と呼ばれるようになりました。 筆子役は常盤貴子さん。石井亮一役が笑也さんです。猿之助歌舞伎で抜擢されて女形の主役を演じてきた笑也丈ですが、映画は初めてで、どちらを向いて台詞を言えばよいのか、「演じずに演じてください」と言われたけれどどういうことなのかと、とまどうことも多かったそうです。 インタビューの中で一番印象に残ったのは 「石井亮一の『この子に一番向いている仕事を探してあげるのが自分たちの仕事』のことばに石井亮一氏の人間性を感じ、自分のことを考えずに人のことを考えられるすごい人だと思った。今の時代は強さを勘違いしているが、本当に強い人とは弱い人を守れる人のこと」というような内容のことばです。石井筆子さんについてはウィキペディア 検索結果のウィキペディアの記事を読んで、戦争というつらい時期を瀧乃川学園が乗り越え今まで続いていると知り、ほっとしました。
January 19, 2007
コメント(4)
テロ(一説に自作自演)により崩壊した貿易センタービルとダラス空港の電気系統のセキュリティーはブッシュの弟が請け負っていたそうです。英語が得意な方はご覧になってみてください。私は得意ではないので…なんとなくわかったのは、9・11の少し前に電源がダウンしたことがあり、普段貿易センタービルで働いていない人たちがたくさん作業にはいっていたこと(インターネットケーブルがアップグレードされるとは言っていた)、アスベストやその他の有害物質を吸い込んだせいで救助活動にあたった人たちや救助犬が肺ガンになっているということ。高層ビルは維持にもお金がかかるのにまた超高層ビルを建てようとしているなど。You Tube 消防士たちが肺ガンになるのは、小型水爆のせいだという人もいますが…リチャード・コシミズ氏のサイト
January 18, 2007
コメント(2)
明日もあさってもずっとその先も、今までどおり暮らしていれば今のような生活が続いていくと思っている人が多いけれど、そうも言っていられないのだと、もう気付かなくては。 うるとびーずさんが引き合わせてくださった押田成人神父の生き方とことば、ぜひご覧になってみてください。うるとび日記 特に「平和への道」の中の「暴力、幻想というものを容認している限り、平和は来ない。非常に深い根、そういう根に生きている人の言うことをよく聞くこと。そういう人と一緒に歩くの。日本が地獄の子になって、未来永劫みんなの恨みをかっていく国になるのか、最後の時点でもう一回生き延びて、日本のいいところを人々に分かち与えるのか、今本当に岐路なんです。だから、神様の手となって働いている人、その人と本当に協力するように。 これ(「いま戦争はこうして作られる」という本)は、現在操作がどういうふうにして行われているか、どういうふうに湾岸戦争が行われていったか、ということを記したもんであって、操作ということは、背後に操作する何かがあるのね。」を肝に銘じたいと思います。 ゆうべ筑紫徹也さんのNEWS23で地球温暖化の特集がありました。日本ではカエルが冬眠しなくなったり、りんごや米など農作物への影響も出てきているそうです。また、富士山の永久凍土が溶けて崩れており形が変わってしまうかもしれないということです。南極の氷が溶けて白熊がおぼれたり、ペンギンのひなが暑さで死んだり、氷河がどんどん小さくなっている、旱魃でアフリカで伝統的な牧畜をして暮らしてきた人が暮らせなくなって町に移り住まなければならなくなったり、オーストラリアでは農家に自殺者が出ている、等々。このまま行くと水位があがって水没するところも出てきます。 現在環境問題に取り組んで警告の講演を各地でしているゴア元副大統領がゲストでした。「あきらめずに闘うのです」「あまり大きな目標を掲げると挫折してあきらめてしまう人も多いので小さなことでもできることから」と呼びかけていました。ブッシュは京都議定書から抜けてしまいましたが、そのとき、学者の報告書には気候に変動が起きていると明言してあったのに、石油業界から官僚になった人が婉曲に書き換えてしまったのだそうです。ブッシュと共和党の選挙妨害やインチキがなくてこの人が米大統領になっていたら、と思わずにいられません。
January 17, 2007
コメント(10)
前回と曲目が違うポゴレリチのリサイタルに行ってきました。15日サントリーホール7時開演。 やはりライトを落として暗い会場にて。(専門的なことは言えないので感じたままにメモ程度に)1曲目 ブラームスのカプリッチョ嬰へ短調op.76-1 何光年もかなたをただひとり旅しているような孤独。客席は身じろぎもせず、近くの席でたまに動く人がいると指一本動かしても聞こえる。2曲目 ブラームス 間奏曲イ長調op.118-2(三つの間奏曲のうちの2番目)曲想が最初の曲より幾分明るいものの、やはり孤高な始まり。核戦争で地球の生物が死に絶えて長い時間がたった後、最初の生命が生まれつつある光景が頭に浮かぶ。力がないと出せない華やかな音色の部分では、いろいろな色や形が炸裂するよう。他の人の演奏が具象画なら、ポゴレリチのは抽象画。3曲目 ショパン ソナタ2番「葬送」雪の朝 葬送の鐘の音が低く響く。エアコンのせいだけでなく、寒くなった。終曲はCDやLDと違う。休憩後ラフマニノフ 楽興の時 op.16一曲目の「アンダンティーノ」はメロディーがなくなるくらい遅いテンポで一音一音じっくりと弾くので瞑想のための音楽のよう。 全体にゆっくりな時は、これ以上ありえないほどゆっくり弾き、華やかな輝きのある音色、かそけきため息のような音色、低く深い音色、曖昧模糊ととけあってしまう音色など、多彩な音色を駆使し、人によっては音楽が解体されてしまったと感じるのではないかと思うような独特な演奏です。けれども、前日軽井沢で行われたマスタークラスでは、譜面をよく読むことの重要性を説いていたということで、やはりポゴレリチの演奏は究極までとことん追求した結果なのでしょう。だから、レパートリーはあまり増えません。アンコールはショパン ノクターンop.55-2 (16番) 以前聞いたときは不吉なほどの美しさでした。ちょうどクロアチアの自宅が内戦の爆弾で一部破壊されたという頃で、顔がむくんでいるように見えました。今回も美しいのですが、テンポが遅くなり、さらに内省的になっていました。バラキレフ イスラメイ 十数年前に聴いたときは、はじめて聴く曲だと思ってしまったのですが、今回はメロディーがわかるようになっていました。途中でテンポをうんと落としてじっくりと弾き、その後テンポが速くなってからはただただ圧倒されるばかりでした。 ポゴレリチのリサイタルの後は疲れてしまうのですが、それでもまた聴きたくなってしまうのです。今回、あの緊張感に耐えられないといって来なかった友人は、以前、翌日仕事をしていても頭の仲でイスラメイが鳴っている、と言っていました。翌日はなんだかぼーっとしてしまいます。 ポゴレリチは父はクロアチア人の音楽家、母はセルビア人、旧ユーゴスラビア・ベオグラード生まれ、11歳でモスクワに単身留学。最初の先生は「普通」だったそうですが、アリス・ケジュラッゼに師事してから個性を発揮するようになり、後に14歳年長の彼女と結婚。1996年師匠でもありよき理解者、同志でもあった妻が癌で亡くなり(壮絶だったようです)、公演をキャンセルした時期もあったようですが、昨年6年ぶりに来日しました。ユニセフ大使を勤めたこともあり、年齢制限のないコンクールを主催したり、クロアチアの自宅が爆撃にあったり、ホテル火災で間一髪で脱出したり、波乱のある半生を送ってきました。最近再婚したようです。<蛇足> ホゴレリチはゆうべも自らピアノの蓋を閉めて退場しました。(そういえば、12日は足で椅子を下げていました)それが何を意味するのかはなんともいえませんが、演奏家はカーテンコールやアンコールが何度かあったあと、これでもう帰ります、という意思表示を見せることが時にあるようで、私は見たのはミケランジェリ 腕時計を持って現れ、時間がないと指差してみせました(一度キャンセルしたあと急遽決まったウィークデーの昼という公演で、サントリーホールでは夜別の人の演奏会がはいっていました)カラヤン コートを着て出てきましたシュライアー(声楽) アンコールに応える意思がある間は退場するときも花束をピアノの上に置いておき、これで終わりというときに持って退場誰だったか、手で合図をしてライトをつけさせた人もいます。
January 16, 2007
コメント(2)
不安倍増こと安倍さんがインドのシン首相にインドの核兵器を将来容認することを示唆しました。インドは核拡散防止条約(NPT)にも加盟していません。NPTを弱体化させることになると懸念されます。中国新聞社説去年アメリカはインドと核技術協定を結びました。インドの核物質生産量には上限が決められていません。北朝鮮に対してとダブルスタンダードになっています。JANJANブッシュに追従すると同時に日本企業がインドの原発建設に参入することも期待しているようですが、そんなことでよいのでしょうか。読売新聞核拡散防止条約にしても、持っている国はそのまま持ち続け、他の国に持たせない、というところに矛盾は感じますが…今の日本を他国はどう見ているのか、のひとつの例。村野瀬玲奈さんがブログにフランスのリベラシオンの翻訳を載せていらっしゃいます。「平和主義に背を向けふんぞりかえる日本」
January 15, 2007
コメント(4)
イギリスでは2005年にSOCPA(Serious Organized Crime and Police Act)という法律ができて、重大な組織犯罪を捜査して取り締まるSOCA(Serious Organized Crime Agency)というFBIのような組織ができたそうです。この法律は本来麻薬取引、武器を使った強盗、拷問、恐喝、殺人などを対象にしているはずなのに、動物保護団体や議事堂周辺で抗議する人たちなどが逮捕されている、というのです。共謀罪のようなものが新設された場合の行く末を見る気がします。Indimedia UK
January 14, 2007
コメント(2)
ゆうべサントリーホールにてイーヴォ・ポゴレリチのリサイタルを聴きました。サントリーホールに行くのは1年ちょっとぶりです。 今回もライトを落としてステージの上だけが薄明るく、そこに登場したポゴレリチは薄暗いのと私の目が最近悪くなってきてよく見えませんがスキンヘッドかそれに近い状態で燕尾服姿。ますます恰幅がよくなっていました。(中村紘子さんはピアニストはプロレスラーみたいなもの、とおっしゃっていますが…汗)曲目は後半が変更になりベートーヴェン ソナタ32番エリーゼのためにベートーヴェンソナタ24番「テレーゼ」休憩グラナドス スペイン舞曲集op.37から5番、10番、12番 リスト 超絶技巧練習曲「5番鬼火」「8番狩」「10番へ短調」バラキレフ「イスラメイ(東洋風幻想曲)」 ベートーヴェンのソナタはそんな弾き方があるものか、そんなところにアクセントをつけるなんて、などと言う人がいるに違いない個性的な弾き方なのにもかかわらず、なぜかベートーヴェンの生きていた空間とか想いが目に見えてくるように感じました。32番もゆっくりでしたが以前ウゴルスキーの人の倍遅いテンポながら集中力のとぎれない演奏を聴いたことがあったせいか、思ったほど遅くなく?、24番は出だしからとてもゆっくりしたテンポでした。 ポゴレリチの演奏は常識を打ち破っているのですが、最初反発を感じても説得されてしまうというか、一旦壊して構築しなおして真髄を見せるとこうなるのかと思わせるものです。癒しとか、慰めとかいう甘えを許さず緊張を強いられます。 「エリーゼのために」は女の子のために書いたというわりにはちょっと恐いような曲のように思っていたのですが、ポゴレリチの演奏だと意外と心優しげで、そういうことだったのか、と思います。 グラナドスも以前に増して個性的でしたが、それでもスペインの光と影、木漏れ日、匂いを感じました。拍手を受けて座りなおすや否や、リストの超絶技巧をさらっと弾き始めました。「鬼火」は私の頭の中でやんちゃな少年か少女みたいな姿をした鬼火がちろちろと踊るように動いているうちに、たくさんの鬼火が現れて…続く超絶技巧の2曲も怪演(よい意味のつもりです。怪童なんていうときの快)。 「イスラメイ」は以前は私の記憶では曲を通して速いテンポで息もつかせず、新聞の評に「ポゴレリチがふたりいるみたい」と書かれ、食いしばった歯の間から聞こえる呼吸する音が、出産経験のある友人の友人に「ラマーズ法みたい」と言わしめたのですが、今回は途中で極端にゆっくりなテンポで音を噛み締めるように弾く部分がありました。 アンコールはショパンのノクターン18番。瞑想するような、追憶するような。曲の終わり近く、ピアニッシモで上昇して行ってそのまま彼岸か別世界に消えてゆくかに思われたところで現実に引き戻された心地。 地下鉄の駅について時計を見たら9時半になっていました。7時開演でしたから、ひとりのリサイタルにしては長かったのですが、時間がそんなにたっていることに気付きませんでした。アンコール1曲で自らピアノの蓋を閉じたのも、時間が押していたからだったのかもしれません。 デビュー当時から思っているのですが、とんでもないフェルマータの話や、主人公がオーケストラの演奏に憤慨していると現れてピアノを聞かせてくれたのがグルックの霊だった話など音楽小説を書いたE.T.A.ホフマンならどう描写するでしょう。そういえば、ホフマンはモーツァルトの大ファンで自分の名にもアマーデウスを加えただけでなく、当時あまり評価されていなかったベートーヴェンを支持していた人でした。ゆうべのベートーヴェンを聴いたらどんなふうに評したかしら?
January 13, 2007
コメント(3)
ようやく一般に知られて反対の声の高いホワイトカラー・エクゼンプションですが、政府は年収900万以上にして提出しようとしています。対象は2万人程度になるそうです。 さて、年収が900万もある人なら(自分に関係ないし)いいか、と言えるのでしょうか。共謀罪のときも、後で変えればよいのだから、民主党案を丸呑みにしてでも成立させておこう、と言った人たちです。今回のホワイトカラー・エクゼンプションだって、いったんできてしまったら、だんだんと金額を低くしていくことが考えられます。 自分の裁量で働き方を決められるようにする(まとめて働いてまとめて休むとか)ということですが、日本の企業体質や習慣、ただでさえサービス残業があったり、正規雇用が減っている現状では、一方的に労働側に不利になることが目に見えています。仕事が増えても人を増やさないでめいっぱいサービス残業させることなどが考えられます。過労死が増えるだろうといわれるのもそのためです。 ところが安倍さんときたら、残業がなくなれば少子化対策にもなる、などとおっしゃって、さすが会社勤めの経験のないおぼっちゃまと苦笑いを誘いました。だから、採決するまえに法案を理解しているかどうかテストしてほしいと言いたくなるんです。残業がないから残業代がない、というのなら、普通のことで何の問題もありませんよね。 ひと昔まえですが、システムエンジニアがもてはやされていたころ、実態は悲惨だと聞いたことがあります。忙しいわりに収入はそれほどでもないし、忙しすぎて女性と知り合えてもデートする暇がないのでふられて結婚できない、過労で病気になるとか…それと同じことが起きたら、少子化対策とはほど遠いですね。 今回はあきらめたようですが、労働契約法の試案には、解雇を金銭で解決できるようにすることも含まれていました。これは、在日米国商工会議所が(も?)要請しているものです。審議会の審議の様子を報告するようにとか、審議会に参加する機会も要求しています。在日米国商工会議所View Point ところで松岡さんや伊吹さん他の人たちに問題発覚していますね。松岡さんの事務経費のニュースを聞いて、松岡さんは詐欺的ないかがわしい商法をしているNPOと係わっていたのであって、アナウンサーが読み間違えたのか、と思ったのですが、あらたに問題が出てきたのですね。もっとも疑惑の総合商社と以前から言われていたのによく大臣になれたという人もいます。牛肉輸入の条件を甘くするようにとのアメリカからの要求、どこまで踏ん張れるでしょうか。
January 12, 2007
コメント(10)
自由が丘のフェアトレードのお店で見つけたネックレスです。繊細なレース糸とキラキラビーズで作ってあって、留め金のかわりに貝ボタンが使ってあります。一見細いストールを巻いているようにみえるユニークなデザインです。金属やテグスでなくレース編みというところも、デザインもとても独創的ですが、誰が考えたのでしょう? 写真が上手でないのであまりぱっとしないように写っているかもしれませんが、ビーズがけっこうよく光るのでコンサートや食事会など、ちょっとおしゃれしたいときに使おうと思います。気軽なお値段なので、作った人にはいくらはいるのだろう、と考えてしまいます。フェアトレードの店なので、ひどいことはないと思いますが…物価の差や為替の関係である程度は安いのでしょうか。お店のサイトPeople Tree 今回はお気に入りのラム酒のチョコレートも買って帰りました。チョコレートは気温が低いうちしか取り扱っていないそうです。だいたい3月位までということでした。 通販もあります。(関係者でもアフィリエイトでもありません) チョコレートといえば、今年もヴァレンタインデーに向けて「限りなき義理の愛」作戦が始まります。寄付金つきチョコレートを買ってイラクの子どもたちに医薬品を送るキャンペーンです。イラクの子どもたちが描いた絵がほほえましいのですが、その中の1枚を描いた子はその絵を描いてほどなく亡くなったのだそうです。詳細は日本イラク医療支援ネットワーク
January 11, 2007
コメント(4)
最近「ドナーカードを持ちましょう」と宣伝していますが、お持ちですか?ドナーカードには「提供しない」という選択肢も書いてありますが。 脳死が人間の死か?ということ、あまり深く考えたことがありませんでした。というより、無知でした。子供の頃、祖母が、人は死んでからも少しの間心臓が動いてるんだって、と言ったので、脳死とは心臓が停止する数分前の状況なのだとなぜか思い込んでしまったのでした。移植用に臓器を新鮮に保つため、人工的に呼吸させておくなんて嫌だなあ、とは思っていました。 けれども、脳死が本当に死なのかどうか、それ自体にも疑問があるようです。また、判定が正しくできるのかどうかにも。海外では脳死と判定されたけれども回復した例があったり、子どもなら身体が成長したり、臓器を摘出するとき痛がるので麻酔する、などと聞くと、とても身内をドナーにはできない、と思います。 「移植を待っている人がかわいそう」といういかにも人道的な理由で非人道的なことが行われるかもしれない。回復の見込みが薄い、効率の悪い人を切り捨てる政策がここにもあるのではないか…?移植を待つ人がかわいそうなら、病気の人は皆かわいそうなのです。 実は知り合いに肺の移植をした人がいました。階段を登るときは息切れしていたけれど、それ以外のときはとても元気だった人が、移植する前はとても苦しそうで気の毒でした。移植後直接は会いませんでしたが、偶然テレビで元気そうな姿を見ました。色白で細かったのが、ふっくらして元気に仕事をしていました。年賀状だけはやりとりを続けていましたが、2,3年後喪中の葉書がきました。なんと、亡くなったのは本人でご両親が送ってくださったのでした。急に具合が悪くなって病院に行ったところ、緊急入院することになり、その日に亡くなったのだそうです。それでも一時的にでも元気になってよかったと思う、その人のことを考えると複雑な気持ちになります。 でも、もしかしたら殺人になってしまうことをしてもよいのか… 脳死は人の死ではないという立場は晴耕雨読さんのブログに詳しく書かれています。 阿部とも子さんのホームページにも「臓器移植法に気をつけて」が載っています。(実はアメリカの牛肉解体工場での違反事例を集めた「ノンコンプライアンスレコード」について検索したとき、共産党の紙智子さんと間違えて社民の阿部とも子さんを検索してしまったのが、臓器移植の問題を考えるきっかけでした。)
January 9, 2007
コメント(12)
少女時代に恐いもの見たさでコリン・ウィルソンの「殺人百科」を読みました。たしか前書きにだったと思いますが、アシスタント(共著者だった?)は人がこういうものを読みたがるのは犯人が自分と違うからだというが、私(ウィルソン)はそうは思わず、誰にでも心の中にそういう犯人と共通するようなものがあるからだ、とありました。 加賀乙彦さんは作家としても、犯罪心理学の研究者としても著名ですが、病院や東京拘置所などで自殺を図った人や人を殺した未決囚、死刑囚の口から何度も「あのときは悪魔がささやいたんです」「どうしてあんなことをしたのか自分でもわからない。なんだか自分ではないものの意思によって動かされたような気がする。本当に悪魔にささやかれたとしか思えません」ということばを聞いたのだそうです。いいわけだろうと言われるかもしれないが、自分から上告をしないことを決め死刑が確定し、いいわけする必要のない人もそう言っていたということです。それに自殺未遂で入院していた人はほとんどの人が助かってよかった、と言っていたそうです。 殺人など犯した人の中には、人への思いやりや自省のまったくない異常な性格の人もいるけれども、たいていは上記のようにどうしてあんなことをしてしまったのだろうという人であり、誰でも悪魔のささやきによって破滅へと走り出す恐れがある。「悪魔のささやき」とは、すさんでいらついて気分や未来への不安が人間の心の奥底にひそんでいる悪と共鳴し、ある瞬間に堰を切って流れ出し、その人自身や周囲を破滅へと押しやる行動となって現れる現象を著者が比喩的に名づけたものです。 そんな悪魔のささやきに動かされやすいとは、ふわふわした心の状態のとき、思索とか理性とか意思とか決意とかはっきりした心のありようと違う、あいまいでぼんやりした精神状態のとき。 日本人は温暖なモンスーン気候でイネを作って暮らしてきたが、稲作はひとりではできず、田に水を引くなど共同作業が不可欠なので、「和」を重んじるようになり、徳川300年の間に被差別階級の存在や伊勢まいりなどの空気抜きで不満をそらされながら、すべてお上まかせの習慣ができてしまったため、悪魔のささやきに弱い。 現代人の犯罪については、子どもたちが「死」の実態を知らず、ゲームなどの影響でリセットがきくと思っていること、人と人が対面して目をあわせるだけで前頭前野が刺激されるのだがメールやパソコンではそれほど活性化しないことと関係がある、という指摘のほか、目からうろこが落ちたように思ったのは、「社会が刑務所化している」という指摘です。 閉鎖的なアパートやマンションは刑務所の構造に似ているし、内側では自由が許されても外では常に他人の存在を意識し、好きなものを食べ、好きな服を着ていると思っても、それは実は画一的な大量生産品であり、毎日きまったスケジュールで働き、家に帰ればテレビ局の提供するきまった番組を見る生活は刑務所と似ており、拘禁反応ほどではないにしても、ほんの些細なことでキレる爆発反応を起こしやすい、というのです。加賀乙彦さんは書いていませんが、最近はあちこちに監視カメラがあり、警官がパトロールして、凶悪犯を見張るはずがいつのまにか自分たちが見張られているような状態ですね。 悪魔につけこまれないためにはどうしたらよいのでしょうか。加賀乙彦さんは次のように提起しています。・視野を360度に広げ、より遠くをみはるかす 長期囚の興味の対象は食事のことや看守のことなど、所内のことばかりで外のことにはまるで興味を持たない。無意識のうちに自分の精神をつくりかえている。(心理学ではプリゾニゼーションという)塀の外の私たちも、そうなっていないか?また個人内情報操作(自分に好ましい情報をさけてピックアップする)をしないように気をつけるべき。・宗教の本質について理解を深める イスラムはもともとは寛容であり、ムハンマドはユダヤ教徒やキリスト教徒は同じ聖典の民なので尊敬と親愛の情を持って接するよう述べている。ガンジーは「よきヒンドゥー教徒であることはよきキリスト教徒である…もし人が、自分自身の宗教の確信に至るなら、他の宗教の確信にも到達することになります」と述べている。・死のむごさ、醜さと向かい合う・「個」を育てる 一人の人間が独自の人格をつくりあげていく。自分で物事を考え、自分とはなにかと反省し、自分の好きな道を見つけ、個人として生きていく。同時に、自分と周りの人だけ大事で目先のことにとらわれるのでなく、世の中のことに関心をもって日本を自分たちが動かしていこうとする気持ちがないと、自分たちの幸せも成り立たなくなる。 周囲の人も自分自身も尊重しながら、未熟であってもすこしずつ何かを積み重ねていって自分の内側を豊かにしておく。自分が存在することが、ほんの少しでもこの世のなかがいい方向に向かうような人間になることを目指す(人格主義)。 会津八一氏のことばに「偉大なる国民は偉大なる個人の集合であらねばならぬ」とあるそうです。加賀乙彦さんは書いていませんが、これこそ憲法の精神だと思います。自民案はそういう個人を否定して主権を国家に移そうとするものです。教育基本法も同様です。 ほかに、加賀乙彦さんは、引きこもりの子どもたちは今の教育制度の中では適応できないが、自分の好きな領域には学ぶ意欲を発揮する子もおり、本当に無気力で何もする気がないのは少数派だと言っています。枠からはみ出した子どもたちをだめだと決め付ける大人たちの中にこそ、悪魔がひそんでいるのであり、レッテルを貼るのをやめ、引きこもりを誘うような欠陥のある教育システムを見直す方が生産的としています。 麻原彰晃は、今まで何百人も見てきた経験から一目見て詐病でない拘禁反応だとわかったそうです。今まで年月がかかったから結論を早めたいという検察側の意向に沿い、矛盾しながらも詐病だとした御用学者を批判しています。どんな凶悪犯だからといって、学者が中立的な立場で公正に判断しなくてよいことにはなりません。加賀乙彦著「悪魔のささやき」集英社新書
January 7, 2007
コメント(8)
日本青年館にて宝塚のミュージカル「ヘイズ・コード」を観ました。安蘭けいさんと遠野あすかさんという宝塚星組の新主演コンビ(トップという言い方は変わったのかしら?)の最初の舞台です。 1930年代ハリウッドには映画制作倫理規定(ヘイズ・コード)という自主検閲があり、映画制作倫理規定管理局(PCA)に認められないと大手映画館では上映できませんでした。主人公のレイモンド・ウッドロウ(安蘭けい)は何をやらせても成績優秀だったのですが映画作りの夢をあきらめ、それでも映画にかかわっていたくてPCAに勤めています。今認定を与えるか査察している映画の監督は学生時代の親友。ヘイズ・コードではキスの長さは3秒までと決まっているのに、コンマ数秒オーバーしているから撮り直しするよう言うレイモンドに女優のリビィ(遠野あすか)はそれではこの場合の演技がおさまらない、と反論します。反発しあいながら相手が気になるふたり… こういうコメディーをスクリューボールコメディーというのだそうです。劇中劇(映画)もおそらく当時流行ったスクリューボールコメディーなのでしょう。 宝塚大劇場や東京宝塚劇場での公演と違い、ショーはありませんが、ダンスパーティーや映画の撮影シーンでタップも含むダンスシーンがたくさんあるので華やかさもあり、結びもハッピーエンド、新コンビの息のあったところも見せてくれて、年の初めに観る舞台にふさわしい、幸福感を与えてくれる公演です。 私は宝塚はたまにしか観ないのですが、友人がビデオを貸してくれた「王家に捧ぐ歌」(ヴェルディのオペラアイーダを下敷きにしたストーリーにオリジナルの曲をつけた)では、男役の安蘭けいさんがエチオピアの王女アイーダを演じてとてもよかったです。他の友人が「雨に歌えば」もとてもよかったと言っていましたし、その後「ベルサイユのばら」では大阪でアンドレ、東京でオスカルを演じるなど、努力家の実力派なのですね。声も耳に快く、もっと前から見ていればよかった。 遠野あすかさんは顔立ちもかわいくて歌も安心して聞けました。 客席降り(客席の通路に出演者が降りて来る)もあって、通路際に座っていたらすぐ横にタキシード姿のジェンヌさん(パリジェンヌにならってタカラジェンヌというのです。文法的に変だとか言いっこなし)が立ったので、わくわくしてしまい、自分のミーハー度を確認しました。 最初そういう振り付けだと思ったのですが、あすかちゃんが落としたアクセサリーを安蘭けいさんがさりげなく拾ってあげ、あすかちゃんが安蘭けいさんの背にまわしていた手をありがとうというように動かした、そんな役と現実が一瞬交錯する瞬間をファンは喜ぶのですよね。そしてはまっていくのです。 宝塚ファンの入門書は金色の表紙です。宝塚を通して知り合った方の本です。 今日はいつもおつきあいいただいているブロガーのお仲間からちょっと浮いてしまいそう…
January 6, 2007
コメント(4)
日本ではエコロジカルなエネルギー開発がどのていど進んでいるのでしょう?たとえば、風力発電ですが、風力発電の開発業者はたくさんあるらしいのですが、供給が安定しないとか、送電線の容量の関係で小さい枠を抽選で取り合うことになってしまうのだそうです。2005年8月の記事ですが東奥日報 レスター・ブラウン氏は日本には火山があるから地熱発電はいかがですか?と言っていましたが、研究はされているのでしょうか? 改憲したい人の中には、安定したエネルギー供給のために自衛隊を派遣したいという人もいますが、それより持続可能なエネルギーの研究開発費のほうにお金を使えばいいのに、と思います。 六ヶ所村ラプソディーの再上映が決まりました。実は前回前売りを買って行きそびれていたのですが、それも使えるということで今度こそ見ようと思います。六ヶ所村ラプソディー・オフィシャルサイト 予告編の中では行政側は放射能がもれないといっていますが、この前国会前で聞いたところによると、1日に原発1年分の放射能がもれているそうです。北朝鮮の核実験の影響があるか測定するのに、六ヶ所村の施設が稼動しているともともとの放射能があってわからないので、測定する間数日間止めていたのだそうです。
January 5, 2007
コメント(4)
読了していないのですが、読み始めたり、読み進めたりした本です。 まず、リンクさせていただいている白山菊理姫さんのブログ「天の王朝」のキリ番をラッキーなことに踏んでプレゼントしていただいた本。白山菊理姫さんは元共同通信社の記者でいらして、ノンフィクションライター、ジャーナリストでいらっしゃるんです。「カストロが愛した女スパイ」成甲書房 カストロと恋に落ち、相思相愛になって子までなしながら、CIAが糸を引くカストロ暗殺計画で刺客にされたマリタ・ロレンツは何度も命を狙われながらも生き延び、1978年5月ジョン・F・ケネディ暗殺調査特別委員会にて勇気ある証言を始めました。ロレンツはCIA内部の反ケネディ分子がカストロ暗殺を企て、最後にケネディ暗殺を実行したのだと証言しています。その証言記録を読み解きながら現代史の暗部に光を当てる衝撃の内容です。 次は、たまたま図書館で手に取ったコミック。「アレックス・タイムとラベル」清原なつの作 早川書房 近未来。核戦争後人類は平和な世界を作り上げましたが、その表面上の平和は徹底した監視と管理によって成り立っているのでした。アレックスはそんな世界を逃れてタイムマシンで過去を訪れます。1980年代に初出、2001年復刊になったものですが、今読むと、おとぎばなし的SFとは思えない現実味を感じてしまいます。 そして、リンクさせていただいている薔薇豪城さんの影響で「文藝ガーリッシュ」千野帽子著薔薇豪城さんのブログをご参照ください。この本には「すてきな本に選ばれたくて」という副題がついています。読者が本を選ぶのでなく、本が読者を選ぶのだそうです。少女のころに出会いたかったと思うような本がたくさん、でも、今からでも楽しめそうな本がたくさん紹介されていて、いろいろ読みたくなります。 薔薇豪城さんは「第7官界彷徨」に出合って自分のために書かれた本と感じたそうですが、私にとってのそういう出会いの本はノヴァーリスの「青い花」かな(上記の本には出ていません)。どこまで理解していたかは疑問です。カントやシェリング、それに伝説?クリスチアン・ローゼンクロイツの「化学の結婚」などを読まないとこの本は論じられないようなので。(別に論じなくてもいいのですけれど。)ただ、何か憧れを感じる存在、主人公が夢に見た青い花を私も追いかけ続けたい、と思ったのでした。
January 3, 2007
コメント(8)
ゆうべNHK「あの人に会いたい」アーカイブスで沢村貞子さんのインタビューを放送していました。女優を引退して数年後の収録だと思います。早口でぽんぽんとはぎれよく話す様子は80歳越えても変わりませんでした。 女優になることを決意してプロレタリア演劇にはいったところ、治安維持法*ができて捕まったのだそうです。たいしたことないんですよ、とおっしゃっていましたが、通算1年8ヶ月も拘束されたということです。2度とこういうことはしませんと誓約書を書くように言われたけれど、下町の女にはそんなことできないんですよ、とおっしゃっていました。 新聞記者だった大橋恭彦氏と駆け落ち同然で結婚。独立して雑誌を発行した夫を支え、記者仲間に「奥さんが働いているからいいよな」と言われてかわいそうだから、家では亭主関白にさせていたそうです。生前、お年を召されてから、ふたりで新聞を何紙も読んでいると、どこかに書いていらしたように思います。大橋さんがなくなってから、書いたものが出てきて、やさしくて頭のよい貞子がいて幸せだ、と書いてあったので泣いたそうです。今までそんなこと言われたことがなかったから、と目頭を押さえていました。 「働く人がみんな幸せになれるようにしたいと思ったけれど、何もできませんでした。でも、ひとりだけ幸せにできたと閻魔さまに言います」とおっしゃったとき、なんともいえないいいお顔をしていました。 年齢を重ねるにつれ、権力欲や物欲にとりつかれ醜くなっていく人もいるけれど、逆に美しく華やいでくる人もいますね。 *与党は平成の治安維持法と言われる共謀罪の新設を狙っています。こちらをご覧ください。600以上の犯罪に適用されるとする案を、適用される罪の数を減らして通そうと考えてもいるようですが、前に民主党案を丸呑みにしておいて後で変えればよい、と言っていたことがあったので、信用できません。国際条約の締結に共謀罪の新設そのものが必要ないとも考えられます。暴力団やテロなどには共謀罪的な予防のための法律があります。日本の法体系は犯した罪に対して罰を与えるようになっていますが、やっていないことを罰するような法律をつくることはその根幹を変えることであり、大変大きな問題です。
January 2, 2007
コメント(16)
全24件 (24件中 1-24件目)
1