PR
Calendar
Category
Freepage List
Free Space
ヒューマン 語数 118272
![]()
ずいぶん以前に本屋さんで見つけて買っていたKite Runner。
どなたかのブログで紹介されており、いつか読んでみたいと思って買ったのですが、そのいつかはいつなのか、ず~っと棚の中に眠ったままでした。
映画化されてDVDが出ていると知り、邦題「君のためなら千回でも」を見たのが5年前です。(その時の日記は →こちら です)
話の内容は映画でわかったというものの、本を開けば細かな文字がびっしりとつまり、馴染みのないアフガニスタンについての描写など敷居が高すぎて手が出せないまま日が過ぎました。
そして5年・・・大作アウトランダーを読めましたからね。読んでみようかという気になれたのです。ようやく!
邦題になった「君のためなら千回でも」という言葉は、物語の中で何度か出てきます。
”For you, a thousand times over"
というのが原文です。この言葉が要所で登場し、物語の象徴となっていくのです。
アフガニスタン人のお金持ちの一人息子アミールは、自分の臆病さから罪の意識をもちながら成長していきます。 その発端となった出来事以来、それまで兄弟のように仲良く過ごした使用人の息子のハッサンを遠ざけ、疎んじ、やがては家から追い出してしまいます。罪のないハッサンを傷つけた思いは、同時に自分をも傷つけ心に闇を作っていきました。
やがて父親とともにアメリカに亡命し、恋をし、素敵な伴侶を得るのですが、妻となったソラヤのまっすぐな凛とした生き方に触れながら、罪深い人間である自分を憂い誰にも心の内を見せないアミールでした。
作家として成功したアミールに、父の友人でアミールのよき理解者であったラヒムから数十年ぶりに連絡が入ります。そして思いもかけなかった秘められた真実を聞かされ愕然とするアミール・・・。
アミールは、ずっと心の底に巣くっていた罪の意識を解放させるためにラヒムの依頼を引き受け、タリバンの支配するアフガニスタンに向かうのでした。
数十年ぶりに足を踏み入れる故郷は、まるで異国の地のように荒れ果てていました。
ソ連軍撤退の後、タリバンが初めてやってきたときは、やっと戦いは終わったと歓喜で出迎えたと言っていましたが、その後アフガニスタンが辿ったのは平和とは対極の絶望の時代でした。
タリバンの司令官となったかつての幼馴染と対面したときのアミールの恐怖・・・。生きて戻れないかもしれない、 でも彼はそうすることを選んだのです。心の中で何度となく逃げ出したくなる思いを抱えながら、口から出てくる言葉は暴力にはひるまない正義の思いなのでした。
後にアミールに遺したラヒムの手紙が胸を打ちます。アミールにもハッサンにも限りなく温かな愛にあふれた思いに、涙があふれました。
父への葛藤、父子の情、ハザラ人への差別、心の闇、贖罪、アフガニスタンの困窮、孤児のトラウマなどいろいろな視点で考えさせられた物語でしたが、最後は希望が感じられほっとしました。
アフガニスタンの平和と発展を心から祈ります。
英語多読 Lovely Bones 2015.11.07 コメント(4)
英語多読 The Other Side of Midnight 2014.02.09 コメント(2)
村上春樹デビュー 英語多読 「Norwegian… 2013.07.04 コメント(4)