異論・極論・直言――マスコミが言わない解説、提言

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2018.12.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
(スプレー缶のガス抜きと、爆発が結びつかない頭)

 現代教育の最大の問題点は、点は多く教えるが、ものごとのつながり、俯瞰的な見方、歴史から学ぶというような点がすっぽりと抜け落ちている事である。
 スプレー缶や冷蔵庫のガスが、環境対策から、フロンガスからプロパンなどのガスに変わった事は結構知られている。また、スプレー缶を処分する時、管に残っているガスを抜いてゴミに出す事も常識化しつつある。プロパンガスが重く、滞留する事も結構知られている。
 だが、100本を越えるスプレー缶のガスを放出させ、そのガスが貯まった状態で、湯沸かし器に引火したら、爆発が起きるという関連付けて物事を考える発想が現代人にはないのだ。
 大手チェーン店の不動産屋なので、店には数人の従業員がいたはずである。他の人間がスプレー缶のガス抜きをしていたら、危ないと言って止めさせる人間がいてもおかしくないのに、誰もそれをしなかったのである。

(大化の改新が何だったかを答えられない優等生)
 筆者が企業の採用を担当している頃、何回かの選考に勝ち抜いた学生を集めて、グループディスカッションをする事をしていた。
 筆者が採用を担当していた企業だと、グループディスカッションに参加する頃には、学生はほとんどが早慶の商法経、旧帝大、首都圏の国公立大レベルになっていた。関西だと、国立大と同志社、関学の商法経の学生達である。
 この時に、30~40人くらいの学生にディスカッションをしてもらう前に、少し緊張ほぐしで、いくつかの問いかけをした。
 例えば、「大化の改新で、日本は何がどう変わったか」というような質問をしただが、このクラスの学生で、この質問にまともに答えれる学生はほとんどいない。

 それまで豪族が所有していた土地や民を天皇に返し、土地も民も天皇、国のものであるとした「公地公民」や、恣意的に裁いていた事を改めて、法律で処罰するという「律令国家」とした事、租庸調などの「税制の確立」などが出て来ないのである。

(米国南北戦争の武器が、幕末の官軍に)
 これは大化の改新に限らない。
 日本の幕末にアメリカや欧州はどういう状態だったか、そして、それが日本の幕末にどういう影響を与えたかという質問になると、明確な答えが出て来ないのである。
 最近の研究で、アメリカの政府が南北戦争で使い、戦争の終了とともに、不要になった武器を大量に日本の官軍側に売って資金を回収していた事がわかって来たが、幕末とアメリカの南北戦争が同じ時期という事を知らないと、これが理解出来ないし、関連付けて考えるという発想が出て来ない。
 江戸後期から幕末にかけて、日本は世界と異なり、銀が優位となる金銀の交換比率を採用していたのを知った欧米人が、銀を持ってきて、日本にある大量の金と交換して持ち出し、彼らはこれで大儲けをしたという話は結構知られている。
 しかし、日本から持ち去られた金がアメリカの時の政府を豊かにさせ、北軍が勝利する一因になっていたという話や、日本から小判が大量になくなり、徳川幕府が崩壊する原因の一つだったという話になると、今の学校教育で育った学生や若者は思いもつかないのである。
 東京湾のお台場は、地名としては有名だが、アメリカのペリー提督が黒船で日本に来て、また、1年後に来ると言った事に備えるために、幕府が大砲を大急ぎで作り、それを設置するために作ったものだという話になると、今の人のほとんどが知らない。
 物事には、何でも因果関係があり、複数の事が絡み合っている。だが、そうした事を考える訓練がほとんどされていないのである。

(エピソードを教えなくなった戦後教育)
 戦後の日本では、GHQの指示でそれまでの教育が大きく変えられたが、それでも、戦後10年位までの間は、戦前の教育の部分が残っていた。また、戦前からの本などが多く存在し、興味がある生徒は色々なものを読んで、知る事が出来た。
 だから、終戦間もない頃から学校教育を受けた筆者でも、毛利軍と戦った尼子軍の武将、山中鹿之助が自分を鍛えるために、天に祈ったという「我に七難八苦を与えたまえ」という話も本から知った。
 また、江戸時代に江戸の堀が外国につながっているので、外国の侵略に備えないといけないと警告した林子平が牢屋に入れられて、詠んだ「親も無し妻無し子無し板木無し金も無けれど死にたくも無し」という歌も本で読んで、小学生で知っていた。

 それはエピソードだからである。
 エピソードは長期記憶に保存される。だから、忘れないのだ。
 しかし、日本が高度成長に入る頃になると、産業界の要請もあって、暗記詰め込み教育が全盛となり、「自分で考える」「疑問に思って調べる」「意見の違う同士が議論を戦わす」という教育は姿を消し、教師が「この通り覚えろ」という丸暗記型の教育となった。
 そして、教科書からエピソードをどんどん消して行き、無味乾燥な公式や数字の羅列の暗記になった。
 今は学校で、真珠の御木本幸吉、十和田湖の和井内貞行などの話は教えない。学校の二宮金次郎の銅像はわざわざ破壊している。

 以降、60年におよぶ日本教育は、言われた事をそのまま覚え、その通りと信じる暗記型秀才を大量に生みだし、そうした教育を受けた最初の世代がもう60歳くらいになっている。この教育を受けた子供が教師になり、既に校長になっているのである。

(丸暗記教育は困るとごまかす、辻褄合わせをする)
 10数年、採用面接をして来た経験から言うと、今の一流大学の学生は話をしていて頭の回転は速い。しかし、知識が点で線につながっていないし、面になっている学生は極めて少ない。
 知識に至っては、受験に必要な事は覚えているが、受験に関係ない事となると、それこそ、崖を削り取ったように、全く知らない。受験に関係ない事は全く興味がないのだ。
 世の中、受験以外の事がいくらでもあり、受験に関係ない知識も後々役に立つという発想などない。
 勿論、筆者が若い頃競争しても、まず勝てないなと思う学生も時にはいる。でも、こうした学生は1年に1人から2人くらいしか出会わない。
 戦後の教師から「この通り覚えろ」というように教えられて来た学生の最大の欠点は、上司の命令は絶対であり、現状のルールが大前提で、そのルールがおかしかったら変えようという発想が出て来ない事である。
 だから、困るとごまかして、辻褄合わせをするのだ。
 色々な企業で多発しているデータ改ざんや偽装問題は、こうした戦後教育を受けた者が当然、辿り着く決着なのである。だが、これだけ色々な企業で問題が噴出しているのに、そうした分析が全く行われていない。
 使わないといけない除菌スプレー缶が大量の残っている。そのままだと怒られる。それなら、廃棄しよう。廃棄するにはガスは抜かないといけないから、抜いた。そして、ガスが貯まっている所に湯沸かし器に着火して爆発をした。それが今回の事故のようである。
 この事故について、新聞やテレビは何回も扱うが、そうした事が起きた教育背景まで語る議論は皆無である。

(問題が起きたら、法解釈を変えるか、新法を作れば良いだけ)
 今、日本で空き家が大きな問題になっている。
 何故、空き家か。簡単で、空き家を放置した方が家を壊して更地にするよりも税金が安いからである。
 空き家がこれだけ問題になったら、この税制を変えれば良いのに、役人はそれをしない。
 役人は自分に利益が来る事しかしない。空き家が多かろうが少なかろうが、国土交通省や財務省の役人には関係ないから、手を付けないのだ。そして、国会議員も何も動こうとしない。
 東名高速で煽り運転から男女2人が死ぬという事故があり、最近、裁判で判決が言い渡されたが、この時の専門家と称する人達の議論を聞いていると、丸暗記型で教育をされて育った人達に典型的な話が多かった。
 煽り運転そのものを取り締まる法律はない。車間距離をとっていなかったとかいうような事で軽微な罪に問える法律はあるが、煽り運転そのものを罰する規定がないのである。
 だから、2人が死んだ事故で、それが危険運転に相当するかという不毛の議論になったのだ。
 これが外国なら、間違いなく議員立法で、「煽り運転禁止法」というような法律が提案され、与野党一致で新法が出来て、少なくても煽り運転をするドライバーは「免許停止」「免許はく奪」というような罰に問われるようになるだろうが、日本ではこれが起きない。
 別に刑務所に長く入れてなくても良い。免許をはく奪すれば良いだけなのに、それが行われない。
 法律が全てで、「今の法律で罰する事が出来ない」という論理が堂々とまかり通るのだ。
 法律で人間の生活のすべてを規定する事など不可能である。想像もしないような事が起きるのが人間であり、生きているという事である。
 では、どうするかと言えば、普通は法律の解釈を変えて、現実の生活に合わせるようにするか、それが難しければ、新しい法律を作れは済む事である。
 でも、今の日本ではそれが行われない。「今の法律、ルールが全て」と考えている暗記型秀才が世の中心にいるからである。
 間違った戦後教育の罪を大きい。





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Last updated  2018.12.19 13:33:22
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