SF拡張の原理

SF拡張の原理

2009.06.19
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壊れた少女を拾ったので

第2短編集「弁頭屋」の文庫版。5編を収録。
駄洒落からイメージを発展させて、ギャグと怪奇がない交ぜになった特異な言語空間を構築する作風。一言で表すなら「言語実験馬鹿ギャグホラー」といった感じ。

「弁頭屋」★★★★1/2
最初に読んでインパクトが新鮮だったせいもあり、抜群に笑った。「弁当」→「弁頭」の駄洒落を発展させたギャグホラーだが、プロット自体は普通の青春恋愛小説だから余計に可笑しい。プロット自体は普通の恋愛小説であっても、「弁当」→「弁頭」という駄洒落が異化要素として侵入することにより、プロット自体が侵食されて、最終的にはホラーなオチになってしまうのが秀逸。
またこのメインネタのみならず、淡々としたまじめぶった文体の中に突発的にさしはさまれるギャグが強烈ですばらしい。「安村靖之」という人名からしてふざけているし、自衛隊員が発狂して機関銃を撃ちまくる場面といい首相が国会で野党議員を射殺する場面といい、可笑しすぎてにやけてくる顔を抑えるのに苦労した。
「赤ヒ月」★★★★1/2
これもめちゃくちゃ面白かった。ストーリー自体は学園ポルノ小説+ミステリだが、セックスにあたる部分に「腹を割いて内臓を食らう」という行為が代入されることによって、爆笑を誘う怪作に仕上がっている。終盤の乱交パーティ場面の異化ぶりが最高に笑える。
「カデンツァ」★★★★1/2
これも面白かった。イタリア語の音楽用語「カデンツァ」と「家電」の駄洒落から思いついた話だろう。夫婦が家電と浮気をして子供をもうけるという馬鹿ギャグ・ファンタジー。本書収録作中最もギャグの方向に傾いた作品。オチがやや弱いが、たくさん笑わせてもらったのでOKです。

推理作家協会賞短編部門候補作だそうだが、ぶっちゃけこの本に入っている中でいちばんイマイチに感じるのはギャグ要素が少ないためだろう。とはいえ、サディスト全開の「おねえさま」のキャラ設定が最強に笑える。「壊れた少女を拾って修理するが、自分の部品を使ったため自分がブサイクになってしまい、逆に少女によって自分が修理されて憧れの<おねえさま>になる」というメインストーリー自体は、言うほど面白くない。
「桃色遊戯」★★★★
桃色のダニが降ってきて世界中を多い尽くすという終末小説。「桃色遊戯」という言葉から真逆の方向へ連想を走らせて言語化するという天邪鬼ぶりが最高に良い。題名と内容のギャップと、ダニが降ってくるという荒唐無稽な設定以外にギャグ要素が殆どない分、真っ当な終末小説としての仕上がりもなかなかのものになっている。

「ああーくだらね~」と思いながらも、読みながらにやけてしまい、気がついたら読み終わってしまう、そういう作品群である。他書もチェックせずばなるまい。





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Last updated  2009.06.19 22:05:08
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