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星河长明 Shining Just For You第1話…天地開闢(カイビャク)より前のこと混沌とした世に真師(シンシ)が現れる不思議な力を持つ真師一族は俗世と隔絶し、謎に包まれていたその後、人族と羽(ウ)族が交互に大地を支配しながら争いが続き、夸父(コホ)族や河洛(カラク)族も巻き込まれてしまうしかし燹(セン)朝の末期、突如、ひとりの若き将軍が世に現れた将軍は五族を統一、他に類を見ない王朝・晁(チョウ)を建て、今や鳥の飛来する場所すべてが晁の領土となるただし夜北(ヤホク)と呼ばれる地だけが未だ晁に帰属せず、雄大な自然の中で7つの部族が争いを続けていた…夜北には誰からも愛される朱顔(シュガン)公主・七海蕊(チーハイルイ)がいた。七海蕊にはかけがえのない親友・葉凌霜(イェリンシュァン)がいたが、彼女は皆から″疫病神″と忌み嫌われ、父の大淵古・葉景清(イェケイセイ)まで娘を不吉だと言ってはばからない。そんなある日、凌霜は父に封印を解いて欲しいと頼んだ。「7歳の時に星辰(セイシン)の力を封じたでしょう?ずっと苦しかったの、早く解いて」「もしや…また災いを予知したのか?」「だから何?災いは勝手に起こるものよ?私は予知できるだけ! 私が疫病神なら占術師は?宮廷の欽天監(キンテンカン)は?疫病神なの?!」「声が大きい!決して外では口にするな!今度、妄言を吐けば懲らしめるぞ?!」年に一度の秋の大祭に夜北七部族が集結した。大会で優勝すれば夜北一の勇士と称えられる。しかし大会が始まろうとしたまさにその時、狼の王と崇められる巨大な雪狼(セツロウ)王が現れた。会場は騒然、凌霜は七海蕊を逃したが転倒し、雪狼の標的となってしまう。すると突然、見知らぬ男が現れ、雪狼王を蹴り飛ばし、凌霜を救った。「姑娘(グゥニャン)、雪狼はそなたを狙っている、どうする?」「だったら…あいつを殺す!」「はお!実に勇敢だ!」凌霜は護身用の短剣を抜き、無謀にも男と協力して雪狼に立ち向かった。男は向こう見ずな娘に驚きながらも凌霜の短剣で雪狼を退治する。しかし雪狼王は夜北の狼神、苗黎(ビョウレイ)王子は激怒して男に斬りかかったが、その時、軍隊が駆けつけ男を守った。「私は晁の藍衣(ランイ)軍の統領・謝雨安(シャウアン)、婚姻の交渉に参った」夜北七部族首領・七海震宇(チーハイシンウ)は使者を天幕の中へ案内することにした。しかし狼神が殺された民は納得できず、このままでは夜北に天罰が下ると嘆く。するとこれも疫病神である葉凌霜のせいだと罪をなすりつけ、生贄にして狼神の怒りを鎮めるべきだと訴えた。謝雨安はよってたかって娘を責め立てる部族に呆れ果て、凌霜に晁の忠勇(チュウユウ)符を授けるという。「受け取れば今後、そなたを虐げる者を我が晁の敵とみなす、生きるか死ぬか、自分で選べ」凌霜は困惑して父や大王の顔色をうかがったが、思い切って忠勇符をつかんだ。しかし緊張が解けたのか、急に倒れてしまう。その夜、夜北は謝将軍のため歓迎の宴を開いた。七海蕊はようやく目を覚ました凌霜を宴会に連れ出したが、踊りの輪に加わってしまう。仕方なく独り酒を飲み始めた凌霜、そこへ恩人の謝雨安がやって来た。「姑娘、ここの者は皆、そなたを疎んじているようだ、一緒に晁へ来ないか?」「行かない、あなたのような偉ぶった人は苦手だしね、私に構わないで …どうせ運命は決まってる」「生来の疫病神などいるものか、運命を切り開くのは自分だ」「(はっ)そうね…ありがとう!」すると凌霜は急に笑顔になってどこかへ行ってしまう。界諸嬰(カイショエイ)は主(アルジ)が7枚しかない忠勇符の1枚を躊躇なく渡したことから、凌霜を見初めたと誤解した。しかし謝雨安は晁の皇后が誰にでも務まると思うかと冷笑する。「それより想い女に会わなくてよいのか?」「″陛下″、ご存知でしたか…」実は夜北の長公主・七海怜(チーハイリアン)は青蘅(セイコウ)という名で4年間、晁の都・天啓(テンケイ)で学び、界諸嬰と恋仲になっていた。翌日、七海大王は晁との和親を快諾、長公主の七海怜を同席させた。謝雨安は特別な結納品としてあらゆる美女を映すという神鏡を携えていたが、晁に迎えるのは長公主ではなく朱顔公主だという。突然の縁談に七海蕊は動揺し、悲しみに暮れた。凌霜は七海蕊を救うべく謝将軍の天幕を訪ね、自分が代わりに晁へ行くと申し出る。「皇帝は占星術を重んじているとか、私は父に学び占星術に詳しいわ それに…私なら公主より陛下の歓心を買えます」「そなたは幼少より災いを予言し、疫病神だと疎まれている 生き延びてこられたのは公主の後ろ盾ゆえ…かような娘が皇后に相応しいと?」「天啓にまで私の悪い噂は届いていないはずよ?」凌霜は晁の皇帝が残虐で嫁いだ者が皆、殺されると聞いていた。しかし謝雨安は誤解だと否定し、婚姻は和親のためで、皇帝も暴君ではないという。「とにかく…私の望みはただひとつ、阿蕊を守ることなの」追い詰められた凌霜は差し入れの乳茶を謝雨安に勧めた。すると茶を飲んだ謝雨安は急に立ちくらみを起こしてしまう。凌霜は隠し持っていた短剣を謝雨安に突きつけ、朱顔公主を絶対に嫁がせないと脅した。「解毒薬は私が持ってる、よく考えるのね」その時、謝雨安が凌霜の腕をつかみ、呆気なく形勢を逆転させてしまう。つづく※このドラマも九州シリーズです九州シリーズとは中国のファンタジー小説の作家たちが共通の世界観をベースに描いた物語ちなみに6つの種族があり、今回の話に登場した人族・羽族・夸族・河洛族の他に魅族・鮫族があります
2024.06.09
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第7話)第34話「役者揃う婚約の宴」婚約前に程少商(チォンシャオシャン)を母に会わせた凌不疑(リンブーイー)。しかし急に錯乱した霍君華(フォジュンホワ)から激しく手を噛まれてしまう。少商は中庭で手当てしながら、不疑がなぜ冷酷無情で親不孝と噂されても城陽(ジョウヨウ)侯と夫人を嫌うのか分かった。「子晟(ズーション)、あなたは無情なんかじゃない… それに心配しなくても阿母(アームウ)のそばには優しい叔父(シューフー)がいるじゃない」その叔父とは崔祐(ツイヨウ)将軍だった。実は将軍は霍君華を娶ると心に決めながら、母親に成婚を強いられて諦めたという。結局、夫人は難産で亡くなり、程なくして霍君華も凌益(リンイー)から離縁された。「それで崔叔父は誓ったのだ、後添えは取らず、母のために独り身を貫くと…」「そんな一途な郎君がいるのね…その篤い情義は万金でも代え難い」「少商、君への情義もかくの如しだ」不疑は今後、頻繁に母に会う必要はないと安心させた。しかし少商は未来の君姑(クンコ)に覚えてもらえるよう杏花(キョウカ)別院を訪ねたいという。不疑はそんな少商の気遣いが嬉しかった。すると少商はこれから宮中への送迎なら不要だと断り、代わりに自分が早起きして宮門で落ち合おうと提案する。「だがそれでは君が早起きしないと…」「皇后の前で居眠りすればいいわ」「私のために支障が出たら…」「心は2つに割れない、宮中の任務だけに捧げるか、あなたに捧げるか、あなたが選んで」「私に捧げてくれ」不疑はそんな少商が愛しくなり、明日にでも婚約の宴を開きたいと言った。「いいわ」「ふっ、ちょっとからかっただけだ、さすがに宴の準備には最低でも3日はかかる 早く当日になって欲しい、婚約すれば安心できるよ」「安心?どうかしら、以前も大勢の人を招いたのに、結局、縁談は…」その時、突然、不疑が少商に口づけした。「もし耳障りな話をしたら、また口を塞いでやる」( *´꒳`* )ふふふ… ←勝手に参加している気分w屋敷に戻った少商は婚約の宴が3日後に決まったと報告した。蕭元漪(シャオユエンイー)や程姎(チォンヤン)は慌ただしすぎると難色を示したが、少商は全て凌不疑に任せれば大丈夫だと太鼓判を押す。すると耳ざとい城陽侯夫人・淳于(チュンユー)氏が早速、曲陵(キョクリョウ)侯府にやって来た。淳于氏はすっかり態度を軟化させ、婚約の宴について相談したいと切り出した。どういう風の吹き回しかと思えば、礼品として少商に2人の侍女を贈るという。「城陽夫人って面白い人…ふふ 私が子晟の寝所も触っていないうちから美しい侍女と夫の寝所を享受しろと?」淳于氏の魂胆は見え見えだった。呆れた少商は城陽侯夫人が姉も同然だった霍君華から夫を寝取ったと言い放ち、淳于氏は激怒して帰ってしまう。蕭元漪は娘がわざと城陽侯夫人を挑発したと分かった。しかし凌不疑の実母でなくても名義が立つため、家に面倒を招くかもしれないと嫌味を言う。侍女・蓮房(リエンファン)も未婚妻が婚約の宴で門前払いされたら笑い物になると心配した。「阿母、昨日、霍夫人に会いました、あの人のせいで子晟母子は苦しんでいます 私は横恋慕が大嫌い、あんな人におべっかは使えません …見てなさい、どちらがどちらの家で門前払いされるか」婚約の宴の当日、淳于氏は少商に凌府の敷居をまたがせまいと意気込んで出かけた。しかし婚約の宴が行われるのは曲陵侯府、しかも招状を持っていなければ入れないと知る。その頃、曲陵侯府にはすでに多くの招待客が集まっていた。凌不疑の姿はまだなかったが、その時、蓮房が宴席にいる女公子の元へ駆けつける。「凌将軍から伝言です、すぐ着くので焦らなくて良いと、それから… ″今日、誰に会い、何が起きても怖がらず、好きなだけ啖呵を切れ″と…」少商は何のことか分からなかったが、その意味をすぐ知ることになった。曲陵侯府に袁慎(ユエンシェン)の馬車が到着した。従者は賑やかな場所を嫌う主がなぜ他人の婚儀の見物に来たのか分からなかったが、袁慎は師匠として弟子を苦海から救いに来たという。「この世で人を溺れさせるのが成婚、このまま危険に飛び込ませられぬ」公子の屁理屈に呆れる従者、その時、ちょうど汝陽(ジョヨウ)王妃が淳于氏を連れて曲陵侯府にやって来た。門衛は招状を確認しようとしたが、王妃の侍衛に追い払われてしまう。「…これで私が手を出すまでもないな、ふっ」宴席に汝陽王妃と淳于氏が乗り込んできた。汝陽王妃は少商を見つけるなり跪けと命じ、未来の君姑である淳于氏への無礼を罰するという。しかし少商は拒否、蕭元漪と万萋萋(ワンチーチー)が咄嗟に盾となって少商を守った。「君姑なら2日前にお会いしました、今は杏花別院で療養中です 今日、来た君姑とはどなた?…ああ~外従兄の寝床に入り込んだ人のこと?」「何て言い草なの?!しかと指導してやらなくては…誰が私を阻めると?!」「叔母(シュームウ)?…余(ヨ)が阻むと言ったら?」その時、皇后が現れた。↓( ๑≧ꇴ≦)アルソック皇后!少商は皇后の顔を見ると自然と笑顔になった。その様子を見た蕭元漪は2人の間に深い絆があると気づき、何とも複雑な気分になる。「今日は子晟と少商の婚約を祝いに来ました 程伯夫人、他に静かな場所はある?ここでは客人たちの興を削いでしまうわ」「はい、ご案内します」「叔母、城陽侯夫人(フーレン)、行きましょう…少商、あなたもよ?」「はい」蕭元漪が偏殿を出ると戸が閉まった。程家も客人たちも露台に集まり固唾をのんで見守ったが、その時、皇帝が越(ユエ)妃や凌不疑を連れてやって来る。慌てて平伏する程家と客人たち、すると皇帝は礼を免じて偏殿に入った。汝陽王妃は皇帝に程少商の無礼を告発、放任してはならないと訴えた。ちょうど汝陽王も一緒にいたことから自分に加勢するようけしかけたが、けんもほろろに断られてしまう。汝陽王妃は仕方なく数日前、城陽侯夫人を辱めた落とし前をつけるよう少商に迫った。その時、越姮(ユエホン)が凌不疑の未婚妻である少商に立つことを許す。皇帝も目配せして少商を立たせた。「感謝します…陛下にお答えします、私は事実を述べたまで、辱めたりしていません」「陛下!本当です!命を懸けて誓います!」焦った淳于氏が泣きつくと、汝陽王妃も城陽侯夫人の方が信頼できるという。「…王妃、それは違います 私は目上の方に従い婚約しました、自ら画策して嫁いだ人とは違います 長年、霍家の世話になりながら機を見てその地位を奪った… 私の誓いは信じられても、あの方は信じないように」「程少商にここまで侮辱される謂れはありません、陛下が咎めぬのなら私は命を断つしか…」「城陽侯夫人…十数年前もなぜ同じように振る舞わなかったのですか? そうすれば霍夫人も離縁されず、様々なことが今とは違っていたのに…」越姮は少商の言葉に深く感銘を受けた。確かに霍君華とは因縁があったが、成婚後の霍君華は凌家に尽くし、夫にも情義は深く、惜しみなく支えていたという。それに比べ凌益は妻子が行方知れずとなって1年も経たずに淳于氏と深い仲になった。「母子でさまよっていた時、霍君華は皮衣を子晟に着せ、わずかな食物も子晟に与えた 戻った時の霍君華は骨と皮だけで誰か分からないほどだったのよ? 良い母親だったことに違いない」越姮は淳于氏を嫌って参内を禁止すると命じた。しかし汝陽王妃が反発、自分の命の恩人である淳于氏への侮辱は自分への侮辱だと訴える。「もし納得のいく説明がなければ…」「(はっ!)死ぬのか?死ぬのか?それは良かった!」汝陽王は早合点して喜ぶと、王妃は外で嘆願するだけだと慌てて否定した。汝陽王はもはや癇癪持ちの王妃に耐えられなかった。「陛下、ご覧の通り、手がつけられません! 少しでも気に食わぬと叫びまくる!当時もそうでした」実は汝陽王が修行に出たのは皇帝からの提案だった。当時、皇帝は糟糠(ソウコウ)の妻を捨てないよう汝陽王を説き伏せ、修行と称して別居させたという。しかし王妃は相変わらず、汝陽王も我慢の限界だった。「縁を切る!これで終わりだ!」「こんな仕打ちをするとは!」王妃はひとしきり汝陽王を叩きまくると、その場で泣き崩れた。すると皇帝は儒教が盛んな今、離縁を持ち出せば儒生たちに非難されるのは必至だと叔父をなだめる。その時、越姮に名案が浮かんだ。「世俗を好む叔父が修行してどうします?むしろ叔母が三才観で修行すべきでは?」皇帝は汝陽王妃が耄碌(モウロク)して暴挙を重ね、御前で失態を犯すに至ったとし、三才観での静養を命じた。また淳于氏は禁足を命じられ、今後は屋敷から出られなくなってしまう。程家の面々は偏殿から連れ出される汝陽王妃と城陽侯夫人の姿を見送りながら、少商の無事を確信して胸を撫で下ろした。つづく( ๑≧ꇴ≦)キィャアァァァァァァ〜!ウーレイ!思うところは色々あったのですが、ウーレイがカッコよすぎて全て吹っ飛びましたwww
2023.10.09
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第29話)最終話「輝く星河の下」程少商(チォンシャオシャン)は梁邱起(リャンチゥチー)たちと郭(カク)村に入った。郭村は天下の食糧庫、1年の生産でいくつもの都城を養うことができる。少商は貯蔵された油を回収して水源を探すよう命じたが、ふと王延姫(ワンイエンジー)の言葉が頭をよぎった。…皇太子が訪ねる郭村の道中に油を撒いたわ…少商は火が起これば高所から吹いてくる風に煽られ、村だけに留まらないと気づく。「田朔(ティエンシュオ)は峪(ヨク)州の食糧を焼き尽くし、民を飢えさせて国の根幹を崩すつもりね」その時、突然、村に火矢が飛んできた。一方、霍不疑(フォブーイー)は梁邱飛(リャンチゥフェイ)たちと皇太子を援護し、田朔を追いつめていた。しかし山の向こうから黒い煙が上がるのが見える。「霍不疑、私の術中にハマったな? 郭村には勇者200人がいる、油で広大な田畑を焼けば天下の民は死ぬしかない、ふふ 確か皇帝は仁義に篤いのであろう? 息子を救って民を見捨てたとなれば、衆口にどう向き合うのか見ものだな!」田朔は勝ち誇ったように笑ったが、不疑は郭村なら少商が守ると自信を見せた。驚いた皇太子は再び少商を失えば一生、後悔すると訴えたが、不疑は退こうとしない。「霍不疑…国や民を思う忠良を気取りながら、結局、権貴を選ぶのか?! 文(ウェン)賊に取り入り、無能な太子は救うが自分の女は見殺しか?!この偽善者め!」「少商と約束した、天下を第一に夫婦で肩を並べ戦うと… 少商は知恵と勇気で必ず郭村を守り抜く、私はそう信じている」不疑は田朔に襲いかかり、胸を突き刺した。「グッ…お前の手で死ねたら忠義の名に恥じぬ」「殺せと挑発を?…戻帝が臨終の際、名のある官員や宮人は全て殉死したな お前が生き延びたのは無名の虫ケラに過ぎぬからでは?」「黙れ!忠臣が虫ケラなわけがない!敵討ちのために私を生かしたのだ!」田朔は不疑を出し抜いたつもりだったが、逆に足下を見られ激しく動揺してしまう。「敵討ちを託したか…それとも名を覚えていないだけか?」結局、不疑は止めを刺さず、田朔から剣を引き抜いた。「郭村へ!」その頃、焼き討ちをかけられた郭村では少商や梁邱起たちが身を挺して民を守っていた。じりじりと迫る残党たち、しかし間一髪のところで知らせを受けた程家が駆けつける。「嫋嫋(ニャオニャオ)に指一本、触れるな!」少商が父の声に気づいて振り返ると、激しい煙の合間から両親や兄夫婦たちの姿が見えた。「嫋嫋!阿母が来たわ!」こうして程家は一丸となり郭村の民と田畑を守り抜く。霍不疑は必死に郭村まで馬を駆けたが、到着した時にはすでに戦いが終わっていた。「郭村は無事よ、私たちは勝った…」「勝ったんだな」再会を果たした2人は固く抱き合い、ようやく夫婦一心となった。深傷を負った袁慎(ユエンシェン)は軍営で静養していた。すると幕舎に不疑が現れ、いつまで寝ているのかとしつこく聞いてくる。「私はお前の家の居候か?口うるさいぞ?」「妻を心配させるからだ」袁慎は大事ないと安心させたが、最後に伝えたいことがあった。「私と少商は似ていると思って来たが、間違いだった 両親の影響で私は深い情愛を嫌悪していた 幼心にも誠実すぎる情愛は刃や劇毒も同じだと感じたのだ 前途ある己の足を引っ張り、志を奪ってしまうと… だが少商は違った、だからお前たちは情愛が深いのだな」「…お前が気に食わなかった、だがこの5年、少商が最も辛い時に見守ってくれた だが安心してくれ、もう彼女を辛い目には遭わせない」「どうだかな、さもなくば…」「その心配はない」袁慎は即答する不疑に失笑し、これで少商への想いにけじめをつけた。子晟(ズーション)と少商の復縁は皇帝の耳にも届いた。その夜、皇帝は越(ユエ)皇后と夜空を見上げながら、これも宣神諳(シュエンシェンアン)が静かに2人を見守ってくれたおかげだと感慨深い。一方、軍営でも少商と不疑が満天の星空を見上げていた。「故人は本当に星になるの?」「昔、私もこうして星河を見上げたものだ、父母や兄妹が星に姿を変えて私を見ていないかと… それで分かったんだ、彼らに語りかけていると、声が届いた時には星が瞬く」「…皇后?私です、少商です、聞こえますか?」すると驚いたことにある星が瞬いた。「皇后だ…阿父、阿母、彼女が一生を共にする相手です、見えますか?」不疑が家族に少商を紹介すると、いくつもの星が一斉に輝いた。「皇后は私たちの復縁を望んでいたわ、だからきっと喜んでいるはずよ」不疑は少商の手を取り、愛おしそうに見つめた。すると少商は不疑の手首にある″少商の弦″に目を留め、これを見るたびに胸が熱くなるのを感じたと明かす。「子晟、あなたは情が深く感情豊かで純粋な心を持っている、この天下で一番の郎君だわ あなたとの出会いはこの上ない幸せよ」「少商、君は最も純粋で善良だ、確固たる意志を持ち、この天下で誰より勝る女子だ 君に出会えて私もこの上なく幸せだ」2人は互いの真心を捧げ合い、唇を重ねた。しかしちょうど幕舎から出て来た程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)に見られてしまう。程始は父として何とも複雑な気持ちだったが、愛妻に諌められて目をつぶるしかなかった。「えっへん…霍不疑よ、娘を託したぞ だがうちの嫋嫋に不義理をしたら程家が一丸となって殴り込む」「…ぜひ」その時、程頌(チォンソン)と万萋萋(ワンチーチー)、程少宮(チォンシャオゴン)、程姎(チォンヤン)、青蓯(チンツォン)も天幕から出て来た。曲陵(キョクリョウ)侯府では老夫人が夜空に手を合わせ、天の加護に感謝していた。少宮の手紙によれば大郎と嫁が再び功績をあげ、頌児夫妻まで手柄を立てたという。しかも霍将軍と四娘子はそのまま驊(カ)県で成婚するとあった。「婚約ではない、成婚よ?これで聘礼(ヘイレイ)の品も逃げないわね、ぶははははは~! 孫娘の成婚を阻む度胸のある者はいるかしら?!」実は2人の成婚を阻む者が宮中にいた。「驊県で成婚だと?!だが朕がその場におらぬぞ?!無効だ!絶対に許さぬ! 今すぐ2人を呼び戻せ!都で再度、婚礼をやり直す! あんまりではないか!この日のために長年、苦心して来たのは朕だ!」すると越皇后は呆れ果て、寝殿に戻ってしまう。そんな皇帝の嘆きなど知る由もなく、程家は揃って星河を見上げながら幸せに包まれた。完( ˙꒳˙ )終わった…ここはやはり不疑と少商の復縁てめでたしめでたし~♪と納得すべきでしょうかしかし管理人はそんな多数派の歓喜とは裏腹に…( ˙꒳˙ )え?こんな感じ?管理人的最終話は54となりました追憶のような最後を期待していたので、この安易なまとめ方にちょっと肩透かし途中でまさかの必殺早送りが出そうになりましたが、ここでウマーで駆けるウーレイ登場!ウーレイがコーナー攻める!攻める!wwwなるほど、全てはこの瞬間のためにあったのね! ←いや違うwもう内容はどうでもいい! ←え?wだってウーレイがカッコいいんだもの♡( ˶´꒳`˵ )
2024.01.03
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风起陇西(ふうきろうせい)第二十四計(最終話)「 李(スモモ) 桃に代わりて僵(タオ)る」荀詡(ジュンク)は司聞曹(シブンソウ)の部隊を率いて陳恭(チンキョウ)がいる李厳(リゲン)の別荘へ乗り込んだ。成藩(セイハン)は楊儀(ヨウギ)たちが機密について話し合っていると制したが、興奮した荀詡をこれ以上、止める術がない。その時、楊儀が現れた。「嫌疑人から供述を引き出したところだ、急いで丞相に報告する…では失礼」荀詡は不自由な足を引きずりながら陳恭の元へゆっくり歩いて行った。「なぜだ?…なぜだと聞いている?!」しかし陳恭は何も答えず、むしろどこかほっとしているように見える。「連れて行け!」荀詡は陳恭が連行されるのを見ながら、ふと床に広げられた地図があることに気づいた。一方、李厳は楊儀が成都への道をすべて封鎖したため、陳恭の言葉通り漢城を通るしかなくなった。すると待ち伏せしていた馬岱(バタイ)将軍が立ちふさがる。李厳は先帝に従ってから忠誠を尽くしてきたと嘆いて一度は剣を抜いたが、結局、捨ててしまう。「よかろう、諸葛(ショカツ)に会わせろぉぉぉ!」ひと月後、李厳の事変により諸葛亮(ショカツリョウ)の第二次北伐は曹魏(ソウギ)大将軍・王双(オウソウ)の斬殺、陰平(インペイ)と武都(ブト)の回復で終結し、20万の大軍が粛々と漢中へ撤収した。成都に戻った楊儀は諸葛亮に理路整然と事の顛末を報告、しかし諸葛亮は楊儀が司聞曹を利用して李厳を失脚させたことに憤慨する。楊儀は李厳を排除せねば朝廷に災いが起きると訴えたが、諸葛亮は政争にも限度があり、人には守るべき原則があると戒めた。「…よく考えよ、よく考えるのだ、何をしでかしたのかをな」「お待ちを!丞相!全て漢の復興のためにしたことです!」諸葛亮は李厳と面会した。すると李厳は諸葛亮が楊儀に命じて司聞曹を動かし、自分を死地へ追い込んだと責める。しかし諸葛亮は何も知らなかったと答えた。「確かに不当な手段だ…しかし手段は不当でも結果は正しい こたびの事変は楊儀が仕組んだものだった だが二心あって司聞曹に唆され曹魏と手を組み、東呉の侵略を偽って兵糧を断ったのであろう? そなたは徒党を組んで南征を主張し、蜀漢と東呉の同盟を破ろうとした 国の根本を揺るがしたのだ! そなたを捕えてこそ国は滅亡を免れる、これは国家存亡の危機、我々の私怨は関係ない!」「南征か北伐かは国策の争いだ、おぬしが北伐を断行して曹魏を滅ぼせる保証がどこにある?」「この世に万全の策はない…だが東呉と結べば蜀漢は少なくとも30年、平和を保てる もし東呉との同盟に背き荆襄(ケイジョウ)に侵攻すれば、曹魏は機に乗じ漢中を奪うだろう 敵に挟まれた蜀漢は3年もせずに間違いなく滅亡する! そうなればあの世で先帝に合わせる顔が?!そなたが言う天下の民はよりどころを失うのだ 我ら2人は大漢のために命を懸けて尽くすべき、己の名誉に何の価値があろうか?」李厳は諸葛亮の言葉にがっくり肩を落とし、力なく首を垂れた。↓(゚∀゚ノノ゙8888888888〜荀詡は事変に関わることを禁じられたまま、何の情報もなくひと月が経った。するとようやく楊儀が現れ、陳恭の事案が結審し、斬首の後さらし首が決まったと報告する。荀詡は呆然、どうしても陳恭に会わねばならないと懇願し、面会する機会を得た。大罪人の陳恭は牢の中でも拘束具で自由が利かなかった。「判決が下りた…斬首だ、陽長史が見守る」「そうか…遠路はるばる苦労をかけたな」「なぜだ?…聞かせてみろ」すると陳恭は燭龍となった経緯について明かした。郭淮(カクワイ)は陳恭が機密を盗む現場を押さえながらも咎めず、馮膺(フウヨウ)が父を売ったという証拠を見せたという。「お前も同じ文章を見て私を疑ったのだろう?」陳恭は青萍(セイヒョウ)計画に最適の人材だった。そこで折りよく天水に来た荀詡を騙して協力させ、南鄭に戻ることに成功したという。「南鄭に戻ったら馮膺を殺して李厳を裏切らせ、父を害した奴らを始末するつもりだった…」しかし荀詡は信じられないと言った。荀詡はこの1ヶ月、何度も繰り返し考え、ある結論を導き出していた。「街亭(ガイテイ)の事案を機に郭淮は青萍計画を発動 お前は父君を殺した馮膺に恨みを抱いたことで郭淮の信頼を得た 五仙道へ行く表向きの目的は連弩(レンド)の設計図を盗むこと だが真の目的は高堂秉(コウドウヘイ)と五仙道を犠牲にして馮膺の地位に取って代わることだ まさしく私の協力があったから青萍計画を遂行できた 郭淮は一層、お前を信頼した、だが思いがけぬことに楊儀と馮膺がお前に反間計を授けていた 青萍計画は最初からお前たちが目的を果たすための表看板 本当の目的は李厳を陥れて失脚させることだった、だがここで妨害が入る…それが私だ 郭淮が命じたのだろう、手ずから私を殺せと…曹魏に従う最後の証拠だ だから黄預(コウヨ)は西郷(セイキョウ)関を襲撃した、そうすれば私を誘き出し、殺す機会を作れる そこまでは想定内だったが、困ったことに楊儀も私を殺せと命じた 燭龍について捜査をやめない私が反間計を脅かしていたからだ 私が燭龍の事案を追求すれば李厳の失脚は合理性を疑われてしまう、丞相にも影響が及ぶだろう …確かにこれは憶測だ、だが私は誰よりもお前を理解している!」荀詡はあの日、双方に自分の殺害を迫られた陳恭が同時に林良(リンリョウ)にも矢を射させたと気づいた。林良は裴緒(ハイショ)が隠した自分を監禁、陳恭は任務さえ完遂すれば自分を殺さずに済むと考えたのだろう。しかし負傷した自分が逃げ出し、陳恭の作戦は破綻した。本来は馮膺が死ぬはずだったが陳恭は作戦を変更せざるを得なくなる。「私のせいで己を犠牲にするしかなくなったんだな?!」「…間諜には墓場まで持って行く秘密がある 兄弟同士で殺し合い、夫婦も共に暮らせぬ…そんな日々にはうんざりだ」「私の見立て通りか?…これでは…私がお前を殺したのと変わらぬぅぅぅ…」「考えすぎるな」荀詡は陳恭を死に追いやったのが自分だと知り泣き崩れた。すると陳恭は頼みがあるという。「もう捜査しないでくれ…ここまでにしろ、打ち切りにするんだ…もう終わりだ」…荀詡が別荘に乗り込んできた時、陳恭は楊儀に自ら馮膺の代わりに黒幕になると申し出た『曹掾の罪は全て私に着せてください、そうすれば曹掾は汚名をすすぎ復職できる』楊儀は反対した実は李厳を失脚させた後、陳恭を曹魏の上層部に潜り込ませる仕上げの計画があるしかし確かにこの方法なら誰も巻き込まず、全ての事態に説明がついた…荀詡たちは楊儀と共に陳恭の処刑に立ち会った。すると晴れて無罪となり、復職した馮膺が遅れてやって来る。馮膺は荀詡の隣に立ち、丞相からの任務を伝えた。「東呉へ向かい、建鄴(ケンギョウ)で新たな情報網を作れ」その時、いよいよ処刑の刻限が来た。陳恭は大きく息を吐いて執行台に身体を預けると、最後に荀詡へ笑顔を見せる。「…ひとつ頼みがあります」荀詡は馮膺に陳恭と翟悦を同じ墓へ埋葬するよう頼んだ。その時、ついに執行人が剣を振り下ろす。次に処刑場に向かっていたのは狐忠(コチュウ)だった。馮膺が司聞曹に戻ると、部屋を掃除していた孫令(ソンレイ)が出迎えた。「姐夫(ジェフー)…」一方、郭淮は陳恭が処刑されたと報告を受け、計画が全て台無しになったと知り茫然自失となる。また無事に南鄭から離れた柳瑩(リュウエイ)は荀詡と陳恭それぞれからもらった二つの令牌を眺めながら、物思いにふけっていた。荀詡は東呉へ発つ前、翟悦と陳恭の墓に寄った。…阿妹翟悦の墓…妹夫 の墓大罪人として死んだ陳恭の名前はなかったが、馮膺は約束通り夫婦を同じ墓で眠らせ、木碑を建てている。荀詡は献杯して立ち上がると、ふと翟悦と陳恭が仲良く手を繋いで旅立つ姿が見えた。荀詡は林良と一緒に水路で東呉へ向かった。「風が強いゆえ中で休んでは?」「いや構わない」すると林良は陳恭からの言づてを明かすことにした。陳恭は荀詡がひと月後も葛藤しているようなら真実を伝えるよう頼んでいたという。実は荀詡が穴蔵から脱出することは陳恭の思惑通りだった。穴蔵に茶碗を残したのも火打ち石を落としたのも、全て陳恭の指示だったという。陳恭は始めから抜け道がある穴蔵を見つけ、荀詡なら必ず見つけ出すと分かっていた。翟悦を死なせてから陳恭は己を責め、その時から死を求め出したという。この暮らしにへき易していた陳恭は燭龍を捕らえた後、翟悦と隠居するつもりだった。「…しかし悦児が死んだ日を境に計画を変えたのだな」「そうです」あの日から陳恭は己が決めた通りに動き、計画通りの結末を迎えた。荀詡は林良に船を降りる支度をするよう命じた。「こたびお前の立場は従者ではない 大鴻臚(コウロ)の治礼郎(チレイロウ)、つまり役人だ、礼儀に気を配れ」「承知した、手筈は整えている」完( ๑≧ꇴ≦)えー?!なぜ最後にこんな曲?! ←そこ?!
2022.12.17
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第8話)第35話「月と星の関係」袁慎(ユエンシェン)は程少商(チォンシャオシャン)と凌不疑(リンブーイー)の婚約の宴から追い出される汝陽(ジョヨウ)王妃と城陽(ジョウヨウ)侯夫人を目の当たりにした。「程娘子の婚約は慶事と言えなくもないが、汝陽王にとっては大慶事だな…」「″言えなくもない″って何よ?」少商は回廊にいた袁慎の失礼な物言いを聞き逃さなかった。「そんなに嫌味ったらしいのは嫉妬しているから?前の縁談が潰れてもすぐ次が決まった 善見(シャンジエン)公子なんて子晟(ズーション)と同年代なのに妻もいない 今日は世家の娘が大勢来ているから私が取り持ってあげましょうか?」すると憤慨した袁慎は低俗だと言い捨てて行ってしまう。万松柏(ワンソンバイ)が凱旋、匪賊を討伐して無事に人質だった王隆(ワンロン)を解放した。事情を聞かれた王隆は、持ち場を勝手に離れたのも父・王淳(ワンチュン)の軍令に従ったからだと釈明したという。皇太子は自分が慎重に調査すると申し出たが、その時、廷尉(テイイ)府・紀遵(ジーズン)が自分たちに任せて欲しいと嘆願した。「善見、陛下にご挨拶を…」仕官した袁慎は御前で拝礼し、見解を述べようとした。すると凌不疑が話を遮り、実は昨夜のうちに調査を済ませたという。実は王隆への軍令は文修君(ウェンシウジュン)が夫の文として偽造し、印章も偽物だった。しかも文修君は寿春(ジュシュン)にいる弟・小乾安(ケンアン)王を援助するため、銭の鋳造をそそのかしたという。皇帝もこれ以上かばい立てできず、文修君の封号を剥奪して自害を命じ、また王父子は官位を剥奪され庶民に落とされた。朝議が散会した。すると朝堂を出た凌不疑に少商からの差し入れが届く。何とも微笑ましい様子に紀遵は目を細めたが、袁慎は内心、面白くなかった。「善見、お前もいい年だ、身を固めないのか?」「縁談に興味はありません」↓善見ザマアァァァwww王姈(ワンリン)は長秋(チョウシュウ)宮へ駆けつけ、皇后に母の命乞いを続けた。しかしちょうど母の見舞いに来ていた五公主が現れ、立ち去らなければ宮廷を騒がせた罪で打ち据えると脅す。驚いた少商はそこまでせずとも自分が追い払うと約束し、王姈を助けた。「死にたくなければ黙って…事は重大よ、私たちでは何もできない」その夜、少商は寿春料理を作って皇帝に届けた。皇帝は舌鼓を打ちながら老乾安王を懐かしんだが、少商が遠回しに嘆願に来たと見抜く。すると少主は嘆願が皇后のためでもあると言った。「皇后は乾安王に養育されました 文修君がどれほど横暴で不敬な態度でも耐えて来たのは、ひとえに故人を偲んでのこと 文修君が死を賜ることになり、皇后はまた病に伏されました、きっとお辛いはずです」皇帝は子晟からも同じことを言われたと明かした。老乾安王は霍(フォ)兄のために亡くなり、文修君と弟はその乾安王が残した唯一の血脈だという。「…いいだろう、幸いひどい事態は招いておらぬ、死は免じよう」 王姈は彭坤(ポンクン)へ嫁ぐことが決まり、その前に生涯軟禁となった母を訪ねた。夫や娘を顧みず大罪を犯した母、しかし未だ過ちを認めず、気概がない娘を引っ叩いてしまう。すると王姈はついに母を見限った。「阿母、舅父は陛下への書状で全ての罪を阿母に着せたわ 自分は貨幣のことも知らず、軍を動員したこともないと… 最初、陛下は自害を命じた、でも皇后に免じて監禁に留めてくださったのよ」結局、文修君は自分が守ろうとした弟に裏切られ、恨んでいた相手に命を救われることになった。それでも文修君は弟をかばい、全ては大局を考えてのことだと訴える。王姈は哀れな母に深くし失望し、寿春へ行ったら毎日、皇帝と皇后のために祈ると言った。「あなたは永遠に実現しない夢を見ながら、この部屋で一生、過ごすのね」五公主は病み上がりの母后を訪ね、寿誕の宴を自分に任せて欲しいと頼んだ。父皇は少商を指名したが、母后から推薦して欲しいという。しかし皇后は娘が宴の予算に目をつけ、自分の懐を潤すつもりだと分かっていた。五公主は悪びれる様子もなく、幕僚たちを養う元金が必要だと訴える。その時、どこからともなく甘い匂いが漂って来た。「(クンクンクン…)何の匂いですか?」少商が新しい甘味を作っていると、皇后と五公主が様子を見にやって来た。「また子晟に食べ物を?」実は大臣たちも少商が子晟の馬車に差し入れを運ばせているのを目撃し、今や賢妻と評判になっているという。「でも孝行者とは聞かないわね~」皇后が遠回しに嫉妬すると、少商は今回の試作が皇后のためだと教えた。早速、試食した皇后は甘くて美味しいと笑顔、そこへ皇帝が凌不疑を連れてやって来る。「…誰かさんは朕より皇后を喜ばせられるようだな」少商は皇帝にも新しい甘味を勧めた。飴糖(イトウ)は高価なため甘蔗(カンシャ@サトウキビ)を絞り、小豆と糖汁を煮詰めたという。すると少商は五公主を尻目に不疑にも甘味を渡した。「ご安心を、甘蔗は自腹で買いました、皇后を喜ばせるため一文なしです、ふふふ~」「そなたは孝行者だな、子晟、お前の新婦は出来がいい」皇帝は喜んで不疑に食邑200戸を授けたが、少商はなぜ自分ではなく不疑が褒美をもらえるのか分からなかった。↓(๑・᷄ὢ・᷅๑)何でなん?五公主は娘の自分を差し置いて父皇と母后に寵愛される少商が面白くなかった。すると帰りの道すがら回廊で偶然、駱済通(ルオジートン)と出くわす。「あなたは私の伴読を務め、翟(ジャイ)媪(ウバ)を支えて宮中の雑務を行って来たわ でも母后は差配を程少商に任せるそうよ? …母后はあなたを十一郎に与えると思ったのに、まさか先を越されてしまうなんてね~」駱済通は寛容な対応を見せたが、内心は少商に激しく嫉妬していた。その気持ちを見透かすように侍女の春笤(チュンティアオ)は皇后の寵愛があっさり少商に移ったことに不満を漏らす。しかし何にせよ誰が皇后の意向に異論を唱えられるというのか。その夜、少商は皇后に今日の皇帝の褒賞について尋ねた。「陛下は私を褒めたのに、子晟に褒美を与えました… 200戸が惜しいわけではなく、私の出来が良かったのになぜ子晟の手柄になるのですか?」すると皇后はかつて楼(ロウ)家で少商が皇帝から表彰されたのは子晟が願い出たからだと明かした。当時、子晟は自分の褒賞を求めず、少商が楼家で見下されぬよう嘆願したという。何も知らなかった少商は驚いたが、ただ周りから子晟の妻としか見られず、自分自身がないことに納得できなかった。皇后はならば皇帝の麾下(キカ)である将士や大臣たちなど自分の居場所すらなくなるという。「良策を立て戦に勝利しても陛下の領土を広げただけ、自分たちとは何も関係ない 策が悪く、破れれば陛下の落ち度になる…でも古(イニシエ)よりこの満天の星の下では 合従(ガッショウ)や連衡を唱えて来た名将や策士も同じ星の河に名を連ね、明るくその輝きを放つ…」皇后は孤独に育った少商がこれまで自分の栄辱ばかり考えて来たが、成婚すれば別のやり方が必要だと諭した。「…皇后の言うとおりです、郎君が陽光で万里を照らすなら、私たち女は明るい星、星河に輝く」少商は日月と星河に高低は関係なく、互いが欠かせない、共存することでこの天地を成すのだと理解した。程家では一家が宮中から戻らない嫋嫋(ニャオニャオ)を恋しがっていた。嫋嫋がいない食卓は火が消えたようだったが、老夫人だけは気にかける様子もなく食欲が落ちることもない。すると朝餉の時間というのに突然、凌不疑が尋ねて来た。実は少商が皇后の寿誕の宴を仕切ることになり、皇帝に命じられて宮中に留まることになったという。「宴が終われば帰れるかと… それで少商が暮らしに困らぬよう、使い慣れた小物を取りに伺いました」程始(チォンシー)は了承したが、凌将軍は全ての荷物を運び出し、少商の部屋は空っぽになってしまう。つづく( ゚ェ゚)そしてまた独り消えた…ようやく原題の意味が出て来ましたね
2023.10.14
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse最終話「終わらない伝説」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が誘拐された。やきもきしながら一報を待つ旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)、すると捜索していた陳哨子(チンショウシ)が戻って来る。陳哨子は昶(チョウ)王府で監禁されている淑容妃を発見していた。しかし中には大勢の反乱軍がおり、淑容妃が身重のため下手に動けなかったという。「淑容妃は無事です、首謀者は索蘭(サクラン)王子でした」褚仲旭は自ら緹蘭を救出に向かうと決めた。陳哨子と穆徳慶(ボクトクケイ)は皇宮で待つよう諌めたが、褚仲旭は2度と妻を失えないという。そこで皇宮の指揮を陳哨子に任せ、意表をついて裏門から20人の精鋭だけ連れて出ることにした。褚仲旭はこれまで尽くしてくれた穆徳慶に別れを告げ、万一の時は財宝を持って故郷へ戻れという。しかし穆徳慶は最後まで皇帝に仕える覚悟だった。「陛下…私は長年、陛下のおそばで過ごし、故郷などとうに忘れてしまいました 帰る場所などありません」緹蘭の侍女・碧紫(ヘキシ)は注輦(チュウレン)王に命じられ、公主の情報を密かに送っていた。実は宮女が落とした薬に毒を入れたも碧紫だという。あの時、皇帝が懐妊した淑容妃を守るため愈安(ユアン)宮を禁足とした。注輦に知らせを送れなくなった碧紫は気が急き、毒騒ぎを起こせば皇帝が公主を移動させると考えたという。「信じられないかもしれませんが何もかも公主のためです! 公主を大徴(ダイチョウ)で最も尊い女性にすると言われて…それで王子に手を貸したのです まさか謀反のために公主を利用するなんて…」緹蘭は浅はかな碧紫に激高したが、今は逃げ道を探すことが先決だった。「…碧紫、まだ私の命に従う気はある?」碧紫は見張り番に公主が苦しんでいると訴えた。驚いた兵士が中へ入ると、碧紫が後ろから殴りつけて倒すことに成功する。しかし物音に気づいたもう1人の兵士が駆けつけた。緹蘭と碧紫は呆然、すると兵士は突然、矢に射られて死んでしまう。その時、驚いたことに褚仲旭が自ら緹蘭を助けにやって来た。「びーしゃあ?!」褚仲旭は緹蘭を馬車に乗せて皇宮へ急いだ。しかし反乱軍を率いた施霖(シリン)が現れ、道をふさぐ。実は施霖は注輦の人間、今日のためにこれまで屈辱に耐え忍んできたという。「旭帝よ、もう逃げられぬぞ…殺(シャー)っ!」褚仲旭はわずかな精鋭たちと反乱軍に応戦した。その時、白い影が飛び込んで来たかと思うと、敵を蹴散らして褚仲旭の隣に方鑑明(ホウカンメイ)が立つ。生きてたのかーい!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<ザワザワ…死んだはずの清海公(セイカイコウ)の姿にその場は騒然となった。すると馬車の中から緹蘭の悲鳴が聞こえる。「お急ぎください、ここは私が」方鑑明は施霖たちを引き受け、褚仲旭を先に逃した。↓\\\\٩( ‘ω’ )و ////バーン!褚仲旭は産気づいた緹蘭を民家に避難させた。しかし安心したのも束の間、索蘭率いる注輦軍が追いついてしまう。覚悟を決めた褚仲旭は穆徳慶と碧紫に緹蘭を任せ、戦いの渦へ飛び込んだ。わずかな精鋭たちが全滅、褚仲旭は孤軍奮闘した。やがて日も暮れる頃、民家から元気な産声が聞こえる。緹蘭は産後の身体を引きずりながら何とか外へ出たが、そこには致命傷を負って血まみれとなった褚仲旭がいた。驚いた緹蘭は褚仲旭に抱きつくと、褚仲旭は碧紫の腕に抱かれた元気そうな男の子に気づく。「…我らに…そっくりだ…」その時、索蘭はこの機に姉と子を奪えと命じた。褚仲旭は緹蘭を守ろうとしたが、緹蘭が身を挺してかばい、褚仲旭の代わりに刺されてしまう。「緹蘭?…緹蘭!!うわあぁぁぁぁーっ?!」その時、白い影が現れ、一瞬の隙に索蘭の首をかっ切った。方鑑明は一刻も早く褚仲旭を皇宮へ連れ帰ろうとした。しかし褚仲旭は絶命した緹蘭を離そうとしない。「緹蘭が言った…朕のいない世を生きるつもりはないと… もう疲れた…このまま何もしたくない…」すると褚仲旭は大徴の民と息子を方鑑明に託し、愛する緹蘭と一緒に旅立った。城門を死守していた張承謙(チョウショウケン)だったが、いよいよ限界に近づいていた。その時、夜空に照明弾が上がる。反乱軍を指揮していた湯乾自(トウカンジ)は後ろを振り返り、先頭を駆けてくる方海市(ホウハイシー)の姿に気づいて驚愕した。援軍の到着に気づいた張承謙は開門を指示、突撃を命じて援軍と合流する。海市たちは城外で反乱軍と交戦し、湯乾自を生捕りにして決着した。すると任勇(ジンユウ)が駆けつけ、城内の状況を報告する。「索蘭が死にました!しかし…淑容妃も争いの中でお亡くなりに…」海市は任勇から龍尾神の護符を受け取り、湯乾自を激しく責めた。「お前は索蘭と手を組み、緹蘭を死に追いやって天啓の民を不安にさせた!」その時、愛する緹蘭の死に絶望した湯乾自は兵士の長槍を握って自ら身体を突き刺し、自害した。緹蘭の子供は早産のせいか生まれつき身体が弱く、李(リ)侍医は長くは生きられないと診断した。一方、海市はようやく皇宮に駆けつけ、城門で待っていた穆徳慶から旭帝の崩御を知る。「陛下は淑容妃と旅立たれました、混乱と動揺を招かぬよう清海公がまだ内密にせよと… しかも清海公は皇子のため、再び柏奚(ハクケイ)の契りを結ばれたのです」海市は無我夢中で昭明宮に向かった。すると憔悴した方鑑明が寝台に寄りかかって座っている。「来てくれたのか…」海市は鑑明の隣に腰を下ろしたが、何も言えずにいた。「越(エツ)州には戻れない…皇子がお生まれになった…朝廷が不安定な今、正当な補佐が必要になる」「…斛珠(コクジュ)夫人として私が支えるわ」「優しいのだな」鑑明はしみじみ海市にもっと早く会いたかったと漏らした。「私が若い頃に出会えていたら…良かったのに…」「ある書物で読んだわ、この世界には並行する別の世界が存在していると… 別の世界では私たちは同じくらいの年でもっと早くに出会っているかもしれないわ」…別の世界にいる海市と鑑明は宮中で行われた投壺(トウコ)の試合で初めて出会った海市の投げた矢が鑑明の頭を直撃、負けず嫌いの2人は言い争いになってしまう初めこそ鑑明は海市に意地悪だったが、やがて互いを意識するようになり、年頃になると2人は婚姻を約束した…「そして私は何人か子供を産むの、2人で子供を育てゆっくり年老いて行く」「卓英(タクエイ)を忘れているぞ?」「忘れていないわ、この世界では私が年上だから…卓英には師娘(シジョウ)と呼ばせる」鑑明は出会いが遅くなったことを謝り、まだやり残したことがたくさんあると言った。しかし自分でもこれからどうなってしまうのか分からないという。「…海市、少し疲れた、眠らせてくれ」鑑明は横になり、愛する海市の膝枕で眠ることにした。「必ず起こしてくれ…長く眠らないように…」天享(テンキョウ)16年、大徴の順武(ジュンブ)帝が崩御、元号は景恒(ケイコウ)と改められた。忘れ形見となった皇子・惟允(イイン)は淳容(ジュンヨウ)妃を皇太后と呼んで敬っている。やがて順武皇帝は陵墓に葬られ、宗廟の前で大徴高祖の名が贈られた。一方、鵠庫(コクコ)では右王の額爾済(ガクジセイ)が病で逝去した。後継者の奪罕(ダツカン)は他部の帰順を受け入れ瀚(カン)州を統一、自ら渤拉哈汗(ボツラコウハン)と名乗る。″渤拉哈″とは黒いたてがみ″烏鬃(ウソウ)″を意味していた。奪還は早速、大徴と同盟を結びたいと書簡を届け、摂政である皇太后宛に直筆の文を送る。「そうだ、哥哥からひとつ知らせがある」実は方卓英はついに鞠柘榴(キクシャリュウ)と再会を果たしていた。それから5年が経った。惟允は母后がかつて龍尾神を天啓に呼んだと師匠から聞いたが、鮫が怖くなかったかと尋ねる。「鮫人のいるところには鮫が出没するとか、鮫は怒ると船まで噛んで壊すそうですね」「鮫は怖いわ、でも守りたい人がいたから仕方がなかったの」海市は惟允にも困難や危険に立ち向かい、自分の信念に従って民を守って欲しいという。すると惟允は師匠と同じ言葉だと笑った。「今から老師に会いに行きます、母后も一緒に行きましょう!」「老師はお身体の具合が悪い、独りで行きなさい」「以前より回復されました…母后が行けば老師も喜びますよ?」「そうね」その頃、昭明宮では仮面をつけた老師が満開の霽風の花をながめていた。完( ̄▽ ̄;)意地でも海市と師父を一緒にしないという執念だけは伝わったw何だかんだ言いながらも、いざ終わってみると寂しい〜(´・ω・)
2022.12.16
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皎若云间月 Bright as the moon第40話「時を超えて」…時をさかのぼるには3つの宝を集めるべし…醒世異聞録(セイセイイブンロク)を読んだ雲浅月(ウンセンゲツ)は″白玉の神龍″と″千年の寒鉄″を手に入れたが、最後の宝が何か分からず断念していた。しかしついに3つ目の宝が鳳凰のかんざしだと判明する。それは容景(ヨウケイ)が折ってしまった母の形見のかんざしだった。その夜、浅月と容景は思い出の裏山に席を設け、別れを惜しんだ。容景はやはり浅月と離れたくないと本音を漏らしたが、息子を放り出して後を追うこともできないという。「君に生きていて欲しい…」「でも私が去ったら、残されたあなたはどうするの?」「辛い…胸が張り裂けそうだ、しかし君が生きていると思えば支えになる 浅月、どこへ行っても忘れないでくれ、君を愛している どんなに遠く隔てられ、未来永劫めぐり会えずとも、私は君と孤独を分かち合う」「全ての出会いは深い縁があるからこそ…だからきっとまた会えるわ」「思いが通じていれば千年の時を隔ててもこの愛は変わらない…心はひとつだ」その時、浅月の全身が急に消えかかった。容景は一刻の猶予もないと知り、慌ててかんざしの片割れを取り出す。「約束してくれ、必ずしっかり生きると…」すると浅月もかんざしの片割れを手にした。「容景、あなたを愛している、千年後の世界で待っているわ」2人は折れたかんざしをつなげて鳳凰のかんざしを復活させると、浅月の身体は光となって消散した。容景は浅月を失い、その場で泣き崩れた。すると走馬灯が回り始め、2人の思い出が帳(トバリ)に映し出される。…容景、あなたとの思い出をすべてこの走馬灯に刻んでおくわ…私からの最後の贈り物よ、元気で、悲しまないでそれは浅月が密かに作っておいた走馬灯だった。浅月が消えて10年が経った。皇太后は景世子に後添いを迎えるよう勧めたが、容景は辞退して隠居を申し出る。「栄王府の妃は生涯、雲浅月ひとりです」「容景っ?!…はっ!」李蕓(リウン)はマンションの寝室で目を覚ました。…何てこと?夢だったなんて…すると消し忘れたPCに穆小七(ボクショウシチ)の失踪を伝えるニュースが映っている。…もう二度と会えないのね、とても長くて悲しい夢だった…李蕓は孤独を紛らすように執筆に没頭した。こうして書き上げた″紈絝(ガンコ)世子妃″は新人賞を獲得、李蕓は時の人となる。容景と浅月を題材にしたラブストーリーは映画化も決定したが、その版権を買ったのは穆グループの映画会社だった。「この作家に投資だと?…金をドブに捨てるようなものだ!」失踪と報道された穆小七は無事だった。何も聞いていなかった秘書が勝手に誘拐と誤解して大騒ぎになったが、実は施工停止の大損で父から3ヶ月の外出禁止を言い渡されただけだった。缶詰生活に飽きた穆小七は秘書に頼んで気晴らしに外へ出た。すると驚いたことに李蕓が現れる。「あの日のダサい格好とは大違いだな」李蕓はこの機会を利用してライブ配信を始めると、小説の容景のモデルは穆小七だと明かした。このライブ動画がSNSで大バズり、映画の効果的な宣伝となったが、秘書はこの件で奇華(キカ)グループの社長が怒っていると報告する。「縁談と提携に影響が出てはまずいと…」「分かった、ではスキャンダルを事実に変えよう」穆小七は李蕓のマンションを訪ねた。「あなたの失踪で大変な目に遭ったのよ?」「あの件か、思いがけず迷惑をかけて悪かったね」「もういいわ」すると小七は動画のせいで自分の名声が傷ついたと難癖をつけ、恋人契約を結びたいという。しかし条件は李蕓が自分の家に同居することだった。「心配ない、君を女として見ていないから…ただ両親が身を固めろとうるさくてな」2人は会社公認のカップルとして1ヶ月の契約を結び、李蕓は小七の豪邸に引っ越すことになった。穆小七は李蕓との交際を公にし、奇華グループの令嬢との縁談を破談することに成功した。こうして始まった李蕓と小七の同居生活、2人は容景と浅月がそうだったように反発し合いながらも惹かれていく。「以前のことはすまなかった、よく考えると君も悪くはないな」「あなたこそ噂ほどひどくないわ」すると小七は家族さえ自分を見る目は世間と大差なく、もう慣れっこだという。しかし李蕓は小七の本当の姿を知っていた。「あなたは陰で正しいことをしている、知っているの…タネを明かすわ」実は小七の友人・林(リン)社長は李蕓の親戚だった。李蕓は林社長から穆小七の情報を集めていた。小説が現実になったのは小七の行動を事前に知っていたからだという。「段取りは全部、従兄が組んでくれたの、もちろんあの偶然の出会いも…」「最初から計画していたと?」「そうよ、わざと近づいた、あなたが好きだから」李蕓は小七が恋人を取っ替え引っ替えしているのはスキャンダルで縁談を流すためだと分かっていた。しかし一方で忙しい中、毎月、複数の施設へ慰問しているのも知っている。「遊び人に見せているけれどあなたは善良な人よ、父親の決めた道を歩くのが嫌なだけ …私はあなたを理解している、だって知り合ったのはずっと昔だから」かつて李蕓はアルバイト先のバーで客にからまれているところを小七に助けられていた。「…私は人にはめられるのが大嫌いだ、李蕓小姐、私たちの契約は今日で終わりだ」「ごめんなさい、騙して…でもこれだけは言わせて、小説のモデルは本当に私とあなたなの …帰るわね、この本は置いていくわ、最後のプレゼントよ」李蕓と穆小七はそれぞれの生活に戻った。小七は仕事に復帰、漢代の墓が出土して頓挫した計画を変更し、文化遺産を保護して再開発を進める。そんな忙しい毎日の中、暇を見つけては李蕓が置いていった″紈絝世子妃″を読みふけった。一方、李蕓は執筆活動を続け、新刊も売り切れとなった。するとある日、麗麗(レイレイ)から連絡があり、良い男を紹介するという。「今度は間違いないわ、私の顔を潰さないでよね」「いいわ、どこへ行けばいいの?」李蕓が指定された場所で待っていると、ランボルギ〇ニが停まった。「穆小七?…私をブロックしたくせに、なぜあなたがここに?」「いいから乗れ」「なぜ今頃になって誘いに来たの?」「…あんなゲームを仕組まれてやられっぱなしじゃ男として失格だ」「もう許してくれないかと…」すると小七はこれから民政局に行くという。「えっ?!…結婚登記?!」喜んだ李蕓は思わず運転中の小七にしがみついて怒られてしまう。「″私から3尺離れるのだ、よいな?″」その時、李蕓は流れる景色の中で、巨大スクリーンに映し出された容景と息子の姿に気づいた。…ディエディエ、きれいな蛍がいっぱいだね、にゃんちんもどこかで見ているかな?…そうだな、どこかで見ている「…どうした?何かあったのか?」小七はイタズラっぽく笑うと、李蕓はそっと小七の肩に頭を乗せた。おわり( ๑≧ꇴ≦)ちょwwwwwかんざし版″トモダチ″で現代に戻ったぁぁぁ〜久しぶりにミルクティ吹き出したわ(´゚艸゚)∴ブッちょっと最終回は肩透かしを食ったような…まあ〜折り返しからエグい展開だったので、これくらいライトな終わり方でもいいのかも?
2023.02.19
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星河长明 Shining Just For You第6話都護府を設置し、大都護には兵権を与えると決めた晁(チョウ)皇・彧修明(ユーシューミン)。しかし兼ねてから政策に反対していた界海天(カイカイテン)が異議を唱えた。「兵権を持った大都護に実権を握られ、羽(ウ)王の二の舞となるやも!」朝臣たちが騒然となる中、皇帝と界海天の口論が続いた。すると界海天を告発する者が現れ、界海天が皇帝の口宣(クゼン)を改めて夜北(ヤホク)の民を誅殺しようとしたという。恐らく都護府設置に反対なのも逆心から兵権を返還したくないからだ。これに皇帝は激怒、界海天を捕らえ、正殿の前でさらし首にせよと命じた。尚書僕射(ショウショボクシャ)・樊如晦(ハンジョカイ)は界諸嬰(カイショエイ)を弾劾する機を失ったが、結果的に界海天の排除に成功した。彧修明も苦渋の決断だったが界諸嬰を守るためには止むを得ない。白露(バイロウ)こと葉凌霜(イェリンシュァン)は不吉な予感を察して正殿に急いだが、手遅れだった。欽天監(キンテンカン)に監正・界海天の死罪が伝えられた。管宜(カンギ)は自分が昇格できると信じて疑わなかったが、皇帝は狄蘭章(テキランショウ)を新たな監正に指名する。一方、夜北では七海怜(チーハイリアン)が苦淵(クエン)海で芳華(ホウガ)鏡の捜索に協力していた。すると七海怜の星辰の力でついに神鏡が海面に現れる。しかし喜んだのも束の間、界諸嬰に天啓から思わぬ勅旨が届いた。「界海天は陛下に背いて死罪となり、界夫人は自害した、界諸嬰はすぐ帰京せよ」界諸嬰は両親の死を信じられず、悲しみに暮れた。これまで頑なだった七海怜も絶望する界諸嬰に同情し、優しく寄り添う。「天啓に戻れば何かひらめくやも…」「そうだな、真実を知りたい」界諸嬰はもはや自分が気にかける者は七海怜だけになったと寂しそうに笑った。皇帝は政に専念するため樊如晦を太宰(タイサイ)に封じ、庶務を全て任せることにした。上機嫌で屋敷に戻った樊如晦は長子・樊平(ハンヘイ)に縁談がまとまったと伝えたが、樊平はあまりに急過ぎると困惑する。すると放蕩息子の次子・樊征(ハンセイ)がならば自分が娶ると口を挟んだ。樊如晦はかつて騒ぎを起こした樊征のせいで皇帝に許しを乞う羽目になったことを思い出し、怒りが再燃する。「羽(ウ)人がお前に金品を送るのは私への媚びだ!今後、羽人と関わることは許さぬ!」南宮では星瀚大典の準備が始まった。しかし司空監の主事・顧惘然(コボウゼン)は帳簿が不正確なため竣工図を承認せず、工事責任者の周邇(シュウジ)は苛立ちを隠せない。その様子をちょうど作業の進み具合を確認に来た白露が見ていた。管宜は皇帝が白露を作業場に遣わしたと聞いた。そこで宮中を出て急いで樊家の次子に報告、太宰も巻き込まれるかもしれないと警告する。しかし樊征は父の権勢を笠に恐いもの知らず、何としてでも金を稼ぐと譲らなかった。白露は欽天監に顧惘然を呼び出し、こっそり正体を明かした。「私は葉凌霜よ」「やっぱり君か?!」実は顧惘然はかつて夜北で狼に襲われたところを凌霜と朱顔(シュガン)公主に助けられていた。白露は顧惘然が竣工図を承認しない理由を聞いた。すると顧惘然は袂から黒い石を2つ出して見せる。2つは見た目こそ似ていたが、ひとつは祭壇を作るのに最適な北邙(ホクボウ)山の黒曜石で、もうひとつは砕けやすく建築に向かない墨石だった。「なるほどね、黒曜石は墨石の10倍は値が張る、墨石を使えば差額が懐に入る」白露は顧惘然に承認を引き伸ばすよう頼み、悪事を暴き出すと約束した。界諸嬰は天啓城に到着したが足止めされた。界海天は勅書の偽造という大罪を犯したため、弔うことも許されないという。すると兵士に紛れていた七海怜が捕まり、将軍に引き渡された。「斬られると承知でなぜ危険を冒した?!」「夜北の赦免を乞うの」「私が上奏すると言ったはずだ」「家にも帰れない人がどうやって?!」しかし界諸嬰は必ず赦免を乞うと約束し、皇帝との謁見を求めて嘆願を始めた。界諸嬰が正殿の前でひざまずいて3日が経った。そうとは知らず皇帝に上奏に来た白露。しかし門衛から勅令か欽天監の勘合(カンゴウ)がなければ通せないと門前払いされてしまう。「将軍さえ3日もひざまずいています、勘合を持ってきてください」驚いた白露が振り返ると、すっかり憔悴した界将軍が跪いていた。白露は界将軍のもとへ駆けつけ、夜北で何かあったのか聞いた。すると界諸嬰は長公主も天啓に来たと教え、ある場所を探すよう伝える。一方、皇帝の側近たちは何とか界諸嬰が謁見できるよう遠回しに口添えしていた。彧修明は朝臣たちの反応を聞いてみたが、侍衛たちの話では誰も界諸嬰に近寄らないという。「ぁ…でも欽天監の白露だけは話を…」彧修明は白露を呼びつけ、界諸嬰と何を話したのか聞いた。しかし白露は慰めの言葉をかけただけだとしれっと嘘をつく。「界諸嬰の答えと相違があれば死を覚悟せよ」「…それより陛下、他に死すべき者を知っています、樊征です」管宜と周邇は墨石の件が皇帝にばれるのを恐れて樊家に太宰を訪ねた。しかし樊如晦は何の話か分からず、とにかく皇帝の意向に従うよう命じて追い返してしまう。…どうやら参内せねばならぬようだ…その夜、白露は界将軍から聞いたあばら家を訪ねた。人影はなかったが、その時、突然、背後から短剣を突きつけられてしまう。つづく
2024.06.14
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第23話)第50話「我が名は…」文(ウェン)帝の命を受け、崖から落ちた凌不疑(リンブーイー)の捜索に向かった三皇子。深手を負った不疑はかろうじて山肌の蔓に絡まり生きていた。三皇子は懸命な救出作業を見守っていたが、程少商(チォンシャオシャン)の心配が的中し、左(ズオ)将軍が引き上げを手伝うふりをして縄を切ろうとする。しかし目を光らせていた三皇子が気づき、あっけなく捕まった。「…呼応する仲間を待っているのか?だが奴らは永遠に来ないぞ 収監して拷問せよ!死んでも構わぬ!」凌不疑は崖から引き上げられ、三皇子が急いで宮中に運び込んだ。皇帝と三皇子が見守る中、医官たちの懸命な治療が続いたが、不疑は琴の弦を握りしめたまま離さず、なかなか手当が進まない。「琴の弦?」「少商の弦です…意識を失っても誰にも触らせないとは…」皇帝は老三の話を聞いて少商がいないことを思い出し、すぐ呼ぶよう命じた。曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)は程娘子ならすでに回廊にいると伝えたが、本人曰く凌将軍とは縁が尽きたので会えないという。「首に縄をつけても連れてこい!」しかしその時、殿外から少商の笛の音が聞こえてきた。凌不疑は叶わなかった少商との成婚の夢を見た。…もし私を独りにするなら一生許さない、来世も、来来世も許さないから!…このまま死を選べば2度と少商は許してくれないだろう。走馬灯のように蘇る少商との思い出、それが不疑の生きる希望となった。…それから別院に花畑を作る、琴と笛で合奏するの、私たち2人で共白髪となり生死を共に…すると不疑は弦から手を離し、それまで無意識に受け付けなかった薬を飲み始めた。こうして不疑は峠を越え、夜が明ける。「もう凌将軍は大丈夫です!」医官の声を聞いた少商は部屋の中をのぞき、不疑の無事を見届けてから倒れた。少商が目を覚ますと皇后が付き添っていた。「せっかく子晟が目覚めたのに、そんな様子では心配になる」「…彼とはもう終わりです」少商は自分が子晟でも同じ選択をしたと理解を示したが、何が真心で何が計略なのか分からなくなったという。「あんな仕打ちは承服できない、敵を殺したいのなら、そう言って欲しかった 私も一緒に行く、たとえ黄泉だとしても一緒に行くのに… でも私を独りにするのは許せない、しかも私のためだなんて… 幼い頃は両親に捨てられ、今度は愛する人に捨てられた 陛下と皇后から教わりました、夫婦は一心同体だと…そうでしょう? でも私だけが一心で彼は隠し事ばかり、一心だったことがあったのでしょうか?」「…もう決めたのね?」「決めました」すると皇后は納得できるまで調べるよう勧めた。全てが分かった時、少商がどんな選択をしても支持するという。「余とは違ってあなたの人生は順当であって欲しい、余の分までしっかり生きるの」少商は袁慎(ユエンシェン)に頼んで淳于(チュンユー)氏と会うことにした。実は淳于氏は血の海の城陽侯符を目撃し、衝撃のあまり錯乱してしまったという。人を見ても暴れるだけで会話もできず、今は廷尉獄に収監されていた。実は少商は兼ねてから城陽侯夫妻が仲睦まじく見えず、凌益(リンイー)がなぜ非難されると知りながら後添えを迎えたのか疑問だったという。「そうか、弱みを握られ、娶るしかなかったと…」少商は淳于氏に凌益が死んだと教えた。「当時、あなたが流産した理由を知ってる?家職に聞いたの 凌益はあなたの飲食に薬を盛らせた、長年、服用すれば身ごもれなくなるわ 彭坤(ポンクン)と結託した証拠を握れば城陽侯夫人になれると思ったの? 凌益のごとき奸人が脅されたままで甘んじるはずない あなたが寄る辺もなく孤独に死ぬのを望んでいたのよ、そうしてこそ脅す気力も失せる …でも錯乱しているなら真相を知っても苦痛じゃないわね」淳于氏は激しく動揺すると、ふいに凌益に叩かれた時の事を思い出した。あの時、あまりの理不尽さに憤り、いつも手を合わせていた神像を三才観の汝陽(ジョヨウ)王妃に届けるよう頼んでいる。すると淳于氏は急にその場にひざまずき、手を合わせて一心不乱に祈りを捧げ始めた。「三才観の女媧様!私にどうか子供をお授けください…」袁慎は結局、淳于氏が錯乱しているのか偽りなのか分からなかった。すると少商はどちらにせよ生き延びるには錯乱するしかないという。「因果応報よ、これから三才観へ行く」意識を取り戻した凌不疑は朝堂で15年前の孤城陥落について証言することになった。皇帝は念のため医官を待機させ、その場で薬を煎じさせている。すると廷尉(テイイ)府・紀遵(ジーズン)が口火を切った。「教えてくれないか、当時、孤城で一体、何が起きたのか…凌将軍?」「私は霍(フォ)だ、凌ではない」今も忘れられない、あれは杏の実がなる頃だった…あの日、阿猙(アージョン)は身体が弱い阿狸(アーリー)のため、木に登って好物の杏を採ってやったしかし木から降りる時、うっかり衣が引っかかって破れてしまう『阿母が用意してくれた衣なのに…見つかったら罰を与えられる』『見せて…大丈夫、僕と衣を替えよう』阿狸は衣を交換して舅父・霍翀(フォチョン)が気づくかどうか試そうと提案した衣なら自分が破ったと言えばいいという『この杏は舅父と舅母に渡して、そうすれば阿母の前で僕をかばってくれる』阿猙は阿狸の衣を着て父の部屋に入り、書卓に杏を入れた袋を置いたすると外から父たちの声が聞こえ、咄嗟に衝立ての裏に身を隠す衝立ての隙間から見えたのは父の背中の傷を手当しながら撤退するよう説得している姑父・凌益の姿だった『援軍が遅すぎる、文氏は我らを見捨てた…将軍、孤城を守ってやる必要はありません』しかし霍翀は一蹴し、妹婿という立場に免じて聞かなかったことにすると言ったその時、阿猙は凌益が背後からいきなり父を刺すところを目撃する『ぐっ…やはり敵と通じていたか…』『なぜ降伏せぬのだ?英雄になるため我らまで道連れにすると?! 援軍は来ない、いや来られぬのだ、誰も来ない…』阿猙は父の最期を目の当たりにしながら、嗚咽が漏れないよう必死に自分の口を押さえた…「凌益の結託した相手が誰なのか謎のままでした しかし寿春(ジュシュン)で突き止めたのです、凌益と共に孤城を陥れたのが彭坤だと…」…阿猙が息を潜めて隠れていると、誰かが入って来た『投降の説得では?なぜ殺した?!』『霍翀は強情だ、絶対に投降などしない…殺さねばいつか報復される だが家族は見逃せるだろう?』『誰が見逃すと?霍翀がいなくなったのなら攻める絶好の機会だ 孤城が陥落すれば文帝の敗北を決定づける、共に主公を入城させるぞ』『騙したのか?!家族は見逃すという約束だ』『お前だけだ、どちらにせよ兵が殺す』すると凌益たちは出て行った阿猙の足元まで流れて来た霍翀の鮮血、すると建物に火が放たれ、阿猙は煙を吸い込んで気を失ってしまうしかし運良く、その日は孤城に大雨が降った阿猙が目覚める頃にはすっかり日も暮れ、外は見渡す限りの骸と血の海が広がっていたすると突然、父の妹・霍君華(フォジュンホワ)が現れ、生き残った2人は身を隠すことにするその時、稲光が暗闇を照らし、城門が見えた霍君華は悲鳴を上げ、咄嗟に甥の顔を手で覆ったが、阿猙は姑母の指の隙間からその情景を見てしまう城楼には父や叔父たちの生首が並び、その中に阿狸の顔があった…「衣を替えた阿狸は私の代わりに死んだのです」2人は賊軍がいなくなるまで丸二日、飲まず食わずで死人の山に隠れ、城門を逃げ出した。我が子の無惨な姿を見た霍君華は時に錯乱し、時に呆け、ずっと息子の名を叫びながら、都へ戻ろうと言い続けたという。そして2人は何度となく死にかけること2年、やっと都へ到着し、皇帝に謁見した。実は当時、霍君華は甥が凌益に殺されないよう阿狸と呼んでいたという。『童よ、そなたは…』皇帝はあの時、不疑に名を聞いた。しかし錯乱した婦女と幼子に過ぎない自分たちに闘う術などなく、不疑は身分を偽ったという。『私の名は…凌不疑』不疑は敵を討つために阿狸の身分でいるしかなかった。賊を父と見なし、本名を隠したのも全ては仇を葬り去るためだったという。「父のため、霍一族のため、孤城の民のため、孤城陥落に関わった者には代償を払わせる! それも達成間近と思えた… 都へ戻った私は密かに探り始めるも、凌益が次々と証拠を隠滅、そして結局、私は負けた 凌益は関わった者を彭坤も含めて全て殺害、姑母も身体が持たずに無念のうちに病死した… こうして証人が全て消え、望みは潰えた 正当に凌賊を捕らえられぬなら、自ら手を下すのみ…」「これぞ同害報復…」皇帝は不疑の前まで歩いて行くと、もう一度、あの時と同じように聞いた。「童よ、自ら言ってみよ、お前の名は?」「私の名は…霍無傷(フォウーシャン)」つづく。゚(∩ω∩`)゚。 しゃんしゃ〜ん!
2023.12.03
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第28話)第55話「肩を並べる時」楼縭(ローリー)は程少商(チォンシャオシャン)に協力を頼み、産気づいた何昭君(ハージャオジュン)を連れてなぜか廟に案内した。違和感を感じて殿内を見回す少商、するとふと安置された神像に目が留まる。その時、楼縭が隠し持っていた短剣を取り出し、突然、少商に襲いかかった。「程少商!あなたが従兄を自害に追い込み楼家は没落した、命をもらう!」少商は間一髪で楼縭の腕をつかみ助かったが、そのまま揉み合いとなった。「何昭君!神像を調べて!隠し扉があるかも!」少商の予想通り何昭君が神像を動かすと後ろの壁が開いた。少商は楼縭の足を思い切り踏みつけ、楼縭が怯んだ隙に何昭君と一緒に密室へ逃げ込んだ。すると思いがけず鉄鎖で拘束された傷だらけの袁慎(ユエンシェン)を発見する。度田令の推進中だった袁慎は油の買い占めに気づき、巡察中の皇太子が通過する郭(カク)村に貯蔵されていると突き止めた。そこで急いで知らせに向かうはずが、途中で戻(レイ)帝の残党に捕まってしまったという。少商はともかく袁慎を解放するため鍵を解錠することにしたが、袁慎は無駄だと止めた。「最も難解な連環鎖(レンカンサ)だ、解けやしない、早く逃げろ、私のために命を捨てるな」「この天下に私の解けない仕掛けはない、だから黙っていて」ちょうどその頃、外套を目深にかぶった女が廟に入って来た。楼縭は復讐を果たせなかったが、女は少商を誘い込めただけで上出来だと労う。「でも全てやり遂げてくれたのならもう用なしね…」女はいきなり楼縭の腹を刺した。「霍不疑(フォブーイー)と程少商以上に楼大房が憎い…あの世で父や母と再会するが良いわ」「阿父と阿母を殺したのは…あなた…」楼縭はようやく両親の敵に気づいたが、そこで事切れた。霍不疑一行は急遽、驊(カ)県に入った。一見、穏やかに見える城内、すると民に成りすましていた残党がいきなり襲いかかり、不疑を配下から引き離して孤立させてしまう。その頃、少商は解錠に成功し、何昭君と袁慎を連れて密室から脱出しようとしていた。しかし突然、床が開いて地下室へ落下してしまう。袁慎は自分に構わず逃げろと言ったが、天井が閉まる寸前に誰かが飛び降りて来た。「少商?!無事か?!」「なぜあなたがここに?」不疑は巡察中に異常を察知、驊県に駆けつけたところ戻帝の残党に県庭へ追い込まれたという。「ここに私を誘い込んだのは私の一番、大切な者が罠にかかったからだ」「罠だと知りながら飛び込むなんて…救援を求めてから敵を討てばいいのに!」「失ってからでは敵討ちに意味はない…生きていることが重要なんだ」その時、楼縭を殺した女が現れた。「餌には釣られないと思ったのに…ふっ、情愛にどっぷり浸かると英雄も愚鈍になるのね」少商は女の声で行方知れずとなった王延姫(ワンイエンジー)だと分かった。王延姫は面紗を外して正体を明かした。「今日、お前たちには私が作った墓場で死んでもらう 川で救われたあの瞬間から敵討ちを誓った、やっと果たせる…」地下室には楼犇(ロウベン)の位牌が安置され、床には藁が敷き詰められていた。どうやら王延姫は不疑だけでなく少商たちまで道連れにして死ぬつもりらしい。「少商、楼家で良くしてあげたのに、どうして夫を追い詰めたの? 袁慎、お前は知り過ぎたわ、計画を阻止する者は殺すしかない」少商は自分たちを逆恨みする気持ちは分かったが、身重の何昭君は無関係だと憤る。しかし王延姫は楼垚(ロウヤオ)を自由にするためだと言った。「楼垚は彼女を愛していない、無理やり娶らされたの、夫は死ぬ間際まで弟を案じていたわ 義姉として助けてやらなくては…子なら別の女が産む」その頃、楼垚は楼縭に騙されたとも知らず、従者と清(セイ)県にいた。産婆は夫の実家へ戻ったと聞いて訪ねてみたが見当たらず、従者は楼縭の勘違いではないかという。仕方なく楼垚は激しい雨の中、片っ端から医師をあたり、ようやく対応してくれた医師をなかば強引に連れ出した。夫の後を追って入水した王延姫を救ったのは田朔(ティエンシュオ)だった。復讐のため賊に寝返った王延姫、すでに皇太子が訪ねる郭村の道中にも油を撒いたという。「妻より野心を選んだ男だ、そんな者のために命を懸ける価値があるのか?」「あなたこそ少商より痛快に報復することを選んだくせに」「凌益(リンイー)を殺した後、少商を一目見て後悔した、夫婦は同心で肩を並べるべきだと… この5年、後悔しない日はない、復讐が難しくとも成婚すべきだった 共に明るい道を歩むべきだった」不疑の言葉を聞いた王延姫は夫もこうして悔い改めてくれたらと思うとやるせなくなった。「あなた…どうして私だけ置いていったの?」すると少商が楼犇も後悔していたと明かした。楼犇は少商に地形図を贈る際、窮地の時は心を縛られず天地を見いだせるようにと戒めたという。「その言葉をあなたに送るわ」しかしもはや夫の言葉も心に響かず、王延姫はついに火を放ってしまう。王延姫は積み上げておいた油を次々に倒し、地下室はあっという間に激しい炎に包まれた。すると王延姫は自ら煙に巻かれて倒れてしまう。その時、黒甲衛が駆けつけ、天井をこじ開けた。「若主公!」梁邱起(リャンチゥチー)は縄梯子を下ろし、身重の何昭君と負傷した袁慎を次々と引っ張り上げる。そして2人に続いて少商も無事に脱出、登ってくる不疑に手を伸ばしたが、突然、不疑の足に王延姫がしがみついて邪魔した。「…連れて行け、彼女を連れて行くんだ!」少商を守るため苦渋の決断を下した不疑。梁邱起は涙をのんで少商を床から引き離すと、ついに黒甲衛も力尽き、床は再び固く閉ざされてしまう。「子晟!子晟nnnnnnnnnnnnnnnn!」梁邱飛は少商を密室から逃がし、仲間たちも一斉に避難した。その時、地下室が爆発、少商たちは吹き飛ばされながらも九死に一生を得る。しかし不疑は…。少商は絶望の中、頑なだった自分を責めた。「子晟、後悔しているのでしょう?私の手を離さないと言ったのに! 私を散々つらい目に遭わせたから、この先はずっと私に尽くすのでしょう? 分かった、もう許すわ、だから返事をして、お願いよ!」不疑を失った悲しみに耐えられず絶叫しながら泣き崩れる少商、しかし、うなだれていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が物音に気づいて門を見た。「若主公…」霍不疑は生きていた。不疑は王延姫が中へ入れたのなら出られると判断、激しい煙の中で抜け道を探し当て、はい出したという。「少商…私を許してくれるのか?撤回しないでくれ」少商と不疑は硬く抱き合い、5年間のわだかまりが溶けて行くのが分かった。その時、ようやく清県から戻った楼垚が飛び込んで来る。「昭君!私と連れ添うと約束しただろう?共に子を育てると…約束を破ってはダメだ?!」崩れた密室の前で呆然となる楼垚、しかし何昭君は無事だった。「…楼垚?私ならここよ」「(はっ!)良かった!」楼垚は妻の手を握りしめ涙を流し、何昭君も楼垚の心に自分がいると分かって安堵した。田朔の陰謀を阻止するため、霍不疑と少商は共に立ち上がった。しかし不疑は道中の皇太子の元へ、少商は郭村で民を守ることになる。「少商、危険な任務になるぞ?」「大勢の民や天下に比べたら私たちの愛憎なんて微々たるものよ」「少商、君は唯一、私と肩を並べる者だ」こうして2人は県庭の前で別れた。郭村を目指してた皇太子一行の前に田朔が立ちふさがった。「三皇子、息災のようだな?」皇太子は今度こそ田朔を捕えようと意気込んだが、その時、伏兵が現れ、包囲されてしまう。劣勢を強いられた皇太子は自ら剣を抜き応戦するも負傷、満身創痍で田朔と対峙した。「国の後継者として死ぬのは戦場のみ…決して退かぬ!」「では主公に代わり正義の鉄槌を下す!」しかし危機一髪のところで霍不疑が駆けつけ、皇太子を守った。「霍不疑?!生きていたのか!王延姫の役立たずめが!」田朔は計画が失敗したと気づいて悪態をついたが…。つづく( ̄▽ ̄;)ちょっと田朔の声www最終話が不安になって来たw
2024.01.03
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第27話)第54話「母娘の雪解け」宣(シュエン)皇后は程少商(チォンシャオシャン)と霍不疑(フォブーイー)の縁が再び結ばれることを祈って旅立った。主を失った長秋(チョウシュウ)宮の夜。不疑は少商の飴糖(トウイ)作りを手伝いながら、彼女の言葉を待っていた。やがて少商は静かに自分の胸の内を明かす。「捨てられて恨んだわ、独断専行で死を選んでも共に歩もうとしなかった 私は本音で接したのにあなたは嘘ばかり…でも5年が経ち、苦労の末に吹っ切れた 今はどうしても心を預けられない、信頼できないの」「少商…すまない、君がどう決めようと尊重するよ 君が捨てられることを何より恐れていると知りながら、私は最も傷つける方法を選んでしまった これまでの20年間は恨みの中で生きて来たが、この先の余生は悔恨の中で生きる できることなら心を取り出し、君にあげたい…でも私にはその資格がない…」すると少商は居たたまれなくなり、黙って部屋を出て行った。少商は回廊から満天の星空を見上げた。すると霍不疑が現れ、隣に並ぶ。「以前、皇后に言ったの、郎君が陽光で万里を照らすなら、私たち女は明るい星、星河に輝く 日月と星河に高低は関係なく、互いが欠かせない、共存することでこの天地を成すと… 私もしっかり生きるわ、皇后の髪を埋めたら遊歴に出る、私も天地の広さを見たいから」「私も度田令の任務が終わったら北西に戻って国境を守る、世の星河を守るために… これからは自分を大切にする、お互いにしっかり生きよう」少商と不疑は笑顔で別れた。しかし互いに相手の姿が見えなくなると立ち止まり、こらえ切れず涙してしまう。。゚(∩ω∩`)゚。少商は曲陵(キョクリョウ)侯府に戻った。すると母が初めて少商の好物を手作りしたという。5年の月日が流れ、ようやく親子3人で過ごす穏やかな時間、しかし蕭元漪(シャオユエンイー)は急に点心を食べている娘の手を止めてしまう。「もういいわ、どうせ上手じゃないから」「嫋嫋(ニャオニャオ)は何も言っていないだろう?」程始(チォンシー)は相変わらず自分に厳しい妻に失笑した。「嫋嫋、阿母が悪かった…初めての女の子だったから… 兵の指導とどう違うかも分からなかった、息子を育てるのとはもっと違うし… 娘の成長はあまりに早過ぎた、どう改めていいのかも分からなかったの 私が間違っていた、もう一度やり直せるなら決してあなたを置き去りにしない 自分のそばに置くわ、家族で生死を共にするのよ」少商は母の涙にほだされ、長年のわだかまりがゆっくり解けて行くのを感じた。少商は母の手作りの点心を甘い物に目がない祖母に届けることにした。すると偶然にも過去を悔やむ祖母の話が聞こえてくる。当時は二房の葛(ゴー)氏にそそのかされ、老夫人は父と母を支配しようと躍起になっていた。その結果、幼い嫋嫋が最も被害を被ることになったという。「やり直せるなら嫋嫋によくしてあげたい、だって私の孫だもの… 私が死んだら蓄えた金銀財宝は全てあの子に残すわ もし一生、嫁がなくても暮らしていけるようにね、本当にあの子に申し訳ない…」少商は複雑な心境になり、結局、引き返した。少商は蓮房(リエンファン)と東屋に腰掛けた。思えば田舎の別宅に送られた時、蓮房の献身的な世話がなければ今頃、自分の墓が建っていたはずだ。「あなたは私が唯一、信頼できる人だった」「もう昔のことです」少商は祖母とも仲良くなりたかったが、どうにも近寄りがたかった。程家の危機では祖母も身を投げ打ち、徐々に家族になれたと思ったが、やはりまだどう向き合えば良いのか分からない。しかしこれからは誰が自分を憎み、嫌うのかではなく、自分を大切にしてくれる人のことを考えようと決めた。「それが生きる活力になる…人は良い事を考えないと… そうしないと余生をしかと生きられなくなってしまう」蓮房はすっかり大人になった女公子の言葉に大粒の涙をこぼした。。゚(∩ω∩`)゚。 少商は宣皇后の故郷に向かう前に参内、袁慎(ユエンシェン)に別れを告げた。実は善見(シャンジエン)も外地に赴任することになり、皇帝に挨拶したところだという。「2年前、父が義兄を救出するため部隊を離れ、味方が不利な状況に陥ってな 霍不疑は父を助けるため駆けつけ、死にかけたんだ しかし陛下の恩情で父は降格の上、膠東(コウトウ)に戻るだけで済んだよ」父は祖先に面目ないと身体を壊したが、これを機に母も夫を気遣うようになってすっかり夫婦仲が改善されたという。「2人は出発前、我らの縁談を案じていた」「…ごめんなさい、望みには応えられない」「残念だな~将来、私は三公に並び称される、三公夫人になり損ねたな?」袁慎はかつてのように茶化して笑ったが、初めから不疑に勝つ見込みがないと分かっていた。この5年、少商を見守り続けた袁慎、最後は少商の立ち去る姿を見送りながら未練を断ち切った。袁慎が城楼から都を眺めていると霍不疑がやって来た。「決めたのか?」「そうだ、父のためお前は死にかけた、これ以上、競っては恩知らずになる」実は不疑も度田令の推進のため、各地を巡察し、監督すると申し出たという。袁慎は不疑が程将軍の代わりに戾(レイ)帝の残党を掃討するつもりだと気づいた。しかし少商の父や兄を助けるのはまだ分かるが、なぜ恋敵の自分の父を命懸けで救ってくれたのだろうか。すると不疑は少商が袁慎を案じているからだと明かした。「お前が達者でなければ少商は安心できない、楼垚(ロウヤオ)を推挙したのも同じ 彼女は口とは裏腹に情に篤いからな…関心を持つ者が達者なら彼女は安心できる 私がお前たちを守れば、彼女はようやく自分の道を模索できる」「お前は私より情が深く、愚かだ…彼女の愛に値する」袁慎は最後まで少商に寄り添える者がいるとしたら、不疑であって欲しいと願った。。゚(∩ω∩`)゚。不疑…サイコーか宣皇后の四十九日が過ぎ、少商は双子の兄・程少宮(チォンシャオゴン)と一緒に宣皇后の故郷へ向かった。やがて驊(カ)県から十数里の山道を進んでいたが、その時、待ち伏せしていた馬車が一行を足止めする。馬車に乗っていたのは都を追われた楼太傅の娘・楼縭(ロウリー)だった。楼縭は楼垚が少商に今の驊県を見てもらいたいと願い、招待したいという。「ありがとう、でも宣皇后の郷里に向かっているのでごめんなさい」しかし少宮はここで待っているので行ってこいと背中を押した。楼垚と何昭君(ハージャオジュン)は少商の来訪に驚いていた。どうやら自分は招待されたわけではなく、楼縭が勝手に連れて来たらしい。しかし夫婦は両親を相次いで亡くした楼縭を気遣っていた。すると空席がひとつある。何かおかしいと警戒する少商、その時、身重の何昭君が急に苦しみ出した。「お腹が痛い…産まれそう」予定日はまだ先のはずだったが、楼垚はともかく産婆に連絡するため慌てて出ていってしまう。一方、巡察に出発した霍不疑一行は道中の山林で襲撃に遭った。黒甲衛(コクコウエイ)は賊を一掃、すると付近の溝で数十人の死体が見つかる。「驊県の侍衛の鎧を着ていました、他には…袁家の部曲の身なりに酷似を…」驚いた不疑は行き先を驊県に変更した。楼縭は少商に手伝いを頼み、何昭君を連れてなぜか廟に入った。「県衙(ケンガ)に廟を立てるなんて、誰かが修行でもしているの?」少商は困惑したが、その時、突然、楼縭が隠し持っていた短剣を抜き、襲いかかって来る。「少商!」つづく( ;∀;)イイハナシダ〜って、え?これが最終回かってくらい良かったのに今さらローリーって…ないわ___w
2023.12.23
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第26話)第53話「長秋からの旅立ち」霍不疑(フォブーイー)に嫁ぎたいと願うも手酷く追い返された駱済通(ルオジートン)。これも全て程少商(チォンシャオシャン)のせいだと逆恨みし、長秋(チョウシュウ)宮に少商を訪ねた。少商は殊勝にも先のぶしつけな態度を謝罪する駱済通を追い返せなかったが、どちらにしても助けることはできない。「彼とはもう関わりたくないし、とりなす気もない、成婚を勧めることもね…あなたの問題よ」「今日はあなたに伝えに来ただけ、北西に戻って余生を過ごすわ、これで永遠にお別れよ 明日にも出発する、ただやり残したことがあるの…」宣神諳(シュエンシェンアン)の心疾(シンツウ)は悪化の一途をたどり、今朝は身体を起こすこともできなくなった。そんな宣神諳の元に帰京した霍不疑が見舞いにやって来る。「子晟(ズーション)なの?」「私です」不疑は宣皇后が力無く伸ばした手を取り、頬に当てた。「少商ならまだ婚約していない…少商の心の中にはまだあなたがいるわ」「知っています、私の過ちです、一生かけて贖罪すると決めました」その時、宣皇后が重い身体をどうにか起こした。「少商は幼き頃、最も愛が必要な時に家族がそばにいなかった 愛しているなら少商の心に欠けたものを補ってあげて… あなたの決断を理解させるのではなく、相談し合って初めて肩を並べて進めるのよ?」「はい、今後、少商には全てを明かし、語り尽くします、隠し事はしません」「だけどもう私には時間がない、2人の成婚を見届けられないわ」「私は不肖者です…ご心配をかけて…」不疑は育ての親でもある宣皇后への不孝を思うと涙があふれ出した。すると宣神諳は子晟の涙を拭い、来世では子晟と少商を息子と娘にしたいという。「そして長生きして2人に養ってもらいながら笑顔で晩年を送るの これこそ満ち足りた人生というものよ」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)が現れた。「霍将軍に急務だと…」宣神諳は最後に少商としっかり話すよう念を押し、必ず許してくれると励ました。不疑が寝殿を出ると翟媪が待っていた。梁邱起(リャンチゥチー)から知らせがあり、少商が都を離れる駱済通の馬車に同乗して郊外に向かったという。実は駱済通は宣皇后の心疾を治せる神医に心当たりがあると嘘をつき、少商を連れ出していた。少商はなかなか到着しないことを訝しんでいたが、やがて駱済通が本性を現す。「…幼き頃より彼を慕うも身分の差で明かす勇気はなかった その後、互いに婚約して望みは絶えた、でも天は私を哀れみ北西で再会させてくれたの あなたに分かる?愛する人がいながら別の人を世話する気持ちが…」駱済通は不疑への思いの丈をぶちまけると、少商に隠し持っていた短剣を突きつけた。「彼は女に目もくれないのにあなただけは別、なぜ霍不疑の目にはあなたしか映らないの?! 彼のためなら何だってやる、夫だって殺したのよ?でも彼は私を愛してくれない でもあなたを殺せば彼は私を忘れられなくなる、恨まれても本望よ」御者は崖に向かって馬を走らせた。しかし背後から凌不疑の馬が追いつき、驚いた御者は飛び降りてしまう。その時、短剣を振り上げる駱済通の姿が窓から見えた。不疑は無我夢中で手を伸ばし、素手で短剣をつかんで取り上げる。その間も馬の暴走は止まらなかった。不疑は何とか馬車に飛び移ったものの間に合わず、咄嗟に車から少商を抱きかかえ脱出、駱済通は馬車と共に谷底へ転落してしまう。( ;∀;)ァァァ~ウマーの扱いィィィィィ~不疑は少商の手をつかみ、かろうじて岩肌にしがみついた。しかし少商は不疑の手から流れる鮮血で真っ赤になった自分の手に気づき、覚悟を決める。「手を放して、あなた独りなら登ることができる」少商は自ら手を放したが、不疑は少商の手を握りしめて決して放さなかった。「独りで生きるつもりはない、君に許してもらえるとも思っていない だが歯形の誓いから君は私の妻になった、君が生きれば私も生きる、君が死ぬなら私も死ぬ!」その時、2人を探していた黒甲衛(コクコウエイ)が到着、不疑と少商は無事に引き上げられた。少商は不疑の手の傷を心配してくれた。不疑は包帯を巻けば支障はないと安心させ、皇宮まで送りたいと申し出る。しかし少商は必要ないと断った。落胆しながら馬の元へ歩き出した不疑、その時、宮中から早馬が駆けつける。「霍将軍!程娘子!すぐ皇宮へ!宣皇后が危篤です!」少商と不疑が長秋宮に戻る頃には激しい雨となった。2人はびしょ濡れのまま寝殿に駆けつけ、一番後ろで静かにひざまずく。文(ウェン)帝は枕元で付き添いながら、自分が宣神諳の一生を台無しにしたと涙した。しかし宣神諳は皇帝と出会えて幸せだったという。「分かっています…阿姮(ホン)妹妹が流した涙が私より多いことを… これからは彼女と手を取り合い暮らして欲しい…私という存在がなかった頃のように… 陛下、阿姮と話をさせてください」越姮(ユエホン)は宣氏一族のことなら心配ないと安心させた。しかし宣神諳が話したいのは自分たちのことだという。「我が子は19歳の時に襲われたけれど、あなたを疑ったことはないわ」「分かっています…あの年、私の息子も4ヶ月で夭折しました でも疑ったことはありませんでした」「分かってる、決して私を疑わないから外の流言も恐れることなく子供たちを受け入れてくれた」「…私たちは姉妹同然でした」「普通の家の姉妹だったらどれだけ良かったか…」すると宣神諳は子供たちを呼ぶよう頼んだ。皇帝は宣神諳を抱き起こして子供たちの顔を見せた。すると宣神諳は最後の望みとして父が隠居した山で眠りたいという。「この身体は皇陵に葬るしかない…だからお願いです 私の髪を一束ほど切って少商に燃やさせてください、その灰を埋めて欲しい」「分かった、全て望みのままにしよう」そして東海(トウカイ)王には闊達に生きるよう諭し、翟媪の面倒を頼んだ。嫁いだ五公主にはしっかり生きて欲しいと願い、美しい歳月を大切にして欲しいという。「子晟…」不疑は宣皇后に負い目があった。しかし宣神諳は子晟も苦汁をなめて生きて来たと理解を示す。「私が逝った後は過去のことは水に流すといいわ…あなたも自分を許してあげて… 少商、ここへ…」少商は寝台へ近づくと、宣皇后の手を握りしめた。「少商、あなたを巻き添えにし、5年も無駄にさせたわ…」「巻き添えなんて…少商が望んだのです、5年でも10年でも…」「バカな子ね…私のために多くを犠牲にしてしまった だから将来の日々は自分のために生きなさい…私のように無意味な余生を送らないで欲しい 母としてはあなたたち2人の縁がそのまま続いて欲しい… ただ情理を知る目上の者としては婚姻が強引に求められないことも分かる だから万事、心に従えとしか忠告はできない…今を大切にして悔いなきように…」すると宣神諳は苦しくなったのか大きく息を吸い込んだ。「陛下…来世では太平な盛世に生まれ、放浪の苦を免れますように… 来世では両親が健康で長生きして憂患の苦を免れますように…ハァ… あなた…あなたに嫁げて幸せでした… でもどうか来世では…あなたと会うこともないように…」宣神諳は夫婦の情を得られぬまま不遇の人生を終えた。悲しみに包まれる長秋宮、その頃、心の支えを失った少商は呆然と宮中を歩いていた。やがて憔悴した少商は激しい雨の中で倒れてしまう。不疑は意識を失った少商を曲陵(キョクリョウ)侯府へ送り届けた。突然のことに困惑する程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)、聞けば宣皇后が逝去したという。「…私は送って来ただけ、すぐ失礼します」「霍不疑、待たんか!」程始は娘を簡単に捨てた霍将軍への怒りが爆発、5年前に娘は死にかけたと明かした。今でも裏庭の離れには作りかけの棺が残っているという。不疑は思わずその場にひざまずき、少商を傷つけたことを謝罪した。「ゆえに2度と邪魔はしません…」しかしどんなに謝られても失った5年間は戻ってこない。蕭元漪は長秋宮にこもっていた嫋嫋を思うと胸が痛んだ。「私が重病を患った時も、阿兄が妻を娶る時も、堂姉が嫁ぐ時にさえあの子は帰らなかった 嫋嫋の選択はあなたのためよ、霍不疑!」不疑は床に頭を打ちつけるように叩頭した。「私の過ちです、少商の一途な情を裏切り、程家の信頼を裏切った 少商と程家には負い目があります、その償いは一生かけても終わらない 北西で戦死できればと思っていたが死ぬ勇気もなく、彼女の恨みも消せず… 私には死ぬ資格さえない」しかし蕭元漪も決して霍将軍に自責の念を植え付けたいわけではないという。そもそも自分たちにも娘が幼い頃に構ってやれなかった苦い経験があった。「今後は嫋嫋の望み通りにさせるわ あなたと娘は互いに情があっても天に翻弄されてしまった 今後も縁が続くかどうかはいずれ答えが出る」つづく( ;∀;)宣皇后…泣けたわ〜
2023.12.22
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第12話)第39話「積もる痴情のもつれ」皇帝に呼ばれて参内した小越(ユエ)侯。すると崇徳(スウトク)宮には杖刑で負傷した凌不疑(リンブーイー)の姿もあった。「越卿、実はそちに相談があってな…五公主とそちの末息子を早く成婚させたい」小越侯は困惑した。今や都中が五公主の噂でもちきり、そんな中で成婚すれば越氏まで影響を受け兼ねない。しかし皇帝は越氏があえて今、五公主を嫁に迎えることで噂が嘘だと示し、五公主の名誉を守りたいという。小越侯は皇帝の命に背くこともできず拝命するしかなかったが、これが凌不疑の差し金だと分かった。一方、皇太子の想い人だった曲泠君(チューリンジュン)は旧友と積もる話もできないまま慌ただしく宮中を出た。夫・梁尚(リャンシャン)が曲泠君をぞんざいに扱う様子を目の当たりにした五皇子妃は、かつて仲良く遊んでいた友の境遇が気がかりでならない。しかし程少商(チォンシャオシャン)は常識的で誠実だと評判の梁(リャン)州牧(シュウボク)が義兄なら夫人も大丈夫だと安心させた。その頃、梁尚は苛立ちながら曲泠君を連れて城門を出ようとしていた。すると東宮の使いが現れ、辞別の品を届ける。曲泠君は夫の手前、辞退したが、使いは皇太子が別れを惜しんで自ら授けた品だと釘を刺した。そこで代わりに梁尚が化粧箱を受け取ったが、中身が皇太子の手巾だと知るや馬車に乗り込むなり曲泠君に暴行してしまう。走り去る馬車から漏れ聞こえる曲泠君の悲鳴、皇太子妃はその声を城楼で耳にしながらほくそ笑んでいた。そんなある日、凌不疑が長秋宮にやって来た。少商はちょうど皇后や皇太子夫妻と談笑していたが、驚いたことに曲泠君が夫を殺したという一報が入ったという。「廷尉府が捕らえに向かいました、殺めたのは昨日の午の時の頃だとか 曲泠君が食事を届け、その後、刺された梁尚を下僕が発見しました」しかし皇太子が殺したのは曲泠君ではないと断言した。実はその時間、皇太子と曲泠君は紫桂(シケイ)別院で会っていたという。一方、梁府では廷尉府侍郎である袁慎(ユエンシェン)が舅父・梁無忌(リャンウージー)と対峙していた。袁慎は不明な点が多いため廷尉府が遺体と容疑者を預かると決めたが、公にしたくない舅父に邪魔されてしまう。「お前の母も梁家の嫡女だ、母方の名声にも関わる、連行はさせられん」結局、袁慎は伯父に阻まれ断念、改めて人を遣わすことにした。皇太子妃は皇太子と曲泠君が密会していたと知り深く傷ついた。「それほど彼女は魅力的ですか?再会しただけで理性を失わせ、醜聞を引き起こすとは… しかも死人まで出して、とても取り繕えない」皇太子妃は曲泠君が皇太子と復縁するため夫を殺したと決めつけると、ついに皇太子は堪忍袋の尾が切れた。「彼女と会ったのは梁尚から十余年も乱暴されていたからだ 曲泠君の悲惨な境遇もそなたのせいだ!答えよ、余の手巾がなぜ曲泠君の手に?」実は皇太子妃の嫌がらせは今日に限ったことではなかった。皇太子は皇太子妃がこの十余年、自分の名義で梁家に事ありげな品を贈り続けていたことを把握していたという。これでは梁尚が自分たちの関係を疑い、乱暴するのも当然だった。少商は衝撃の事実に驚愕、その時、初めて東宮を訪れた時のことを思い出し、はっとする。あの時、確かに皇太子妃は自分のかんざしを外し、梁夫人に渡すよう指示していた。しかし皇太子妃は原因なら皇太子にあると反発する。「曲泠君にとってこの十余年は生き地獄だったしょう、では私はどうだったと? 枕を同じくしても殿下の心は遠く離れていた…私の心が痛まないとでも思いますか?」「縁は切れたと言ったであろう?!成婚した時に誓った、そなたと余生を歩むと… だかそなたは改めもせず、結果、今に至り、余が好まぬばかりか、宮中の誰にも尊敬されぬ」すると皇太子は皇太子妃に最後の機会を与えた。「望むなら曲泠君のために陛下の前で余と一緒に嘆願するのだ 望まぬのならすぐに消えうせろ!」「…曲泠君はまるで私と殿下の心に刺さる棘のよう あんな女、今すぐ廷尉府の牢に入れられ死ねばいいのよ!絶対に嘆願などしない」皇太子妃は積年の恨みをぶちまけ、皇后に拝礼して長秋宮を出た。その夜、皇太子は父皇に事情を説明し、廷尉府に曲泠君の潔白を証明してほしいと嘆願した。皇帝は臣下の妻と密会していた皇太子に激怒、すぐ廃することもできると怒号を響かせる。「男女が別院で密かに会いながら潔白だと主張して誰が信じるというのだ?! 天下の見本になるべき太子が男女の情などで己の名声を壊すとは!」すると皇后が矢も盾もたまらず、涙ながらに母として子を信じると訴えた。「陛下は父として息子を信じてくださいますか?」結局、皇帝は東宮と天下のために示しをつけるとし、子晟(ズーション)に真相解明を命じた。凌不疑は拝命して寝殿を出た。すると物陰で聞き耳を立てている少商を見つける。ばつが悪い少商だったが、調査に行くなら一緒に行きたいと頼んだ。本当のところ不疑は嫁選びを誤り、自分の首を絞める結果になった皇太子に呆れているという。しかし少商は皇太子の果敢な決断に敬服すると言った。「太子が自分の名誉のために曲泠君の苦難を見過ごせば、それこそ失望するわ …ねえ、行ってもいいでしょう?」「分かった、だがかき乱さないと約束してくれ」「いつ私がかき乱したの?」「いつもだろう?」凌不疑は黒甲衛(コクコウエイ)を引き連れ、梁家の捜査にやって来た。梁州牧と梁尚の同腹の弟・梁遐(リャンシア)が現場となる部屋に案内したが、まだ生々しい血の痕が残っている。不疑は同行した少商を気遣い、曲泠君の様子を見て来るよう頼んで外へ出した。「私は梁州牧に話がある、事は梁府の男全員に関わる…全員に同席してもらおう」その頃、曲泠君は子供たちと引き離され、君姑から容赦ない制裁を受けていた。「お前を打ち殺してくれる!息子の敵討ちだ!」驚いた侍女・幼桐(ヨウトン)は咄嗟に主に覆い被さってかばったが、そこへ少商が駆けつけ止めた。「老夫人、調査中なのに私刑に処すとは…」しかし老夫人は少商が皇后付きだと知り、皇后が息子を助けるため送り込んだと誤解してしまう。「自分の息子は大事で、私の息子は死ねばいいというの?そんな理不尽なことがあると?」老夫人は興奮して再び曲泠君を打ち据えろと叫んだが、その時、袁慎が母を連れてやって来た。袁夫人は早速、長老を呼び集め、嫡女として一族の掟に従い審理を始めた。当時はまだ父の側女だった庶母、寒門の出なのはともかく、狭量で私心しかなく、到底、父の妻とは認められないという。すると老夫人は正妻となっても一族に見下されていたと不満を漏らした。溺愛する梁遐を仕官させたくても一族が推挙してくれず、家主にしようとしても年功序列だと言って機会を与えてくれなかったという。しかし袁夫人はそもそもこんな騒動となった発端は老夫人にあると指摘した。実は老夫人が正妻になったのは梁尚を産んだ時ではなく、梁遐を産んだ時だったという。そのため老夫人は梁尚が庶出だと知られるを嫌って梁遐にばかり目をかけ、そのせいで梁尚は神経質で疑り深い性格に育っていた。「末子に家主を継がせたいから曲泠君の断罪を急いだのね 梁家がなければ甲斐性なしの2人の息子の命など何の価値もないけれど…」袁夫人は聡明な曲泠君がなぜ虐げられても訴え出なかったのか訝しんだ。実は曲泠君は何度か離縁を申し出たが、梁尚から皇太子との醜聞を言いふらすと脅され断念したという。子ができてからも離縁を考えたが、出て行くなら子を置いて行けと迫られ諦めていた。すると袁夫人は事件当日、梁尚に食事を届けたのは誰なのか確認する。「侍女の幼桐です」その頃、凌不疑は梁家の男たちを集め、この中に犯人がいると踏んでいた。女が背後から一太刀(ヒトタチ)で胸を刺し、命を取るのは難しい。しかも梁尚は交友がなく、終日、部屋に閉じこもって金石の彫刻に没頭していた。「彼に恨みがあり、利害を争うのは外部の人間ではない、梁家の者だけだ 本件は太子に関わり、たった1日で都中に広まった 犯人の手際がいいのも呼応する者がいたからだ それに梁尚は梁家家主、家主が死んで夫人が犯人となれば梁尚の子は家主の座を継げない つまり取って代われる者こそ、犯人の可能性がある…梁州牧、あなたが真犯人では?」つづく( ゚ェ゚)… ←皇后も所在なさげw
2023.10.28
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第25話)第52話「歳月を経て」15年前の孤城陥落の真実と凌不疑(リンブーイー)の出自が明らかとなり、大きな節目を迎えた宮中。文(ウェン)帝は宣神諳(シュエンシェンアン)の希望を叶え廃后とし、皇太子も降格となった。これで越姮(ユエホン)が皇后に冊封されれば、三皇子は滞りなく東宮へ入れるだろう。一方、程少商(チォンシャオシャン)は恩人である宣皇后に終生、付き添うと決めて長秋宮へ戻った。淡々と流れていく歳月、その頃、北西に駐留する霍不疑(フォブーイー)は再び殺戮に明け暮れていた。しかし今でもその右腕には少商の弦がある…。そんなある日、少商は父からの書簡を受け取った。程家で慶事があり、二兄・程頌児(チォンソンアル)と万萋萋(ワンチーチー)、堂姉・程姎(チォンヤン)と班嘉(バンジア)、そして使用人の蓮房(リエンファン)と符登(フードン)、さらに姎姎の父で二叔父・程承(チォンチョン)と青蓯(チンツォン)が成婚したという。やがて二兄夫妻は双子に恵まれた。長秋宮でも嫁ぐ五公主を送り出し、穏やかな日々が続く。こうして5年が経った。正月の夜は雪となった。宣皇后は今年も家に帰らない少商を心配したが、少商の話では程家でそれぞれの夫婦に子が生まれ、自分が戻っても座る場所さえないという。すると宣皇后は新年の願い事で少商が良人と出会い、嫁いで子を産む姿が見たいと言った。しかし少商は一生、嫁ぐつもりはないという。「まだ吹っ切れないの?」「いいえ、ただ許せないだけ…縁が切れて別れたのです、もう有り得ません」宣皇后は少商と子晟(ズーション)の復縁を願っていたが、やはり少商は簡単に自分を曲げることはない。「ではこう願うわ、私の死後、あなたの余生に同伴がいるようにと…」「縁起でもない…」「少五が嫁いで行った今、1番の心残りがあなたなの…あ、見て、こんなに雪が降って来たわ」宣皇后は寝殿に入ることにしたが、その時、ついに倒れてしまう。孫(スン)医官は宣皇后の余命を早くて1ヶ月、長くても春までと診断した。しかし頑なに皇帝と越皇后の見舞いを拒み、長秋宮を明け渡したいと申し出る。「本来なら東海(トウカイ)王と属地に移り、東海太后と名乗るべきだと…」少商は越皇后に長秋宮を返したい旨を伝えたが、越皇后は住み慣れた永楽(エイラク)宮を移動したくないと断った。「呼び名も変えなくていい、これ以上、蒸し返すことがあれば私を不快にさせるだけよ」「越皇后に感謝します」 袁慎(ユエンシェン)が回廊で待っていると少商がやって来た。この5年、袁慎は宮中に留まる少商に付き添って縁談を全て断って来たが、待っていた甲斐はあったのだろうか。「少商、宣皇后も望んでいる、伴侶を持つ気はないか?ならば私を選べ 家柄も合うし、互いに伴侶が必要だ、いっそ宣皇后を安心させるため一芝居、打つのはどうだ」「袁善見(シャンジエン)、あなたの想いには応えられない」「少商、そなたの縁談が潰れてばかりなのは目先が利かぬからだ 私は両親からも放任されて育った、自由を望むなら都で私ほど自由な者がいるか? 我らこそ最適なのに私の望みに応えられぬと?」袁慎は互いに生まれながら誰にも関心を持たれず、病友であり盟友でもあると訴えた。利が一致すれば互いに信頼し合い、裏切ることはないという。「私は某人より自分を大切にするし、危険にも近寄らぬ、ゆえに私の方が最適だ」病床の宣皇后が薬を飲んでいると、少商が戻って来た。何やら考え事をしているのか、衝立て越しでも上の空だと分かる。実は皇帝は余命わずかとなった宣皇后のため、北西にいる霍不疑を呼び戻していた。…近いうちに到着する…複雑な面持ちで寝殿に入った少商、確かに宣皇后の言う通り、わだかまりに捉われていては更なる苦しみに陥ってしまうだろう。…過去は過ぎ去るもの、今と将来を大切にして、そのためにはわだかまりを突き破る必要がある…少商は袁慎に自分の心に″彼″がいても娶るのか聞いていた。…待つよ、そなたが奴を忘れるまで待ち続ける、いつか振り向いてくれるまで…「皇后、皇宮を出る許可をください、袁善見と婚約しようと思います」霍不疑が5年ぶりに宮中へ戻った。ますます義兄に似て来た子晟の姿に思わず目が潤む皇帝、しかし軍装でも生傷が絶えない身体だと察しがつく。「なぜ1番の精鋭を都に残したのだ?皇宮を出られない少商には必要ないであろう?」不疑は梁邱起(リャンチゥチー)を少商の護衛のために残し、梁邱飛(リャンチゥフェイ)だけをそばに置いていた。邱飛の報告では5年前、王(ワン)将軍が戾(レイ)帝の残党に襲われ、若主公が救出に向かうも敵は死士、多勢に無勢で負傷したという。「袁善見の父親が兵を率いたはずだが?」「分かりません、そして2年も経たぬうちに若主公は蜀へ討伐に行きました その時、襲撃に遭った程頌(チョンソン)将軍を…」「もういい」不疑は邱飛の話を遮ったが、皇帝は凱旋した程頌が褒美をもらいに来ない理由が分かった。「少商は知っているのか?…もしや兄を助ければ復縁できると期待したのか?」「…私は過ちを犯しました、少商の許しなど求めるはずがありません 少商に知られたら、かえってもっと疎まれてしまうでしょう」皇帝は子晟に下心がないと知って安堵し、今後は度田令を監督している皇太子を補佐して欲しいという。実は少商は5年ぶりに皇宮を出ていた。袁善見との縁談を進めるためで、近々、成婚するという。「お前はどうする?崔祐(ツイヨウ)さえ正室の座は空けて妾を取ると決めたぞ?」「皇父、ご心配には及ばぬかと…」皇太子は北西の軍営で駱済通(ルオジートン)が献身的に子晟の面倒を見ていたらしいと伝えた。噂では駱済通が都へ戻って子晟と成婚すると宣言しているという。しかし不疑は憤慨、成婚などあり得ないと否定した。霍不疑は阿飛と宮中を後にした。これから直ちに霍氏の墓と祠堂を修繕し、妻は娶らず子もなさぬと祖先に報告するという。(´ ・ω・)<若主公~それってどうみても吹っ切れてないっていうか~するとちょうど外出していた袁慎たちが城門に入って来た。袁慎は馬を降りて少商を馬車から降ろしたが、その時、2人は子晟の姿に気づいて呆然となる。しばし見つめ合ったまま立ちすくむ少商と不疑、袁慎はただ黙って待つほかなかった。霍不疑は意を決して少商に向かって歩き始めた。すると少商はどう接したら良いのか分からず、咄嗟に袁慎の馬に飛び乗ってしまう。その時、不疑がまたがった少商の足を支え、大事そうにあぶみに乗せた。まるで第9話で初めて馬にまたがった少商の足をあぶみの中に通してくれた時のように…。「感謝します、霍将軍…でももう昔の程少商ではない、あぶみがなくても乗れる」少商は馬を駆けて去って行った。安堵した袁慎だったが、霍将軍が戻ったからには少商を諦めないつもりだと疑う。「少商の中で私はお前に及ばぬ、しかし少商の性分ならお前を選ぶとは限らない」しかし不疑は黙ったまま拝礼して帰って行った。北西の賈(ジア)家に嫁いだ駱済通が長秋宮に挨拶にやって来た。宣皇后と少商は都に戻った駱済通を歓迎したが、どこか言葉の端々に棘がある。「あなたは幸運ね、私なんて不遇の身… 夫が重病で四六時中、世話ばかり、再嫁を狙っていると陰口まで叩かれたわ だから私も意地になって夫の死後も賈家の君舅君姑に奉仕した でも子晟にも前を向けと言われたの 厳しい人だけれど私には寛容で、私だけ天幕に入らせ、酒や食事を届けさせた その後、天幕に入れなくなったけれど、私に苦労させないためね」駱済通は恐らく子晟が都で求婚してくれると自慢したが、宣皇后も少商も当てつけだと分かった。「…皇后が病となり吉事に水を差しましたね?」「いいえ、そういう意味では…」「分かっています、皇后が在位中は駱家を何度も庇護してきました 恩人の前で恨み言など言えるはずない、もし本音なら畜生も同然です」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)がやって来た。「駱娘子、早く実家へ戻らないと…先ほど実家から連絡がありました 霍将軍が2台分の嫁荷に加え、巨大な銅鏡を届けて長老に命じたそうです ″駱娘子の嫁ぎ先をすぐ探すように″と…」「銅鏡?鏡とはね…」少商は思わず失笑した。翌日、霍不疑が屋敷へ戻ると駱済通が待っていた。駱済通は北西で連れ合った自分への仕打ちに憤ったが、不疑は確かにかつて連れ合いがいたことはあったという。あの時、駱済通は負傷した子晟の意識がないのを良い事に勝手に介抱していた。結局、すぐ軍営から追い出されたが、駱済通は外に住み着き、再び忍び込んで洗濯をしたという。「私は顔も見ていない 都へ戻る時も軍の後ろを追って来たそなたとは話もしていないぞ? それのどこが連れ合いだ?」「でも3年前、天幕にも入れてもらえなかった私が今はこうして顔を見てもらえます」駱済通は妾でも構わないと食い下がった。すると不疑が馬から降りて来る。実は不疑はとうに気づいていた。駱済通の亡夫・賈七郎(ジアチーラン)は病弱だったが、20歳の若さで死ぬほどの病ではない。「お前が謀って殺したな?その方法は言うまでもない」子晟が北西に駐留すると知った駱済通は夫の薬湯に毒を盛っていた。「…程少商のため?だから私を拒むの?」「程少商がいなくてもお前に情はなかった」つづく(ˇ꒳ˇ *)今回もいい話だったわ〜でもここにきてラクダさんが闇堕ち?せっかくしみじみしてたのにな〜
2023.12.09
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第9話)第36話「負けず嫌いの涙」凌不疑(リンブーイー)は宮中に留まる程少商(チォンシャオシャン)を気遣い、曲陵(キョクリョウ)侯府から少商の荷物を運び込んだ。少商は届いた荷物を見ると家が恋しくなる一方だとぼやいたが、皇后は単に宮中での暮らしが窮屈なだけだと見抜く。思わず顔を見合わせて失笑する皇后と少商、しかしそこへ五公主が現れ、寝殿のなごやかな空気は一変した。五公主は珍しく殊勝な様子だった。「どんな貴重な礼品も父皇と母后の権勢を借りて得たもの そこで自ら舞人を招いて演舞を編成し、長く練習しました」「母后はあなたの孝心を知っているわ」少商の前で褒められ得意げな五公主、しかし喜んだのも束の間、母后から弘農(コウノウ)郡で広大な田畑を荘園にしたことを咎められてしまう。「でも放置されている荒れ地です 荘園にして水路を開き流民に開墾させれば、食糧も増え、民も安心かと…」「天下は王の領地ゆえおのずと開墾する民もいる、心配には及ばない」しかし五公主は少商のすることには援助しても自分は叱責されると恨み言を漏らした。皇后は少商なら自腹であり私欲でもないと呆れ果て、話をそこで終わらせてしまう。病み上がりの皇后は五公主が宴に招いた世家の息女たちが煩わしく、越(ユエ)妃の永楽宮へ預けることにした。少商は駱済通(ルオジートン)と一緒に五公主たちを瓏園(ロウエン)まで案内することになったが、庭園の橋を渡っている時、五公主の取り巻きに突き飛ばされて池に落ちてしまう。すると五公主は少商を怖がらせようと池に蛇を投げ込ませた。驚いた少商は必死に逃げ惑いながら岸に上がったものの、足首をかまれてしまう。蛇には毒がなく少商は無事だった。五公主はびしょ濡れのまま逃げるように長秋宮へ戻った少商の姿を見て溜飲を下げ、駱済通に口止めしておく。「嫁ぐ前に公主を怒らせて騒ぎを起こせばどうなるかしら…」思わず口ごもる駱済通、その時、物陰から音が聞こえた。「何の音?!出て来なさい!」全てを見ていた五皇子は申し訳なさそうに姿を現したが、嫡子の五公主には頭があがらない。五公主も父皇が過って宮人に産ませた五皇子など歯牙にも掛けず、余計なことは言うなと釘を刺しておいた。少商が湯浴みから上がる頃にはすでに夜になっていた。すると急に凌不疑が訪ねてくる。「宮中なら昼夜、会えると思ったが、君はずっと忙しくて差し入れも使いをよこす 以前よりも会うのが難しくなるとはな…それで今夜はどうにも恋しくなって会いに来た」少商はかろうじて笑みを浮かべたが、涙があふれそうになって背を向けた。「今や朝堂では誰もが私を羨む、賢恵な女子を妻にできると… 陛下すらも君が賢く有能だと褒めた、長秋宮を見事に差配しているとね 君は誰かに尽くすと決めたら全身全霊でその人のために献身する、たとえ自分が辛くても…」不疑の称賛の言葉を聞いた少商はかえって悔しさと惨めさが募り、ついに泣き出した。「嫋嫋(ニャオニャオ)?どうした?」少商は思わず不疑に抱きつき、泣きじゃくってしまう。驚いた不疑は少商を強く抱きしめながら理由を聞いたが、少商は家が恋しいだけだと嘘をついた。凌不疑はそれ以上、追求しなかった。その代わり少商を抱き寄せる口実に、背中にある急所・命門(メイモン)の場所を教える。「…他に教えられることがある?例えば誰かに虐げられた時、応戦する方法よ」「私がいる、誰も虐げない」「でもいない時は?!」「何を学びたい?」「こんな風に後ろから押されたら?」少商が不疑の背中を押そうとすると、不疑はあっさり避けて少商の腕をつかんで見せる。「じゃあこうしたら?」すると不疑は攻撃を華麗にかわし、少商を捕まえて寝台の上に押し倒した。「どうだ?」「…使えるのは手一本よ」「はお」不疑は片手だけでも軽々と少商の手を封じてしまう。「手一本も使わないで」そこで不疑は両手を使わず、少商に覆い被さった。思いがけず唇と唇が触れ合いそうなほど接近してしまう2人…。少商は恥ずかしくて視線をそらしたが、その時、不疑が少商の手を取って自分の背中に回した。「この先、私の命門は君に託した…嫋嫋、何が起きたんだ?」「…ひとつお願いがあるの」「君が望むなら全て叶える」皇后の寿誕を祝う宴、少商は見事に取り仕切って見せた。最初の余興は意表をついて凌将軍が琴を披露、実は不疑は皇帝に頼まれても腕が鈍っているからと断り続けて来たという。どうやら不疑を弾かせる気にさせるのは少商だけらしい。次に三皇子がちょうど皇后の寿誕前に封土で新たな鉱脈を発見したと報告した。「これも母后の福がもたらしたものでしょう」皇帝が上機嫌になったところで今度は皇太子と皇太子妃が西域で購入した玉麒麟(ギョクキリン)一対を献上した。しかし皇太子妃がうっかり銀銭をつぎ込んだと口を滑らせ、失笑を買ってしまう。倹約を推奨する皇帝の前での失言に顔を引きつらせる皇后と皇太子、その時、少商が助け船を出した。少商は皇太子妃の隣にひざまずき、皇太子からの祝いは他にもあると上奏した。実は今日の酒は皇太子が西域から取り寄せた種から実った果実で作ったという。「果実酒なら浪費にならず存分に飲めます」また料理も皇太子が求めた胡桃の油を使っていた。「胡桃は腹持ちするため欠かせぬ食物なのです、太子に感謝します」少商の機転で皇太子は面目を保ち、皇帝も民の心が分かる皇太子だと喜んで褒賞を授けた。安堵して席に戻った皇太子、しかしふいに向かいの席にいる想い人に気づく。2人はしばし見つめあったが、それを見た皇太子妃は激しい嫉妬に苛まれた。五公主は二公主と駙馬(フバ)が奏でる音楽に合わせて群舞を披露した。しかし人数が多すぎたせいか途中でぶつかり合い、転んでしまう。皇帝は意気消沈する小五を慰めるため褒美を出すと言ったが、宴席は何とも言えない微妙な雰囲気に包まれた。凌不疑と少商からの祝いの品は書簡だった。皇后は献上された書簡を早速、開いてみると、それが亡き父が記した詩文だと分かり、思わず涙ぐむ。宣(シュエン)太公は詩文を好んでいたが、記した詩文を惜しむことなく友に贈り、屋敷には書簡が残っていなかった。「…父の墨宝は2度と見られないと思っていたわ」皇帝は心がこもった礼品だと感激し、皇后も子晟(ズーション)と少商が自分を心から気にかけていることを知っていると感謝した。宴席で並んで座る凌不疑と少商はすでに夫婦のように仲睦まじかった。皇帝はそんな2人の様子を見て目を細めたが、袁慎(ユエンシェン)や駱済通は内心、穏やかでない。そうとは知らず、少商と不疑は同じ杯の酒を分け合いながら飲んでいた。その時、少商は不疑の右薬指に巻いた包帯に気づき、琴の練習のせいかと尋ねる。しかし不疑はなぜか黙ったまま何も答えなかった。少商はふいに昨夜、不疑が自分を押し倒した時のことを思い出し、何とも言えない愛おしさが湧き上がる。すると少商は衝動的に不疑の横顔に口づけし、照れくさそうに宴席を出て行った。駱済通の侍女・春笤(チュンティアオ)は五公主が取り巻きの娘を呼んで悪巧みしていることに気づいた。すると令嬢が早速、五皇子に何やら耳打ち、五皇子は千鳥足で宴席から出て行ってしまう。春笤はこっそりあとをついていくと、五皇子が庭園で少商を待ち伏せしていた。五皇子は酔った勢いで少商にちょっかいを出そうとしたが、少商は凌不疑を真似て五皇子の腕をつかむと池に落としてしまう。「俺は泳げないんだぞ!助けてくれ!」しかし少商は泳げなくても岸へたどり着けることを知っていた。すっかり酔いが覚めた五皇子は激怒、少商の悪辣さは凌不疑と同じだと批判した。実は五皇子は幼い頃から凌不疑にいじめられていたという。「奴は陰湿で必ず報復する、手段も選ばない、そなたとお似合いだな!冷酷で無慈悲だ!」出自のせいで卑屈な五皇子は少商まで軽視すると嘆いたが、少商は五皇子が独特な見解を持っていると知っていた。「五皇子は異国の風土の話がお好きだとか? …朝堂に無益と知りながら探求しようとするのは純粋な心からです 誰にも称賛されないからって何です?自分が好きならそれでいい その点で私と五皇子はよく似ています」「…そこまで言うならもう難癖はつけまい」「はお、では今日から私たちは友ですね」駱済通はせめてもの思い出に凌不疑と別れの杯を交わしたかった。そこでちょうど少商が席を離れた隙に凌将軍に声をかける。「北西に嫁いだら今度はいつ会えるか…私から将軍に一献を…」すると春笤が慌てた様子で戻ってきた。「大変です!…五皇子と程娘子が鏡心(キョウシン)池で密会しています!」つづく。゚(∩ω∩`)゚。 にゃおにゃお〜それにしても3も5も声が上手いわ、意地悪だけどw
2023.10.16
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love最終話「嫁ぐ日」上元節、庫狄琉璃(コテキルリ)と裴行倹(ハイコウケン)は一緒に過ごせない代わりに手作りの切り絵を交換した。于(ウ)夫人はこれでは自分がまるで2人の仲を引き裂く西王母(セイオウボ)だと苦笑い、そこへ蘇定方(ソテイホウ)がやって来る。「実は守約(シュヤク)と賭けをした、守約が勝てば2人で外出してもいいぞ」蘇定方は琉璃と背格好が同じ侍女を4人ほど集めさせた。そこで琉璃を入れて5人にすっかり同じ白い外套を着せ、仮面をつけさせる。一見すると誰が琉璃か全く分からないが、これが裴行倹との賭けだった。「誰がお前か見抜ければ守約の勝ちだ」すると于夫人は琉璃のかんざしを外し、別の娘の髪に挿してしまう。蘇家は揃って灯籠祭りに出かけた。仮面のせいで美しい夜景が堪能できず落胆する琉璃、その時、舞を披露する一団が一行を取り囲む。その時、蘇定方は琉璃を連れ去ろうとする裴行倹に気づいた。「(はっ)こわっぱめ!」蘇定方は見事な軽功で裴行倹の行く手を阻んだが、仮面を剥ぎ取ってみると裴行倹の従者・阿成(アセイ)だと知る。実は本物の裴行倹はすでに琉璃を連れて姿を消していた。琉璃は裴行倹がなぜかんざしを挿していなくても自分だと見抜けたのか不思議だった。しかし裴行倹はどんな格好をしていようと琉璃の姿はすぐ分かるという。「君に会えない苦痛に耐えて来たが、こうして会うともっと苦しくなる…」「苦しい?苦しいなら耐えなければいいわ」すると裴行倹は琉璃に口づけした。裴行倹は臨海(リンカイ)大長公主が琉璃に屋敷を贈ったことを知っていた。確執があるとは言え河東(カトウ)公府に恩があるのも事実、別に屋敷を買えば盾をつくことになってしまう。何より吏部(リブ)に移動すれば配下の宿舎も必要になり、今の屋敷ではまかなえなかった。「屋敷を買おうと思っていたが手間が省けた、この件は私に任せてくれ」屋敷も決まり婚礼を待つだけとなった琉璃、しかしまだ側仕えの侍女が見つからなかった。そこで顔の広い伯父・安四郎(アンシロウ)に相談する。確かに中眷裴(チュウケンハイ)家の一族と河東公府の難しい関係を思えば如才ない侍女が必要だった。さらに琉璃は洛陽にある裴行倹の資産を密かに調査して欲しいと頼む。一覧を見た安四郎は莫大な資産に驚いたが、洛陽で長年、店を営んでいる琉璃の大叔父に現状を調べてもらうと安心させた。琉璃は実家から嫁ぐため、婚礼の前日に庫狄府に戻った。河東公府に嫁ぐと決まった珊瑚(サンゴ)は媵妾(ヨウショウ)とは言え県令の妻より上だと無視していたが、曹(ソウ)氏が娘の尻を叩く。「大長公主の命があるでしょう?」「(はっ!)そうだった!忘れてた!」庫狄延忠(コテキエンチュウ)は今頃になってやっと珊瑚が裴如琢(ハイジョタク)に嫁ぐと伝えた。琉璃は父が決めれば良いことだとあえて何も言わなかったが、珊瑚には嫁いでも分を守るよう釘を刺しておく。すると曹氏がこれまでの償いとして婚礼祝いに侍女を贈ると言い出した。しかし阿春(アシュン)と阿桃(アトウ)は身なりも身のこなしも上品で明らかにただの奴婢ではない。珊瑚は伯父が探してくれたと嘘をついたが、琉璃はこれが珊瑚に縁談を持ち込んだ大長公主の目的だと分かった。「伯父上が仕込んだ侍女なら琉璃が頂くわけにはいかないわ、珊瑚が連れて行くべきです」その時、安四郎が琉璃を訪ねて来た。明日の婚礼を前に安四郎も琉璃に侍女2人を贈った。焦った珊瑚は反対したが、安四郎になぜだめなのかと怪しまれ、口ごもってしまう。その時、琉璃は侍女が阿霓(アゲイ)と小檀(ショウダン)だと気づいて驚いた。阿霓は如意衣装店の番頭、琉璃は侍女にできないと断ったが、安四郎は阿霓が自ら申し出たと教える。実は阿霓は以前、高陽(コウヨウ)公主の側仕えの宮女として公主府を管理していた。しかし駙馬(フバ)の夜伽を断ったせいで不興を買い、人買いに売られたところを安四郎に救われたという。臨海大長公主は琉璃が自分の間者となる侍女を断ったと聞いて激怒した。崔(サイ)夫人はこれで珊瑚との縁談を破棄できると期待したが、大長公主は琉璃と犬猿の仲なら使い道があるという。「どうやら庫狄琉璃は痛い目に遭いたいようね…」翌日、裴行倹は花嫁を迎えに庫狄府へ向かった。琉璃は皇帝から賜った宝飾品で美しく着飾ったが、最後に母の形見である腕輪と耳飾りをつける。…喜びの日なのに阿母がそばにいないなんて、この心の痛みは言葉にできない…天から見守っていてね、愛する人と出会えて私は幸せよその頃、花婿一行が庫狄府に到着した。しかし花婿が迎えに来ても、慣例によりなかなか花嫁とは会わせてもらえない。まずは花嫁の部屋を探し出し、次に立派な雁(カリ)を贈る。そして美しい詩を詠んで客人たちが認めると、やっと美しい花嫁が姿を現した。裴行倹と琉璃は裴府に入り、拝礼の儀が執り行われた。そこへ宮中から孫徳成(ソントクセイ)と順子(ジュンシ)が駆けつけ、昭儀・武媚娘(ブメイニャン)からの祝辞と祝いの品を届ける。「しっかりやるのだぞ、もう義父も武昭儀もいないのだからな」「ご安心を、琉璃はこの裴行倹が守ります」琉璃は義父に拝礼して感謝を伝えることにしたが、孫徳成はひざまずこうとした琉璃を止めた。琉璃と裴行倹は晴れて夫婦となった。2人は固い絆で結ばれ、永遠に離れることはない。終わり終わった~!・:*+.\(( °ω° ))/.:+/.*・ って…え?!終わってねぇぇぇぇ~!そうです!実は2季があるんです!しかしまだ配信されていない?もしかすると裴行倹が実在の人物だけに検閲でダメだったのかもしれませんねえ~( ゚ェ゚)ま、いいか ←いいのかいw
2023.08.20
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第10話)第37話「報復の流儀」程少商(チォンシャオシャン)は池に落ちてびしょ濡れになった五皇子を長秋(チョウシュウ)宮で着替えさせることにした。五皇子は誰かに見られたらあらぬ誤解を受けると心配したが、嫌な予感は的中する。「あらあら、本当に皇兄と程娘子が密会していたのね~」五公主の勝ち誇った顔を見た少商はこれが五公主の仕業だとすぐに分かった。五公主は父皇と母后の前で五皇子と少商を追及した。焦った五皇子は五公主の取り巻きから鏡心(キョウシン)池で佳人が待っていると聞いたと訴えたが、肝心の証人の姿がない。少商も池に落ちた五皇子を助けただけだと釈明したが、五公主はそんな言い訳を誰が信じるかと鼻で笑った。「ごぅら(够了)っ!」皇后は思わぬ騒ぎに不快感をあらわにし、宴に戻らず長秋宮に帰ってしまう。皇帝は祝宴を台無しにされ怒り心頭だった。しかし皇后の寿誕に免じて今日のところは不問に付すという。こうして一同が引き上げ、五皇子も逃げるように帰って行った。すると凌不疑(リンブーイー)がやっと少商に声をかける。「大丈夫か?」「私を信じる?」「もちろん」「よかった、私は皇后のところへ行くわね」少商はそれ以上、何も言わずに急いで戻って行った。皇后は結局、寝付けないまま朝を迎え、付き添ってくれた皇帝を見送りに出た。するとまだ夜が明けたばかりというのにどこへ出かけていたのか、少商が長秋宮に戻ってくる。「少商、宴の準備で大変だったわね…早く支度して家に帰りなさい」「ありがとうございます、陛下、皇后」その時、五公主が凄まじい剣幕で長秋宮に乗り込んできた。「程少商!殺してやる!」五公主はなぜかびしょ濡れで、全身が真っ黒に汚れていた。五公主は息女たちと飲み明かし、朝方に瓏園(ロウエン)へ戻った。しかし息女が扉を開けた途端、仕掛けてあった桶が飛び出し汚水をぶちまけ、さらに勢いよく放たれた荊が身体を打ち、最後には灰を浴びせられたという。五公主は全て少商の仕業だと訴えたが、皇后は証拠がないと退けた。これに五公主は憤怒、なぜ娘ではなく少商の肩を持つのかと嘆く。そこへ越(ユエ)妃が現れた。「母后の干渉を嫌がって公主府で悠々自適に暮らし、孝行することもなかったくせに 何を今さら…」越姮(ユエホン)は自分の瓏園で起きた騒ぎのため座視できないという。すると五公主は日頃の越妃への鬱憤が爆発、暴言を吐いた。「母が皇后だと忘れている!四六時中、父皇と睦み合い、長秋宮を…」その時、越妃が五公主を平手打ちした。「私を叩いたわね…ワナワナ」「母親の寿誕の宴で程少商を陥れたのよ?ぶたれて当然では?」「嘘よ!証拠があるの?!」「あるとも!」凌不疑が五皇子を池に誘い出した息女を連行した。すでに息女は全て五公主の所業だと白状したという。「五公主は我が新婦が池に行くと知り、五皇子を誘い出して彼女の名声を辱めようとしました」しかし御前に突き出された息女は恐怖のあまり、証言する前に気絶してしまう。五皇子は全て五妹の指示だったと告発した。これに激怒した五公主は兄である五皇子を″雑種″呼ばわりしてしまう。「父皇、私は長秋宮の嫡出、なぜ卑しい者の言葉を信じるのですか?!」皇后は傍若無人な娘の姿に唖然とし、全ては自分の過ちだと嘆いた。「余は若い頃、苦労を重ねた分、子には楽をさせたかった…まさかここまで思い上がるとは… 兄弟への情がなく、越妃に不敬を働き、父皇も尊ばない しかも余の寿誕の宴で少商を陥れるなんて…誰かっ!」驚いた五公主はひざまずき、悪いのは何の因縁もない自分に報復した程少商だと訴えた。しかし五皇子が因縁ならあるとばらしてしまう。「先日、息女たちと程少商を池に落としたくせによく言うよ」何も知らなかった凌不疑は驚愕、少商がまた独りで行動を起こしたと知った。少商は自分が罠を仕掛けたと認めて謝罪した。確かに五公主に池に落とされたが、皇后の寿誕の宴を目前に控えていたため、終わるのを待って報復したという。「池に落とされたから汚水をかけ、宴をぶち壊しにしたから″荊の杖を背負う罰″を負わせたのです 五公主、少しは目が覚めました?…どうやら無駄だったようですね」「程少商っ!こんなことなら毒蛇を放って殺しておけば良かった!(はっ!)」激情に駆られた五公主はうっかり口を滑らせたが、開き直って武将の娘など死なせれば済むことだと言い放った。「公主の私が殺すのは蟻を潰すも同じ、彼らの命に価値はない! 父皇、母后、娘ではなく他人に味方するのですか?!」「…お前はどうかしている、どうかしているぞ!」増長した五公主の悪辣な行動は皇帝と皇后の逆鱗に触れた。皇后はすぐに消えろと叫び、怒りのあまり卒倒してしまう。そこで皇帝は五公主を皇陵に閉じ込め半日ほど反省させるよう命じ、今後は許可なく公主府を出るなと厳命した。皇帝は人払し、皇后を心配して寝殿に入った。すると越姮が引き上げようとした駱済通(ルオジートン)を引き止める。「五公主は帝后が罰する、では密会だと騒ぎ立てた春笤(チュンティアオ)は?」「心ある奴婢を留めて置くことはできません、父兄に頼んで辺境へ売ってもらいます」「ふっ…あなたを侮っていたわ、これほど果敢だったとはね」凌不疑は少商を連れて長秋宮を出た。「あの夜、泣いていたのは辱められて悔しかったからだったのか…いつまで隠すつもりだった? なぜ自分だけで動く?私が信じられないのか?」不疑は縁談が決まった時、これからは少商の後ろ盾となり、知己となって、少商の恐怖や孤独を共有しようと思っていたという。しかし結局、少商にとって自分は恐れ多く、近づきがたい存在のままだった。「楼垚(ロウヤオ)なら君は怯えずに済み、自由気ままでいられた だが私は君を宮中に閉じ込め、恐れを抱かせてしまう…嫌悪感すらも…」不疑は今さらながら少商を留めるべきではなかったと後悔し、独りで行ってしまう。「凌子晟(ズーション)!私は一匹狼、やられたらやり返す!そんな私が好きなのよね?! なのになぜ急に変われと強いるの?!私は程少商よ!凌子晟の新婦というだけじゃない!」すると不疑がふと立ち止まって振り向いた。「分かっている、そのままでいい」少商は皇宮も不疑も受け入れているつもりだった。…それなのになぜこのままの私を受け止めてくれないの?…少商は長秋宮に戻り、改めて皇帝と皇后に謝罪した。すると自分がめちゃくちゃにした瓏園を凌不疑がすでに配下に命じて修復させたと知る。驚いた少商は自分で責任を取ると言ったが、その時、ふせっていた皇后が身体を起こした。「少商、子晟があなたの未婚夫なら余と陛下はあなたの君姑(クンコ)であり君舅(クンキュウ) 誰かに陥れられたのに相談もせず自分で動くとは… 私や陛下を親とも思わず、子晟に愛も注がぬのなら、皆の心を失望させるだけよ?」「…もっと早く教えてくださればいいのに、今さら手遅れです(ボソッ」少商は思わず恨み言を漏らしたが、皇帝は不疑への真心を学ぶことなら今からでも間に合うと諭した。一方、凌不疑は五皇子を待ち伏せし、少商を池に落とした息女たちを全て教えるよう迫った。すると不疑は宮中にいる息女の父親を次々と捕らえ、引き回しの刑にしてしまう。「世に知らしめなければならぬ、これが我が子を躾けぬ親の末路だとな」その夜、曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)は皇帝の命で五公主を公主府まで送り届けた。しかし五公主に反省の色は見えず、父皇と母后の容赦ない罰もしょせんは自分を怯えさせたいだけだと侮っている。その余裕も屋敷に入るまでだった。前庭には公主をそそのかして愚行たらしめた罪により死を賜った幕僚たちの亡骸が並んでいる。五公主はようやく自分の過ちの大きさに気づき、その場で泣き崩れた。五公主の″情夫″に死を賜るよう上奏したのは凌不疑だった。そのせいで都中に五公主が情夫を囲っていたと噂が広まり、小越侯は将来の君舅として面目丸潰れとなる。怒り心頭で酒楼に閉じこもった小越侯、すると番頭の田朔(ティエンシュオ)が現れ、いずれ吉報が届くとなだめた。「三皇子は品行方正で厳正中立、陛下も絶賛しておられるとか 君子とは真っ直ぐで邪のない者、三皇子は天子になる運命かと…」「…だが太子という邪魔者がいるかぎり、吉報が届くのは無理だろうな」皇太子と皇太子妃は母后を見舞った。すると皇太子妃が五妹の悪い噂が都に広まっていると報告、皇太子と少商は眉をひそめる。「…母后、どうか気に留めないでください」皇太子は五妹も少しずつ改めるはずだと安心させたが、皇太子妃は罰してこそ教訓になるため溺愛は禁物だと諫言した。「儲妃、少し遠慮しては?良かれと思っても、その言い方は人を不愉快にさせるだけ 慈悲深い皇后は怒りませんが、もし越妃だったらどうなると?」見かねた少商が釘を刺すと、皇太子妃は気まずくなって口をつぐんだ。皇太子妃は東宮に戻ってから皇太子に叱責された。いくら五妹と確執があるとは言え、父母が娘のことで胸を痛めている時に火に油を注ぐなという。皇太子妃は失言を詫びたが、皇太子はあきらかに悪意があったと指摘した。すると皇太子妃は報復するとすれば相手は五妹ではなく、我が子を死なせた曲泠君(チューリンジュン)だという。「曲泠君と殿下が怪しい仲でなければ、私も体調を崩して子を失いませんでした… 彼女は宴であなたに何度か視線を向けた、それだけでこの数日、殿下は心ここにあらずです」皇太子妃はそもそも自分を娶ったのが間違いだと嘆いた。曲泠君に未練があるなら入内(ジュダイ)させて良娣(リョウテイ)に封じれば自分も苦しまずに済むという。皇太子は疑心暗鬼に陥った皇太子妃を持て余し、無益な争いは好まないと言い捨て出て行った。つづく( ゚ェ゚)え?また振り出しに戻るの?ってか今さら阿垚を持ち出すとかエェェェ…そもそも不疑ソックの不具合が原因なのに…w
2023.10.22
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第11話)第38話「愛を叫んで」凌不疑(リンブーイー)の企みにより情夫を囲っていたことが都中に知れ渡ってしまった五公主。程少商(チォンシャオシャン)は五公主の噂をわざわざ皇后の耳に入れた皇太子妃に憤ったが、皇后は皇太子妃の胸中をおもんばかった。思えば皇太子妃は五公主から日常的に侮辱を受けており、平静でいられないのも仕方がない。何より寿誕の宴で美しい曲泠君(チューリンジュン)の姿を見れば心中、穏やかではいられないだろう。実は皇太子にはもともと想い人がいた。曲泠君は皇太子妃より家柄や品格に優れ、当時は頻繁に宮中に来て皇太子ら兄妹と遊んでいたという。「2人が想い合っていることは誰の目にも明らかだった ただ陛下が故郷にいた頃に婚約を決めていたの、権力を得た後に破棄すれば信用を失う だから太子は約束通り孫(スン)氏を娶るしかなかった」「太子は約束を守らなければ良かったのに…」「子晟(ズーション)も同じことを言ったわ… 幼いながらも私や陛下にこの縁談は太子にとって害になるとね」しかし結局、皇太子は孫氏を娶り、曲泠君も別の人に嫁いでしまう。「聞くけれどあなたは心から子晟のことが好きなの?」「…好きです、以前は彼のことを天上の明月のような遠い存在だと思っていました でも彼も私と同じように血が通い、喜怒哀楽もある、想いは深まりました」「陛下は子晟が身を固めぬことを案じ続け、余は子晟を理解できる者が現れるだろうかと案じた 子晟があなたを選んだのは正解だったわ」その時、翟(ジャイ)媪(ウバ)が血相を変えて寝所に駆けつけた。「皇后!大変です!十一郎が陛下を怒らせ、杖(ジョウ)刑に処されると…」少商が駆けつけるとちょうど凌不疑が皇帝から叱責されていた。何でも不疑は少商を落水させた八家の息女を突き止め、その父兄を殴打したという。実は皇帝は五公主に加担した息女たちが普段から傍若無人に振る舞っているのではと懸念した。そこで父兄らが権勢を笠に着ていないか調査させていたが、賄賂をもらっていたことが発覚する。すると不疑はこの機会を利用し、廷尉府を無視して自ら制裁を加えていた。皇帝は皇権を乱用した私刑だと激怒、厳しく罰すると怒号を響かせた。驚いた少商は許しを乞うたが、不疑は嘆願なら必要ないと冷たい。「己の罪は己で償う…君と同じように私にも矜持(キョウジ)がある、これが凌不疑だ」少商は自分への当てつけだと気づき、無茶をして婚約を台無しにするつもりかと言いかけた。その時、不疑の口から思わぬ言葉が飛び出す。「辞官して君と隠居したい、君の求める田舎でな」凌不疑の無謀な行動は全て少商のためだった。そこで少商は昨日、自分と言い争ったことが原因だとかばったが、かえって皇帝からなぜ喧嘩ばかりするのかと責められてしまう。「今度、言い争ったら何だ、朕の崇徳(スウトク)殿を襲うのか?!」すると皇帝は罰として杖刑100回後、流刑に処すと命じた。少商は何とか見逃してもらおうと必死だったが、不疑はあっさり拝命すると告げて出て行ってしまう。「ちょ…凌不疑っ!」刑場はちらちらと雪が舞い始めた。少商は皇帝と共に城楼から刑の執行を見守ったが、やがて耐えられなくなり刑場へ降りてしまう。すると知らせを聞いた皇后と越(ユエ)妃が城楼へ駆けつけた。皇后は皇帝の非情な仕打ちに心を痛めたが、越姮(ユエホン)はこれが皇帝の謀だと気づく。実は軍営での杖刑には一見、血みどろに見えても大して支障のない打ち方があった。そうとは知らず刑場に入ろうとした少商は衛兵に止められながら、なりふり構わず叫んでいる。「子晟!誓うわ!2度とあなたと喧嘩しない! いくら私に怒っていても自分の身体を犠牲にしてまで意地を張るなんて馬鹿なことしないで!」そこで皇帝は少商を止めている衛兵の手を緩ませ、子晟に近づかせるよう命じた。少商は執行台へたどり着くと、杖を振り下ろそうとした衛兵を突き飛ばして刑を止めた。「子晟、今後は何事もあなたに相談すると約束するから… これからは真心をあなたに捧げる、私のために馬鹿な真似はやめて、いいわね?」すると少商は思わず凌不疑を抱きしめた。「もうとっくにあなたを愛していた…なぜ気づかないの?」「…今、何と言った?朕は聞こえなかったぞ?!何だって?!」城楼では皇帝が少商の気持ちを確認しようと必死だった。しかし越姮は聞こえずとも見れば分かると呆れる。安堵した皇帝は刑の中止を命じたが、皇后は皇帝のやり方に反発して帰ってしまう。凌不疑は幼い頃に過ごした長秋宮で静養することになった。夜になっても不疑が心配で落ち着かない少商、しかし皇后は医官がついているとなだめる。「翟媪に安神薬を用意させたわ、ずっと泣き続けて声も枯れたでしょう? 薬を飲んで早く眠りなさい」しかし少商は矢も盾もたまらず、こっそり不疑の部屋へ行ってしまう。不疑は少商の姿を見ると嬉しそうに身体を起こした。負傷した割には元気そうな不疑、少商は思えばあの時、子晟があまりにあっさり皇帝の罰を拝命したことに気づく。「負傷したのは芝居なの?」「なぜ芝居だと?」「私が心を傷めれば目的を果たせる」「…少商に心を痛めてもらえるなんて、こんな幸せはない」少商は子晟が愛しくなり、おでこに口づけした。すると2人は見つめ合い、自然と顔を近づけて唇を重ねる。「こんなことは成婚まで待つべきか?」「それは私の台詞でしょう?」少商は子晟に笛を吹いて聴かせた。すると不疑は灯会(トウエ)で初めて少商の顔を見た時のことを思い出す。「あの時も今のように君は美しかった」「だったらなぜ後日、会いに来なかったの?」「あることを遂げるまで娶る決断ができなかった」「一目見ただけで娶ると?」「一目で十分だ…一度、見ただけで分かった、余生を共にするのは君だけだとね」「この先、欺かれない限りこの少商、あなたを裏切らないわ」こうして何度もぶつかり合いながら愛が深まった少商と不疑。その頃、曲陵(キョクリョウ)侯府では蕭元漪(シャオユエンイー)がなかなか戻ってこない嫋嫋(ニャオニャオ)に苛立っていた。少商は皇后から賜った外套を母に届けたが、蕭元漪は皇后に懐いてすっかり母を忘れた娘からの贈り物に見向きもしない。程始(チォンシー)は思わず失笑し、会えなくなると気がかりになるのかと揶揄した。「夫人、嫋嫋は凌不疑と一緒になってから、さほど問題は起こしていない」「そうね、誰が予測できた?凌不疑の方が嫋嫋より常軌を逸しているなんて…」凌不疑が報復した八家のひとりは御史中丞だった。皇帝は不疑が乗り込んでめちゃくちゃにした御史台の修理を命じたが、不疑はこの機に乗じて15年前の越氏の軍報を持ち出すことに成功する。すると予想通り軍報には戦馬の損傷は記載されていなかった。「恐らく兵の死因も瘴気ではない、小越侯は嘘をついている」しかし証人の軍医が死んで韓武(ハンウー)も殺され、当の小越侯は狡猾でなかなか尻尾を出さない。「奴がボロを出さねば…仕向けるまでだ」つづく( ˘ω˘ )さすがに真心うんぬんはもう飽きてきた…それにしても今回は上手い人が多いね~
2023.10.24
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第13話)第40話「首謀の尻尾」梁尚(リャンシャン)殺害事件は私事として袁(ユエン)夫人が審理を取り仕切ることになった。曲泠君(チューリンジュン)は無実を主張、あの日、夫の部屋に食事を届けたのは自分の外套を来た侍女・幼桐(ヨウトン)だったという。そのため下僕たちはてっきり夫人が部屋に入ったと誤解したのだ。程少商(チォンシャオシャン)は審理を見守っていたが、自分に調べさせて欲しいと嘆願し、袁夫人も認めてくれる。すると袁慎(ユエンシェン)がまた難癖をつけて少商を挑発した。「自分を有能だと思っているのか?…学もないのに捜査したいとは笑わせる、ふっ」しかし少商は言い返しもせず、袁夫人に拝礼して出て行ってしまう。「おい!本気なのか?!」肩透かしを食った袁慎は自分も調べてくると母に断り、慌てて少商を追いかけた。袁慎は相変わらず減らず口を叩いていたが、内心では女子の身で現場に入った少商が心配だった。「あいつの捜査を待ったらどうだ? …それにしても穏やかになったな、以前ならすぐ言い争いになったのに」「子晟(ズーション)のおかげね、彼は私を溺愛し、大切にしてくれる、だから私も他人と争わなくなった 彼に嫁ぐなんて想像もできなかったけれど、でも考えてみたの もし彼と出会えなければ一生の心残りだとね…って、あなたに言っても無駄よね」少商は袁慎も早く妻を見つけるよう勧めた。意中の相手がいないため、自分たちのように仲睦まじい夫婦が気に食わないのだという。「あ、でも理想は下げた方がいいわ、私のような優秀な娘は見つからないから」袁慎の気持ちを知ってか知らずか痛い所を突く少商、すると捜査の妨げとばかりに袁慎は部屋から追い出されてしまう。少商は現場の部屋が外観に比べてやけに狭いと気づいた。そこで回廊を歩いて外周を図ってみたところ26歩、しかし部屋の中は20歩だと判明する。「残りの6歩はどこ?」壁には梁尚が大事にしていた金石で作った彫刻が飾られていた。その頃、凌不疑(リンブーイー)は真犯人に目星をつけ、梁家の男全員を集めていた。「梁尚は梁家家主、家主が死んで夫人が犯人となれば梁尚の子は家主の座を継げない つまり取って代われる者こそ、犯人の可能性がある…梁州牧(シュウボク)、あなたが真犯人では?」「私は梁家の養子に過ぎぬ、梁尚に代わり家主を務めているだけ 梁尚と梁遐(リャンシア)は同腹の兄弟で梁太公の血脈だ 梁尚を埋葬してから家主の位は三弟の梁遐に引き継がれる…」梁無忌(リャンウージー)は三弟に話を振ろうとしたが、梁遐はいつの間にか姿を消していた。少商は壁を叩きながら歩いているうち、音が違う場所を見つけた。そこで力一杯、壁を押してみると、隠し部屋に潜んでいた梁遐に引き込まれてしまう。「三公子…あなたが犯人ね?」隠し部屋には血だらけの衣があった。梁遐は凌将軍の捜査が自分に及ぶと恐れて密かに隠し部屋へ戻り、証拠となる衣を処分しようとしたのだろう。すると梁遐は少商の首に短刀を突きつけ、少商を殺して逃げると言い出した。少商は咄嗟に自分を人質にして交渉すれば逃げられると提案したが、梁遐は信じようとしない。その時、突然、外から凌将軍の号令が聞こえた。「部屋を壊せ!」現場を捜査していた少商がこつぜんと姿を消した。報告を受けた凌不疑は黒甲衛(コクコウエイ)に離れを破壊するよう命令、追い詰められた梁遐は仕方なく少商を人質にして外へ出る。驚いた袁慎は思わず身を乗り出したが、袁夫人は息子を止めた。「君子、危うきに近寄らずよ…行っては駄目」すると凌不疑はちょうど集まっていた梁一族を包囲し、少商を放せば一族も母親も見逃すと条件を出す。その時、少商が真犯人は三公子だと暴露した。退路を失った梁遐は少商を道連れにすると言い放ち、母親など殺せばいいと開き直る。そこで凌不疑は梁母を引きずり出し、目の前で腕を捻り上げた。母の悲鳴を聞いた梁遐はさすがに気が動転、その隙を突いて凌不疑が短剣を放ち、見事に梁遐の手に命中させる。少商は梁遐の手が離れた瞬間に逃げ出し、不疑は無事に少商を奪還した。↓少商、いつの間に護身用の刀を出したの?黒甲衛は梁遐の両膝に矢を放ち、逃亡を阻止した。老夫人は溺愛する梁遐に抱きついて悲しみに暮れたが、当の息子は母が自分のために何もしてくれなかったと嘆く。父は養子である長兄の無忌を州牧に推挙し、家主には二兄の梁尚を指名した。これも一族に有能な子弟がいなかったせいだが、梁遐は嫡子で志もある自分だけ何も手に入らなかったと母に八つ当たりする。「俺がこうなったのもお前のせいだ!いちいち騒ぎ立てるから収拾がつかなくなっただろう?!」凌不疑も少商も梁遐が誰かにそそのかされて急に事を起こしたと分かっていた。そこで不疑は廷尉府に梁遐を連行し、首謀者の名を聞き出すことにする。しかし梁遐が何か言いかけた時、上階から梁無忌が放った矢が喉を貫通した。皇帝は梁州牧が証人の口を封じをしたと知り激怒した。これでは自ら首謀者だと明かしているようなものだが、梁無忌はこの件を追及しても大局にとって利なしだと訴える。皇帝も子晟もその意味を悟っていた。そこで皇帝はひとまず梁州牧を下げる。「子晟…首謀者はもしや太子妃の従兄では?別院の警護を任されておるし」「孫勝(スンション)ならもう捕らえました、解放すれば数日も生きられないでしょう 首謀者が誰なのか、陛下もすでにお気づきかと…」その夜、越姮(ユエホン)は永楽宮に三兄を呼びつけ、厳しく追及した。「亡き大兄の半分でも知恵があったら太子を陥れようなんて愚かなことはしない!」「不服だったのだ… もともと饟(ジョウ)県越氏は安泰だったのに、なぜ文(ウェン)氏と共に造反せねばならなかったのか」小越侯は妹から何度、諌められても諦めがつかず、恨み言を漏らした。本来なら妹が皇后となり、三皇子が世継ぎとなって次の皇帝になれたはずだという。しかし越姮は三兄が自分たち母子のためではなく、自分が国舅(コッキュウ)になりたいだけだと分かっていた。「霍翀(フォチョン)に代わって不満を言える立場?! 三兄、なぜ孤城に遅れて到着したの?瘴気(ショウキ)を口実に霍翀を死に追いやろうとしたのでは?」「言いがかりだ!」すると越姮は凌不疑のこと、貨幣の鋳造の件も韓武(ハンウー)に刺客を送り込んだことも、少なからず証拠を揃えているはずだという。それでも上奏しないのは越氏の面子を考えて三兄の自首の機会を与えてくれたのだろう。「なぜ瘴気に毒があると言いながら馬だけは無事だったの?なぜ軍報には記されてなかったの? 答えなさいっ!」「…救援の要請を受け出征後、道中で前方に瘴気があると知ってな しかし調査した斥候が瘴気は問題ないと報告した ちょうどその頃、乾安(ケンアン)王の軍も急いで向かっていた そこで考えた、乾安王の救援の時間を遅らせることができたら陛下は宣(シュエン)氏を咎めるとな だから斥候を殺した」その話を皇帝と凌不疑が聞いていた。凌不疑は越妃の公正な判断のおかげでついに小越侯の尻尾をつかんだ。あの時、乾安王は長年、不仲だった小越侯を信じられず、自ら一隊を率いて瘴気を調べに向かったという。やがて配下の彭坤(ポンクン)から乾安王が瘴気に侵され、密林で死んだと報告を受けた。しかし瘴気に毒はなかったはず、つまり彭坤がこの機に乗じて乾安王を殺害し、兵権を奪ったのだろう。一方、孤城は雍(ヨウ)王が兵器をすり替えたせいで10日は持ちこたえられる所、2日で陥落していた。孤城の惨劇は奇しくもそれぞれの私心が重なり招いた結果だった。小越侯は武器のすり替えなど知らなかったと否定、確かに援軍が遅れるよう画策したが、たとえ数日、遅れても間に合うと確信していたからだという。「乾安王を殺してなどおりません!ましてや兵器のすり替えなど… 陛下、私は孤城陥落とは無関係です!」しかし15年前ならいざ知らず、皇太子を失脚させるべく罠にはめたことが皇帝の逆鱗に触れた。兄との今生の別れを覚悟し、そっと目を閉じる越姮。すると皇帝は越氏一族の忠誠と生き残った兄妹に免じて命は奪わず、爵位を剥奪して皇陵の墓守を命じるという。越姮はむしろ皇帝の優柔不断さに驚いたが、凌不疑は反発する様子もなく、ただ黙っていた。凌不疑が長秋宮に戻るとまだ少商がいた。少商は今日のことを両親が知れば説教されるため、帰らなかったという。「無茶をするなと言ったのに、なぜ危険を侵す?」「私でなければ誰が皇后と太子の汚名をそそぐの?…助けたかったの、だから怒らないで」「はぁお、責めないよ、でも君に何かあったら自分を許せない」すると少商は凌不疑の眉間の皺を伸ばした。「孤城の件は決着したのに嬉しくないの?」「少商…家族を傷つけた相手を法で裁けないとしたらどうする?」「まだ敵がいるの?」「いや、仮定の話だ」「私はやられたら必ずやり返す、家族を傷つけた人は許さない、千倍にして返すわ」「ではもし復讐することで愛する人を傷つけるとしたら?」「…人生は取捨選択、重要な方を選ぶ」その答えを聞いた不疑は思わず少商を抱きしめた。一方、屋敷へ戻った袁夫人は息子に妻を選ぶよう勧めていた。母の思わぬ言葉に驚く袁慎、実は夫人は息子の意中の相手が程娘子だと気づいたという。袁慎は少商が婚約してから何度も縁談を探したが、満足する相手が見つからなかったと話した。「今になって思えば、面影が重ならぬからかも…一手の遅れが運の尽きでした しかし程少商が成婚しても私は日々を生きていかねば」↓(´ω`)しょぼん凌不疑は越妃に呼ばれて再び永楽宮を訪ねた。実は越姮が兄を誘導して処罰させたのは霍家と霍兄、そして何より子晟のためだという。「兄に対する処罰に不満でしょうね… でもあなたには長年のわだかまりを捨て成婚して欲しい、普通の暮らしをするべきよ」しかし不疑は小越侯の処分に不満はなかった。舅父は小越氏の手で死んだわけではなく、越氏とて大勢が亡くなっている。「皇帝が厳罰を避けた心情を子晟も理解できます 今後は越氏に償いは求めません、ただし黒幕の罪は一生を費やしても償いきれないでしょう」すると不疑は帰ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)うわっ!不吉な予感!w子晟、どうやら黒幕を知っているみたいだねそれにしても袁慎がらしくなくてちょっとつまらないw
2023.10.30
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星河长明 Shining Just For You第2話晁(チョウ)の使者・謝雨安(シャウアン)に毒入りの乳茶を飲ませ、朱顔(シュガン)公主・七海蕊(チーハイルイ)との婚姻を諦めるよう脅した葉凌霜(イェリンシュァン)。しかし謝雨安に呆気なく剣を奪われ、形勢は逆転してしまう。「たった2時しか効かぬ離魂(リコン)草ごときで私が倒れると思ったか?! 晁に来たくば公主と一緒に宮中へ入るといい、思うに… ″陛下″はそなたに興味を示すだろう、出世できるよう励むのだな」翌日、凌霜は夜北の外で七海蕊と合流、2人で逃げることにした。恐らく夜北はこの縁談を利用して戦機を得るはず、生き延びるには逃げるしかない。「路銀を取ってくる、まっすぐ山へ向かって、後を追うから」「はお!」しかし凌霜は銀子を手に天幕を出たところで苗黎(ビョウレイ)王子に捕まってしまう。七海大王が狼神の怒りを鎮めるため、生贄として凌霜の処刑を認めたというのだ。七海蕊はいつまで経っても追ってこない凌霜を心配し、夜北に戻った。すると凌霜がまさに火あぶりにされようとしている。七海蕊は苗黎王子が止めるのも聞かず凌霜のもとへ駆けつけ、短剣を自分の首に当てた。「葉子(イェズー)が一緒じゃないと晁には嫁がない!葉子が死ぬなら私も死ぬ!」そこへ騒ぎに気づいた夜北七部族首領・七海震宇(チーハイシンウ)がやって来た。七海蕊は二度とわがままを言わない代わりに凌霜の解放を懇願、さすがに溺愛する娘の最後の頼みとあって、七海大王は処刑を中止した。天幕で休んでいた凌霜が目を覚ますと枕元に文があった。…葉子、元気にしているか?夜北に戻った、旧居にいる、私を覚えているなら明日、会いたい…凌霜に書き置きを残したのは羽(ウ)族の四皇子・翼無憂(イーウーユー)だった。キタワー!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››凌霜の父で大淵古(ダイエンコ)・葉景清(イェケイセイ)は密かに四皇子と接触した。3年振りに夜北に現れた四皇子、実は今回も星流(セイリュウ)石が目的だという。「3年前、石のありかを黙っていたのは夜北を羽人と晁の戦に巻き込まぬためか?」四皇子は星流石を手に入れ瓊華槍(ケイカソウ)を修復し、羽人の主となって反旗を翻すと決意していた。しかし星流石は真師(シンシ)が残してくれた神物、葉景清はその所在はずっと不明だと否定する。「気の済むまでお探しください」一方、七海怜(チーハイリアン)は生母が埋葬されている苦淵(クエン)海に界諸嬰(カイショエイ)を呼び出した。「君が夜北の長公主だったとは驚いたよ」「本当は天啓(テンケイ)を離れる前に話すつもりだった…私も驚いたわ、あなたの姓が″界″だなんて」七海怜は晁に嫁ぐのがなぜ長公主の自分ではなく朱顔なのか知りたかった。すると界諸嬰から思わぬ理由を聞く。「陛下は私たちの仲を知っておられた」界諸嬰は2人で遠くへ逃げようと言ったが、七海怜は別れるしかないと冷たく突き放した。「私たちは二度と会うことはない」その夜、凌霜は自分の髪を切って父に渡し、別れの挨拶とした。葉景清はこれからも琥珀石を肌身離さず持つよう命じ、その石が必ず危険から守ってくれると教える。「決して外してはならぬぞ?」葉景清は思わず手を伸ばしたが、結局、娘を抱き寄せることができなかった。「凌霜…父として申し訳なく思っている」すると凌霜は最後に叩頭して天幕を出た。凌霜が荷物をまとめていると翼無憂が会いに来た。翼無憂は一緒に逃げようと訴え、凌霜をずっと守ると誓う。しかし凌霜は拒み、できることなら七海蕊を連れ去って欲しいと嘆いた。「阿蕊が幸せなら私は死んでもいいの」翌日、七海蕊は晁へ嫁ぐため、凌霜と共に夜北を出発した。七海蕊は隙があれば凌霜ひとりでも逃げるよう促したが、凌霜は一生、七海蕊から離れないという。「でも考えたの、私が嫁げば怜姐姐は想い人と結ばれる 私には恋なんて無縁だし、誰に嫁いでも同じよ」実は七海蕊は3年前に出会った翼無憂に淡い恋心を抱いていた。しかし翼無憂にとって当時の自分はただの子供にしか見えなかっただろう。「私の成人した姿を見せたかった…」すると道中、一行の前に突然、羽人が現れた。仮面をつけた翼無憂は空中を自在に飛び回り、兵士を蹴散らして公主の車へ舞い降りた。「葉子!逃げるぞ!」「阿蕊を!早く!」凌霜は咄嗟に七海蕊を翼無憂へ託して逃した。すると謝雨安が弓矢を構え、背後から羽人を狙う。驚いた凌霜は車から飛び出し、思わず謝雨安を突き飛ばして阻止した。「阿蕊を傷つけたら絶対に許さないから!」その頃、皇宮では欽天監(キンテンカン)の監正(カンセイ)・界海天(カイカイテン)が皇帝を心配していた。「夜北の星に不吉な予兆が見える…晁の建国以来、初めての苦難が始まるかも知れぬ」界海天は交戦的で内紛が絶えない夜北が婚姻ごときで安逸をむさぼるとは思えなかった。「誰か!伝令を…」すると界天海は皇帝の許可なく主力部隊の藍衣(ランイ)軍を秋嵐(シュウラン)海へ向かわせてしまう。公主を逃亡させた凌霜は捕縛され、晁の軍営に連行された。すると出迎えた将兵たちが謝雨安に一斉に拝礼、凌霜はようやく使者の正体が皇帝・彧修明(ユーシューミン)だと知る。「この大嘘つき!地獄へ落ちろ!」激高した凌霜は思わず皇帝に噛み付いたが、彧修明は歯牙にもかけなかった。皇帝の側近で羽衛(ウエイ)の女統領・冷天曦(レイテンギ)は実は羽人だった。彧修明は帰路で羽人と出くわしたと話し、冷天㬢と同じ″鶴雪(カクセツ)″だったと教える。「…羽人の精鋭だろう、何者だ?」「存じません」一方、雪山では翼無憂が七海蕊を連れて追っ手から逃げていた。しかし崖に追い詰められ、翼無憂は体力が回復しないまま再び七海蕊を抱き上げて飛び上がる。その時、射者隊が放った矢が翼に命中した。七海大王は晁軍が秋嵐海に向かっていると知った。七部族が一枚岩ではないのは承知だが、娘を犠牲にして得た戦機を逃すわけにいかない。「七部族を集結させよ、この劣勢さえ覆せば夜北は苦境を脱すると伝えるのだ」こうして藍衣軍は道中、夜北の七海部の奇襲に遭い全滅、生き残ったのはわずか31名だった。界諸嬰は公主を取り逃してしまったと報告、罰を請うた。しかし皇帝はそれより芳華(ホウガ)鏡の行方が心配だという。「まだ公主がお持ちかと…」「必ず手に入れろと命じたはずだ」すると界諸嬰は拝命して直ちに捜索に戻った。その頃、凌霜は高熱を出し、軍医の治療を受けるもなかなか回復しなかった。すると同じ天幕に深手を負った本物の謝雨安将軍が運ばれてくる。「藍衣軍もここまでか…仲間の骨さえ拾えぬとは…」つづく※鶴雪=飛翔術を用いる羽族の武人( ゚ェ゚)無憂たちが洞窟に隠れているシーンはカットされてますね
2024.06.10
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第19話「東宮での腕比べ」才人・武媚娘(ブメイニャン)は思い出の鳩・宝児(ホウジ)を連れて皇太子の見舞いにやって来た。「殿下の退屈な日々にお慰めできればと…」皇太子は素直に喜んでいたが、才人の侍女・玉柳(ギョクリュウ)は主の心の変化に戸惑っていた。李治(リチ)は豆子(トウシ)を東宮に呼びたいと考えていた。しかし武媚娘は貴重な人材だからこそ尚服局に置く方が良いという。尚服局の動きも分かり、何より豆子の才能も生かせるからだ。李治は納得し、明日の侍衛選びに向けて裴行倹(ハイコウケン)を参内させることにする。一方、曹(ソウ)王・李明(リメイ)は東宮の動きを怪しんでいた。皇太子は確かに静養中だが、殿内の詳しい様子が分からない。従者は采月(サイゲツ)が頻繁に生地を取りに行っていることから傷は重いはずだと言ったが、李明は確信がもてなかった。「太子が本当に危険な状態なら腕比べの延期を願い出るはずだ」そこで蒲巴弩(ホハド)を連れて東宮の様子を探りに行こうと決めた。王伏勝(オウフクショウ)が裴行倹を嘉徳(カトク)之殿に案内していると、ちょうど見舞いにやって来た曹王たちと出くわした。「曹王殿下のお見舞いです!」王伏勝の前触れを聞いた李治は咄嗟に重症を装い、咳き込みながら前殿に姿を見せる。すると李明が明日の腕比べを延期してはどうかと提案した。しかし李治は皇帝の不興を買うだけだと拒否し、久しぶりに外の空気を吸うのも良いとごまかす。思いがけず明日の決戦を前に顔を合わせることになった裴行倹と蒲巴弩。蒲巴弩は挨拶の際にわざと拱手をぶつけて裴行倹の武功を試したが、明らかに自分が劣っていると分かった。そこで帰りの道すがら正直に裴行倹に勝てる保証はないと申し出る。驚いた李明はどんな手を使ってでも勝たねばならないと迫り、王府に戻るとある策を講じた。皇太子の近侍を選ぶ腕比べと聞いて宮中はにわかに騒がしくなった。皇帝が侍衛や内官、宮女たちの観戦も許したとあって尚服局でも繍女たちが休みをもらおうと仮病を使う。しかし大家に見抜かれ、かえって仕事を抜け出せば重罪を与えると脅されてしまう。琉璃(ルリ)は腕比べなど興味なさそうに黙々と仕事をこなしていた。するとちょうど刺繍糸が足りなくなり、鄧七娘(トウシチジョウ)に糸を取りに行くと断って采章(サイショウ)署を出る。しかし豆子はなかなか戻ってこなかった。琉璃は尚服局を抜け出し、東宮で開かれる腕比べを見に行った。見学に来ている宮女たちのお目当ては裴行倹、すでに眉目秀麗な裴行倹は噂の的になっている。するといよいよ皇帝が試合の開始を宣言、裴行倹は剣を選び、蒲巴弩は得意な鉄錘を選んだ。腕比べは裴行倹の優勢で進んだ。すると蒲巴弩が鉄錘に仕込んだ毒を放出、顔に粉を浴びた裴行倹は身体の異変に気づく。「何の毒を使った?」「力が入らぬのだろう?次第に意識が遠のくぞ 私自身も力を増強する薬を飲んでいる、命が惜しければ早く負けを認めるのだ」しかしここで諦めたら皇太子は曹王に手を下されることになる。裴行倹は気絶しないよう自ら腕を斬って奮起したが、防御だけで精一杯だった。「卑怯な手を使うなら遠慮はせぬ、負けを認めねば曹王を殺す、道連れだ!」追い詰められた裴行倹は曹王に向かって飛び出した。蒲巴弩は慌てて武器を捨て負けを宣言した。曹王は無事だったが、裴行倹は暗殺を企てたとして捕縛されてしまう。驚いた李治は皇帝に謝罪し、裴行倹を処罰する前に理由だけでも聞いて欲しいと懇願した。そのお陰で裴行倹は釈明の機会を与えられ、実は対戦中に持病の発作が起きて戦えなくなったという。「しかし近侍の任務は命をかけて太子殿下を守ることです 実践ならば太子殿下の安全を第一に確保すべき、そこで相手に負けを認めさせる策を講じました」楊(ヨウ)妃は息子を狙った裴行倹に激怒し、推薦した皇太子への罰も嘆願した。そこで皇帝は聡明な武才人に意見を聞いてみる。武媚娘は無知な自分がうかつなことは言えないとしながらも、皇帝の登用の妙は世に知れ渡っていると絶賛した。「凌煙(リョウエン)閣に名を残す24人の功臣を始め、太子洗馬の魏徴(ギチョウ)を重用された件も…」楊妃と曹王は武才人が遠回しに裴行倹をかばっていると気づいた。結局、皇帝は危機にも乱れぬ知勇を評価して裴行倹を皇太子の近侍と認め、蒲巴弩はそのまま曹王付きとする。「龍泉(リュウセン)の地より献上された宝剣を2人に下賜しよう」すると安堵した裴行倹は意識を失い倒れてしまう。楊妃は武媚娘への激しい嫉妬に駆られた。李明は皇帝の覚えがめでたい武才人が皇太子の参謀となれば自分が殺されると警戒する。「耐え忍ぶのも今日で終わりよ…私たち母子の未来は戦って勝ち取ってみせる」一方、李治は東宮で裴行倹を静養させた。しかし太医院に信頼できる医者がおらず手をこまねいている。「これも私が勢力を育ててこなかったせいだ…」すると武才人が再び武家の医者を連れて現れた。実は武媚娘も腕比べで裴行倹の様子がおかしいと気づいていたという。医者の話では裴行倹はやはり毒にあたっていた。幸い一時的な毒のため静養すれば回復するという。琉璃が尚服局に戻ると卓錦娘(タクキンジョウ)が待ち構えていた。琉璃は素直に東宮で腕比べを見ていたと白状し、罰を請う。すると卓錦娘は二時ほど抜け出したので四時の間、ひざまつくよう命じ、夕食は抜き、さらに今日の仕事を全て終わらせろと指示した。「できなければ明日はまた倍の罰を与えるわ!」李治は武才人を門まで見送りながら東宮への気遣いに心から感謝した。母を亡くしてから皇宮では孤独だった李治、武才人のように自分を支えてくれる存在はいなかったという。武媚娘はまだ若く大志を抱く皇太子が入内したばかりの自分の姿と重なると懐かしんだが、思えば宮中での日々は残りわずかだと言った。「もうすぐ感業(カンギョウ)寺で御仏にお仕えすることになるでしょう‥わびしい余生ですわ」つづく( ̄▽ ̄;)めいにゃんからの静かなる圧力がw
2023.07.04
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第20話「惹かれ合う心」才人・武媚娘(ブメイニャン)は皇帝の妃として宮中での日々が残りわずかだと覚悟していた。「もうすぐ感業(カンギョウ)寺で御仏にお仕えすることになるでしょう‥わびしい余生ですわ 殿下は青春を無駄にすることなく、本懐を遂げてください」すると皇太子・李治(リチ)はいつか力になれる時が来たら寺から救い出すと約束した。武媚娘は心から感謝したが、皇太子の言葉にいささか落胆してしまう。「あなたは″姉″も同然、陛下以外で私を心配してくれる唯一の人だ」その夜、裴行倹(ハイコウケン)はうなされながら玉児(ギョクジ)の名を呼んでいた。「玉児…私が君を助ける」一方、罰を受けた豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)は今日の仕事を片付けてから居所へ戻った。裴行倹を心配しながら眠れない夜を過ごす琉璃、そこでしんこ細工の人形を自分と裴行倹に見立て、何もできなかったことを詫びる。翌朝、琉璃は思い立って東宮へ見舞いに行った。すると王伏勝(オウフクショウ)が豆子を案内しながら、玉児という名を知っているか尋ねる。驚いた琉璃は知らないと言ったが、王内侍の話では裴行倹がうわごとでその名を呼んでいたという。「その女子のことが心配でならぬようだった、きっと想い人だな」裴行倹はまだ意識が戻っていなかった。すると急ぎの仕事がある王内侍は医官の豆子に包帯の交換を頼んで出て行ってしまう。琉璃は困惑しながらも裴行倹の手の包帯を換えたが、その時、ようやく裴行倹が目を覚ました。「具合は?!つらくない?!」「玉児…なぜ来たんだ?私は大丈夫、心配するな」「うん」2人はしばし見つめ合い、互いに相手の無事を喜んだが、その時、皇太子が現れた。李治は守約(シュヤク)が目を覚ましたと気づいて安堵した。「豆子が福を運んでくれたようだな」すると皇太子はよほど豆子が気に入ったのか、頭を優しく撫でてやる。裴行倹は相手が皇太子でも、やはり想い人が他の男に触れられるのは面白くなかった。「豆子、持ち場へ戻れ、叱られるぞ?」そこで李治はいつでも好きな時に見舞いに来れば良いと認めた。しかし裴行倹は皇太子の寵臣だと誤解されたら妬まれると反対する。李治はならば用事を作って豆子を呼んでやると約束、豆子は喜んで帰ることにした。孫徳成(ソントクセイ)は琉璃の好物を持って宮道で待っていた。そこへ東宮から戻ってきた琉璃が現れる。孫徳成は琉璃が東宮に出入りしていると知り、世継ぎ争いに巻き込まれるのを心配した。「宮中で生きるには保身を図ることが大切だ」「だからこそ太子殿下を曹王の陰謀から守りたいの、太子殿下は善良で名君になるはずよ きっと阿娘の事件を調べ直して冤罪を晴らしてくれるわ、駄目だとしても太子殿下を助ける 考えたの、保身を図るより実直な人が多ければ阿娘の最期は違っていたかもしれないって…」孫徳成は素性を隠した一介の医官に何ができるのかと呆れたが、琉璃は失敗しても後悔しないという。「全く頑固だな」咸池(カンチ)殿に尚服局の鄧七娘(トウシチジョウ)がやって来た。盂蘭盆会(ウラボンエ)当日の衣に何か要望があるか聞きたいという。しかし武媚娘は高位の妃嬪の衣を先に作ってからでいいと断った。「確かに熟練の宮女は人気なのでしょうね、そうだ、新人の豆子に頼むわ」実は媚娘は最近の楊妃の態度が変わったことに気づいていた。腕比べの時も明らかに皇太子を敵視し、最近では自分を皇帝に近づけまいとしている。わざわざ尚服局から使いが来たのは楊妃が自分の衣に探りを入れているからだろう。媚娘は早く作れば悪巧みの時間を与えてしまうと考え、慌てずとも豆子の腕ならすぐできると分かっていた。卓錦娘(タクキンジョウ)は繍女たちに担当の妃嬪を振り分けることにした。誰もが権勢にあやかりたいと高位の妃嬪を狙っていたが、そんな中、阿碧(アヘキ)は何年も担当してきた武才人のためにすでに図案を考えたという。しかし武才人は豆子を指名していた。武才人が存在感を増してきた途端、新人に横取りされた阿碧は面白くない。今も豆子はまた皇太子に呼ばれて東宮へ出かけていた。「ふん!豆子は刺繍より権力者にすり寄るのが忙しいみたいですね~師父も安心できませんよ?」「お黙りっ!」今日は裴行倹の仕官初日だった。皇太子の気遣いで東宮に呼んでもらった琉璃はすっかり元気になった裴行倹の姿に安堵する。すると裴行倹は玉児を送りながら、左衛率(サエイリツ)の就任祝いに欲しいものがあると切り出した。「実は君が作った肌着は着心地が良いと太子殿下が褒めているそうだ 着古したあとも取ってあるらしい…」「それなら遠慮はいらないわ」そこで琉璃は裴行倹に抱きつき、自分の指を使って採寸を始めた。驚いた裴行倹は皇太子にも同じことをしたのかと焦ったが、琉璃は皇太子の寸法なら尚服局にあると呆れる。「私にはいいが、他の者にはするなよ?」「ふふ、いつもは物差しを使ってる」「そうか(ホッ)じゃあ続けて…」「もう終わったわ!」(´・∀・)お、おう…一方、楊妃は卓錦娘の図案を気に入らなかった。「どれも古臭い…いっそ大家の席を譲ったら?」「どうかお鎮まりください!必ず満足される衣をお作りいたします!」卓錦娘は図案を引き取り帰ることにしたが、その時、楊妃が武才人の衣はどうなっているのか聞いた。しかしまだ製作が始まっておらず、ただ担当だけは豆子を指名したという。卓錦娘は図案の着想が浮かばず、繍女たちに妙案を出せと迫った。苛立つ大家の様子を見て良い気味だとほくそ笑む琉璃、しかし楊妃も楊妃で動き始める。武才人の侍女・松涛(ショウトウ)は御花園の築山で郎(ロウ)侍衛と密会していた。しかし楊妃の侍女・丹青(タンセイ)に見つかってしまう。侍女と侍衛の密通は死罪、松濤はひざまずいて命乞いした。「楊妃のためにひと肌ぬいでくれるなら、″郎″侍衛との不始末は秘密するわ」「郎侍衛?」松濤は丹青と郎侍衛に面識があると気づき、罠にはめられたと分かった。激怒した松濤は郎侍衛を引っ叩いて縁を切ると宣言、かくなる上は何でも申しつけてくれという。皇太子は曹王から守ってくれた裴行倹と豆子を酒席に招いた。すると王内侍が裴行倹を案内しながら玉児の件を持ち出し、想い人がいるなら皇太子に頼めば婚姻が叶うと助言する。「それは…その…話せば長くなるのでやめましょう」一方、琉璃はすでに皇太子に謁見していた。「今日は無礼講だ、くつろいでくれ」李治は2人に葡萄酒を振る舞いたいと話した。葡萄酒と聞いた琉璃は子供の頃、初めて見た葡萄酒の色に心を奪われ、ある日、母の目を盗んで飲んだことがあったという。「実は飲み過ぎて瓶を抱いたまま眠ってしまい、阿母に見つかってひどく怒られたんです」皇太子が豆子の思い出話に笑っていると、そこへちょうど裴行倹が到着した。裴行倹は琉璃が酔っ払うのではないかと気が気でなかった。そこで葡萄酒は後から酔いが回るため飲みすぎるなと釘を刺したが、皇太子から興が覚めると叱られてしまう。裴行倹の心配をよそに葡萄酒を飲み続ける琉璃、やがて皇太子もろれつが回らなくなってきた。琉璃もいよいよふらふらになり、慌てた裴行倹は酔い潰れる前に玉児を送って行くことにする。つづく( ;∀;)あ__私のイチオシ松濤ががが___
2023.07.05
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第24話)第51話「それぞれの区切り」凌不疑(リンブーイー)は15年間という長い歳月を耐え、ついに本当の名を明かした。「私の名は霍無傷(フォウーシャン)」「霍兄、すまなかった、今まで気づかぬとは…許してくれ」文(ウェン)帝は亡き義兄の忘形見を抱きしめ号泣したが、不疑は己の罪を認め、死を望むという。すると左(ズオ)御史中丞がこれ幸いと即座に死を賜るよう上奏、皇帝の逆鱗に触れても追及の手を緩めなかった。そもそも凌益(リンイー)が敵と通じた証拠がないという。しかし思いがけず廷尉府の袁慎(ユエンシェン)が証拠を持ってやって来た。凌益の妻・淳于(チュンユー)氏は職人に作らせた女媧像を汝陽(ジョヨウ)王妃に贈っていた。「その中に彭坤(ポンクン)と凌益の書簡が隠してありました、孤城を占領した証拠になるかと…」皇帝は書簡を確認、左御史に投げ渡した。しかし左御史は霍将軍にはまだ東宮の虎符を盗んで軍を動かした大罪があると食い下がる。すると今度は三皇子が駆けつけた。左御史の弟である左将軍は子晟(ズーション)の救出を邪魔しようとして捕まっていた。将軍は拷問により何もかも自供、左家は田(ティエン)家酒楼の番頭・田朔(ティエンシュオ)に大金で抱き込まれていたという。実は田朔は戾(レイ)帝付きの内侍で、腹心中の腹心だった。朝廷から戦神・凌不疑が消えれば安心して山河を奪い返せると考えたのだろう。内侍は田朔と名を変えて商人として潜伏、この数年は酒楼を隠れ蓑にしていたが、朝廷の官員も多く往来していた。「雍(ヨウ)王や小越(ユエ)侯とも結託していたのです! 父皇、彼らは田朔にそそのかされ、国と民に害を及ぼしたかと…」「田朔は霍将軍に恨みがあると言っただけ…戾帝の内侍など知りませぬ!」左御史は無実を訴えるも後の祭り、朝堂から引きずり出されてしまう。「厳しく拷問を科せ!死んでも構わん!」しかし三皇子の報告で田家酒楼はすでにもぬけの殻、謀反の証拠をつかむも田朔に逃げられてしまったという。( ๑≧ꇴ≦)ノ″ さようなら、おじいちゃ~ん!皇帝は奥殿に子晟と三皇子を呼んだ。確かに今回、子晟が虎符を使ったせいで皇太子は弾劾され、名声まで地に落ちている。三皇子は必要に駆られて使ったのだろうと庇ったが、皇帝はすでに気づいていた。「太子の手にあった虎符は偽物だ、小越侯に盗まれた虎符を子晟が取り戻し、そのまま持っていた お前たち2人は最初から…」「そうです」もはや隠し立てできないと悟った三皇子は皇兄ではこの国を担えないと訴え、楼犇(ロウベン)の事件も正しく賞罰しなかった皇兄が原因だという。実は子晟も同じ意見だった。子晟の話では皇太子のそばにいたわずか数ヶ月で東宮の全てを掌握できてしまったという。「太子が即位後、私さえ望めばすぐにでも政を乗っ取れる…そんな場面を見たいと? もちろん二心などありません、しかし私が思うに太子では重責を担えません」「よく言ったわ」すると皇后・宣神諳(シュエンシェンアン)が現れた。皇后は確かに子晟の言葉は理に適っていると認めた。一連の事件は立太子を誤った皇帝、凡庸で才のない皇太子、志を抱く三皇子、深い恨みを持った子晟、そして息子を溺愛した自分自身に関係があるという。「しかし少商(シャオシャン)は?この件と何の関係が?なぜ巻き込んだの?まさかこれも国のためだと? あなたの言葉は全て正しい、小さな情を捨て、天下を潤す なら聞くわ、あの日、城陽(ジョウヨウ)侯府に赴いた時、少商を捨てると決意していたの?」その時、子晟の頬を一筋の涙が流れた。「…はい」「今の言葉は本心?今回の件を悔いてはいないと?」「悔いていません」皇后は不疑の返答に深く失望し、そこで少商を呼んだ。「少商…」子晟は少商が自分の答えを聞いていたと知り、動揺した。「少商、許しを求めるつもりはない、だが信じている、分かってくれると…」「分かっています…でもあなたは私を分かっていたかしら?」すると少商は皇帝と皇后に破談を申し出た。「少商、聞いてくれ…」「今度はあなたが聞く番よ…私は昔から運が悪かった、真心なんて信じなかったわ でもあなたに出会い、言われるがまま好きになり、頼れと言うから頼った 信じろと言うから信じたのよ?でもあなたは? あの時、伝えたはず、私を捨てたら一生、許さないと… 霍将軍、どうか旧情に免じて私を解放してください」( ;∀;)シャンシャン…崇徳(スウトク)宮を出た少商は後宮へ続く長い回廊を歩いていた。すると途中で少商を心配して待っていた袁慎と出くわす。「少商、家に帰るんだ、奴が虎符を使った以上、太子と皇后も廃されるだろう」「廃されてもそれは皇后が自ら願い出たからよ、きっとお疲れのはず… 私も疲れたわ、もう家に帰りたい」少商はとりつく島もなく、会話をさっさと切り上げて行ってしまう。一方、宣神諳は皇帝に皇后の印璽を差し出していた。皇太子を廃し、母としての責任を取って皇后の座を降りたいという。「これまで流されるまま生きて来ました… その昔、陛下に妻がいると知りながら、舅父に言われるまま嫁いだ 私を皇后に立てると言われた時も、后位が荊の道だと知りながら受け入れたのです 太子は父の性格によく似ていました 本来なら書や学説で名を馳せられたはず、でも太子となったばかりに毎日、寝食もままなりません どうか国のために私たちを廃してください 越姮(ユエホン)が皇后なら三皇子も正当に東宮へ入れるでしょう」しかし皇帝は廃后だけはどうしても認められないと拒んだ。「太子に比べて皇后の非がどこにあるのだ?!廃す理由があるか?!」すると宣神諳は初めて思いの丈をぶちまけた。「もし私にも恨みがあったと言えば? この数十年、陛下と阿姮が笑ってふざけ合う姿を見るたび、心が蝕まれる思いでした 本当はいつも嫉妬と恨みに駆られていたのです! もううんざりです、后位に就く限りこの苦しみを味わう! 想い合える夫の愛を望んでいたのに、私は仲睦まじい2人を鷹揚として受け入れるしかなかった もし陛下が私に少しでも夫婦の情があるなら、これ以上、苦しめないでください 一度でいい、宣神諳として生きてみたいのです!陛下!」( ;∀;)皇后ォォォォ~皇太子は東海(トウカイ)王に降格、皇帝は宣神諳の望み通り長秋宮での軟禁を命じた。また凌家は取り潰しとなり、凌益の三兄弟は斬首になったという。霍無傷は凌不疑の分も生きたいと名を引き継ぎ″霍不疑″と改名、償いとして北西に7年の駐留を申し出た。そんな中、曲陵(キョクリョウ)侯府に梁邱起(リャンチゥチー)を通して不疑からの伝言が届く。本日、北西に発つため少商にひと目だけでも会いたいというのだ。しかし少商は双子の兄・程少宮(チォンシャオゴン)に見送りを頼み、巾着袋を託した。「遠き地にいればもう会わなくて済む、過去は断ち切るわ」少商は父と兄たちに散歩に行くと言って出かけた。蕭元漪(シャオユエンイー)と青蓯(チンツォン)は偶然、正門へ向かう少商の後ろ姿を見かける。「女公子はすっかり変わりましたね」「以前は少しでも落ち着いて欲しいと思ったのに、今やあそこまで落ち着き払って別人のよう 何だか以前のように勝ち気で他人を圧倒し、騒ぎを起こしている方が安心する 青蓯、初めから私が間違っていたのかしら?」「成長したのです、母ならば誰もが離れゆく子の姿を見る、一生は付き添えません」少商が馬車に乗ろうとすると、母たちが追いかけて来た。「少商?どこへ行くの?」「長秋宮です」「宣皇后は廃后後、自ら軟禁を申し出た、行ってどうするの?」「そんな時こそおそばにいなくては…阿父と阿母が孤城救援のため私を家に置いたのと同じです どうか忠義を全うできるよう私を長秋宮へ」一方、霍不疑は城門で少商が来るのを待っていた。梁邱飛(リャンチゥフェイ)はそろそろ出立するよう伝えたが、不疑は動こうとしない。その時、馬を駈けて程少宮がやって来た。「少宮、少商は?」少宮は黙って巾着を投げ渡すと、縁が切れた以上は強引に求めないで欲しいという。「…少商は他に何か?」「″もう会うこともない″と…」巾着には不疑が出征する時に託した凌府の印が入っていた。…裏切れば一生許さない、それが彼女だ…不疑は涙を拭うと、北西に出発した。( ;∀;)ウーレイィィィィィィィィィィ! ←違うw少商は母と程姎(チォンヤン)に別れを告げ、宮中に向かった。黙って馬車を見送る蕭元漪、しかし長秋宮が冷宮同然だと知りながら忠義を尽くすと言った嫋嫋(ニャオニャオ)の様子が引っかかる。…まさか、戻らないつもりでは?永遠に冷宮に留まると…「早く!馬車を準備して!」蕭元漪は急いで娘の馬車を追いかけたが、嫋嫋はすでに城内へ入っていた。その時、ちょうど馬車から降りてくる嫋嫋が見える。「嫋嫋!嫋嫋!行ってはダメ!母が間違ってた!母が謝るから…嫋嫋…」蕭元漪は必死に叫んだが、虚しくも城門は閉まってしまう。つづく(⸝⸝ ˘ω˘ )いやあぁぁぁぁ~良かったこれは琅琊榜ep26と東宮最終話に続く名場面かも〜何より皇后が良かったわママ?うーん、ママは…w
2023.12.08
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星河长明 Shining Just For You第5話葉景清(イェケイセイ)は羽(ウ)族の四皇子・翼無憂(イーウーユー)に救われるも死期が迫っていた。そこで四皇子に自分の死後、天啓(テンケイ)にいる凌霜(リンシュァン)を守って欲しいと懇願する。「凌霜は真師(シンシ)の加護を受けた者、そばにいれば星流(セイリュウ)石が見つかるはずです」「安心せよ、石のためでなくとも葉子(イェズー)を守る」葉景清も四皇子の娘への真心に気づいていた。しかし凌霜の運命の相手は皇帝だと伝えて旅立ってしまう。星瀚(セイカン)大典の吉所の期限を控え、白露(バイロウ)こと凌霜は夜遅くまで上奏文を書いていた。占術大師・雲紋(ウンモン)は凌霜の選んだ土地がどれも吉所とは言えないと困惑したが、凌霜は皇帝が納得すれば問題ないという。そこで翌朝、和合の吉日の暦を届けがてら天妃(テンヒ)・冷天曦(レイテンギ)から皇帝の人柄や好みを聞き出すことにした。冷天㬢は吉所選びに役に立つのならと、実は皇帝が占星術にこだわらないと明かす。「燹(セン)朝の末期、陛下が天啓に攻め入った時、敵軍は南宮に大軍を配した 南宮には神が皇帝と認める証し″伝国璽(デンコクジ)″があったからよ あの時、南宮に向かっていたら陛下は大敗を喫したでしょうね」「陛下は敵の策略に気づかれたのですね?」「ふふ、陛下は伝国璽を求めなかった だから南宮に力のある法術師を遣わし、大軍もろとも伝国璽を焼き尽くして灰にしたわ 陛下にとって勝利のための条件はただ1つ、強靭であること」(* ゚ェ゚)…なるほど、天命の象徴を焼くなんて占いを信じない証拠ね思えばあの時、使者に成り済ました彧修明(ユーシューミン)は凌霜に″運命を切り開くのは自分だ″と言っていた。白露は皇帝に献上する吉所候補を欽天監(キンテンカン)の監正(カンセイ)・界海天(カイカイテン)に提出した。しかし全て却下されてしまう。「陛下には私から話そう」「これには理由が…お待ちを!大人(ダーレン)!」しかし界海天は白露の説明を聞かずに出かけてしまう。白露は呆然としていたが、その時、樊(ハン)家の息がかかった主事・管宜(カンギ)がわざと白露を煽って上奏するよう仕向けた。界海天は皇帝に謁見、適所は見つからなかったと報告した。しかし白露が駆けつけ、吉所の候補が4か所あると上奏してしまう。皇帝は何かと横槍を入れる界監正を下げ、白露が選んだ候補地を見た。「どれもありふれた場所だ、しかも南宮まで候補に?」「お忘れですか?陛下、南宮は伝国璽が燃え尽きた場所です 伝国璽に備わる神気に包まれ、天下太平をもたらす吉所に違いありません!」「確信はあるのか?」「んー…ありません」皇帝は呆れたが、白露はそもそも皇帝が占星術を信じておらず、場所はどこでもいいはずだという。実は白露は民が立ち退き料の安さから自分の土地が吉所に選ばれることを嫌がっていると知り、民の財を損なわずに済む場所を選んでいた。「陛下が選べばどこも吉所なのです、ゆえに陛下に決めていただきたい」「天下太平か…いいだろう、南宮を選ぶ」欽天監に界監正が独りで戻って来た。管宜は白露が皇帝を怒らせて処罰されと内心、期待していたが、その時、白露が皇帝の勅命と一緒に戻ってくる。「″吉所選びで白露は功を立てた、本日より白露を欽天監主事とする″…ちんつー」すると界海天は管宜が努めていた司天(シテン)局の監督を白露に任せると決めた。冷天㬢は皇帝の様子で何か良いことがあったのだと気づいた。実は優れた家臣が現れたという。皇帝は白露が吉所を見つけたと明かし、自分の意向と合致したと喜んだ。「そもそも朕は天のお告げなど好まぬ…しかし民を治めるにはかようなふりも必要だ ただ祭壇を市中に造れば立ち退きさせるために銭が動き、大臣どもの汚職が横行する 確かに南宮は適所だ、白露は知恵を絞り、良い理由を考えた」一方、尚書僕射(ショウショボクシャ)・樊如晦(ハンジョカイ)は白露の調査もまともにできない次子・樊征(ハンセイ)に激怒していた。「なぜ優秀な私からお前のような愚かな息子が?!」しかし樊征はなぜこんなつまらぬ任務を与えるのかと不満を募らせる。「私が論じているのは樊家のことではない、天下だ 私が子孫に残すのは爵位ではなく、晁(チョウ)という国だ」樊如晦は不死身の皇帝にも白髪が生え始めたと気づき、神力が減衰していると考えた。そこでまず界海天を倒して皇帝の力を消耗させるという。翼無憂は見月(ケンゲツ)楼を任せていた鶴瑾(カクキン)と合流した。「どうかしたのか?」「実は葉姑娘が訪ねて来ました、公子の行方は伝えていません 長雨になりそうですね、雨宿りしましょう」2人はちょうど廃屋を発見したが、すでに娘が琴を弾きながら雨が止むのを待っていた。翼無憂は父と兄を待っているという娘に遠慮して軒下に出ると、結局、娘は先に琴を持って出発してしまう。「彼女の琴の奏法…静雲(セイウン)姨母に似ていると思わぬか?」その頃、界諸嬰(カイショエイ)は苦淵(クエン)海で芳華(ホウガ)鏡を捜索していた。しかし広大な苦淵海ではなかなか発見できず、途方に暮れる。すると七海怜(チーハイリアン)が俘虜(フリョ)を休ませてくれるなら協力すると申し出た。その夜、七海怜は勇士たちを集めた。「奴がいる限り死は免れない…」このまま収容所でこき使われれば夜北の民は滅びてしまう。七海怜は神鏡を探し出して界諸嬰と一緒に天啓へ向かい、晁皇を殺そうと提案した。ただし計画が漏れないよう例え身内でも明かしてはならないという。一方、樊家に朗報が届いた。界監正の子息・諸嬰が勅命に背いて夜北の七海部を守り、誅殺を拒んだという。「これは願ってもない機会だ、あやつの息子がつけ入る隙を与えてくれた」すると樊如晦は明日の朝議で早速、界諸嬰を弾劾すると決めた。皇帝の暗衛は樊如晦に届いた密報を手に入れ報告した。しかし皇帝は誅殺など命じていないと驚き、すぐ界海天を呼ぶ。実は夜北七海部の誅殺を命じたのは界天海だった。界天海は自分が皇帝の勅旨を改ざんしたせいで息子が軍令に背き、弾劾されると知る。「陛下!我が命を捧げます!どうか愚息の命をお守りください!」翌朝、皇帝は朝議で各州に都護府の設置を発表、大都護に兵権を与えると決めた。各州の区分、大都護の人選、関連する官署等の設置については樊尚書に草案を任せるという。その時、遅れて界海天が現れた。「お待ちを!」つづく
2024.06.13
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第18話「正体のない毒」皇太子・李治(リチ)は崖から転落したものの無事に生還し、東宮に戻った。しかし矢傷の治療にやって来た太医の手際を見て激怒、追い返してしまう。太医院は曹王・李明(リメイ)の息がかかり、もはや安心して治療を任せられる太医がいなかった。すると才人・武媚娘(ブメイニャン)が駆けつけ、武家の掛かり付けである盧(ロ)先生を紹介する。李治は外部からの医師の治療で安堵すると、王伏勝(オウフクショウ)に自分の身代わりとなって死んだ華天(カテン)の弔いと遺族の世話を頼んだ。楊(ヨウ)妃は李明を呼び、皇太子に怪我を負わせ、楊家の親族である宗(ソウ)太医を使って命を狙ったのかと迫った。李明は医者から皇太子の病状を聞いただけだと否定したが、狩場での暗殺未遂については認める。これで李明と皇太子の関係は完全に決裂するだろう。しかし楊妃は養子と言えど幼い頃から育てた李明を見捨てることができず、義母として覚悟を決めた。一方、豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)も東宮の騒ぎを耳にしていた。裴行倹(ハイコウケン)からの忠告を思い出した琉璃は皇太子の敵が曹王だと確信し、宮中の恐ろしさを実感する。…何の力もない私が敵を討てるかしら…しかし琉璃は思いがけず敵討ちの機会を見つけた。尚服局は盂蘭盆(ウラボンエ)の衣と負傷した皇太子に届ける替えの肌着で多忙を極めていた。すると阿碧(アヘキ)が卓錦娘(タクキンジョウ)に所望され、雪梅茶を入れに行くという。雪梅茶は頭をはっきりさせるお茶、鄧七娘(トウシチジョウ)は何がそんなに難しいのかと首を傾げた。実は今まで文句を言わなかった楊妃が今回は厳しく、指名された大家が何度、見本を届けても突き返されているという。琉璃は咄嗟に阿碧を追いかけ、手伝いを申し出た。殊勝な態度の琉璃に悪い気はしない阿碧、しかし茶を入れるといっても手順が難しく、雑用を頼むことにする。すると梅花清水の瓶を取ってくるよう頼まれた琉璃は密かに毒を混ぜた。琉璃は何食わぬ顔で阿碧に水を届けた。これで母の復讐を果たせる、そう思って采章(サイショウ)署に戻ったが、その時、ちょうど繍女たちが母の噂話をしている。「…安(アン)大家に比べたら卓大家は技も創意も及ばないから悩むのかしら?」「でも腕前より人間性よ、謀反の罪で身を滅ぼした安大家は″天下第一針″の称号にふさわしくない」琉璃は今、卓錦娘を殺せば母の冤罪が永遠に晴らせないと気づき、阿碧を呼び止めた。「私が茶を運びます」「結構よ」すると琉璃は強引に取り上げようとして盆を引っ張り、わざと茶碗を落とした。阿碧は豆子が手伝うふりをして邪魔をしたと憤慨し、また恨みを買ってしまう。考え事をしながら歩いていた琉璃はうっかり双児(ソウジ)とぶつかり、皇太子の肌着を落とした。そこで気分転換に双児の代わりに東宮へ肌着を届けに行くことにする。すると皇太子は治りかけた矢傷が再び悪化し、高熱で床に伏せっていた。琉璃は医官だったことから傷口を診せてもらったが、明らかに毒だと分かる。毒矢でないのなら傷に触れる薬や紗布(シャフ)、肌着が怪しいが、その時、ちょうど武才人が見舞いにやって来た。話を聞いた武媚娘は驚き、裴行倹に長安の名医を連れて来るよう頼み、盧先生をもう一度、呼ぶことにする。「あなたは間違いのないよう、殿下に付き添っていて」李治が目を覚ますと豆子が付き添っていた。すると李治は夢枕に母が立ったと話し、自分を迎えに来たのかもしれないと弱音を吐く。琉璃は自分も母を早くに亡くしたが、母親にとって子供は命より大事なものだと言った。「皇后が現れたのは太子を励ますためです… 命を大切にして母親が望んだ人生を送る、そうすれは必ず皇后は喜びます」「その通りだ、だが常に命を狙われ、それでも気づかぬふりをしなくてはならぬ このやるせなさをどう晴らせばいい…」「でも命を狙っても殺せなかったのなら相手の負けです ならば堂々と生きて相手を悔しがらせます、かえって向こうが怖がることになります」李治は常に前向きな豆子の言葉に励まされ、久しぶりに笑顔になった。裴行倹は都の名医3名を連れて東宮を訪ねた。3人の見立てでは確かに皇太子は毒に侵されていたが、盧先生の処方にも問題はないという。裴行倹は原因を突き止めるため自分の腕に傷をつけ、薬・紗布・肌着を試してみた。すると薬を塗った傷はすぐ血が止まり、紗布で巻いた傷も悪化はしていない。そこでその夜、琉璃は皇太子の肌着の生地を調べるため細料(サイリョウ)庫へ向かったが、同じことを考えた裴行倹と出くわした。「君のおかげで細料庫に入った宮女が誰か分からなかった」「知ってるわ、林(リン)尚服の配下の采月(サイゲツ)よ…そうだ!前は曹王府にいたと耳にしたわ」裴行倹は早速、曹王府に忍び込んだ。そこで屋根からのぞいてみると、配下たちが薬湯の中に生地を浸している様子を見る。屋敷に戻った裴行倹は同じ薬材を使って自分の傷に試し、実は傷口に触れることで初めて毒性を発する変わった処方だと分かった。…決して致命的な毒ではないが、傷が塞がることなく、最後は敗血症を招いて死に至らしめます…曹王は肌着に毒を仕込ませた、間違いありません…ひとまず敵の思惑通り重症を装っているのが得策でしょう…そうすれば養生しながら後の策を練ることができます一方、琉璃は安全な肌着を作り、深夜のうちに皇太子へ届ける肌着の中に紛れ込ませた。…私が作った肌着には″豆″と刺繍が入っています王伏勝は東宮に肌着が届くと、その中から″豆″の肌着を選んで皇太子に着せた。李治はすっかり回復、しかし外に出られず退屈していた。すると武媚娘が見舞いに現れ、思い出の鳩を届ける。つづく(  ̄꒳ ̄)メイニャン、皇帝の付き添いを断って皇太子の見舞いに行くなんて大胆w
2023.06.29
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第22話)第49話「捨てられし者の矜持」自ら凌益(リンイー)に手を下し、宿願の復讐を果たした凌不疑(リンブーイー)。しかし静まり返った城陽(ジョウヨウ)侯府に突然、程少商(チォンシャオシャン)が現れる。寝殿は骸で埋め尽くされ、おびただしい鮮血が窓紗を染めていた。「…なぜ来た?」「あなたは誰?凌不疑?それとも霍無傷(フォウーシャン)?」「私が誰であろうと君への真心は変わらない」「でもなぜ今日だったの?…なぜ私に教えてくれなかったの?」一族を殺された仇は必ず討たねばならなかった。しかし成婚してから敵を討てば程氏一族を巻き込んでしまう。凌不疑は自分の始末は自分でつけると言ったが、その時、外から左(ズオ)将軍の怒号が聞こえた。「凌不疑!勝手に虎符を使い兵を動員したな?!謀反を画策した罪は許されぬ! 今日、この門を出ようものなら容赦なく殺す!」退路を断った凌不疑はすでに自分の命で贖うと覚悟していた。「少商…ここでお別れだ、もう会うこともない」すると不疑は満身創痍の梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)には生きて欲しいと伝え、独りで屋敷から出て行ってしまう。少商は引き止めることもできず呆然と立ちすくみ、ただ泣きじゃくっていた。門前では凌不疑と因縁のある左将軍がすでに兵を率いて待ち構えていた。そこには捕縛された程家の姿もある。不疑は深手を負いながらも警告を無視して門から出た。すると弩から放たれた弓が不疑の肩に命中する。不疑はそれでも無視して一歩ずつ左将軍へ近づくと、今度は膝に弓が刺さった。「来啊っ!」「殺ーっ!」その時、馬のいななきとともに少商が現れた。門前は騒然、さらに梁兄弟が駆けつけ馬に体当たり、左将軍を落馬させてしまう。少商は凌不疑を連れて逃亡、しかしやがて崖に追い詰められた。「少商…これは私一人で進んだ道、同行させるわけにいかない」「なら答えて、歯型の誓いは何だったの?!私たちは生死を共にすると約束した 程家もあなたを救うために来たわ…今は恨みを捨てて私のことを考えて!」「少商、君には15年前の国の悲劇だろう、だが私には長年、心に巣食ってきた深い恨みなのだ 毎夜、眠りに就く時はいつも亡魂の叫び声が耳に響く そして目の前には無惨に殺された一族と血の海が広がっている あまりに重すぎる…あまりに重すぎて捨てることができない…きっとこの先も… すまなかった、君には本当にすまないことをした 天下の大罪人となった今、私が死んでこそ君や家族を守れる…」「…もし私を独りにするなら一生許さない、来世も、来来世も許さないから!」「許してくれとは言わない…程少商、私と君の縁は尽きたのだ」その時、じりじりと迫っていた左将軍が程娘子ともども殺せと命じた。「少商…しかと生きろ、すまない」すると不疑は少商の背中を押し、独りで崖に落ちてしまう。「リンブーイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」程家は屋敷での軟禁を命じられた。少商は衝撃のあまり意識を失って運び込まれたが、家族の懸命の介抱もむなしく目を覚まさない。すると三皇子が兵を連れて曲陵(キョクリョウ)侯府に乗り込み、程少商を渡せと迫った。家族は嫋嫋(ニャオニャオ)の部屋の前に立ちはだかり抵抗、蕭元漪(シャオユエンイー)は娘の閨(ネヤ)に外部の男を立ち入らせることはできないと拒否する。しかし三皇子は会えるまで帰らないと食い下がった。「子晟(ズーション)が程娘子にどれだけ尽くしたと?今日は何が何でも子晟を助けてもらう!」「裏切ったのは向こうだ!」娘を傷つけた凌不疑に憤懣やるかたない程始(チォンシー)、その時、寝台の少商がようやく長い夢から目覚めていた。三皇子が家族と対峙していると、少商が青白い顔でふらふらとやって来た。すると三皇子は子晟の父殺し、兵の動員、虎符の使用で朝廷に激震が走り、重臣18名が連名で弾劾、死罪を上奏していると教える。しかし少商は三皇子が来なくても参内するつもりだった。家族は止めたが、少商は自分に与えられた大役を果たさねばならないという。少商は皇宮に到着、輿を降りて三皇子と長い宮道を歩いた。「三皇子と子晟はいつから良朋に?」実は少商は雁回(ガンカイ)塔で密談していたのが三皇子と子晟だったと気づいていた。三皇子の話では幼い頃、池に落とされた子晟を救ったのは皇太子ではなく自分だったという。「私も子晟も独りを好み群れを嫌った、あの時も独りでいる時に溺れている子晟に気づいたのだ」「つまり幼い頃から2人は手を組んでいたと?」すると三皇子は人払いした。「バカを言うな!皇后と母妃は対立したこともない!」雁回塔では舅父の小越(エツ)侯が子晟に補佐を勧めたが、子晟は断ったという。それにしても程娘子はなぜ自分たち2人がいたと気づいたのだろうか。少商は凌不疑が杏仁を食べて倒れた時に看病したと明かした。その時、不疑が首から下げている玉佩を見たという。よく見るとその玉佩は少商が雁回塔で失くしたものだった。「あの時、2人の声が聞こえた、だから2人だと思っていたけれど、実は3人だったのね 3人目が子晟だった…」少商はようやく分かった。凌不疑が今回、皇太子の虎符で兵を動かせば当然、皇太子の位も危うくなる。つまり不疑が宿願を果たしたことで、図らずも三皇子の念願が叶ったのだ。少商はさすが抜け目のない凌不疑だと嫌味を言いながら歩き始めた。「それで?子晟を助けられるのか?」三皇子は程娘子があまりに冷静で淡々としている様子に困惑してしまう。「取り乱したり、共に尽きる気概はないのか?!」すると少商は急に立ち止まり、鬱憤を爆発させた。「いくら女でも自分の夫が何者かも知らず、蚊帳の外に置いてもいいと?! 成婚の2日前に気づいた、でも彼が話してくれるのを待ったわ もう憤ることも恨むこともできないのに、さもなければ薄情で身勝手だと思われる… 私の身体を切り開いて彼に心を見せてあげたい、彼が真心を捧げたなら、私とて彼に心を捧げた 彼に救われた命だからこの命で報いる、彼が助からないのならこの命で相殺する 死など恐れていなかったのに… 死ぬとしても生きているのに飽きたから、決して誰かと生死を共にするわけじゃない 凌不疑はこの世で最も好きな人よ、でも私は…やっぱり私なんです」その頃、朝堂では崔祐(ツイヨウ)が凌不疑への恩情を求めていた。しかし不疑に恨みがある左御史中丞は凌不疑が亡くなった母のために父を殺したと断罪する。袁慎(ユエンシェン)は左大人が早々に経緯を知っていたことを訝しんだが、返って廷尉府は凌不疑を庇うのかと非難を浴びた。寵愛する子晟の思わぬ暴挙に頭を抱える文(ウェン)帝、すると三皇子が程娘子を連れて現れる。左大人はここぞとばかりに凌不疑の父親殺しは明白であり、酌量の余地などないと訴えた。「…凌不疑は父親を殺していません、大層な意気込みですが最初から間違っているわ」「程氏、未来の夫のために嘆願に来たのだろうが、凌不疑ならやりかねん」御史台で散々な目にあった左大人は程氏も収監して尋問するべきだと訴えたが、皇帝は少商の言葉が引っかかった。「今、何と言った?なぜ父親を殺していないと?」「陛下にお答えします…なぜなら凌益は子晟の父親ではないからです 子晟の実父は霍翀(フォチョン)将軍、子晟は霍翀将軍の忘形見である霍無傷です」(O_O)言ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~子晟は確かに城陽侯に似ておらず、どこか霍将軍の面影があった。少商の話では杏子が好物のはずの子晟が霍君華(フォジュンホワ)の手作りの杏仁菓子を食べ、熱を出したことがあったという。「霍無傷は杏仁に触っただけでも赤く腫れるとか、それで私は疑念を持ったのです そして宴の夜、本人から告げられました、自分は霍侯の息子・無傷だと… 陛下、凌益は孤城の陥落を企て、霍将軍を惨殺した黒幕、子晟は父の敵を討っただけなのです」全てを聞いた皇帝は呆然、腰が抜けるように少商の前で座り込んだ。崔祐は何も知らなかった霍君華を思うとやるせなくなったが、少商は臨終の時を思い出せば分かるという。あの時、霍君華は子晟に自分たちの敵を忘れるなと遺言を残した。そして最期は確かに天を見つめながら我が子の名を呼んでいる。「阿狸(アリ)や…阿母も行きますよ…」霍君華は全て分かっていた。すると左御史中丞が新婦である程氏の言葉では証拠にならないという。少商はようやく凌不疑の苦悩を理解した。自分が誰の子かも証明できず、城陽侯が死ねば証人も消え、生かしておいても実子だと断定すれば反論しても無駄になる。「陛下、子晟は仕方なくあんな下策を…」しかし皇帝には凌不疑が阿狸か阿猙(アージョン)か証明する方法があった。「阿猙が子供の頃に見たことがある、身体に変わった形のあざがあった」「虎の頭では?!耳が3つある…子晟の腰の半寸下にありました 子晟の身体を拭こうとした時に偶然、見たのです!」「そうとも、3つの耳がついていた!ぁぁぁぁ〜早く捜索に遣わせ! あの青二才を崖から救うのだ!医官も連れて行け!食料もだ!」三皇子は直ちに崖へ向かうことにした。すると少商が追いかけて引き止める。「子晟の命を狙う者がいます あの日、左将軍は私たちを追い詰めて矢を放てと命じ、それで子晟は崖に…」「分かった…今日のことは感謝する 今後、子晟は愛するそなたのいいなりだな、ふっ」しかし少商の顔に笑顔はなかった。一方、崖から身を投げた凌不疑は蔓にからまり、かろうじて岩肌に留まっていた。どうやら不疑が手首に巻いていた少商の弦が蔓に引っかかり、運良く助かったのだろう。「少商…」つづく( ́ඉ .̫ ඉ ̀)ァゥァゥァゥァゥァゥァゥァゥァゥ…私のガオハン、美しかったわ~ ←そっちw
2023.12.01
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七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第7話天界では紅線翁(コウセンカク)や李(リ)天王たちが集まり、祥雲(シャンユン)と初空(チュコン)戦神の情劫を見守っていた。「李天王、この前、言っていた話を盛り上げる件は?」「要望にお応えします、私にお任せを~」筋書きを書いた李天王は自慢げに言ったが、そこへふいに昊軒(コウケン)帝君が現れた。「話を盛り上げるとは?」帝君は続きを見ようと誘ったが、神仙たちは蜘蛛の子を散らすように仕事へ戻ってしまう。一方、人間界では陸長空(ルーチャンコン)が武術大会での活躍を認められ、皇子たちの武術の師匠に選ばれていた。しかし陸家の増長を恐れる皇帝の不興を買い、このままでは家族ぐるみの付き合いがある宋(ソン)家にまで累が及ぶと気づく。屋敷に戻った長空は祥雲が巻き込まれることを恐れ、父に退婚を申し出た。陸涼(ルーリィャン)はそこまで深刻な状況ではないと言ったが、その時、見慣れぬ使用人が帳簿を届けにやって来る。すると陸涼はどこか上の空になり、長空は父が何か隠し事があると怪しんだ。居所に戻った長空は陸家軍の10年間の帳簿を取り寄せ、調べ始めた。気がつけば陽が昇り、結局、一睡もしないまま皇子たちの稽古に出かける。すると珍しく病弱な第3皇子・寧(ネイ)王の姿があった。長空は寧王に弓を差し出したが、その時、寧王の手首に見慣れた手巾が巻いてあることに気づく。「これは数日前、ある娘が巻いてくれた、まだ治らなくてな、少し手伝ってくれないか?」そこで長空は弓を構えた寧王の姿勢を直しながら、思わず手巾を外してしまう。「真に優れた射手なら強い心を持っています」寧王の放った矢は的の横をすり抜け、後ろの木に刺さった。他の皇子たちは自分の的すら分からないのかと冷笑したが、長空は寧王の本当の実力を見抜く。…病弱なふりをして才気を隠していたが、急に実力を見せつけて来たか…皇帝は陸家の台頭に頭を悩ませた。すると珍しく寧王が現れ、陸家を排除して父皇の憂いを除く策があると進言する。皇帝は8年前の災害以来、毎年、被災した民に大金を割いていたが、寧王は皇帝が密かに陸涼に命じてその民を都の郊外・文康(ブンコウ)に住まわせていると知っていた。「証拠は残っていないはず、どこでそれを知った?」「どうやって知ったかより、勝手に兵を集めて謀反を起こすのは一族皆殺しの大罪では?」一方、祥雲は武術大会の件で父から禁足の罰を受けていた。あれ以来、長空もなしのつぶて、何日も会いに来てくれない。もし他に意中の人が現れたのなら喜ぶべきことだが、祥雲はなぜか胸が苦しくて息もできない気分だった。そこで紫輝(シキ)を呼び出し、陸家を偵察するよう頼む。紫輝は陸家に逗留する鶯時(オウシ)に会えると喜んで出かけたが、逆に鶯時から祥雲を探るよう命じられてしまう。紫輝はすっかり鶯時に懐き、なかなか戻らなかった。恋仲の翠碧(スイヘキ)と陸放(ルーファン)は密かに落ち合い、主たちが疎遠になったせいで別れの危機だと嘆く。その頃、寧王は宋府に祥雲を訪ねた。祥雲はちょうど中庭で居眠りしていたが、寧王は扇子を広げて日陰を作り、黙って見守る。すると不意に目を覚ました祥雲が驚いた。「いつ見えたのですか?」「少し前だ、寝ていたから起こさずにいた」寧王は妹の誕生日が近いため、祥雲に贈り物選びを手伝って欲しいという。名簿を調べていた長空は朝廷からの軍費が陸家の兵数と見合っていないと分かった。…多額の軍費は何に使われているんだ?まさか…長空は王伯陽(オウハクヨウ)に文を書き、文康にいる避難民を全て移動させた。つぎに陸家の将とその家族に密かに都を離れるよう通達させる。陸放は陸家に何か災いが降りかかるのだと気づき、宋小姐をどうするつもりか聞いた。すると長空は″巻き込めない″とだけ答えた。祥雲は寧王のおかげで久しぶりに街へ出かけた。しかし寧王と一緒にいても思い出すのは長空と出かけた時のことばかり。すると露店で虎と豚が抱き合う可愛い陶器を見つけ、思わず買ってしまう。寧王は祥雲がその陶器を陸長空に贈るつもりだと気づいた。「この前、彼との絆から逃げたいと言っていたな?…そなたの願いは何でも叶える」長空は鶯時にも辺境へ戻るよう命じた。しかし鶯時は祥雲のせいだと誤解、このまま安涼(アンリョウ)に戻れば嫁に出されてしまうと焦る。鶯時はひとまず従兄の言う通り屋敷を出たが、考えがあった。祥雲は両親の話を立ち聞きし、陸家に危険が迫っていると知った。そこでこっそり長空の部屋に侵入して待っていると、やがて長空が戻って来る。「祥雲?!なぜここに?」「大事な話があるの」すると回廊から陸放の声が聞こえた。<少爺?宋小姐を呼んできます!祥雲はここにいると答えようとしたが、長空は思わず口をふさいで止めた。<少爺、毎晩、長命玉を握りしめて放さないのは恋しいからでしょう?驚いた長空は門を少し開け、陸放を追い返した。祥雲は長空にすぐ都を離れるよう勧めた。父の話では皇帝が陸家の帳簿を密かに差し押さえたという。すると長空は退婚書を渡し、心にもないことを言って祥雲を傷つけた。「私たちは確かに幼なじみだ、だが人は変わる、もう疲れた、君には付き合い切れない これからは他人だ、私のことはもう気にするな」祥雲は自分を巻き込まないための嘘だと分かっていた。「それであなたの心が安らぐなら私も協力する、お荷物にはなりなくないの でも婚約のことは焦らないで、けりがついても気持ちが変わらないなら私から話すから」祥雲は思わず退婚書を破り捨てた。「長空、忘れないで、指切りして約束したでしょう?…死んでは駄目」祥雲はあふれる涙をぬぐいながら帰って行った。引き止めたい気持ちを必死に押さえ、祥雲の背中を見送る長空。書卓には敗れた退婚書があった。つづく
2024.06.15
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第14話)第41話「約束の地」皇太子妃孫(スン)氏は庶民に降格、北宮送りとなった。もはや孫氏を気に掛ける者などいなかったが、程少商(チォンシャオシャン)だけが最後の別れにやって来る。「…約束を守って成婚した太子殿下と支え合いながら縁を大事にするべきでした 殿下が曲泠君(チューリンジュン)を忘れられなかったのではない、あなたが思い出させたのよ? 自分の不幸を人のせいにしないで」しかし孫氏は非を認めず、反省すべきことなどないと頑なだった。少商は話しても無駄だとあきらめ、帰ることにする。「あなたを縛り付けているのは宮中ではない、あなたの心よ?」こうして冷宮の門は堅く閉じられた。少商はようやく皇太子と曲泠君が結ばれると思ったが、驚いたことに曲泠君は梁無忌(リャンウージー)に再嫁すると知る。確かに梁州牧(シュウボク)はこれまで身を挺して曲泠君を庇っていた。凌不疑(リンブーイー)は磊落(ライラク)な梁州牧のこと、成婚後は曲泠君の子を我が子とみなしてくれるはずだという。すると少商はしみじみ子晟(ズーション)と巡り会えたことに感謝した。「自分は不運だと思っていたけれど、これまでの運をためてあなたに出会えたのね… 私は運が良く、見る目もある、ふふ」「見る目があるのは私だろう?」そんなある日、寿春(ジュシュン)に有事との急報が舞い込んだ。文(ウェン)帝は早速、寿春平定のため策を練ることにした。集まったのは凌不疑と将軍の万松柏(ワンソンバイ)、崔祐(ツイヨウ)の3人、どちらにしても寿春は挙兵に適さない土地のため、孤立させれば落とすのは早い。そうと知ってか、今回は朝臣や世家が適齢の子息たちを軍に入れて鍛えたいと嘆願する上奏が絶えなかった。とは言えひ弱な子息たちを率いるのは難儀だろう。すると成婚を控えた凌不疑が出征したいと名乗りを上げ、皇帝の逆鱗に触れた。少商は戦術会議に手作りの甘酒を差し入れるつもりだった。しかし凌不疑が皇帝を怒らせてしまい、届けられそうにない。不疑が心配で心ここに在らずの少商、そこで皇后は皇帝を説得する知恵を授けた。皇帝は将軍2人を追い返し、子晟の首根っ子を捕まえて部屋の隅に立たせた。「この青二才め!寿春などお前が案じるまでもない!」「彭坤(ポンクン)も孤城の陥落を招いた一因、戾(レイ)帝と結託していたはずです」不疑は彭坤に直接、確かめたかったが、皇帝は都でおとなしく成婚を待つよう言い聞かせた。「万が一があれば成婚できないぞ?!」少商は甘酒の差し入れを口実に崇徳(スウトク)宮にやってきた。実は皇后から皇帝に伝言があるという。「将軍は戦場へ馳せるべし、都に隠れ、怠惰であれば、子晟の徳は位負けすると指摘される…」「本当に皇后が言ったのか?」皇后は皇太子の一件から身体が衰える一方だった。皇帝もそんな中での諫言を無視できなかったが、やはり子晟を無事に成婚させなくては気が休まらない。しかし少商は子を思うなら背後から支持すべきだと諌め、親だけでなく妻も夫を支持する必要があると訴えた。皇帝は仕方なく子晟の出征を認めた。ただし彭坤を捕らえてすぐ都に戻り、必ず予定通り婚儀を上げろと命じて2人を解放する。すると少商は凌不疑の顔を両手で挟み、まじまじと見つめた。「じっくりと眺めて覚えておかなくちゃ 阿父が戻った時は目の半分と歯が白いだけで、残りは真っ黒だったから 身を粉にして戦わないで、墨と成婚するのは嫌だもの」「それほど心配ならなぜ陛下に出征を勧めたんだ?」「舅父の死と孤城の全滅はあなたの心痛であり、わだかまりでもある ご不調の皇后の世話がなければ私もあなたと敵を倒しに行っていた …子晟、あなたが彭坤を捕らえる姿を見たかった、敵討ちの痛快さを私も味わいたいもの」「はお、その言葉だけで十分だ」「早く戻ってきてね、待ってるわ、あなたが娶ってくれるのを」「最も盛大な婚礼を挙げるよ、待っていてくれ」ある夜、少商は大きな荷物を背負い、黒衣で変装して凌軍の大営に潜入した。しかし難なく将軍の天幕に到着、もしこれが敵の偵察だったらあっさり手中に落ちているだろう。少商はあきれたが、凌不疑は巡回中の兵士たちが気づかないと思うのかと笑った。実は兵士たちはわざと将軍の新婦を見逃し、それとなく将軍の天幕まで誘導してくれたという。「つまり私を笑って眺めていたの?…チッ!クソリンブーイー(ボソ」すると不疑は出発前に贈り物があると言った。凌不疑は少商を連れて櫓に登り、草原を指差した。実は皇帝に凱旋後、何が欲しいか問われ、軍営の横の土地と答えたという。不疑は少商が自分で屋敷を建てるのが夢だと覚えていた。「そこが私たちの住む屋敷になる、全て自由にしていい、今後、あの地が私たちの家だ 求めていただろう?正真正銘の自由な地を…そこなら誰にも責められず、誰からも足蹴にされない あの地で子を産み育て、老いていく、連れ添いながら…」少商は感激のあまり声が出なかった。誤解した不疑はまた勝手に決めたことを謝ったが、少商は喜んで口づけする。「気に入ったわ…」少商は自分も三叔父夫妻のように花や月を愛でながら、子晟と共白髪となり、生死を共にできると思うと万感迫る思いだった。「約束して、凱旋したら私たちの新しい家を建てると…」「はお、約束するよ」「私が危険を冒して来た理由が分かる?…贈り物を持ってきたの」凌不疑の出征の日、城門では若い未婚夫婦が別れを惜しんでいた。不疑は少商がくれた鎧をまとっていたが、少商の痛々しい指に気づいて驚く。「今後は2度と裁縫しなくていい」「鴛鴦が気に入らないの?」「鴛鴦?てっきり鶏の羽かと…」「鴛鴦よ!命を顧みない時、この羽を見れば都で待っている私を思い出すでしょう?」背後で控えていた護衛・梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)は愕然となった。まさか若公主の甲冑に鴛鴦の羽が施されていたとは…。( ̄▽ ̄;)<出征したくなくなった…敵軍に笑われる「気に入らなければ羽は外していいけれど、この帷子(カタビラ)は脱がないでね 銅の糸と麻で織ってあるから、軽いけれど刀傷を防げる…兎の刺繍も入れたのよ?」「あれは兎?…鼠だとばかり」「兎よ…私の干支だから…」「そうだ、兎だ、君が兎と言えば兎だ」「…もともと兎なんですけど(ボソッ」そんな仲睦まじい若夫婦の様子を城楼から皇帝たちが眺めていた。皇帝と越(ユエ)妃は2人にかつての自分たちの姿を重ねて懐かしんだが、そこに皇后の入る隙はない。一方、少商の父も支援部隊として銅牛(ドウギュウ)県へ銅を運ぶ任務を命じられていた。程始(チォンシー)は娘が自分には襪子(シトウズ)すら縫ってくれなかったとぼやいたが、蕭元漪(シャオユエンイー)はあの恥ずかしい鎧を着たいのかと笑う。「そうだな、鶏の羽なんぞまとったらさらす顔もないw」凌不疑は必ず生きて戻ると誓い、馬にまたがった。すると少商に小さな袋を投げ渡す。中には凌府の印章が入っていた。「世の情人が結ばれるのは最も美しいことですね」皇后は若い夫婦の姿に感銘を受けたが、ふと寂しさを覚えた。…だけど私はそんな想いを味わえなかった…つづく( ;∀;) イイハナシダナーと思っていたのに、羽のせいで台無しよwwwww
2023.11.05
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那年花开月正圆 Nothing Gold Can Stay最終話「愛を貫いて」周瑩(シュウエイ)は西太后と光緒(コウショ)帝に拝謁した。最初は上々だったが、最後にうっかり″変法″の標語を引用してしまう。「太后のご不興を買ったかも…」謁見を終えた周瑩は趙白石(チョウハクセキ)に申し訳なさそうに伝えたが、そこへ崔(サイ)太監が駆けつけた。皇太后が周瑩を気に入って褒美に東阿阿膠(トウアアキョウ)を与え、さらに爵位を授けると命じたという。周瑩は安堵すると、次は趙白石が拝謁する番となった。趙白石はこの機に沈星移(シンセイイ)から託された日昌和(ニッショウワ)の仕訳帳を提出、これを見た西太后と皇帝は郡王が戸部を利用して私腹を肥やしていたと知る。憤慨した西太后はこの件について他言無用と告げ、帰りに汴梁(ベンリョウ)を通る際に対策を講じると言った。趙白石は別院に周瑩を訪ねた。ついに皇太后が郡王を排除するという。周瑩はこれで死んだ人たちも浮かばれると感慨無量だったが、話はそれだけではなかった。「もう1つ、深刻な知らせだ… 沈星移が涇陽(ケイヨウ)の街で目撃された、奴から連絡は?」フル(・_・ ))(( ・_・)フル周瑩は沈星移が自分に会いに来ると期待したが、趙白石は恐らく狙いは皇太后と皇帝だと教えた。皇太后と皇帝の暗殺を企てている組織があるが、その組織の中心人物が沈星移だという。「いいか、これは一大事だ、決して感情で動くなよ? 沈星移の情報が入ったらすぐに知らせろ もし両陛下が東院で暗殺されれば、我らや懐先(カイセン)はもちろん、 呉家にいる全ての人間が打ち首になる」すると趙白石は懐先を自分の屋敷に連れて行くと決めた。「にゃん?!」「一緒に行って」「明日、両陛下が発御されたら懐先を返す」周瑩は没落した沈家を訪ねた。しかし荒れ果てた実家に沈星移の姿はない。周瑩は侍女として暮らしていた沈星移の寝殿に入ると、しみじみあれからずい分と遠くへ来てしまったと実感した。その頃、呉家の厨房に野菜を搬入する使用人の姿があった。男は野菜を届けると、こっそり身を隠す。その使用人とは西院の呉沢(ゴタク)だった。その夜、周瑩は胸騒ぎがして眠れなかった。なぜか沈星移が来る気がしてふと戸の前に立ってみたが、その時、使用人になりすました沈星移が本当に入ってくる。2人は固く抱き合い、再会をかみしめた。しかし周瑩はふと冷静になり、暗殺を思いとどまるよう説得する。「星移、革命のために私や自分を顧みずとも、他の人のことは考えて 暗殺は止めないけど、東院では手を下さないで」周瑩は呉家の人間が皆殺しになると心配したが、沈星移は策なら考えてあるという。「君や懐先はもちろん、東院の者にも害は及ばない…」すると突然、沈星移は短刀で周瑩の肩を突き刺し、衝撃を受けた周瑩に口づけした。沈星移は怪我をした周瑩を椅子に座らせ、縄で縛り始めた。これなら暗殺事件が起こっても、周瑩が責められることはない。しかしその時、夜回りしていた趙白石が周瑩の部屋の灯りに気がついた。「周瑩、まだ起きているのか?」「ぁ…もう休むわ、大哥も休んで!」「分かった、では行くよ」一方、時を同じくして、呉沢も西太后を暗殺すべく、東院へ向かっていた。沈星移は周瑩を縛り付け、ついに出て行くことにした。しかし戸を開けると、帳(トバリ)の内側で待ち構えていた趙白石が剣を突きつけ入ってくる。趙白石は先ほど周瑩が懐先のことを何も聞かなかったため、異変を感じたという。「趙白石、戸を閉めろ」すると沈星移は趙白石に銃を向けた。趙白石は仕方なく戸を閉めて剣を捨てた。そこで沈星移は正房まで案内するよう脅したが、趙白石は自分を撃てという。驚いた周瑩は沈星移にあきらめるよう訴えた。趙白石の性分なら自分の命に代えても暗殺を阻止するだろう。周瑩はこれ以上、家族を失いたくないと訴え、このままでは二人とも死んでしまうと嘆いた。「大哥、これは私からの最初で最後のお願いよ、星移を逃してあげて」周瑩の悲痛な叫びに沈星移は銃を下ろし、趙白石も沈星移を逃すと決める。しかし趙白石が戸を開けると、帳の向こうから官兵たちが刺客が現れたと話している声が聞こえた。(#≧ꇴ≦)もぉぉぉ!呉沢ーーーっ💢刺客が別院へ逃げ込んできた。趙白石は自ら刺客と剣を交え、刺客の覆面を外したが、その正体が呉沢だと知る。すると呉沢は趙白石が驚いて手を止めた隙に、周瑩の部屋に逃げ込んだ。趙白石は焦って官兵たちを制止、自分に任せろと叫んで部屋に入る。こうして周瑩の寝殿には奇しくも沈星移と呉沢、そして趙白石が揃うことになった。趙白石は呉沢を突き飛ばし、軽率な行動をとがめた。「呉家の人間が東院で暗殺だと?!」「陛下を救う最後の機会だ、行かせてくれ、皇上が政権を握れば国は救われる」しかしすでに屋敷は官兵が包囲していた。呉沢はもはや殺されるか捕まるかの二択しかない。このまま呉家の人間が刺客として捕まれば一族連座となり、呉家が滅ぼされること必至だ。「もう誰も逃げられぬ」趙白石は最悪の事態を覚悟したが、その時、沈星移が方法があると言った。沈星移は呉沢の覆面を外して自分の顔につけ、呉沢の剣を手にした。そして趙白石に銃を投げ渡すと、いきなり手刀で趙白石の首を突き、意識を失わせる。「星移…行ってはダメよ…」しかし沈星移は何も言わず、いきなり外へ飛び出してしまう。周瑩は呆然としたまま庭から聞こえる剣戟(ケンゲキ)の音や、官兵たちの怒号に胸が痛んだ。やがて外は静かになる。周瑩は沈星移の最期を悟り、ひとり涙に暮れた。翌朝、呉家一族は西太后と光緒帝の見送りに出た。すると皇太后はひざまつく周瑩に気づき、声をかける。「何年、寡婦を貫いた?」「お答えいたします、太后、14年です」「…私は39年だ」西太后は共に女として一族を支えてきた周瑩の苦労に共鳴し、呉家をあとにした。趙白石は呉沢を人知れず呉家から出し、埠頭まで送った。呉沢や呉家数百人の命を救った沈星移、趙白石はそんな沈星移の死を無駄にしないよう、これからは自身を大切にしろと助言する。「お前は?まだこの泥沼の中を漂い続けるのか?」「これからもこの道で踏ん張り続けようと思う」「…行くよ」「元気でな」周瑩は懐先(カイセン)の見送りで上海の埠頭にいた。すると一緒に来ていた趙白石から端郡王・載漪(サイイ)一家が新疆(シンキョウ)へ流刑処分になったと聞く。周瑩はふとあの時、東院でもし皇太后が殺されていたら、懐先をどうしていたのか尋ねた。しかし趙白石はただ懐先を我が子同然に思っているとだけ答える。そこへ懐先が戻ってきた。「にゃん!舅舅!そろそろ乗船します!」周瑩は懐先を船の入り口まで送ったが、複雑な心境だった。「私はこれまで多くの別れを経験してきたの、呉聘(ゴヘイ)、父上、私の父、そしてあの人… 今度はあなたとお別れするのね」「安心してください、僕はまた帰って来ます」「早く帰ってきて」「母上、2年などあっという間です!その時には僕もこの国も変わっているはずです!」こうして懐先は旅立って行った。…周瑩は1869年、陝西三原(センセイサンゲン)県の周家に生まれた…幼い頃から才知と人徳を兼ね備え…17歳で涇陽(ケイヨウ)安呉堡(アンゴホウ)村の呉家に嫁ぎ、呉聘の妻となる…結婚後は夫と義父を相次いで亡くし、幼い養子の懐先を抱え、呉家の商いを一手に担った…周瑩は仁義や信用を重んじ…人材を上手に使う柔軟な経営手腕で呉家東院を比類なき大商家にのし上げる…また学業支援や廟の建築、道路および橋の修繕、造船などに貢献…さらに災民や貧民を救済し、多くの慈善事業を行った…そして1908年、周瑩は40歳でこの世を去り、一品の誥命(コウメイ)夫人に封じられる…周瑩が商売で起こした奇跡や人助けの心…それらは陝西商人の新しい道を切り開く勇気や、信用を守る精神として今日まで伝えられている完( ๑≧ꇴ≦)長かった~!女子学堂の開校で終わりで良かったと思うな〜それにしても上海埠頭が小さ過ぎない?←最後の感想がこれかw
2020.04.21
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第31話「隠しきれない真実」方鑑明(ホウカンメイ)は黄泉(コウセン)営の張承謙(チョウショウケン)から届いた密報を読んでいた。するとふと周幼度(シュウヨウド)の言葉が頭をよぎる。…愛する人といられるなら、それが1日でも海市(ハイシー)は幸せなはずです…そこへ海市が師匠の煎じ薬を持ってやって来た。鑑明は海市に密報を渡し、黄泉営に異常がないので戻らなくて良いという。「これを持っていても役に立たぬと?」鑑明が差し出したのは海市が返した玉板指だった。海市は喜んで玉板指を受け取ると、思わず鑑明に抱きついてしまう。「分かっています、師父がいつも私を突き放すのは危険な目に遭わせぬため でも私たちの勤めに長寿は望めず、離れたら2度と会えないかもしれない… だから危険は恐れません、恐れるのは師父が私をそばに置かず、遠ざけることです」すると鑑明は海市を愛する気持ちを隠さず、海市を抱きしめた。朝議では大臣が褚季昶(チョリチョウ)について諫言していた。昶王は負傷して以来、朝議に顔を出さず、最近は王府に芸人や鷹の卵を売る異民族が集まり、毎晩のように楽器を奏でているという。しかし旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は自分をかばって怪我をした褚季昶を自由にさせていた。そんな皇帝の寵愛を利用し、ある夜、外套を目深にかぶった異民族の男が昶王府に現れる。褚季昶は男の腕前を見るため刺客を放ったが、男は見事に風を操って刺客を捕らえた。「一撃で成功するなら左菩敦(サホトン)王と取り交わした謝礼の約束を果たす 貴部が迦満(カマン)を併合することに大徴(ダイチョウ)は関与しない」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は今夜も皇帝が暗殺される夢を見て飛び起きた。皇帝が帝姫府で襲われて以来、悪夢にうなされ病状が悪化してしまった緹蘭、しかし政務で忙しい皇帝をわずらわせないよう報告を拒む。しかし緹蘭の病は褚仲旭の知るところとなった。愈安(ユアン)宮に駆けつけた褚仲旭は緹蘭の病を治せない侍医に激怒したが、緹蘭が皇帝をなだめてくれる。一方、海市は急に殤(ショウ)州へ発つことになった周幼度を城門まで見送ることにした。「あの日、清海公から何か話は?」「師父の話?あ、私を都に残すと…」「それは良かった」海市はせめて春まで待ってはどうかと引き止めたが、周幼度は雪山で伝承の絶えた技が載る剣譜が発見されたため、どうしても見に行きたいという。「いつ戻る?」「分からない…」こうして周幼度は愛しい人の幸せを祈りながら旅立った。褚仲旭は緹蘭を静養させるため、冷えに効くという蝶泉谷の温泉に出かけた。海市も行宮を警護するため同行したが、うっかり周辺を見回してしまう。褚仲旭は海市を温泉から遠ざけ、罰として方鑑明の前でひざまずくよう命じた。しかしかえって鑑明と海市は人目がない場所で2人きりとなり、静かに過ごせる時間を得る。その時、突然、鑑明は胸に激痛を覚え、血を吐いた。「師父?!」「陛下を守れ!」褚仲旭は温泉の異変に気づいて緹蘭の元へ駆けつけた。その時、温泉から刺客が飛び出し、褚仲旭の右肩に暗器が命中してしまう。驚いた淑容妃が悲鳴をあげると同時に瞬時に岩陰から護衛が現れた。すると召風師(ショウフウシ)は護衛の顔を見て驚愕する。「奪罕爾薩(ダッカンジサツ)…」「海市!陛下をお守りしろ!」方卓英は逃亡した召風師を追跡したが逃げられてしまう。褚仲旭は方鑑明のおかげで無傷だったが、怪我を装って気を失った。金城宮は厳戒態勢が取られ、夜になっても日中の如く明るく照らされている。すると方鑑明は卓英を連れて昭明宮に戻った。卓英の報告では召風師の人相書を頼りに調査したところ、先日、良く似た男が昶王府を訪れてすぐ去っていたという。実は以前にも昶王府に奇術師が訪れていた。恐らく買収された奇術師が顧陳(コチン)氏の孫に毒を盛り、師匠を狙わせたのだろう。しかし昶王は皇帝の唯一の弟であり、帝紀の婚儀で命がけで皇兄を救った功績があった。昶王がいくら怪しくても確実な情報がなければ結論を出すことはできない。「もし昶王が関係するなら背後に大きな陰謀があるはずです」召風師のような奇才が未だ鵠庫に存在しているとは意外だった。そのせいで卓英は正体を見破られ、いよいよ真実を隠し通すことが難しくなる。すると方鑑明は紅薬原(コウヤクゲン)で卓英を拾った時のことを懐かしんだ。「私が名を尋ねると、お前は風変わりな言葉を話した、鵠庫の古語だと思う」「全く覚えていません」「たくさん話していた、ひと言目が″タクエイ″だった、だからお前を卓英と名付けた」鵠庫の伝説によれば数千年前、北の草原で寺九(シキュウ)という男が龍裔(リュウエイ)天馬を飼い慣らすため12年も奮闘したという。そして身体は石、髪は草のようになった頃、ついに天馬に乗ることに成功した。天馬はいななき、虹や雷雲の上を渡り、天地の間を12年も疾走、やがて寺九に手懐けられた天馬は女子に変わり、寺九の子を4人産んだという。この4人が鵠庫4部の祖先であり、同じく駿馬だ。「初めて会った日からお前は天馬だと分かった だがどんなに良い馬でも環境を間違えば天与の力が無駄になる 長年、お前を育て、武術と経略を教えたのは期待していたからだ いつの日かお前が瀚(カン)州を二度と殺し合いのない地にしてくれるはずだと…」方鑑明も卓英を手放すのは辛い決断だった。しかし海市が奪洛(ダツラク)と卓英が瓜二つだと知り、刺客が卓英の名を呼んでしまった今、卓英を天啓(テンケイ)に残すことはできない。「瀚州へ帰る貴重な機会だ、迂闊に過ちを犯すな お前の兄と叔父は犬猿の仲、今回の帰郷は成果をもたらす、私も助けを遣わそう」鑑明は鞠柘榴(キクシャリュウ)の面倒を自分が見ると約束し、決して辛い思いはさせないと約束した。すると卓英も覚悟を決め、自分の使命を果たすと誓う。恐らく召風師はまたやってくるはずだ。江湖の傑士は毎月の朔日(サクジツ)に天地の気を借りて最大の力を奮い起こす。「来月の朔日、我々が金城宮を護衛しよう」方卓英の心残りは海市のことだった。海市の師匠への秘めた想いを知っている卓英、この件を隠してもし事の情勢が変われば海市は悲しむことになる。しかし方鑑明は卓英が気にかけるべきことではないと言った。「あと数日、兄弟一緒の時間を大切にしろ、今後は会うことが難しくなる…」すると鑑明は最後に卓英の鎧を直してやった。海市は屋根の上で独り酒を飲んでいる卓英を見つけた。今夜はやけに感傷的な卓英、確かに多くのことが起きて、師匠の身体も治っていない。「師父はいつ治るんだろう?蝶泉谷でも急に吐血したし…」「吐血?!」「そうさ、知らないのか?陛下が襲われた時だ」卓英はしみじみ霽風(セイフウ)館の者は誰もが満身創痍だと漏らした。師匠も憂いや苦労が重なって吐血したのだろう。「海市…師父の世話を頼んだぞ」「なんだよ急に…分かった!何か隠しているな?危険な任務でも任されたのか?」「ふっ…まさか、霽風館で一番のやり手だぞ?千年のすっぽんより万年の亀よりも長寿だ!」「???…しっかりしろ、柘榴との祝宴を楽しみにしてるんだぞ?」翌朝、皇帝は病を理由に朝議を免除、大臣たちは紫宸殿をあとにした。大臣たちがいつも健康な皇帝の病に困惑する中、褚季昶は清海公を呼び止め、皇兄の病状を尋ねる。そこで方鑑明は皇帝が温泉に出かけた時、風邪を引いたようだと嘘をついた。「では金城宮にお見舞いに行っても?」「殿下は皇弟、当然、構いません、ですが風邪は人に移ります、殿下も回復されたばかりですし…」「心配ありがとう、では後日、訪ねることにする」褚季昶は笑顔で引き返した。しかし清海公に背を向けると、その顔からふいに笑顔が消える。つづく( ๑≧ꇴ≦)やっと本題キター!
2022.10.18
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第21話)第48話「宿願、ここに果たせり」城陽(ジョウヨウ)侯・凌益(リンイー)の五十路を祝うため、凌一族が屋敷へ到着した。凌益は15年も父子の団らんを阻んできた霍君華(フォジュンホワ)が亡くなり安堵したが、夫人の淳于(チュンユー)氏は子晟(ズーション)の父親を見る目が恐ろしかったと警戒する。「もしや君華姐姐から聞いたのでは?あなたが孤城で…」その時、激怒した凌益の平手が夫人の頬を激しく打ち付けた。「子もなせぬ不徳者めが、口を慎め!さもなければこの手で霍君華の元へ送ってやる」淳于氏は夫の仕打ちに憤った。当時、妻が行方不明でも再婚を望んだのは凌益、子をなせなくなったのは霍君華に襲われて子が流れたせいだ。「私の傷をあなたがその手でえぐるとは…やっと分かった、あなたの心には我が子のことだけ 父子で団らんすればいいわ、私は己のために別の前途を探す」一方、成婚を間近に控えた程少商(チォンシャオシャン)は自宅へ戻ることになった。本来なら凌不疑(リンブーイー)の喪が明けるまで待たねばならなかったが、3年も待てない皇帝は法要中の成婚を認める。しかし法要中ともなれば盛大な婚儀を行えず、皇后はせいぜい嫁荷を揃えてやることしかできなかった。「十分、盛大です、こんなに沢山の嫁荷、狭い部屋に入り切るかどうか」長秋宮の前には少商のための輿と嫁荷の長い列が待っていた。少商はもしや不疑が現れるのではと思ったが、皇后は子晟なら来るはずないという。「成婚前に会うのは縁起が悪いわ」少商は皇后に別れの挨拶をして輿に乗った。その時、皇后が前から歩いてくる凌不疑に気づく。「子晟?来たの?!」少商は思わず帷(トバリ)を開けて外へ出た。「どうしたの?」「家まで送る」「成婚までは会えないそうよ…私に話があるの?」しかし不疑は黙ったまま視線を落としてしまう。そこへ皇后がやって来た。「子晟、情けないわよ?成婚すれば毎日、会えるのだから…少商、早く行きなさい」少商は皇后に促され、輿に戻るしかなかった。…凌不疑、やはり話してくれないのね…結局、不疑は何も打ち明けられないまま、黙って少商の輿を見送った。その夜、曲陵(キョクリョウ)侯府では四娘子の成婚を明後日に控え、少商が花嫁衣装を試着していた。当日は長い間、重い衣装や冠をつけ続けるため慣れておかなくてはならない。程姎(チォンヤン)は皇后が特別にあつらえた豪華な冠をながめながら、実は蕭元漪(シャオユエンイー)も一式、準備していたと明かした。しかし少商は姎姎が嫁ぐ時に使えるという。「私が宮中にいる間、堂姉が家を支えた…堂姉がいれば娘を失っても阿母は寂しくない」「そんな…嫁ぐだけよ、失うなんて言わないで」「女が嫁げば残りの半生を夫に託す、夫に危険があれば私も戻らない」そんな娘の覚悟を程始(チォンシー)と蕭元漪が回廊で立ち聞きしていた。「嫋嫋(ニャオニャオ)のそばに戻って1年も満たぬ、埋め合わせをする前に嫁いでしまうとは…」程始は寂しさで涙が止まらなかったが、蕭元漪は娘の言葉がまるで惜別のようで心がざわついた。同じ頃、凌不疑は腹心の梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)の3人で城陽侯府を訪ねた。城陽侯の五十路の祝いだというのにどこか緊張感に包まれる宴席、すると不疑は外套を羽織ったまま早速、父に祝いの品を渡した。ひとつは銭が詰まった箱、しかしもうひとつの大きな箱から男の生首が現れる。「廷尉獄の裏庭の花職人だ… 数日前、城陽侯は自ら3万銭を渡し、独房内に花びらを吹き散らせたな? だから彭坤(ポンクン)は死んだ、今日は渡した銭と共に首もお返ししよう 満足いただけないなら、孤城三千の亡魂に代わって申し上げる ″享年五十″の祝いをな!」一方、少商はそろそろ城陽侯の祝宴が始まる頃だと気づき、冠を外した。「蓮房(リエンファン)、祝いを用意して符登(フードン)に届けさせて、今すぐよ、急いで」凌益は息子の暴挙に深く落胆した。「確かにお前の母には負い目がある、だが祖先の位牌をよく見てみよ? 教えてくれ、お前は凌氏一族なのか霍一族なのか?」「…本当に知りたいと?」「本当だ、今日、お前の剣で死のうとも疑念を晴らしたい」「では疑念を晴らさず殺すとしたら?」凌不疑の言葉が引き金になり、宴席にいた客人らは一斉に外衣を脱ぎ捨て、隠し持っていた剣を抜いた。すると凌益もゆっくり立ち上がり、剣を抜く。「せがれよ、ここまで生き抜いて来た私が退路を残していないと思うか? …この父のために疑念を晴らす気はないと?」「黄泉にて霍氏一族が語るだろう、お前が死ぬべき理由を…」一方、門前払いされた符登は急ぎ屋敷に引き返していた。「女公子、城陽侯の私兵に遮られ礼品を渡せませんでした 招状がなければ入れないと、屋敷から物音ひとつ聞こえなかったので戻りました」凌不疑は外套を脱ぎ捨て、隠し持っていた剣を梁兄弟に投げ渡した。すると私兵たちも宴席に雪崩れ込み3人を包囲、門を閉じてしまう。宴席は修羅場と化した。窓紗に映る人影は激しく争い、やがておびただしい鮮血が飛び散る。一方、少商は花嫁衣装のまま部屋を出た。しかし中庭で家族が待ち構えている。実はすでに外出禁止令が出て軍営が交代していた。「何か知っているの?」「凌不疑が大変なの、行かないと…彼に関わることなら放っておけない」蕭元漪は帝后に任せるようなだめたが、少商は例え非力でも一度きりの人生で何かを成し遂げたいという。少商は馬で城陽侯府へ急いだ。しかしすでに屋敷への道が封鎖されている。その時、軍装した家族が駆けつけ、衛兵を阻んで道を開けた。「嫋嫋!早く行きなさい!」城陽侯府は静寂に包まれた。亡骸で埋め尽くされた寝殿、凌益は薄明かりの中、決着がついたことを確認する。しかしその時、部屋の片隅から凌不疑が血を流しながら現れた。「父親殺しの汚名を着せられるぞ…」凌益は万が一に備え、皇帝に知らせていた。「何か勘違いしているのでは?お前の子とは従兄・阿狸(アリ)のことか? だったら人違いだ…阿狸はお前に殺された! お前がその手で城門を開け、敵を入城させ、骸を城壁に掛けさせた もう忘れたのか? 姑 父 大 人 !」「まさか…信じられぬ…なぜ知っている?お前は誰だ?!」「まだあるぞ…お前がその手で阿父を殺したことも知っている 叔母と都へ戻った時から決意していた、いつかお前の命を取ると… そして今日がその日だ!」「凌不疑…どちらにしても名義上は私の息子だ…独断で私を殺せば自分の命が代償となる 誰もお前を守れぬぞ!」すると不疑は血まみれの顔で不気味に笑った。「雍(ヨウ)王、小越(ユエ)侯、彭坤…一歩一歩、進みながら今日に至った 霍氏の敵を討てたら死して悔いなし…」凌益は焦って不疑の胸に剣を突き刺したが、不疑は決して退かなかった。凌不疑に徐々に迫られた凌益は足を取られて後ろへ倒れた。背後ではようやく梁兄弟が立ち上がる。「それから…」実はあの時、孤城にいた幼い不疑は偶然、父が凌益に殺される様子を目撃していた。不疑は父の無念を思いながら、ついに凌益の胸に剣を突き刺す。「…私の姓は凌ではない、私の姓は霍だ」その時、不疑が剣を深く差し込み、凌益の身体を貫く鈍い音が聞こえた。「私の名は…霍…無(ウー)」「グハッ…」「…傷(シャン)」凌不疑は霍翀(フォチョン)の息子・霍無傷だった。宿願を果たし万感胸に迫る無傷、その時、突然、門が開き、少商が現れる。つづく( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)ウワッ!かなりトラウマになりそう〜だってウーレイが上手過ぎるのよせめてパンダのシャンシャンだったら良かったのに…( ;∀;)って何が?w
2023.11.25
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第20話)第47話「歯形の誓い」孤城陥落の真相を知る彭坤(ポンクン)を北軍獄に連れ去り、拷問を続ける凌不疑(リンブーイー)。すると翌朝、廷尉府侍郎・袁慎(ユエンシェン)が駆けつけ、国の法を守り、掟に従うべきだと諫言した。「程少商(チォンシャオシャン)との成婚も間近であろう?朝堂で口実を与えるな 妻に迷惑しかかけぬのなら、私が取って代わっても構わんぞ?」実はその頃、少商は御前で左(ズオ)御史中丞から追及されていた。凌不疑が彭坤の身柄を勝手に奪ったことが発覚、崇徳(スウトク)宮に皇太子や三皇子、城陽(ジョウヨウ)侯・凌益(リンイー)らが集まった。左御史中丞の話では程娘子が夫のため嘆願に来た身重の王姈(ワンリン)に乱暴したという。しかし少商は子晟(ズーション)を貶められて手巾で口を塞いだだけだと釈明した。皇帝は頭を抱えたが、そこへ凌不疑が現れる。「左大人は打たれ足らず、私の新婦に難癖を?」左御史中丞は凌不疑が勝手に彭坤を拷問したと非難した。するとすかさず少商が彭坤も孤城陥落に関わっているからだと反論する。驚いた左御史中丞は城陽侯の顔色をうかがったが、凌益は視線を逸らした。「小越(ユエ)侯が捕らわれたのが引き金です 乾安(ケンアン)王を陥れた彭坤は孤城の件も隠せないと悟り、造反したのです でも当時、一介の副将に主帥を陥れる度胸があるでしょうか?首謀者は別にいるはずです」少商は全て王姈から聞いたと明かした。夫は都の者と往来があり、密かに夫と接触し続けた者こそ黒幕だという。事情を知った皇帝は子晟も廷尉府と一緒に捜査することを認めたが、拷問させないよう三皇子に監督を任せた。凌不疑は自分を無視して足早に帰って行く少商を何とか引き留めた。「少商!」「…小越侯を泳がせていたのね? 文修君(ウェンシウジュン)への仕打ちも、御史台への報復も、全て私のためだと思っていた でも実際は私はただの口実だった」少商は裏で画策していたのが不疑とも知らず、皇后や皇太子を救うため奔走していたと思うと悔しくて涙が出た。しかし不疑がいくら諌めても皇太子は王淳(ワンチュン)や楼(ロウ)太傅を重用し、このままでは過ちを繰り返すだけだったという。「少商、誤解しないでくれ…君への行動は全て真心からだ」「なら教えて、将来、枕を共にし、子をなす相手の真の姿を…成婚するのに私はあなたを知らない 子晟、大切なことを隠していない?話してくれたら信じる」少商は核心に迫った。しかし不疑が何か言おうとしたところで東宮の侍従が駆けつける。「凌将軍、太子殿下がお呼びです」凌益は皇太子に頼んで東宮に子晟を呼んだ。皇太子は親切心で父子の対面に協力したが、父の顔を見た凌不疑は捜査があると断って引き返すことにする。すると凌益は息子を引き留め、成婚前に父子で話がしたかっただけだと訴えた。「私が彭坤を調べることになぜそれほど焦っている?審理を引き延ばしたいと?」「お前の身体を心配しているだけだ」しかし不疑は偽善など必要ないと捨て台詞を吐いて出て行ってしまう。皇太子は力になれなかったと落胆したが、凌益にはこの短い時間で十分だった。王姈は少商の嘆願のお陰で夫との面会が認められた。しかし独房ですでに息絶えた夫の無惨な姿を発見する。検視の結果、彭坤は独房に舞い込んだ花びらで喘息発作を起こし、急死していた。王姈の話では夫は重度の喘息持ちで、草花も嗅げなかったという。凌不疑が呆然と亡骸を見ていると、知らせを聞いた凌益が皇太子と一緒にやって来た。「明らかに報いだな、乾安王を陥れたことで孤城の陥落を招き、お前の舅父一族は惨殺された …これで肩の荷が降りたであろう、少商と成婚して憂なく暮らせ」その時、激情に駆られた不疑が凌益の胸ぐらをつかんだ。「お前だな!お前が殺したんだ!」驚いた皇太子が慌てて子晟を止めると、不疑は皇太子の手を払い退けて出て行った。その夜は激しい雨になった。憤懣やる方ない凌不疑は人けのない大街で酒をあおりながら、怒号を響かせる。その時、少商がやって来た。少商はへたり込んだ子晟に寄り添い、自分がそばにいるとなだめる。しかし不疑はもはや望みは絶たれたと泣き崩れた。「結局、私は何もできなかった…少商、目を閉じると見えるんだ 全身が血まみれになった彼らが私を責め続ける、なぜ敵を討ってくれないのかと… 本当は私も死んでいた、十数年も耐え続けたのに…全て無意味だった… 退路は絶たれた、少商、それでも私のそばにいてくれるか?」「何が起きてもあなたを助ける、どんな時もあなたの味方でいる」「程少商…実は…私の名は…」「若主公ォォォォォォォォォォォ~ッ!」その時、梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)が駆けつけた。「大変です!夫人が…夫人が…」凌不疑と少商が杏花(キョウカ)別院に駆けつけると、崔祐(ツイヨウ)が霍君華(フォジュンホワ)に付き添っていた。霍君華はもはや虫の息だったが、驚いたことに我を取り戻している。「思えばあの時、あなたに嫁ぐべきだった、あなたに嫁いでいたらこんな末路は迎えなかったわ」その時、霍君華は崔祐の肩越しに凌不疑の姿を見つけた。「…こちらへ」霍君華は不疑をそばに呼ぶと、最後の力を振り絞って身体を起こし、顔を近づけた。「…忘れてはならない、我らの仇を」「約束します、決して忘れません、この仇は必ず討ちます」すると安心したのか、霍君華は最期に阿狸(アリ)の名を呼んで旅立った。凌不疑は一睡もせず母の棺に付き添った。心配した少商は薬湯を届けたが、不疑はどこか達観しているように見える。「少商、私が驚天動地の挙に出ても私への気持ちは変わらないか?」「棺の前で誓うわ、私、程少商は凌不疑を決して裏切らず、彼が離れない限り諦めないと誓います」すると少商と不疑は互いの腕を噛んで歯形を残し、誓いの印とした。「互いに噛んで誓った、この傷が互いの心を結んでる、改めて聞くわ、私に何か話はない?」不疑は喉まで出かかったが、結局、真相を明かすことはできなかった。「…何もない」≡≡≡ ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ズコッ!言わないのかーい!中庭から崔祐の怒鳴り声が聞こえた。凌不疑が外へ出てみると、崔祐が凌益と淳于(チュンユー)氏に激怒している。崔祐は思わず凌益を殴りつけたが、不疑に止められ、その場を離れた。「母の霊前に何か用か?」聞けば7日後は凌益の五十路の生辰、凌氏一族も集まるため霍君華を招待に来たが、思いがけず訃報を知ったという。凌益は宴を中止にすると言ったが、不疑は決まっているなら開けばいいと勧めた。「当日は私も礼品を持って伺おう」その話を回廊で少商が聞いていた。つづく(Ŏ艸Ŏ)息を止めて子晟の告白を待ち…(๑≧ꇴ≦)その度にプハーッとなって…そしてまさかの3段落ちw
2023.11.24
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皎若云间月 Bright as the moon第1話「目覚めたら天聖王朝」…私は李蕓(リウン)、ネット小説家よごく普通に暮らしているけれど、実はベストセラー作家なのランキングの常連でファンも多いわそれなのにまさか私の人生が代表作と一緒に″更新″されてしまうなんて…李蕓の小説【俺様社長の指導帳】がランキング1位を獲得した。ファンが更新を今か今かと待ち望んでいる中、そんな人気小説に眉をひそめる男がいる。ある日、穆(ボク)グループの工事現場で漢代の墓が出土、計画が頓挫した。不運続きの穆小七(ボクショウシチ)は責任を負わされ、ついに父から副総裁を解任されてしまう。その時、ちょうど【俺様社長の指導帳】の更新の知らせが鳴った。「まただ…絶対におかしい…」更新された第30章にはまるで予言したように″古墓が出土する″という内容がある。しかも日付は7月20日だ。穆小七はまたも小説通りになったと憤り、作者である李蕓を問いただすことにした。穆小七はちょうどマンションから出て来た李蕓を捕まえ、なかば強引に自分の自宅へ連れて行った。「説明してくれ、私に起こるトラブルと小説の内容が同じだ、しかも小説の方が早い」7月27日の新聞を見せられた李蕓は自分が故意に穆小七を陥れていると疑われたことに気づく。穆小七は今日中に小説を削除し、今後一切、執筆しないと誓うよう迫った。言いがかりをつけられた李蕓は激怒、穆小七の不運と小説は関係ないと突っぱねる。すると穆小七はいきなり李蕓に口づけし、その間にパソコンの削除キーを押してしまう。小説は全て消去された。解放されたものの李蕓は怒り心頭、腹いせにスマホから新たな一文を投稿する。…彼は突然、失踪した、行方は分からない…すると穆小七は本当に行方不明になってしまう。翌朝、李蕓のマンションに突然、黒服の男たちが乗り込んできた。実は穆小七が失踪、最後に会ったのが李蕓だという。「一番、疑わしいのは君だ、一緒に来てもらおう」驚いた李蕓はスマホをつかんで部屋を飛び出し、咄嗟に屋上へ出た。「どこでもいいから私を逃して、捕まりたくない!」李蕓がメッセージで投稿していると、急に激しい頭痛に襲われ、倒れてしまう。その時、暗雲が立ちこめ、雷鳴がとどろいた。気がつくと李蕓は火事に巻き込まれていた。…ここはどこ?なぜここに?(はっ!)みんな死んでる、もしかしてあの世?私、死んだの?!…やがて李蕓は寝台の上で目を覚まし、夢を見ていたと分かった。しかしなぜか見知らぬ部屋で古装姿、さらに見ず知らずの古装の娘が現れる。「小姐(シャオジエ)~お目覚めになりましたか!良かった!」「ヒイィィィ~(゚ロ゚ノ)ノ!あんた誰よ!」「小姐~侍女の彩蓮(サイレン)です!」時は泰熙(タイキ)19年、ここは天聖(テンセイ)の帝都にある雲王府。何と李蕓は雲王府の跡取り娘・雲浅月(ウンセンゲツ)郡主になっていた。李蕓はこれも夢だと考え、どうせなら小説のネタにしようと思いつく。すると突然、混成魔王(コンセイマオウ)こと四皇子・軽染(ケイセン)が駆けつけ、雲浅月を強引に連れ出した。四皇子は雲浅月を助けに来たと言ったが、訳が分からない李蕓は男を殴って逃げ出した。すると市場で自分の似顔絵を持って聞き込みをしている官兵を見かける。どうやら雲浅月が有名な妓楼・望春楼(ボウシュンロウ)に放火したらしい。驚いた李蕓は咄嗟に停まっていた馬車に逃げ込んだが、中に乗っていたのは穆小七だった。「ちょーっ!なぜここに?!あんたのせいよ!失踪なんて嘘だったのね!」しかし男は黙って雲浅月を乗せたまま宮中へ向かってしまう。李蕓は長い宮道を歩きながら、ふとスマホを持っていたことを思い出した。…良かった~これで元に戻る方法を探せる…すると穆小七が突然、スマホを大きな水瓶の中に捨ててしまう。「宮殿に暗器を持ち込むとは何と大胆な…」「武器じゃない、スマホでしょう?!小七、何言ってんのよ!」しかし穆小七に瓜二つとは言え、その振る舞いは明らかに別人のように見えた。容景(ヨウケイ)は雲浅月を皇帝の前に突き出した。聞けば雲浅月は学がなく、あちこちで騒動ばかり起こす問題児、それでも祖父が功臣だったため皇太子の許嫁になったという。しかし今回ばかりは放火して死者まで出し、さすがに皇帝も見過ごせなかった。皇后は浅月が火をつけたと決まったわけではないとかばったが、かえって叔母の皇后が甘やかしたせいだと皇帝に叱責されてしまう。そこで皇太子が合図、秦(シン)都官が現場に落ちていたかんざしを差し出した。「これはご婚約の日、皇后娘娘(ニャンニャン)より下賜された金のかんざし 特別な場合しかおつけにならないとか…朝臣5名の亡骸のそばにあったのがこれです」しかも文官はこれまで雲浅月がやらかした数々の愚行を絵に残していた。李蕓は自分を陥れる魂胆だと呆れたが、ふと死んだら元に戻れると思いつく。٩( ‘ω’ )و <はお!罪を認めるわ!私を殺してちょうだい!驚いた四皇子は咄嗟に浅月と一緒にひざまずき、父皇に再調査を嘆願した。皇后も叔母として責任を取り、罰を受ける覚悟だという。これには皇帝も困惑し、冷静沈着な容景に意見を求めた。「郡主が死を望むなど通常なら考えられぬこと、癇癪のきらいがあるやもしれません まずは郡主を休ませ、回復されたのちに算段しては?」皇帝は容景の進言に納得し、雲浅月を雲王府に軟禁して調査を続けるよう命じた。( ー̀ωー́ )oO(どうしたら現実に戻れるの?女社長ならまだしも殺人犯なんて…チッ!四皇子は李蕓を雲王府まで送った。すると待ち構えていた雲王が放火事件を起こした孫に激怒、興奮して叩き始めてしまう。四皇子は咄嗟に間に入って雲王をなだめ、その間に李蕓は彩蓮と一緒に自分の部屋へ退散した。「で、景世子ってどんな人?」「栄(エイ)王府のお世継ぎです、天聖一の才人で財産家でもあります 文武はもとより商売の才能もおありなんです、皇上も一目置かれているとか でも栄王殿下と王妃は早くに亡くなり、王府を1人で管理しておられます 医術にも精通されているのですが、ご自身の病は治せないとか… お身体が弱いため、四皇子は弱美人(ジャクビジン)と呼んでいます」やはり穆小七と容景は無関係らしい。それにしても一体どうしたら戻れるのだろうか。李蕓は侍女を下げると、手持ち無沙汰で机にあった書物を開いた。「何なに?身体を借りて蘇る者は生者にあらず死者でもない… 寿命の長さは定まらず、遠からず、塵と消え、転生することもなし… え?!鏡を用いて確かめよ?」そこでちょうど机にあった鏡をのぞいてみると、李蕓の姿が消えてしまう。「やだ!私はこの世界に属してないってこと?! つまり私の命の火が徐々に弱まって、消えて灰になる… やだあ~!ここで死ぬわけにはいかない!死にたくな~い!」一方、屋敷に戻った容景は雲浅月の肖像画を描きながら昔を思い出していた。…あの夜、皇太子との縁談が決まった雲浅月は宴を抜け出し、独り池を眺めていたすると容景が通りかかる『雲郡主じゃないか、皆が探していたぞ?』『太子殿下に嫁ぎたくないの』『太子殿下も君が嫌いらしい、確かに雲郡主が教養がなく美貌も十人並みだとみんな知っている 太子どころか普通の家柄の男でさえ願い下げだ』『何ですって!』憤慨した浅月は思わず容景を突き飛ばし、池に落としてしまうしかし容景は泳げず、結局、浅月が助けることになった仕方なく何度か心臓を圧迫し人工呼吸をしようとしたが、そこで容景の意識が戻る『恥を知れ!』『私が助けたのよ?!』『分かったぞ?私が好きだから太子に嫁ぎたくないんだろう?』『はあ?!』『だって口づけしただろう?』『呼吸を助けるためでしょう?頭がおかしいんじゃない?』2人は揉み合っているうち一緒に池に落下、宮中は大騒ぎになった…容景は美しく成長した雲浅月の絵を完成させ、書斎に飾った。「あれから10年経った、出仕してすぐ君に会えるとはな…ふっ」翌朝、目を覚ました李蕓はまだ夢の世界にいると気づいて落胆した。何とか帰る方法はないものか。そこで彩蓮を身代わりにして屋敷を抜け出し、山奥へ向かった。(^ꇴ^)b<落雷に打たれれば魂が飛び出して家に帰れるはずよ!その時、雷鳴がとどろいた。「私はここよ!ここに落ちて!」すると李蕓の頭に雷が落ちてしまう。つづく( ゚ェ゚)今さら感がハンパないタイムスリップもの?確かにツンデレではあるが、果たしてこれが正解なのか分からないw
2022.09.25
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第47話「卑劣な裏切り」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)はかつて涼薬を大量に飲んだ弊害から、時折、腹痛や出血が見られた。大事にはならずに済んだが、旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は早々と子を世継ぎにすると決め、すでに準備もできているという。「誕生を待って穆徳慶(ボクトクケイ)が宣言する手はずだ…女子とて即位できるぞ 嗣子(シシ)を立てたのち、そなたを皇后に冊立するつもりだ」そんなある日、索蘭(サクラン)が差し入れを持って緹蘭に会いに来た。索蘭は具合の悪い姉を心配し、天啓に祭祀も連れて来たので龍尾神の護身符を祈祷してはどうかと提案する。護身符を外したことがない緹蘭は困惑したが、弟の厚意を無下にできず護身符を預けた。一方、琅嬛(ロウケン)を送り届けた方海市(ホウハイシー)は越州の海沿いで適当な家を見つけ、方鑑明(ホウカンメイ)と腰を落ち着けた。まず2人で庭に霽風(セイフウ)花の種をまき、鑑明はこれから海市の夢をひとつずつ叶えると約束する。隠遁して初めて知る自由な生活、海市と鑑明は幸せな時間を過ごしていた。↓師父が笑っとるwそんなある夜、方鑑明は鳥文を読んでいる海市の姿を見つけた。「何を見ている?」「ぁ…何でもないの」「私に隠し事か?」すると海市はばつが悪そうに張承謙(チョウショウケン)からの知らせだと白状した。実は鑑明のこと、どこにいても皇帝が気がかりなはずだと考え、時々、皇帝の様子を知らせてくれるよう頼んだという。「あ、心配しないで、あなたのことも私の居場所も伝えていない…陛下はご無事よ」鑑明は海市の気遣いに感謝し、これで安心だと喜んだ。索蘭が居所に戻ると、密かに潜入していた湯乾自(トウカンジ)が現れた。「文の内容は本当ですか?」「姉の護身符を見ただろう?真実の証しとして龍尾神を私に託したのだ」索蘭は皇帝が昶(チョウ)王の件で注輦(チュウレン)を許せず、姉の懐妊も公にせずに禁足を命じていると吹き込んだ。実は姉の身体は青あざだらけで、数日前には出血もあったという。湯乾自はかつて皇帝が公主を冷遇していた時を知っているだけに、状況はさらに悲惨になったと誤解した。そこで索蘭は今こそ奮い立って姉を救わねばならないと煽り、ついに野心をあらわにする。「旭帝を亡き者にし、子を奪うのだ、産まれた子が即位すれば姉は摂政太后となる」↓マイケルェェェェ…翌日、索蘭は緹蘭を訪ね、祈祷したと嘘をついて龍尾神を返した。「そろそろ注輦に戻るよ、帰る前に挨拶に来る」その頃、暗衛営の陳哨子(チンショウシ)が黄泉営からの急報を受け、慌てて謁見した。「陛下、緊急のご報告が…黄泉関の主将・湯乾自が許可なく姿を消したそうです」実は湯乾自が病を装っていたため、10日も経ってから報告が届いたという。索蘭たち注輦の特使一行は帰途についた。一方、褚仲旭は天啓防衛を指揮する張承謙を呼び、黄泉営を出る際に不審な点がなかったか確認する。張承謙は賀尭(ガギョウ)将軍の教練中で異常はなかったと証言したが、そこへ第2報を受け取った陳哨子が駆けつけた。「陛下、詳細が判明しました、5日前に大勢が毒にあたり、湯乾自の側近が賀尭を軟禁 黄泉営にいた将兵を集めて天啓攻めを企てています!」驚いた褚仲旭は張承謙に城門を閉めて守りを固めるよう指示、陳哨子には鳩を飛ばして各州の刺史に援軍を要請するよう命じた。「陛下、あの方には…」「あやつは自由の身だ、知らせるな」しかし張承謙が密かに海市に鳩を放ってしまう。その夜、緹蘭は騒がしい音で目を覚ました。侍女・碧紫(ヘキシ)の話では反乱軍が侵攻、皇帝が兵を分けて防衛の配備をしているという。皇帝は自ら指揮を執り、今夜は戻らないと知らせが来ていた。一方、海市は張承謙から思わぬ密書を受け取った。何でも湯乾自一派が天啓に侵攻、突然のことで城内の兵は2万5千しかなく、皇帝は城門を封鎖して応戦する構えだという。方鑑明は越州の援軍を動かすのが手っ取り早いと気づき、海市と二手に分かれることにした。そこで海市が越州の軍営に向かうと決める。「湯乾自は聡明な人よ、権謀のために暴挙に出るとは思えない…恐らく淑容妃を想っての決断だわ」すると鑑明は自分の玉板指を海市の胸に掛け、海市と別れて天啓に急いだ。反乱軍の攻撃が始まった。張承謙は鉄壁の守りで城門を死守、褚仲旭はわずかな護衛を残し、兵馬を城門へ回す。「必要あれば朕も皆と共に戦う!」すると褚仲旭は穆徳慶に緹蘭を密室へ移すよう命じた。もし城門が破られても緹蘭だけは助け、万が一の時は緹蘭を連れて皇宮の外へ逃げろという。その頃、緹蘭の元に別の太監が駆けつけていた。実は皇帝の命で淑容妃を先に避難させるという。緹蘭は最後まで皇帝のそばにいると拒んだが、碧紫から子供を守るためだと説得された。すると道すがら突然、何者かに襲われ眠らされてしまう。穆徳慶が迎えに行った時には淑容妃と碧紫が消えていた。衛兵はすでに太監が迎えに来て避難したと報告、褚仲旭は激高する。すると緹蘭を連れ出した太監と衛兵たちは口封じに殺されたのか、皇宮の外れで亡骸が見つかった。翌朝、緹蘭は廃屋で目を覚ました。そばには碧紫が付き添っていたが、なぜか弟の索蘭が現れる。「ここは封鎖中の昶(チョウ)王府だ、身を隠すには最適だろう?」反乱軍を先導したのは索蘭だった。索蘭は湯乾自の姉への真心を利用して反乱を起こし、旭帝を誅して姉の子を大徴の皇帝に立たせるという。「…力と尊厳は自力で勝ち取るものよ?他人から奪うものじゃない! 索蘭、国を乗っ取れば罵声を浴びせられるだけ」「勝者は手段を問われない、それに反逆したのは湯乾自だ!注輦は何ら関係ない!」緹蘭は弟の裏切りに深く失望した。すると索蘭は例え姉が死を望んだとしても、子を産み落とすまで絶対に死なせないと脅す。「碧紫、姉上をしかと見張っておけ」「…はい」「索蘭、父上も知っているの?」「父上の命令に従ったまでだ」↓マイケルェェェェ…索蘭は施霖(シリン)の周到な計画のおかげで姉を宮中から脱出させることに成功した。精鋭兵100人を隠すのは容易でなかったが、封鎖されたばかりで誰も寄りつかない昶王府は絶好の潜伏場所となる。施霖はもはや大局は王子の手中だと喜ばせたが、その様子を密かに偵察する影があった。つづく( ๑≧ꇴ≦)大哥ぁぁぁぁ〜!いや知らんけどw
2022.12.09
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace第86話「暴かれた真実」烏拉那拉(ウラナラ)如懿(ニョイ)がようやく最後の経幡(キョウバン)を完成させた頃、炩皇貴妃(レイコウキヒ)・衛嬿婉(エイエンエン)は養心殿にいた。太監・王蟾(オウセン)に見張りをさせ、ゆっくり皇帝の寝所へ入って行く嬿婉…。その時、寝台の側で付き添っていた江侍医が急に視界に入り、思わず息をのむ。「(はっ!びっくりした)江侍医だったの…皇上のご容体は?」「(ハァ~)なす術がございません」そこで嬿婉は今夜はもう休むよう命じ、江与彬(コウヨヒン)はそこで下がることにした。衛嬿婉は何度か皇帝に声をかけ、目を覚まさないことを確認した。そして密建書を入れる小箱に第15皇子・永琰(エイエン)の名を書いた紙を入れようとしたが、突然、目を覚ました皇帝に見つかってしまう。衛嬿婉と王蟾はその場で取り押さえられた。しかし嬿婉は皇帝の病が重いと知って、国事が滞らないようにしただけだと取り繕う。そこへ愉妃(ユヒ)・珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)が現れ、嬿婉が我が子を皇太子にするため、永琪(エイキ)を亡き者にしたと告発した。実は永琪の格格(ゲゲ)だった胡蕓角(コウンカク)は嬿婉の駒、この駒を操って永琪を死に至らしめたという。しかも永琪の死に乗じて如懿を讒言で陥れるよう命じていたのだ。寝耳に水だった乾隆帝(ケンリュウテイ)・弘暦(コウレキ)は愕然とし、確固たる証拠はあるかと尋ねる。嬿婉も全くの言いがかりだと否定したが、予想外の証人が現れた。「私が生きていて驚きましたか?」それは毒殺したと思っていた春嬋(シュンセン)だった。春嬋は口封じのため皇貴妃に殺されそうになったと訴えた。これまで拷問を受けても口を割らぬ覚悟で仕えて来たが、ここで自分の罪を認めると同時に皇貴妃の罪業を白状するという。実は胡蕓角は産婆の田氏の娘・田蕓児(デンウンジ)だった。衛嬿婉は田氏の死後、田蕓児を数年にわたり養って手なずけ、その後、書記官の娘に仕立てて永琪に仕えさせ、死に至らしめたという。これも如懿を陥れるためで、田蕓児に如懿が母の敵だと誤解させて復讐するようそそのかしていた。弘暦はようやく永琪と永璟(エイケイ)を殺したのが衛嬿婉だったと知り、沸々と怒りがこみ上げる。しかし嬿婉は春嬋の妄言に過ぎないと必死に否定した。そこで海蘭はもうひとり証人を呼ぶことにする。すると服役中の辺地から姿を消した衛嬿婉の弟・左禄(サロク)が現れた。衛左禄は母が呪術を使ったのは事実だが、第13皇子の命を奪っていないと話し、母は姉の罪を被ったと証言する。「何を言い出すの?!姉の私を陥れるために帰京したの?!」「だって愉妃を陥れるため、扎斉(ジャチ)に銀票を渡したじゃないか? 事が露見すると罪を母上に押し付けた、母上は産婆の田氏など知らないのに…」「皇上!今の証言は全て真実です! 皇貴妃は13阿哥以前にも10阿哥、5公主、6公主を手にかけました! ですが5公主と6公主については計算外で、標的は12阿哥でした」春嬋はあの時、淑嘉(シュクカ)皇貴妃の飼い犬を王蟾が盗んでしつけたと証言、王蟾も罪を認め、ただ自分の立場では拒めなかったと訴えた。海蘭はついに衛嬿婉に死罪をと嘆願した。焦った嬿婉は潔白を訴えたが、逆上した皇帝に引っ叩かれてしまう。「黙れ!よくも朕の子供を?!」「皇上!私は潔白です!当時は私に子がおらず、殺す理由がありません!」すると春嬋が動機は皇后の座ではなく、嫉妬だと指摘した。実は衛嬿婉は凌雲徹(リョウウンテツ)が如懿に好意を抱いていると知って如懿を逆恨みし、何度も陥れようとしたという。凌雲徹の妻・茂倩(モセイ)と豫(ヨ)妃が私通を告発したのも、他ならぬ衛嬿婉の仕業だった。さらに胡蕓角に最期の告発を命じて如懿を廃后に導いたのは、自分が皇后になるためだったという。そこで海蘭は凌雲徹から死の直前に預かった指輪を皇帝に渡した。「衛嬿婉との愛の証しだと…凌雲徹は悔やんでいました ″衛嬿婉との旧情が皇后娘娘の名誉を傷つけてしまった″と…」嬿婉は凌雲徹との旧情なら皇帝も知っていると言ったが、春嬋はならば凌雲徹に媚薬を嗅がせて誘惑したことも話したかと迫る。「目的は何だ?」「懐妊するためでした、凌雲徹の抵抗に遭ってあきらめましたが…」弘暦は思わず嬿婉に指輪を投げつけ、激高した。「恥を知れ!皇族の血を汚す気か!」衛嬿婉は窮地に追い込まれたが、ふと自分は陥れられたのだと気づいた。春嬋や弟は今までどこに隠れていたのか。恐らく王蟾は自分を陥れるため、わざとそそのかしたのだろう。「皇上!私が箱を開けた途端に皇上が目覚め、その直後に愉妃が入って来ました! 偶然にしてはあまりに出来すぎています! それに拝見したところ、皇上は危篤というほどではありません」考えてみると妙なことばかりだった。病床の皇帝のそばにいたのは江侍医だけ、江侍医だけが皇帝の病を把握しているなど不自然すぎる。「愉妃、翊坤宮の娘娘と結託して仕組んだわね?! 春嬋、お前は安華殿で拘禁された時、私を陥れるよう命じられたんでしょう?!」嬿婉は皇帝の足にすがりつき、すべて如懿が自分を恨んで仕組んだ罠だと訴えた。皇帝が危篤だと思わせ、自分に罪を犯させたに違いない。「まったく次から次へと弁の立つことだ…」そこへ皇太后がやって来た。皇太后は自分も衛嬿婉に尋問したいことがあると言った。それは永璂(エイキ)殺害の件だという。皇太后は永璂の偏食が過ぎるため、尚書房での食事を調べていた。その結果、御膳房の食事には毒茸が含まれていると分かったという。皇太后はその茸を皇帝に見せると、確かに毒性は弱いが、長期間の摂取で内臓が弱まり、いずれ死に至ると説明した。すると春嬋が第15皇子を世継ぎにするため、栄親王の死後から皇貴妃の命で第12皇子の食事に混ぜていたと証言する。しかしその後、皇太后が第12皇子を養育することになり、計画は中止になっていた。皇太后は衛嬿婉に罠を仕掛けたのが如懿だったと認めた。しかしこの罠は避けることもできたはず、罠に落ちたのはそもそも衛嬿婉の心根が卑しいからだと一蹴する。弘暦は皇太后が翊坤宮に行ったと知り、目を丸くした。すると皇太后は如懿から伝言と″ある物″を預かってきたという。それはこれまで衛嬿婉の策略により亡くなった皇子らの経幡だった。「衛嬿婉よ、どれほど多くの者を葬ってきたのか覚えておるか?忘れたであろう? ルーイーは全て覚えておるぞ?無辜(ムコ)の命を弔うべく、如懿は経幡を作ったのだ その目でしかと見るがよい!」弘暦も海蘭も順番に並んだ経幡の名前を目の当たりにし、胸が締めつけられる思いだった。如懿は衛嬿婉の処遇は皇帝に任せるが、その前に衛嬿婉には経幡1枚1枚に叩首(コウシュ)して謝罪させて欲しいと嘆願したという。嬿婉はこの期に及んでも無実だと訴え続けた。しかし皇帝の命で侍衛たちに引きずられ、無理やり叩頭させられてしまう。その頃、如懿は翊坤宮の仏殿で手を合わせていた。すると容珮(ヨウハイ)が駆けつけ、ようやく罪人が犯した罪の報いを受けたと報告する。如懿はついに敵を討ち、肩の荷が下りた。「…だけど亡くなった者たちは生き返らない」皇太后は使命を果たし、愉妃を連れて経幡を届けに安華殿へ出かけた。すると弘暦は皆を下げ、毓瑚(イクコ)に牽機(ケンキ)薬を持って来るよう命じる。衛嬿婉は罪を認めて命乞いし、後宮で悪事を犯すのは自分だけではないと叫んだ。「清廉な者がいるとお思いですか?!」しかし必死な訴えも虚しく、皇帝が毓瑚に薬を飲ませろと命じてしまう。侍衛たちは皇貴妃を拘束、さらに進保(シンホウ)が無理やり口をこじ開けた。「皇貴妃、牽機薬は飲むと身体を折り曲げるほどに苦しみます 皇上はあまり賜ることのない毒です」衛嬿婉は毒を飲まされ、開き直った。「皇上の恩情で私は女官から妃になりました…皇上に育てられたも同然 私を罰すれば皇上に見る目がなかったと認めることになりますね ←まさかの任命責任w …この数年、皇上のお心は決して得られませんでした、フッフッ、でも構いません 皇上は男として夫として私の心を得られずじまいですから!ウウウ…イテテテ…」「朕には皆が心から服従する!」←ええーっここで?w「服従していても心はどうでしょう?ゼエゼエ…私はともかく誠心誠意、仕える妃はいるかしら? そうだ、1人いたわ、翊坤宮のにゃんにゃんが…でも断髪して禁足を命じられたけど!」さすがに激怒した弘暦は急に席を立ち、衛嬿婉に歩み寄った。嬿婉は怯えていたが、すでに毒を飲まされ身、早く殺せと挑発する。「薄氷を踏む思いで暮らして来たけど、それも終りね~」「楽に死ねると思うな、覚悟せよ」すると弘暦は侍衛につまみ出せと命じた。「養心殿が汚れる!」翌朝、如懿が枯れた緑梅の鉢に水をやっていると、翊坤宮の扉が開いた。海蘭たち妃嬪は早速、皇后への挨拶にやって来たが、容珮は全てが終わって休んでいると断る。そこで海蘭が代表して面会しようと思ったが、容珮に止められた。「私とも会わないと?」その時、寝殿から如懿の咳き込む音が聞こえた。李玉(リギョク)は円明園から呼び戻され、早速、大役を任された。晴れ晴れしい気持ちで翊坤宮を訪ねた李玉、しかし如懿は誰とも会わないと門前払いされてしまう。結局、皇后の金冊(キンサク)と印璽(インジ)は再び養心殿に戻った。弘暦は頭を抱えたが、そこへ皇太后が現れる。すると皇太后は安華殿で如懿と会った時のことを話して聞かせた。皇太后は衛嬿婉が懐妊中の舒(ジョ)妃に毒を盛ったことは知っていたが、如懿から聞くまでこれほど多くの皇子や公主を死に至らしめたとは知らなかったという。しかもここへ来て皇后の座まで狙っていたとは…。如懿は衛嬿婉が巧妙に事を進めていたため、今となっては立証が難しい件もあると説明した。そこで危険を伴うが、弘暦が万が一の時に衛嬿婉がどう動くのか確かめたいと言ったという。「皇帝にはこの件を伏せていました、でもそれは真実を暴くためだったのです 今や悪行は明らかとなり報いを受けました、如懿の苦心が無にならずに済んだ… 無念の死を遂げた者たちも成仏できるでしょう」弘暦は皇太后の話を聞きながら、うなだれた。「経幡を安華殿に供えながら、あいじゃーは如懿に敬服しました 朝廷や後宮では権勢や寵愛を巡り、争いが繰り広げられています 如懿は寵愛、権勢、皇后の位、一切、目もくれませんでした ただ皇帝への情を貫き、善には善の、悪には悪の報いをと願った …あいじゃーは思うのです 権勢のために躍起になっていた私と良心を忘れなかった如懿、どちらが幸福なのだろうかと」一方、永寿(エイジュ)宮に捨て置かれた衛嬿婉はようやく目を覚ました。「私、まだ生きてるの?」 そばにはなぜか春嬋と王蟾がいる。「皇上が死なせぬと仰せになり、毓瑚姑姑に解毒薬を与えるよう命じました」「そうね、永琰の母である私を皇上が殺すわけないわ…」嬿婉は安堵したが、急に自分を裏切った2人に激高する。しかし王蟾に腕をつかまれ、春嬋に再び毒を飲まされた。「皇上からのご褒美です、毎日、飲んでください」「皇上の下賜品ですから残さずに…」禁足が解かれた如懿は中庭で枯れた緑梅の世話をしていた。そこへついに弘暦が現れる。如懿は背を向けていたが、その足音で弘暦だと分かった。「ルーイーや、そなたは翊坤宮から出ず、誰とも会わぬそうだな だからこうして会いに来た、体の具合は?」「おかげさまで」すると弘暦は慣例に従い木蘭へ秋の狩猟へ行くと伝え、少し照れ臭そうに如懿を誘った。しかし如懿は長旅に耐えられそうもないという。弘暦は仕方なく自分の代わりに後宮の留守を守って欲しいと頼んだが、次の言葉が出るまで時間がかかった。「…ルーイーや、そなたには度々、苦労をかけた、だが過ぎたことは水に流せ、忘れろ」「私の記憶も薄れています」「ならば良い…朕が木蘭から戻ったら金冊と印璽を受け取って欲しい、待ってるぞ」如懿は返事をする代わりにある言葉を送った。「皇上、″蘭因絮果(ランインジョカ)″という言葉をご存知? 昔は悲しい言葉だと思っていたけれど、今はよく分かります、咲き誇る花もいずれ散るのだと… 木蘭への道中、どうかお気をつけて」「…ああ」如懿は弘暦の背中が見えなくなるまで、名残惜しそうに見ていた。弘暦は養心殿に戻り、″蘭因絮果″と書いたまま考え込んでいた。そこへ李玉が茶を献上し、どういう意味なのか尋ねる。「男女の情が美しいのは最初だけ、やがて尽きる…」容珮は主人に頼まれ、郎世寧(ロウセイネイ)から弘暦と如懿の肖像画をもらって来た。如懿はまだ幸せだった頃の2人の笑顔を見ていたが、決心がついてハサミを手にする。するといきなり自分の絵だけを切り取り、燃やした。つづく( ತ _ತ)ちょっと何?この後半の総集編wそれにしてもこの長い長い嬿婉のターン!これが最大の苦行だったのね(笑後半のあいじゃーの話から如懿と弘暦の再会、何とも切ない、と言うか虚しい気持ちになりました来週は最終回!
2020.03.30
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第39話「奇跡の雨」飢饉に見舞われた西南。西平(セイヘイ)港刺史・劉昌平(リュウショウヘイ)は朝廷に援助を上奏していたが、なぜか食糧ではなく斛珠(コクジュ)夫人がやって来た。西平港商会会長・百里塬(ヒャクリゲン)は女子に救済役など務まらないと高を括っていたが、淳容(ジュンヨウ)妃方(ホウ)氏と言えば前左菩敦(サホトン)王を仕留めた凄腕、劉昌平は見抜かれやしないかと気を引き締める。すると海市(ハイシー)は早速、百里塬の自尊心をくすぐった。「″百里″とは宛州南淮(エンシュウナンワイ)の百里氏か?」「さようです、よくご存知で…ですが百里氏は衰退し、今ではその話をする者もおりません」「方氏も百里氏も名門ゆえ当然、知っている、かつて先祖たちは交流もあっただろう」おだてられた百里塬は上機嫌だったが、劉昌平はやはり侮れない相手だと警戒した。一方、方鑑明(ホウカンメイ)は鮫珠のおかげで小康状態となった。しかし鮫珠で血毒を取り除いても大本を絶てたわけでないと分かっている。すると鑑明は早速、皇帝に謁見し、淳容妃の出発はいつだったのか聞いた。( ー̀ωー́ )<…チッ、誰から聞いた?!( ತ _ತ)<陛下が昏睡中の私に…(; ̄▽ ̄)<朕か…褚仲旭(チョチュウキョク)は海市自ら救済の任を努めたいと申し出たと釈明した。「方海市は籠の鳥ではない、翼を広げて飛んでこそ幸せになれるのだ… 心配なのは分かる、だが生涯、守り続けられるわけではない 鑑明…お前にも手放すべきことがある」その夜、駅間でささやかながら歓迎の宴が開かれ、斛珠夫人は気分良く部屋へ戻った。百里塬はやはり夫人は張子の虎だったと安堵し、名門出身の深窓の麗人が被災民を本当に気にかけるはずがないという。どうやら用意していた偽の公文書さえ出番がないようだ。「片付けますか…決めた通りに進めればいかようにも対処できます」しかし劉昌平はどこか懐疑的だった。海市は酔ったふりをして部屋へ入ると、急にしらふに戻った。どうやら刺史たちは何か隠している様子、そこで早速、偵察に出かけることにする。玉苒(ギョクゼン)は指示通り夫人の服を着せた張り子を座らせ、窓辺に常に影を映して居留守を使うことにした。「覚えておいて、干ばつに苦しむ西平港のため私は部屋で雨乞いをする 雨が降るまで一歩も外へは出ないとね」夜の炊き出し所。被災民たちはここで水のような粥だけもらい、なぜか街を追い出されていた。海市は状況を探るため被災民たちをつけて行くと、実は被災民たちは斛珠夫人が去るまで山の窪地で過ごさねばならないという。「以前は2つの市場に炊き出し所があって朝晩の粥には飼料も混ざっていたけど生きられた 倉の白米は数月前まだ平穏だった頃に劉昌平が船団の頭領に売ったわ、倉に残ったのは飼料だけ 龍尾神の使者・斛珠夫人が運んできたのは食糧ではなく厄介ごとだけよ 劉昌平と商会は事実を知られることを恐れ、残り少ない米を穀物倉庫へ入れた 体裁上、臓物の汁を粥に変えたけど、数が足りないから私たちを追い出しているの」翌朝、劉昌平は駅館に斛珠夫人を訪ね、劇団を手配するので観劇してはどうかと勧めた。しかし玉苒は夫人が雨乞いの祈祷に専念するため部屋から出られないという。劉昌平はならば食事を届けると食い下がったが、その時、殿内から声が聞こえた。「劉大人、心遣いに感謝する、だが留まられては気が散る」「では何なりとお申し付けください、失礼いたします」劉昌平は引き下がったが、夫人の声が違うと気づいていた。駅館に戻った海市は大徴軍からの鳥文に目を通した。すると食糧を乗せた船がまだ越州を出港していないという。商会は荒波で船を出せないと言っているとか、しかしこの季節の波は高くないはずだ。「故意に引き延ばしているのね」一方、刺史府では劉昌平と百里塬が密偵の報告を聞いていた。斛珠夫人は確かに駅館の部屋にこもっているという。2人はひとまず安堵したが、百里塬はこのまま越州から食糧が届かなければ当地の白米はもたないと焦った。「…夫人は雨を降らせると自らおっしゃった、ならば我らはそれを利用しましょう」玉苒は越州に鳥文を放った。「この知らせが届けば船は出ますか?」「待たねば…」なぜか夫人は雨が降るのを待つという。その頃、食糧の到着が遅れていると聞いた方鑑明は再び皇帝に救援への派遣を嘆願していた。このままでは暴動に発展するのは必至、この機を利用して海市の命を狙う者が現れる可能性がある。「死んでも他の者には任せられません!」しかし褚仲旭は方海市なら対処できると信じ、むしろ鑑明の身体の方が心配だと反対した。すると鑑明は拝跪し、海市の無事を見届けなければ死んでも死にきれないと訴える。褚仲旭は鑑明の決意が変わらないとあきらめ、せめて鮫珠の薬を持って行けと言った。褚季昶(チョキチョウ)は方鑑明が出立したと聞いた。方向から察するに西平港だという。「私の策を見抜くとは賢い、しかし残念だ〜西南は遠すぎる、方海市を救たくても手遅れだ」被災民たちは時間になると炊き出しに集まった。そこで兵士は斛珠夫人が来ても食糧は届かず、雨乞いと言って炊き出しに顔も出さないと触れ回る。こうして被災民の怒りの矛先は斛珠夫人へ向かった。そこで劉昌平と百里塬は官吏たちと駅館を訪ね、夫人の安全のためにも西平港を離れた方がいいと説得する。しかしその時、暗雲が垂れ込め、雷鳴と共に雨が降り出した。「何とか間に合ったわ…船はすでに越州を出港した、食糧は3日以内に到着するでしょう 明日からは町を見ます、そうだ、劉大人、食糧が足りるなら被災民を戻してはどうかしら?」「直ちに手配します」やはり夫人は只者ではなかった。一方、方鑑明は道中で海市の動向を知った。食糧は斛珠夫人の命で大徴軍が護送、すでに越州を出港したという。また西平港では大雨が降り、暴動どころか斛珠夫人は被災民から本当に龍尾神の使いだと崇められていた。玉苒はなぜ夫人が雨を降らせることができたのか不思議だった。すると海市は駅館に到着した時、中庭で″風雨花″と呼ばれる赤い花を見つけたという。故郷で良く見るこの花は湿気に敏感とされ、急に花を咲かせた時は7日以内に必ず雨が降った。「到着した日にはもう十分に開いていたわ」確かに南方の形勢は複雑だが、多くの人々が龍尾神を信仰していた。海市はその信仰心を利用し、雨乞いが成功すれば必ず自分に畏敬の念を抱くと考えたという。そこで越州に潜入していた大徴軍に″西平港で雨が降ったら食糧を運ぶ船を掌握せよ″と命じていた。もし失敗した場合は巡回の印で脅すつもりだったが、血を流さず済んだのは運が良い。玉苒はここで初めて夫人が巡回の印を大徴軍の首領に預けていたと知った。「夫人は思慮深く機知に富み、男なら将軍か宰相の器です」「ふっ、それより食糧が到着する前に西平港の虫けらを退治しなくては…」斛珠夫人が官吏たちを引き連れ居北倉の視察にやって来た。被災民たちは夫人の姿に驚き、何事かと集まり始める。すると倉にはわずかだが確かに白米があった。劉昌平と百里塬は胸を撫で下ろしたが、その時、海市の号令で大徴軍が現れる。大徴軍は朝から軍営に出かけ兵糧を回収、しかしその中身は全て飼料に取り替えられていた。海市は民を蔑ろにして西平港を苦境に立たせた劉昌平と百里塬を弾劾、さらし首にするよう命じる。驚いた百里塬は全て自分の考えだったと認め、劉昌平は無関係だとかばった。「1斤の白米を飼料に替えれば10斤です! 数ヶ月前にはすでに干ばつの件を上奏しました だが奏状は陛下まで届かず、越州からの食糧も来ない! 海は季節の強風が吹き荒れ、瀚(カン)州への商船は出航しても食糧を運ぶ船は来ません 劉大人は倉の食糧を売るしかなかった、その銭で飼料を買いました だから今日まで皆、生きてこられたのです!」全てを知った被災民たちは劉昌平と百里塬を許して欲しいと訴えた。海市は善悪を一面からでは判断できないと話し、良心に恥じることがなければ生きられるという。「必ず公正に判断しましょう」すると再び恵みの雨が降り始めた。海市が手のひらをかざすと、龍尾神が与えた印が光る。被災民たちは海市が確かに神の使いだと感激し、その場で平伏し崇めた。その様子を見ていた方鑑明は形勢が安定したと知り、海市に会わず、陰で見守ると決める。つづく( ๑≧ꇴ≦)師父、なぜねずみ男にw
2022.11.13
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第6話)第33話「夫婦のあり方とは」皇帝から虎符の管理を任された皇太子。しかしその重責から寝食もままならなくなってしまう。見かねた皇太子妃は人の多い宮中ではなく、紫桂(シケイ)別院に預けてはどうかと提案した。皇太子は妙案だと喜んだが、これが思わぬ事件を引き起こしてしまう。凌不疑(リンブーイー)に叱られた程少商(チォンシャオシャン)は書卓で考え込んだままいつのまにか眠っていた。すると朝の支度にやって来た侍女・蓮房(リエンファン)が床で倒れている少商を見つける。「女公子?どうしたんですか?そんなところに寝て…今日は凌将軍とお出かけですよね」「…行かない」「また喧嘩ですか?…ふふ、都で誰もが知る″鉄面将軍″と喧嘩できるのは女公子だけですよ~」そこへ使用人の符登(フードン)が現れた。皇太子妃の使いから連絡があり、すぐ参内して欲しいという。皇太子は皇太子妃の従兄・孫勝(スンション)に命じて虎符を別院へ運ばせた。しかし道中で虎符が紛失、万(ワン)将軍の出征は2日後に迫っている。知らせを聞いた凌不疑は慌てて東宮へ駆けつけた。「なぜ動かしたのですか?!東宮に置くよう念を押したはずです!」不疑は全て皇太子の身びいきが招いた結果だと呆れたが、そこへ皇太子妃が現れた。「私たちにはお手上げでも、陛下が溺愛する子晟(ズーション)なら造作ないのでは?」「確かに難しくはない、ですが太子妃から陛下に謝罪してください 全ては己の過ちで太子を巻き込んだと…」その話をちょうど東宮に到着した少商が聞いていた。「男が揃って責任転嫁ですか?」「少商?休みの日だろう?なぜ東宮に?…出ていろ」不疑は皇太子妃がこの大事に少商を巻き込んだと知って驚き、思わず語気を強めた。すると憤慨した少商は自分を呼んだのは皇太子妃だと反発、焦った皇太子妃は母后から信頼されている少商に力になってもらいたかったとかばう。「私のせいで争わないで…少商、行きましょう」皇太子妃は少商を連れて回廊へ出た。自分を追い出した凌不疑への不満を漏らす少商、すると皇太子妃は同情を引くため自分が罪を認めれば済むと漏らす。「殿下には想い人がいたの、私が座を譲れば想いを遂げられるわ…」「儲妃…」少商が何か言いかけた時、不疑が回廊に現れた。しかし不疑は黙って城門の方へ歩いて行ってしまう。珍しく不疑に無視された少商は困惑、急いで後を追いかけたが、城門で待っていたのは馬車だけだった。梁邱起(リャンチゥチー)は若主公から命で少商を送ると伝えた。若公主は王隆(ワンロン)救出の件で万将軍に呼ばれたという。しかし少商は車に上がる踏み台がないことに気づいた。「なぜ踏み台がないの?」「踏み台があると若主公が若女君を抱き上げることができません…ぁ!」梁邱飛(リャンチゥフェイ)は慌てて口をつぐみ、自分の背中を使うよう促した。困惑した少商は必要ないと拒否、歩いて帰るという。するとふいに引き返して来た不疑が少商を片手で抱え、馬車まで連れ戻した。「うわっ!りんぶーいー!降ろして!」「…少商、君を責めたことは謝る、ただ虎符の件は一大事だ 語気を荒らげたのも君を巻き込まないため、この件は私に任せてくれ、いいな?」しかし少商は横暴な不疑に憤慨して返事もせず、宮中に戻ってしまう。( ・ノェ・)コショッ<若女君、怒ってる?@飛(# ー̀ωー́ )<シッ!@起梁兄弟は2人の仲を心配したが、不疑は簡単に納得したら少商ではないと言った。「東宮を見張れ、特に儲妃をな…」少商は長秋(チョウシュウ)宮を訪ねた。すると寝殿からちょうど皇后と翟(ジャイ)媪(ウバ)の昔話が聞こえてくる。皇后は二子三女を出産したが、皇太子が生まれた時は皇帝の大業がまだ道半ばで、10時(トキ)もの難産でようやく生まれたという。「陛下が虎符を授け、異論がある者を震撼させた…これで太子の座も安泰ね 確かに太子が後継者にふさわしいとは思わない でも廃された皇家の子の末路は自害するか殺されるかよ お腹を痛めて産んだ子が後継争いで非業の死を遂げたら、私の余生もそこで終わりとなる…」少商は敬愛する皇后を案じ、結局、そのまま引き返して太子妃を訪ねた。「虎符の形を見たことはありますか?」いよいよ万将軍が匪賊討伐へ出征する朝、皇太子は皇帝の前で万将軍に虎符の片割れを授けた。その様子を遠目から少商と皇太子妃が固唾をのんで見守っている。すると小越(ユエ)侯が万将軍を呼び止めた。「虎符には磁石が入っており、ぴたりと合う…念のため調べてはどうか」小越侯は明らかに虎符が偽物だと疑っていたが、不疑が皇太子の虎符と万将軍の虎符を合わせると、驚いたことにぴたりと吸いついた。皇太子は大役を果たし、万将軍を見送った。しかし少商は困惑する。…私が作った虎符は形だけが同じで磁石は入っていない、なぜぴたりと合ったのかしら…その時、少商は点将(テンショウ)台にいた凌不疑と目が合った。『私に任せておけ』昨夜、凌不疑は梁兄弟から少商がやはり東宮を訪ねたと聞いた。『彼女らしい、自分の敵は許さず、よくしてくれた者に報いる…』実は小越侯は孫勝を抱き込み、難なく虎符を手に入れていた。不疑はもはや皇太子では収拾できないと考え、かつて皇帝が溺愛する霍(フォ)家だけに授けた虎符を使うことにする。『若主公、霍将軍の唯一の遺品ですよ?渡せば霍氏の遺物がなくなってしまいます』梁兄弟はさすがにそこまでする必要があるのかと訴えたが、不疑は虎符が偽物だと露呈すれば少商に行き着くと分かっていた。『少商と約束した、何をしようと私が守ると…そしてこたびも例外ではない』少商は再び凌不疑に救われた。しかし2人の関係は一進一退、自分の意思を通すこともできず、もはや成婚そのものに疑問が湧いてくる。そんな中、少商の堂姉・程姎(チォンヤン)にも縁談が舞い込んでいた。実は22話で姎姎に一目惚れした班嘉(バンジア)が毎日のように屋敷を訪ねて来るという。蕭元漪(シャオユエンイー)は良縁を喜んで姎姎の気持ちを確認したが、姎姎は自分の意思で何かを決めたことがなかった。「好きな人には好かれていないし…(ボソッ)でも伯母が嫁げというなら喜んで嫁ぐわ」(・Д・)<それでいいの?!@嫋嫋一方、万萋萋(ワンチーチー)と少商の二兄・程頌児(チォンソンアル)は口づけ以来、急接近、2人は婚姻の約束を交わしていた。萋萋は自分が嫁ぐのではなく婿を娶ると話し、夫唱婦随(フショウフズイ)ならぬ婦唱夫随だと笑う。( ー̀ωー́ )<…聞くだけ無駄だった@嫋嫋すると萋萋はあれこれ悩むなど少商らしくないと鼓舞し、男女の間柄など本来は至極、単純なものだと諭した。「好きなら一緒にいる、嫌いなら別れる…で、凌不疑が好きなの?よく考えてみて 相手といる時、嬉しいと感じる方が多いか、それともあんたを怒らせる方が多いか」少商は早速、良いことと悪いことを順番に思い出しながら数え始めた。しかし早々に萋萋から止められてしまう。「ちょっと~それじゃ不公平よ? 惚れた弱みにつけ込んで相手だけ尽くすのが当然のことだと思っているの?」萋萋は命を懸けて少商を救った凌不疑と比べれば、少商の不満など大したことではないという。姎姎も自分が危険な時に命を顧みず救ってくれたり、助けがない時に守ってくれる人なら好きになるに値する人だと言った。「絆を築くのは真心を捧げ合うことよ?深い情を無下にしないで」少商は萋萋と姎姎の言葉で目が覚めた。そこで慌てて凌不疑に会いに行こうと決めたが、門を飛び出すと不疑の姿がある。少商は今さらながら不疑がこうしていつも自分を見守っていたのだと気づいた。「これまで妥協して譲歩した気でいた、でも妥協して譲歩していたのはあなたの方だったのね」「私が好きなのは勇敢な君なのに、君を束縛して干渉してしまった… 嫋嫋、私が好きなのはありのままの君だ」「…実はふたつ伝えたいことがあったの、この先は精一杯、あなたによくする」「はお、ひとつ目は覚えておく、でふたつ目は?」「共白髪になるまであなたの優しさと今日のことを忘れない」すると不疑は少商を抱き寄せ、婚姻を早めたいと言った。凌不疑は少商を連れて杏花(キョウカ)別院の母を訪ねることにした。「少商、中に入って何を見聞きしようと、まずは黙って合わせてくれ あとで説明するよ、いいね?」屋敷に入った2人はちょうど中庭にいる霍君華(フォジュンホワ)と崔祐(ツイヨウ)を見つけた。しかし不疑は母を女公子と呼び、甥として挨拶する。どうやら霍君華は錯乱し、自分が16歳だと思い込んでいるらしい。「待ってるがいいわ!越姮(ユエホン)の顔に泥を塗って笑い物にしてやる!」少商は越妃の昔話を思い出し、2人の間に因縁があったのが事実だと分かった。そこで崔祐は天下には文(ウェン)兄以外にも男がいるとなだめる。「他の男にも嫁げるぞ?」「そうね、あの″凌″って男、顔は見るに堪え得る… でも田舎から避難して来て薬代もままならないほど貧乏よ あ、兄長が援助すればいいわ!兄長?…兄長はどこかしら…兄長…(はっ!)兄長は死んだ!」霍君華は兄が亡くなったことを思い出し、急に興奮した。すると不疑を凌益(リンイー)だと勘違いして激高、不疑の手に噛みついてしまう。崔祐は慌てて霍君華を不疑から引き離すと、あとは自分に任せて手当てをしろと言った。つづく( ๑≧ꇴ≦)念願の片手抱っこ来たわ!やっと想いが通じ合いめでたしめでたし?とはいかないのでしょうな〜
2023.10.07
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第23話「皇太子の噂」才人・武媚娘(ブメイニャン)が夜伽から戻ると、松涛(ショウトウ)がひざまずいて許しを請うていた。実は武媚娘は盂蘭盆会(ウラボンエ)の衣を急かせる松濤を怪しみ、警戒していたという。そこで図案の相談に来た豆子(トウシ)との話を聞かせて玉柳(ギョクリュウ)にあとを付けさせたところ、楊(ヨウ)妃に知らせたと分かった。松濤は楊妃に弱みを握られ脅されたと涙ながらに訴え、今回だけは見逃して欲しいと哀願する。しかし武媚娘は裏切った者をそばに置けないと退け、懲罰だけは免じて追い出した。「主従の関係はこれまでよ」一方、皇帝の寵愛を失った楊妃は皇太子の弱みを探るため身辺を探らせていた。すると皇太子が尚服局に移った豆子を目にかけ、側仕えの王伏勝(オウフクショウ)よりも親しげだと知る。楊妃はこれに目をつけ、皇太子が男色だという噂を流すことにした。尚服局では楊妃から板打ちの罰を受けた大家・卓錦娘(タクキンジョウ)が静養中だった。韋(イ)夫人の衝立を担当している鄧七娘(トウシチジョウ)は師匠に図案を見せに行ったが、自分には難し過ぎるため図案を変えるよう命じられてしまう。七娘が肩を落として采章(サイショウ)署に戻ると、繍女たちはやはり駄目だったのだと噂した。すると七娘は居たたまれなくなって出ていってしまう。(*´・ω・)<やっぱり教えてもらえなかったのね~(*´・ω・)<西市の光景を刺繍するなら高度な無錫(ムシャク)刺繍の技が必要だもんね琉璃(ルリ)は七娘を追いかけ慰めたが、七娘は自分に才能がないだけだと卑下した。琉璃は仕事の合間を縫って肌着を作り、約束通り裴行倹(ハイコウケン)に贈った。裴行倹は喜んだが、他の男の肌着を作らないよう釘を刺し、男女の別は必要だと念を押す。相変わらず実感がわかない様子の琉璃、そんなある日、皇太子の噂を聞いた武媚娘が東宮を訪ねた。実は近頃、皇太子が男色だという噂が流れ、収まる気配がないので忠告に来たという。「特に寵愛する者と東宮で密会していると…豆子のことでしょう」武媚娘と裴行倹は慎重を期し、豆子との接触を控えるよう諫言した。しかし李治(リチ)は避ければかえって図星だと言われると退け、豆子に大事な相談があるので邪魔されたくないという。楊妃はこのひと月の間、毎朝、薬湯を煎じて甘露之殿に届けた努力が功を奏し、皇帝の怒りが解けた。久しぶりに息子の曹(ソウ)王・李明(リメイ)と散策に出かけた楊妃、どうやら皇太子の噂が皇帝の耳にも届いているという。しかし李明は噂だけでは致命傷にならないため、裏付ける現場を皇帝に見せるべきだと訴えた。李明は東宮に潜入させた間者・元朗(ゲンロウ)に命じ、嘉徳之殿の香炉に密かに香を仕込んだ。その頃、裴行倹は尚服局に琉璃を訪ね、これ以上、皇太子に会わないよう説得する。「皇太子が男色だという噂があり、君が皇太子の想い人だと言われている」「私?!…でも女子の私が好きなら男色じゃないわ?ふふ」「お前と来たら…何度も言っているだろう?」「覚えているわ、宮中では細心の注意を払い、太子殿下と距離を置くこと 私の素性のせいで太子殿下を巻き添えにしないため…でしょう?」しかしそこへ豆子を迎えに王伏勝が現れた。「裴将軍の話は良く分かりました、心配せずとも上手く処理しま~す」皇太子はなぜか急に身体がほてっていた。そこへ王伏勝が豆子を案内し、仕事に戻ってしまう。すると皇太子は内侍に話を聞かれないよう豆子を近くに呼んだ。元朗はその隙にまた香炉に何やら仕込み、逃げるように出て行ってしまう。「太子殿下、まだ期限まで8日ありますよ?」「尚服局では動きが取れぬだろう?だからここで絵を描け」琉璃は早速、書卓に向かうと、ふと近くの香炉から漂う珍しい香りに気づいた。皇帝は品行方正な皇太子になぜ急におかしな噂が流れたのか困惑していた。公務に付き添っていた楊妃はあえて何も言わなかったが、そこへ曹王がやって来る。「母上、東宮にはもう行かれたので? 暑さで食欲がない陛下のため、母上は東宮の池で蓮の実を採って冷たい汁物を作られると…」すると喜んだ皇帝は皆で一緒に東宮へ行こうと言った。実はその頃、琉璃は頭がぼうっとなり、急に身体に力が入らなくなっていた。そこで一旦、戻りたいと断り席を立ったが、皇太子にここで休むよう引き止められてしまう。ちょうどその時、裴行倹が皇太子に謁見に来た。しかし元朗に取り込み中だと追い返されてしまう。嫌な予感がした裴行倹は武才人にすぐ東宮へ来て欲しいと伝言を頼んだ。しかし武媚娘はちょうど御花園まで足を伸ばしていたため、玉柳が伝えるまで半刻もかかってしまう。一方、嘉徳之殿に王伏勝が戻ってきた。元朗は皇太子から誰も入れるなと命じられたと立ちはだかったが、王伏勝は自分を止めるとは何事かと呆れて入ってしまう。すると王伏勝が慌てた様子で外へ出てきた。王伏勝は元朗に豆子がいること内密にするよう命じたが、その時、突然、皇帝一行がやって来る。その頃、知らせを聞いた武媚娘は左衛副率・莫坤(バクコン)の案内で急ぎ裏門から東宮に入っていた。楊妃と李明は慌てふためく王伏勝の様子を見て計画が成功したと確信した。すると王伏勝は平伏し、皇帝を足止めする。「申し訳ございません!誰にも知られてはならぬと太子殿下のご命令で… 特に陛下には知られたくないと」激怒した皇帝はすぐ皇太子のもとへ案内するよう命じた。しかしなぜか皇太子は裏庭にいるという。皇帝たちが裏庭へ行くと、使用人たちが何やら懸命に働いていた。「陛下、あれは何でしょう?」「仕えられる身のそなたは知らぬのだな、あれは製糸の作業だ かつて長孫(チョウソン)も糸を繰っていた」すると皇帝は使用人たちの中に皇太子の姿を見つけた。長孫皇后は生前、養蚕を重視していた。李治は当時の幸せだった日々を思い出し、母と同じように自ら蚕を育て、皇太子妃に織らせた絹地で衣を仕立て、皇帝の誕辰祝いに贈るつもりだったという。皇太子の手の平はあかぎれで痛々しかった。皇帝は善良すぎる我が子に気骨がないのではと心配したが、杞憂だったと涙する。一方、元朗は香炉に仕込んだ香を慌てて回収し外へ出た。しかしちょうど嘉徳之殿にやって来た裴行倹と出会い頭にぶつかってしまう。「何を慌てている?大丈夫か?」「はい、一足違いで太子殿下はお出かけになったようです」元朗は逃げるように走り去ったが、裴行倹はぶつかった拍子に元朗が隠し持っていた香を盗んでいた。武媚娘は皇帝に挨拶した。実は退屈しのぎに皇太子妃と一緒に絹織を学んでいたという。そこへ皇太子妃が絹地を持って来た。皇帝は上質の絹だと喜んだが、絹織の技を教えたのが皇太子の寵愛するあの豆子だと知る。豆子は噂に違わず美しい顔をしていた。武媚娘は盂蘭盆会で長孫皇后の礼服を縫った者だと紹介し、自分たちの覚えが悪いため何度も呼び寄せてしまったとかばう。しかし琉璃は才人の謙遜だと否定し、妃たちが労苦をいとわず、短い間で複雑な技を身につけたと賞賛した。すると皇帝が急に側仕えの高全(コウゼン)を呼ぶ。つづく(^ꇴ^)李明、懲りないよね〜少しは学べと…wってか皇太子妃いたんだ?
2023.07.12
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第17話)第44話「降って沸いた功労者」行方不明の程少商(チォンシャオシャン)を探すため銅牛(ドウギュウ)県に入った凌不疑(リンブーイー)。そこで待っていたのは馬栄(マーロン)を説得して城内を解放させた河東楼(カトウロウ)氏二房の楼犇(ロウベン)だった。馬栄には投降を勧めたものの、彭坤(ポンクン)の配下に殺されてしまったという。「出征前、楼兄も同行させたいと申し出たが、楼太傅は婉曲に断った まさか楼兄が危険を冒し、銅牛県で手柄を立てるとはな」「去年、寿春(ジュシュン)へ行き馬栄と面識があったゆえ、数言ほど話せただけだ」「謙遜を…一城を守る将を数言で投降させることなどできない で、楼兄は顔忠(イエンジョン)が投降したと信じるのか?」すると楼犇は県丞・李逢(リーフォン)の証言だけでなく、県衙(ガ)の書房で顔忠の詫び状が見つかったと報告した。しかし少商の父・程始(チォンシー)の行方については何も知らないという。「それで李逢は?投降を拒んで投獄されたのであろう?」「あ、この数日、慌ただしくてな…すぐ釈放する」その時、衛兵が駆けつけた。「大変です!県衙の牢が火事です」↓まさに降って湧いた感w凌不疑は直ちに県衙の地下牢に駆けつけた。大事な証人だった李逢はすでに息絶えていたが、その時、誰かの咳き込む声がする。それは火事に巻き込まれ、炭で顔が真っ黒になった少商だった。凌不疑は無事に少商と再会、安堵した。少商もようやく身なりを整え、不疑に痛めた手首を手当してもらいながら、ここへ来るまでの苦労を切々と訴える。「でね、糞尿の桶に隠れて城内に入ったの、あの臭い、今、思い出しても頭が痛くなる…(´゚艸゚)ォェッ それで考えたの、李逢が鍵を握っていると…でも牢獄でしょう? だから焼餅(シャオビン)を2枚盗んで捕まるしかなくて…」すると不疑は急に少商が愛おしくなり笑ってしまう。「笑うところじゃないわ!」「はおらはおら~、私が来ただろう?…私は君の未来の夫だ、当然、程家の人間でもある 孤軍奮闘しなくていい、君の父は私の父でもあるのだから」「大事な時にそばにいてくれなかったじゃない(ボソッ)そうだ、牢獄では収穫もあったの」その時、部屋の外に楼犇がいた。楼犇は少商が何か嗅ぎつけたと気づいて立ち聞きしようとしたが、不疑に気づかれてしまう。「誰だ?!」「私です」仕方なく楼犇は部屋に入り、火事の死傷者名簿を渡して出て行った。少商は楼犇を疑っていた。実は収監された李逢がいずれ昇進して財を成すと自慢し、楼犇が銅牛県を奪還すれば贅沢できると話していたという。李逢は朝廷の兵が来れば馬栄が投降すると知っていたのだ。さらに火事で大騒ぎになった時、″裏切り″だの″口封じ″だの叫ぶ李逢の声が聞こえたという。「誰かと結託していたのね…阿父の失踪と何か関係があるのかしら?」少商と凌不疑は李逢の葬儀に出かけた。位牌の前で悲しみにくれる李夫人、2人は中庭から哀れな夫人の姿を見ていたが、その時、楼犇が夫人に何やら耳打ちしている様子を見かける。今や楼犇は銅牛県を救った英雄となった。少商はなぜ父が県令と精銅を運び出したのか疑問だったが、参列者の話ではあの日、程将軍と顔忠は寿春に隣接する銅牛県から精銅を守るため都に戻すという名目で運び出したという。その時、顔忠はなぜか家族も一緒に連れていた。「その経緯は誰から?」「李県丞です」するとしばらくして李夫人がふらふらと外へ出て行った。少商と凌不疑は李夫人の様子を訝しみ追跡した。李夫人は家財を売り回っているだけだったが、やがてある質屋で騒ぎを起こす。店主の査定に納得できず、外に飛び出して虐げられたと通行人に訴えたのだ。李夫人は激怒した店主に突き飛ばされて転倒したが、その時、少商は夫人が巾着を落とすのを見逃さなかった。少商は人混みから李夫人の落とした巾着を拾って凌不疑と戻った。中から出て来たのは役所の書類だったが、県の区画図を見るに顔忠が水路を掘って道を舗装する予定だったと分かる。果たして城内の整備を考えていた人間が急に投降などするだろうか。恐らく顔忠の投降が疑われないよう李逢が隠したのだろう。李夫人の回りくどい演技も、焼香を口実に現れた楼犇に脅されたせいだと察しがつく。すると少商は確かに李夫人の話は辻褄が合わないと気づいた。「李夫人は30里先の実家に戻るため質に入れると言ってた でも女の足でも2日、そんなに路銀が必要かしら? それに李逢に両親はいないのに″亭長の父親″って…誰? 30里…亭長…亭・・・ハッ!」少商の予想通り黒甲衛(コクコウエイ)は30里先の山道で亭(アズマヤ)を発見、付近で埋められた遺体を発見した。掘り出された遺体は身なりからして顔忠一家だと思われ、残りの遺体も服装から程将軍に同行した護衛だと分かる。少商は不疑が止めるのも聞かず、自ら腐敗した遺体を確認して父を探した。「少商、見つからないのは生きている証拠だ」「(ハッ!)そうね、そうよね、どこかで助けを待っているのかも…」すると少商は矢も盾もたまらず父を探しに走り出してしまう。凌不疑は慌てて少商を追いかけ捕まえた。「少商!冷静になれ!」「冷静になれるはずない!早く阿父を見つけなければ手遅れになってしまうわ!」少商は泣き喚いて父を探すと暴れたが、不疑が点穴して少商を眠らせてしまう。「君の心境は誰より私が分かっている…心配ない、私が受けた苦痛を君には味わせないよ」少商が目を覚ますと寝台だった。凌不疑の話ではまだ父は見つからず、やはり遺体の中にもいなかったという。「…阿父を探さなくては」少商は引き止める不疑に激怒したが、その時、控えていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が思わず口を滑らせた。「若主公は数時も若女君を背負って帰り、まだ水も飲まず…」梁邱起(リャンチゥチー)は咄嗟に弟を制したが、阿飛は何も知らずに若主公を困らせる少商に我慢できなかった。「曲陵侯の件を聞いた若主公は単身、寿春に潜入して刺されたんですよ? それでも若女君を案じてその足で銅牛県に来た この数日、不眠不休なのに少しはいたわってくれても…」「阿起、罰を受けさせろ」すると邱起は邱飛を連れて下がった。少商はようやく冷静になった。「今後は覚えていて、私のためでも命を投げ出さないと」「君のことばかり案じていた、命など考えている暇はなかった」凌不疑は少商の鎖帷子のおかげで救われていた。「時々、思うんだ、君が優しくしてくれるなら、身体にもっと穴が開いても良いと…」舅父の霍翀(フォチョン)が亡くなって母は錯乱、この世で自分を心配してくれる者は誰もいなくなった。不疑は霍家の最後の人間である自分だからこそ、今の少商の不安が痛いほど分かるという。すると少商は不疑の胸に顔を埋めた。「もう独りじゃない、私がいるわ…これからはあなたも孤軍奮闘しなくていい 私が永遠にそばにいてあなたを守る」「少商…私は…」「何?」不疑は何か言いかけたが、しばし少商の顔を見つめてから言い直した。「私は…君が必要だ」一方、文(ウェン)帝は何かと諫言してくる御史たちにうんざりしていた。その夜も左(ズオ)御史中丞が程始や程娘子を弾劾すべく謁見を願い出ていたが、皇帝は誰とも接見しようとしない。しかし左御史中丞が先に待っていた万松柏(ワンソンバイ)と言い争いとなり、腕をひね上げられ脱臼してしまう。「陛下!万松柏を訴えます!同僚に乱暴した無法者です!陛下!」皇帝は仕方なく謁見を認めると、一緒に待っていた袁慎(ユエンシェン)と楼太傅もやって来た。万将軍は転んだ左大人(ダーレン)を支えようと腕を引いただけだと釈明した。すると袁慎はもちろん、甥の功績のことで嫌味を言われた楼太傅までその通りだと認めてしまう。左御史中丞は悔しさと肩の痛みをこらえながら、未だ行方知れずの程始こそ精銅を盗んで顔忠一家を抹殺したと弾劾、一刻も早く曲陵侯一族を死罪に処し、程娘子も罰を受けさせるよう訴えた。そこで袁慎は戦の終結で慌ただしい中、御史台だけが暇を持て余していると指摘し、程娘子を帰京させる伝令は左大人自ら行ってはどうかと提案する。「なぜ私が内侍官の仕事を?!」「それはいい、確か子晟(ズーション)と程娘子とは旧情を交わした仲であろう?決まりだ!」左御史中丞は凌将軍から罰を受けたことを揶揄され、皇帝に何も言えなくなってしまう。「それから楼太傅の甥も一緒に戻ると良い、しかと論功行賞を行わないとな」楼太傅は偶然の産物だったと謙遜して辞退しようしたが、皇帝はすでに決めたことだと取り合わなかった。翌日、凌不疑と少商は楼犇に探りを入れることにした。実は顔忠にも密かに交流のある旧友がいたという。「世家の子弟だそうだ、ただ世家に迎合したと思われるのを恐れて交流を隠していたらしい 楼兄、ご存知か?」つづく( ;∀;)パパ~どこにいるの?!ルースー上手いわ~でも今回はウーレイのウルウルしたチワワのような瞳が全て持って行ったわw※亭長:役場町の長
2023.11.13
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第45話「偽りの人生」方鑑明(ホウカンメイ)は方海市(ホウハイシー)を鳳梧(ホウゴ)宮へ送り届け、″目覚めたら来て欲しい″と伝言を託した。翌朝、海市は急いで昭明宮へ向かったが、呼ばれた理由は分からない。「なぜ起こしてくれなかったの?」すると玉苒(ギョクゼン)は清海(セイカイ)公から疲れている淳容(ジュンヨウ)妃を起こさぬよう申しつかったと釈明した。今日の昭明宮は人影もなく静かだった。涼亭で待っていた方鑑明は海市に好物の桂花糖を勧め、方卓英(ホウタクエイ)から届いた密報を見せる。海市は師匠の雰囲気がいつもと違うことに戸惑いなら、久しぶりに師兄の筆跡を目にした。…師父、先日、奪洛(ダツラク)が少ない兵馬で右部を奇襲しました…塔拉(トウラ)は私を救うため不幸にも命を落とすことに奪罕(ダツカン)はこの悲劇で部下たちの信用を失わぬよう、単騎で奪洛を草原へ連れ出し、決闘を申し込んだという。そして配下が見守る中、卓英は徒手で奪洛を屈服させ追放、ついに鵠庫(コクコ)統一を果たした。↓だからあえてこのカツラだったのか〜って(;╹⌓╹)ェェエエ工?!塔拉が死んだ?!褚季昶(チョキチョウ)の謀反は失敗、雷州諸部は大徴と同盟を結び、瀚(カン)州も落ち着いた。方鑑明は天下泰平の世が訪れたと実感し、ようやく海市に本心を打ち明ける。当時は自分の死後に昶王が海市を害するのではと恐れて慌てて入内させたが、もはや海市を傷つける者はいなくなった。今後、海市がどこで何をしようと皇帝が許してくれるという。実は皇帝は朝廷が安定したら柏奚(ハクケイ)を解いて鑑明が官職を辞すことも認めていた。「共に行っても良いか?…お前がどこで何をしようとお前のそばにいたい…」( ゚д゚)<はぁ?…あなた、私のそばにいたいの?って、なぜ?(๑•̀ㅂ•́)و✧<それはお前を愛しているからだ!鑑明は海市が救ってくれた命を無駄にしたくないと訴え、もう一度だけ機会が欲しいと懇願した。(・Д・)<もし嫌だと言ったら?( ̄◇ ̄;)<ぁ…手紙を出すよ…その~時々、会ってくれるだけで…(´゚艸゚)∴ブッ<方鑑明!そんなに簡単にあきらめるの?!海市はこの言葉をずっと待っていたと涙を流して喜んだ。そこで今後は隠し事をせず、決して2人は離れず、ずっと愛し合い子供を持ちたいという。鑑明は何でもすると約束したが、海市は全て書き記して署名して欲しいと笑った。「はお、では今すぐ書こう!」(* ゚ェ゚)え?…てっきりハイC、ちゃぶ台ひっくり返すんだとばかり…方鑑明と海市は手を取り合い、書斎に急いだ。そして鑑明は海市が見つめる前で誓いの書をしたため、完成させる。「あとは署名するだけね…」すると鑑明はいきなり海市を押し倒してしまう。「今生、絶対にお前を裏切らない」鑑明と海市は共に生きることを誓い、愛を確かめ合った。方鑑明が謁見した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は幸せそうな鑑明の姿に安堵し、解毒が終わったら柏奚を解くという。「そして朕は清海公の訃報を公表し、方海市に密勅を下す 琅嬛(ロウケン)を送ったら現地に留まり、龍尾神と善行を積めとな そうすれば清海公と淳容妃はこの世の中からいなくなる」鑑明は皇帝の周到な準備に感謝したが、その一方で投獄された弟を心配していると分かった。実は褚季昶は気が触れたのか、牢でおかしな話ばかりしているという。机には昶王に厳罰を要求する上奏文が山積み、しかし褚仲旭は唯一の血族の命をどうしても奪えずにいた。注輦(チュウレン)の王子・索蘭(サクラン)が自ら故郷の果物を届けるため宮中にやって来た。肉親の情に苦しむ褚仲旭は索蘭をしばらく滞在させると決め、淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)に情勢が落ち着いたら再会させると伝える。「姐弟の絆に恵まれるのは良いことだ…幸運だな」緹蘭は昶王のことを思うと胸が痛んだが、必ず良い解決法が見つかるはずだと慰めた。「皇室に生まれたら兄弟の縁は薄いものなのだろう…」しかしそんな中、ある重大な事実が判明する。翌朝、皇帝に謁見した索蘭が思わぬ秘密を明かした。「牢にいる昶王は陛下の本当の弟ではありません!」( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)マイケルェェェェェ___昶王の謀反の件は注輦にもすぐ伝わっていた。するとそれを知った褚季昶の元使用人の男が酒に酔ってうっかり秘密を漏らしたという。実は褚季昶と大徴の皇帝は血族ではなく、本当の褚季昶は注輦に来て間もなく不慮の事故で水死していた。しかし当時、仕えていた女官が罰を恐れ、王宮の外でよく似た偽者を探して来て替え玉にしたという。報告を受けた注輦王は使用人を拷問にかけ詳細を問いただし、本物の褚季昶を埋葬した場所まで発見していた。褚季昶の遺骨と証人はすでに大徴に向かう道中だという。褚仲旭はにわかに信じられなかったが、索蘭が献上した供述書を確認し、怒りのあまり身体が震えた。褚季昶の牢に皇帝が現れた。褚季昶は兄にすがりついて命乞いしたが、褚仲旭はまるで他人を見るような冷たい目つきをしている。思えば儀(ギ)王の乱の時、褚李昶は注輦でこっそり皇兄に協力し、偽帝姫(テイキ)の件では命を惜しまず皇兄を救った。「そなたは言ったな…朕がそなたを大切にすれば、そなたも朕に尽くすと…」「一時の気の迷いからこんなことを…哥哥…哥哥ぁぁぁ…」「…だがそなたは朕の弟か?」すると褚仲旭は偽者の手を振り払って帰ってしまう。「哥哥…讒言を信じないでください!哥哥ぁぁぁ~!」褚仲旭は方鑑明と海市に供述書の真偽を尋ねた。冷静な鑑明は証言だけでは信じられないと考え、霽風(セイフウ)館で調査させるという。しかし海市がすぐ真偽が分かる方法があると進言した。海市は深夜、誰にも見られぬよう褚季昶を連れて琅嬛の浴槽を訪ねた。すると琅嬛が褚季昶の手を取り、記憶をたどる。『ごめんよ、お前を売らねば弟も妹も飢え死にしてしまう』『泣かないで母さん、僕は大丈夫…』『…家族の無事を願うなら何も問わないことだ 今日からお前は大徴から来た王子・季昶、大徴の風習や季昶殿下の性格と習慣は教える』琅嬛は残念そうに首を横に振った。海市は偽の昶王に毒酒を届けた。慈悲深い皇帝は偽者を完全な姿で逝かせてくれるという。しかし偽者は慈悲など偽善者の言い訳に過ぎないと冷笑し、高貴な身分にいれば自分や家族を守れると言った。「私も漁村で育ち、阿娘もただの漁民だった… でも阿娘は万民の幸福のため望んで命を捨てたわ あなたがもし九州を統一したとしても阿娘の高貴にはかなわない」「わははは~斛珠夫人よ、母を聖人とするような戯言はやめろ…理解できん」「あなたには分からない…分かる必要もないわ」海市は何とも虚しくなって牢をあとにすると、寝宮で方鑑明が待っていた。方鑑明は自分が代わりに行くべきだったと後悔した。すると海市はこの手で母の敵を討ちたかったという。しかし気が晴れるどころか、悲しく惨めな気分になったと吐露した。それにしても皇帝はなぜ激怒しながら秘して公表せず、公然と処刑しなかったのだろうか。鑑明はこれも全て淑容妃のためだと教えた。「この事案は熟考が必要だ 注輦王はとうに真相を知っていたのやも…だが紛争を恐れ、暴かずにいた可能性もある もし公にして調査しても、その結果が陛下の望むものとは限らない」「この件が注輦と関係するなら緹蘭の地位に影響するからなのね」皇帝は緹蘭と子供のために必死に怒りを抑えていた。「でも昶王の従者として共に注輦に行った湯乾自(トウカンジ)が…」「今は調べるな、陛下は時機を待つおつもりだ」海市は皇帝と師匠が実の兄弟のように理解し合っていることに感銘を受けた。「これから私は陛下よりもずっとあなたを理解し、どんな時も隣にいる、もう独りにさせない」「私もそばにいてお前を大切にして愛し、喜ばせる…他には何もない」謀反で逆賊を欺き功績を上げた黄泉営の将兵たちは朝議で褒章を賜った。軍侯・張承謙(チョウショウケン)は明威(メイイ)将軍に封じられ、海市を大哥と慕っていた任勇(ジンユウ)・肖武(ショウブ)・呉恙(ゴヨウ)・郭大成(カクダイセイ)は参軍に封じられる。 つづく( ๑≧ꇴ≦)あれ?郭大成が生きてた!wwwwwじゃあ葉母を護衛していた小郭って誰よ?!wそれにしてもここに来て大事な話がさらっと流されてる~
2022.12.04
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第21話「再会のよろこび」皇太子の酒席で泥酔してしまった豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)。裴行倹(ハイコウケン)は玉児(ギョクジ)が失態を演じないよう咄嗟に連れ帰り、途中で酔いを覚まさせることにした。「酒には気をつけろ、女の身だと忘れるな…それからもう一つ、太子殿下とは距離を取れ」琉璃は裴行倹も義父と同じように権力争いに巻き込まれることを恐れているのだと分かった。しかし裴行倹は困った様子で他にも理由があるという。まさか嫉妬だとは言えない裴行倹、そこで皇太子が玉児を気に入って側仕えに望んでいると教えた。やはり玉児は不禄(フロク)院で男として育ったせいか男女の別に疎く、隙が多い。「玉児、男と女は距離を保つものなんだ」「阿母や阿翁みたいに優しいのね、親身になって案じてくれるなんて…」すると裴行倹は玉児の母がどんな罪を犯したのか教えて欲しいと頼んだ。これも玉児を守るためだったが、琉璃は裴行倹を巻き込みたくないと口をつぐむ。裴行倹はそれ以上、玉児を追求せず、自分の力で突き止めることにした。尚服局は盂蘭盆会(ウラボンエ)用の衣の準備に追われていた。ようやく夕餉の時間となり引き上げた繍女たち、しかし卓錦娘(タクキンジョウ)は未だ楊(ヨウ)妃の衣の図案が思い浮かばず行き詰まっている。すると鄧七娘(トウシチジョウ)が夜食の差し入れに来た。七娘から工房に残っているのが豆子だけだと聞いた卓錦娘はようやく才人の衣を作り始めたと気づき、慌てて七娘に偵察に行かせる。「詳しく見てくるのよ!」琉璃は工房で図案を描いていた。すると七娘は″百鳥朝鳳(ヒャクチョウチョウホウ)図″だと気づき、その精密さに感嘆の声を上げる。「師父が一目置くはずね、あなたの腕前は尚服局のどの宮女よりも上だわ」琉璃は卓錦娘が聞き耳を立てていると気づき、わざと大声で言った。「楊妃のお気持ちを考えたのです 皇后の座は空位のまま、皇帝の寵愛を受ける楊妃は皇后に最も近い存在でしょう ご自分からは言えませんが、私たちがお気持ちをくんで知恵を出さなくては…」その時、卓錦娘が何やら興奮しながらやって来た。どうやら卓錦娘は豆子がこの図案で楊妃に取り入るつもりだと誤解したらしい。しかし琉璃は卓大家の力になりたくて描いたと訴え、卓大家に渡すつもりだったと釈明した。翌朝、卓錦娘は楊妃に百鳥朝鳳図の衣の図案を届けた。さらに楊妃が唯一の存在であると示すため、百鳥と孔雀の羽根で装飾を作ってはどうかと提案する。ようやく楊妃を満足させた卓錦娘、一方、才人・武媚娘(ブメイニャン)も豆子と図案の相談を始めていた。楊妃の間者となった松濤(ショウトウ)は才人に薬湯を届けながら図案を盗み見ると、早速、丹青(タンセイ)に情報を流す。すると武才人は豆子の図案から牡丹柄を選んだと分かった。花弁には金の生糸、葉には天山の玉を使い、優美に仕上げるよう指示していたという。実は牡丹は長孫(チョウソン)皇后が愛した柄、才人の分際で牡丹を選べば傲慢だと非難されるのは必至だ。裴行倹が左衛率府に戻ると、副率に引き立てられた莫坤(バクコン)がすでに到着していた。この移動は皇太子のたっての希望で、着任を楽しみに待っているという。今はまだ手続き中のため、裴行倹は数日ほど休むよう勧めたが、莫坤は何か手伝えることがないか聞いた。すると裴行倹は実は内密に調べて欲しいことがあるという。「庫狄延忠(コテキエンチュウ)という男と宮中の関わりを知りたい 確信はないが公文書に手がかりがあるやも… 助けたい友のゆかりのある人物なのだ、事情を話そうとせぬゆえ、密かに支えてやりたい」不禄(フロク)院の順子(ジュンシ)は使いを頼まれ甲庫に帳簿を届けた。李(リ)内侍は順子の無事な姿に安堵し、ひさしぶりに話し相手になってもらう。すると順子は書卓にあった安(アン)氏の文書を訝しんだ。「もう11年も経ったのに、なぜこんな古い記録を?」「左衛率府が急に求めてきたのだ、その前に大理寺と掖庭(エキテイ)を訪ねたらしい」そこへちょうど莫副率が現れ、安氏の記録を借りて読み始めた。順子から報告を聞いた孫徳成(ソントクセイ)は豆子に関わりがありそうだと心配した。聞けば信任の左衛率は豆子が城外で出会った裴行倹だという。順子は豆子に恩がある裴行倹なら安心だと思ったが、孫徳成は警戒を強めた。すると順子が安氏の事件と関係があるのは楊妃だと思い出し、裴行倹は皇太子のために楊妃の弱みを握りたいのではと考える。「いずれにせよ豆子が危険だ…裴行倹の目的が何であれ守らなくてはならぬ 順子、お前は楊妃側に目を光らせてくれ、豆子は我らを気遣い何かあっても知らせてこない」「分かりました」莫坤は調査を終えて裴行倹に報告した。「庫狄延忠を調べる狙いは楊妃だったのですね?」11年前、皇帝が楊妃を立后しようとしたが廷臣の反対に遭って諦めた騒動があった。裴行倹はその時、ちょうど科挙で上京していたため、よく覚えているという。「庫狄延忠はごく普通の庶民でした、しかし妻は違った、″天下第一針″と称された安氏です」実は安氏は当時、楊妃に独断で褘衣(キイ)を贈り、謀反の罪で投獄され、自害していた。延忠は事件の前に離縁状を書いて難を逃れたが、それ以来、正室は娶っておらず、妓女だった側室の曹(ソウ)氏だけだという。「安氏には娘がいたか?!」「琉璃という娘が1人、当時7歳でしたが、母親と共に捕らえられました 安氏は娘の首を絞めて殺害、その後、首を吊っています」裴行倹は玉児が安氏の娘・琉璃だと気づいた。それにしてもなぜ本来なら尚服局が作る衣を安氏が手がけることになったのか。莫坤もその点が不思議だった。記録によれば安氏が楊妃に取り入ろうとして衣を作ったとあったが、安氏は宮中暮らしに疲れて役職を辞している。そもそも先の皇后に重用されていた大家なら下策に出ずとも喜んで復帰できただろう。まさか楊妃が安氏に罪をなすりつけたか、あるいは誰かが楊妃におもねって安氏に強要したのか。すでに時が経って証拠も少なかったが、莫坤は安氏の兄が古商で、西市(セイシ)で衣装店を営んでいると教えた。「如意衣装店か?!」「よくご存知で」裴行倹は確信した。…玉児こそ安氏の娘・琉璃だ…玉児があの時、武才人が私に逃がせと託した娘だったとは…自由になれたのに戻ったのは母親の敵の手がかりを見つけたからか「やっと正体が分かった」裴行倹はちょうど咸池(カンチ)殿から出て来た琉璃を捕まえた。「実は君に伝えたいことがあるんだ、また君に会えて嬉しいよ!」「酒席で会ったばかりだけど?」「あることが分かって嬉しいんだ、場所を変えて話したい 君が喜ぶものを持って明日の夕方、会いに行くよ! それから…私たちには縁があるようだ」その夜、屋敷に戻った裴行倹はあの時、琉璃が己を犠牲にしてまで守った化粧箱を取り出した。…琉璃、君を探して11年、やっと返せるよ…化粧箱の中には琉璃が刺繍した手巾と″天下第一針″、そして″安氏刺繍奥義″が入っていた。裴行倹は仕事の合間に琉璃の居所を訪ねることにした。すると豆子の部屋で武才人の衣を探している卓大家と七娘を目撃する。裴行倹は12話で琉璃が″母のある宝物を狙う刺客に襲われた″と話していたことを思い出した。恐らくこの金針と奥義書を手に入れるため安大家を陥れ、琉璃も狙ったのは卓錦娘だろう。…気がついて良かった、これを返したら琉璃が危ないところだった…そこで裴行倹はちょうど工房を出て来た琉璃を引き止め、卓錦娘が何か探しているとだけ知らせた。「戌時に暢春(チョウシュン)湖のほとりで待っている」「分かった、行くわ」順子は楊妃が最近、人が変わったように言動に遠慮がなくなったと報告した。そう言えば廷臣が楊妃側に付こうと鳥の羽根を買い集めているそうで、都の鳥の値段が高騰しているという。すると孫徳成は楊妃の変化が豆子と関係がありそうな気がして不安になった。その夜、裴行倹は暢春湖で琉璃を待っていた。つづく( ゚ェ゚)もう折り返したのにまだ男装のナザェェェ___
2023.07.06
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天舞纪 Dance of the Sky Empire最終話力を合わせて龍皇(リュウコウ)の心魔に立ち向かう李玄(リゲン)、蘇猶憐(ソユウレン)、辺令誠(ヘンレイセイ)、封常青(ホウジョウセイ)、崔翩然(サイヘンゼン)・嫣然(エンゼン)姉妹。しかし6人の霊力を集結しても心魔に全く歯が立たず、あっけなく跳ね返されてしまう。すると心魔は立ち上がった李玄に掌(ショウ)を放ち、ついに止めを刺すべく飛び上がった。その時、突如、紫極(シキョク)が現れ、不意を突かれた心魔は吹き飛ばされてしまう。危機一髪のところで李玄を救った紫極、しかし反撃もそこまで、紫極は心魔に叩きのめされた。怒り心頭に発した李玄は宝剣を召喚すると、猶憐に龍皇を呼び覚ませと声をかける。「急げ!時間がない!」李玄は自分が心魔を足止めしている間に猶憐を盤龍(リュウバン)の聖域へ向かわせた。心魔は李玄を退け、急いで屋敷の中へ駆けつけた。しかし結界を破ることができず手間取り、その間に猶憐がついに龍皇の封印を解くことに成功する。解放された龍皇は屋根を突き破り、金龍となって天を泳いだ。すると昆吾の生き残りたちの身体に霊力が戻り、龍皇の復活を知る。歓喜に沸く昆吾族たち、やがて龍皇は人形(ヒトガタ)に戻り、書院へ舞い降りた。龍皇は中庭に倒れていた李玄たちを法術で捕らえ、首を締め上げた。しかしそこへ猶憐が駆けつけ、殺さないよう懇願する。すると龍皇は李玄たちを解放し、猶憐を連れて消散してしまう。それは一瞬の出来事で、李玄は猶憐を引き止める間もなかった。李玄は紫極のもとへ駆けつけ、自分の霊力で治療した。しかし紫極はもはや手遅れだと分かっている。「李玄よ…ゥッ…かつて私は過ちを犯した…許してくれるか? あの時の私は自分の力を過信し、うぬぼれていた お前の母親の血を使えば龍皇を封じられると信じて疑わなかった だが龍皇は…思った以上に強かった…結局、私の計画は失敗した…私を許してはくれぬか? …もういい、お前にとっては親の敵だ、簡単に許せまい もうお前を守ってやれない…李玄…もっと…自分自身を大事にするんだぞ…」紫極は李玄の許しをもらえぬまま逝ってしまう。「…一生、許せるもんか、師父」李玄は師匠を強く抱きしめ、育ててくれた恩師の死を悼んだ。その頃、天啓(テンケイ)帝は僻地に幽閉されていた。自分が追い出した第二皇子の助けも期待できず、嘆き悲しむ日々、しかし思いがけず龍嶶児(リュウビジ)がやって来る。しかし嶶児はなぜか姿を見せず、皇帝を解放する代わりに条件を出した。皇帝は喜んで嶶児に譲位して上皇になると条件をのんだが、なぜか殿内に女子が現れる。すると嶶児はついに父皇に正体を明かし、箱の中から気味の悪い虫を出した。「こっこの虫はなんだ!近づけるな!」嶶児は法術で虫を殺すと、腰を抜かした父皇を冷ややかな目で見た。「怖いのですか?この虫の毒が男の身体に変えてくれるのです 毎年、毒湯を浴びてはその痛みに耐えて来ました、陛下にその辛さが分かりますか?」結局、災いをもたらしたのは息子である皇太子、奇しくも皇帝は娘に救われたことになる。「すまなかった…本当にすまなかった、私を許してくれ」嶶児は18年間ずっと待ち望んでいたこの日を迎えた。今日からは自分の人生を生きることができる。…それなのになぜだろう、心は晴れぬままだ…嶶児はこれまでの苦悩の日々を思い出しながら、あふれる涙を止められなかった。一方、心魔から解放された蕭鳳鳴(ショウホウメイ)は雲杉(ウンサン)の寝殿にやって来た。雲杉は穏やかな顔で眠りについている。「…雲杉、すまない、君を守るどころか傷つけてしまった 一緒に行こう、ひとりで逝かせたりしないよ」鳳鳴は毒薬をあおると、寝台に横になった。すると死んだはずの雲杉が咳き込み始める。「…コホッ…コホンコホン…ゴホゴホッ!…( ˙꒳˙ )ん?…なぜ横で寝ているの?」「(´⊙_⊙)…雲杉…生きていたのか?…死んだとばかり…( ๑≧ꇴ≦)良かったっ!私は…って、はっ!」鳳鳴は毒を飲んだことを思い出した。このままではあと半刻で毒が回って死んでしまう。「殴ってくれ!腹の中の毒を吐き出したい!ほらっ!早くっ!」「分かったわ!行くわよ~!」龍皇は昆吾の民の安寧を願い、ここで復讐の連鎖を断ち切ると決めた。これまで苦汁をなめて来た側近たちだったが、報復より復興だと気持ちを切り替える。「今日から我々昆吾族は人族との関わりを断つ!」「御意っ!」しかし人族に関われなくなると知った猶憐はどこか寂しそうだった。平安村の聖医はそんな夕猶憐の心残りを察し、会いに行くなら今しかないと助言する。「ねえ…李玄を愛することは同胞への裏切りなの?」「大事なのは昆吾に背いても彼といたいかどうかです」猶憐は龍皇の前でひざまずき、昆吾の地には戻らないと伝えた。「会いたい人がいます」「青笙(セイセイ)と人族の間に生まれた子か? …彼の父親は人族だ、聖女が人族と駆け落ちするなど示しがつかんぞ?」しかし猶憐の決意は固く、愛する人と一緒にいたいと懇願する。龍皇はならば聖女の印を返すよう迫った。驚いた聖医は思わずひざまずいて恩情を求める。もし印を奪われたら命に危険が及ぶからだ。すると猶憐はうっすら笑みを浮かべ、迷わず印を返還すると言った。「聖女の役目は果たしました、あとは自分らしく生きて行きたいのです」李玄たちは紫極を埋葬し、別れを告げた。すると李玄が一人になりたいと頼み、仕方なく令誠たちは李玄を残して先に帰って行く。李玄は心の整理をつけると、猶憐を探しに馬を駆けて城外へ出た。しかし猶憐の姿はどこにもない。李玄は仕方なく擎天城(ケイテンジョウ)へ戻ったが、城門で猶憐が待っていた。「李玄!」「愛している…いなくなったかと思った…」「ずっと一緒よ…」二度と離れまいと堅く抱き合う李玄と猶憐、その姿を物陰から聖医が見ていた。あの時、龍皇に印を奪われた猶憐は卒倒した。聖医が薬を使ったおかげで目が覚めても痛みはなかったが、そう長くはもたないという。『やっぱり死からは逃れられないのね…』『昆吾族は印がないと長くは生きられません』『じゃあ急がなくちゃ』すると聖医はその前に聖石を渡して欲しいと頼み、持ち主に返すと言った。猶憐は李玄の腕の中で意識を失った。驚いた李玄は猶憐の命がわずかだと悟り、そのまま背負って鏡月(キョウゲツ)湖へやって来る。「天書(テンショ)仙人を覚えているか?」「会いたいのね…」「ああ…」「あなたとならどこへでも行くわ」実は李玄は天書仙人の言葉を覚えてた。…氷血(ヒョウケツ)の聖域に留まれば永遠の命を得られるぞ?…俗世の苦しみから逃れたいと思わないのか?李玄と猶憐は鞦韆(シュウセン)に相乗りしながら、仙鏡で地上の様子を見ていた。摩雲(マウン)書院はかつての賑わいを取り戻し、驚いたことに常青とあの翩然が親密らしい。一方、沙国では雲杉と鳳鳴の婚儀が行われていた。紆余曲折ありながらようやく結ばれた二人、しかし相変わらず鳳鳴は王女の尻に敷かれている。その頃、聖医は沙国王子に聖石を返し、治療の様子を見守っていた。御風穆(ギョフウボク)は沐浴しながら体力を回復し、すでに霊力も復活している。『あなたの妹妹も順調に回復し、蕭鳳鳴と結婚しました 国王と王妃も彼を気に入り、将来有望と見ています 早くお身体を治さないと、次期国王の座を奪われますよ? それから龍皇様は昆吾の民を引き連れて故郷へお戻りになりました、戦乱の世は終わったのです 聖女様は李玄と共に姿を消し、とある秘密の場所で幸せに暮らしています…』「あちらの世界は順調そうね」「ああ、俺たちもな…ただじいさんがうるさくてしょうがない」噂をすればなんとやら、突然、天書仙人が現れた。「小僧め!わしの悪口か?!鞦韆を強化したんじゃ、お前たち二人で試してみてくれ」「(ドン!)うわあぁぁぁぁーっ!」完(^ꇴ^)無事に完走しました!ラスボスが失敗したヘビメタ鳳鳴とか、ここに来て謝罪を無視される師匠とか、甥なのにリアクションが薄い龍皇とか…果たしてどうなることかと心配していましたが、オチが天書仙人とは上手くまとめましたね〜残念なのは裏男主・旺財の出番がなかったこと?(笑あえて言わせてもらうと女主がルースーだったら面白かっただろうな〜さて本国ではシューカイの新しい古装ドラマが配信予定です楽しみです(^ꇴ^)
2021.06.16
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第46話「新たなる旅立ち」方鑑明(ホウカンメイ)は鮫人(コウジン)族の琅嬛(ロウケン)の血で解毒してもらうことになった。しかし琅嬛はまず皇帝との柏奚(ハクケイ)を解く必要があるという。褚仲旭(チョチュウキョク)は今からすぐ始めようと言ったが、方鑑明は柏奚を結んだ時と同じ時刻でなければならないと教えた。それから数日後の満月の夜、方鑑明はついに褚仲旭との柏奚を解くことに成功する。褚仲旭は長年、感じることのなかった痛みを思い出し、指から流れる血を見て生きていることを実感した。方海市(ホウハイシー)が琅嬛の血を持ってやって来た。鮫人の血はいかなる毒も排出できる妙薬だという。しかし流觴(リュウショウ)方氏は特殊な体質のため、鮫人の血を受け入れられるかどうか琅嬛にも分からなかった。方鑑明は琅嬛から聞いた話を正直に海市と褚仲旭に伝え、もし自分の血と琅嬛の血が相克すれば命を落とすと教える。「海市、こたびは隠さぬ…また心配をかけてすまない」すると鑑明は迷うことなく琅嬛の血を飲み干した。方鑑明は激しく血を吹き出し、倒れた。そして翌朝、天啓(テンケイ)に清海公(セイカイコウ)の訃報が告示される。その様子をちょうど城門に到着した馬車の窓からうかがう者がいた。朝議では清海公に流暢郡王の名と靖翼(セイヨク)の諡号が贈られ、位牌は廟堂に安置されることになった。また朝廷は3日ほど休廷、流暢の民は100日の喪に服す。主を失った霽風(セイフウ)館も昭明宮を出て古巣へ戻ることになり、早々に荷物を運び出した。海市は朝議を終えると、しばし師匠と過ごした昭明宮を散策した。実は昨夜、李(リ)侍医が意識を失って倒れた方鑑明を脈診したところ、体内の毒が消え、積年の傷まで全て消失していると分かる。褚仲旭は喜び、くれぐれも口外しないよう釘を刺して李侍医を下げた。『方海市、この機を逃すでないぞ…清海公がこの世を離れる時が来た』海市が鳳梧(ホウゴ)宮へ戻ると、寝所の物陰から方鑑明が現れた。固く抱き合う2人、しかし海市は今さらながら鑑明に多大な犠牲を払わせてしまったと自責の念に駆られる。清海公という身分を失い、霽風館を指揮することもできず、先祖が眠る朝堂に祭られることもない。しかし鑑明は海市のおかげで安らぎと幸せを得られたと感謝した。そこで海市は皇帝が自分たちの新しい戸籍を作り、越(エツ)州の官府に届けてくれたと報告する。鑑明は早速、皇帝から賜った手形を開いてみると、新しい名前は″霽諸(セイショ)″となっていた。翌日、誰もいなくなった昭明宮に方鑑明と褚仲旭の姿があった。鑑明は″死ぬ″前に取りに戻れなかった荷物があると話し、化粧箱の蓋をあけて微笑む。その中には海市との婚姻書が入っていた。すると褚仲旭は″方″と刺繍された香袋を見つけ、確かに不器用な海市の作だと笑う。「永遠の別れではない…数年してほとぼりがさめたら朕がお忍びで会いに行く」「はお」一方、海市は身重の緹蘭(テイラン)を気遣い、龍尾神を見送りに行くとしか伝えなかった。しかし緹蘭は海市が宮中に戻ってこないと気づく。「寂しくなるわ…でもあなたが想い人と結ばれることは嬉しい」緹蘭は海市のために作った龍尾神の護身符を贈った。「あなたは私の1番の友よ」「いつか必ずあなたとあなたの子に会いに来るわ」そして翌朝、皇帝と大臣に見送られ、淳容(ジュンヨウ)妃は天啓を出発した。こうして清海公と淳容妃は天啓から姿を消し、やがて人々の記憶からも消えて行くのだろう。方鑑明が去って褚仲旭は心に穴が空いたような寂しさに襲われた。それでも親友の幸せのため、手放すしかない。緹蘭は友を思う皇帝の真心に深く感銘を受け、これからは天が守ってくれると安心させた。「清海公には及びませんが、私とこの子はずっと陛下のおそばにいます」一方、海市は宿で一夜を過ごすことになった。いざ天啓を離れてみると寂しさが募る海市、すると別の馬車で到着した方鑑明が現れ、海市の好きな桂花糖を差し入れる。海市は貴重な菓子を少しずつ食べることにしたが、鑑明は越州にも支店があると教えた。「他にも酒やお気に入りの装飾品、絹の織物も越州で買える」実は鑑明は霽諸の名で海市の好きな店を買収、他にも手広く田畑や鉱山を買っていた。まだまだ秘密はあるが、少しずつ教えるという。海市は清貧に暮らせればいいと思っていたが、鑑明は頑なに拒んだ。「周幼度(シュウヨウド)の家は店を持っていたな…お前に酒をおごり、贈り物で喜ばせ、奇術まで見せた あの者ができるなら私もできるぞ、もっとすごいことだって……(๑•̀ㅂ•́)و✧」「負けず嫌いなのは知っていたけれど、周幼度と張り合うなんて…( ̄▽ ̄;)」海市は子供のような鑑明に呆れながらも、かつて皇帝から聞いた自由奔放な姿に戻ったことが何より嬉しかった。緹蘭は弟の索蘭(サクラン)と再会を果たした。弟は立派な後継者に成長、注輦(チュウレン)も自国で力をつけなければならないと考え、今後は姉を頼って大徴の庇護を得たりしないと約束する。「注輦を発展させ、必ずや姉上の支えになってみせるよ…(๑•̀ㅂ•́)و✧」一方、海市は無事に琅嬛を海へ帰した。海市の手を握った琅嬛は海市と方鑑明が結ばれたと知り安堵する。「また会いに来るわ」「待ってる」琅嬛は海原を自由に泳ぎ出し、やがて深海へ消えて行った。つづく(* ゚ェ゚)<ハッ!あなたたち…って琅嬛、何を見てしまったのか?!www
2022.12.09
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第22話「百鳥朝鳳の礼服」玉児(ギョクジ)こそ11年間、探し続けていた琉璃(ルリ)だと知った裴行倹(ハイコウケン)。ようやく安(アン)氏の金針と奥義書を返せる時が来たが、尚服局の大家・卓錦娘(タクキンジョウ)が琉璃の敵だと気づいて断念した。…これを返したら琉璃が危ないところだった…その夜、玉児を暢春(チョウシュン)湖に呼び出した裴行倹は結局、玉児の好物の桂花糕(ケイカコウ)を渡して茶を濁した。「今後は弈心(エキシン)宮で会おう」実は弈心宮は妃嬪が首を吊って以来、使われておらず、もののけが出るという噂がある。そこで裴行倹はもののけに扮して噂をあおり、さらに人が寄り付かなくなるよう手を打った。7月15日の盂蘭盆会(ウラボンエ)。楊(ヨウ)妃はわざと遅れることで豪華な百鳥朝鳳(ヒャクチョウチョウホウ)の衣を見せつけ、後宮での自分の地位を顕示しようと企んだ。予想通り妃嬪たちは楊妃に圧倒されたが、武媚娘(ブメイニャン)の姿はなく、皇帝の表情も険しい。すると皇太子・李治(リチ)がすかさず最近、長安で羽根が珍重されるという噂の原因がこれだったと指摘した。「貴重な鳥の羽根を使って衣を作るとは、かつてない発想です」仏事に豪華なだけでなく鳥の羽根を使った衣を着てしまった楊妃。形勢が不利になったと分かると咄嗟に武才人も金の生糸を使って牡丹を刺繍し、天山の玉をはめ込んだ衣らしいと言いつけ、あろうことか皇帝を待たせていると非難した。その時、ようやく武才人が到着する。しかし楊妃の思惑が外れ、武媚娘は質素でありながら斬新で目を引く美しい衣をまとっていた。武媚娘が作った豪華な牡丹の礼服は亡き長孫(チョウソン)皇后のために仕立てたものだった。実は沐浴して身を清めた後に衣を供えてから来たので遅れたという。皇帝はうっすらと涙を浮かべ武才人の心遣いに感謝し、豆子(トウシ)と一緒に考えたという衣を褒めた。「後宮にそなたがいて朕は幸運だ」皇帝は儀式にそぐわない装いの楊妃に反省を促し、寝宮に帰した。このまま冷遇されるのを恐れた楊妃は質素な衣に着替えて甘露之殿の前でひざまずいたが、これが裏目に出てしまう。謁見を許された楊妃は忙しさで衣を確認する暇がなかったと釈明、尚服局に責任を押し付けた。しかし皇帝は罪を人に押し付けるのが反省した結果なのかと厳しい。「そなたの過ちは3つ、皇后の衣のみに許される百鳥朝鳳の図案を用いたこと 衣に鳥の羽根を用いて殺生戒を犯したこと、華美な衣で倹約の方針に背いたことだ 戻って反省せよ、朕が召すまで目通りは許さぬ」その夜、李治は亡き母の立成(リッセイ)殿を訪ねた。するとちょうど参拝に来ていた武才人と出くわす。「心から母に参るのは父皇と私、それに武才人だけだ…」「敬愛する長孫皇后に中元節の巷の風習である蓮花灯を贈っただけです」李治は武才人の策謀の才に感心していたが、こうして蓮花灯を供えてくれた気持ちには後宮争いも陰謀も無関係だと感謝した。しかしこの参拝までが計画だったことは李治にも見抜けなかっただろう。実は武媚娘が蓮花灯を贈ったのは皇太子に見せるためだった。武媚娘は長孫皇后のために作った衣で皇帝を騙せても、皇太子は欺けないと分かっていた。予想通り皇太子はその目的が楊妃を倒すことだ気づいたが、ささやかな蓮花灯を贈ることで心を動かされたに違いない。帰りの道すがら話を聞いた侍女・玉柳(ギョクリュウ)はさすが才人だと称賛した。「策略ずくで近づくのは私も嫌だわ…でも楊妃を敵に回した今、太子殿下だけが頼りなの」しかし嘆いている暇はない。楊妃を倒すためには皇帝の寵愛が薄れたこの機を逃すわけにはいかなかった。楊妃の怒りの矛先は尚服局に向かった。尚服局の主管である林(リン)尚服は全て卓大家の責任だと訴えたが、卓錦娘は図案を提案した豆子が元凶だと責任転嫁する。その時、ちょうど尚服局を訪ねた王伏勝(オウフクショウ)は豆子の危機を察し、慌てて皇太子に報告した。楊妃は豆子が武才人と結託して自分を陥れたと疑い、直ちに外で打つよう命じた。しかし皇太子が現れ、母への衣の褒美に豆子に菓子を届けに来たという。「陛下も喜んでいた、称賛すべき豆医官になぜ罰を? 本来、豆医官は不禄(フロク)院の者で手伝いに過ぎぬ、間違いあれば上の者が正すべきであろう? 上の者も目を通した上で完成したのなら誰の罪だ?」李治は楊妃が皇帝の前で忙しくて衣を確認する暇がなかったと言い訳したことを持ち出した。「太子、医官を守るために私を敵に回すと?」「だとしたらどうしますか?…私は物の道理を守っただけ この件が大ごとになれば恥をかくのは誰でしょうか?」すると楊妃は卓大家に板打ち50回の罰を与えて帰って行った。その夜、皇帝は武媚娘をそばに置いた。思えば楊妃がここまで増長したのも自分が甘やかしたせいだろう。皇帝は今日の衣の件で楊妃に深く失望したが、一方で武才人の誠意に心を動かされたと話した。そこで武媚娘は長孫皇后の詩に曲をつけた歌を披露する。皇帝は感激のあまり思わず涙し、長孫皇后との幸せな日々に想いを馳せた。その頃、楊妃は寝宮で荒れていた。このままでは武才人を味方につけた皇太子が力をつけ、息子を守ることができない。侍女は主の身体を気遣い、今は休んで元気になったら落ち着いて策を練ろうとなだめた。すると楊妃は確かに冷静になるべきだと気づく。「そう言えば太子はなぜ一介の医官を必死に守ったのかしら?」楊妃は皇太子と豆子の間に何かあると疑い、2人の関係を探るよう命じた。裴行倹は弈心宮に琉璃を呼び出した。素性を隠している琉璃では母親の供養もままならないと考え、ここで灯籠を浮かべるよう勧める。「覚えていてくれたのね」琉璃は裴行倹からもらった蓮花灯を池に浮かべたが、母が帰ってくる家がないと嘆いた。すると屋根に登った裴行倹が横笛を吹き、傷ついた琉璃の心を癒してくれる。つづく( ̄▽ ̄;)めいにゃん、皇太子が好きなんだとばかり…恐っ!
2023.07.11
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第30話「奪われた称号」武媚娘(ブビジョウ)は出家することで楊(ヨウヒ)妃らの魔の手から逃れることに成功。しかし皇帝・李世民(リセイミン)の病状が再び悪化すると、曹(ソウ)王・李明(リメイ)の怒りの矛先は皇太子派の高全(コウゼン)総管に向かった。「武媚娘は名ばかりの霊薬で命拾いしたのだな? お前の密告で武媚娘が命の危機を知った、高全、どぼけても無駄だぞ?」一方、鄧七娘(トウシチジョウ)は師匠が密かに出入りしている隠し部屋を突き止め、地下牢に閉じ込められた豆子(トウシ)を発見した。「助けに来たわ!」七娘は鍵を壊せる物がないか探したが、琉璃(ルリ)は逃げないと拒む。「ここにいても卓錦娘(タクキンジョウ)を負かすことができます」そこで豆子は七娘にある物を持ってきて欲しいと頼んだ。皇帝は昏睡し、残された時間はわずかとなった。李明はこのまま皇帝が崩御すれば皇太子・李治(リチ)がおのずと即位し、自分を殺すに違いないと焦る。「今こそ覚悟を決めなければ…」追い詰められた李明は義母に皇帝を毒殺し、その罪を皇太子に着せようと提案した。さすがに楊妃はためらったが、李明は非情でなければ権力は握れないという。その時、楊妃は激しく咳き込み、李明は慌てて背中をさすった。「大丈夫よ、座って…」楊妃は李明を安心させたが、手巾についた鮮血を見て決心した。「いいわ、あなたの思う様にやりなさい」李明は副総管の潘秦海(ハンシンカイ)を呼びつけ、母の信頼の厚い潘秦海を内侍総管に登用すると言った。実は高全が転倒して頭を打ち、急死したという。潘秦海は拝命したが、高全の死が曹王の仕業だと知って動揺を隠せなかった。しかも皇太子に皇帝暗殺の罪を着せるため、潘秦海が皇帝に毒薬を飲ませて欲しいという。潘秦海は驚愕、どんな命令でも従うが、人を殺めることだけはできないと涙ながらに訴えた。しかし断れば高全の後を追うことになる。潘秦海は結局、毒薬を受け取るしかなかった。七娘は豆子に頼まれた品を渡し、急いで戻った。すると夜も更けた頃、卓錦娘が差し入れを届けにやって来る。腕比べまであと二時、そこで卓錦娘は衣桁にかけてある龍袍を柵の間から渡し、早く完成させろとせっついた。琉璃は薄暗くて針が刺しづらいと嘘をつき、卓錦娘に燭台を集めさせている隙に七娘がくれた粉を龍袍へ振りかける。「あれ?何だ?龍の頭が変だ…」琉璃は卓錦娘に龍袍を返し、明るい場所で確認してくれと頼んだ。仕方なく卓錦娘は豆子に言われるまま燭台の近くで龍の刺繍を見たが、確かに龍の顔に褐色の汚れがついている。卓錦娘は汚れを叩き、息を吹きかけて飛ばした。その時、ろうそくが龍袍に飛び火、燃えてしまう。琉璃は燃えやすい燐(リン)を七娘からもらい、龍袍に振りかけていた。これで琉璃が刺繍した龍袍は台無し、卓錦娘の作品は未完成のため提出するものがない。卓錦娘は怒り心頭だったが、急に失笑した。「燃えたのは私の龍袍よ…あははは~!」そこで卓錦娘は包みから琉璃の龍袍を出して見せた。「毎日、昼間はお前の刺繍を見て学び、夜は戻って見た通りそっくり真似ていたの 完璧ではないけれど八分どおり覚えたわ、私を騙したい一心で気づかなかったのね? …まさか焼くとは思わなかったわ 阿碧(アヘキ)の目ざとさに助けられたのよ、七娘の裏切りに気づいてくれたわ」卓錦娘は阿碧から七娘がこの密室に気がついたと聞いていた。しかし豆子がなぜか逃げ出さず、自分のために龍袍の刺繍を続けていることに違和感があったという。「何か裏があると思ったわ、それで用心のため、完成していた龍袍の目を解いておいたの そしてお前が寝ている間にすり替えておいた、おかげで罠にはめられずに済んだわ」卓錦娘は自分が″天下第一針″になる瞬間を豆子に見せるため、解放することにした。総管となった潘秦海は甘露之殿で皇帝に付き添っていた。いよいよ皇帝の薬の時間、すると皇太子が見舞いに現れ、父に生涯かけて仕えた高全を手厚く葬って欲しいと頼む。「薬は私が差し上げる」潘秦海は皇帝に毒薬を飲ませる機会を失った。しかし曹王の護衛・蒲巴弩(ホハド)が甘露之殿に張り付き、潘秦海に早く任務を果たせと迫って来る。そこで潘秦海は皇太子が頻繁に見舞いに来て皇帝に薬を飲ませるため、その薬に毒薬を混ぜると報告した。尚服局では卓錦娘が見事な龍袍を披露していた。太妃たちは卓錦娘が安(アン)氏から受け継いだ染色、仕立て、刺繍の技術、いずれも神業の域に達していると絶賛、″天下第一針″の称号にふさわしいと認める。しかしそこに豆子の姿も龍袍もなかった。采章(サイショウ)署で金針を祭る儀式が始まった。七娘は憔悴した豆子を心配して儀式があると教えなかったが、卓錦娘が豆子の姿がないことに気づく。仕方なく七娘は昨夜から豆子が高熱を出して下がらず、休んでいると報告した。卓錦娘は豆子がいざ罰を受けることになったら逃げ出したと非難、七娘に豆子を呼びに行けという。その時、豆子が現れた。琉璃は高熱でふらふらになりながら工房へやって来た。そこで金針を祭るために用意された祭壇を指さし、制衣の始祖の前で正直に答えろと卓錦娘に迫る。「腕比べに勝った龍袍は誰が刺繍した?! …あなたは私が刺繍した龍袍を奪って太妃を欺き、天下第一針の称号をだまし取った!」一方、七娘は隙を見て尚服局を飛び出し、東宮へ駆けつけた。しかし一介の宮女では皇太子に謁見できず、門衛に追い返されてしまう。その時、運良く任務を終えた裴行倹(ハイコウケン)が戻って来た。琉璃は林(リン)尚服に秘密の地下室に閉じ込められていたと訴えた。確かにこの数日、豆子が姿を消していた間、卓錦娘もあまり見かけていない。林尚服は思えば龍袍の刺繍も今までの卓錦娘の作品とは全く趣が違っていると指摘した。焦った卓錦娘は林尚服に近づき、豆子をかばえば楊妃を敵に回すことになるとささやく。林尚服は安氏事件の苦い経験を思い出し、楊妃と反目すれば命がないと気づいた。裴行倹は皇太子に助けを求めることにした。しかしちょうど皇帝が目覚めたため、妃嬪や皇子たちが甘露之殿に集まっているという。王伏勝(オウフクショウ)は仕方なく殿内の様子を見て来ることにしたが、その頃、尚服局では林尚服が保身のため態度を一変させていた。七娘が急いで戻ってみると林尚服は正式に卓錦娘の勝利を認め、天下第一針であると宣言してしまう。衝撃のあまり倒れそうになる琉璃、そこへ七娘が駆けつけ身体を支えた。すると卓錦娘はこの機に怠け者の七娘に変わって阿碧を弟子にしたと公表する。つづく( ๑≧ꇴ≦)ナザも卓錦娘もイっちゃってるwwwww
2023.07.27
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第15話)第42話「家門の災い」凌不疑(リンブーイー)は寿春(ジュシュン)に出征。程少商(チォンシャオシャン)は成婚の準備をしながら不疑の凱旋を待つことになった。曲陵(キョクリョウ)侯府では老夫人と蕭元漪(シャオユエンイー)が新婦のかんざし選びで揉めていたが、少商は心配無用だと止める。「皇后が早くから宮中の繍女や匠に作らせたのがあるから…へへ」実は子晟(ズーション)の成婚を心待ちにしていた皇帝と皇后は毎年のように準備していたため、すでに十分に揃っていた。「予定通りなら私は宮中で嫁ぎます、皇后が閨(ネヤ)も用意しているそうです」老夫人はそれならお金もかからないと喜んだが、全く出番のない母はどこか寂しそうに見えた。袁慎(ユエンシェン)は宮中で偶然、回廊で物思いにふけっている少商を見つけた。花嫁衣装や装飾品の試着でくたくただという少商、しかしふと袁慎に話しても無駄だと思い出す。「あなたは成婚と無縁だものね」「成婚できるのは自分だけだとでも言いたいのか?…だいたい成婚に何の利がある?」「あなたには″一日三秋″がどんな心情か分からないでしょうね 成婚すれば毎日、会えるし、帰りを待ちわびずに済むわ」すると負けず嫌いの袁慎は自分が先に成婚してみせると啖呵を切って行ってしまう。(」゚ロ゚)」<善見(シャンジエン)!無理しないで~!官媒(カンバイ)は袁慎に釣り合うよう才女と評判の蔡(ツァイ)氏の娘を斡旋してくれた。しかし袁慎は文句ばかり、従者は何が不満なのか分からない。「私の理想はそれほど高くない 頭は程娘子より鈍くなく、性格は程娘子より素直、容貌は程娘子より優れていれば…」「なぜどの条件も程娘子が基準なのですか?」ぁ..,..( ̄◇ ̄)(; ̄◇:;.:... (; ̄:;..,..::;.:. :::;.. .. .「程娘子に侮られたくない」すると袁慎は成婚の日取りを少商と同じにすると言い出した。そうすれば朝廷中の賓客が袁家に祝いへ来るため、少商が慌てふためくはずだという。( ゚ェ゚)…公子、あんたどうかしてるわ@従者袁慎はめかし込んで参内、早速、宮中にいる少商を見つけて自慢げに婚約したと報告した。しかし少商は袁慎が単に自分に対抗しているだけだと見抜いている。「私は子晟と巡り会えた、あなたも出会えるといいわね…あっ間違えた 婚約したのよね?じゃあもう出会えないんだ〜 でも悪くないわ、家柄の合う縁談でも満足しなくちゃね」少商は我関せず、袁慎は肩透かしを食ってしまう。↓( ˘ω˘ )<ま、せいぜい頑張れよ的な余裕w一方、寿春に出征する班(バン)侯は孫を心配し、班嘉(バンジア)の面倒を曲陵侯府に頼んだ。班嘉は一目惚れした程姎(チォンヤン)と毎日、食事を共にするようになったが、姎姎は嫁がずに伯母のそばにいたいという。そんなある日、突然、程家に災難が降りかかった。勅命で銅牛(ドウギュウ)県に向かった少商の父・程始(チォンシー)。しかし銅牛県は陥落、曲陵侯と県令・顔忠(イエンジョン)が敵と通じていたと報告が来た。朝臣たちは見せしめに曲陵侯を九族皆殺しするよう奏上し、激高した皇帝は誰とも会わず、食事も絶ってしまう。皇后は謁見できず外で待つことにしたが、そこへ越(ユエ)妃が駆けつけた。「妹妹、良いところに来てくれたわ」「…私が見て来ます」するとさすがに皇帝も寵愛する越姮(ユエホン)だけは追い返せなかった。越姮は皇帝の怒りが領土を失ったことではなく、天下の寒門のためだと分かっていた。実は程始と顔忠は皇帝が群臣の反対を押し切って選んだ寒門、その2人が敵に投降したとなれば世襲の打破は更に難しくなってしまう。「しかし両県丞(ケンジョウ)が見たのだ、2人が精銅2千斤を携え、敵に投降したと… だが当人がおらぬゆえ朕が濡れ衣だとかばったところで証明できぬ 父を処刑されたら程娘子は?子晟は?2人の婚姻はどうなる?!」越姮は皇帝の気掛かりが成婚だと知り、ひとまず表向きは法に従って公正に処理し、内情を少しずつ調べるよう助言した。皇后は皇帝と越妃の絆に割って入ることができず、黙って回廊で待っていた。やがて越姮が現れ、曲陵侯の家族は投獄され、審問を受けると報告する。「曲陵侯の件は陛下がお調べになります、ただ国の法に私情は挟めません 程娘子なら十一郎と婚約し凌家の人間とみなされ、放免されるでしょう」銅牛陥落の噂が朝廷中に広まった。何も知らなかった少商は父が処罰されると知り、勝手に宮中を飛び出してしまう。すると城門でちょうど参内した袁慎と出くわした。「少商、私の馬車を使え…私は御前で嘆願する、そなたの父親を放ってはおけない」「ありがとう」しかし曲陵侯府にはすでに太尉府の左(ズオ)将軍が程家の捕縛に来ていた。蕭元漪たちは強引に屋敷に乗り込んだ左将軍に憤慨、前庭で対峙した。聞けば夫が銅牛県令を惑わし、精銅2千を盗んで敵に投降したという。「曲陵侯府を封鎖し、共犯を捕らえるのだ!」驚いた程頌児(チォンソンアル)と程少宮(チォンシャオゴン)は剣を抜いたが、その時、少商が駆けつけた。「程氏が背いたかは陛下が判断する、この機に乗じて私怨を晴らすつもり? 私があなたの姪に汚水をかけ、夫があなたの兄の足を折った… だからあなたも殴られに来たの?」一触即発の様相となる少商と左将軍、しかし危ないところで袁慎が勅令を携えて現れた。「陛下は程娘子を巻き込むなと仰せだ」皇帝は本件を廷尉府に託し、被疑者の家族は廷尉府に護送して審問することに決めたという。蕭元漪は夫の無実を信じ、潔く一族で廷尉府の審問を受けると決めた。しかし少商だけは凌家の嫁と見なされ、無関係と判断されたという。袁慎は長秋宮に戻るよう伝えたが、少商は家族と一緒に行くと拒んだ。「嫁ぐまでは程家の娘なのよ?一人だけ生き延びるなんてできない」すると少商の言葉を聞いた蕭元漪がいきなり娘の頬を引っ叩いた。「程少商、程家がどうなろうとあなたは生き続けるの! 生き延びなければ程家の祖先が許さない!もちろん私も阿父もよ…分かるわね?」その夜は激しい雨となった。宮中に戻った少商は崇徳(スウトク)宮でずぶ濡れになりながら嘆願を始めたが、拝謁は叶わない。曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)は戻るよう説得していたが、少商はあきらめなかった。すると皇太子が駆けつけ、少商の隣にひざまずく。「余も曲陵侯を信じる」少商はようやく禁足が解けた皇太子まで巻き込めないと言ったが、そこへ皇后までやって来た。「私も一緒に立つわ」「お体を壊してしまいます!」その時、見かねた越姮が皇帝を強引に外へ押し出した。廷尉府の地下牢に袁慎が食事の差し入れにやって来た。しかし程老婦人は二郎と三郎も拘束されたと知り、絶望する。「首を斬られてバラバラになるより餓死すれば亡骸だけは欠けずに残るわ」「私たちは食べます、潔白を証明する前に餓死してたまるもんですか」蕭元漪たちは程始を信じて必死に生きようとしていた。皇帝は渋々、少商の話を聞くことにした。「阿母や兄たちは都にいて生活に不自由などなく、私も子晟に嫁ぎます 阿父は何も不満がないのになぜ敵に通じる必要が?…つまり濡れ衣です」少商は目下、行方知れずとなった父と消えた精銅2千を探すため銅牛県へ行きたいと嘆願した。しかし皇帝が認めてくれるはずもなく、長秋宮での禁足を命じられてしまう。つづく工エエェェ(;╹⌓╹)ェェエエ工急に何なの?!
2023.11.06
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第32話「決断の時」鵠庫(コクコ)左部の草原。左菩敦(サホトン)王・奪洛(ダツラク)は鳥文で召風師(ショウフウシ)が旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)の暗殺に失敗したと知った。しかし現場に実の弟・奪罕(ダツカン)がいたなら仕方がない。兄弟は双子のように顔も体つきもそっくりで、紅薬原(コウヤクゲン)の戦いではぐれたまま生き別れとなっていた。まさか弟が大徴(ダイチョウ)で方鑑明(ホウカンメイ)の弟子になっていたとは…。奪洛は方卓英(ホウタクエイ)が蘇鳴(ソメイ)を追いかけて瀚州(カンシュウ)に来た時、一目で奪罕だと分かったという。かつて母である紅薬帝姫に永遠に尽くすと誓った召風師、相手が奪罕では手の出しようがなかったのだろう。奪洛は次こそ皇帝と方鑑明を仕留めるべく、朔日(サクジツ)に再び召風師と錬金師を送り込むことに決めた。↓だから 髪 型 wその頃、無事に釈放された少府監の主事・施霖(シリン)は証拠隠滅のため、刺繍の密書を小さく刻んでいた。そこへ弟子が朝餉の準備ができたと知らせに来る。施霖は弟子に切れ端が入ったかごを渡し、しっかり燃やすよう命じた。すると入れ違いで今度は別の弟子が現れ、綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠柘榴(キクシャリュウ)が生地選びに来ていると報告する。施霖は早速、居所を出たが、その時、鞠典衣が偶然、弟子のカゴから落ちた切れ端を触っているところを見た。「内官?布を落とされましたよ?」「ありがとうございます、典衣」驚いた施霖は急いで駆けつけ、不注意な弟子を厳しく叱って追い出した。柘榴は気にしていなかったが少府監で間者が見つかったばかり、施霖は長年、尽くして来た自分は杖刑(ジョウケイ)と俸禄1年分の罰金で済んだが、今や皆から見下されていると嘆く。「再び何かやらかせば生きていけません!」鞠柘榴は皇帝と淑容(シュクヨウ)妃の冬物の生地を選んで少府監を後にした。しかし施霖は鞠典衣が刺繍の暗号に気付いたのではないかと焦り、急いで追いかけ呼び止める。「忘れていました、実は昶(チョウ)王殿下が典衣を王府に招きたいそうです」なんでも聶(ジョウ)妃がいくつか残した刺繍品にほつれが見つかり、鞠典衣に修繕を頼みたいという。施霖が鞠柘榴と蘇姨(ソイ)を連れて昶王府にやって来た。確かに母の刺繍品にほつれはあるが、褚季昶(チョリチョウ)は鞠典衣を呼べと命じた覚えはない。ともかく話を合わせて典衣たちを繍房へ案内させ、施霖を正殿に呼んだ。聞けば処分前の密書に鞠典衣が偶然、触れてしまい、気づかれたのか否か見抜けないという。「念のため″朔日″まで鞠典衣を留めれば皆が安泰でしょう?」褚季昶は施霖が奪洛の手先だと気づいた。しかし施霖は失笑、あまりに読みが浅いという。「私が何者かはどうでもいい、私は殿下の助けとなる者です」その頃、方卓英は綾錦司に柘榴を訪ねていた。しかし朝早く少府監へ行ったきり戻っていないという。配下に調べさせたところ、柘榴は少府監を出たあと施霖と出かけたが、どうやら昶王府に向かったと分かった。城門に流觴(リュウショウ)旧府から蔵書が届いた。方鑑明は陳哨子(チンショウシ)に全て自分の書房に運ぶよう任せたが、そこへ方海市(ホウハイシー)が駆けつける。「師父、宮中の守備で多忙なのに、また面倒なことを? あんなに蔵書を引き受けて…傷は大丈夫ですか?」「ほぼ治った…あの日は大きな音で脈が乱れ、古傷に障っただけだ」鑑明はまさか皇帝の身代わりとなって傷を負ったとは言えず、笑顔で嘘をついた。その時、方卓英が血相を変えてやって来る。鞠柘榴が昶王府に連れて行かれたというのだ。方鑑明は興奮する卓英を引き止め、無理やり昭明宮へ連れ帰った。今、騒げばかえって鞠柘榴に危害が及ぶだろう。すると海市が自分に妙案があると伝え、むやみに動いては駄目だと説得した。その夜、海市は穆徳慶(ボクトクケイ)が止めるのも聞かず、強引に皇帝の寝所へ入った。重症を装っている褚仲旭は寝たふりをしていたが、海市は菓子の香りがすると指摘する。「鑑明め、ふざけおって…」褚仲旭は鑑明が海市にバラしたと憤慨、起き上がった。しかし海市は師匠から聞いたのではないと否定、実は皇帝と師父の暗号に気づいたという。あの日、温泉で刺客に襲われた皇帝は寝台に運ばれた際、鑑明の手を握りしめて指を動かしていた。「それでこれは策だと察したのです」「はあ~お前は子(ネ)年だろう?誰より目端が効くな…で、今度は何だ?」すると海市は方卓英と鞠柘榴の婚姻を許して欲しいと懇願した。方卓英と鞠柘榴の婚姻を命じる聖旨が下った。翌朝、綾錦司は昶王府に直ちに典衣を帰して欲しいと使いを送り、鞠柘榴たちは無事に解放される。鞠柘榴が昶王府を発ったと聞いた方卓英は師匠に感謝して迎えに行こうとしたが、方鑑明は命があると止めた。「会仙(カイセン)楼で茘枝(レイシ)の三花酔(サンカスイ)を買ってこい…早く戻れ」…機会があれば会えるやもしれぬ…卓英は急いで城門に向かった。その時、ちょうど柘榴が宮道を歩いていたが、卓英は愛しい人の姿に気づかず出かけてしまう。鞠柘榴と蘇姨が綾錦司へ戻ると、中庭で清海公(セイカイコウ)が待っていた。そこで蘇姨は典衣に報告し、独り黙って下がる。方鑑明は卓英が実は鵠庫王と紅薬帝姫の末子だと明かし、命の危機に迫られていると訴えた。「左菩敦王と瓜二つの顔が王位継承者の証となる 今、朝廷には左菩敦王と結託する者が潜んでおり、卓英の身分を暴いて排除するつもりだ 私は卓英に叔父の右王を頼れと勧めたが、卓英はそなたと一緒でなければ行かぬと… 心に想いがあれば何事も決断できぬ」「清海公、自分のすべきことが分かりました 彼にお伝えください、自分の命を大切にせねば私の命は無駄に捨てたことになると…」すると方鑑明は柘榴に毒薬を渡した。「この薬は効きが早く、何も感じず夢を見ているように逝けるだろう」清海公が帰ると蘇姨は涙に暮れる典衣に寄り添った。「私は孤独で行く所はありません…典衣の目となり、どこまでもお供いたします」その頃、方卓英は会仙楼にいた。しかし茘枝の三花酔は売り切れてしまったという。仕方なく別の店に行こうとしたが、突然、入口近くに座っていた客が1甕(カメ)ならあると声をかけた。卓英が娘の席へ行ってみると、驚いたことに娘は卓英の正体を知っている。「奪罕爾薩(ジサツ)…」「奪洛の手下か?」「ふっ…左菩敦王が忌み嫌う者の様子を探らせると思う?右菩敦王の命で参りました」「額爾済(ガクジセイ)叔父が?」実は酒甕の封泥(フウデイ)の中には馬を替える補給地の地図が入っていた。「9月中に莫紇(バクコツ)関外にお越しください、関を抜けたら護衛と共に迦満(カマン)から鵠庫へ…」すると卓英は酒を受け取り、密かに女の髪からかんざしを盗んで帰って行った。昭明宮に戻った方卓英は酒甕から地図を取り出し、三花酔を師匠の書斎の前に置いた。…早く柘榴に会わなくては…すると海市が現れ、一緒に綾錦司へ行くという。「うれしい知らせが待っているぞ!」しかし綾錦司の正門はなぜか錠が掛かって入れなくなっていた。2人は塀を飛び越え中庭から工房へ急いだが、そこで机にうつぶして息絶えた柘榴の姿を見つける。柘榴のそばには皇帝が方卓英との婚姻を下賜する聖旨が置かれていた。卓英は柘榴を抱きかかえ、自分の居所まで運んだ。後を追いかけてきた海市はそっと扉を閉じ、部屋の前に座って卓英の心が落ち着くのをじっと待つ。やがて辺りが暗くなる頃、卓英が部屋から出てきた。(´・_・`)<哥…( ー̀ωー́ )<当番に行く、柘榴を頼む朔日の夜、方鑑明は卓英と2人で皇帝の護衛についた。すると予想通り金城宮(キンジョウキュウ)に刺客が現れる。つづく( ゚д゚)… (つд⊂)ゴシゴシ …(;゚Д゚)…(つд⊂)ゴシゴシゴシ…(;゚Д゚)?!
2022.10.22
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第24話「守りたい人」皇帝・李世民(リセイミン)は裏庭で自ら製糸の作業に汗を流している皇太子・李治(リチ)の姿を見て感激した。しかし妃たちに絹織の技を教えたのが皇太子の覚えがめでたい豆子(トウシ)だと知る。楊(ヨウ)妃と曹(ソウ)王・李明(リメイ)は皇帝の判断を待ったが、結局、皇帝は豆子に褒賞を賜った。機嫌を良くした皇帝は嘉徳(カトク)之殿で皇太子たちと談笑した。すると才人・武媚娘(ブビジョウ)が急に気分が悪くなり、殿内で妙な香りがするという。皇帝も確かに身体がほてるようだと訴え、どんな香を焚いているのか聞いた。焦った元朗(ゲンロウ)は香炉を慌てて片付けることにしたが、裴行倹(ハイコウケン)が止める。「陛下、これは催淫効果のある迷情香(メイジョウコウ)です」楊妃はこの機を利用して皇太子の失脚を企んだ。皇太子が男色という噂がある上、殿内で迷情香を使っているとなれば、皇帝と大唐の威信に関わるという。しかし武媚娘は何者かの企みではないかと牽制した。裴行倹も元朗から首謀者を聞き出すよう上奏したが、その時、莫坤(バクコン)が駆けつける。「元朗の部屋から迷情香の袋を発見しました」皇帝は逆上し、元朗に黒幕を明かすよう迫った。すると元朗は黒幕などいないと否定し、皇太子が男色だと聞いて寵愛を受けようと企んだと嘘をつく。皇帝は即刻、棒打ちでの死罪を申し渡したが、誰が黒幕なのか察しはついていた。皇帝は東宮を出ると、やがて我慢の限界にきた。楊妃と曹王は皇太子の男色の証拠を見せるため、蓮を口実に自分を東宮へ誘き出したのだろう。「ひざまずけ!」宮道で皇帝の怒号が響き渡った。楊妃は自分たち母子は無関係だと訴えたが、皇帝は東宮で叱責しなかったのがせめてもの情けだと言って足早に帰ってしまう。すると側仕えの高全(コウゼン)だけが引き返してきた。「陛下のお言葉です、″楊妃は体面を保つため寝宮に戻ってからひざまずけ″と… ″曹王の務めは将来、太子を補佐すること、勘違いして自分を傷つけるな″とのことです」実は裴行倹はあらぬ噂が立たぬよう武才人に皇太子と琉璃(ルリ)が2人きりにならないよう頼んでいた。しかし今日は武才人が不在の上、元朗が頑として謁見を許さず、不審に思ったという。裴行倹は密かに屋根に登って殿内をのぞくと、皇太子と琉璃の姿を見つけた。そこで窓から侵入して皇太子を点穴で眠らせ、迷情香が原因だと分かったという。裴行倹は直ちに王伏勝(オウフクショウ)に気つけの氷を持って嘉徳之殿に行くよう指示、殿内で合流した。『元朗を遠ざけてください、もうすぐ陛下が来るはず、敵の裏をかきます』裴行倹の読み通り元朗は曹王の間者だった。元朗から知らせを受けた曹王は皇帝に皇太子の男色の現場を見せようと企んだのだろう。琉璃は男女の別がいかに大切かを身をもって体験し、改めて恐怖を感じていた。すると裴行倹は独り泣いている琉璃を見つけ、今まで以上に守ると誓う。一方、武媚娘は王伏勝から今回の経緯を聞きながら、改めて確認した。「失礼だけど、太子の安全のために聞くわ…太子と豆子の噂は本当なの?」「まさか!2人は純粋に君臣の仲です!」しかし李治は寝殿で悶々としていた。正気を失っていたとは言え、豆子の怯えた顔を思い出すとやるせなくなってしまう。その夜、裴行倹は豆子に薬湯を差し入れたが留守だった。仕方なく尚服局の内侍・雲海(ウンカイ)に預けたが、そこへ孫徳成(ソントクセイ)が豆子に桂花糕(ケイカコウ)の差し入れにやって来る。すると雲海が不思議そうな顔をした。豆子なら孫内侍の書き置きを見て不禄(フロク)院に出かけたはずだという。「まずい!」裴行倹は慌てて飛び出した。琉璃は刺客に捕まり、門に吊されていた。裴行倹は短剣を放って縄を切ると、背後にいた刺客も腹を切られてしまう。刺客は慌てて逃げ出したが、その際、腰牌を落としていた。琉璃は意識がなく、すでに呼吸も止まっていた。無我夢中で口から空気を送る裴行倹、しかしどんなに呼びかけても琉璃は目を開けない。もはや愛する人を失ったかと絶望したが、その時、琉璃がついに息を吹き返した。「…なぜ泣いているの?あなたが守ってくれるから私は死なないわ」裴行倹は安堵したが、刺客の腰牌を見つけて怒りが込み上げた。「曹王府か…暗殺の指令を元から断つ必要がある」実は曹王は皇太子と武才人に手を出すのが難しいと断念、豆子が元凶だと逆恨みして抹殺しようとしていた。裴行倹は琉璃を送り届け、直ちに刺客の捜査にあたった。するとちょうど刺客を見つけた孫徳成が助けを呼ぶ声が聞こえる。裴行倹は短剣を放って孫徳成を助けたが、そのまま刺客を見逃した。「ここは私に任せて豆子のところへ」刺客は錦楽(キンガク)宮に消えた。衛兵は楊妃の寝宮まで踏み込むことができなかったが、翌朝、捜査の協力を申し出る。実は刺客が曹王府の腰牌を持っており、今や宮中では盂蘭盆会の件で豆子を恨む楊妃と曹王の仕業だと噂が広まっていた。楊妃と李明は仕方なく捜査を認めたが、しばらく豆子に手が出せなくなってしまう。李治は豆子が襲われたと聞いて尚服局に駆けつけた。しかし合わせる顔がなく、結局、東宮へ引き返す。「豆子の命が狙われたのは私のせいだ…今後は二度と他人を巻き込まないよう行動を慎もう」卓錦娘(タクキンジョウ)はようやく動けるようになった。そこで鄧七娘(トウシチジョウ)に頼み、豆子が長孫(チョウソン)皇后に作ったという牡丹の衣を見るため立成(リッセイ)殿を訪ねる。「これは…双面繍(ソウメンシュウ)?!信じられないわ!」双面繍は安(アン)氏の死と共に途絶えた技法で、卓錦娘もできない刺繍だった。豆子は遅くまで工房に残り、独りで刺繍を続けていた。そこへ鄧七娘が現れ、豆子の双面繍に気づいて目を見張る。「七娘姉、ちょうど良かった!お手伝いできればと韋(イ)夫人の披帛(ヒハク)を作っていました」「双面繍でしょう?こんな高度な技を披露して、私に盗まれても平気なの?」「学びたいなら教えますよ?」すると豆子は七娘を座らせ、コツを教えた。実は卓大家は基本が大事だと口実をつけて七娘に高度な技術を決して教えてくれなかったという。「あなたは知り合ってまだ数ヶ月の私に絶技を教えてくれるのね…不利になると思わないの?」「あなたは恩人です、私に不利になるはずありません、喜んでくれるだけで嬉しいです」そこへ雲海が豆子を呼びに来た。七娘は卓大家が長孫皇后の衣を見たため、恐らく双面繍について質問すると警告する。「安氏と共に途絶えた技だと言っていたわ」琉璃は母がこの技を誰にも伝授していなかったとは知らず、我ながらうかつだったと後悔した。「安氏と関係があるの?」「まさか!一介の医官が天下第一針と関係あるはずありません」つづく( ̄▽ ̄;)まだまだ男装も続く…?
2023.07.13
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琉璃(琉璃美人煞) Love And Redemption第7話禹司鳳(ウシフォン)は″伝音鈴(デンオンレイ)″で玲瓏(レイロウ)に言付けを頼んだ。璇璣(センヂー)が回復したと知って安堵する司鳳、すると盗み聞きしていた柳(リュウ)大哥が急に声をかけてくる。「想い人の名前は″璇璣″って言うのか?」司鳳は実は璇璣といずれ一緒に修練して腕を磨く約束だと教えた。そのためにも″十三戒の酷刑″を乗り切って見せるという。「やることが山ほどあるんです、まずは万刧八荒鏡(バンゴウハッコウキョウ)を見つけなくては…」柳大哥も万刧八荒鏡を知っていた。そこでもしその破片の在りかを知っていたらお礼は何かと聞く。柳大哥は以前、抜け道を掘っていた時、苦水(クスイ)河で鏡の破片を見ていた。苦水河の水はその名の通り、触れた瞬間に全身が焼かれるように痛むという。しかし司鳳は肉を割くような激痛に耐え、鏡を探し始めた。その頃、璇璣は玲瓏から伝音鈴を受け取っていた。そこで早速、鈴に術をかけて呼んでみたが、司鳳はちょうど柳大哥の牢から苦水河に降りていたため聞こえない。仕方なく璇璣はあとで試すと決め、玲瓏と鐘敏言(ショウビンゲン)で別れの杯を交わした。明日は修行のため、いよいよ旭陽(キョクヨウ)峰へ出発する。一方、司鳳は身体中に火傷を負いながら、ついに鏡の破片を手に入れた。牢へ戻った司鳳はこの喜びを璇璣に伝えようと伝音鈴を鳴らしたが、璇璣は酔い潰れて熟睡し、鈴が鳴っても目を覚さない。柳大哥は鈴に必死に呼びかける司鳳が哀れになり、思わず鈴を取り上げた。「あんなに苦労したのに無視されるとは… 身体も回復しただろうに連絡もせぬ、お前を忘れたのでは?」しかし司鳳は急にふて腐れてしまう。まさかあの厳格な司鳳をここまで骨抜きにするとは、柳大哥は思わず璇璣に会ってみたいと言った。すると司鳳は柳大哥こそ、娘の母親をどう思っているのかと言い返す。柳大哥はこれまで明かしたことはなかったが、珍しく神妙な面持ちで語り始めた。玉児(ギョクジ)の母親・紅玉(コウギョク)は慶陽(ケイヨウ)城にある嫣紅閣(エンコウカク)の看板妓女だった。群がる金持ちに見向きもせず、なぜか柳大哥を選んだという。柳大哥が去ったあと子ができたと分かると黙って出産、苦労の末、親子で離沢(リタク)宮を訪ねた。あの時は親子3人で隠棲するつもりだったが、先代宮主に居場所がばれ、結局、引き裂かれてしまったという。しかし柳大哥は先代宮主の弱みをつかんで必死に抵抗し、娘の命と交換に離沢宮で一生、罰を受けると誓いを立てた。その後、父とは名乗らず玉児を離沢宮に近い農家に預け、時折、抜け出して娘の無事を確認しているという。そんなある夜、牢に食事を運んできた弟子が見覚えのある銭袋を腰から下げていた。「おい、それは娘の誕生日に贈った品だぞ?!」柳大哥はしらばくれる弟子の首をつかんで脅すと、見知らぬ年寄りから銭袋と交換で柳大哥に文を渡せと泣きつかれたという。「お前の娘がいじめられて喧嘩騒ぎを起こし、崖から落ちて命が危ないと…」驚いた柳大哥は玉児を助けに行くと言って牢を飛び出したが、門番たちに阻まれてしまう。すると司鳳が駆けつけ援護し、柳大哥を逃した。司鳳の審議が始まった。司鳳は掟を破ったため潔く罰を受けると申し出たが、非は認めないという。「欲も情もこの世にあって当然のもの、なのになぜ人を冷たい骸のように扱い、多くの掟で縛るのか」仮面を失くし、柳意歓(リュウイカン)を脱獄させ、さらに規律にまで異を唱えた司鳳、もはや煉獄(レンゴク)塔行きは免れなくなった。しかし宮主はそれでも愛弟子をかばい、命令を下せない。すると副宮主が強行手段に出た。「宮主、これに見覚えが?…前宮主の黒羽(コクウ)令です 宮主の行いを正すことができる、公正な処罰ができぬとあれば行使せざるを得ないかと…」驚いた司鳳は師匠を守るため、自ら令牌を返し、罰を受けると言った。その頃、璇璣は昊辰(コウシン)と一緒に旭陽峰に到着、恒陽(コウヨウ)に弟子入りの挨拶をしていた。実は昊辰という後継者がいるため内弟子を取るつもりはなかったが、昊辰から強く勧められて璇璣を迎えることにしたという。(*˙꒳˙*)コソッ<師兄?師父のご希望ではなかったのですか?( ̄꒳ ̄)コホン<早くご挨拶を璇璣は叩頭の儀を済ませ、これで正式に弟子と認められた。すると恒陽は秘境の結界が落ち着いていることから、大道無情訣(ダイジョウムジョウケツ)の悟りを得るため閉関するという。そこで内外全ての弟子の管理を昊辰に任せ、璇璣にも昊辰を師と仰いで教えに従うよう命じた。昊辰は六識を持たない璇璣なら情を断つ修行が必要ないため、無情訣を修め、守境(シュキョウ)者になる資質があると評価した。守境者とは旭陽峰に課せられた使命である秘境の安寧を守る責務を担う。師兄はまだ秘境に何があるのか教えてくれなかったが、修行に励んで登仙すれば今生は無駄にならないと言った。「師兄、なぜ登仙する必要があるのですか?」「…人であれ妖魔であれ皆が登仙を望むもの、登仙こそがこの世で最上の道なのだ」(´・_・`)ウム… ←イマイチ分かっていない璇璣すると昊辰は璇璣が持って来た荷物は修行の妨げになるため蔵書閣にしまったと教えた。璇璣はせめて司鳳に修行に来たことを伝音鈴で報告したいと訴えたが、認めてもらえない。(´-ω-`).oO(仕方ない…4年後には会うって約束したし、修行が終わってから連絡しよう昊辰は仙術を修める者に必要な法宝として、命剣の代わりに千離傘(センリガサ)を授けた。その威力に驚いた璇璣は修行しなくても戦いに勝てると喜んだが、昊辰は修練が足りないと法宝の神力は制御できないと教える。(*˙꒳˙*)b<これなら両手がふさがっていてもすぐ開くわね~一方、十三戒の酷刑が確定した司鳳はついに煉獄塔にやって来た。…璇璣、しばらくの間、苦戦しそうだ、…だが必ずここから出て君との約束を果たす司鳳は伝音令を握りしめた。これまで甘やかされて来た璇璣にとって旭陽峰の修行は厳しいものだった。初日から寝坊、空腹になっても自由に食事は取れず、火呪が使えないので夜になると部屋は真っ暗なままだ。(˘•ε•˘)あ~もう!その頃、司鳳は極寒の層で倒れていた。ようやく意識が戻った司鳳は懐から伝音令を出す。…璇璣、想像より厳しい試練だ…1層目を越えたが先は長い、13層を突破するには予想より時間がかかりそうだ…なぜ返事をしてくれない?聞こえぬのか?使い方が分からぬのか?鈴を失くしたのか?司鳳は伝音鈴をまた懐に戻し、這いつくばって次の層を目指した。昊辰は璇璣の食いしん坊を利用し、食べ物は御剣飛行で手に入れるよう命じた。おかげで璇璣は食べ物を追いかけているうち、自然と御剣の術が身につく。今日は果物を手に入れ涼亭で一休み、その時、偶然、端青(タンセイ)師姐(シシャ)が通りかかる。璇璣は師姐が谷で蜜を採って来たと知り、味見をさせてもらった。すると師姐は腰に下げた瓶は好きな人に贈る蜜だという。「好きな人とは大好きな物でも分かち合いたいの」( ˙꒳˙ )<おお~なら好物の果物は六師兄に残しておこう! ←また勘違いしているw璇璣は飛行の術で及第をもらい、今度は外弟子と初級呪法の試験を受けることになった。直弟子として昊辰の期待に応えたい璇璣、そこで裳裾に隠した虎の巻を盗み見ながら、雷呪、風呪、水呪を披露する。「はお!次は遁地(トンチ)呪、璇璣から始めよ」璇璣は緊張しながら術を放つと、石灯籠の上に移動し、危うく川に落ちそうになってしまう。しかし昊辰がすぐさま駆けつけ、助けた。「呪法は及第だが、身法は精進せよ…」すると昊辰は璇璣が隠していた虎の巻を暴き、もし雨だったら虎の巻が消えていたと呆れる。「運良く晴れましたね~(^ꇴ^)」←反省はしていない昊辰は璇璣を怒らなかった。呪法は使いこなせれば覚えようが身に付けようが同じことだという。しかし妖魔を倒すには修練して威力を高めなくてはならないと釘を刺した。すると璇璣が急に呪文を放つ。「何だ?私で試す気か?」「んんんまさか!」昊辰が振り返ると、璇璣が酒蔵にかけた呪法を破って酒を招喚していた。「私もひと口いいですか?お酒が恋しくて~ふふ」璇璣は師兄に聞きたいことがあった。師兄は大勢の師姐や師妹に慕われているが、本当に情を捨て秘境を守ることに身を捧げるのだろうか。すると昊辰はそれが使命だと言った。情を断てば思い煩うことなく、悪を滅ぼせるという。「朋友と一緒にいたくないと?」「朋友か…私にもかつて心を許した友がいた、だが私を裏切り大罪を犯したのだ 早く気づいていれば助けることもできた、そうすれば今とは違ったかもしれぬ」「裏切るなんて、真の友だちとは言えません!私の友だちは裏切らないわ!」「…人の心は計り知れぬ、友とて変わるのだ、璇璣にもいずれ分かる日が来るだろう」昊辰は修行に専念すれば煩悩を手放すことができると助言した。…やはり修仙の道を拒むのか、今の人生で満足だとでも?…私はそなたを連れ戻すために来た…以前の私たちに戻れたらどんなにいいか一方、満身創痍の司鳳は何度も意識を失いながら、必死に先へ進んでいた。すると目の前に何者かが現れる。つづく( ๑≧ꇴ≦)イケメンししょん!何者なのーっ!w
2021.08.23
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第26話「折れた簪」焉陵帝姫(エンリョウテイキ)・褚琳琅(チョリンロウ)は闘茶で清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)に完敗した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は鑑明が相手で牡丹(ボタン)は上の空だったと揶揄し、気を利かせて鑑明に琳琅を送るよう命じる。しかし鑑明は城門まで見送ると、あとは陳哨子(チンショウシ)に任せて引き返した。一方、偶然、師匠と帝姫の闘茶の様子を見かけた方海市(ホウハイシー)は褚琳琅への疑念を深めていた。褚琳琅と言えば幼い頃から香と茶芸に秀でていたはず、時間が経って記憶が曖昧になることはあっても、一度、極めた技まで振り出しに戻るはずがない。しかし方卓英(ホウタクエイ)は海市が師匠に何かと接近しようとする帝姫に嫉妬して疑り深くなっていると気づき、思わず鼻で笑った。その夜、方鑑明が窓際に下げた捕夢鈴(ホムレイ)を眺めていると、陳哨子がやって来た。尼華羅(ジカラ)へ遣わした者が戻って来たが、帝姫の話の裏付けが取れたという。陳哨子が報告を終えて出て行くと、鑑明はふと綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠柘榴(キクシャリュウ)の話を思い出した。実は海市の指摘を受けて密かに帝姫の香に注意していたが、確かに何か引っかかるという。すると回廊から陳哨子と海市の話し声が聞こえてきた。「小公子」「夜食を食べて来たんだ、もう寝るよ」海市は陳哨子と別れて部屋に戻ろうとしたが、その時、かんざしが落ちて割れてしまう。方卓英は海市に頼まれ、武郷(ブキョウ)侯府・周幼度(シュウヨウド)を昭明宮に招いた。その洒脱なたたずまいはまるで方鑑明のよう、しかし周幼度は高名な清海公と自分では月と蛍の光ほど違うと謙遜する。そこへちょうど卓英が香料を抱えてやって来た。海市は調香に詳しい周幼度から教えを請いたいと頼み、牡丹と蓮それぞれの香袋を渡す。すると周幼度は匂いだけで帝姫の愛用の牡丹の香だと分かった。「これは牡丹の花蕊(カズイ)・辟寒(ヘキカン)・月支(ゲッシ)など14種類の原料を混ぜて作る 一方、芰荷香(キカコウ)は燻した蓮に芸香(ウンコウ)や都夷(トイ)など7種類の原料を合わせる」ただし辟寒と都夷は相容れない性質のため、合わせて使うと全身に赤い発疹が出るという。例え同じ場所に置いておくだけでも全身に発疹が出るというのだ。周幼度は香譜で帝姫愛用の香の処方を見たことがあるため間違いないと言った。しかも手順を記したのは清海公だという。「つまり師父も調香を?」「私に聞かずとも身近な達人に聞けば済んだのに…クスッ」かつて都では若者たちが集まっては茶と香に興じ、中でも清海公が作る香は異彩を放っていた。しかし皇帝が即位後に質素を望み、今では下火になってしまったという。…師父も最初から帝姫を疑っていたのね、何かお考えがあるのかしら…↓( ゚ェ゚)oO(師父?…いや触角がないから違うw方鑑明が昭明宮に戻ると、涼亭にいる海市たちに気づいた。その時、偶然、香の匂いを確認しようとした海市と周幼度が近づき過ぎて頭をぶつけてしまう。2人の親密な様子に面白くない鑑明、すると海市が師匠の姿に気づいた。( ゚ロ゚)<師父!(; ̄▽ ̄)<お、おぅ…客人か?4人は一緒に食事をすることになった。周幼度はこの機会を利用して海市に姉妹がいるか聞いたが、海市はひとりっ子だという。「なぜだ?」「何でもない」都で見かけた海市を女だと見抜いていた周幼度、そんな周幼度を鑑明は密かに警戒した。海市が周幼度を門まで見送り昭明宮に戻ると、回廊で師匠が待っていた。そこで鑑明は海市にかんざしを贈る。「きつく叱り過ぎた」しかしそんな鑑明のあやふやな態度がかえって海市を傷つけた。「師父が弟子の過ちを正すのは当然のこと、謝罪の必要などないし、ましてやこれも受け取れません 私の気持ちはご存じでしょう?はっきり言ってください、あなたにとって私は何なのですか?」「…気に入らぬなら捨てればよい」すると海市は化粧箱を回廊に叩きつけ、かんざしが折れてしまう。その様子を偶然、卓英が見ていた。翌日、方鑑明は卓英を呼んで碁に付き合わせた。しかし卓英は昨夜の師匠と海市のことが気になって上の空、惨敗してしまう。「師父…海市をずっと従軍させるわけにいきません、嫁に行く年ですよ?女子に戻してやらねば…」「何を言い出すのだ?」「ここ数年、海市はかつての無邪気さがありません 私は誰よりも海市を理解しています、一度、心に決めたら想い続ける…師父? もし師父に師弟の情しかないのなら、いっそ海市の想いを断ち切ってやってください」「…何を言っている?出て行け、今すぐ!」鑑明は卓英に見透かされたようで激しく動揺し、思わず声を張り上げ追い出した。翌日、海市は宮中で帝姫の侍女に呼び止められ、清海公への招待状を預かった。そこで師匠の書斎を訪ね、帝姫から霜平(ソウヘイ)湖で行われる琴の鑑賞に招かれていると伝える。鑑明は招待状を受け取ったが、黙ってまた書物を探し始めた。「師父、何か申し付けは?…なければ卓英と市へ出かけます」「行きなさい」鑑明と海市の関係はさらに拗れていた。方卓英は海市に気晴らしさせようと街へ出た。すると酒楼で思いがけず周幼度と再会する。2人は周幼度を誘って街を散策、しかし海市は心ここにあらずだった。その時、海市はふと露店で売っているかんざしに目を留める。周幼度は海市の目線の先に気づき、造花のかんざしを選んで海市に贈った。まさか方鑑明の馬車が通りかかり、その様子を見ていたとも知らず…。鑑明は折れたかんざしを持って簪店に向かっていたが、結局、そこで昭明宮へ戻った。↓(´゚艸゚)師父…なぜだろう、切ないはずなのに笑ってしまうw方卓英と海市が昭明宮に戻るとなぜか帝姫の姿があった。清海公に琴を習いに来たが、来客中だという。どうやら師匠は鑑賞会に行かなかったらしい。海市は公務で忙しいと師匠をかばったが、褚琳琅は海市が清海公から詩や書を教わったと聞いていた。「小方大人、よければ私に手ほどきしてくれないかしら?」褚琳琅は琴を弾いて聞かせたが、正しく弾けず音を外した。すると海市はすぐ間違いを指摘、師匠から習った運指法で弾いてみせる。「この曲は今の時代とは指使いが異なるのです」その頃、方鑑明は廷尉・宗裕(ソウユウ)の聞き取りが終わり、門まで見送っていた。すると陳哨子が駆けつけ帝姫の来訪を報告、小公子が琴を指南しているという。一方、海市はこの機会に帝姫を探っていた。「帝姫は今日、牡丹香をお使いでしょう?」「鼻は利かないようね?今日、焚きしめたのは芰荷香よ」「牡丹がお好きと聞いて早合点してしまいました」「牡丹香も愛用しているけれど、あいにく今日は違うわ」しかし辟寒と都夷は相容れない性質、合わせて使えば赤い発疹が出ると海市は知っていた。褚琳琅は海市の腕前に感心し、ちょうど新しい香合があるので渡した。金糸細工の美しい香合、中には丸い香が入っているという。そこへ方鑑明がやって来た。「海市が掟を破り、師父としてお詫び申し上げます」褚琳琅は気にしていないと言ったが、鑑明は陳哨子に帝姫の見送りを頼んで海市を連れて行った。皇女が男に贈り物を渡したとなれば大事だ。方鑑明は香合を受け取った海市を厳しく叱り、今後、帝姫と接触するなと命じる。一方的に責められた海市は師匠も帝姫を疑っているはずだと言い返し、何を考えているのか教えてもくれないと嘆いた。しかし方鑑明は海市を守るため、関わるなと冷たい。「師父にとって私はそれほど信用ならぬ役立たずですか?!」海市は思わず不満をぶちまけ、部屋に戻ってしまう。鞠柘榴は帝姫の衣を仕上げ、少府監の施霖(シリン)に託した。褚琳琅は鞠典衣の刺繍を絶賛、如才ない施霖に褒美を渡して下げる。しかし帝姫の侍衛・張英年(チョウエイネン)はうっかり施霖の媚びた態度は目に余ると口をすべらせた。( ̄◇ ̄;)<ぁ…言葉が過ぎました鞠柘榴は帝姫が衣を気に入ってくれたと知り、もう一着作ることにした。すると腹心の蘇姨(ソイ)が頼んでおいた牡丹香を買って来てくれる。「これは前の時代から受け継がれている処方で高値で買わされました」そこで柘榴はこの牡丹香を次の衣に使うことにした。つづく(  ̄꒳ ̄)卓英と柘榴の話はほんわかするわ〜でもカットでw
2022.09.30
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