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2023.10.24
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第38話「愛を叫んで」

凌不疑(リンブーイー)の企みにより情夫を囲っていたことが都中に知れ渡ってしまった五公主。
程少商(チォンシャオシャン)は五公主の噂をわざわざ皇后の耳に入れた皇太子妃に憤ったが、皇后は皇太子妃の胸中をおもんばかった。
思えば皇太子妃は五公主から日常的に侮辱を受けており、平静でいられないのも仕方がない。
何より寿誕の宴で美しい曲泠君(チューリンジュン)の姿を見れば心中、穏やかではいられないだろう。
実は皇太子にはもともと想い人がいた。
曲泠君は皇太子妃より家柄や品格に優れ、当時は頻繁に宮中に来て皇太子ら兄妹と遊んでいたという。
「2人が想い合っていることは誰の目にも明らかだった

 だから太子は約束通り孫(スン)氏を娶るしかなかった」
「太子は約束を守らなければ良かったのに…」
「子晟(ズーション)も同じことを言ったわ…
 幼いながらも私や陛下にこの縁談は太子にとって害になるとね」
しかし結局、皇太子は孫氏を娶り、曲泠君も別の人に嫁いでしまう。
「聞くけれどあなたは心から子晟のことが好きなの?」
「…好きです、以前は彼のことを天上の明月のような遠い存在だと思っていました
 でも彼も私と同じように血が通い、喜怒哀楽もある、想いは深まりました」
「陛下は子晟が身を固めぬことを案じ続け、余は子晟を理解できる者が現れるだろうかと案じた
 子晟があなたを選んだのは正解だったわ」
その時、翟(ジャイ)媪(ウバ)が血相を変えて寝所に駆けつけた。


少商が駆けつけるとちょうど凌不疑が皇帝から叱責されていた。
何でも不疑は少商を落水させた八家の息女を突き止め、その父兄を殴打したという。
実は皇帝は五公主に加担した息女たちが普段から傍若無人に振る舞っているのではと懸念した。
そこで父兄らが権勢を笠に着ていないか調査させていたが、賄賂をもらっていたことが発覚する。
すると不疑はこの機会を利用し、廷尉府を無視して自ら制裁を加えていた。




驚いた少商は許しを乞うたが、不疑は嘆願なら必要ないと冷たい。
「己の罪は己で償う…君と同じように私にも矜持(キョウジ)がある、これが凌不疑だ」
少商は自分への当てつけだと気づき、無茶をして婚約を台無しにするつもりかと言いかけた。
その時、不疑の口から思わぬ言葉が飛び出す。
「辞官して君と隠居したい、君の求める田舎でな」

凌不疑の無謀な行動は全て少商のためだった。
そこで少商は昨日、自分と言い争ったことが原因だとかばったが、かえって皇帝からなぜ喧嘩ばかりするのかと責められてしまう。
「今度、言い争ったら何だ、朕の崇徳(スウトク)殿を襲うのか?!」
すると皇帝は罰として杖刑100回後、流刑に処すと命じた。
少商は何とか見逃してもらおうと必死だったが、不疑はあっさり拝命すると告げて出て行ってしまう。
「ちょ…凌不疑っ!」

刑場はちらちらと雪が舞い始めた。
少商は皇帝と共に城楼から刑の執行を見守ったが、やがて耐えられなくなり刑場へ降りてしまう。
すると知らせを聞いた皇后と越(ユエ)妃が城楼へ駆けつけた。
皇后は皇帝の非情な仕打ちに心を痛めたが、越姮(ユエホン)はこれが皇帝の謀だと気づく。
実は軍営での杖刑には一見、血みどろに見えても大して支障のない打ち方があった。
そうとは知らず刑場に入ろうとした少商は衛兵に止められながら、なりふり構わず叫んでいる。
「子晟!誓うわ!2度とあなたと喧嘩しない!
 いくら私に怒っていても自分の身体を犠牲にしてまで意地を張るなんて馬鹿なことしないで!」
そこで皇帝は少商を止めている衛兵の手を緩ませ、子晟に近づかせるよう命じた。

少商は執行台へたどり着くと、杖を振り下ろそうとした衛兵を突き飛ばして刑を止めた。
「子晟、今後は何事もあなたに相談すると約束するから…
 これからは真心をあなたに捧げる、私のために馬鹿な真似はやめて、いいわね?」
すると少商は思わず凌不疑を抱きしめた。
「もうとっくにあなたを愛していた…なぜ気づかないの?」
「…今、何と言った?朕は聞こえなかったぞ?!何だって?!」
城楼では皇帝が少商の気持ちを確認しようと必死だった。
しかし越姮は聞こえずとも見れば分かると呆れる。
安堵した皇帝は刑の中止を命じたが、皇后は皇帝のやり方に反発して帰ってしまう。



凌不疑は幼い頃に過ごした長秋宮で静養することになった。
夜になっても不疑が心配で落ち着かない少商、しかし皇后は医官がついているとなだめる。
「翟媪に安神薬を用意させたわ、ずっと泣き続けて声も枯れたでしょう?
 薬を飲んで早く眠りなさい」
しかし少商は矢も盾もたまらず、こっそり不疑の部屋へ行ってしまう。

不疑は少商の姿を見ると嬉しそうに身体を起こした。
負傷した割には元気そうな不疑、少商は思えばあの時、子晟があまりにあっさり皇帝の罰を拝命したことに気づく。
「負傷したのは芝居なの?」
「なぜ芝居だと?」
「私が心を傷めれば目的を果たせる」
「…少商に心を痛めてもらえるなんて、こんな幸せはない」
少商は子晟が愛しくなり、おでこに口づけした。
すると2人は見つめ合い、自然と顔を近づけて唇を重ねる。
「こんなことは成婚まで待つべきか?」
「それは私の台詞でしょう?」



少商は子晟に笛を吹いて聴かせた。
すると不疑は灯会(トウエ)で初めて少商の顔を見た時のことを思い出す。
「あの時も今のように君は美しかった」
「だったらなぜ後日、会いに来なかったの?」
「あることを遂げるまで娶る決断ができなかった」
「一目見ただけで娶ると?」
「一目で十分だ…一度、見ただけで分かった、余生を共にするのは君だけだとね」
「この先、欺かれない限りこの少商、あなたを裏切らないわ」

こうして何度もぶつかり合いながら愛が深まった少商と不疑。
その頃、曲陵(キョクリョウ)侯府では蕭元漪(シャオユエンイー)がなかなか戻ってこない嫋嫋(ニャオニャオ)に苛立っていた。
少商は皇后から賜った外套を母に届けたが、蕭元漪は皇后に懐いてすっかり母を忘れた娘からの贈り物に見向きもしない。
程始(チォンシー)は思わず失笑し、会えなくなると気がかりになるのかと揶揄した。
「夫人、嫋嫋は凌不疑と一緒になってから、さほど問題は起こしていない」
「そうね、誰が予測できた?凌不疑の方が嫋嫋より常軌を逸しているなんて…」

凌不疑が報復した八家のひとりは御史中丞だった。
皇帝は不疑が乗り込んでめちゃくちゃにした御史台の修理を命じたが、不疑はこの機に乗じて15年前の越氏の軍報を持ち出すことに成功する。
すると予想通り軍報には戦馬の損傷は記載されていなかった。
「恐らく兵の死因も瘴気ではない、小越侯は嘘をついている」
しかし証人の軍医が死んで韓武(ハンウー)も殺され、当の小越侯は狡猾でなかなか尻尾を出さない。
「奴がボロを出さねば…仕向けるまでだ」

つづく


( ˘ω˘ )さすがに真心うんぬんはもう飽きてきた…
それにしても今回は上手い人が多いね~





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最終更新日  2023.11.05 15:07:09
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