【現代劇】マリアージュ・ブラン~嘘つき弁護士の愛の法則~全40話 40
風起隴西-SPY of Three Kingdoms-全24話 24
【現代劇】イジワルな君に恋をした~Sweet First Love~全24話 24
燕雲台-The Legend of Empress-全48話 48
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上阳赋 The Rebel Princess最終話「陽の光がさす場所」城門で抵抗された宋懐恩(ソウカイオン)は密道から式乾殿へ侵入、馬子澹(バシタン)と王儇(オウケン)は太極殿に逃げた。今日が皇帝でいられる最後だと腹をくくった子澹、そこでせめて最期に威厳だけは守りたいと訴え、もしもの時は阿嫵(アーウォ)に斬って欲しいという。その時、宋懐恩が兵を引き連れやって来た。「王妃、降りてください…あなたを傷つけたくありません」しかし王儇は玉座のそばから動けない。そこで懐恩は自ら上段へ登り、皇帝の首を斬ると挑発した。子澹は無礼な宋懐恩に激怒、背後にいるのは誰かと問い詰めたが、懐恩は黙って門に向き直り、床に剣を付く。ドン!その時、門が開き、皇帝だけに許された黄色の礼服をまとった王藺(オウリン)が現れた。王藺が上段へ到着した。驚愕のあまり声も出ない子澹と王儇、すると懐恩は玉座にいた皇帝を床に投げ出してしまう。子澹は自分の代わりに玉座を陣取った王藺を見ると、沸々と怒りが込み上げた。「老いた逆賊めが…腹黒くあくどい奴…殺してやる!」子澹は一族の恨みを思い出して王藺へ襲いかかったが、あっけなく兵士に捕われ、そのまま引きずり出されてしまう。王藺は呆然とする娘に声をかけた。「阿嫵、お前の父亲だ、私は生きていた…偉業を成すためにはお前には隠すしかなかった じき全てが終わる、いや、新たに始まるのだ」「…その席はあなたの物ではないわ 子澹哥哥が静(セイ)児に譲ると決めたの、静児も王氏の血を引いている」王儇は父の前にひざまずき、過ちを繰り返してはならないと諌めた。しかし王藺は今度ばかりは譲れないという。王儇は仕方なく子澹が玉座に残していった短剣を手に取り、自分の首に突きつけた。あの時は母がこうして父を戒めたが、また同じ光景を見たいのだろうか。「大切なのは娘の命ですか?玉座ですか?」「阿嫵…誰も私を止められぬ、なぜ邪魔をする?…もちろん玉座よりお前の命が大事だ」すると王藺は震える阿嫵の手をつかんで短剣を取り上げた。その時、うっかり礼服の袖が切れてしまう。「愚か者めが!阿嫵っ!なぜ父亲が平和をもたらすと信じられぬのか?! 私以外にやれる者がいるか?誰がやれるというのだ?!」太極殿に王藺の怒号が響き渡った。しかし突然、背後から懐恩に刺されてしまう。「良いお話でした…何をしに来たか忘れるところだった…つまみ出せ!」王儇は兵に制止され、父が連行されるのを黙って見送ることしかできない。「王藺!私は兵力でここまで上り詰めた、だがこれは次への足掛かりに過ぎぬ」すると懐恩は剣についた血を拭い、兵士に王儇を解放するよう合図した。「蕭綦(ショウキ)が持つものは私も手に入れ、蕭綦が持てぬものも手に入れる…」懐恩は王儇に歩み寄ると、豫章王が逃げ出した婚礼の日@8話、激怒した王儇から受け取ったかんざしを返した。「阿嫵…私の皇后になってくれ」バシッ!⊂彡☆))Д´) ァゥッ!「なんて卑劣な男!」阿嫵は思わず懐恩を引っ叩いたが、その時、蕭綦が太極殿に駆けつけた。「懐恩!」懐恩は蕭綦の声に反応し、慌てて門を見た。すると蕭綦が放った矢が懐恩の胸を直撃、同時に寧朔軍がなだれ込んで太極殿を掌握する。「なぜ戻って来た…」玉座に倒れ込んだ懐恩はようやく蕭綦が寧朔へ戻っていなかったと知った。「お前が付近の軍と連絡を取り、反乱を目論んでいると知っていた だがお前を操る黒幕が誰かは分からなかった」「反乱など起こしたくなかった…」懐恩が思わず立ち上がると、包囲していた兵士は一斉に長刀で突き刺した。玉座に倒れ込んだ懐恩はうめき声をあげると、最期の時を迎えた。「…寧朔に連れ帰ってくれ…哥…二度と皇都には来たくない…」懐恩は蕭綦の元へ行こう立ち上がったが、力尽きてしまう。「二度と皇都には来ない…」すると懐恩はそのまま床に崩れ落ち、絶命した。王儇は父を探して殿内を飛び出した。すると回廊に捨て置かれた父を見つける。「私は死んだのか?生きているのか?…お前は生きているか?」「2人とも生きているわ、太医を呼んで来る!」しかし王藺は阿嫵を引き止め、抱きしめて欲しいと頼んだ。父の胸で泣き崩れる王儇、なぜ父はここまでしなければならなかったのか。「それは…愛のためだ、愛など知らぬと思うだろうが、ちゃんと知っている」「母亲を愛していた?」「…お前はどうだ?蕭綦を愛しているか?それとも子澹か?」「種類の違う愛だわ」「そうか、私の娘はすっかり大人になったのだな…私は間違っていた 人は若い頃に得られなかったものに生涯すがりつき、生きてしまうようだ…しかし正解も分からぬ」「…全てが終わったら母亲の隣で眠りたい?」「夙(シュク)児も大人になり、父親に逆らって自らの考えで行動した 夙児とお前の夫・蕭綦を呼んで来てくれないか?話したいことがある…頼む お前の願いはよく分かっている…私が死んだら当然、妻の隣で眠りたい 阿嫵…さあ行きなさい…早く…」王藺は突き放すように娘を遠ざけ、そっと目を閉じた。その時、王儇はふと振り返り、父が息を引き取ったことに気づく。王儇は悲しみのあまり倒れそうになったが、ふらふらと引き返し、再び父を抱きしめた。朝廷は平定され皇都に平和が戻った。王儇と蕭綦は兵を連れず寧朔へ帰ると決め、王夙は顧采薇(コサイビ)と一緒に見送りに来る。「ふっ、お前たちの手助けなく、丞相が務まるだろうか」「哥哥、きっと大丈夫よ」すると王儇は兄と采薇に婚礼を勧めた。「寂しくなるよ…」「そうね」王儇は子供のように兄に抱きついて別れを惜しみ、皇都を去った。…子澹は馬静に譲位、残りの生涯を皇帝陵で過ごした…朝廷は蕭綦の助言を受け、寧朔より北から玄漠(ゲンバク)の南までを3民族の共同居住地とし…多くの人々の暮らしも変わる…税を軽減し、農商業を重んじ、国は平和と繁栄の時代を迎え、″崇光(スウコウ)の治″と称されたあれから寧朔へ移り住んだ王儇と蕭綦は養子も増え、大家族となっていた。宋懐恩と玉岫の忘れ形見も元気に成長している。そんなある日、王儇は草原に太極殿の床にある大きな地図を模倣し、かつて祖太后から習ったように領土を学ばせた。「沁之(シンシ)、建寧(ケンネイ)はどこか分かる?」すると沁之が地図の上を歩き始める。「♪将軍はいつも城の中~兵士や丞相も城の中~建寧はここです!」「じゃあ暉(キ)州は?」「♪交通の要~天下二分の地~軍事の要地…暉州はここです!」「私たちがいるのはどこ?」「♪北に忽蘭(クラン)、南に六盤(ロクバン)〜 ♪星が降り、陽の光が差す、空と大地の間には高い山と淡い雲~寧朔は私たちの足元です!」「そうよ!すごいわ!もう地図を覚えたのね」蕭綦は子供たちの成長を喜びながら、阿嫵の大きくなったお腹をなでた。「母亲になるのは嬉しいか?」「もちろん、もうすぐ我が子に会える、そして帰る家がなくなったあの子たちもみんな私たちの子よ 立派な大人になれるよう導くわ、″人に優しく、世のために尽くしなさい″と…」完( ー̀ωー́ )<アウォ…皇后になってくれ…って、こっわっ!いや〜終わってしまいました~!最後は哥哥とアウォの別れに思わずポロリ…( ;∀;)好みはあれどやはりチャンツィイのオーラはハンパない!(笑楽しかった!
2022.04.29
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上阳赋 The Rebel Princess第67話「反逆」王藺(オウリン)の護衛・青雲(セイウン)は桂(ケイ)女官に馬静(バセイ)を会わせ、孫と引き換えに宮殿の門を開けるよう頼んだ。伝言を聞いた皇太后は兄の生存に度肝を抜かれながらも、今になって王氏の兄妹が手を取り、天下を取る日が来たと感慨深い。一方、宋懐恩(ソウカイオン)は秋風(シュウフウ)荘に王藺を訪ねた。すると部屋に黄金の礼服が飾られている。王藺は馬静のものだと言ったが、懐恩は思わず失笑した。「ご冗談を…」「粛毅(シュクキ)伯の考えはどうだ?…お前は私の養子になり王氏の族譜に入りたいか? それとも姓を変えず、粛毅伯がよいか?」「…丞相に従います」「そうか、では明日のために万全の準備を…」王藺は懐恩を帰すと王安(オウアン)を呼んだ。明日はいよいよ王朝が交代する日、馬氏の人間を残しておくわけにいかないが、面倒を見て来た馬静に情が湧いてしまったという。「…代わりにやってくれ」その話を偶然、王夙(オウシュク)が聞いていた。夫の異変に不安を感じていた蕭玉岫(ショウギョクシュウ)は宋懐恩が軍営に行くと知って慌てて駆けつけた。しかし必死に引き止める妻を振り払い、懐恩は出かけてしまう。そこで玉岫は王儇(オウケン)に夫が夜中に出発したと知らせた。「…宋懐恩、正体を現したわね」一方、王安は馬静を抱いて裏山へやって来た。すると後をつけた王夙は棒で王安を殴りつけて気絶させ、馬静を連れて行ってしまう。明け方、龐癸(ホウキ)が豫章王府に戻ってきた。「宋懐恩が軍を率いて皇都に向かっています!」王儇は魏(ギ)将軍に兵を集めるよう伝言を託し、胡瑶(コヨウ)を連れて参内すると決める。一方、行方不明となった馬静は未だ消息が分からなかった。すでに動き出した計画、今さら後戻りはできず、王藺は馬静を捜索しながら予定通り進めるという。そこで青雲に王氏が有する兵を全て集めて命令を待つよう告げた。また王安には江夏王の名代として朝廷に出向き、大臣たちを呼んで来るよう命じる。「ここへですか?」「そうだ」玉岫は安らかに眠っている幼子の小さな手に自分の腕輪をはめた。後ろ髪を引かれる思いで部屋を後にする玉岫、その頃、宮殿に入った王儇は永安宮へと急ぐ。まさか父が生きているとも知らず、王儇は叔母が兄と手を組んで宋懐恩に馬子澹(バシタン)の退位を迫るよう命じたと疑った。「静児を皇位に就かせ、一緒に摂政になるつもり?」「子澹は人心を失った、皇帝の資格はない」「大臣たちが静児を擁立するとでも?」朽ちた屋敷に呼び集められた温宗慎(オンシュウシン)ら大臣は何が始まるのか分からず困惑していた。すると死んだはずの王藺が現れる。ザワザワ(。・ω・) (・ω・ 。) (。・ω・) (・ω・ 。)ザワザワ大臣たちが騒然とする中、温宗慎は思わず失笑した。しぶとく生きていただけでなく、まさかこの国を手中に収めるつもりなのか。そこで王藺は先帝が崩御前に遺したという密詔を渡した。…余はもう長く生きられず国の変化が心配だ、従って王藺に大任を担うよう命じる…確かに密詔には玉璽が押されていた。納得がいかない大臣たちは引き上げることにしたが、王氏の兵が現れ包囲されてしまう。「粛毅伯と大軍は現在、宮殿に向かっています」青雲の報告を聞いた大臣たちは皇都の守衛軍も王藺の手中にあると知り観念、次々と王藺に降った。温丞相と衛(エイ)侯だけは王藺に反発、城楼で魏将軍らと共に宋懐恩の大軍を待ち受けた。ついに廣陽門に到着した懐恩、しかし皇太后と内通しているはずが門は開かない。その頃、蕭綦(ショウキ)はすでに寧朔軍と郊外にいた。「胡瑶から密書が届いたら宣化門から皇都に入れ、外の敵軍を任せる 残りは抜け道から宮殿に向かう」皇太后は待ちに待った孫との再会を前に着替えることにした。しかし王儇がすでに手を回し、門を開けようとした永安宮の侍女と内侍が魏将軍の配下に捕まったとは知る由もない。報告を聞いた温宗慎は皇太后と王藺が手を結んだと知り、今日こそ決着をつけると奮起した。城楼の不穏な様子を察した懐恩はついに攻城準備の号令を出し、城門の魏将軍たちと対峙する。その時、角楼に登った玉岫の叫び声が響き渡った。「懐恩っ!」玉岫は角楼から声を張り上げ、反逆する夫を必死に諌めた。「粛毅伯では満足できず、朝廷や大王、王妃を裏切るつもり?! …私たちが命を懸けてこの地まで来たのは天下太平のためでしょう?! 守ってきたものを自分の手で壊すというの?! …お願いよ!引き返して!撤退するなら王妃から陛下に免罪を頼んでもらうから! 許されなくても私は地獄のそこまであなたについて行くわ! 私にはあなたが必要なの…一緒に帰りましょう!」しかし必死の説得も虚しく、懐恩の放った矢が玉岫をかすめて柱に突き刺さった。「帰る場所などない…玉岫!帰るのだーっ!」「…引き返さないならあなたの前で死にます!」玉岫は夫を戒めるため、角楼から飛び降り命を絶った。しかし我が身を犠牲にしても夫を止めることは叶わず、懐恩はついに反乱を起こす。魏将軍は温丞相と衛侯を避難させ応戦、すると戦況を見ていた懐恩は密かに引き返した。王儇は子澹を逃すため式乾殿に駆けつけた。しかし子澹はすでに包囲された宮殿から逃げられないと覚悟する。そこで王儇はかつて叔父に教えてもらった密道から子澹を逃すことにしたが、隠し扉を開けると地下から兵士の声が聞こえてきた。「誰かいるわ!」龐癸と胡瑶は王儇と皇帝を先に逃し、禁衛軍と共に式乾殿に残った。すると地下道から兵を率いた懐恩が現れる。式乾殿は戦場と化し、胡瑶は反逆者となった懐恩に斬り掛かった。懐恩は手を引くよう訴えたが、結局、妹同然の胡瑶まで手に掛けてしまう。一方、礼服に着替えた皇太后は寝殿を出た。しかし回廊に出たところで力尽き、そのまま愛しい息子の元へ旅立ってしまう。王儇と子澹は太極殿に逃げた。子澹は蕭綦が叩き割った玉座の角に触れ、今日が皇帝でいられる最後の日かもしれないと腹をくくるが…。つづく( ;∀;)哥哥〜信じていたわ〜!
2022.04.28
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上阳赋 The Rebel Princess第66話「蕭綦の計画」宋懐恩(ソウカイオン)は蕭綦(ショウキ)に皇帝・馬子澹(バシタン)と賀蘭箴(ガランシン)の密書を渡した。ついに″楝羽(レンウ)山の変″の真相を知った蕭綦は敵討ちを決意、その夜、寧朔(ネイサク)軍を招集する。しかし正堂に王儇(オウケン)が現れた。王儇は復讐すれば国が混乱すると反対したが、蕭綦は制止を振り切り出かけてしまう。「誰か!王妃を守れ、今夜はどこにも行かせるな」病床の皇太后は物音に気づいて目を覚ました。何やら外が騒がしい。すると桂(ケイ)女官が駆けつけ、豫章(ヨショウ)王が大臣たちを呼び集め、寧朔軍を引き連れて太極殿に入って行ったと報告した。「それはいい…子澹は罰を受けるのね」その頃、蕭綦は大臣たちに″楝羽山の変″の調査が終わったと報告、真犯人は皇帝だと伝えた。式乾(シキケン)殿に禁衛軍の将軍が駆けつけ、蕭綦が反乱を起こしたと報告した。「陛下!急いでお逃げください!」「逃げる?…一体どこへ?」子澹は現実と向き合わねばならない時が来たと悟り、腹をくくる。一方、王儇は身支度を整え、正門へ向かった。守衛は大王の命で通すわけにいかないと制止したが、王儇はいきなり龐癸(ホウキ)の剣を抜いて守衛を脅す。「これでも止めるの?…開門!」王藺(オウリン)の計画は順調に進んでいるように見えた。今夜、蕭綦が皇帝を殺すか幽閉すれば、王氏の護衛兵が各地で反乱を平定するよう動くことになっている。皇都付近の軍営は粛毅(シュクキ)伯が掌握していた。しかし青雲(セイウン)はひとつだけ想定外の動きがあったと報告する。「豫章王妃が宮殿に向かったようです」太極殿は騒然としていた。証拠を見た丞相・温宗慎(オンシュウシン)は真偽がどうあれ軍を率いて宮殿に乗り込んだのは大きな過ちだと非難する。「どうかここで踏みとどまってくれ!」「…止めても無駄です、すでに決めました」すると皇帝がやって来た。子澹は書信を書いたのが自分だと認め、皇位を奪って何が悪いと開き直る。「先帝と兵士らの敵を討つだと?詭弁を弄するな…王座を奪うためではないかっ?!」「…血まみれの王座など興味はない、お前を殺したら兵士を連れて寧朔へ帰る」ついに楝羽山でむなしく死んで行った兄弟たちの敵を打つ時が来た蕭綦、しかしその時、太極殿に豫章王妃の来訪を伝える前触れが響き渡った。阿嫵(アーウォ)の姿を見た王夙(オウシュク)は驚いた。思わずの妹の元へ行こうとする王夙、しかし宋懐恩が咄嗟に王夙の腕をつかんで止める。すると王儇は子澹の前に立ち、蕭綦を諌めた。「こいつをかばうのか?」「国を守りたいだけ」「阿嫵…そなたの願いなら何でも聞いてきたが、今回だけは好きにさせてもらう!」「だめよ…蕭綦、力でねじ伏せてはだめ 心に何の信念もなく謙虚さを失えば、あなたは粗野な武人で終わる」その時、蕭綦がいきなり剣を振り上げ、皇帝に斬り掛かった。大臣たちは息をのみ、子澹にも緊張が走る。しかし蕭綦の剣は子澹をかすめ、玉座の角を叩き割った。夜が白々と明けて来た。蕭綦は兵士たちの遺骨を持ち、寧朔軍を連れて皇都をあとにする。その姿を王儇は城楼から見送っていた。蕭綦は振り返って王儇に目配せすると、胡瑶(コヨウ)に皇都に残って王妃を守るよう命じる。危険な一手に出た蕭綦と王儇、果たして黒幕は行動を起こすのか。王儇は王府に蕭玉岫(ショウギョクシュウ)を呼んだ。すると玉岫は懐恩が自分に何か隠しているようだとこぼす。最近では家に戻っても慌ただしく、どこか上の空で、気性も荒くなっていた。「まるで別人です」「誰かと会っている様子は?」「皇都付近の将軍ではないでしょうか?」玉岫は懐恩が大王と一緒に寧朔に帰らず、皇都に残ったことに驚いていた。「もしや大王や王妃に隠し事があるのでしょうか?」「あまり思い詰めないで…」そこで王儇は久しぶりに昔を思い出し、玉岫と酒を楽しんだ。王藺は蕭綦が皇帝を見逃したと聞いても玉座をあきらめなかった。今も昔も謀反を起こす者に退路などないという。困惑する王夙だったが、何より阿嫵を巻き込むことだけは避けたかった。しかし王藺は王氏に生まれたからには仕方がないという。「阿嫵だけではない、私もお前も同じ運命だ…状況が変わった以上、計画を立て直すぞ」子澹は式乾殿に引きこもり、飲んだくれていた。すると誰かが寝殿に入って来る。「出て行け~ヘロヘロ〜消えろぉぉぉ〜お?…(はっ!)阿嫵?!」焦った子澹は愛しい阿嫵に無様な姿を見せたくないと、出て行くよう頼んだ。王儇は泥酔した子澹を叱咤したが、子澹はまるで子供のように駄駄をこねる。「蕭綦に大臣らの前で恥をかかされたのだぞ?…余は名声も人心も失ってしまったあ!」それでも玉座に座るのは阿嫵を守るためだと再び酒を飲み出す子澹。王儇は慌てて酒を取り上げたが、子澹はあまりの惨めさに泣き出してしまう。「…こんなの哥哥じゃない、哥哥は世を救うため聖賢の書を読み、慈愛の心を抱いた人よ? 阿嫵の子澹哥哥は皇帝になったの 民の苦しみを和らげ、朝廷の動乱を平定し、国を安定させなくては…」しかし子澹は全て間違っていたと絶望し、自分は皇帝にふさわしくないと嘆いた。「王氏の女子を得た者が天下を得る…そなたの夫に皇位を譲ってやる」「私と蕭綦にそんな考えはないわ」「では甥に返してやらねば…」「幼い静(セイ)児に今の朝廷は危険すぎる」子澹は途方に暮れ、全てを失ってしまった今、自分の生死も後世の評価もどうでもいいと投げやりになった。「だがそなたの許しは欲しい…」「…何はともあれ今は子澹哥哥が皇帝よ?どうか立ち直って…君主が必要なの」王儇は転がっていた冕冠(ベンカン)を拾い、子澹に渡して帰った。…大成の民が苦しみもがいている中、子澹は自分を責め、酒に溺れる日々を送っていた…朝廷はよどんだ水のように静かだが、よどんだ水の下に巨大な波が潜んでいる…蕭綦が皇都を発ち、隠れていた勢力は歩調を早めるだろう…私は疲れ切り、怖くもあった…しかし逃げ出すことはできない王藺が動き出した。青雲は密かに桂女官を呼び出し、実は王藺が生存し、皇都にいると伝える。つづく(  ̄꒳ ̄)子澹、むしろ惨めな姿も見せられるぢんRの方が好きだったんじゃ…さていよいよパパが動き出し、大詰めです
2022.04.22
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上阳赋 The Rebel Princess第65話「露呈した嘘」王夙(オウシュク)は徐(ジョ)女官の死に衝撃を受けながらも阿嫵(アーウォ)に真実を明かすことはできなかった。結局、王儇(オウケン)たちは慈安(ジアン)寺で徐女官の痕跡を見つけられず、引き上げることにする。しかし義兄の様子を怪しんだ蕭綦(ショウキ)は裏山の捜索を命じ、腹心の唐競(トウケイ)にはある人物を調べるよう頼んだ。「…江夏王だ」王夙は秋風(シュウフウ)荘で父と合流した。あの時、父は故意に王安(オウアン)を使って徐女官を隠し部屋へ誘い入れ、宋懐恩(ソウカイオン)を煽って殺させたのだろう。父の目論見通り、これで懐恩は自分たちの言いなりになるしかなくなった。王夙は父のやり方に憤り、もしこれが阿嫵だったらどうしたのかと迫る。「阿嫵だったら迷ったであろうな…ともかくお前は王氏の当主として毅然としていろ 覚えておけ、大事をなす者は揺れてはならぬ」しかしその頃、寧朔軍が裏山で掘られたばかりの跡を発見、そこから徐女官が変わり果てた姿で見つかった。王儇は徐女官の墓前で泣き崩れた。「一体、誰なの?…誰の仕業?」すると蕭綦が手がかりがあると明かし、徐女官の死には王夙が関与していると告げる。「いいえ、そんなはずないわ…」王儇は到底、信じられなかったが、龐癸(ホウキ)を遣いに出して兄を呼び出した。王儇は母の墓前で兄を待っていた。「なぜここに呼んだと思う?母亲(ムーチン)の前では嘘のない兄妹でいたいの…徐女官のことよ?」王夙は妹に勘づかれたと知って動揺したが、父に言われた通り毅然とした態度を貫くしかなかった。「徐女官の死は不慮の事故だった、今はそれしか言えない、私も悲しみに暮れ、己を責めた …阿嫵、やむを得ぬ事情がある、すでに賽は投げられた、王氏のためにやるしかない、覚えておけ」すると王夙は阿嫵が巻き込まれないよう蕭綦と寧朔へ帰れと勧めた。しかし王儇は今となっては兄を信じられるか自信がないと落胆し帰ってしまう。王夙は母親代わりの徐女官だけでなく妹の信頼まで失い、独りなると堰を切ったように母の墓前で泣き崩れた。王儇の報告を聞いた蕭綦は、義兄が自分たちを守るため寧朔に帰そうとしていると気づた。恐らく皇都が危険に陥るという意味だろう。「もしあなたと寧朔軍が皇都を離れたら、黒幕は行動に出るかしら?」「…確かに、ならば我々が一芝居うってやろう 彼らに表舞台に登場してもらい、背後にいるのは誰なのか見せてもらおうじゃないか」一方、錦繍(キンシュウ)宮ではついに蘇錦児(ソキンジ)が産気づいた。知らせを聞いた皇帝・馬子澹(バシタン)は急いで駆けつけると、錦児が無事に皇子を出産する。喜んだ子澹は寝所へ入ったが、産婆たちの様子がどこかおかしかった。「赤子は?…見せてくれ」産婆は仕方なく赤子を渡したが、我が子を見た子澹は驚愕のあまり動けなくなってしまう。蘇貴妃が産んだのは異民族の子だった。書斎に呼ばれた申(シン)太医は以前から不可解な点があったと認め、出産まで正確な判断ができなかったと謝罪する。「辞して故郷に帰り、二度と戻りません」その頃、王儇は永安宮で皇太后を見舞っていた。元気になったら馬静(バセイ)を連れて来ると励ます王儇、すると桂(ケイ)女官が息急き切って駆け込んで来る。「錦繍宮で騒ぎが…蘇貴妃が男子を産みましたが、どうやら陛下のお子ではないようです」子澹が再び錦繍宮にやって来た。慌てた錦児は侍女に赤子を連れて出て行くよう命じたが、運悪く皇帝に見つかってしまう。「待て…」子澹は寝台にいた錦児の腕をつかみ、赤子の前へ引きずり下ろした。驚いた錦児は暴行されたと釈明したが、面目を潰された子澹の怒りは収まらない。感情的になった子澹は思わず衛兵の帯剣を抜き、赤子に向かって振り上げた。錦児は咄嗟に我が子を抱きしめ守ると、赤子が泣き出してしまう。「陛下!」「陛下!」従者たちは一斉に皇帝を諌めた。子澹は怒りをどこへぶつけて良いか分からず、近くにあった灯籠を斬りつける。「子澹、あなただけを愛してきました、でもお心は私になかった…これで終わりです」錦児は目を覚さます時が来たと悟った。すると子澹は赤子を取り上げ、衛兵に錦児の処分を命じる。しかしそこへ王儇が現れた。「この子との間には確執があるの…私に任せて」「好きにしろ」錦児は王氏の護衛たちに連行され、王宮の裏門から出た。すると王儇が待っている。王儇は黙って酒を注ぐと、錦児は毒酒だと思って飲み干した。「私の人生は2人のためにありました、子澹とあなたです 本当に懐かしい、王氏の屋敷での日々が…冗談を言い合い、喧嘩もしました あの頃は何の心配もありませんでした 私は身寄りもなく、名もなかった…″蘇錦児″という名はあなたがくれました すぉぢんあーる…この名が大好きです 恋心にとらわれなければ、もしその後の一切がなければ、どんなに良かったか…でもこれが現実です この人生では何も得られなかった」錦児は死をもって償うと言ったが、王儇の酒に毒など入っていなかった。そこへ侍女が赤子を連れて現れる。「江南に住まいを用意したわ、この子と幸せに暮らしなさい、身分を知られないようにね」王儇は今日で全てを水に流すという。「郡主!」錦児は思わずその場にひざまずき、叩頭して別れを告げた。「…姐姐、お元気で」宋懐恩はついに豫章王府へ行くと決めた。そこで蕭玉岫(ショウギョクシュウ)に豫章王府へ挨拶に行こうと伝えたが、どういう風の吹き回しかと玉岫が笑う。「私と大王は今やどちらも朝廷の官吏だ、昔のように勝手はできない」「…朝廷のことはよく分からないけれど、あなたに従います」懐恩は玉岫を先に休ませると、頭を抱えた。この証拠を蕭綦に渡せば蕭綦と皇帝との間に波風を立てることになる。大成の忠臣である蕭綦にとって苦渋の選択になるが、最終的には正義を通すだろう。『蕭綦が子澹に背くなら粛毅(シュクキ)伯、お前はどうする?』懐恩は王藺の言葉を思い出し、悶々となった。豫章王府に宋懐恩と玉岫夫妻がやって来た。阿嫵と玉岫の手前、懐恩を暖かく迎える蕭綦、そこで王儇は玉岫を連れて奥殿へ向かう。すると玉岫は昔を思い出し、悩みもなく穏やかだったと懐かしんだ。懐恩は良くしてくれるが、自分との間に溝を感じるという。「何を考え、何がしたいのか、私には教えてくれません」玉岫は懐恩の本心が分からないとこぼした。しかし王儇はただの取り越し苦労だろうと安心させる。一方、蕭綦は懐恩を連れて正堂に入った。懐恩はひざまずいて先の一件を謝罪したが、蕭綦は懐恩が任務を全うしただけだと理解を示す。「非難してください、罵倒された方が気が楽です」口では懐恩を許しながらどこか冷ややかな蕭綦、そこで懐恩は本題に入った。懐恩は士族たちに下心があるが、生死を共にしてきた豫章王との仲を引き裂くことはできないと情に訴えた。「″楝羽(レンウ)山の変″で大王たちが陥れられたと知った時、真相を明らかにすると誓い、 今日に至るまで調べ続けてきました 重要な手がかりとなる密書を手に入れました 忽蘭(クラン)にありました…」つづく(´-ω-。` )ぢんR…子供を見捨てるかと思ったら、ちゃんと守った~これで私も過去を忘れるわ(←誰?w
2022.04.21
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上阳赋 The Rebel Princess第64話「大切な人の死」朝廷に届いた豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)への九錫(キュウシャク)の礼を願う上書。実はその黒幕は王藺(オウリン)だった。上書はまだ皇帝の耳に届いていないが、王夙(オウシュク)がばらまいた噂が広がり、丞相・温宗慎(オンシュウシン)も長くは隠せないだろう。すると王藺は王夙に顧采薇(コサイビ)を娶るつもりなら考え直せと釘を刺した。「…分かりました」温宗慎は上書が蕭綦の仕業だと疑い、ちょうど永安宮に見舞いに来ていた豫章王妃・王儇(オウケン)を頼った。「王妃もちまたの流言をご存じでしょう…」すると温宗慎はひざまずき、豫章王を説得してほしいと嘆願する。豫章王夫妻が恨みを抱えているのは重々承知の上、しかし混乱する大成には波乱に耐える余力がないと訴えた。王儇は国と民を想う丞相の熱意にほだされ了承したが、どうも腑に落ちない。いくら蕭綦が変わってしまったとは言え、九錫の礼など要求する人ではなかった。…一体、誰の仕業なの?…そんなある日、蘇錦児(ソキンジ)のもとに江夏王府から迎えの馬車がやって来た。「江夏王が私に会いたいと?」錦児は身重の身体で王府へ出かけたが、王安(オウアン)に案内されたのは上陽郡主と共に育った懐かしい寝殿だった。すると王夙が現れ、いわばこの王府は蘇貴妃の実家であり、自分も兄同然だという。「お前の秘密は王氏の秘密でもある…その秘密を一緒に守ってやる」王夙は錦児の腹の子が皇帝の子供ではないと知っていた。「…私は何をすれば?」「玉璽(ギョクジ)を奪ってこい…心配するな、陛下を害するつもりはない」( ̄▽ ̄;)また弱みを握られた…王藺は次に宋懐恩(ソウカイオン)を呼び出した。そこで王氏の護衛が手に入れた馬子澹(バシタン)と賀蘭箴(ガランシン)の密書を見せる。懐恩は″楝羽(レンウ)山の変″の首謀者が皇帝だったと知り呆然、すると王藺は粛毅(シュクキ)伯の任務は蕭綦に真実を伝えることだと言った。「お前が苦労の末に証拠を見つけたと言え」「しかし蕭綦との間に確執が生じています」「だからこそお前から歩み寄らねばならぬ… 調査が難航しているところに証拠を差し出せば感謝されるはずだ」蘇錦児は皇帝に酔い覚ましを差し入れる口実で勤文殿にやって来た。すると子澹は酔い潰れたまま眠っている。錦児は薬湯を皇帝のそばに置くと、空になった岡持ちに玉璽を入れて帰ることにした。しかし急に子澹に呼び止められてしまう。「…行かないでくれ」錦児は恐る恐る振り返ると、子澹が呼び止めたのは自分ではなく、絵の中の王儇だと分かった。激しい嫉妬に駆られた錦児は思わず酔い覚ましを絵にぶちまけ、出て行ってしまう。王夙は父に玉璽を届けた。すると王藺はこれで正々堂々と天下を取れると喜び、宋懐恩を呼べと命じる。一方、錦児は錦繍(キンシュウ)宮で皇帝から追い詰められていた。「お前の仕業か…誰がやらせた?」錦児はてっきり玉璽の件だと思ってひざまずいたが、子澹は汚れた阿嫵の絵を突きつける。「自身の心がさせたのか?」「…その通りです、私がやりました、いけませんか?!」「永遠に阿嫵には及ばぬ…」子澹は開き直った錦児に愛想を尽かし、帰って行った。小禾(ショウカ)は義父から弓を習い始めた。なかなか上達しない兄の様子に沁之(シンシ)も渋い顔、そこで蕭綦は少し休もうと言ったが、小禾は胡光烈(ココウレツ)たちの敵を討ちたいと手を止めない。すると沁之も一緒に習いたいと兄の元へ駆け寄った。子供たちを見守っていた王儇は思わず復讐心を煽らないよう訴えが、蕭綦は無念の死を遂げた兵士を目の当たりにすればやむを得ないという。「どうしても復讐すると?…相手がもし身近な人だったらと思うと不安だわ」「…何かあったのか?独りで抱えるな」王儇は正直に伝えようと決めたが、その時、徐(ジョ)女官が急に2人の話を遮った。「王妃…数日で長公主の命日です、お過ごしだった部屋を掃除して参ります」「頼んだわ」王儇は徐女官の咄嗟の判断で考え直し、結局、蕭綦に何も言わなかった。宋懐恩は大王との再会に迷っているようだった。そこで王藺は数日前に子澹に呼び出されたことを指摘する。懐恩は皇都の出来事が全て王氏の耳に入ると知り、その影響力が未だに強いことを実感した。すると王藺はもし事実を知った蕭綦が反逆したら江南の兵を総動員して討ち、先帝の密詔を出して馬静を皇位に就かせるという。「先帝の密詔?!初耳です!」「私は確信のないことはやらぬ、でなければお前との約束も守れぬではないか」懐恩は王藺の自信に感服、任務を果たそうと覚悟した。王安は主が密談中の時は決まって馬静を抱いてあやしていた。何も知らずに掃除をしていた徐女官はふと物音に気づいて手を止めたが、赤子の泣き声が聞こえる。そこで上階へ上がってみると、驚いたことに赤子を抱いた王安がいた。王安は江夏王が客人を迎えるためにここを借りているとごまかしたが、赤子が馬静だと気づかれてしまう。奥の隠し部屋にいた王藺たちは徐女官の声に気づき驚愕、慌てて王夙が出て行った。王夙は江南ではやはり心配なので馬静を呼び寄せたと嘘をついた。棚の隙間から様子を伺う王藺と宋懐恩、すると王藺は決して除女官に姿を見られてはならないと釘を刺す。「万が一、阿嫵たちに知られたらどんな結果になるか分かっているな?」王藺は王夙が徐女官をうまく追い出すよう待ち、王安に今のうち馬静を連れて来るよう目配せした。そこで王安は急いで奥の隠し部屋へ引き上げると、王夙はとにかく下へ行こうと徐女官を連れて行く。しかし徐女官は急にきびすを返した。「やはりお世話は私が…」「(はっ!)徐姑姑!」王夙は慌てて止めようとしたが間に合わず、徐女官は王安を追いかけて隠し部屋へ入ってしまう。すると顔を見られた懐恩は反射的に徐女官を刺し殺した。その夜、徐女官は慈安(ジアン)寺から戻ってこなかった。王儇は使いを出したが見つからず、自ら探しに行くことにする。ちょうど寝所に戻って来た蕭綦は不安そうな阿嫵を心配し、一緒に行くと言って抱きしめた。王藺は安全のため護衛たちの拠点だった秋風(シュウフウ)荘に移動した。徐女官の亡骸はひとまず青雲(セイウン)が裏山に埋めたが、当然、阿嫵が探しに来るだろう。すると予想通り、阿嫵が訪ねて来た。蕭綦は部下に寺を捜索させたが、徐女官の痕跡はなかった。静慈師太の話では徐女官は早い時間に寺に来て長公主の部屋を掃除していたという。「寺に慣れている方ですので人をやりませんでした、いつ出られたのか… そう言えば赤子の声が聞こえたと言う者がおります」実は長公主の部屋は江夏王が一時的に泊まっているため、兵士は探していなかった。王儇は兄と王安に徐女官を知らないか聞いた。しかし王夙と王安は出かけていたため、徐女官を見ていないという。王儇は兄が自分に何も言わず母の部屋で過ごしていることに戸惑い、ここで赤子の声を聞いた人がいると怪しんだ。王夙は知らぬ存ぜぬを通したが、黙って聞いていた蕭綦は明らかに挙動がおかしいと気づく。つづく(  ̄꒳ ̄)懐恩…ついに退路を断ったわね
2022.04.14
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上阳赋 The Rebel Princess第63話「子澹との決別」豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)は楝羽(レンウ)山で無念の死を遂げた兵士のため、皇帝自ら祭祀に臨むよう迫った。馬子澹(バシタン)はこれ以上の譲歩を善しとせず憤慨したが、その時、粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)がひざまずき嘆願する。「陛下に上奏いたします!皇帝自ら慰霊を!」「同意いたします!」すると江夏王・王夙(オウシュク)も賛同、大臣たちは蕭綦の逆鱗に触れることを恐れて追従した。蕭綦の要求が認められ、宮中で祭祀が行われた。子澹は亡くなった寧朔軍の兵士を弔い、豫章王にも敬意を示して面目を守る。同じ頃、王儇(オウケン)も豫章王府の霊堂で兵士たちを供養していた。丞相・温宗慎(オンシュウシン)は王夙を呼び出し、豫章王妃が連れ去った馬静(バセイ)の居場所を尋ねた。王夙は″楝羽山の変″の時がそうだったよに、動かない方が良いこともあると言葉を濁す。すると温宗慎は確かに真相を明かすばかりが良いとは限らないと納得した。「しかし江夏王、せめて私だけには教えてくれないか?第三者に漏れることはない」「…妹が話してくれぬため、私も知りません」王夙は自分の預かり知らぬことだと断り、帰って行った。丞相から報告を聞いた皇太后は王夙の嘘だと分かった。阿嫵(アーウォ)は幼い頃から兄にだけはどんなことでも正直に話したという。皇太后は同じ琅琊王氏でありながら、兄妹が自分と志を共にしないことに深く失望した。しかし温宗慎は江夏王の言い分にも一理あると理解を示し、朝廷の安定には皇子の存在が明るみに出ない方が良いという。「あなたは本当に冷たい人だわ…」「…私が冷血漢ならば、こうして永安宮には来ておりません」「私に忠誠を尽くすの?答えて…」すると温宗慎は黙ってひざまずいた。皇太后は温宗慎にも裏切られ、二度と来るなと怒鳴って追い出してしまう。蕭綦が帰京して1ヶ月が経った。子澹はかつての部下だった宋懐恩が未だ豫章王府を訪ねていないことを訝しみ、勤文殿に呼んで真意を探る。すると懐恩は臣下同士の間には適度な距離が必要だと説明、大成と皇帝に忠誠を尽くすと誓った。子澹は感心し、自分を裏切らねば懐恩にもいずれ王爵を授けると約束する。情義と権力のはざまで揺れていた懐恩、しかしもはや後戻りはできないと腹をくくった。″楝羽山の変″を調査する蕭綦だったが、士族に警戒され手がかりはつかめなかった。胡瑶(コヨウ)は朝廷の宋懐恩に頼んではどうかと提案、しかし不信感が強い唐競(トウケイ)は反対する。「恩知らずで強欲な男だとは夢にも思わなかった!」「そんなやつではない」蕭綦は皇帝殺しの濡れ衣を着せられた時、自分との間に明確に線を引くことで己の身を守ったのだろうとかばった。一方、王儇は豫章王府で引き取った小禾(ショウカ)・沁之(シンシ)兄妹を本当の子供のように可愛がっていた。そこで蕭綦は盟友の忘れ形見である2人を我が子に迎え、阿嫵(アーウォ)を母親にする。王儇は喜び、馬静が戻ったら3人を立派な大人に育てたいと言った。「それまでに世の中が安定し、平和に暮らせる日が来るかしら?」「もちろんだ」すると王儇は民の繁栄と幸福こそ自分の願いだと明かし、目先のことにとらわれず、家族のために生きて欲しいと説得した。しかし蕭綦はまずは敵討ちが終わってからだという。困惑する王儇、その時、徐(ジョ)女官が宮中からの知らせを伝えに来た。「太后のお加減が悪く、王妃にお会いしたいと…」王儇が急いで永安宮に駆けつけると、皇太后は錯乱していた。「子隆(シリュウ)のとこへ行って狩り場には行くなと伝えて、罠が仕掛けられている… 皇帝を殺し、その罪を蕭綦にかぶせるつもりよ…」「誰が?」「それは…子澹しかいない…賀蘭箴(ガランシン)と結託し、子隆を殺したあげく蕭綦に罪をかぶせたのよ! ぁぁぁ~子隆は弟に殺されてしまったぁぁぁ~」皇太后は乱心し、阿嫵に抱きついて泣き崩れてしまう。王儇は侍従が止めるのも聞かず勤文殿に乗り込んだ。そこで子澹と賀蘭箴の陰謀を知っていると迫り、皇位簒奪のため蕭綦に先帝殺しの濡れ衣を着せたと非難する。子澹は賀蘭箴と面識などないとしらばくれ、そもそも皇位を継承するはずの皇子を連れ去ったのは誰であろう阿嫵だと指摘した。「静児を連れて来て玉座に座らせたらどうだ?」「危険にさらせるものですか!一度、殺されかけたのよ!…はっ!」王儇はようやく合点が行った。なぜ謝氏の乳母が小皇子を害そうとするのか分からなかったが、あれも子澹の指示だったのだろう。「子澹…なんて恐ろしい子っ!」「それはガラスの仮面だろう?」ちょうどその頃、蘇錦児(ソキンジ)は侍女から王儇が子澹を訪ねたと聞いていた。王儇はすべて子澹の企みだったと知った。すると子澹は開き直り、全て白日の下に晒せばいいという。「蕭綦にも報告したらどうだ?死地に追いやったのは女を奪われた復讐だとな!」王儇は言葉を失い、踵を返した。「余が変わったのはそなたのためだ!」子澹は去って行く王儇の背中に言い放ったが、その言葉をちょうど殿内に入って来た錦児が聞いてしまう。「陛下、何があったのです?」「…私に触れるでない!」子澹は錦児の手を振り払って出て行った。皇太后の策はうまく行った。桂(ケイ)女官の報告によれば、書斎で皇帝と豫章王妃が言い争っていたという。一方、錦児は衝撃から腹痛に襲われ、太医の診察を受けた。申(シン)太医は過労や怒りは厳禁だと諌めて寝殿を後にしたが、ある事実に気づいて困惑する。「太医?どうかしましたか?もしやお子様に問題が?」「私からは何とも言えぬ…」弟子は医師として嘘は良くないと訴えたが、太医は皇帝の子ゆえ慎重でなければならないと答えた。「もし皇帝の子でなかっ…(おっと口が滑った)」その夜、王儇はなかなか寝付けなかった。『蕭綦が探している答えを伝えるべきだけど、私は… 子澹と蕭綦、1人は皇帝で1人は将軍… 罪を犯した子澹が罰せられるのは当然だけど、もしも蕭綦が… そうなればきっと国は大混乱に陥り、大きな災難になる…どうしたらいいの?』王儇は隣で眠っている蕭綦の手を握りしめながら、独り悶々とした。申太医の弟子は王氏の密偵だった。青雲(セイウン)は蘇貴妃のお腹の子が皇帝の子ではない可能性が高いと知る。貴妃が宮中に戻ったのは7ヶ月前だが、太医の診察ではお腹の子はすでに9ヶ月だった。この報告に王藺(オウリン)と王夙は驚愕、まさか一介の侍女がこんな大それた手段を使うとは誰が想像できただろう。そこで王藺は錦児を利用しようと思いついた。子澹は阿嫵と決裂し、その辛さを紛らせようと酒に溺れた。一方、朝廷には豫章王に九錫(キュウシャク)を授けて欲しいと上書が届く。この数日で3つの地方から届いた同じ上書、朝廷は到底、偶然だと思えず、動揺が広がった。つづく( ๑≧ꇴ≦)ぢんR!本人も子澹の子だと信じていたの?それにしても太医、今までずっと黙っていたとか…( ̄▽ ̄;)
2022.04.14
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上阳赋 The Rebel Princess第62話「宮殿での再会」王儇(オウケン)と再会を果たし、兄妹水入らずの時を過ごす王夙(オウシュク)。しかしまだ父の生存を明かすことができず、妹への隠し事に後ろめたさを感じていた。「阿嫵(アーウォ)…父亲大人が…」「父亲?…どうかした?」「…いや、幼い頃に父亲に嘘を見破られると酷く叱られた」王夙はこの世には偽善が多く、正直な人間になるのは難しいとごまかした。すると王儇は兄の嘘によって小皇子・馬静(バセイ)が救われ、父も兄を責めたりしないと安心させる。「もし父亲が生きていても許せるか?」「…だって家族だもの」@みつお一方、豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)は早速、″楝羽(レンウ)山の変″の真相を探り始めた。唐競(トウケイ)が聞き込みしたところ、禁衛軍の将校たちは皇太后に狩り場へ差し向けられたと証言したという。「しかし到着が早すぎます、事前に計画を練っていたのでしょう」蕭綦は確かに皇太后も自分の死を望んでいたと納得したが、それにしても我が子を死地に行かせるとは不可解だ。恐らく黒幕は別にいるのだろう。「調査を続けてくれ」慈安(ジアン)寺で隠棲している王藺(オウリン)は青雲(セイウン)から報告を聞いていた。粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)に動きはなく、夫人も豫章王府を訪ねていないという。恐らく懐恩は自分の心を蕭綦に見抜かれやしないかと恐れているのだろう。しかし王藺は懐恩自身で考えさせることにした。すでに心が動いた懐恩はもはや引き返すことができないだろう。王儇は皇太后の病状が悪化していると知り、蕭綦に見舞いへ行くと伝えた。「私も一緒に行くべきか?」「いいえ、姑姑(グォグォ)の心に波風を立てたくないの…」蕭綦も阿嫵が叔母に会いに行くことに反対はしなかった。「…それからもう1人、会う人がいるの」蘇錦児(ソキンジ)は王儇との再会を恐れ、眠れない日々が続いた。そしてついにその朝、侍女が豫章王妃の来訪を知らせる。ガーン!( ꒪ω꒪)<通してちょうだい…錦児はどうせ対峙するなら早い方が良いと覚悟を決めた。蘇錦児が大きなお腹を突き出して正殿に現れた。確かにこの半年で何もかもが変わったが、王儇は最も変わったのが錦児だという。錦児は平然と姉妹の情を忘れてはいないと言いのけた。そこで王儇は人払いし、賀蘭箴(ガランシン)が全て暴露したと教える。「私を害そうとした理由を聞かせてちょうだい」すると錦児は幼い頃から抱いてきてわだかまりをぶちまけた。「王妃は生まれながら高貴な王氏の娘でした…″姉妹″という言葉は私への褒美に過ぎない 私は常にそばにいましたが、あなたは雲の上の存在だった 欲しいものは手に入れ、飽きれば捨てる…私には夢のまた夢でした 本気で姉妹だと言うなら私の心に気づいたはずです」王儇は始めて錦児の本音を知り、実は欲に溺れた哀れな人間だと蔑んだ。しかし錦児は今や皇帝の寵姫となり、王儇にも劣らないという。王儇は大きなため息を漏らし、錦児に歩み寄った。「この瞬間からあなたと私は赤の他人よ… これで一番身近だった妹妹が冷酷になってしまったと悩まなくていい ひとつ言っておくわ、今度、悪意を向けられたら私だって容赦しない、せいぜい身を慎むことね」皇帝・馬子澹(バシタン)は阿嫵が錦繍(キンシュウ)宮を訪ねたと聞いた。そこで急いで後宮へ向かったが、ちょうど回廊で阿嫵と出くわす。「余を避けているのか?」「…陛下はご多忙でしょう、これで失礼します」すると子澹は全て阿嫵のためだったと訴えた。「己の人生すら汚した余にどうせよと?」「…名君におなりください」一方、恩赦で自由になった胡瑶(コヨウ)は旅の途中で立ち寄った茶屋にいた。そこで思いがけず豫章王の噂話を耳にする。「豫章王は立派な英雄だな~忽蘭(クラン)から王妃を救って帰京したって言うんだから~」( ゚д゚)<何だってぇぇぇぇ~!皇太后の永安宮は閑散としていた。王儇はようやく桂(ケイ)女官を見つけ、新帝に変わってから皇太后が冷遇されていると知る。皇太后は正常な時間が少なくなり、病状は悪化の一途をたどっていた。先帝の崩御から泣き続けたせいで目も衰え、太医は3ヶ月以内に失明すると診断したという。皇太后は阿嫵の顔がよく見えず、手を伸ばして頬に触れた。「阿嫵…阿嫵なのね?(はっ)こんな姿を見せたくないわ、髪をとかして…」桂女官は急いで櫛を出したが、王儇が代わりに自ら叔母の髪を梳くことにした。「夢のようだわ…私に会いに来て髪までとかしてくれるなんて…」皇太后は皇帝の妻としての孤独から姪を害しかけたことを悔やみ、今なら自分が間違っていたと分かるという。「姑姑…」「私をまた姑姑と呼んでくれるのね…ゥッ…」王儇はかつての威厳を失い、一回り小さくなった叔母を抱きしめた。そこで孫である馬静が元気だと報告する。皇太后は暗闇で一筋の光を見つけ出したように空を仰いで高笑いすると、阿嫵の胸の中に顔を埋めた。胡瑶は一目散に皇都へ戻り、豫章王府へ駆けつけた。ようやく再会を果たした蕭綦と胡瑶、実は胡瑶は大王を馬に乗せたあと意識を失い、目覚めたら宮殿にいた。聞けば帰京の途にいた現皇帝の安平王に助けられたという。そこで胡瑶は皇帝に寧朔軍の無実を訴えたが、何を言っても取り合ってもらえなかった。それ以来、兄や兵士たちの首を取り返して埋葬しようと考えるも機会は訪れなかったという。「胡光烈(ココウレツ)の命は私の命と引き換えになったのか…私が殺した」蕭綦は谷で何があったのかを知り、自分に従って狩り場に来た兵士や援軍の兵士たちも巻き込んでしまったと後悔した。しかし胡瑶は兄が大王のために死ぬのは名誉だと言っていたと伝える。もちろん兄だけではなく、寧朔軍の兵士も同じだろう。憤懣やる方ない蕭綦は兄弟の死をあいまいに終わらせないと誓い、胡瑶も兄たちの潔白を証明して欲しいと哀願した。王儇は乱世がどういうものか、身をもって知った。父は王家の家訓の1つ目にある″母儀天下″を恥だと切り捨てたが、今になってようやくその意味を理解する。「″母儀天下″とは″女を重んじよ″という意味ではない、″一国の母になれ″ということなのね… 王氏の女は皇后となり馬氏皇帝を補佐する、父亲は賢かったのに死ぬまで気づけなかった つまり国や民を思いやる、それが王氏の理念なのよ」徐女官は王妃の話に感銘したが、この戦乱の世で母儀天下を築くことはできないという。しかし王儇は皇族と王氏の血が流れる自分が豫章王の妻となり、皇族と寒門どちらの使命も果たさねばならないと気づいた。「自身の天命をしっかりと受け入れるわ」翌朝、突然、蕭綦が側近たちを連れて登朝した。礼儀を無視して帯剣している蕭綦たちに騒然とする朝堂、すると蕭綦は楝羽山にて無念の死を遂げた兵士らの潔白を認めて欲しいと嘆願する。子澹は朝廷が豫章王を免罪したなら兵士も潔白だと答え、丞相に慰霊を行うよう命じた。しかし蕭綦は皇帝自ら祭祀に臨んで欲しいと訴える。皇帝の祭祀は天地と国のためにのみに行うもの、子澹は自分を脅迫するのかと苛立ちを隠せなかった。「…寧朔軍は生き残る道さえ与えられず、死に追いやられました 我々、平民は血を流し、国境を守って来た! ゆえに士族…金持ちどもが皇都で憂いもなく繁栄を享受できたのだ! 我々は剣を血で染めながら命懸けで戦い、急死に一生を得て来た まさか敵の剣からかろうじて守った命を味方の手によって奪われるとは思わなかった 陛下…今日ここでお返事をいただけないなら、蕭綦、納得ができません! いいえ、私だけではない、寧朔軍の兵士もこの国の民も承知せぬでしょうな…」豫章王の上奏はまるで宣戦布告のように聞こえた。静まり返る朝堂、その時、宋懐恩が突然、ひざまずいて嘆願する。「陛下に上奏いたします!皇帝自ら慰霊を!」つづく(  ̄꒳ ̄)錦児が正論だった件w地味だけど良い回でしたね〜(←誰?w
2022.04.08
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上阳赋 The Rebel Princess第61話「駆け引き」豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)の入京を何とか阻止したい朝廷。そこで粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)を説得に向かわせたが、あえなく失敗した。朝廷は結局、自分たちが軟禁した皇帝・馬子澹(バシタン)を頼らざるを得なくなり、激しい雨の中で嘆願を続けるに至る。「陛下…恐れながら大臣たちは2刻もひざまずいたままです」侍女・凌春(リョウシュン)は見かねて皇帝に報告、すると子澹はようやく重い腰を上げて回廊へ出た。「着替えてこい、半刻後に太極殿で話をしよう」丞相・温宗慎(オンシュウシン)はもはや蕭綦率いる寧朔(ネイサク)軍の入京は防ぎようがないと上奏した。そこであえて皇帝が入京を認め、互いの面目を保てば蕭綦も勝手な行動ができなくなるという。子澹は自分たちが譲歩して入京を許すことにしたが、反逆罪についてはそのままにした。「奴に分からせる、無実かどうかは調べの結果しだいだとな…」その夜、宋懐恩の不安をよそに蕭玉岫(ショウギョクシュウ)は大王と王妃の帰京を心待ちにしていた。「見て!明日、大王と王妃に会う時にこれを着るつもりなの! 大王とあなたが肩を並べて朝廷に立つ、これで士族も見下せなくなるわ~」「つまり…大王がいなければ寒門出身を守れないと?」「もちろんよ~大王は寒門出身で初めての王だもの、寒門の首領だわ」すると懐恩は今や豫章王の部下ではないと憤慨した。″楝羽(レンウ)山の変″で豫章王が死んだと知り、いよいよ自分が取って代わろうと心を決めた途端、実は大王が生きて帰って来るという。玉岫は夫の思わぬ言葉に困惑し、大王にとって懐恩はなくてはならない人だと訴えた。翌朝、温宗慎は念のため皇帝に蕭綦の出迎えに行くのか確認した。すると子澹はなぜ皇帝が反逆者を出迎えるのかと烈火の如く怒り出し、温宗慎は戸惑いを隠せない。「誠に僭越ながら、陛下は王儇(オウケン)を忘れられず蕭綦を…」「なら自分はどうなのだ?」「陛下、私は太后を見舞いに行っただけです、他意はございません」すると子澹は丞相の心が分かると言った。「深い情があったからこそ未練が断ち切れぬ…出迎えの件はもう言うな、江夏王に行かせよ」蕭綦と寧朔軍がついに皇都に到着した。出迎えを任された王夙(オウシュク)は城門を飛び出し、愛しい妹と抱き合って再会を喜ぶ。「哥哥(グァグァ)、静(セイ)児はどう?」「心配ない、きちんと面倒を見ているよ」すると王夙はこれから詔書を読むが、自分の責務のため容赦して欲しいと断った。兄が詔書を開くのと同時にひざまずく王儇、しかし蕭綦は礼を尽くさず、王儇も立たせてしまう。王夙は呆然としていたが、その時、蕭綦がいきなり詔書を取り上げ、自ら読み上げ始めた。「…″楝羽山の変″は未解決であるが、蕭綦は3代の皇帝に仕え、戦場で功も立てた しばし反逆の罪を免じ、皇都の屋敷にとどまることを許す ただし真相が明らかになるまで地位は回復せず、朝廷への出入りも禁ず…」蕭綦は詔書の内容に呆れた。″楝羽山の変″から半年、これ以上、待てないからこそ自ら戻って来たという。「″楝羽山の変″は解決していない、私自身で調べます… 先帝を暗殺したのが誰なのか、私に罪を被せ、兵を害したのは誰なのか知りたい」朝廷は蕭綦が赦免だけでは納得せず、真相解明を求めていると聞いた。驚いた温宗慎たちは御花園で弓を射っている皇帝を訪ね、やはり出迎えに行くよう説得する。「陛下、蕭綦1人の怒りではない、10万の兵の怒りなのです! 怒りを鎮めなければその後はどうなるか目に見えています!」一方、王夙は阿嫵に蕭綦の説得を頼んでいた。しかし王儇はこの件をうやむやにはできないと訴え、兄が盾になってもいけないという。蕭綦は皇帝の勅命の撤回を要求、するとそこへ子澹と大臣たちがやって来た。王儇は皇帝に拝礼しようとしたが、蕭綦が腕をつかんで止めた。憤慨した衛(エイ)侯は寧朔軍にひざまずくよう命じたが、子澹が構わないという。すると温宗慎が皇帝は豫章王の復位に来たと言った。「大軍を率いて皇都にやって来たのだ、お前の要求を聞いてやろう」「要求はただひとつ、″楝羽山の変″の真相だ」「その件ならすでに調べを始めている…顧閔汶(コビンムン)、お前が担当だな?まだ動きはないのか?」顧閔汶は複雑な事件で思うように調べが進んでいないと報告、その場にひざまずいて許しを請うた。そこで子澹は杖刑を命じたが、蕭綦が止める。「例え陛下が尚書を殺しても真相は解明できず、何の意味もありません」「…では余に杖刑を、豫章王の気が済むまで止めるな」陛下!>・゚・。゚・(ノД`)人(´Д`)人(Д` )ノ・゚。 ・゚・<陛下!大臣たちは一斉にひざまずき、皇帝を鎮めようとした。皇帝と豫章王がしばし睨み合い、城門は緊張に包まれる。その時、王夙が豫章王に調べさせてはどうかと上奏した。 ←ナイスアシストw「…豫章王、お前の意見は?」すると蕭綦はようやく皇帝に拝礼した。「仰せの通りに…」宋懐恩が屋敷へ戻ると、玉岫は矢継ぎ早に大王と王妃の様子を聞いた。しかし皇帝が自ら出迎えたため、話すこともできなかったという。玉岫はならば差し入れを持って屋敷を訪ねると言ったが、懐恩は止めた。「玉岫、もう王妃の侍女ではない、そなたは粛毅伯の妻だ」「…懐恩?今の身分がどうあれ恩人を忘れてはなりません」すると懐恩は驚いた様子で、遠路はるばる来た大王と王妃を少し休ませるよう諌めた。玉岫は自分の早合点だったと気づいて安堵し、日を改めて出かけると笑う。一方、豫章王府に戻った王儇は徐(ジョ)女官、阿越(アエツ)と再会、無事を喜んだ。そこで小皇子・馬静(バセイ)がどこにいるのか聞いたが、江夏王が信頼のおける人に預けたとしか知らないという。2人はそれより蘇錦児(ソキンジ)のことが不可解だった。王妃が連れ去られたあと、お供していたはずの錦児が1人で帰京、今では貴妃になったという。王儇は賀蘭箴(ガランシン)から錦児の裏切りを聞いていたが、自分にも分からないと嘘をついた。「錦児姐姐は大王と王妃が亡くなったと嘘をつき、皇帝もそれを信じていたそうです 王妃、言わせてください、阿越は錦児姐姐を少し怪しんでいました…」阿越が本音を漏らすと、徐女官も人は変わるものだと嘆いた。寝殿に戻った蕭綦は寂しそうな姿の阿嫵を心配した。「どうかしたか?」「…時が経ち、人が変わった」「それは誰のことだ?」「多くの人よ」「私もか?」「変わったと思うの?」蕭綦は皆に変わったと言われるが、自分自身では同じだと思うという。「そなた以外の者にはどう思われても良い」すると王儇は今日の蕭綦は確かに無礼だったが、正しいことをしたと評価した。蕭綦も寧朔軍のために正義を主張した阿嫵に感謝し、豫章王よりずっと偉大だと笑う。しかし王儇はこの先も危機が待っているようで不安だった。「約束して、真相を明らかにし罪なき人は殺さないと…」その時、急に雷鳴が轟いた。翌日、王夙は豫章王府に阿嫵を訪ねた。そこで馬静を江南の顧采薇(コサイビ)に預けたと嘘をつく。もし自分のそばに置いて正体がばれたら士族が狙いかねないため、江南に残して来るのが安全だと考えたと説明した。「身分は明かしていない、一夜限りの舞姫との間に生まれた子だと伝えた」すると王儇は真実味がある嘘だとからかった。王夙は自分を疑わない妹の姿に良心が痛み、うっかり口を滑らせそうになる。「阿嫵…父亲大人が…」つづく( ̄▽ ̄;)ひげだん、怖かった~確かに変わってしまった気がする
2022.04.08
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上阳赋 The Rebel Princess第60話「大王と粛毅伯」蕭綦(ショウキ)と王儇(オウケン)は民たちを引き連れ、寧朔(ネイサク)へ到着した。城門にいた牟連(ホウレン)は豫章(ヨショウ)王と王妃だと気づいて出迎えようとしたが、劉(リュウ)将軍が現れ阻止する。「反逆者を捕らえよ!」驚いた蕭綦は城楼に向かって濡れ衣を着せられたと釈明し、後ろに控える大成の民を助けて欲しいと訴えた。しかし運悪く背後から忽蘭(クラン)の大軍がやって来る。劉将軍は豫章王が他民族まで利用し謀反を企てるつもりだと非難、勝手に開門しないよう牟連を拘束してしまう。「門を開けた者は軍法にのっとり処分する!」蕭綦たちは城内に入れず、後方から敵軍が今にも襲い掛かろうとしていた。「みんな落ち着いて!後ろへ!」王儇は女子供たちを門の前に集め、蕭綦は男たちと共に戦いを挑む。しかし多勢に無勢、蕭綦たちはじりじりと追い詰められた。その時、城楼から一斉に忽蘭兵めがけて矢が放たれる。すると固く閉ざされていた城門が開き、寧朔軍が盾となって大王と民たちを守った。「大王!来るのが遅くなり申し訳ございません!」蕭綦は牟連たちの忠誠心に感激し、必ずや無実の罪で死んだ兵士たちの屈辱を晴らし、正義を取り戻すと誓うのだった。蕭綦は人質の賀蘭拓(ガランタク)を解放することで忽蘭軍を撤退させた。すると城内で捕らわれの身となった劉将軍が引っ立てられる。「劉将軍は朝廷が派遣した者、城門を開けようともせず、牟将軍を捕らえたゆえ制圧しました」しかし蕭綦は皆が心を一つにしてこそ寧朔軍の強さがあると話し、劉将軍を解放して部下の無礼を丁重に詫びた。「この話は終わりだ、2度と蒸し返してはならない」劉将軍は寛大な豫章王に敬服し、おとなしく従った。蕭綦と王儇は思い出深い寧朔で一夜を過ごした。しかし寧朔軍の違背はすぐ皇都に伝わるはず、朝廷は黙っていないだろう。蕭綦は真実を明らかにするために皇都へ行くと決意したが、危険だらけの旅になるため王儇を連れて行くわけにいかなかった。「阿嫵(アーウォ)、君は寧朔に置いていく」「私たちは多くの試練を共に乗り越えてきた、あなたは私の最も大切な人よ…もう離れたくない」王儇は一緒に行きたいと懇願、すると蕭綦も覚悟を決めて生死を共にしようと約束した。皇都に豫章王の生存と王妃奪還の知らせが舞い込んだ。にわかに浮き足立つ宮中、一方、身を潜める王藺(オウリン)も王夙(オウシュク)から阿嫵が救出されたと聞いていた。さすがは強運の持ち主だと笑顔を見せる王藺、しかし蕭綦もやはり凡人ではなかったらしい。「気を揉んでいるのは私だけではないだろう 皆が気づいている、楝羽(レンウ)山の変は蕭綦を陥れるために仕組まれたことだと… 蕭綦が死ねば皇帝殺しの罪をなすりつけられたが神が生かした、この件はまだ終わらぬぞ」…大成は朝廷も国全体も混乱に陥っていた皇帝は軟禁され、軍は混戦し、民は貧困を強いられている反逆者の汚名を着せられた蕭綦は反乱を鎮めるため、寧朔軍を率いて南下したこれから自分たちに何が待ち受けているのか想像もできずに…寧朔軍が鎮圧しながら南下する中で王儇は離散した家族の悲しみが国中に広がっていると実感した。老人や子供たちは飢えて死に、母親は食糧を得るために自らを売らねばならない。前日まで談笑していた兵士たちが翌日には命を落としていた。しかし国中が塗炭の苦しみを味わっていても、朝廷の士族たちは権力争いに勤しんでいる。そんな朝廷への不満からか、民たちは平定に尽力する寧朔軍に好意的だった。朝廷は蕭綦の報復を恐れた。このままでは腹の虫がおさまらず、蕭綦が本当に反乱を起こすかもしれない。そこで丞相・温宗慎(オンシュウシン)は皇帝に反逆の罪を赦免してもらう詔書を頼もうと決めた。「反乱軍を一掃した功績に報いれば、きっと状況は好転するはず…」しかし子澹は急に手のひらを返して自分を頼ってきた温丞相に冷たかった。「恐れるな、お前なら解決できる…1つだけ言おう、あいつはこのまま元の場所に戻る」蘇錦児(ソキンジ)は王儇がまだ生きていたことに激しく動揺した。子澹との共寝が叶い、幸運にも身ごもることができたが、子澹の心はまた王儇へ向いてしまう。侍女の話では豫章王たちはすでに川を越えていた。「豫章王妃は?」「ご一緒だそうです」錦児は最も恐れている人間に会わねばならないと思うと軽いめまいに襲われた。錦児は差し入れを持って式乾殿を訪ねた。軟禁されても臣下を責めることなく政務に励む子澹、そんな皇帝を見た錦児はあまりに哀れだと嘆く。しかし子澹は朝廷が自分を″無能な皇帝″と思うのは勝手だが、実際に無能であってはならないと言った。「陛下はひどいことをされても文句を言いませんが、ご自身への好意もお分かりになりません」「…分かっている、そなたは身重だ、しっかり休め」子澹は自分の長子が無事に生まれて欲しいと気づかった。温宗慎が皇帝の協力を得られず、朝廷は誰が蕭綦の首に鈴をつけるかで紛糾した。今のところ豫章王と対抗できるのは20万の兵を持つ粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)しかいない。しかし大王を知り尽くしている懐恩はその決意を覆すことなどできないと分かっていた。「よく考えてくれ、今のそなたは大成の粛毅伯か、それとも蕭綦の部下か…」温宗慎は懐恩に揺さぶりをかけた。蕭綦たち寧朔軍は皇都を目前にして宋懐恩の軍に足止めされた。「地方の軍は許可がなければ入れません」「懐恩、私を迎えに来たのか?それとも止めに来たのか?」「説得に来ました」懐恩は朝廷の命で来たと言い訳し、寧朔に戻ることが最善だと助言する。「蕭綦…命を受けよ、背けば死罪だ!」「…皇都では大勢の者が私の死を望んでいる、今度は誰が殺しに来るのか…お前か?粛毅伯」「まさか、私は命令されただけです、豫章王」「豫章王?…そんな者はもう存在しない 私はもはや皇帝殺しの反逆者に過ぎぬ、反逆者に命令など下すわけがない」蕭綦は懐恩の裏切りに深く失望し、朝廷に戻れと言った。「こう伝えろ、私が戻ったとな…」すると懐恩は朝廷からの書状を捨て、黙って引き返して行った。つづく(  ̄꒳ ̄)あれ?懐妊したわ〜のシーンあった?見逃してる?
2022.04.02
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上阳赋 The Rebel Princess第59話「解放」王儇(オウケン)は賀蘭箴(ガランシン)との婚姻を承諾する見返りに捕虜の解放を約束させた。知らせを聞いた龐癸(ホウキ)はいつ動くのか指示を求めたが、王妃は見送ることができないという。一方、大成は激しい雷雨に見舞われていた。皇帝陵の山には雷が落ち、土砂崩れで石が転がり落ちて皇帝陵が崩れてしまう。翌朝、急報を聞いた皇帝・馬子澹(バシタン)は驚愕したが、それでも出征の決意は変わらなかった。江夏王・王夙(オウシュク)は朝廷で改めて出兵の反対を表明した。そこで太祖皇帝の遺言に″後世の皇帝が国事で過ちを犯す場合は士族らの連名で皇帝を諌めることができる″とあったと入れ知恵する。温宗慎(オンシュウシン)はもはや皇帝を止める方法はこれしかないと覚悟し、万が一の時は自分が責任を負うと言った。すかさず王夙は自分も一緒だと追従、重臣たちも運命を共にすると決める。次に王夙は宋快恩(ソウカイオン)を慈安(ジアン)寺の家に招いた。懐恩も皇帝の無謀な決断が正しいと思えなかったが、かと言って豫章(ヨショウ)王妃を放っておけないという。すると王夙はすでに護衛を忽蘭(クラン)に派遣して調査中だと教えた。実は懐恩も王妃の消息を知って寧朔(ネイサク)に文を送っておいたという。「王妃は人望の厚い方、寧朔軍は黙っていないでしょう!」王夙はその忠誠心に敬服し、懐恩こそ乱世に終止符を打つ英雄になると持ち上げた。しかし懐恩はそれが叶わぬ夢だと知っている。「ありがたいお言葉ですが恥ずかしい限りです…たとえ能力があっても私は寒門の出身ですから」「…だから何だ?」その声は王藺(オウリン)だった。王藺は生きていた。驚愕した懐恩はしばし立ちすくんだが、ふと我に返って拝礼する。王夙は皇太后の密命が届いた時、懐恩を助けたのは父だと教えた。「父は″粛毅(シュクキ)伯は偉大な人物であり国の柱、汚い連中に殺させてはならぬ″と仰った」すると王夙は父と懐恩を残して出て行った。王藺は懐恩の弱点が寒門出身だと指摘した。蕭綦(ショウキ)は功績を買われて王に冊封されたが、結局、悲惨な末路を迎えている。「蕭綦の二の舞は御免であろう?」そこで王藺は自分と手を組むなら養子に迎えると持ちかけた。士族は衰退したと言ってもその影響力は今も大きい。王藺はもし懐恩が事を成し遂げれば王氏の族譜に載り、いずれ士族の頭になれると懐柔した。蘇錦児(ソキンジ)は子澹の信頼を得るため、一緒に忽蘭へ行くと申し出た。子澹は了承したが、翌朝、書房の前に大臣たちが押し寄せる。「謀反でも起こすつもりか?」「陛下…今日は宮殿を出られませぬ」先頭に立った温丞相は太祖皇帝の位牌を示し、宗廟に残された遺言を盾に皇帝を諌めた。そこで皇帝が考えを変えないなら反省するまで式乾(シキケン)殿に留まるよう迫り、国事なら大臣たちで話し合って進めるという。「陛下、お戻りください」忽蘭では賀蘭箴と王儇の婚礼の儀が始まろうとしていた。アリマとウリモクは賀蘭箴の令牌で捕虜を解放したが、龐癸は王妃を探すことにする。「小禾(ショウカ)と沁之(シンシ)を頼む」その頃、婚礼衣装に身を包んだ王儇は侍女に案内され、ある天幕に入った。天幕には誰もいなかったが、突然、天井から網が落ちてくる。すると王倩(オウセン)が現れ、捕らわれの身となった王儇に短剣をちらつかせた。「今日はひとつずつ貸しを返してもらうわ」王倩は高貴な王儇に土下座を強要し優越感に浸った。しかし背中まで踏みつけられた王儇はさすがに我慢できず、強引に起き上がってしまう。身重の王倩はバランスを崩し転倒、腹を押さえて苦しみ出した。その隙に龐癸が現れ王妃を解放したが、兵士たちが駆けつけ2人は捕まってしまう。一方、賀蘭箴は花嫁の天幕にいた。花嫁衣裳の王儇に感激もひとしおの賀蘭箴、しかし面紗をめくり上げてみると花嫁が別人だと知る。ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ<誰だ?!( ˙꒳˙ )<長澤ま◯みです花嫁はカル族の王女・ミアだった。激怒した賀蘭箴は花嫁を置いて飛び出し、ちょうど父の天幕の前にいた賀蘭拓(ガランタク)を見つけてつかみかかる。「知っていたのか?」「すまない…王命ゆえにどうしようもなかった」すると賀蘭箴は兄の罠だと知らず、父の元へ急いだ。賀蘭箴は足止めする衛兵をなぎ倒し、父の天幕に入った。すると父が腹を突き刺され死んでいる。「父王?…父王?」そこへ賀蘭拓が現れ、賀蘭箴が王を殺したと叫んで拘束した。忽耶奇(コツヤキ)は主を救おうとするも、連行された賀蘭箴の目の前で殺されてしまう。全ては賀蘭拓の計略だった。賀蘭箴は無実を訴えるも、怒り心頭で父の天幕に入る王子の姿を招待客たちが目撃している。誰もが賀蘭箴の仕業だと信じて疑わず、賀蘭拓は正義を振りかざして反逆者を火刑にすると命じた。賀蘭箴は両手を縛られ、吊るされた。そこへ王儇と龐癸が連行される。賀蘭箴は王儇だけは見逃すよう哀願したが、賀蘭拓は最後に真実を伝えることにした。「六盤を滅ぼしたのは蕭綦ではない…俺だ、つまりお前の母と妹妹は俺の手で死んだのさ、ふっ」すると賀蘭拓は王儇に剣を差し出し、賀蘭箴を殺せば助けてやる言った。「俺を殺したかったはずだ…その機会が訪れたな、俺を殺して生き延びるといい」賀蘭箴は自分が蕭綦を殺したと明かし、王儇がためらうことなく自分を殺せるよう仕向けた。王儇がついに剣を振り上げた。しかし賀蘭箴を拘束していた縄を切って解放する。慌てた兵士たちは賀蘭箴と王儇めがけて突進し、賀蘭箴が身を挺して王儇を守った。「逃げろ!」賀蘭箴は約束通り王儇を守り、背中を突き刺され死んでしまう。その時、突然、壇上に巨大な戦鼓が投げ込まれ、兵士たちをなぎ倒した。呆気に取られる賀蘭拓、そこへ男が現れ、賀蘭拓の首に剣を突きつける。「動くなぁぁぁ!」王儇を救ったのは死んだと思っていた蕭綦だった。馬子澹が式乾殿に軟禁されて数日が経った。暉(キ)州の危機の時も二皇子の反乱の時も阿嫵(アブ)を救えず、子澹は今回も何もできずにいる。一方、大臣たちは今や最も重要な将軍となった宋懐恩を引きれようと必死になっていた。王藺は懐恩が蕭綦とは違い、勇敢そうに見えても欲があると見抜いている。「この手の人間は利用されやすい…」王夙は馬静(バセイ)の身分を明かすか聞いたが、王藺はまだ早いと止めた。解放された捕虜たちは豫章王と合流、王儇を救うため引き返していた。小禾は龐癸を解放して王妃と一緒に大王の元へ駆けつけ、賀蘭拓を人質に皆が揃って無事に忽蘭から脱出する。つづく(  ̄꒳ ̄)ヒゲだーわん、ヒゲだんいや一瞬、誰だか分からなかったわw
2022.03.31
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上阳赋 The Rebel Princess第58話「王妃の消息」王儇(オウケン)はその夜、偶然にも中原人の捕虜たちの牢屋にいる龐癸(ホウキ)と再会した。すると驚いたことに捕虜の中に小禾(ショウカ)と沁之(シンシ)兄妹がいる。実は賀蘭箴(ガランシン)が兄妹を人質として連れ去り、助けようとした蕭綦(ショウキ)たちが総攻撃に遭っていた。「小禾、大王を見た?!」「はい、しかし私と妹を助ける前に…(はっ!)」小禾は思わず口ごもったが、まだ幼い沁之が素直に伝えてしまう。「あの時、大王叔叔は崖でたくさんの人に囲まれていたの…」仕方なく小禾は賀蘭箴が吊り橋を切り、蕭綦たちは崖のきわに追い込まれて逃げ場を失ったと教えた。結局、兄妹は賀蘭箴に連行され、大王は殺されたという。驚いた捕虜たちは一斉にひざまずき、お悔やみを申し上げた。「立って…」王儇は絞り出すように声を出したが、あまりの衝撃に耐えられず、その場から走り去ってしまう。一方、皇都に戻った王藺(オウリン)は王夙(オウシュク)の手筈で密かに慈安(ジアン)寺に身を隠した。王安(オウアン)は死んだと思っていた主と感動の再会を果たしたが、まさかこんな狭い部屋に閉じ込められているとは思いもせず、涙に暮れる。「人の心には天下があり、垣根には縛られぬ…」王藺はここで小皇子・馬静(バセイ)を育てると決めた。その時、門が開く音がする。王夙は階下へ様子を見に行くと、静慈師太が弟子を連れて掃除に来ていた。「ここは生前、長公主が丹念に拭き掃除をされた部屋でございます 私もその遺志を継ぎ、拭き掃除に参りました」「お気持ちは感謝しますが静かに暮らしたいのです、誰にも邪魔されたくありません 掃除なら私がしましょう」静慈師太は孝行な江夏王に任せると言って引き上げたが、上階に誰かいると薄々、勘づいていた。皇帝・馬子澹(バシタン)は朝議に復帰したが上の空だった。すると丞相・温宗慎(オンシュウシン)が東方と北方の民が反乱を起こし、西北でも動きがあると報告、兵が足りないので増援部隊を送るよう上奏する。粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)はそれとなく江夏王の顔を見たが、王夙は首を小さく横に振った。結局、誰も名乗りを上げず、温宗慎は仕方なく衛(エイ)氏の息子・勘(カン)を推薦する。皇帝はまるで興味がなさそうに了承すると、面倒臭そうに退朝した。宋懐恩は王夙になぜ止めたのか聞いた。すると王夙は勇敢に戦った豫章王の末路を見れば分かるという。「待て、今は待つのだ」実は推薦された衛氏の息子なら王夙もよく知っていた。確かに兵書を熟読しているかもしれないが、机上の空論で勝てるほど実践は甘くない。恐らく代わりに派遣できる者がおらず朝廷は慌てふためくはずだ。「手を上げるのはその時に…」一方、衛侯は丞相を呼び止めていた。実は豫章王亡き今、宋懐恩に人気が集まり、当時の蕭綦と同等の威信を持っているようだという。しかし蕭綦と違って宋懐恩は役人との交流を好み、屋敷も豪華に飾り立てていた。衛侯は丞相も見に行ってはどうかと勧めたが、温宗慎は見たところでどうにもならないという。「おいおい考えるとしよう」貴妃に封じられた蘇錦児(ソキンジ)は皇帝唯一の妃だったが、子澹は一度も錦繍宮に現れなかった。「陛下がお越しにならないなら、私が行くしかないわね…」痺れを切らした錦児は差し入れを持って式乾殿を訪ねた。子澹はまだ政務中だったが、いずれにせよ貴妃にも蓮の実の吸い物にも興味はない。そこで錦児は子澹のそばへ行く口実に少しばかり墨を擦り、早々に帰ることにした。すると子澹は錦児の残り香に気づいてふと引き止める。「(クンクン…)そなたの身体から蘇合香(ソゴウコウ)の香りがする…」「(ニヤリ…)私は王妃と共に育って来ました、王妃の好みに影響されて…」錦児はかつて謝宛如(シャエンジョ)の企みで使った方法を利用し、再び子澹の寝屋に潜り込むことに成功した。王儇は愛する蕭綦を失い途方に暮れた。まさかその頃、蕭綦が自分を探しながらライオ◯キングになっているとも知らず…。翌朝、凌春(リョウシュン)が嬉しそうに式乾殿に駆けつけた。「陛下!豫章王妃は生きています!」実は豫章王を捜索中の兵から急報が舞い込み、賀蘭箴が忽蘭(クラン)に連れて行った女人が王妃にうり二つで、豫章王妃に間違いないと噂になっているという。思わず寝所の帳から飛び出した子澹だったが、ふと錦児の話と違うことに気づいた。錦児は咄嗟に崖から身を投げながらも王妃が助かったと喜び、何にせよ良い知らせだと満面の笑みを浮かべる。「…ああ、その通りだ」すると子澹は急に冷たくなり、そのまま出て行ってしまう。王藺も王夙から阿嫵の消息を聞いていた。子澹が大成をくまなく探しても見つからなかったはず、どうやら阿嫵が自死したというのは錦児の嘘だったのだろう。「錦児は幼い頃より家族同然ながら、阿嫵を救う手をお前と相談することもなく子澹を訪ねた 計略があったのだろう…」「…蘇貴妃を甘く見ていました」錦児の裏切りに唖然とする王夙、しかし宋懐恩の方は自分たちの役に立ちそうだと報告した。喜んだ王藺は懐恩が望むものを満足いくまで与えるよう助言し、懐恩が豫章王を超えたと考えるようになれば蕭綦への依存から脱却できるという。すると王安がやって来た。皇帝が王夙を呼んでいるという。そこで王藺は子澹が阿嫵を救出するために忽蘭へ行けと命じても応じるなと助言した。阿嫵を連れ戻すためなら子澹はどんな犠牲も払うはず、そうなれば士族の不満が爆発する。王藺はその責任を子澹1人に負わせ、この混乱を利用して王氏を再興しようと企んだ。何より阿嫵には反逆者の妻という罪名があり帰京しても危険なだけ、賀蘭箴が阿嫵に心を寄せているなら今はかえって忽蘭にいる方が安全だという。参内した王夙は回廊で偶然、蘇貴妃と出くわした。王夙は貴妃に拝礼しようとしたが、それより先に錦児が丁重に挨拶する。「貴妃に封じられたのですから一礼は結構です」「…恐れ多いことです」すると錦児は気まずそうに去って行った。王夙は朝堂に入る前に宋懐恩を呼び止め、これから朝廷が大騒ぎになるが、自分に従って欲しいと釘を刺した。「一体、何事ですか?」「…屋敷で宴を開く、来てくれればその時に分かる」すると王夙の言った通り朝廷は紛糾した。子澹は朝議で上陽郡主が忽蘭で生きていると報告、江夏王を交渉に行かせ、拒まれば戦うと宣言する。驚いた大臣たちは猛反発したが、子澹は阿嫵のためなら国などどうでも良いと言い放った。「江夏王、そなたはどう考える?」「…陛下、妹1人のために国を危険にさらすことはできません! 朝廷では兄妹愛よりも国の利益が重要です!」「江夏王っ!…余を失望させたな、妹を見捨てるとは兄の風上にも置けぬ! 粛毅(シュクキ)伯…お前の妻と上陽郡主は姉妹同然、お前も豫章王に可愛がられた部下だ 上陽郡主を助けるか?」宋懐恩はすぐにでも助けに行きたい気持ちを必死に抑え、江夏王に追従した。「上陽郡主と共に戦い、人となりをよく存じております …万が一、陛下の意向を知れば郡主は同意しないはず、どうかご再考くださいますよう」大方の予想を裏切り王夙と懐恩まで戦に反対した。孤立無縁となった子澹は激高し、自分独りでも阿嫵を救いに行くと決める。「すでに心を決めた…退朝せよ」陛下!なりませぬ!ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<陛下!三思!侍女から報告を聞いた錦児は恐れていた事態になり動揺した。大臣たちは皇帝の書房の前で嘆願を始め、朝廷は大混乱だという。「陛下、謁見が許されぬなら大臣らは死んでも動かぬと…」「伝えて来い、3日後に出征する、死にたいなら望み通りにしてやるとな」すると子澹は侍従に剣を投げた。王藺は予想通りの展開に高笑いした。しかしあの温宗慎がいるかぎり戦は起こらないだろう。子澹が騒げば騒ぐほど無能さと幼稚さが露呈し、人心を失うだけだ。すると王藺は王夙に懐恩を呼んでくるよう命じた。その夜、王儇が珍しく賀蘭箴の天幕を訪ねた。「民を大成に送り返してくれたら要求をのむわ」「婚姻してくれるか」「ええ…民を解放してくれるなら婚姻する」喜んだ賀蘭箴は思わず王儇を抱きしめた。王儇は早速、牢屋を訪ね、賀蘭箴が解放を約束したと教えた。そこで龐癸に近いうちに民たちと発つよう告げる。つづく
2022.03.25
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上阳赋 The Rebel Princess第57話「貴妃への転機」王儇(オウケン)の暗殺に失敗した王倩(オウセン)。賀蘭拓(ガランタク)は仕事の邪魔をするなと折檻したが、王倩は自分で王儇を殺して大成での恨みを晴らしたいという。しかし賀蘭拓は婚礼の儀まで手を出すなと命じた。「俺の仕事が終わったら煮るなり焼くなり好きにしろ!」一方、小皇子・馬静(バセイ)は危うく連れ去られそうになったところを王藺(オウリン)に救われた。翌朝、王夙(オウシュク)は父から隠し事をしたと責められたが、実は阿嫵(アーウォ)から身分を隠して守るよう伝言があったと釈明する。王藺は顧采微(コサイビ)を襲ったのが皇太后の手下だったと教え、小皇子は自分のそばに置くのが最も安全だと言った。その意味を悟った王夙は小皇子が権力争いに巻き込まれるのを阿嫵は望まないと反対したが、王藺は皇子に生まれた以上、巻き込まれるのも宿命だという。王夙は采微が怪我をしたと知り、急いで顧家を訪ねた。「迷惑をかけてしまったな、すまない」しかし采微はむしろ預かったのが王夙の子供ではなかったことに安堵している。王夙は嘘をついたと認めて事情を明かそうと思ったが、采微が遮った。「あの子が誰であろうと気にしません、このまま知らぬふりを通します、理由があるのでしょう?」「ああ、助かるよ」すると王夙は明日、皇都に戻ると伝え、一緒に行かないかと誘った。采微は何の約束もなく心許ないと感じ、皇都に行っても今の顧氏では役に立てないと言葉を濁す。そこで王夙は約束の品として自分の玉佩を贈り、采微も自ら刺繍した手巾を渡した。王儇は賀蘭拓の天幕から出て来た王倩を呼び止めた。すると王倩はさそりのことなら自分ではなく術士のせいだと言い逃れ、ここで贅沢な暮らしができるのも王儇のおかげだと心にもないことを言う。そんな歯が浮くよう台詞を王儇が信じるはずもなく、相変わらず嘘つきで性格が悪くなったと呆れた。しかし王倩は王儇が夫も両親も失い、侍女にまで裏切られたのは報いだと言い放って行ってしまう。皇帝・馬子澹(バシタン)は阿嫵の自死を知って倒れ、それから飲まず食わずとなった。心配した蘇錦児(ソキンジ)は式乾殿を訪ねたが、冷たく追い返されてしまう。しかし錦児は門前でひたすら待ち続けた。侍女・凌春(リョウシュン)は困惑したが、確かに憔悴して行く皇帝にただ手をこまねいているわけにもいかない。「陛下に薬を飲むよう説得してもらえますか?」錦児は皇帝に目通りが叶い、たとえ死を命じられても言わねばならないと切り出した。「一国の主として国のために生きてください 王妃は豫章(ヨショウ)王の妻です、もう認めてください お2人は長い時間をかけて愛を育まれました、王妃は陛下を忘れたのです 王妃を命懸けで守り天下を取っても、どれだけ尽くしても、王妃の心に陛下はいません…」「誰か!追い出してくれ!」凌春は皇帝の怒号を聞いて駆けつけた。しかし錦児は話をやめない。「陛下?!…私はしがない侍女ですが、陛下が王妃に尽くすように私も陛下に尽くして来ました 私は尽くしたいのです、陛下に哀れんで欲しいのではありません 亡き王妃もこのような陛下のお姿を見たくはないでしょう お願いです、どうか早く立ち直り、ご自身を大切に…」「…話が済んだら出ていけ」すると凌春は錦児を連れて行った。豫章王妃の死で皇帝はふさぎこみ、朝議にも顔を出さなかった。大臣たちは王妃の死を皇帝の耳に入れたのが蘇錦児だと知り、この機に罪人の侍女も始末しようと決める。すると式乾殿に鳳池(ホウチ)宮の宮女が駆けつけた。蘇錦児が投獄され、皇帝に助けて欲しいという。蘇錦児は拘束され、地下牢に連行された。牢で待っていた温宗慎(オンシュウシン)と衛(エイ)侯は豫章王妃の自死が事実かと確認、錦児が認めると処刑を命じる。しかし地下牢から出ようとしたところで皇帝がやって来た。子澹は自分の従者を勝手に殺すつもりかと激怒したが、2人は皇帝のためであり後悔はないという。「陛下、豫章王の残党を生かすわけにはいきません!」すると子澹は朝廷が錦児をどうしても殺したいなら逆に可愛がると言い放ち、その場で錦児を貴妃に封じてしまう。その頃、カルから戻って来た忽蘭(クラン)王は未だ王儇が生きていると知って憤慨した。賀蘭拓は賀蘭箴(ガランシン)が王儇に大勢の護衛をつけたため近寄れないと釈明し、婚儀の日までに方法を考えるとなだめる。一方、賀蘭箴は王儇に草原の婚礼服を届けた。心配せずとも婚礼は王儇に地位を与えるため、何も強要するつもりはないという。しかし王儇は未だ蕭綦(ショウキ)の死を信じられず、″豫章王妃″以外の称号はいらないと断った。賀蘭箴は現実を受け入れるよう説得したが、王儇はたとえ蕭綦の死が事実だとしても、婚礼服は着ないと突き返す。「帰って…」「俺には気がないようだ…少しも心が揺れないと?」「…あなたとの時間は苦痛であるだけ、永遠に消え去って欲しい」( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)ガーン…な賀蘭箴w賀蘭箴は自分の天幕に戻り、阿嫵の婚礼服を大切に飾っておいた。自分との時間が苦痛以外の何物でもないと突き放され、さすがに深く傷ついた賀蘭箴、しかしそれでも一生、阿嫵を待つと決意する。その頃、蕭綦は愛する妻を取り返すため、孤独な旅を続けていた。🦁<ナーツィゴンニャー〜♪ ←あくまでイメージw蘇錦児が目を覚ますといつの間にか寝殿にいた。すると控えて侍女が錦繍(キンシュウ)宮は保護され、誰も蘇貴妃を傷つけないと安心させる。実は牢獄で首を吊られて気を失ったあと、子澹が病を押して助けに来ていた。子澹はその場で蘇錦児を貴妃に冊封、錦繍宮を下賜したという。…子澹の心には私がいたのね!…感激した錦児は身支度もせず、少女のように裸足のまま駆け出した。子澹は今日もひとり阿嫵の絵を眺めていた。すると意識を取り戻した錦児が現れ、拝礼して助命に感謝する。「…余が落ちぶれ隠れて帰京した時、助けてもらった恩を忘れぬと言ったではないか この数年、そなたの余への想いは分かっておる」「このご恩、死ぬまで忘れません、私はこの人生を陛下のために生きています」しかし子澹は錦児が望む答えをくれなかった。「…余は誰のために生きればいいのか分からぬ」子澹が錦児を助けたのは想いが通じたからではなく、阿嫵が大切にしていた侍女だからだった。( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)ガーン…再び王夙と宋懐恩(ソウカイオン)の一行が江南から帰京した。夫の無事な姿を見て涙する蕭玉岫(ショウギョクシュウ)、一方、王夙は徐(ジョ)女官と阿越(アエツ)を連れて久しぶりに王氏の屋敷に戻る。「阿嫵が戻るまで以前の部屋を使いなさい…王安、一緒に出かけるぞ」王夙は王安を連れて母が眠る慈安(ジアン)寺を訪ねた。そこで静慈師太に母が頻繁に夢に現れるようになり、母のそばで過ごせるよう寺の近くに静かな家を探していると告げる。「手を貸してくださいませんか?」「さすがは孝行息子ですね、当然、協力しましょう」その夜、なかなか寝付けない阿嫵は幕営を散策していた。すると偶然、夫と密会しているアリマを目撃する。「アリマ?」驚いたアリマはウリモクとひざまずき、王妃に拝礼した。ウリモクはアリマの夫で、奴隷として一緒に連行されたという。王儇はウリモクが祭りでアリマの酒を飲んだ男だと思い出したが、その時、どこからともなく王儇を呼ぶ声が聞こえた。「王妃!」王儇が付近を見回すと、捕虜の牢屋に見覚えのある顔がある。「龐癸(ホウキ)?!」王儇は急いで牢屋に駆けつけた。「生きていたのね、死んだと思っていたわ…」「王妃、私は無事です!」つづく( ;∀;)ぱんだあぁぁぁぁ!
2022.03.24
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上阳赋 The Rebel Princess第56話「憎悪と流言」新帝・馬子澹(バシタン)が倒れた。知らせを聞いた大臣たちが急ぎ駆けつけたところ、ちょうど申(シン)太医が寝殿から出てくる。太医の見立てでは古傷が何らかの刺激によりぶり返したとのこと、しかし今回は問題ないという。「ただ今後は刺激を与えてはなりませぬ」そこで丞相・温宗慎(オンシュウシン)は衛兵に何があったのか聞いた。衛兵は皇帝がずっと豫章(ヨショウ)王妃と蘇錦児(ソキンギ)を探していたが、錦児が訪ねて来て間も無く倒れたと説明する。「王妃は夫のあとを追ったとか…」子澹は錦児も側仕えたちも追い出し、独り悲嘆に暮れた。まさかあの阿嫵(アーウォ)が自死するとは、豫章王を本気で慕っていたというのか。子澹は阿嫵と共に過ごした10数年が豫章王とのたった数年に負けたのかと思うとやるせなかった。阿嫵を取り戻そうと忌み嫌っていた政権争いに身を投じたが、今となっては皇帝の座に何の意味もなくなってしまう。「死んでそなたのあとを追うか…ふっ…わはははは!」一方、蕭綦(ショウキ)は阿嫵を探して楝羽(レンウ)山にやって来た。ひとまず情報集めに山間の茶屋に入ると、店主と客が噂話をしている。「″皇帝が二度変わり大成の世は傾く″、そこらの子供でも唱えているさ~」「確かに豫章王がこの世を去ってから皆の心にぽっかり穴が空いちまった まるで守護神を失ったようだ、皇家は右往左往するばかり、この先、どうなる?」その時、運悪く店に禁衛軍がやって来た。蕭綦は咄嗟に裏から脱出、兵士たちの様子をうかがう。どうやら禁衛軍は阿嫵を探しに来ていた。豫章王妃は身を投げたという噂だが、子澹は阿嫵の亡骸を見つけるまで信じられないらしい。すると兵士たちは確かにこんな美人がそばにいれば天下など必要ないと笑った。その頃、ついに徐(ジョ)女官と阿越(アエツ)が江南に到着、江夏王と再会を果たした。王夙(オウシュク)は阿嫵が馬静(バセイ)を連れて逃げたと聞いて驚愕したが、先帝と先皇后の最期の望みだったという。あれから王妃の消息は分からず、王夙の元にも何の知らせもなかった。しかし龐癸(ホウキ)が一緒なら無事だろう。王夙はともかく2人を休ませることにしたが、念のため身分を隠すよう命じた。「小皇子はここではない所で育てよう…心当たりがある」賀蘭箴(ガランシン)は王儇(オウケン)を連れ出し、高台から美しい花畑を見せた。大成から戻ったあと王儇のために作った花畑で、心を込めた贈り物だという。「…私が受け取ると思う?」「阿嫵、現実を受け入れろ、豫章王はこの世を去った 前を向け、目の前にはそなたを大切にし、生涯そなたを守る男がいる」しかし王儇は蕭綦の最期を見たのかと迫った。賀蘭箴は大成の人間がこぞって話していたとごまかしたが、それがかえって王儇に希望を持たせてしまう。「流言を聞いたのね?」「流言ではない」「自分の目で見たの?」「それは…いいや」「私を欺いたのね?確信はないのに…」賀蘭箴はともかく血生臭い朝廷から離れて草原で身体を休ませるようなだめたが、王儇は頑なだった。「花畑は気に入ったわ、山や木々も好き…でも受け取れない」その夜、王夙は顧(コ)府を訪ね、采薇(サイビ)に赤子を預かって欲しいと頼んだ。しかし子供の身分を明かせず、かつて酔った勢いで一夜を共にした舞姫が産んだと嘘をつく。采微は衝撃を受けながらも引き受けることにしたが、王夙はどうやら采微の切ない気持ちが分かっていないらしい。安堵した王夙は顧府を後にすると、その様子を密かに皇太后の配下・金全(キンゼン)が見ていた。翌朝、青雲(セイウン)は王藺(オウリン)に朝食を届けがてら、軍営で徐女官と阿越を見たと報告した。その後、江夏王が独りで顧氏の屋敷を訪ねたが、出て来た時には背負っていたはずの竹籠がなかったという。忽蘭に嫁ぎ拓妃となった王倩(オウセン)は思いがけず草原にいる王儇を見かけた。術士からサソリの毒には解毒薬がないと聞いた王倩は王儇を訪ね、旧情を深めに来たと装う。「ここの寝具は毛皮で熟睡できないかと…綿の布団を持って来ました」王儇は王倩の姿に驚きを隠せなかったが、その大きなお腹に気づいた。「懐妊して何ヶ月?」「5ヶ月です…ここには家族がいないから会えて嬉しい」殊勝な王倩に戸惑う王儇、すると王倩の侍女が王儇の寝台に布団を敷き終わり、帰って行った。金全はついに小皇子を発見、その夜、刺客と共に顧家に潜入した。采微の横ですやすや眠っている馬静、金全は采微を起こさないようそっと抱き上げたが、采微がふと目を覚ましてしまう。「誰かっ!」すると突然、王氏の護衛が現れ、金全たちを殺して馬静を救った。一方、賀蘭箴はアリマから知らせを聞いて王儇の天幕に駆けつけた。王儇は眠っていたが、サソリがその首元を歩いている。危ない所でサソリをつかんだ賀蘭箴、すると王儇が目を覚ました。「俺が来ていなければ毒に冒されていたな」すると賀蘭箴は飛び出して行った。アリマは拓妃の侍女の様子がおかしいと気づき、賀蘭箴に報告していた。「ありがとう、アリマ」するとアリマはひざまずき、かつて王妃と会ったことがあると伝える。あれは遊牧民族の祭りに豫章王と王妃が飛び入りした時のことだった。アリマはその時に豫章王を踊りに誘った女子だという。豫章王が亡くなったと噂が広まり忽蘭に侵略され、アリマは奴隷に身をやつしていた。「豫章王の最期は知っているかしら?」「聞いた話では豫章王は罠にはめられ、楝羽山で殺されたと…」しかし誰の仕業なのかまでは分からなかった。一方、賀蘭箴は賀蘭拓(ガランタク)の天幕を訪ね、報復として方術士の首を届けた。寝耳に水だった賀蘭拓は無関係だと釈明し、むしろ愛する女子ができたことを喜んでいたと訴える。「それが事実なら感謝する、疑って悪かったな… 王倩に伝えてくれ、王儇を害するものは誰でも同じ目に遭うとな」賀蘭拓は身重の王倩を引っ叩いた。王倩は夫のためにしたことだと反発、成功すれば夫の功績になったはずだという。しかし賀蘭拓は王儇に手を出すなと叱った。つづく( ๑≧ꇴ≦)アウォの衣装が可愛い!
2022.03.17
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上阳赋 The Rebel Princess第55話「懐恩の決意」新帝・馬子澹(バシタン)は即位にあたり恩赦を実施、寧朔(ネイサク)軍も赦免となった。城門では守衛たちが次々と晒し首を回収していたが、豫章(ヨショウ)王たちを見送りたいと集まった民たちが見守っている。すると城外の露店でその様子を見ていた客たちが噂話を始めた。「王妃は寧朔に行ったとか…」「忽蘭(クラン)に連れ去られたという話もあるぞ?」「反逆者の妻に転落か~」しかし店主は王妃をかばった。店主は王妃のおかげで生き延びたと話し、豫章王も戦死した兵の家族の面倒を見ていた立派な人だという。その話を農民に成り済ました蕭綦(ショウキ)が聞いていた。その頃、忽蘭では和親の障害となる豫章王妃を乗せた馬車が密かに幕営を出ていた。忽蘭王を信じて脱出を試みた王儇(オウケン)、しかし夜の林の中に独り放り出されてしまう。一方、蕭綦は寧朔軍の首を運ぶ兵士たちを追跡していた。山へ入った兵士たちは穴を掘って首を放り込みながら、豫章王妃は夫が死んだことも知らずに探し続けているだろうと笑っている。すると蕭綦が現れ、兵士たちを皆殺しにし、殉葬させた。…兄弟たちよ、お前たちが私のために受けた苦痛と屈辱を何倍にもして返す…約束しよう、この蕭綦、皆のために必ず雪辱を果たす蕭綦は松明を放り込み、燃え盛る炎に復讐を誓った。王儇は夜の林に置いてきぼりにされ、怯えながらさまよっていた。そこへ王儇の置き手紙を見た賀蘭箴(ガランシン)が迎えに来てくれる。実はこの林は猛獣だらけ、王儇は忽蘭王が初めから自分を殺すつもりだったと知り落胆した。「もう大丈夫だ、一緒に帰ろう…神に誓ってもいい、命をかけて君を守る」江南では王夙(オウシュク)が父に皇太后から届いた密命を見せていた。王藺(オウリン)は妹をみくびっていたと後悔し、今や江夏王となった息子に判断を委ねる。すると王夙は宋懐恩(ソウカイオン)を生かしたいと言った。懐恩はこれまで我が身を省みず何度も阿嫵(アーウォ)を助けており、恩を返したいという。何より一緒に治水作業を行う中で、懐恩が賢く勇敢だと高く評価していた。王藺はあっさり息子の意見に従った。いささか拍子抜けする王夙、すると王藺は王夙と阿嫵に恨まれても仕方がないという。「お前たちと瑾若(キンジャク)に厳し過ぎた…瑾若に顔向けはできないが後悔はしていない 私がしてきたことは自身のためではなく、王氏の繁栄のためだ」歴代の皇帝は即位すると王氏の制圧を試みた。王藺は側女の韓(カン)氏が懐妊して死を賜った時、自分の子は自分の手中に置くと心に誓ったという。「二度と他人に抑えつけさせぬとな…」「分かります」「何を分かったと?本当に分かっていたのなら1人の女にうつつを抜かさなかったはずだ」「…桓宓(カンヒツ)の件は私が間違っていました」「これから頼れるのはお前だけだ…志を共にせぬか?」王夙は思わぬ父の言葉に目を潤ませ、一緒に王氏を盛り返すと誓った。しかし王藺は自分たち2人だけでは難しいという。「助っ人が必要だ…」王夙は懐恩のことだと分かった。賀蘭箴は忽蘭王を訪ね、例え父でも王儇を傷つければ容赦しないと釘を刺した。そこで王儇以外を妃にするつもりはないと宣言、髪の毛1本でも傷つければ忽蘭と決別すると脅す。忽蘭王は憤慨したが息子は賀蘭箴1人だけ、結局、何も言い返すことができなかった。新帝は軍の残党を排除する絶好の機会に大赦を行い、朝廷は戸惑いを隠せなかった。丞相・温宗慎(オンシュウシン)だけは一挙に排除するのは難しいと理解を示したが、時局が急速に変化し、大臣たちも戦々恐々としてる。そこで温宗慎は争う心を捨てて国のために働こうと団結を呼びかけた。しかし皇帝に謁見を願い出ても馬子澹は会おうとせず、半日は書斎にこもって詩を書いている。一方、忽蘭王も聞き分けのない息子に頭を悩ませていた。賀蘭拓(ガランタク)は父子の争いに乗じて継承式を延期するよう提案したが、忽蘭王は継承式も婚礼も延ばすつもりはないという。「もはや大成にとって王儇は重要ではなくなった…お前が人を送り始末してくれ」「分かりました」すると忽蘭王は明日にもカルに発って両部族の和親をまとめ、10日後には継承式と婚儀を行うと決めた。粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩の耳にもついに寧朔軍の凶報が入った。そこで直ちに軍営を発とうとしたが、江夏王に足止めされてしまう。ひとまず馬を降りて王夙と膝を突き合わせた懐恩、しかし怒りは収まらず、大王と王妃の潔白を証明するために命をかけると奮起した。しかしどちらにしても江夏王がいなければ自分はとうに死んでいたと知る。懐恩は皇太后の密命を見て呆然、悔し涙を流しながら、国に忠誠を誓った自分たちへの不当な扱いに憤った。「豫章王のような英雄がこんな終わりを迎えるとは…あまりにも無念です…とても悲しい 私がそばを離れたから…はっ!」その時、懐恩は皇太后が大王を殺すために故意に自分を遠ざけたと気づく。すると王夙は帰京を止めにきたのではなく、帰京後にどうするか相談したいと言った。「どうだろう、このまま死を待つより命懸けで生きる道を模索してみないか?」王夙は王氏という名家と豪傑の懐恩が手を組めば悪を根こそぎ排除し、この乱世で覇業を成し遂げられると訴えた。懐恩は江夏王の提案を注意深く考えた。幕舎を取り囲んだ兵士たちは剣を抜き、江夏王の合図を今か今かと待っている。…杯が割れる音がしたら首をはねろ…すると王夙はついに杯をゆっくり持ち上げた。その時、懐恩がようやく重い口を開く。「江夏王は私の命を救ってくださいました… 条件があります、一緒に豫章王の潔白を証明してください それから…王妃を探しましょう」「ふっ…もう探させている」王夙は配下に下がるよう合図を送り、懐恩と杯を交わした。賀蘭拓は方(ホウ)術士の天幕を訪ねた。忽蘭王に王儇を殺せと命じられたが、和親がまとまって賀蘭箴が王位を継承すれば草原を統一する大王になり、自分が追求されるだろう。「そうなれば私は草原と大成どちらでも罪人となる…トホホホ…」しかし術士は失笑した。「今、手を下さぬのなら、いつやるのだ?」馬子澹の待ち人がついに皇宮に現れた。書斎にこもっていた子澹は急いで寝殿に戻ると、憔悴しきった蘇錦児(ソキンジ)がへたり込んでいる。「安平王…いいえ、皇帝陛下でした」「ずっと探していたのだ…無事で良かった、阿嫵は?そばにいなかったのか?今どこに?」「…亡くなりました」錦児は皇帝が王妃をあきらめるよう嘘をついた。実は逃亡生活を続けるうち王妃が豫章王の死を知って大病を患ったという。錦児は皇帝の元へ帰ろうと再三、説得し、王妃も徐々に落ち着きを取り戻して行った。すると王妃が豫章王を弔うため楝羽(レンウ)山に行くと言い出し、その言葉を信じてついて行ったが、山崖に到着すると身を投げたという。「嘘だっ!…阿嫵が自死を選ぶはずがない…偽りだぁぁぁ!」子澹は烈火の如く怒り出した。つづく
2022.03.17
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上阳赋 The Rebel Princess第54話「新たな皇帝」目を覚ました王儇(オウケン)は再び賀蘭箴(ガランシン)の手に落ちていた。「私のそばにいた者は?!パンダとヂンRは?!」「パンダは死んだ、蘇錦児(ソキンジ)のことは…気にするな」王儇は錦児がくれた水に薬が入っていたと気づき、実は長いこと自分を裏切って賀蘭箴と通じていたと知る。すると賀蘭箴が今や大成の至る所に貼られた豫章王妃の手配書を見せた。「誤解するな…今のそなたには忽蘭(クラン)しか安全な地はない、行こう、私がかくまう」一方、朝廷では依然、皇子の行方がつかめず、大臣たちは空となった帝位に頭を悩ませていた。丞相・温宗慎(オンシュウシン)は諸王たちの皇位争いを懸念、もはや別の皇帝を立てるしかないと決意する。それはつまり安平王・馬子澹(バシタン)を新帝に立てることを意味した。中書・顧閔汶(コビンムン)は思わず謝(シャ)氏の血を引いていると口を滑らせたが、今の朝廷に王氏だ謝氏だと争っている余裕はない。すると城門の守衛から報告が届いた。安平王が勅命なしに帰京したという。子澹はわざと城門の前で待機していた。もし新帝として受け入れられなければ、謀反と糾弾される恐れがある。すると大臣たちが駆けつけ、温丞相が″安平王″の帰京を出迎えた。しかし子澹は無視する。その時、突然、衛(エイ)侯がひざまずいて拝礼した。「次期皇帝のご帰還をお喜び申し上げます!」( ̄ー ̄)ニヤリ子澹は永安宮の寝所を訪ねた。病床の皇太后は侍女が戻って来たと思ったが、水を飲ませてくれたのが憎き謝氏の息子・子澹だと気づいて悲鳴を上げる。回廊に控えていた侍女たちは気が気でないが、許可なく入ることなどできなかった。「…長年、知恵を働かせましたね? 父上に毒を盛り、母上に濡れ衣を着せ、謝氏を没落させた そして私と阿嫵(アーウォ)を引き裂きました 皇帝とご自分の兄を殺し、息子を皇位に就かせた…で、このような末路にご満足ですか?」子澹は当時、神を恨んだ。悪事を働き、道理に背いた皇太后がなぜ宮殿に居座れるのか。いつか必ず両親の敵を討とうと考えて来たが、こうして哀れな皇太后を目の前にすると、やはり神は平等なのだと納得した。「楝羽(レンウ)山の変はあなたが仕組んだことだ… まさか私に利用されるとは想像もしなかったでしょう? 真実を教えましょう、あなたの息子・子隆(シリュウ)の死は…」温丞相が永安宮にやって来た。凌春(リョウシュン)と元宵(ゲンショウ)は太平王が中にいると止めたが、その時、皇太后の断末魔のような叫びが聞こえてくる。驚いた温宗慎は寝所へ乗り込み、嫡母である皇太后への忠誠と孝行を欠けば民心が離れると諌めた。しかし子澹は深読みするなと言って皇太后の頭を優しくなでる。「孝行したくて会いに来ただけだ、焦ることはない…日を改めて見舞いに参ります」子澹が永安宮を出る頃にはすっかり日が暮れていた。凌春は道中に助けた娘が目を覚ましたと報告し、身元を調べたところ寧朔(ネイサク)軍の胡瑶(コヨウ)だったという。しかし肝心の豫章(ヨショウ)王妃の行方が分からなかった。実は蘇錦児が約束を違え、目印を残さなかったという。すると子澹は独りで鳳池(ホウチ)宮を訪ね、人質となって過ごした阿嫵との時間を懐かしんだ。…承康(ショウコウ)2年8月、太極殿で安平王・馬子澹の即位の儀が行われた…そして生母の謝貴妃は香純昱寧(イグネイ)皇太后に追封される…こうして大成の朝廷では2年の内に3度も皇帝が変わり、国中が不安に陥っていた江南は今日も激しい雨だった。安平王の即位を知った王藺(オウリン)はみすみす好機を逃したと苛立ち、王夙(オウシュク)に八つ当たりする。豫章王が謀反を企て皇帝暗殺に失敗して死んだなど誰が信じるものか。恐らく温宗慎ら古参は子澹の企みだと気づいているのだろう。「もはや江南に隠れる意味はない…」賀蘭箴の一行が忽蘭の幕営に帰って来た。忽蘭王は豫章王と寧朔軍を滅ぼした息子の帰還を手放しで喜び、カル族の使者として来訪していたコンプ王を紹介する。実はこれを機に賀蘭箴に王の座を譲り、カル族の王女・ミアとの婚姻を決めていた。しかし賀蘭箴は自ら婚姻を断り、コンプ王を怒らせてしまう。思いがけず忽蘭とカル族の和親は破断となった。賀蘭箴は婚姻するくらいなら王の座を放棄すると言い出し、忽蘭王は激怒して刀を突きつける。しかし息子はもはや賀蘭箴だけだった。「…なぜ私しかおらぬかは父上がよくご存知のはず 私にとって大切な2人、母上と妹はこの世を去った、助けられる機会はあったのに… あなたがその機会をふいにしたのです、だから二度と愛する人を失いたくありません 忽蘭に連れて来た女人と婚姻するつもりです」忽蘭王は原因が女だと知って失笑し、剣を収めた。賀蘭箴は王儇の幕舎を訪ね、世話係のアリマを紹介した。アリマは草原では珍しく大成の言葉に長けているという。しかし機嫌が悪い王儇は視線を落としたまま、アリマの顔をろくに見ようともしなかった。すると賀蘭箴は王儇の顔がよごれていると気づき、アリマにお湯を運んでくるよう命じる。「さあ…草原特製のお茶だ」「出て行って」賀蘭箴はこの茶を飲めば身体が温まると伝え、今日のところはおとなしく出て行った。一方、深手を負ってさまよっていた胡瑶はいつの間にか倒れ、気がつけば宮殿にいた。すると助けられたのは自分独り、一緒にいたはずの大王がいなかったと知って安堵する。慣れない衣に身を包んで皇帝に謁見した胡瑶、そこで豫章王と寧朔軍は無実だと訴え、潔白を証明して欲しいと嘆願した。しかし子澹は興味がなさそうに朝廷が調査しているとあしらい、寧朔軍にも大赦が適用されるという。「そなたが宮殿を出ようと誰も止めまい」忽蘭王は息子が特別に準備したという王妃の天幕を訪ねた。すると豫章王妃は賀蘭箴に拉致されて草原に来ただけで、息子に何の感情もないどころか嫌っていると知る。安堵した忽蘭王は和親のために王妃を解放すると持ちかけた。「本当ですか?」「使いの者に送らせよう、今夜だ、二度と戻って来ないでくれ」|ω・`).oO(あの毛皮…私のより大きいかしら?その頃、蕭綦(ショウキ)は恩人が留守の間に無理をして旅立っていた。…必ずや恩を返しに戻る…壁には蕭綦が残した言葉が刻まれていた。つづく(  ̄꒳ ̄)今回の見どころは…子澹のキラキラ衣装とアウォとおじいちゃんのモフモフ対決!←どこ見てんだw
2022.03.11
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上阳赋 The Rebel Princess第53話「侍女の裏切り」病の床に伏し、信じていた温宗慎(オンシュウシン)にも裏切られた皇太后。しかし何としてでも孫の馬静(バセイ)を取り返すため、皇后時代の侍従・金全(キンゼン)を呼ぶよう命じた。口封じのため監禁されていた金全は侍女・朝雲(チョウウン)の顔を見ると涙を流して喜び、皇太后のため再び働くことになる。一方、豫章(ヨショウ)王妃・王儇(オウケン)の馬車は城門で足止めされていた。護衛・龐癸(ホウキ)が皇后の令牌を示したが、守衛は皇帝が崩御した一大事に皇都を出るのはおかしいと怪しむ。そこへ皇太后の命で王儇を追う禁衛軍がやって来た。「門を開けてはならぬ!太后の命令だ!豫章王は反逆により楝羽(レンウ)山で殺された! 皇后の令牌を盗み、脱出を企てた王妃を殺せーっ!」←え?殺すの?( ̄▽ ̄;)龐癸は覚悟を決めて馬を降り、護衛たちと王妃の馬車を守った。すると騎馬隊が一斉に弓矢を放ち、次々と護衛たちが倒れてしまう。その時、王妃の馬車だと知った守衛たちが立ち上がった。「じぃぁんしめん!我々は豫章王の部下だった!王妃を危険にさらしてはならない!」守衛は城門を開けて王妃一行を逃し、命をかけて禁衛軍を阻止した。郊外まで逃げたところで王儇は馬車を止めた。このまま皇子が自分と一緒にいては危険と判断し、二手に分かれるという。そこで王儇は馬静を徐(ジョ)女官に託し、阿越(アエツ)と一緒に江南にいる兄・王夙(オウシュク)に送り届けるよう頼んだ。そして自身は蘇錦児(ソキンジ)と龐癸で大王を探しに狩り場へ向かうという。錦児は王妃が居眠りしている隙に窓から目印を落とした。すると物音に気づいて王儇が目を覚ましてしまう。焦った錦児は怯えながら、暉(キ)州の時と同じように王妃を守れなかったらと思うと怖いと訴えた。「…ごめんなさい」「ばかね、私たちは一緒に育ち、嫁いでからも2人で困難を共にしてきた、なぜ謝るの?」王儇は神様が必ず守ってくれると励ましたが、まさか姉妹同然の錦児に裏切られようとは夢にも思わなかった。賀蘭箴(ガランシン)の一行は分かれ道で錦児が馬車から落とした目印を拾った。そこでここからは腹心・忽耶奇(コツヤキ)に追跡を任せ、王儇を傷つけずに連れてくるよう命じる。一方、禁衛軍も部隊を招集し、豫章王妃を追っていた。しかし暗闇の中、潜んでいた賀蘭箴の配下に襲撃され、一網打尽にされてしまう。やがて遅れて刺客を連れた金全が分かれ道にやって来た。雷雨でぬかるんだ道にはどちらにも馬車が通った跡が残っている。金全は恐らく王妃が江夏王を頼ると考え、迷わず江南を目指した。江南の王夙は今朝も堤防の見回りに出かけた。すると道すがら行き倒れの男を見かける。男は兵士には目もくれず王夙に助けを求め、こっそり手首の入れ墨を見せた。王夙は男が父の護衛だと気づき、救助するふりをして幕営にかくまった。すると父・王藺(オウリン)が実は生存していると知る。宮殿に潜んでいた護衛は王藺が危険に陥ったため北へ向かい救出、刺客たちをあざむくため他人の骸を利用して死を装い、秘密裏に逃亡していた。当初は王藺の死を完全に信じさせるため息を潜めていたが事態が悪化、危険を冒してまで会いに来たという。龐癸は夜を徹して馬車を走らせ、追っ手をまいた。そこで馬を休ませがてら休憩することになり、錦児が近くの川で水を汲んで来てくれる。何も知らず勧められるまま水を飲んだ王儇と龐癸、すると2人は急に意識を失った。一方、王夙は医者を連れ、護衛の案内で人里離れた荒ら屋にやって来た。すると疫病を患い憔悴した父が横たわっている。王藺も護衛も近づいてはならないと警告したが、王夙は無視して父に駆け寄った。錦児は愛する安平王のため王儇を裏切った。「王妃…申し訳ありません、お許しください…本当は安平王に連れて来いと命じられました でも王妃が戻られれば、恐らく安平王は後先考えず王妃と婚姻するはず… あなたは豫章王妃、無理に臣下の妻と婚姻した皇帝が国を治められるでしょうか…いいえ 婚姻はさせません!恨むならどうぞ私を、すべて私の一存です 安平王のためなら地獄へ堕ちたとしても甘んじて受け入れます…」その時、ついに忽耶奇が到着する。「うまくいったな、俺の目は正しかった、お前は残酷な女だ」忽耶奇は配下に王妃と護衛を連れて行くよう命じた。王妃への後ろめたさに目を潤ませる錦児、しかしこれでようやく役目が終わったと安堵する。「もう二度と訪ねて来ないで…」「それは難しいな…お前のような女を放っておけるわけがない」当初から錦児に目をつけていた忽耶奇、錦児は馬車に押し込まれ恥辱されてしまう。 皇帝陵では馬子澹(バシタン)が平常心でその時を待っていた。するとその夜、ついに皇都から合図の照明弾が打ち上がる。一方、瀕死の重傷を負った蕭綦(ショウキ)は見知らぬ民家で気がついた。「娘(ニャン)!あの男の人が目を覚ましたよ!」子供から聞いた父親は慌てて離れに駆けつけた。「…他に…誰か生き残っていた者は…」「お前さんは1人で倒れていた」蕭綦は寧朔軍が全滅したと知り、再び意識を失った。王藺は医官の手当てで快方に向かった。江南は今日も激しい雨、以前はこの時期に水害と疫病が蔓延したが、護衛の話では王夙の治水のおかげで状況が一転したという。「江夏王を過小評価しておられましたね?」「…そうか、今度はちゃんと評価しよう」蕭綦を助けてくれたのは山奥で薬材を作っている一家だった。おかげで蕭綦は命拾いしたが、このまま静養している時間はない。「よう!起きてもいいのかい?さあ、薬だよ…お前さんはすごいねえ~ この怪我なら普通は何ヶ月も起き上がれない」「ずっと寝ていて、外で何が起きたかも知らなくて…」すると男はふもとで聞いた話を教えた。豫章王が反逆して皇帝は殺され、皇后は殉葬、皇太后も倒れたという。何でも城楼には豫章王の首が晒されているとか。「豫章王妃について何か知っているか?」「確か皇都を脱出したそうだ、お尋ね者になり官府が捜索している」蕭綦は床を離れ、楝羽山での攻防を思い出していた。自分と生死を共にすると誓い、戦ってくれた兄弟、そして愛馬…。寄る辺もなく逃亡している阿嫵(アーウォ)は今どこにいるのだろうか。実はその頃、王儇は草原を走る馬車の中にいた。「止めてっ!」意識が戻った王儇は賀蘭箴の姿を見て驚愕、馬車が止ると飛び降りる。しかしそこは何もない草原がただ広がっているだけだった。つづく:(;゙゚’ω゚’): 錦児…本当に地獄に落ちてしまったじゃないの…
2022.03.10
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上阳赋 The Rebel Princess第52話「守るべき者」皇后・謝宛如(シャエンジョ)は皇帝・馬子隆(バシリュウ)から殉葬を賜った。驚いた王儇(オウケン)は慌てて昭陽殿に駆けつけたが、すでに支度を済ませた宛如が小皇子・馬静(バセイ)を抱いている。宛如は息子を阿嫵(アーウォ)に託し、殉葬は馬静を守るためだと説明した。「今までごめんなさい…私の代わりに静児を守り、朝廷から遠ざけて欲しい 平凡でいいの、健康で生きてさえいてくれたら…」「嫌よ、約束できない」「因果応報だわ…自分に返って来た、でも静児を守ってくれるのがまさかあなただなんて…」「だめよ、母親がそばで見守ってあけなくては…」すると皇太后の命を受けた桂(ケイ)嬷嬷(モーモー)が声をかけた。「皇后、お時間です…太后が報告をお待ちです」侍従はすでに毒酒、匕首(ヒシュ)、白綾を準備して控えている。覚悟を決めた宛如はその場でひざまずき、皇子を託せるのは阿嫵だけだと訴え、拝礼した。「今日からあなたが静児の母親よ!ゥッ…」「約束するわ、今日からこの王儇が静児の母となります、決して不幸にはしません」「静児が恩返しをするわ…早く連れて行って、私の最期を見せたくない」「宛如姐姐…」「来世も姉妹同然の幼なじみになりましょう…」王儇が皇子を抱いて昭陽殿を出ると、外はすでに日も暮れ、雨だった。すると雷鳴に驚いた皇子が泣き始めてしまう。徐(ジョ)女官は皇子をなだめたが、その時、おくるみの中から皇后の令牌を見つけた。王儇は小皇子を抱いて式乾殿に戻った。大臣や妃嬪たちは殿前でひざまずき、静かに皇帝を見送っている。殿内では精魂尽き果てた皇太后が書斎で居眠りしていた。王儇は皇太后を起こさないようそっと寝所へ入り、風前の灯となった子隆に息子を会わせる。「子隆哥哥、静児を連れて来ました…抱いてあげて」静児を皇帝の腕の中に寝かせる王儇、すると子隆は皇子の行く末を案じながら悲しみに暮れた。「阿嫵…すまない、昔から申し訳ないと思っていたが、今はさらに…豫章王にも申し訳ない」「誰の仕業なの?」「…阿嫵…余の過ちだ…実は…権力への欲望に目がくらみ、悪事を働いた…」すると子隆は帝位の恐ろしさを思い出して急に胸騒ぎを覚えた。実は皇位を静児に継承させるよう言い残したが、まるで我が子を火の中に放り入れたも同然ではないだろうか。「この宮殿では母上すらも信用できぬ…信用できるのは阿嫵、お前だけだ、お前を信じる」その時、皇帝の声に気づいた皇太后がふと目を覚ました。<隆児!…隆児?!…母ならここにいますよ!子隆は母の足音に気づき、最期の力を振り絞って訴えた。「早く行け…静児を連れて逃げろ…できるだけ遠くへ行くのだ…急げっ…」皇太后は阿嫵が寝所に来ていたとも知らず、息子の枕元に駆けつけた。すると子隆は夢を見ていたと話し、急に身体を起こす。皇太后は息子を腕に抱くと、子隆は母の腕の中で短い人生を振り返りながら、息を引き取った。「はっ!隆児…隆児ぁぁぁぁぁ!」一方、脇殿から抜け出した王儇は鳳池(ホウチ)宮へ戻らず、そのまま馬車に乗り込んで永華門に向かった。蘇錦児(ソキンジ)は窓を開けて皇后の令牌を差し出すと、警戒中の将軍が中を確認する。奇しくもこの緊迫した状況で再び相見えた王儇と魏(ギ)将軍、すると将軍は黙って窓を閉めた。その時、皇帝の崩御を知らせる鐘が鳴り響く。衛兵たちは宮殿に向かって一斉にひざまずくと、王儇はその隙に馬車を走らせた。激しい雷雨の中、誰かの馬車が疾走する王儇たちの馬車の行く手を阻んだ。もしや自分たちの不在に気づいた皇太后が追っ手を差し向けたのだろうか。しかしそれは護衛・龐癸(ホウキ)の隊伍だった。「龐癸です!王妃、本日の午後、情報が入って来ました 皇帝の窮地を知って調査したところ、寧朔(ネイサク)軍の兵は帰京しておらぬ上、 皇帝の刺客事件に大王が関与しているようです」王府の危険を察知した龐癸は独断で屋敷を整理、使用人を解雇して護衛は姿を隠したという。「よくやったわ…すぐ皇都を出ましょう」皇帝の崩御に打ちひしがれる皇太后、そこへ丞相・温宗慎(オンシュウシン)がやって来た。実は禁衛軍のわずかな生き残りが帰京し、方大勇(ホウダイユウ)が軍を率いて寧朔軍を山谷で包囲したが、相打ち死したと報告したという。「つまり豫章王も死んだと?」「はい、近くの村から情報を受けて駆けつけると、方大勇と豫章王の亡骸があったそうです」皇太后は豫章王の死を知り歓喜したが、それだけでは到底、怒りが収まらなかった。「誰か!豫章王妃を捕らえ、関係のある者は全員、投獄しなさい!」すると桂嬷嬷が駆けつけ、王妃が小皇子を連れて宮殿を脱出したと報告する。逆上した皇太后はすぐ皇子を取り戻せと命じたが、そのまま卒倒した。皇太后の意識は戻ったものの、脳の病は悪化していた。太医の見立てではこれから度々、意識が混乱すると思われ、根治は難しいという。わずか1日の間に皇帝の崩御、皇后の殉葬、そして皇子が失踪し、皇太后が病に倒れた。まるで天がこの国を滅ぼそうとしているかのよう、温宗慎はついに覚悟を決めて皇太后を見舞った。皇太后は温宗慎の姿を見つけると、重い身体を起こした。この大局を安定させることができるのは温宗慎だけ、皇太后はかつての想い人に熱い信頼を寄せる。しかし温宗慎は国のために直ちに君主を立てるべきだと上奏した。大成の士族は王・謝・顧・温、温氏も王氏とまではいかなくても由緒正しき家柄だという。その意味を察した皇太后は再び興奮し、帝位を継ぐのは静児だけだと反発した。「しかし太后、皇位が空けば国は不利になります!士族も同意せぬでしょう」「…私は人を見誤った、温宗慎、出て行って!」皇太后は金全(キンゼン)を呼ぶよう命じた。そこで侍女・朝雲(チョウウン)は監禁している金全の元へ急ぐ。「密令よ、太后のために重要な仕事を…」つづく( ๑≧ꇴ≦)いよいよシーズン3へ!それにしてもパンダ、仕事早すぎw
2022.03.04
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上阳赋 The Rebel Princess第51話「遺言」王儇(オウケン)の告発で一度は鄭(テイ)乳母を怪しんだ謝宛如(シャエンジョ)。しかし自分の誤解だったと気づき、あろうことか皇后の侍女を辱めた王儇に怒りを募らせた。王儇は昨日の今日だというのに昭陽殿へ呼ばれた。宛如の話では小皇子・馬静(バセイ)のそばで過ごしたが、鄭乳母がいなくても泣き通しだったという。「あなたは罪のない人を中傷したのよ?!…何を企んでいるの?!」王儇は自分の顔を見ようとしない鄭乳母の様子をいぶかしみ、皇子に会わせて欲しいと頼んだ。皇子は確かにまた泣いていた。そこで王儇は皇子の身体を調べてみたが、結局、何も見つけることができない。宛如は鄭乳母に謝れと迫ったが、なぜか鄭乳母は王妃も小皇子を心配してのことだとかばった。「愚かね…」乳母の悪事にも気づかない宛如に王儇は思わず捨て台詞を残して帰ってしまう。しかし宛如は王儇の負け惜しみだと思っていた。鄭乳母は寝不足の皇后を寝殿で休ませ、皇子を連れて側殿に戻った。そこでもう1人の乳母と一緒に皇子を沐浴させ、急いで着替えさせることにする。自分を信じて厚遇してくれる皇后には後ろめたいが、乳母たちは恩のある主を裏切ることができなかった。王儇が昭陽殿を出ると永安宮の侍女が迎えにやって来た。仕方なく皇太后へ挨拶に向かうことにしたが、その時、王儇は何気なく見た自分の手が真っ赤になっていると気づく。「王妃?!紅斑が…」「はっ!…昭陽殿に戻るわよ」鄭乳母は皇子が着ていた衣をすぐ処分するよう頼んだ。すると突然、豫章王妃が乗り込んでくる。王妃の姿に動揺した乳母はうっかり皇子の衣を落とし、慌てて拾って小脇に挟んだ。王儇は何を隠したのか迫ったが、乳母は何でもないと取り繕う。そこで徐(ジョ)女官が皇子の衣を奪い取ると、ちょうど騒ぎに気づいた宛如がやって来た。「王儇!大概にしなさい!」「王妃、これです!」徐女官が皇子の衣のからくりに気づいた。皇子が泣き止まない原因は衣に仕込まれた桃の皮だった。王儇は赤くなった自分の手を見せ、桃の皮に触れると自分もこうなると教える。いよいよ逃げられなくなった鄭乳母はその場でへたり込むように平伏した。すると王儇は自分を信じなくても構わないと言い放ち、引き上げる。宛如は信じていた鄭乳母の裏切りに激高、黒幕の名を白状するまで鞭を打てと命じた。まさかその頃、瀕死の状態で帰途についた皇帝・馬子隆(バシリュウ)が宮殿に入ったとも知らずに…。王儇は皇太后を訪ねた。すると待たされたせいなのか皇太后は機嫌が悪く、鳳池(ホウチ)宮で禁足を命じる。その時、侍従が息急き切って駆けつけた。「太后!陛下が狩り場で刺客に遭い、帰京されました!」皇帝はすでに式乾(シキケン)殿に入ったが、太医からすぐ来ないと最期に立ち会えないと知らせが来たという。一方、胡瑤(コヨウ)は意識を失った大王を馬に乗せ、道なき道を進んでいた。皇帝危篤の知らせが宮中を駆け巡った。皇太后はわが子の変わり果てた姿に驚愕、もはや助かる見込みはないと知る。すると丞相・温宗慎(オンシュウシン)は一緒にいた豫章王が行方不明だと報告、禁衛軍が今も狩り場で調査中だという。悲しみに暮れる皇太后、しかし太医は一刻も早く遺言を聞いて欲しいと嘆願した。出遅れた宛如は皇帝の寝所に入れてもらえず取り乱していた。そこで王儇が寄り添い、自分がそばにいるとなだめる。やがて豫章王の居場所を探していた徐女官が戻って来た。しかし豫章王の所在を知る者がおらず、寧朔(ネイサク)軍の兵士も誰ひとり帰京していないという。報告を聞いた王儇は胸騒ぎがした。…先帝が崩御した日の宮中の乱は記憶に新しい…突然、皇帝が刺客に遭い、蕭綦(ショウキ)の行方が知れない今、大きな嵐の予感がする…蕭綦、今まで負けを知らなかったあなたが危険な目に遭っている…どうすればいいの?蕭綦、どこにいるの?子隆は死の淵をさまよいながら遺詔を残し、宛如を呼んだ。ようやく寝所に通された宛如、すると青ざめた顔の子隆が寝台に横になっている。「陛下?何があったのですか、陛下…陛下?私はここです…ウッ…」すると皇太后が中書・顧閔汶(コビンムン)に遺詔を読むよう命じた。「″皇長子・馬静を太子に冊封し、余の死後は太子が帝位を継承するものとする″…」「何をおっしゃるのです、陛下、まだ逝かれてはなりません!陛下…」「″なお皇后謝氏は殉葬を賜る、余と皇帝陵に入れよ″」悲しみに暮れていた宛如は″殉葬″と聞いて急に我に返った。すると宛如は思わず顧閔汶から遺詔を奪い取り、投げ捨ててしまう。恐らく皇太后の差し金だろう。憤懣やるかたない宛如だったが、子隆は消えいるような声で宛如にささやいた。「余は…もう…疲れた…そなたは大成初の謝氏の皇后… 余の死後…そなたと静児を守ってくれる者がおらぬ…安心して目をつぶれぬのだ… 宛如よ…そなたは…余を慕っておるか?」「はい…」「ならば一緒に…逝こう…それが…静児を守る最善の方法なのだ…」皇太后は桂(ケイ)嬷嬷(モーモー)に皇后を昭陽殿に送るよう命じた。子隆から無理やり引き離される宛如、しかしどんなに泣き叫んでも、今や皇帝に自分をかばう力は残っていない。一方、王儇は何も知らず、殿前で静かに待っていた。すると桂嬷嬷がやって来る。「豫章王妃…皇后殿下がお呼びです」「中にいるはずでは?」「昭陽殿に戻られました」「どうして?」実は皇帝が遺言を残し、皇后の殉葬を命じていた。( ゚д゚)<殉葬…つづく
2022.03.03
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上阳赋 The Rebel Princess第50話「追い詰められた蕭綦」刺客を追って谷へ入った蕭綦(ショウキ)。両側を高い岩壁で挟まれた一本道を進んで行くと、やがて視界が開けた。すると鳴りを潜めていた忽蘭(クラン)の王子・賀蘭箴(ガランシン)が吊り橋の前で待ち構えている。向こう岸には人質となった竇(トウ)夫人の子・小禾(ショウカ)と沁之(シンシ)が助けを求めて泣き叫んでいた。蕭綦は子供を解放すれば見逃すと言ったが、賀蘭箴はなぜ自分に逃げる必要があるのかと怪訝そうな顔をする。その時、援軍を呼びに向かった伝令兵が矢を受けながらも帰って来た。「報っ!大王!禁衛軍が大王は皇帝を暗殺しようとした逆賊だと言って追って来ます!」蕭綦はようやく賀蘭箴の策に気づいた。「ここでお別れだ、来世で会おう」賀蘭箴は悠々と吊り橋を渡って行った。蕭綦は子供たちを盾にされ、一歩も動けなかった。すると向こう岸に渡った賀蘭箴は子供たちの命を奪うつもりは毛頭なく、成人まで養うと誓って吊り橋を切り落としてしまう。そこへついに禁衛軍が到着した。逃げ場もなく追い詰められた寧朔軍、しかし兵士たちは迷うことなく敬愛する大王と生死を共にすると決める。一方、野営で大王の帰りを待っていた寧朔軍の分隊のもとにも禁衛軍が駆けつけた。「蕭綦は皇帝の命を狙った逆賊、逃亡中だ!投降しなければ皆殺しにする!」寝耳に水の唐競(トウケイ)たちは猛反発、命をかけて大王を守ると奮起した。賀蘭箴の筋書き通り蕭綦は逆賊となり、自分が手を下すまでもなかった。いくら戦神と呼ばれた蕭綦でも毒に冒された身体では限界、次第にふらふらになって来る。その時、野営から逃げ出した王儇(オウケン)の白馬・驚雲(キョウウン)が駆けつけ、大王の愛馬・墨蛟(ボクコウ)と共に禁衛軍を蹴散らした。驚いた禁衛軍は馬に気を取られ、わずかながら蕭綦は息を整える時間を得る。すると身を挺して自分を守ってくれた二頭の馬が蕭綦の目の前で禁衛軍に襲われた。愛馬を害された蕭綦はふつふつと怒りが込み上げ、再び戦いの渦に飛び込んで行く。一方、皇帝は天幕へ運ばれ、死の淵をさまよっていた。中書・顧閔汶(コビンムン)は謀反にしてはあまりに短絡的だと首を傾げ、衛(エイ)侯に豫章王の仕業とは思えないと訴える。大勢の大臣と禁衛軍がいる狩り場、そもそも林に駆け込んだのは皇帝だった。しかし衛侯は他の大臣たちならすでに気づいているという。「豫章王の仕業かどうかではない、あの男を消す唯一の機会なのだ」蕭綦が王爵に封じられて以来、多くの寒門出身者が出世し、士族の基盤が揺らいでいた。皇帝の暗殺を試みたのが誰であれ、今回は生き残れないだろう。太医は皇帝から矢を抜くことに成功した。しかし強い薬に頼っても長くても3日の命、そこで最悪の事態を想定し、すぐ皇都へ連れ帰るよう勧める。衛侯は急いで馬車を準備するよう命じ、皇太后や皇后のいる場所で遺言を残してもらう必要があると焦った。賀蘭箴は人質の子供を連れて引き上げた。すると帰路でふと立ち止まり、天を仰いで亡き母と妹に敵討ちを報告する。その頃、蕭綦と寧朔軍は禁衛軍と死闘を繰り広げていた。禁衛軍は決してあきらめない寧朔軍に手こずったが相手はもはや数十人、将軍は蕭綦の首を取れと鼓舞する。その時、唐競が率いる寧朔軍の分隊が駆けつけた。「我々は禁衛軍2千人以上を討伐して全滅させ大王の名誉をお守りしました!」すでに全身に毒が回った蕭綦は立っているのもやっとだったが、兄弟たちのために最後の力を振り絞って雄叫びを上げた。その夜、王儇は愛する夫の危機を知らぬまま鳳池(ホウチ)宮で眠りについた。朝晩、激痛の鍼治療に耐える毎日、しかし申(シン)太医のおかげで王儇は熟睡できるようになっている。徐(ジョ)女官と阿越(アエツ)は確かな効果を実感し、王妃の願いが叶うことを祈りながら見守った。寧朔軍と禁衛軍は共倒れの様相となった。いよいよ立てなくなった大王を助けに向かった胡光烈(ココウレツ)、しかし不意を食らって将軍に刺されてしまう。驚いた蕭綦は朦朧とした意識の中で何とか将軍を殺したが、そのままばったり倒れた。やがて朝になった。気を失っていた胡瑶(コヨウ)が目を覚ますと、谷は両軍の兵士の骸で埋め尽くされている。その時、かすかに兄の声が聞こえた。「ふぅ…いゃぉ…」胡瑤は倒れている兄を発見、喜んで駆けつけたが、腹に剣が突き刺さっている。すると胡光烈は息も絶え絶えに大王を探せと言った。胡瑤は骸の山の中で倒れている蕭綦を発見し、息があると分かる。「哥っ!生きてる!」そこで胡光烈は妹を呼び戻し、大王を死んだと思わせて助けるよう頼んだ。胡瑤はその意味を悟って拒否したが、胡光烈は自ら剣を抜いてしまう。胡瑤は兄の骸に大王の鎧を着せ、蕭綦を馬に乗せた。そして大王が死んだと思わせるため、顔が判別できないよう潰さねばならない。胡瑤は兄の死に顔を見下ろし、断腸の思いで剣を振り上げた。「うわあぁぁぁーっ!」皇后・謝宛如(シャエンジョ)は皇子の夜泣きで一睡もできなかった。すると鄭(テイ)乳母が朝食を運んでくる。「静(セイ)児の世話がどれほど大変か分かったわ…あなたを疑ってごめんなさい」そこで宛如は豫章王妃を呼ぶよう頼んだ。つづく。゚(∩ω∩`)゚。 哥ぁぁぁ~で、ウマーはどうなったの?最後のウマーは大王のかしら?(* ゚ェ゚)ケロッ
2022.02.25
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上阳赋 The Rebel Princess第49話「皇帝の危機」昭陽殿で独り小皇子・馬静(バセイ)を寝かしつける王儇(オウケン)。一方、皇太后は丞相・温宗慎(オンシュウシン)を永安宮へ呼び出し、豫章(ヨショウ)王を根こそぎ排除してはどうかとほのめかした。温宗慎はようやく安定した国が再び乱れると反対したが、皇太后はもはや手遅れだという。「成否はどうであれ2日以内には知らせが来るはずよ…」温宗慎は皇太后が今回の狩りで豫章王を殺すつもりだと気づき、もし失敗した時は共に立ち向かうと誓った。王儇は皇子を寝床に寝かせ、おむつを交換することにした。そこで脇殿に新しいおむつを取りに来たが、安らかに眠っていたはずの皇子の泣き声がする。 <小皇子、眠ってはいけません、小皇子…王儇が急いで戻ると、鄭(テイ)乳母がちょうど皇子を抱き上げ、身体を揺すっていた。「何をしているの?!」驚いた王儇はすぐ皇子を取り上げ、なぜ皇子を虐げていたのか追及する。鄭乳母は慌ててひざまずき何か言おうとしたが、そこへ皇后・謝宛如(シャエンジョ)が戻ってきた。鄭乳母は皇子が寝床で泣いていたため、抱き上げてなだめただけだと釈明した。しかも皇子が泣き出したのは自分ではなく王妃が来たからだという。王儇は平気で嘘をつく鄭乳母に我慢ならず、思わず平手打ちした。これに宛如は激怒、謝氏に長く仕えた乳母が小皇子を虐げるはずがないとかばう。そこへ控えていた徐(ジョ)女官と阿越(アエツ)が慌てて駆けつけた。宛如は仕返しに徐女官を引っ叩き、これでお互い様だという。雪解けが近いと思われた阿嫵(アーウォ)と宛如、しかし王儇は横暴な宛如の姿に深く失望した。「静児が泣き通しだとおっしゃいましたね、世話をするのが誰か考えてみてください …信じてもらえなくとも忠告しておきます、小皇子をその悪女に近づけぬよう」「ふん、昭陽殿の心配は不要です」「ご安心を、二度と参りません」昭陽殿での騒ぎはすぐ皇太后の耳に入った。理由は分からないが阿嫵が鄭乳母を平手打ち、怒った皇后が徐女官を叩いたという。皇太后は阿嫵が理由もなく人を叩いたりしないと知っていた。乳母が何かしでかしたのは言うまでもないが、まさか徐女官に手を出すとは皇后の高慢も甚だしい。一方、阿越も理不尽な皇后に不満を募らせた。徐女官はもともと先皇太后の侍女、現皇太后さえ礼遇している。経緯を聞いた蘇錦児(ソキンジ)は宮殿では口を慎むよう注意しながら、実は王妃が小皇子を″一度も会ったことがない我が子のようだ″と言っていたと話した。あの時、流産していなければ今頃、王妃の子供も小皇子と同じくらいだったはずだ。それにしても謝氏に仕えて長い鄭乳母がなぜ皇子を虐げるのだろうか。確かに小皇子は生まれつき身体が弱く、泣き続けて衰弱しているという。まさか皇子が眠るたびに乳母が起こしていたとは誰が想像できただろう。これでは太医がいくら調べても異常など見つからないはずだ。「一体なぜそんなことを?」宛如は鄭乳母を信じたものの、王儇の言葉が頭から離れなかった。そこでしばらく皇子を自ら世話すると決める。宛如は食事も後回しにして皇子から目を離さなかったが、確かに皇子はおとなしく眠っていた。一方、江南は再び激しい雨に見舞われた。宋懐恩(ソウカイオン)は自ら増水する川に入って兵士たちと共に堤防を守っていたが、そこへ江夏王・王夙(オウシュク)が駆けつける。「粛毅(シュクキ)伯!…宋将軍!危険だ!上がれ!」「なぜ来られたのですか!堤防が決壊するかもしれません!危険です!」懐恩は江夏王を安全な場所に避難させるよう指示したが、王夙は直ちに懐恩を岸に上げろと命じた。実は水位が下がる傾向にあると分かり、1刻もあれば危機を脱することができるという。そこで2人は石と土を運ばせ、懸命に堤防を守った。王夙が天幕に戻ると、皇都から皇太后の密書が届いた。そこで人払いしてから文を開けたが、そこには恐るべき任務が記されている。…粛毅伯🐥殺… ←いや何か違うけどwその夜、竇(トウ)夫人が人知れず何者かに殺された。蕭綦(ショウキ)は自分の身に危険が迫っているとも知らず、狩り場で皇帝の警護に余念がない。実は皇太后は半月前から林の中に刺客を忍ばせていた。皇帝・馬子隆(バシリュウ)は豫章王を誘き寄せるだけ、あとは全て禁衛軍が片付けてくれる。寧朔軍は林の中まで警戒していたが、穴を掘って地下に隠れている刺客には気づかなかった。翌朝、皇帝と大臣たちは狩りを楽しんだ。しかし皇帝は手加減する豫章王に不満を漏らし、一対一で対決したいという。蕭綦は断ったが、その時、珍しい白狐が現れた。「余が競うと言えば競うのだ!あの白狐を賭ける!豫章王以外は来るな!」子隆は合図の白狐を追って飛び出した。このまま皇帝を独りにすることもできず、蕭綦は仕方なく皇帝を追いかけて行く。やがて蕭綦は森の奥深くに迷い込み、皇帝を見失った。すると皇帝のうめき声と馬のいななきを耳にする。蕭綦は視線の先に皇帝の馬を見つけたが、と同時に刺客が現れ、襲撃されてしまう。皇帝と豫章王を待つ大臣や寧朔軍たち、すると蕭綦の愛馬・墨蛟(ボクコウ)だけが戻ってきた。胡光烈(ココウレツ)は大王に何かあったと気づき、墨蛟を連れて森へ入る。その頃、蕭綦は負傷しながら必死に応戦していた。劣勢になった刺客は撤収、蕭綦は急いで皇帝を探しに向かったが、皇帝は弓矢が胸に直撃して倒れている。するとどこからともなく助けを求める竇(トウ)夫人の子供たちの声が聞こえた。一体、何が起こっているというのか。そこへようやく寧朔軍が到着する。蕭綦は一緒について来た禁衛軍の将軍に皇帝を頼み、寧朔軍を引き連れ刺客を追った。将軍は寧朔軍がいなくなると、慌てて穴の中を確認した。しかし皇太后の刺客は地下で全滅、その時、大臣や禁衛軍たちが駆けつけ、慌てて蓋を閉めて戻る。皇帝を見つけた大臣は驚いて太医を呼んだ。すると弓矢には″蕭″と彫られている。予定外の状況となったが将軍は皇太后の令牌を出し、豫章王が皇帝の命を狙ったとして寧朔軍もろとも捕らえるよう命じた。蕭綦は罠だと知らず、刺客を追って谷へ向かった。しかし次第に身体が鈍くなり、蕭綦は刺客の剣に毒が仕込まれていたと気づく。胡瑤(コヨウ)は腕の傷を治療するよう説得したが、蕭綦は時間がないと拒んだ。寧朔軍の伝令兵が応援を呼びに戻る途中、禁衛軍に出くわした。すると味方のはずの禁衛軍がいきなり弓矢を放ち、兵士は落馬してしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)白狐!一瞬、白浅が出て来たーと空目w
2022.02.24
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上阳赋 The Rebel Princess第48話「狩り場での陰謀」王儇(オウケン)は申(シン)太医を屋敷へ呼び出し、人払いした。「命を懸けても子を持ちたいの、あなたが協力できないなら他の医者をあたる」「よくお考えの上ですか?子がお生まれになっても王妃は…」「分かっている、でも望みがあるならあきらめたくないの」「決断されたのなら私の全てを懸け、王妃の命も救える方法をお探しいたします」王儇は生まれ変わっても申太医への恩を忘れないと言った。たとえ自分に万が一のことがあっても申太医に迷惑はかけないという。「ありがとう」王儇は太医を見送ると、徐(ジョ)女官に数日ほど宮殿で過ごすと伝えた。実は自分の冷え性を治す方法があり、鍼治療を受けるという。一方、鄭(テイ)嬷嬷(モーモー)は皇后の使いで月柳(ゲツリュウ)閣を訪ねた。そこで賀蘭箴(ガランシン)の密偵に豫章王を仕留める準備をするよう伝言を託し、次に安平王・馬子澹(バシタン)の配下にも計画を知らせる。その頃、皇帝・馬子隆(バシリュウ)は珍しく昭陽殿を訪ねた。実は豫章王から寧朔に帰りたいと上奏があり、もし辺境に帰れば自分たちの脅威にはならないという。しかし宛如は短絡的過ぎると諌めた。その夜、王儇はなぜか胸騒ぎがして眠れなかった。蕭綦(ショウキ)が狩り場に行くと聞いてからなぜか不安でたまらない。同じ頃、宛如は泣き止まない小皇子に手こずっていた。しかも宮女から皇帝は容(ヨウ)妃の寝殿で過ごすと報告を受け、不満が募る。皇后まで上り詰めても地位は盤石になるどころか皇帝との溝は深まるばかり、しかし今は耐えるしかなかった。江南では江夏王・王夙(オウシュク)の治水計画が順調に進んでいた。3つの堤防を修復できたおかげで水位も抑制され、粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)が担当する下流域も5日以内に完工予定だという。これも顧采薇(コサイビ)の協力で人手が集まったおかげだった。思わぬ縁で交流を深める2人、すると王夙はしみじみ自分たちが寒門の出身なら自由に生きられただろうという。しかし采微は士族であれ寒門であれ悩みはあると言った。「出身であれ境遇であれ婚姻であれ、思い通りにいかないものです ですが不幸に直面した時、その対処法だけは自分で選べます」( ゚д゚)<ぽかーん…悟りを得たような言葉を若い女子の口から聞くとは( ˶´꒳`˵ )<私はもう成人ですよ?( ゚д゚)<お、おう(良かった、犯罪じゃない)狩り場へ発つ朝、蕭綦は見送りに出てくれた王儇に辞任の件を伝えた。「陛下から許可をもらった、狩り場から戻ったら寧朔(ネイサク)へ帰ろう」すると王儇はあっさり同意し、もはや皇都に未練はないと言った。そこで蕭綦は将来、2人で旅をしながら暮らそうと提案する。王儇は夫との幸せな未来を夢見て笑顔で送り出したが、本当は不安で一杯だった。その夜、皇太后も眠れぬ夜を過ごしていた。「どうにも不安だわ、私も狩り場へ行くべきだった…」しかし思いがけず桂(ケイ)嬷嬷(モーモー)から阿嫵(アーウォ)が宮殿に来ていると知らされる。そこで皇太后は阿嫵を宮殿に引き止める手立てを考えるよう頼み、皇帝が無事に戻るまで出してはならないと命じた。「夫が死んだと知れば復讐するはずよ…」同じ頃、鳳池(ホウチ)宮では人知れず王儇の鍼治療が始まっていた。翌朝、永安宮に宛如が妃嬪たちを連れて挨拶に現れた。そこへちょうど豫章王妃がやって来る。王儇は丁重に拝礼したが、自分の席がないことに気づいた。すると皇太后は自分のそばに席を作り、阿嫵を座らせてしまう。宛如は阿嫵が自分より高い席に座り面白くないが、皇后の威厳を保つため笑顔でごまかした。和やかに始まった女たちの談笑、しかし王儇はもはや自分が育った宮殿ではないと実感する。…笑いの中に殺気がみなぎっている…私を守ってくれた人たちは変わってしまった…叔母は叔母ではなく太后になり、宛如姐姐は姐姐ではなく皇后になった王儇はちょうど永安宮を出る皇后を呼び止めた。実は皇子に贈り物を届けたいという。「ありがとう、昭陽殿で話しましょう」宛如のよそよそしい態度は変わらなかったが、珍しく素直に豫章王妃の好意を受け取った。一方、皇太后はあと数日でついに阿嫵との縁が切れると思うとやるせなかった。阿嫵が皇后になると信じ、いつか本当の家族になれると思って愛してきたが、こんな結末になると誰が予想できただろうか。それでもこの世の中で暴漢の前に立ちはだかり自分を助けてくれるのは阿嫵だけだろう。「だけどもう姑姑と呼んではくれない…まるで他人のように太后、太后と呼ぶのよ(涙 …子隆と私があの子の夫を殺したと知ったら一生、許さないはず でも私も敵を生かしておけない」しかしその頃、皇帝陵ですでに安平王・馬子澹(バシタン)が動き出していることを皇太后は知る由もなかった。昭陽殿を訪ねた王儇は皇子への贈り物を渡した。すると宛如は人払いし、久しぶりに王儇と2人だけになる。宛如は何を話していいのか分からなかったが、王儇は以前のような姐姐と阿嫵に戻りたいと言った。しかし宛如は昔の自分なら奥深い宮殿の中で死んでしまったという。「ここでは情を断ち切らねば…」その時、奥の間から皇子の泣き声が聞こえた。小皇子・馬静(バセイ)はわけもなく一日中、泣いていた。そこで王儇は皇子を抱かせてほしいと頼み、小さな命を大事そうに抱える。すると驚いたことに皇子は静かになり、やがてそのまま眠りについた。しかし宮女が駆けつけ、皇太后が皇后を呼んでいると伝える。王儇は帰ることにしたが、宛如は皇子の安らかな顔を見て引き止めた。「よく眠っているから少し抱いていてあげて」「でも…誰もいないのに独りで残るのは…」「阿嫵、すぐ戻るわ」宛如は無意識に″阿嫵″と呼びかけ、出て行った。つづく( ๑≧ꇴ≦)腕を広げただーわんの立場w
2022.02.18
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上阳赋 The Rebel Princess第47話「羨望」皇宮では小皇子・馬静(バセイ)の身体に異変が現れ、騒ぎになっていた。診察した申(シン)太医は皇子に異常がなく、発疹の原因は酒だという。皇帝・馬子隆(バシリュウ)は赤子が酒を飲むはずないと激怒したが、太医は酔い覚ましを飲ませれば分かるとなだめた。小皇子はしばらくすると落ち着いた。やはり酒が原因だと明らかになったが、皇后・謝宛如(シャエンジョ)は泣き止ませるための苦肉の策だったとは言えず、白を切り通す。すると子隆は乳母がこっそり酒を飲み、皇子がその乳を飲んだせいだと疑った。乳母は何も知らないと命乞いしたが、昭陽殿から引きずり出されてしまう。宛如と鄭(テイ)嬷嬷(モーモー)は乳母に濡れ衣を着せて難を逃れた。すると皇帝はこの機会に皇子が朝から晩まで泣き通しだと相談する。太医は脈診でも異常が見つからないため、もともと体が弱い皇子の先天的な問題だと説明した。「…これは私の推察ですが、怯えからでしょう」皇子がようやく落ち着いて眠りについた。しかし今度は不安が募る宛如が泣き続け、子隆はうんざりしてしまう。「そなたは静児を産んでから変わってしまった、わがままで横暴で不満ばかりだ 以前は仕事に疲れると昭陽殿に来たいと思っていたが、今は… 静児かそなたのどちらかがいつも泣いている、疲れたよ」すると宛如はようやく泣き止み、実は太医の言葉が気がかりだと訴えった。皇子には怯える必要がなく、どうしても解せないという。一方、王儇(オウケン)の護衛・龐癸(ホウキ)は豫章(ヨショウ)王が密かに民家に通っていることを突き止めた。しかし徐(ジョ)女官が王妃と宮殿に滞在しているため相談できない。そこで翌日、再びひとりで出かけた豫章王を追跡した。まさか自分のあとを付けている女がいるとは知らずに…。子隆は皇子が怯える理由を探すため太史令を頼った。すると太史令は大きな災難を意味する廉貞(レンテイ)星が存在すると報告、その星は卑賤(ヒセン)の生まれながら一気に出世した星だという。「以前は北の方にいましたが、今は紫微(シビ)星に近く、皇都またはその周辺にいるでしょう」子隆は真っ先に蕭綦(ショウキ)を思い出し、顔色が一変した。実は太史令・盧子雲(ロシウン)は宛如の亡き父・謝淵(シャエン)の門下生だった。宛如は謝氏に恩がある太史令を利用し、皇帝に豫章王を排除させようと企む。「賀蘭箴(ガランシン)に伝えてちょうだい、動く準備をするようにと…」賀蘭箴が忽蘭(クラン)へ帰国してから侵犯はなく、辺境は静かだった。しかし蕭綦は報告を聞いても警戒を怠らないよう釘を刺す。すると穏やかな日々が性に合わない胡光烈(ココウレツ)がふと寧朔が恋しいと漏らした。「朝廷が安定し、肩の荷を下ろせる時が来たら一緒に帰ろう」( ๑≧ꇴ≦)<その言葉を待っていました!その頃、豫章王府に幸せいっぱいの蕭玉岫(ショウギョクシュウ)が訪ねて来た。実は宋懐恩(ソウカイオン)が江南に発ってすぐ懐妊が分かり、ようやく安定期に入って外出が認められたという。王儇は興味津々、懐妊するとどんな気分なのか、性別はどちらがいいかと矢継ぎ早に聞いた。そこへ徐女官が王妃の薬湯を持って来る。しかし徐女官は無神経な玉岫に苛立ちを隠せず、何も知らない玉岫は困惑した。子隆は永安宮に母を訪ね、太史令の話を伝えた。「事が重大だけに決断できません、母后がご決断を」すると皇太后は1ヶ月後にちょうど大臣たちが狩り場に行くと思い出した。そこで狩り場で刺客が皇帝の命を狙い、豫章王が皇帝を守って殉職するという筋書きを思いつく。子隆は妙策だと喜び、これなら阿嫵(アーウォ)との溝が深くなることもないと安堵した。こんな時まで阿嫵を心配する子隆に皇太后は思わずため息を漏らし、邪魔をすればたとえ阿嫵でも排除するという。(´・_・),<そうですね、覚えておきます徐女官は龐癸を訪ね、大王への疑いは誤解だったと伝えた。しかし大王を探っていた龐癸は思わぬ秘密を見つけたという。「この場所に長くて半月、短ければ5日ほど、私服で出入りされています」地図に印をつけた屋敷には2人の子供を連れた竇(トウ)という女人が住んでいた。一方、江南でも江夏王・王夙(オウシュク)が思わぬ密書を受け取っていた。「誰からだ?!」「名乗りませんでした」「次にその者が来たら捕まえておけ」紙切れに書かれた″夙″の文字は確かに死んだはずの父・王藺(オウリン)の筆跡だった。その夜、徐女官は王妃の寝支度をしながら上の空だった。王儇はまだ玉岫のことで不機嫌なのだと呆れたが、徐女官は思い切って地図を差し出す。「先ほど龐癸から報告を受けました…」皇子は相変わらず昼夜を問わず泣き続けた。宛如は眠れない日々が続き疲れ果て、皇帝も昭陽殿に寄り付かなくなってしまう。悶々とする宛如、しかしそんな皇后よそに子隆ははつらつとした妃嬪と楽しんでいた。江夏王はひとまず治水に成功、民への手当てもひと段落ついた。しかし蕭綦は慢心せず、朝廷からの資金と食料を早く届けるよう進言する。すると王府から急な知らせが舞い込んだ。蕭綦は慌てて竇夫人の屋敷へ駆けつけた。恐る恐る戸を開ける蕭綦、するとそこで王儇が子供と楽しそうに遊んでいる。実は竇夫人は蕭綦と軍で同期だった盟友の妻だった。王儇は蕭綦が亡くなった盟友の子供たちの面倒を見ていると夫人から聞いたという。「隠し事はなしよ」「…そなたが誤解したらと思って」その日、小禾(ショウカ)や沁之(シンシ)と触れ合った王儇は、王府に戻ると申太医を呼ぶよう頼んだ。蕭綦は宮中を訪ね、皇帝に謁見した。すると子隆はちょうど話があると切り出し、来月に狩りに出かけたいという。本来なら天候や天下太平を祈る恒例行事だったが、晩年の先帝は身体が弱く、何年も狩りに出かけていなかった。「どう思う?」「異論はありません」しかし豫章王の話は意外なものだった。「政務を辞任させてください…寧朔に帰ります」蕭綦は朝廷が安定したため、武将として国を守る本分を果たしたいという。ちょうどその頃、豫章王府に申太医が到着した。つづく( ๑≧ꇴ≦)子隆wすっかり見直したのに、ここぞという時はママ頼みなのねw
2022.02.17
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上阳赋 The Rebel Princess第46話「皇子の誕生」皇后・謝宛如(シャエンジョ)が産気づいた。臨月までまだ3ヶ月、急な早産に驚いた皇帝・馬子隆(バシリュウ)は昭陽殿に駆けつけ、何としてでも母子を守れと叱咤する。一方、夜中に起こされた皇太后は面倒臭そうに着替えていた。桂(ケイ)嬷嬷(モーモー)は皇帝がこの数日、辛(シン)貴人を訪ねていたため、皇后の気を引く作戦だと揶揄する。「まあいいわ、行きましょう、初孫には違いないのだから…」皇后は難産で苦しみながらもついに皇子を出産した。謝家の血筋だと冷静だった皇太后も、息子そっくりな孫を抱いて目尻を下げる。一方、王儇(オウケン)も翌朝、蕭綦(ショウキ)から皇子の誕生を聞いた。「時が経つのは早いものね…」一緒に育って来た兄の王夙(オウシュク)と宛如が親になったと思うと王儇は感慨深い。すると蕭綦はそのまま阿嫵(アブ)と寝所にこもった。その頃、北の地で死を装った王藺(オウリン)は道なき道を進んでいた。護衛は皇都に戻るよう勧めたが、警戒心の強い王藺は嘘とはいつか露呈するものだと戒める。そんな王藺にとって江南の水害が思わぬ助けとなった。「まさか私が行くとは誰も思うまい」護衛は疫病が蔓延していると反対したが、王藺は江南で治水にあたる息子・王夙を訪ねると譲らなかった。「心配ならここで待て」王夙が避難民を集めたおかげで人手不足は解消された。しかし梅雨はまだ1ヶ月は続くため、先手を打たねばならないと気を引き締める。そんな中、突然、見覚えのある美しい娘が王夙を訪ねて来た。「…采微か?久しぶりだな」聞けば顧氏は江南陵陽(リョウヨウ)の出身、大雨で祖父の墓が損壊したと知らせがあり、朝廷にいる兄の代わりに修繕に来ていたという。王夙は力を貸すと申し出たが、実は采微が来たのは治水に人手が足りないと聞いたからだった。「江南の士族は顧氏から恩恵を受けているため、力になれるかと…」宮殿で皇子の誕生を祝う盛大な宴会が開かれた。しかしなぜか主役の皇子と皇后の姿がない。その頃、宛如は泣き止まない皇子に苛立ち、宮女たちに八つ当たりしていた。皇子が病弱だと噂になれば皇太子の地位に影響しかねない。鄭(テイ)嬷嬷(モーモー)はかんの虫退治も試したが効果がなかったと訴え、仕方なくある方法を提案した。皇后が遅れて息子・馬静(バセイ)を連れて大殿に現れた。皇帝は早速、臣下たちに皇子を披露、阿嫵に自分の子供を見てくれという。そこで王儇は席を立ち、皇子を腕に抱かせてもらった。皇子は眠っていたが、なぜか顔が赤く、様子がおかしい。しかし王儇は何も言わず席へ戻った。祝宴はお開きとなり、王儇は申太医の治療を受けるため鳳池(ホウチ)宮に泊まることになった。「明日、迎えに来よう…酒は飲むなよ」「…はお」すると王儇は意味ありげに微笑んで蕭綦と別れた。王儇は道すがら徐(ジョ)女官に小皇子の様子が変だったと教えた。「ものすごく顔が赤かったの、でも汗は出ていなかった」しかし徐女官は多くの付き人がいる皇子に問題があるとは思えないという。王儇は皇子を抱いた時に酒気がしたと言ったが、確かに自分の匂いだったかもしれないと笑った。鳳池宮の宮女たちは郡主との再会を喜んだ。「お帰りをお待ちしていました!王妃、申太医がお待ちです」皇祖母から賜った鳳池宮は今も何ら変わっていない。…民たちは″宮殿は欲望の城だ″という…山のような財宝と権力があり、富み栄えた場所だと言うが…私にとって宮殿は鎖であり邪悪な獣そのもの、それでいて我が家のようにも感じる…好きだけど怖くもある…今なら分かる、宮殿には愛すべき親族たちがいるが、怖いのもまた彼らだと王儇は治療が終わると、中庭の木の根を掘り始めた。実は成人の儀の前にこの下に桃花酒を埋めたという。「せっかくだから味見しないと…」「大王の言いつけを忘れたのですか?」王儇は徐女官に叱られたが、2人だけの秘密だと説得した。「少しだけですよ?」「酔わないと誓うわ」しかしそこへ招かれざる客が現れた。皇太后は阿嫵が鳳池宮に泊まると知り、急に訪ねて来た。困惑する王儇をよそに酒を飲もうと誘う皇太后、しかし王儇は口をつけようとしない。そこで皇太后は昔話を持ち出して叔母と姪の情を懐かしんだ。「…あの頃、太后は私の叔母で、私は阿嫵でした」「そうよ、私はずっとあなたの叔母です、あなたが成長して言うことを聞かなくなっただけ」皇太后は冗談めかして笑いながら、もし皇帝に嫁いでいれば何も変わらなかったという。「そなたがあの頃のままなら良かったのに…」一方、宛如は皇子に酒を飲ませて眠らせ祝宴を乗り切った。しかし昭陽殿に戻ってしばらくすると、皇子は身体中に湿疹が出て泣き出してしまう。皇太后は改めて酒を勧めたが、王儇は拒んだ。もし皇帝と婚姻すれば父と皇太后は不仲にならず、先帝も父も命を落とさずに済んだと言うのか。「母親は今も屋敷で私を待っていてくれたと?」皇太后は阿嫵がまだ自分を恨んでいると分かったが、王儇は皇太后を責めなかった。ただ自分が皇太后の障害になれば、結局、自分も排除されるのだろう。皇太后は阿嫵の言葉に驚き、和解をあきらめて席を立った。「お気をつけて」皇帝は知らせを聞いて慌てて昭陽殿に駆けつけた。確かに皇子は身体中が真っ赤になり湿疹が出ていたが、申太医は異常ないという。「…陛下、発疹の原因はおそらく酒です」「酒だと?!」太医の呆れた診断に子隆は思わずふざけるなと怒号を響かせたが…。つづく( ๑≧ꇴ≦)哥哥の満面の笑みよw
2022.02.10
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上阳赋 The Rebel Princess第45話「喜と悲」馬子澹(バシタン)は皇帝陵に戻る前、密かに蘇錦児(ソキンジ)と接触した。「…彼女はどうだ?」「王妃はお元気です、大王も王妃を大切になさっています」「やはりそうか…容易に手に入らない女だ、大切にして当然だ」すると錦児はいずれにしても王儇(オウケン)は豫章(ヨショウ)王の妻だと釘を刺した。しかし子澹は心の赴くまま生きると伝え、それより自分に協力して欲しいという。「安平王の頼みなら命でも差し出せます」「…王妃を裏切ることになってもか?」「もう裏切っています、あなた様のために…」一方、父の死を知った王儇は衝撃のあまり倒れた。駆けつけた申(シン)太医は鎮静薬を飲ませて王妃を眠らせたが、心労により古傷や流産で弱っていた身体は衰弱、また何かあれば命の危険もあるという。しかし幸いにも豫章王府には賀蘭箴(ガランシン)が贈った氷綃(ヒョウショウ)花があった。申太医の話ではこの貴重な花は傷を癒やし、寿命を延ばす効果があるという。「この花を煎じて飲めば十数年は寿命が延びます…その代わり決して懐妊してはなりませぬ」子澹は錦児が自分を皇都へ戻すため、従姉の皇后・謝宛如(シャエンジョ)の間者になったと知った。「しかし私が今世で忠誠を誓うのは安平王ただお一人です」すると子澹は自分を助けたいなら皇后であれ豫章王府であれ、ささいな動きも全て自分の腹心に伝えるよう頼む。「私の帰りを待て、お前への恩は忘れぬと約束する」王儇は幼い頃の幸せな夢を見ながら、このまま目覚めたくないと願った。しかし現実に引き戻され、氷綃花の薬を飲むことになる。蕭綦はいつものように口直しの砂糖菓子を差し出したが、王儇は口にしなかった。「両親を亡くして知ったわ、薬の苦さなどたかが知れていると…」すると蕭綦は幼い頃、両親を疫病で失ったことを思い出し、確かに永遠に続く痛みだという。思えば長く軍にいて多くの命を奪い、自分の両手は血にまみれていた。「そんな私への罰として子を持てぬのなら何も文句は言えぬ だが…天は私を気遣い、そなたを妻としてくださった」蕭綦は正直に王儇の身体では子供を産むのが難しいと伝え、2人で生きて行こうと励ました。我が子が母を失うくらいなら子はいなくていいという。「この人生では子がいなくていい」蕭綦は阿嫵(アーウォ)を抱き寄せると、王儇はしばし蕭綦の胸で泣いた。。゚(∩ω∩`)゚。だーわんその夜、皇帝・馬子隆(バシリュウ)は身重の皇后の様子を見に行った。宛如は政務で疲れた皇帝を気遣ったが、子隆はしみじみ謝家の女子は男の心をつかむのがうまいと感心する。「父皇が謝貴妃を寵愛した理由が分かる」「(はっ)他意はありません、陛下に尽くしたいと思っただけで…」「打算などとは思ぬ、そなたの心はよく分かっておる」←いや分かってないwすると宛如は近頃、お腹の子が何度も寝返りを打ってよく眠れず、どうも心が落ち着かないと言った。「どんなことであれ見過ごさず、用心した方がよいのでは?」一方、皇太后は王倩(オウセン)の失敗にもめげず、新たに選抜させた妃嬪たちを入宮させていた。しかし目を掛けていた娘・顧采薇(コサイビ)が選ばれなかったと知り、側室が駄目なら甥・王夙(オウシュク)の相手にするのも悪くないという。忽蘭(クラン)の使者として皇都に来ていた賀蘭箴たちは帰国の途についた。一行の中には賀蘭拓(ガランタク)に嫁ぐ王倩の馬車もあったが、見送りは一人もいない。同じ頃、豫章王府の前には宋懐恩(ソウカイオン)が花嫁を迎えに来ていた。義妹の門出を笑顔で送り出したい王儇だったが、これまで苦楽を共にして来た蕭玉岫(ショウギョクシュウ)との別れに涙をこらえるだけで精一杯となる。「行きなさい…」すると玉岫は最後に叩頭し、別れの挨拶とした。粛毅(シュクキ)伯府で宋懐恩と玉岫の盛大な祝宴が行なわれた。懐恩は酔った勢いで床入りの儀へ向かったが、玉岫の花嫁姿にあの日の王儇の姿を重ねてしまう。そんな王妃への秘めた思いを隠し、懐恩は玉岫を抱きしめ、全てを心の中に封じ込めた。懐恩は新妻を残し、江夏王と共に江南へ旅立った。王夙と宋懐恩は早速、治水工事に取りかかったが、造っても造ってもすぐ雨で崩され、やがて人も馬も限界に近づく。水害により広まった疫病もいよいよ薬が底をつき、このままでは持ちこたえられそうになかった。ともかく排水路が完成しなければ話にならず、王夙は働き盛りの男を工事に合流させる命令を出すと決める。「労働時間別に食料を分ける、そうすれば兵士も休めるし、避難民には仕事ができる」その夜、皇都も雷雨になった。王儇は窓から外を眺めながら、江南ではどれほどの雨なのだろうと兄を心配する。思えばこの時、王儇は兄との別れで泣いていなかった。恐らく兄が江南へ夢を叶えに行ったからだろう。…しばらくして予想通りの結末になったと知ったが、その間、何が起きたのかは予想できなかった…のちに哥哥と再会した日、何もかもが変わり果ててしまっていた一方、宮中では突然、皇后が産気づいていた。つづく(  ̄꒳ ̄)色々とフラグが立ってます
2022.02.10
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上阳赋 The Rebel Princess第44話「欲望の代償」蕭綦(ショウキ)は王倩(オウセン)に毒を盛られ、自ら手を切って排毒していた。駆けつけた劉(リュウ)執事は驚いて太医を呼ぶことにしたが、蕭綦はうつらうつらしながらも止める。「大事にするな」一方、江夏王・王夙(オウシュク)は王儇を心配して豫章王府までやって来た。しかし正門は堅く閉じたまま、応答がない。そこで裏門へ回ってみると、どこへ出かけていたのか阿嫵(アーウォ)と出くわした。王儇(オウケン)は兄に気づいたが、とても話す気分になれず奥へ行ってしまう。薛(セツ)夫人は池に落ちてずぶ濡れになった王倩を連れ寝殿に戻った。しかし聞いてみると計画は失敗、ひとまず騒ぎを大きくして自分を側室にせざるを得なくしようとしたという。行き当たりばったりの娘に困惑する薛夫人だったが、実は王倩には思わぬ収穫があった。「母親(ムーチン)、さっき書斎である秘密を知ったの…」王夙は徐(ジョ)女官に何があったのか聞いた。徐女官は事情を説明したが我慢できず、これまで王妃が豫章王から避妊薬を飲まされていたことまで暴露してしまう。これに王夙は激怒、豫章王の書斎に乗り込むなり殴りかかった。王儇が王倩の様子を見に来た。「詳しく説明してちょうだい、心配しないで、大王の仕業なら豫章王府が責任を取るわ」すると薛夫人がこの件にはある秘密が隠されているという。王倩は豫章王が王儇に飲ませている薬が避妊薬で、長く飲めば2度と子が持てないと教えた。にわかに信じられない王儇、そこで王倩はもう一押し必要だと企む。「大王は私を抱きながら…こう言ったの…大王は…その〜私からは言えない」王倩は咄嗟に作り話が思い浮かばず、母の顔を見た。「それが…大王は倩児を抱きながら… ″王妃は子を産めぬ身体、ゆえにお前が産んだ子を王妃の子として育てる″と…」薛夫人の残酷な言葉に王儇は立ちくらみを起こした。しかし決して取り乱さず、ともかく自分の病状を確かめるため太医を呼ぶよう命じる。拝命した阿越(アエツ)はすぐ出ていくと、回廊で慌てふためく徐女官と出会した。徐女官は王妃の元へ駆けつけ、実は興奮した王夙が大王につかみかかっていると報告した。驚いた王儇はすぐさま大王の書斎へ、するとまさに兄が短剣を振り上げ、蕭綦を刺そうとしている。咄嗟に江夏王にしがみつく劉執事、急いで引き止める徐女官、そんな騒ぎの中、王儇の目に映ったのは手から血を流し朦朧とする蕭綦の姿だった。王夙と徐女官は豫章王から事情を聞いた。しかし王夙は信じられず、夫婦を残し、外で申太医の到着を待つことにする。するとちょうど阿越が太医を連れて戻って来た。王儇は手首を切った蕭綦を介抱しながら、なぜ自分が避妊薬を飲まされていたのか知った。蕭綦は必ず治療法を見つけると励ましたが、王儇は蕭綦が子供を持てない可能性があると危惧する。「…私の子を産むのは王儇ただ一人、持てなくてもいいさ 私が年老いてこの世を去る時、そなたさえいれば十分だ」王儇は蕭綦の深い愛情に涙し、これからは2度と蕭綦を疑わないと誓った。。゚(∩ω∩`)゚。 だーわん王夙は申太医から阿嫵の病状を聞いた。自分の誤解だったと知った王夙はともかくすぐ蕭綦の診察を頼む。すると確かに蕭綦は強い媚薬を大量に飲まされていたと分かった。幸い大王がすぐ自分で血を排出し、身体に害が残らずに済んだという。薛夫人と王倩が待ちくたびれていると、ようやく王儇が戻って来た。大王と江夏王が揉めていたなら朗報だと期待する母娘、しかしどうも様子がおかしい。すると王儇は王倩にどうやって大王の書斎に入ったのか聞いた。王倩は何食わぬ顔で守衛が入れてくれたと答えたが、守衛から聞いた話では薛夫人が転んで歩けないと訴え、手を貸している隙に侵入されてしまったという。そこで薛夫人は部下が大王をかばうのは当然だと主張した。「だとしても…大王が自ら媚薬を飲んだとでも?」王儇は言い逃れする王倩に近づき、髪の毛の匂いを嗅いだ。やはり綺羅(キラ)香の匂いが残っている。「王氏の屋敷は嫌だと大騒ぎして来た2人を厚意で迎えたのに… まさかこんな悪質な策略があったとは…よくも騙してくれたわね?」薛夫人は引くに引けなくなり、濡れ衣だと憤慨して王儇をねじ伏せようとした。すると王夙が現れる。「どこまで面の皮が厚いのだ!…阿嫵、これがお前が救おうとしていた人間たちの本性だ」王夙は阿嫵が2人のために賀蘭箴(ガランシン)に頭まで下げ、そのお陰で文が届いたと投げつけた。薛夫人と王倩は慌てて文を拾って確認すると、賀蘭箴は王儇との友情を鑑み、王倩との婚約話を破棄するという。喜んだ2人はそれまでの無礼な態度を一変、急に殊勝になった。そこで王儇は王倩から文を取り上げ、結局、今回の騒ぎは2人の仕業かと迫る。「認めるの?」「…私が間違っていました!」「王妃、どうか愚か者をお許しください!」王倩と薛夫人はその場に平伏し、許しを請うた。しかし王儇は罪を認めた以上は忽蘭(クラン)へ嫁げと言い放ち、賀蘭箴からの文を燃やしてしまう。翌朝、皇太后は桂(ケイ)嬷嬷(モーモー)から豫章王府での騒ぎを聞いた。「愚かな子ね…」皇太后は王倩のために奔走した阿嫵を思うと不憫になってしまう。今や疎遠になってしまった可愛い姪、しかし再び刺客が現れても助けてくれるのは阿嫵だけだと分かっていた。「大事にしながらも用心しなくては…これも天の定めよ」一方、賀蘭箴も江夏王から王倩の件を撤回すると知らせを受けた。なぜ一夜にして王倩を嫁がせる気になったのか。不審に思った賀蘭箴は忽耶奇(コツヤキ)に豫章王府を調べるよう命じた。「それなら蘇錦児(ソキンジ)に聞けば分かります」王倩母娘は江夏王の屋敷へ戻り、ついに公主に封じられた。王倩の輿入れは宋懐恩(ソウカイオン)と玉岫(ギョクシュウ)の婚礼と同じ日、そこで王夙は王倩が忽蘭に到着したら薛夫人を琅琊に帰し、2度と皇都に来させないと決める。一方、王儇は静かな朝を迎え、蕭綦と朝食の席に着いた。すると蕭綦が突然、玉岫に王妃がいつも飲んでいる酒を用意してくれと頼む。「今日は例外だ…」蕭綦は2度と隠し事はしないと約束した以上、正直に伝えようと決めた。「話さねばならぬことがある…岳父が、つまり君の父上が亡くなった」実は王夙もすでに知っているという。蘇錦児は来るはずのない故郷からの手紙を受け取った。「(はっ)安平王が戻られたのね…」喜んだ錦児は街へ出かけ、指示通り春来巷(シュンライコウ)を探す。すると安平王の従者がわざと錦児にぶつかり、目配せして隠れ家まで案内した。馬子澹(バシタン)は粗末な屋敷で蘇錦児を待っていた。「今夜、皇帝陵に帰る」「今夜ですか?…私には分かりません、なぜこんなご苦労をなさるのか」「太后と皇帝を安心させておけば長く生きられる…で、彼女はどうだ?」「王妃ですか?」「…そうは呼びたくないが今は仕方がない、豫章王妃と呼ぼう」つづく( ๑≧ꇴ≦)面倒臭いの終わった!…でも気は抜かないで〜w
2022.02.04
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上阳赋 The Rebel Princess第43話「誠意あるもてなし」江南の治水を任された江夏王・王夙(オウシュク)は王儇(オウケン)に誘われて慈安寺にやって来た。兄妹水入らずで過ごす亡き母の居所、すると王儇が保存していた治水策を返してくれる。王夙は3年かけて書き上げた治水策を懐かしんだが、もはや当時の勇ましい青年ではないとこぼした。もし失敗すれば大成に王氏の居場所はなくなるだろう。しかし王儇は今でも江南から戻った兄が治水策に情熱を注いだ姿を良く覚えていた。「信じているわ、母親(ムーチン)もきっと同じよ…私は皇都で美酒を用意して哥哥の帰りを待ってる」「…約束するよ、成功して戻り、その酒を飲む」賀蘭箴(ガランシン)は豫章王妃から文を受け取った。何でも急に予定を変更し、江夏王府で会いたいという。賀蘭箴は素直に屋敷を訪ね、確かに王妃が心からもてなしてくれるなら心変わりもあると意味ありげに言った。王儇は賀蘭箴の希望で庭園を案内した。すると賀蘭箴は大成を去る前に王儇と会いたかったとやけに馴れ馴れしい。しかし王儇は警戒し、自重するよう諌めた。「で、阿嫵(アーウォ)はここで育ったのか?」「…アーウォ?」何とか王儇とのわだかまりを解きたい賀蘭箴だったが、改めて″豫章王妃″と言い直した。「深読みするな、今日1日だけでも気兼ねない友になりたいだけさ」一方、薛(セツ)夫人は王儇が江夏王府に出かけ、夕食も済ませてくると知った。そこで急いで寝殿に戻り、王倩(オウセン)にこれが最後の好機になると伝える。父と兄が生きていればこんな屈辱は受けずに済んだだろう。しかし王倩は今となってはこれが最善の方法だと覚悟を決めた。薛夫人は王倩を美しく着飾ってから正堂へ連れて行った。「階段の下に兵がいるわ、私が気を引くからその間にこっそり入りなさい」すると薛夫人はわざと転んで兵士に助けを求める。王倩はその隙に上階へ一気に駆け上がり、豫章王の書斎に忍び込んで媚薬を仕込んだ。王夙は宴席をもうけ、賀蘭箴に公主を王倩以外の女に変えて欲しいと頼んだ。「もちろん礼は惜しみません」そこで賀蘭箴にも美しい娘を献上することにしたが、賀蘭箴はそれより王妃の舞踊が見たいという。王夙は妹への無礼に激怒、賀蘭箴を追い返そうとしたが、王儇は王倩を救うため条件を飲んだ。日が暮れる頃、蕭綦(ショウキ)が王府に帰って来た。ひとまず王倩は物陰に隠れて機会をうかがうことにしたが、思いがけず蕭綦が太医を連れて書斎に入ってくる。「王妃の病状は良くなったか?」「それは…ご存知の通り流産の時の出血が多く、懸命な治療で一命は取り止めましたが…」王儇の病は完治していなかった。実は王儇は例え懐妊しても身体がもたず、また流産すれば命の危険があるという。蕭綦は王儇の病状を知りながら王妃が唯一の妻であると公言し、笑顔の裏で苦悩しながら王儇に避妊薬を飲ませていたのだ。そんな献身的な大王のためにも太医はあらゆる手を尽くして王妃の治療薬を見つけると誓う。蕭綦はともかく王妃を生かすことが先決だと伝え、水を飲んで喉を潤した。王儇の舞踊が始まった。その舞を見た賀蘭箴は思わず席を立ち、王儇と共に踊り始める。「まさか忽蘭(クラン)の踊りを知っていたとはな…」賀蘭箴は王儇の誠意を受け取り、手厚いもてなしだったと感謝して帰って行った。賀蘭箴は蕭綦を始末する代償として王儇の要求を飲むことにした。忽耶奇(コツヤキ)は確かに王妃には並はずれた魅力があるが、蕭綦の死後に安平王・馬子澹(バシタン)に捧げる約束だと釘を刺す。「たかが女のために計画を棒に振ると?!」「分かっているさ…自分の心なら」王儇はかつて草原で見た忽蘭の踊りを覚えていた。すっかり悪酔いした王夙は門まで妹を見送りながら、なぜ王倩を助けるのかと首を傾げる。確かに玉岫(ギョクシュウ)の件は許せなかったが、それでも王儇は王倩が駒になるのを見過ごせなかった。「婚姻の強制が嫌なの…」「蕭綦との婚姻を根に持っていると?」「いいえ…彼は優しいわ」王儇は夫婦喧嘩のことを隠して帰ったが、王夙は徐(ジョ)女官の困惑した様子を見て何かあったと察した。「王安(オウアン)、馬車を用意してくれ、後を追う」蕭綦はひとりになると水の中に入っていた媚薬のせいで急に身体が火照って来た。何度も王儇の帰りを確認するが、まだ戻って来ないという。やがて蕭綦は衣をゆるめ、熱さのせいでまた媚薬入りの水を飲んでしまう。蕭綦の様子をうかがっていた王倩は朦朧として来たことを確認、ついに背後からそっと抱きついた。「帰って来たのか?」「…はい、戻りました」王倩は王儇を装って蕭綦を誘惑、すると蕭綦はそのまま王倩を押し倒してしまう。しかし蕭綦はふと阿嫵ではなく王倩だと気づいた。「…明日になったらここを去れ、2度と現れるな」憤慨した蕭綦は必死に理性を保ち、王倩を突き飛ばした。「…大王、仕方ありません、私を恨まないで」すると王倩は部屋を飛び出し、泣きながら王府を出て行ってしまう。その頃、豫章王府に戻った王儇は寝支度をしていた。すると徐女官が駆けつけ、王倩が裏門から飛び出し、池に飛び込んだと知らせる。王儇たちは慌てて様子を見に行ったが、すでに人だかりができていた。薛夫人はこれを利用し、娘が従姉の夫である豫章王に辱められたと吹聴する。思わぬ騒ぎに困惑する王儇、ともかくすぐ屋敷へ戻るよう命じ、大王を呼んでくるよう頼んだ。劉(リュウ)執事は急いで大王の書斎に駆けつけた。すると蕭綦が手首から血を流している。驚いた劉執事は咄嗟に戸を閉め、大王に駆け寄った。「大王!何事ですか?」つづく( ๑≧ꇴ≦)そうか、あの謎の踊りは忽蘭の鷹の舞だったのか…って、知らんけどw
2022.02.03
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上阳赋 The Rebel Princess第42話「夫婦喧嘩」忽蘭(クラン)王子・賀蘭箴(ガランシン)は皇后と安平王の双方と手を組んだ。しかしどちらとも結託するつもりはない。するとその夜、忽耶奇(コツヤキ)が豫章王府に現れ、王妃に伝言を託した。「あさっての巳の刻、南の鹿苑(ロクオン)だ…そのまま王妃に伝えよ」一方、昭陽殿では懐妊中の謝宛如(シャエンジョ)がまた刺客に襲われる夢を見て飛び起きていた。隣で眠っていた皇帝・馬子隆(バシリュウ)も驚いて目を覚まし、急いで太医を呼ぶよう命じる。「夢の中で刺客に腹を刺され急に腹痛が…この子の命を狙う者がいるはずです」しかし太医が脈診の結果、中毒症状はなく、ただ流産の危険性があると伝えた。「今後は絶対安静です、心穏やかにお過ごしください」朝議で王夙(オウシュク)は江夏王に封じられ、正式な王氏の長と認められた。また宋懐恩(ソウカイオン)も粛毅(シュクキ)伯の称号と同時に70里の土地と屋敷を賜り、2人は正式に江南の治水にあたるよう命じられる。こうして王夙は水路の総監督と監察御史に、懐恩も副監督と監察御史を兼任すると決まった。一方、宛如は密かに道士を呼び、夢占いを頼んだ。道士は確かに不吉だと伝えたが、だからと言って解決法などない。すると宛如の脳裏にふと豫章王の姿が浮かんだ。「はっ!蕭綦(ショウキ)?!…あの男よ! 疑わしき者は排除しなくては…この子は謝氏と私の希望なのだから」蘇錦児(ソキンジ)は風邪を引いて寝込んだ。心配した王儇(オウケン)は栄養のある食事と練炭を届けるよう命じたが、錦児は薬をもらっても火鉢に捨ててしまう。実は錦児は王妃のお供をせずにすむよう病を長引かせていた。…裏切り者のくせに気取りやがって、俺は気に入った女をすべて手に入れて来た…錦児は忽耶奇の脅し文句を思い出して身震いし、2度と悪魔に会いたくないと布団にくるまった。劉(リュウ)執事は悩んだ末、忽耶奇の王妃への伝言を大王に報告した。「分かった…下がれ」蕭綦は冷静に見えたが、執事が出ていくと怒りを抑えられず、机を蹴り飛ばしてしまう。腹を立てた様子で王儇を探す蕭綦、その姿を偶然、薛(セツ)夫人が見かけた。そこで急ぎ王倩(オウセン)の元へ駆けつけ、好機が来たという。王儇は金剛経の第6話・正信希有分(正しい信頼など実にまれだ)を書写していた。すると蕭綦が現れ、話があると言って徐(ジョ)女官を下げてしまう。「どうしたの?」王儇は蕭綦が珍しく怒っていると気づいて困惑した。「私に話があるはずだが…阿嫵?私に言うことはないか?」「何が言いたいのか分からないわ」そこで蕭綦は″南の鹿苑″を持ち出し、なぜ自分に隠れて賀蘭箴と会うのかと迫る。王儇は仕方なく賀蘭箴を説得して王倩を助けたいと説明したが、蕭綦は王倩のためなら何をしてもいいのかと声を荒らげた。「…あなたは幼い頃から独りだったけれど私は違う、王氏の一員なの、家族の意味が分かる?」「はお…成功を祈るよ」薛夫人の予想通り夫婦喧嘩した蕭綦は奥から出て来た。すると待ち伏せしていた王倩が暗がりからふいに現れる。王倩は行く末が不安で散歩していたと嘘をつき、か弱い娘を装って話し相手になって欲しいと頼んだ。「姐夫…一緒にいてください」思わず蕭綦の腕にしがみつく王倩、しかし蕭綦は王倩の手を振り解き、行ってしまう。薛夫人は娘が上手く豫章王を誘惑できるよう祈って待っていた。すると予想外に早く王倩が帰ってくる。王倩は布団にくるまり、庭園のそばで凍えそうになりながら半刻も待ったが、豫章王は自分に目もくれなかったと嘆いた。一方、宛如は悪夢のせいで弱気になったのか、ふと昔を思い出した。王儇への対抗心に駆られてここまで来たが、思えばかつては姉妹のようだったと懐かしむ。あの頃は阿嫵が子澹の王妃になると信じて疑わなかった。もし自分も士族に嫁いでいれば、こうして阿嫵と敵対することもなかっただろう。しかし王氏と謝氏、どちらにしても敵対する運命だったのだ。ここで情けをかけたり懐かしめば謝貴妃と同じ未来が待っている。「私は一族のため、お腹の子のために情などかけてはいけない…」その夜、蕭綦は奥に戻らなかった。王儇は眠れない夜を過ごしながら、蕭綦の妻であってもやはり王氏の娘であることに変わりないと身につまされる。…倩児は家族、傍観することはできない、蕭綦、安心して、あなたを傷つけたりしないから…翌朝、王儇は王夙と治水の祈願のため慈安寺に出かけた。劉執事は見送りに出たが、どこか様子がおかしい。すると馬車の中で徐女官が大王に告げ口したのが劉執事だと教えた。「知られた以上、大王は黙っておられぬかと…この件からは手を引いた方が…」「助けると約束したからには途中で投げ出せないわ…安心して、何とかする」王儇は一か八かの賭けに出ようとしていた。王儇は王夙が昔、書き上げた治水策を返した。実は王夙は自暴自棄になって捨てようとしたが、王儇が保管し、今も大切に持っていたという。あの時、王儇は兄を信じていると言った。王夙は当時を思い出して目頭が熱くなり、3年かけて書き上げた治水策を懐かしむ。「だが時が経ち、あの頃の勇ましい青年ではなくなったがな…」つづく( ̄▽ ̄;)今さら何だけど…上手いけど…やっぱり″夫婦″って感じはしないな~
2022.01.27
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上阳赋 The Rebel Princess第41話「秘密の同盟」王倩(オウセン)を救うため密かに賀蘭箴(ガランシン)に接触した王儇(オウケン)。すると王妃を待っていた蘇錦児(ソキンジ)は忽耶奇(コツヤキ)に誘い出され、豫章王府で起きる出来事を逐一、報告するよう脅された。「万一、正体が露呈すればお前の生きる場所はなくなる」忽耶奇が戻ると賀蘭箴はひとり露台に立っていた。「王妃のそばにいる侍女が皇后が言っていた蘇錦児です、話もつけました 脅しをかけたらおとなしく従いましたよ」忽耶奇はたかが一介の女だと言ったが、賀蘭箴は女を甘く見るなと釘を刺しておいた。王儇は賀蘭箴の説得に失敗し屋敷へ帰った。そこで今度は龐癸(ホウキ)も連れて賀蘭箴を訪ねると決める。錦児は忽蘭(クラン)人に会いたくないと帯同を拒んだが、王儇は錦児しか頼める相手がいないと言った。「分かりました…」仕方なく拝命した錦児、しかし忽耶奇への嫌悪はどうしても拭えなかった。一方、皇帝・馬子隆(バシリュウ)は江南の水害に頭を悩ませていた。すると皇太后が現れ、王夙(オウシュク)と宋懐恩(ソウカイオン)を江南へ送り、治水に当たらせればいいと勧める。子隆は国の一大事を未経験の2人に託すのはどうかと難色を示したが、皇太后はすべて息子のためだと言った。兄の勢力でさえ勝てなかった豫章王、このまま放っておけばいずれ悩みの種になる。実は朝議で温宗慎(オンシュウシン)が兵の削減を建議したのは皇太后の差金だった。「夙児と宋懐恩を江南に送り、その機会を狙って豫章王の命を奪うの」「でも…阿嫵(アーウォ)はどうなるのです?」ぁ…何でもないです(; ̄▽ ̄) キッ!( ・`ω・´) 蕭綦(ショウキ)が王府へ戻ると王倩母娘が住まいを移していた。奥のことは報告しなくても良いと言ったが、劉(リュウ)執事は気になることがあると奥歯に衣着せる。「何だ?」「…以前、王妃に贈り物を届けた忽蘭の者がまた来ました」「分かった」王倩は蕭綦に気に入られようと少しでも美しく見える衣を選んでいた。しかし薛(セツ)夫人はどんなに着飾ろうと美しさで王儇に勝てないと分かっている。それよりむしろ憔悴した姿のままが良いだろう。「まだ子供だから男心が分からないのね、食事の時はか弱い女を演じなさい」( ゚д゚)お、おう王儇は王倩母娘を夕食に呼んでいた。蕭綦は表向き2人を歓迎したが我関せず、王儇に世子と宋懐恩が江南の治水に当たると報告する。すると食事が始まって早々、劉家職が現れた。将軍たちが正堂に集まったという。蕭綦はそこで食事を切り上げ席を立つと、王儇は困惑する母娘にいつものことだと笑顔を見せた。胡光烈(ココウレツ)と胡瑶(コヨウ)は兵の削減を持ち出した朝廷に怒り心頭だった。すると蕭綦はこの機会に宋懐恩に江南行きを知らせる。王藺(オウリン)が失脚したとはいえ皇太后は王氏、このまま没落を黙って見ていられないのだろう。皇太后の企みが何であれ、ともかく今は江南の被災民を優先させる必要があった。確かに王夙は苦労知らずの道楽息子だが、その治水策は理路整然で実現も可能だという。「だが懐恩…向こうに行けば水害や流民、疫病以外にも気をつけるべきものがある 人の心は計り知れぬ」「肝に銘じます」そこで蕭綦は江南へ発つ前に懐恩と玉秀(ギョクシュウ)の婚姻を決めた。翌朝、豫章王府に宮殿から慶事の使いがやって来た。王倩はいよいよ公主に封じられてしまうと誤解、部屋の片隅に隠れて泣いている。しかし使いが来たのは玉秀へ詔書を届けるためだった。「賜名は蕭玉岫(ショウギョクシュウ)とし、将軍・宋懐恩との婚姻を許可する 2人の婚儀は10日後に挙行するものとする」すると慶事房から美しい花嫁の礼冠が贈られ、さらに皇太后と皇帝から金銀珠宝と金襴緞子を賜った。一方、皇帝陵を抜け出した安平王・馬子澹(バシタン)は賀蘭箴と落ち合っていた。しかし安平王はやはり阿嫵を傷つけた男と同盟を結ぶのは無理だという。賀蘭箴は王儇と安平王が恋仲だったという噂が事実だと確信し、もし太平王が大成を掌握すれば愛する女を簡単に取り戻せると揺さぶった。「正直に言えば俺の目にも王妃は別格に見える…傷つけることなどできない」「つまり王子は王妃に特別の感情を抱いていると?」「ふっ、考えすぎだ、心配するな」すると子澹は今の自分は先帝に愛された三皇子ではなく帰京もままらない身、それでも役に立つのかと訝しむ。すると賀蘭箴は豫章王妃には欠かせない存在だと言った。徐(ジョ)女官は世子が江南へ行くと知り取り乱した。水害の地は疫病が蔓延、世子の身にもしものことがあれば亡き長公主に顔向けできない。そこで王儇はかつて兄が描いた治水策を見せた。実は数年前、王夙は江南を視察している。水害に遭った民に心を痛めた王夙は治水に関心を持ち、多くの資料に目を通して調査に心血を注いだ。しかし王藺は目の前で冊子を破り捨て、傷ついた王夙は三日三晩も部屋から出てこなかったという。王儇は父でさえ息子の才能を見抜けなかったと訴え、この機会に兄が日の目を見ることを望んだ。子澹は阿嫵を取り戻すため賀蘭箴と手を組むことにした。すると賀蘭箴は母を殺し、自分の腕を奪った豫章王への憎悪を募らせる。「豫章王が最も愛する女が目の前で安平王の腕に戻るのだ、どれほどの屈辱を味わうか… 死んでも死に切れないだろう、ふっ」「私が欲しいのは蕭綦の命だけではない…天下だ」王儇は王倩が宮殿からの使いを誤解して怯えていたと知り、様子を見に来た。すると王倩は王儇に抱きつき、忽蘭に行きたくないと涙する。「姐姐…私を助けて…お願い」「倩児、方法を考えているところよ、もう少し時間をちょうだい、最善を尽くすわ」つづく( ;∀;)ァァァ…本当なら錦児が幸せになるはずだったろうに…どうしてこうなった?!
2022.01.27
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上阳赋 The Rebel Princess第40話「王倩の策略」皇太后は王倩(オウセン)が永安宮ではなく昭陽殿に助けを求めたと聞いた。知恵があれば謝氏の宛如(エンジョ)が王氏の女に手を差し伸べるはずないと分かりそうなもの、皇太后は計算高い母親とは似ても似つかぬと漏らす。「殿下、もし永安宮を訪ねて来たらどうしますか?」「追い返して」薛(セツ)夫人は娘が宮中に行ったと聞いて困惑した。もし間違いを起こしたら取り返しがつかない。するとちょうど王倩が戻って来た。安堵した薛夫人は豫章(ヨショウ)王夫妻が必ず助けてくれると慰めたが、王倩は期待できないという。「皇后の方が頼れるわ」「皇后?!」実は宛如は忽蘭(クラン)へ嫁がずに済む方法は豫章王を誘惑するしかないと吹き込み、王倩に媚薬を授けていた。皇帝・馬子隆(バシリュウ)は謝守正(シャシュセイ)の件で蕭綦(ショウキ)を呼んだ。証拠の帳簿を見る限り謝守正の死罪は当然だが、水清ければ魚棲まず、このままでは国のために働く者がいなくなってしまう。「お前は忠臣だ、朕も承知しておる、しかし忠臣がたった1人で一国の朝廷と呼べるか?!」すると皇帝は調査をここで止めるよう命じた。「お前が楯つくと殺したくなる…しかしお前まで失ったら本当に孤独になってしまう、分かるな?」蕭綦は皇帝が投げ捨てた帳簿を黙って拾った。実は密かに宋懐恩(ソウカイオン)の頁を破り捨てていた蕭綦、そこで帳簿を香炉の中に投げ込んでしまう。「…分かります」その頃、安平王・馬子澹(バシタン)は皇帝陵を抜け出し、皇都に向かっていた。王倩と薛夫人は覚悟を決め、豫章王府を訪ねた。来訪を知った徐(ジョ)女官は母娘に嫌悪感をあらわにしたが、王儇は2人に会うという。「私も母親になれば何としても我が子を守りたいと思うはずよ…」王妃の言葉を聞いた徐女官はそれ以上、何も言えなくなった。その頃、玉秀(ギョクシュウ)と阿越(アエツ)は回廊でばったり王倩母娘と出くわしていた。王倩はまだ玉秀への恨みがあったが、薛夫人は下人と言い争えば自分の品格を下げるだけだと嫌味を言う。すると憤慨した阿越が玉秀に向かって急に拝礼した。「小姐、数日後には冊封ですね、大王の妹になれば王妃の小姑に、大将軍に嫁げば将軍夫人です さあ、衣の仕立てに参りましょう」こうして阿越は傲慢な王倩をやり込め、玉秀を連れて先を急いだ。王倩は王儇にすがりつき許しを請うた。そこで王儇は天子に二言がないため、他の方法を探すとなだめる。実はすでに賀蘭箴(ガランシン)と面会する約束を取り付けていたが、王倩をぬか喜びさせないよう教えなかった。落胆した王倩はこれも運命だとあきらめ、もう二度と戻れないと号泣して出て行ってしまう。薛夫人は大袈裟に倒れて泣き崩れたが、徐女官は耳をつんざくような金切り声にたまりかねた。「夫人、体調がすぐれない王妃の前で騒がないでください」「…え?王妃、お加減が?」「いいえ、寝不足なだけよ」すると薛夫人は自分たちを憐れむなら豫章王府に住まわせて欲しいと懇願した。実は皇都に来る前、占い師から″西に福あり東に難あり″と言われ、東にある王氏の屋敷でこの苦難に陥ったという。「王府は皇都の西にあります、福が訪れる方角なんです! 希望があるなら妄言にでもすがりたい!王妃~どうか助けてください!」「もう泣かないで…」王儇は平伏する叔母に手を差し伸べただけだったが、薛夫人は先走って王妃が自分たちを助けてくれると喜んだ。忽耶奇(コツヤキ)は主が王妃への情で事を仕損じることを危ぶんだ。すると賀蘭箴は蕭綦を始末するためにまずは弱点を押さえねばならないという。しかし忽耶奇は蕭綦の弱点が主の弱点でもあると感じていた。蕭綦は正堂で腹心たちと夕食を囲んだ。すると胡光烈(ココウレツ)が寧朔(ネイサク)から来た兵士の話によると、賀蘭箴は賀蘭拓(ガランタク)の罠にはまって皇都に来る羽目になったという。蕭綦は賀蘭拓が国境に軍を派遣し続け多くの兵力を失ったことから、賀蘭箴の方が冷静だと評価した。しかし戦場で生きてきた胡光烈はふと和親がまとまり戦がなくなったら、何をすればいいのか分からないと戸惑う。蕭綦は笑いながら、戦と戦の間隔を長くするのが自分たちの仕事だと言った。そんなある日、江南が水害に見舞われた。しかし大臣たちは私腹を肥やすばかりで国庫はひっ迫、そこで丞相・温宗慎(オンシュウシン)は莫大な軍事費から捻出してはどうかと進言する。和親を結べば平和が訪れ、北の国境の軍事費を削減しても問題はないはずだ。「10万の兵を故郷へ帰せば田畑を耕す者が増え、軍事費は減るのです 支出は減り、収入は倍になる、一石二鳥でしょう」その時、黙って聞いていた蕭綦が口を開いた。「温丞相、1つ伺いたいことがあります もし忽蘭が同盟を反故にし、北の国境に攻め入れば確実に私たちは負けるでしょう その時は温丞相が責任をお取りになりますか?」温宗慎は言葉につまったが、中書・顧閔汶(コビンムン)がその心配はないと助け舟を出した。忽蘭に嫁ぐのは王氏の女人、いずれ王后となり、大成の血筋である王子が生まれれば両国の絆が深まるという。「…一理ある、だがそれでは答えになっていません、もう一度お聞きします 仮に戦が起こったとして責任は誰が取るのですか?所在を明らかにしていただきたい」蕭綦はもし責任をとってくれるなら軍の指揮権も爵位も全て譲ると断言した。豫章王の言葉に静まり返る朝堂、すると皇帝は忠臣たちの言い争いにへき易し、退朝を命じて帰ってしまう。蕭綦は温宗慎が多数の声を代弁していると分かっていた。しかも力を増す温宗慎に盾つく者はいない。「我々の味方はいない…」宋懐恩(ソウカイオン)は大王が兵権を持つ以上、朝廷は何もできないと安心させたが、大臣たちは今や軍の縮小を掲げ始めた。蕭綦は権力争いしか興味のない重臣たちに嫌気が差して寧朔に帰ろうと笑ったが、懐恩は困惑する。「王妃はどうするのです?」「お前は皇都に慣れて帰りたくないのだな…それとも玉秀のためか?」しかし懐恩が言い訳する前に皇太后の使いが豫章王を呼びに来た。皇太后は江南の水害の件で豫章王に相談を持ちかけた。実はこの件を王夙(オウシュク)に任せたいという。蕭綦は治水がとても危険な任務だと難色を示したが、皇太后は王氏の世子として王夙が先頭を立って出て行くべきだと言った。「…はい、仰せの通りに」「危険を防ぐための策は講じてある」皇太后は王夙を守るため宋将軍を貸して欲しいと頼んだ。こうして蕭綦は朝廷で孤立を深めるだけでなく、右腕である懐恩まで奪われてしまう。王儇は宿舎にいる賀蘭箴を訪ねた。「和親の公主を替えて欲しいの」「予想通りだ…そう言うとは思っていたが、俺に替える義務はない」王儇は叔母の悲しみを訴えたが、賀蘭箴は身代わりになる娘のことはどうでもいいのかと呆れた。「私は聖人じゃないの、従妹を助けたいだけ」「それが本音か?…ならば俺も本音を言おう 俺は国のために女を選んだが、実のところ俺の女ではないゆえ誰でもいいのだ 王倩に決めたのはただの気まぐれだ」「ただの気まぐれで王倩の人生を壊すの?」一方、忽耶奇は階下で待っている王妃の侍女に声をかけた。「錦児(キンジ)か?…王妃がそう呼んでいた、ついて来い」忽耶奇は皇后から仰せつかったとかまをかけてみた。すると侍女が黙ってついて来る。そこで忽耶奇は回廊を曲がったところでいきなり錦児の口をふさいだ。「お前が豫章王の屋敷に送られた皇后の間者だな?」錦児は忽耶奇の言葉に呆然となった。まさか皇后が裏で忽蘭の王子と手を結んでいたとは…。「いいか、よく聞け?今日から屋敷で起こる出来事は逐一、報告しろ」つづく( ˙꒳˙ )え?アウォの着物が…🌀
2022.01.20
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上阳赋 The Rebel Princess第39話「公主選び」その夜、宮殿で忽蘭(クラン)の使節団を歓迎する宴が開かれた。王儇(オウケン)は顧采薇(コサイビ)の着替えを済ませて大殿に向ったが、ちょうど門前で皇后・謝宛如(シャエンジョ)と出くわす。宛如は旧情を温めるふりをして寛大な皇后を演じたが、王儇と別れると途端に眉を吊り上げた。宴席には王夙(オウシュク)の姿もあった。王儇は兄に中書・顧閔汶(コビンムン)の妹である采薇を紹介してから豫章王・蕭綦(ショウキ)と上座の席に向かう。すでに着席していた王倩(オウセン)は優雅に歩いてくる王儇に気づいて悪態をついたが、母に諌められた。すると豫章王夫妻の正面の席に不敵な笑みを浮かべる賀蘭箴(ガランシン)の姿がある。蕭綦は賀蘭箴を睨みつけながら座ったが、王儇はあからさまに視線をそらした。宴席に皇帝・馬子隆(バシリュウ)、皇太后、皇后がお出ましになり、いよいよ祝宴が始まった。すると皇帝が頃合いを見て士族の娘たちに特技を披露させる。くじ引きにより王倩は舞踊、采薇は″水のほとり″という題で画を描いた。才色兼備の娘たちに目を細める皇帝、そこで実は王子の来訪は忽蘭へ嫁ぐ公主を選ぶためでもあったと公表する。公主はすでに采薇に決まっていたが、皇帝が発表しようとした矢先、突然、賀蘭箴が話を遮った。「陛下にお願いがあります、王氏の女人を公主に封じて頂きたい」賀蘭箴は王氏の女を嫁に迎えて大成と姻戚になった暁には軍を100里退け、この先は戦を起こさないと約束する。予想外の展開に言葉を失う皇太后、子隆は母の手前、返答に困ったが決断した。「いいだろう」その瞬間、絶望した薛(セツ)夫人の悲鳴が殿内に響き渡った。突然の変事で采薇は難を逃れた。しかし代わりに王倩が嫁ぐことになり、従姉としては王儇も辛い。「私のせいで巻き込まれたのね…」蕭綦は大成一の士族である王氏の娘を望むのは当然だと否定し、気立が良くない王倩が入宮すればむしろ災いの種になると言った。子隆は永安宮に母を訪ねた。皇太后は側室選びの苦労が水の泡となり落胆していたが、子隆が国の平和を優先したことを喜んでくれる。しかしその笑顔の裏にはある思惑があった。実は皇太后は王倩をあきらめても、また王氏の中から娘を選んで入宮させるつもりだという。「宛如の子が公主なら何の問題もないけれど、もし皇子なら太子に封じてはだめです」「母后、宛如は皇后なのですよ?!」「″今は″皇后よ」その頃、昭陽殿に戻った宛如は笑いが止まらなかった。賀蘭箴が皇太后に一泡吹かせ、悩みの種だった側室問題をあっけなく片付けてくれるとはありがたい。思えば謝貴妃は愛情深い人だったが、分かっていなかったことがあった。後宮の女は誰であれ、本気で皇帝を愛すれば行く末は惨めなだけだ。王倩は皇太后に助けを求めようとしたが、門前払いされた。仕方なく屋敷に戻り荒れ狂う王倩、しかし王夙はなす術なく静観を決め込む。一方、王儇も悶々とした夜を過ごしていた。いくら倩児を許せなくても、以前の自分を見ているようで眠れない。…王氏の女は朝廷の犠牲になる運命なのだろうか、私には何もできないの?…早朝から薛夫人が豫章王府に乗り込んできた。侍女たちは王妃を起こさぬよう止めたが、薛夫人は寝殿の前でひざまずき動かない。その時、まだ着替えも済ませていない王儇が戸を開けた。「王妃!夫に先立たれ、息子も戦死してしまった…もうあの子しかいないのです! あの子に何かあれば…私は生きていけない!」叔母の必死な姿を目の当たりにした王儇はかつて自分を守ろうとした母の姿を思い浮かべた。拷問を免除された謝守正(シャシュセイ)は調べに応じなかった。蕭綦は手下を追い詰めるよう指示、明日は自ら大理寺へ向かうと決める。永安宮、皇太后は王倩が一晩中、泣き叫び、死ぬと騒いでいたと聞いた。やはり阿嫵(アーウォ)とは雲泥の差、すると侍女が駆けつけ豫章王妃が参内していると報告する。「倩児の件で来たのね…」王倩の公主冊封の準備は早急に進み、婚礼の支度はすでに整っていた。すると珍しく王儇が謁見を願い出ているという。子隆は喜んで書室に通したが、王倩の婚姻の件だと分かっていた。「この件は望む答えをやれぬ…」「…皇帝らしくなりました」すでに子隆は国を第一に考える立派な皇帝になっていた。和親を反故にすることなど不可能だと分かっていたが、王儇はやはり何も言えなくなってしまう。宛如は王妃と一緒に参内していた蘇錦児(ソキンジ)を密かに呼びつけた。安平王・馬子澹(バシタン)を餌にすれば錦児を操るのは簡単、そこで今や子澹の帰りを待ち望んでいるのは自分たち2人しかいないと告げる。「あの女は別の男の腕に抱かれ幸せを味わってるのにね…」すると錦児は安平王が過去の栄光を取り戻せるなら何でもすると誓った。「…ふふっ、私が王儇を殺せと言っても?」さすがに錦児が動揺すると、宛如は悪い冗談だと笑った。しかしその程度の覚悟なら用なしだと突き放す。焦った錦児はその場にひざまずき、代わりに重要な秘密を明かした。昭陽殿に戻った宛如は上機嫌だった。錦児の情報では豫章王が王儇に避妊薬を飲ませているという。さすがは頭が切れる豫章王のこと、王儇との婚姻が吉か凶か分からないため用心したのだろう。すると外から激しく泣き叫ぶ声が聞こえて来た。皇太后に見捨てられた王倩は皇后に助けを求めた。すると宛如はある企みを思いつく。「泣かないで…私もあなたが心配で眠れなかったの、でも良い方法を思いついたわ」つづく(´-ω-`)ジンR…恩義より男とは…
2022.01.20
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上阳赋 The Rebel Princess第38話「盟友」徐(ジョ)女官は豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)が避妊薬と知りながら補薬と偽って王妃に飲ませ続けていたと確信した。…結局、大王は王氏を忌み嫌い、王妃との間の子を望まないのかもしれない…一方、蕭棊は軍事費横領の罪で戸部郎中・謝守正(シャシュセイ)たちを捕まえた。しかし知らせを聞いた皇后・謝宛如(シャエンジョ)がすぐ令旨を出し、拷問が免除されてしまう。それにしても兵糧米の調達から運搬、保管を経て各部隊に配給するまで謝守正の一味だけではできないはず、共犯は誰なのか。その時、胡光烈(ココウレツ)が謝守正と一緒に兵糧米を管理していたのは宋懐恩(ソウカイオン)だと教えた。蕭綦は証拠として兵士に配給されていた兵糧米を朝議に運んだ。袋の中はもみ殻や石まで混ざっており、カビも生えている。蕭綦は謝守正が兵糧米を不正に転売したと告発、法にのっとり斬首すべきと上奏した。すると謝氏の大臣が皇后の一族を死罪にすれば皇家の権威が失墜する恐れがあると反対する。皇帝・馬子隆(バシリュウ)は皇后の親族を皆殺しにするわけにもいかず、官職を下ろし財産を没収、復職を認めないとする妥協案を出した。しかし蕭綦は即位して早々に大罪人を減免しては民の怒りを買うだけでなく朝廷を正せないと諫言し、退位を余儀なくされた先帝と同じことになると警告する。皇后と豫章王の板挟みで頭を悩ませる皇帝、結局、判断ができずにそこで退朝を命じた。王府に戻った蕭綦は宋懐恩を呼んだ。そこで玉秀(ギョクシュウ)との縁談を口実に懐恩に探りを入れる。「兵士は生まれながら金とは縁がないゆえ、支度金をはずむよう阿嫵(アーウォ)に頼んだ 婚礼の儀は盛大にやりたい」「感謝します、私にも貯蓄があります、盛大な婚礼の儀を開いて見せます、皇族や士族のように…」「皇族や士族のように?」すると蕭綦は謝守正がどんな男か聞いた。懐恩はずるがしこい男だったと答え、誕生日に贈り物が届いたが返したという。「あの日は部下が受け取りました、翌日そのことを知って返させたのです」「全てか?」「そうです…ただくすねた愚か者がいないとは言い切れません、誰の仕業か調べます!」「懐恩…今の我らは四方から見張られている」「はい、心に刻みます」蕭綦はそれ以上、追求しなかった。結局、懐恩は部屋に戻ると恨めしそうに宝箱を手放すと決める。「気をつけて処分してくれ」その頃、虎視眈々と蕭綦の首を狙う賀蘭箴(ガランシン)のもとに謝氏から会いたいと連絡が来た。まさか安平王・馬子澹(バシタン)だけでなく謝氏まで自分に会いたがるとは面白い。「蕭綦の敵は俺の盟友だ…会おう」一方、蕭綦は賀蘭箴が妓楼に閉じこもったままだと報告を聞いた。酒色に溺れるふりをして一体、何を企んでいるのだろうか。「監視を続けてくれ」思い悩んだ徐女官は王氏の護衛・龐癸(ホウキ)を訪ねた。しかし運悪く蘇錦児(ソキンジ)に見られてしまう。徐女官はまさか錦児が立ち聞きしているとも知らず、龐癸に大王が長きに渡り避妊薬を王妃に飲ませていると教えた。その証拠に太医が届けた薬材を渡す。「私がうかつだった…王妃はもう数ヶ月もこの薬を飲んでしまったわ」薬材は慎重に調合されていた。徐女官も10日分の薬を合わせて名医に調べさせ、ようやく分かったという。今は徐女官が新しい薬にすり替え煎じていたが、もし本当に大王がこの薬を作らせたのなら、間違いなくここは王妃にとって非常に危険な場所だろう。「大王を調べて欲しいの」すると龐癸は自分からも1つ報告があると言った。実は丞相が亡くなったという。知らせは宮殿にも届いたはずだが噂にもなっていなかった。「すでに大王はご存じで王妃には言うなと…」徐女官はこればかりは大王の判断が正しいと涙した。この2年間、王妃は災難続き、母とお腹の子を失った上に父親まで死んだと知れば心が耐えられないだろう。月柳(ゲツリュウ)閣は1年前に皇都に潜入した賀蘭箴の間者が作った妓楼だった。妓楼には秘密の通路と部屋があり、その存在は間者しか知らない。「事が成功したら忽蘭最高の礼遇をもって聖女として迎えよう」「感謝します」密かに裏山へ出た賀蘭箴は馬車で謝氏との待ち合わせ場所に向かった。賀蘭箴を待っていた謝氏とは皇后だった。「なぜ俺を呼んだ?率直に言ってくれ」「あなたが欲しいのは蕭綦の首ね?…私も同じなの」宛如は軍の指揮権を持ち摂政を担っている豫章王がお腹の子にとって脅威になりかねないと警戒した。実情はどうあれ豫章王は謝氏の政敵である王氏の婿、蕭綦がいる限り謝氏の再起は望めないという。すると賀蘭箴が古傷に触れた。「本来は皇后が豫章王に嫁ぐはずだったそうだな?」憤慨した宛如は席を立とうとしたが賀蘭箴がなだめた。「好奇心で言っただけだ、真にうけないでくれ、敵の敵は味方だ」そこで賀蘭箴は蕭綦を決して辺境に戻さないよう頼む。寧朔(ネイサク)で蕭綦の首を取るのは至難の技だ。皇后は了承し、実は豫章王妃の侍女が自分の間者だと教えた。「必要ならいつでも使ってちょうだい」錦児は思わぬ秘密を知り、いったん引き返してから徐女官を探しているふりをした。「徐姑姑?徐姑姑?」錦児の声を聞いた徐女官は話を切り上げ、豫章王が王妃を害するつもりなら豫章王を道連れに死ぬ覚悟だと伝える。すると龐癸も同じ覚悟だと安心させ、2人は命をかけて王儇を守ろうと約束した。その夜、いよいよ忽蘭の使節団を歓迎する宴が開かれた。王儇も蕭綦と共に宮殿へ到着、すると偶然にも回廊で顧采薇(コサイビ)と一緒になる。久しぶりに再会した采微は美しい娘に育っていたが、王儇が衣の汚れに気づいた。王儇は采微を連れて鳳池(ホウチ)宮に向かい、自分の衣に着替えさせた。すると不安そうな采微が王妃に尋ねたいことがあるという。「王妃は豫章王と婚姻なさいましたが、望まれた婚姻でしたか?」「…いいえ」「私も嫌です」一見、華やかに見える士族の娘も実際はただの駒、王儇は誰であれこの運命からは逃れられないと言った。しかし立ち向かえば希望が見えることもあるという。つづく(´-ω-。` )采微…可愛いだけにアウォの気休めが酷いw
2022.01.14
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上阳赋 The Rebel Princess第37話「蕭綦の秘密」忽蘭(クラン)の使者を歓迎する宴は和親のために嫁がせる士族の娘を選ぶための場でもあった。蕭綦(ショウキ)から話を聞いた王儇(オウケン)は思わず、女は男の政治の駒でしかないと漏らす。「私も同じだった」「そなたは違う」「…そうね、私は運が良かったわ、ふふふ」一方、王倩(オウセン)と薛(セツ)夫人は玉秀(ギョクシュウ)を懲らしめるため皇太后に泣きついていた。しかしすでに皇帝・馬子隆(バシリュウ)が詔書を作成、玉秀は豫章王の義妹になったという。突然、身分が高くなった玉秀に手を出せないと分かり落胆する母娘、すると皇太后はまもなく大事な宴があると話をそらした。表向きは賀蘭拓(ガランタク)の歓迎会だが、その実、皇帝の側室を選ぶ席でもあるという。徐(ジョ)女官は王妃が飲んでいる薬の匂いに違和感があった。年のせいで足腰が弱っていたせいか、いよいよ鼻まで利かなくなったと思っていたが、その日、宋懐恩(ソウカイオン)と玉秀の祝宴の件で表を訪ねた時の事、徐女官は奥へ戻る時、ふと劉(リュウ)執事の言葉を思い出した。『実に喜ばしい、王妃の流産以降、皆が沈んでおりました、盛大に祝いましょう』「はっ!まったく!私が愚かだった!」徐女官は慌てて厨房に飛び込んだ。徐女官は阿越(アエツ)にまだ煎じていない王妃の薬が残っているか聞いた。するとちょうど太医が置いて行ったところで半月分あるという。徐女官は慌てて薬剤の袋を開けて確認したが、ある袋の匂いを嗅いで愕然となった。「阿越、皇都で最も有名な石(セキ)医師を呼んできて、私が診てもらいたいと…」実は王儇の薬は懐妊が難しくなるよう調合されていた。石医師の話では2年も飲めば生涯、子を持てなくなるという。王倩は見た目こそ阿嫵(アーウォ)に似ていたが、中身は全く違った。皇太后は阿嫵と疎遠になったとは言え、やはり幼い頃から見て来た阿嫵を悪く言われるのは気に障る。「妾の子はろくな育ち方をしないわね…使い道がなければとっくに追い返していたわ」一方、無駄足となった王倩と薛夫人は納得できないまま永安宮をあとにした。すると皇后の使いが現れ、2人は昭陽殿に招かれる。そこで王倩は腕輪を壊してしまったと泣き出し、皇后に王儇の仕打ちを訴えた。謝宛如(シャエンジョ)は宮殿育ちの豫章王妃が相手では仕方がないとなだめ、寛大にも新しい碧玉の腕輪を贈る。しかし母娘を送り出すと表情は一変した。「太后がわざわざ琅琊(ロウヤ)から連れて来たのがあの程度の娘だとは…」皇太后から父の死を伝えられた王夙(オウシュク)はその夜、泥酔して屋敷に戻った。今でも目に浮かぶ父の面影、まさか本当に死んでしまったのだろうか。同じ頃、蕭綦も胡光烈(ココウレツ)から急報を聞いていた。「北の国境から文が、王藺(オウリン)が死んだと…」蕭綦はにわかに信じられず調査を送ると決め、王儇には隠せるまで隠し通すと命じた。徐女官は大王にかまをかけた。「王妃はお身体も回復して来ました、そろそろ薬を止めても良いのでは?」何も知らない王儇ももう薬を飲みたくないと言ったが、蕭綦は太医の指示だと認めない。徐女官は大王が薬効を知りながら王妃に飲ませ続けていると確信し、衝撃を受けた。祝宴が延期されたある日、賀蘭箴(ガランシン)はお忍びで月柳(ゲツリュウ)閣を訪ねた。実は月柳閣には忽蘭の間者である妓女がいる。賀蘭箴は皇都で蕭綦に手を下したいと伝え、蕭綦に恨みを持つ者を集めることにした。するとその帰り道、賀蘭箴は偶然、大道芸を見て喜んでいる娘に目を留める。どこか王儇に似ている娘、それはちょうど宮殿から帰る途中の王倩だった。徐女官はどこか上の空だった。王儇は徐女官の様子がおかしいと分かっていたが、婚儀の件で劉執事と相談しなければならない。すると劉執事は王妃に帳簿を出し、実は豫章王府が財政難だと報告した。大王は大権を握っているが大金を兵士たちに使っており、これまでも決して豊かではなかったという。爵位をもらってから朝廷が軍事費を計上していたが中抜きされ、大王の俸禄で穴埋めはしていたが、それでも足りない理由があった。「…私の口からは申し上げられません」「話して」劉執事は大王に口止めされていたが、やむを得ず王妃を秘密の場所に案内した。その部屋には所狭しと木牌が並び、無数の蝋燭が灯っている。実はこの木牌はこれまでに戦死した寧朔(ネイサク)軍の兵士たちだった。忠義で散った骸を家に帰すこともできず、蕭綦はその魂を弔う霊堂を作ったという。遺族は朝廷から見舞金ももらえず、蕭綦が一手に家族を引き受けていた。その中には劉執事の一人息子・劉昭輝(リュウショウキ)の木牌もある。「6年前、戦地に行きました… 大王は息子を弔い、私をそばに置いてくださいました、このご恩は忘れません」王儇は祭壇で拝礼し、霊堂をあとにした。確かに俸禄と褒美を全て使って遺族を救済しているなら収入が追いつかないはず、盛大な婚礼どころではない。「私が嫁いだ時の持参金があるでしょう?」「ご安心を、大王は一切、手をつけておりません」宋将軍と玉秀の縁談は今や王府の噂の的だった。玉秀は王妃の侍女となりわずか1年で厚遇され、侍女たちは10年以上もそばにいた蘇錦児(ソキンジ)と立場が逆転したと囁く。王儇は錦児を心配していたが、寝支度に来た錦児は気にしていない様子だった。「何日かすると誕生日ね?あなたも年頃よ?いい人を見つけてあげる」「私は嫁ぎません!…錦児も玉秀と同じようにお慕いする方に嫁ぎたいのです」「そうね、長い人生だもの、愛する人と共に過ごさなくちゃ…錦児?意中の人がいるの?」「いいえ…」錦児はまさか安平王・馬子澹(バシタン)だとも言えず、今でも安平王を慕っているのか確認した。驚いた王儇だったが、縁はなくても大事な人であることに変わりはないという。「だから命懸けで王妃を守ったのです、なぜ皇帝と太后に安平王の帰京を頼まないのですか?」「知らないのね…子澹は皇帝に志願したのよ?」「嘘です、皆が嘘をついています」しかし王儇は子澹が皇都にいれば皇太后に監視され、危険と隣り合わせで生きることになるという。朝廷が安定すれば皇帝も安平王を帰京させるはず、王儇は今となっては子澹を本当の兄のように思っていると話し、兄を害する者がいれば自分が助けると言った。「この話は終わりよ…いいわね?意中の人がいるなら私に教えて」実はその頃、皇帝陵の子澹の元に思いがけない相手から招待が届いた。忽蘭の王子が半月後、帰国の途中に鳳凰山で会いたいという。その夜、王氏の護衛・龐癸(ホウキ)は意を決して王妃を訪ねることにした。しかしちょうど奥に戻るところだった大王に見つかってしまう。龐癸は大した用事ではないので出直すと伝えたが、蕭綦は義父の件だと察した。「話していいことと悪いことを区別できるはずだ」「みんばい」蕭綦が寝殿に入ると、阿嫵が寝所の帳の向こうで仁王立ちになっていた。「帰ったのね?…あの部屋はなんなの?!」「…知られたのか」「隠し事をしないと約束したばかりよ!…今夜は入ってこないでね」王儇が寝台に腰掛けると、蕭綦はしょんぼりして立ちすくんでいる。「何、突っ立っているの?出て行って」蕭綦は仕方なくとぼとぼ歩き出したが、その時、王儇のぼやきが聞こえた。「持参金があるのに、なぜ相談しないのかしら」すると蕭綦は慌てて阿嫵の元へ駆け寄った。王儇は浪費なら許さないが、兵や遺族のために使うお金なら自分も負担したいという。「私の持参金でお店を買うの、店の収入で彼らを助けられるわ」つづく
2022.01.13
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上阳赋 The Rebel Princess第36話「封印した心」宋懐恩(ソウカイオン)と玉秀(ギョクシュウ)の縁談を思いついた王儇(オウケン)。しかし蕭綦(ショウキ)はなぜか気が進まないようだった。「確かに2人はお似合いだ…しかし懐恩は心配事があるようだ」「どういう意味?」「女子には何もかも話してはいけないと言うだろう?」「だめよ、どんな事情があれ私たちは隠し事をしない」「約束するよ」すると2人は指切りした。皇后・謝宛如(シャエンジョ)は賀蘭箴(ガランシン)の使いが豫章(ヨショウ)王妃に至宝の氷綃(ヒョウショウ)花を贈ったと聞いた。そこでこの情報を広めるよう命じる。かつて賀蘭箴は王妃をさらって数日を共にした。今回、夜遅くに王妃を訪ねて至宝を贈ったとなれば、あらぬ憶測を呼ぶのは必至だろう。すると乳母は間者として送り込んだ蘇錦児(ソキンジ)も安平王・馬子澹(バシタン)を慕う限り裏切らないようだと安心させた。蕭綦は宋懐恩を呼び出し、玉秀への気持ちを確認した。「最近、用がなくても王妃の所へ行くそうだが、玉秀のためではないのか?」「いいえ…私が王妃の所へ行くのは…その…」懐恩は言葉に詰まった。「最近、私と距離を置いているようだが…玉秀は嫌いか?」「違います違います…玉秀はいい子です」蕭綦は懐恩が隠し事をしていると分かっていたが、それ以上、追求しなかった。「まあよい、自分のことは自分で解決しろ、ただ…お前が永遠に懐恩であって欲しい」宋懐恩は当初から王儇に惹かれ、これまでも敬慕してきた。するとその夜、王儇を娶る夢を見てしまう。「阿嫵(アーウォ)…はっ!」飛び起きた懐恩は自分の大それた欲望に気づき、頭を抱えた。朝議を終えて蕭綦が王府に戻ると、ちょうど賀蘭箴が門前払いされていた。胡光烈(ココウレツ)は大王の不在を狙って王妃に会おうとしたと非難したが、賀蘭箴は旧友に会いに来ただけだという。「特に共に過ごした王妃とは親交が深いと考える 元気になったのか、傷は良くなったのか気になっただけだ」憤慨した胡光烈は思わず剣を抜こうとしたが、蕭綦が制した。「私が無礼な真似をする前にここを去れ」すると賀蘭箴は王妃に宜しくと挑発し、帰って行った。王儇は宋懐恩を呼んだ。玉秀との縁談話だと気づいた懐恩は王妃への秘めた想いを隠し通すため、自ら婚姻を申し出る。ちょうどその時、皇都見物に出かけていた王倩(オウセン)が豫章王府にやって来た。王妃が宋将軍と面会中だと聞いた王倩は正堂で待たず、侍女と一緒に屋敷を見物すると決める。しかし軍営のような王府は殺風景で面白みはなかった。すると厨房へ続く回廊を移動中、偶然、玉秀と出くわす。玉秀は会釈してから通り過ぎたが、その時、王倩がうっかり石段で足をすべらせ、玉秀を押し倒しながら派手に転倒した。その衝撃で王倩が皇后から下賜された腕輪が割れてしまう。王儇は懐恩に何度も確認した。「本心なの?」「はい」「後で後悔しないわね?」「はい」「玉秀に尽くせる?」「はい」安堵した王儇は2人が夫婦になれば、これから公私共々4人で苦楽を共にすることになると言った。すると懐恩は大王と王妃に忠誠を尽くすと命をかけて誓う。「その言葉に背けば矢を浴びて死ぬ覚悟です!」そこへ阿越(アエツ)が血相を変えて走って来た。王倩が玉秀を殺せと騒いでいるという。王倩は玉秀のせいで腕輪が割れたと激怒、罰として顔を叩いていた。驚いた王儇が駆けつけると、玉秀は顔を腫らし、肩の古傷を痛めて泣いている。「王妃…厨房から出て来たら小姐がぶつかって来て…腕輪も壊していません…ゥッ…」玉秀は思わず王妃の胸で泣き始めた。興奮した王倩は玉秀を王儇から引き離して再び手を挙げようとしたが、王儇が腕をつかんで止める。「いいかげんにしなさい、この子は命を懸けて私と太后を守ったの あなたごときが手にかけられる相手ではない」「叩いただけよ?」「ここは豫章王府よ?…まだ意地を張るなら琅琊(ロウヤ)に帰りなさい!」懐恩は玉秀を抱き上げ、寝殿へ送り届けた。そこで王妃に婚姻を認めてもらったと話し、妻として迎えたいと告げる。天にも昇る心地の玉秀、すると見舞いに来た王妃から正式に懐恩との縁談が決まったと聞いた。「宋将軍に嫁いでも王妃のおそばにいます!今と何も変わりません!」「宋将軍の妻になるのよ?皇帝から命を受けたら高い身分になる、もう誰もあなたをいじめないわ」「でも…王妃と離れたくありません」「これからは宋将軍と人生を共にするのよ?いいわね?」蕭綦が王府に戻ると、ちょうど王倩が泣きながら帰るところだった。阿嫵から経緯を聞いた蕭綦は王倩のわがままが過ぎると呆れたが、一緒に謝りに行こうという。確かに同じ王一族、王儇も仲良くしたいと思っていたが、もし自分が謝れば玉秀の立場がない。しかし蕭綦には良策があった。実は以前から玉秀を自分の義妹にして蕭姓を名乗らせようと考えていたという。「ふふ、あなたがいれば心配ないわね…」皇帝は豫章王が進呈した帳簿を見て驚愕した。まさか皇后が推挙した謝守正(シャシュセイ)が軍費を削減しただけでなく、軍需関連の業者を統制している。皇帝は豫章王に謝守正の取り調べを任せたが、蕭綦は謝氏の人間のため皇后が気がかりだと言った。「気にするな…何とかする」←( °◇° )おおお~w王夙(オウシュク)は叔母に呼ばれて永安宮を訪ねた。何事かと思えば今後は世子として皇太后と共に家門を輝かせる責務があるという。政(マツリゴト)に興味がなく功績もない王夙は困惑したが、皇太后は王夙を江夏王に封じると教えた。しかも祝宴に士族の娘たちが集まるため、その中から王妃を選べという。横暴な叔母に呆れた王夙は席を立ったが、皇太后が引き止めた。「他に選択肢があれば私も強要しない…」すると皇太后は国境から届いた密書と王藺(オウリン)の玉佩を渡した。「父親が亡くなったと?」「刺客に殺されたそうよ、一夜にして村が全焼したの」皇太后はすでに亡骸を故郷へ埋葬するよう皇帝に頼んでいた。薛(セツ)夫人は王儇が娘を邪険にしたと知り、皇太后に告げ口にやって来た。するとちょうど王夙が呆然としながら出てくる。薛夫人は声をかけたが、なぜか王夙は自分たちに目もくれず行ってしまう。王倩は事情を説明し皇太后に泣きついた。しかし王倩の叩いた相手が玉秀だと聞いた皇太后は王倩の過ちだと指摘する。実は豫章王が主を命懸けで守った玉秀に蕭の姓を名乗らせ、義妹に迎えたいと上奏していた。すでに皇帝は詔書を作成しており、数日後には封じられるという。王儇はなぜ忽蘭の使者の宴に自分だけでなく士族の娘たちが招かれたのか不思議だった。すると蕭綦が和親のためだと教える。しかも相手は悪名高い賀蘭拓(ガランタク)、残念ながら誰が嫁いでも幸せにはなれないだろう。つづく(  ̄꒳ ̄)いや~子隆、しっかりしてるわ先帝の選択は正しかったのね~でもねえ…
2022.01.07
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上阳赋 The Rebel Princess第35話「忽蘭からの使い」王儇(オウケン)は蘇錦児(ソキンジ)が屋敷に戻ってから様子がおかしいと気づいていた。もしや玉秀(ギョクシュウ)をそばに置いたことで疎外感を感じさせてしまったのだろうか。しかし徐(ジョ)女官は否定し、恐らく暉(キ)州で王妃と別れたあと何かあったのだと推察した。王儇は母が徐女官と姉妹のような関係であったように、錦児への情を忘れることはない。そこで王儇はそろそろ錦児に良い嫁ぎ先を見つけようと決めた。一方、胡光烈(ココウレツ)は江南の兵士たちに渡った粗悪な冬服について調べていた。すると戸部の官吏・謝守正(シャシュセイ)が怪しいと分かる。酒楼に入った謝大人は取り巻きたちの接待を受け、冬服の件で世話になったと感謝されていた。「金銀財宝はお目汚しになりますので、東側の牌坊(ハイボウ)近くに小さな邸宅を作りました 思う存分、享楽にふけってください」王儇は玉秀の肩の傷がまだ痛むと聞いて見舞いに訪れた。「誰が王妃に話したのですか?」恐縮した玉秀は大事ないと言ったが、王儇は念のため傷跡を消す薬を渡す。「傷を残したまま嫁がせたくないの」「私は嫁いだりしません、ずっとお供します!」そこで王儇はもし宋懐恩(ソウカイオン)が婚姻しても泣くなとからかった。すると阿越(アエツ)が宋将軍なら玉秀を気遣い、ちょうど薬を差し入れてくれたと報告する。「あの蘭も宋将軍が…」王儇は宋懐恩に蘭を見て来て欲しいと頼んだことを思い出し、持ち帰ってくれたと知った。その夜、王儇は久しぶりに琴を弾いた。蕭綦(ショウキ)は楼閣で宋懐恩と琴の音に耳を傾けながら、悲しげな音色だという。怪我だけでなく心が回復するまでには時間が必要なのだろう。すると懐恩は安平王・馬子澹(バシタン)を送り届けた時、何者かに尾行されたと報告した。寧朔(ネイサク)軍の警護のおかげで無事だったが、ただ豫章(ヨショウ)王に偏見を持つ安平王を守っても感謝はされないと嘆く。しかし蕭綦は阿嫵(アーウォ)を助けてくれた借りがあると言った。そんな中、ついに皇都に忽蘭(クラン)の使節団が到着した。城門で様子を見ていた胡光烈だったが、使臣が忽耶奇(コツヤキ)だと気づき警戒する。すると忽耶奇は胡光烈をにらんでから城内へ入った。これに憤慨した胡光烈は王府へ戻り、挑発されたと報告、何か企んでいるはずだと訴える。「そうだろうな…何の企みがあるのか、数日後、朝廷に行けば分かるだろう」蕭綦は冷静だったが、その夜、到着したばかりの忽蘭の使いが王府にやって来た。何でも王妃に面会したいという。徐女官は追い返してもらうと言ったが、王儇は蕭綦の同席の元、会うことにした。豫章王府に現れたのは忽耶奇だった。すると忽耶奇は賀蘭箴(ガランシン)王子の命令で王妃に贈り物を届けに来たという。化粧箱の中身は忽蘭の霍独(カクドク)峰に100年ごとに咲く不思議な花で、毒物の治療に効果がある貴重なものだった。「豫章王妃は尊いお方だと王子がおっしゃった、この花にふさわしいのは王妃だけだと…」王儇は気持ちだけ受け取ると辞退したが、蕭綦がありがたく受け取った。王儇は房間に戻って化粧箱を開けた。すると花の下に賀蘭箴を刺したまま失くしてしまったかんざしが入っている。これは皇后・謝宛如(シャエンジョ)が婚姻祝いにくれたかんざしで、装飾の玄珠はこの世に1つしかなかった。かんざしを送り返して来たのは謝罪のつもりだろうか。しかし蕭綦に母を殺されたと誤解したまま、腕も失っている賀蘭箴が簡単に諦めるとは思えなかった。その時、蕭綦が窓から雪を眺めている阿嫵に外套をかけてくれる。「私がいる、心配ない」使節団が登朝し、賀蘭箴は忽蘭王の代理として新皇帝の即位を祝った。すると賀蘭箴は大成と同盟を結びたいと上奏し、友好を深めるためにも兄・賀蘭拓(ガランタク)との和親を希望する。皇帝・馬子隆(バシリュウ)はあいにく公主がいないと答えたが、賀蘭箴は士族の女人から選んで公主に封じて構わないと言った。「誠意の証しに軍を50里ほど後退させ、在位中は兵も出さず、公主を丁重に迎えます」喜んだ皇帝は快諾し、早速、歓迎の宴を開くと決める。そこで賀蘭箴はお願いついでに豫章王とのわだかまりを解くためにも宴に豫章王妃を同席させて欲しいと頼んだ。昨夜、豫章王府に忽蘭の使者が訪ねたことはすでに皇后や皇太后の耳に入っていた。一方、皇帝陵の子澹の元にも伝書鳩が届く。皇后は錦児から王府の様子を聞き出すよう命じ、乳母は侍女を使って錦児を呼び出した。しかし錦児の従妹が訪ねて来たと聞いた玉秀は首を傾げる。「おかしいわね、王妃は身寄りがいないと言っていたのに…」子隆は賀蘭箴の腹が読めず困惑した。大臣たちの前で宴に自分がさらった阿嫵を同席させろとはどういう了見なのか。阿嫵の体面を傷つけた賀蘭箴に腸が煮えくり返る思いだったが、子隆は皇帝として平静を装った。すると黙って聞いていた宛如がある提案をする。宴に士族の女人を呼び集め、そこで公主に封じる女人を選んではどうかというのだ。「美女が大勢いれば豫章王妃がいても目立ちません」そこで宴会を数日ほど延期することにした。皇帝は豫章王が士族から寄附を集めてくれたことに感謝し、五千両を授けた。すると蕭綦は公に寄付を公表すれば民から称賛を得られると進言する。皇帝は妙案だと了承し、実は賀蘭拓に嫁がせる公主は顧采薇(コサイビ)に決めたと教えた。豫章王と阿嫵にとって賀蘭箴の訪問が耐え難いことだと分かっていたが、国の平和のために堪えて欲しいという。一方、謝守正を見張っていた胡光烈は謝守正が密かに入った私邸に潜入、取り引き帳簿を手に入れた。蕭綦は帳簿にある名が大物ばかりだったことから、皇帝に進呈して指示を仰ぐと決める。そこで引き続き胡瑶(コヨウ)に謝守正を見張らせるよう頼んだ。胡光烈が下がり独り帳簿を確認する蕭綦、しかしそこに驚くべき名前を見つける。…宋懐恩…すると蕭綦は懐恩の頁を破ってしまう。その夜、王儇は玉秀が今でも傷が痛むようだと蕭綦に相談した。蕭綦は寒くなると古傷が痛むものだと教え、阿嫵を守ってくれた玉秀を厚遇するつもりだという。そこで王儇は懐恩が玉秀を見舞っていることから、2人は互いに気があるかもしれないと言った。「玉秀の夫として懐恩をどう思う?」つづく( ;∀;)懐恩…切ない…?っていやいや懐恩、何してるの?!それより寒い寒い寒い、戸を閉めてくれ~w
2022.01.06
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上阳赋 The Rebel Princess第34話「渦巻く欲望」琅琊(ロウヤ)から王儇(オウケン)の従妹・王倩(オウセン)が母と一緒に皇都にやって来た。王夙(オウシュク)は王儇に屋敷に会いに来るよう頼み、蕭綦(ショウキ)が送り届けてくれる。宮殿にも劣らぬ豪華な鎮国公府、王儇はこの機に自分が育った部屋を案内したが、かつての面影は消えていた。そこへ王倩が現れる。王儇の記憶に残っていたのはまだ幼い王倩だったが、すっかり大人になっていた。蕭綦はよく喋る王倩の母・薛(セツ)夫人にへき易しながら先に豫章王府へ戻った。忽蘭(クラン)王が使者を送ってくると聞いた胡光烈(ココウレツ)は、大王が賀蘭箴(ガランシン)を警戒していると気づく。しかしあの時、賀蘭箴を見逃したことで、確かに北方の辺境での騒ぎはずい分と減っていた。とは言え彼らの南下の野望を甘く見ることはできない。「今回の訪問も作戦の一部のはず…」王夙は阿嫵(アーウォ)を見送りながら、数日後、王倩たちと一緒に入宮するよう伝えた。実は皇太后が王倩を歓迎して永安宮で宴を開くという。王夙は皇太后があの2人を呼んだのは王氏を復興させるためだと言った。皇后・謝宛如(シャエンジョ)は皇帝の側室の話で心中おだやかではなかった。しかしその夜、子隆(シリュウ)にあえて後宮の主として皇帝を最優先に考えると殊勝な妻を演じる。子隆は感激し、誰が入宮しようと宛如が最愛の妻だと誓った。王儇は苦い薬を飲むのを嫌がった。「いつまで飲まなきゃいけないの?!」手を焼いた蕭綦はあの手この手で薬を飲ませながら、真実だけは隠し通していた。しかし思いがけず勘が鋭い薛夫人がこの秘密を嗅ぎつけてしまう。豫章王府を探るべく密かに人を使わせていた薛夫人は王妃が数ヶ月前に流産し、命も落としかけたと知った。「…あの子は身体が弱いからこの先も子を持てぬはずよ」それより薛夫人はこの機を逃してはならないと娘に発破をかけた。皇太后が自分たちを呼び寄せたのは娘を入宮させるためだろう。皇太后は王倩たちを宴に招き歓迎した。叔母へのわだかまりは残るものの冷静に振る舞う王儇、そこへ子隆が現れる。子隆は即位してから疎遠になった阿嫵との再会を喜んだが、王儇はどこかよそよそしかった。すると王倩を見た子隆は目を丸くする。「母后…琅琊の女は皆、阿嫵のように美しいですね」「陛下、ありがとうございます…阿嫵姐姐には負けます」「うむ、確かに…惜しいな」王倩は謙遜して見せただけだったが、子隆はあっさり同意してしまう。皇太后が王儇に似た娘を呼んで宴を開いていた。乳母から報告を受けた宛如はその娘が側室候補だと気づく。大臣たちが皇帝に諫言したのも皇太后が手を回したのだ。「王儇を慕っていた皇帝の心を利用する気よ…似た女なら事は簡単に進むと思ったのね」宛如は皇太后が自分の権力を盤石にするため、皇后の座を奪うつもりだと分かった。宴が散会すると、子隆は阿嫵を誘って2人だけで散策した。「阿嫵、こちらへ…子供の頃、橋の下で魚を捕ったことを覚えているか? いつも余にくっついて歩いていたな」王儇は昔を懐かしみ、ようやく笑顔を見せた。「時は早い、皆、変わった…余は皇帝になったが、周りの身内や旧友は気づけば皆いなくなった 阿嫵、最も辛かったのはお前だ、余を恨んでいるか?」「…いいえ、感謝しきりよ、父親を助けてくれた」「余ではない、夫君に感謝しろ」実はあの日、豫章王は皇帝の書房の前で一晩中ひざまずいていた。蕭綦は母と子を失った阿嫵に父まで失わせたくないと嘆願、子隆はむしろしぶしぶ了承したという。すると子隆はようやく本題に入った。「阿嫵…父皇の死に母后が関与していると思うか?」王儇は驚いたが、黙って首を横に振る。「めいよー?めいよーだよな‥そうだよな」子隆はもやもやが晴れたのか、安堵のため息をついた。一方、皇太后は王倩たちに宮殿と御花園を見学して帰るよう勧めて見送った。すると宴席では王倩の性格を気に入ったと上機嫌だった皇太后が大きなため息を漏らす。「倩児は頭が悪そうね…人選を誤ったか、温丞相を呼んで」←( ๑≧ꇴ≦)ちょwww宛如は王宮を見学している王倩たちを見つけた。そこで自ら声をかけ、妹への贈り物だと思って欲しいと自分の腕輪を王倩にはめてやる。「いつでも昭陽殿に遊びにいらっしゃい」しかし薛夫人はやけに寛大な皇后の様子に陰謀めいたものを感じていた。皇太后は密かに温宗慎(オンシュウシン)を呼び出した。脇殿では桂(ケイ)嬷嬷(モーモー)が2人の話に耳をそばだてている。すると皇太后は皇帝が側室を持つことに反対した丞相を説得した。皇帝が未熟なうちは士族の力を借りて国を牽引しなくてはならない。婚姻は最適の手段であり、朝廷と後宮の密接な関係を丞相が知らぬはずはないだろう。「…すでに決められたのなら、なぜ私を呼んだのでしょうか?」「兄に逆らいあなたを救った、全てはあなたへの情よ? 昔こう言ってくれたわね、″そなたを守って生きる″と…あなたまで私を助けてくれないの?」温宗慎は思わずひざまずき、最善を尽くして皇帝と皇太后を守る所存だと誓うしかなかった。江南の各地で粗悪な冬服を与えられた兵士たちが反乱を起こしていた。実は謇寧(ケンネイ)王の一件から噂が絶えず、蕭綦の耳にも届いている。「江南各地の兵が寧朔軍に劣等感を抱いていると…本当か?」胡光烈は正直に認め、謇寧王の配下だった兵が冬服にかこつけて騒ぎ立てていると話した。そこで蕭綦は寧朔軍の余剰資金をすべて出して冬服を作って与えるよう命じる。「もう一つ頼みがある… この冬服の生地がどこから来たか、どこで作られ、1着いくらで出来るのか、金の流れも調べろ」王倩は皇都では琅琊と違い、自分は阿嫵の引き立て役に過ぎないと身に染みた。すると母は王儇が直系の子孫である以上、仕方がないとなだめる。「覚えておいて、あなたは哥哥と同じ、太后が宮殿で動かす駒に過ぎない」どんなに哀願しても王倩の兄・王楷(オウカイ)は軍に入れられ、結局、病死していた。片や王夙は皇都で悠々と酒に溺れて暮らし、顕爵(ケンシャク)にまで封じられている。その時、ちょうど回廊を歩く王夙が見えた。薛夫人は自分の愚痴を聞かれていないか不安になり、王夙を呼び止める。「皇都に来るたびここへ泊まるのも申し訳ない、皇都に家を持とうと思うの 見つかり次第、移るわ」「叔母上、私に不行き届きでも?…お二人を住まわせる場所ならあります」王夙は王倩がいてくれると阿嫵がいた頃を思い出し、癒されると引き止めた。宋懐恩(ソウカイオン)は物陰から侍女たちの洗濯の様子をうかがっていた。やがて阿越(アエツ)が独りで洗い物を干し始めると、懐恩はようやく勇気を出して声をかける。「宋将軍?こちらで何を?」「ぁ…玉秀(ギョクシュウ)の薬を持って来た、渡してもらえるか?」「クスッ…預かります、きっと喜びますよ」実は薬はついでで懐恩の本当の頼みは蘭の花だった。「この花も届けてくれ…これは…」「この花も玉秀姐姐にですか?!まさか宋将軍が花を贈るなんて~隅におけませんね」結局、懐恩は王妃に渡して欲しいと言えず、涙をのんだ。つづく( ๑≧ꇴ≦)懐恩www王儇に用事を頼まれて喜んでいたのにこのオチw♪さて来週のオスマン帝国外伝は?
2021.12.25
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上阳赋 The Rebel Princess第33話「喜びと不安のはざま」辺境への道中、王藺(オウリン)は寝込みを襲われた。しかし危ないところで王藺の護衛兵が阻止、刺客たちは慌てて逃げ帰る。刺客の登場は想定内だった王藺、しかしこんなに早く現れるとは予想外だった。「ここは危険です」「よし、行こう」一方、慈安寺に身を寄せた王儇(オウケン)は3カ月たっても屋敷に帰る気配はなかった。蕭綦(ショウキ)は面会に来ても何も言わなかったが、そんなある日、宋懐恩(ソウカイオン)が訪ねて来る。実は懐恩は安平王・馬子澹(バシタン)の護衛で皇帝陵へ向かう途中に立ち寄った。蘇錦児(ソキンジ)の話では今や皇太后が実権を握り、安平王は皇都にいても肩身が狭いという。「まだ傷も言えないうちに自ら墓守を名乗り出たとか、あの寒い地で耐えられるでしょうか」玉秀(ギョクシュウ)は宋懐恩が高台へ登って来るのを今か今かと待っていた。玉秀が宋将軍を慕っているのはもはや公然の秘密、蘇錦児は堂々と宋将軍を慕うことができる玉秀が羨ましい。せめて子澹のために着飾って出迎えることにしたが、結局、子澹が馬車から出て来ることはなかった。王儇は大王からの薬を受け取り、宋懐恩を見送りに出た。そこで懐恩は大王が王妃を恋しがっていると切り出し、屋敷に戻るよう勧める。「大王には王妃のいたわりが必要です…(はっ)出過ぎたまねを…」「言う通りだわ、逃げられるのも一時だけ、永遠には無理…」すると王儇は最後に子澹の具合を聞いた。懐恩は傷なら問題ないと答え、ただ時々、咳をしているという。「ぁ…皇帝陵に蘭を植えたの、面倒でなければ蘭を見て来てくれる? 枯れていなければ水をやって欲しい、世話をお願い」「心得ました!ではこれにて…」王儇は懐恩が帰ると、徐(ジョ)女官に明日の晩、豫章王府に戻ると伝えた。王藺に刺客を放ったのは何も皇太后王氏だけではなかった。暗殺に失敗したと報告を受けた皇后・謝宛如(シャエンジョ)は、老人の始末もできないのかと憤る。一方、皇太后も将軍から刺客が失敗したと聞いていた。将軍は豫章王の部下が邪魔したと怪しんだが、皇太后は否定する。「哥哥の残党でもいるのかしら?一掃したと思っても網から逃れる魚がいたのかも…」しかし流刑地は寒く、長旅も重なることから、将軍は丞相の身体も衰えるはずだと言った。「その時を狙えば勝算はあります」その夜、豫章王府は祝賀用の赤い幕で覆われた。誰もが王妃不在の間に豫章(ヨショウ)王が側室を迎えると思っていたが、そこへ何も知らずに王儇が戻って来る。王儇は動揺しながらも王妃として毅然とした態度で前庭に足を踏み入れた。すると兵士が立ち並び、その向こうに真紅の婚礼衣装をまとった蕭綦の姿が見える。蕭綦は王儇を迎え、手を引いて招待客の前に立った。「ご存知の通り私は王妃との婚姻初夜に急に戦地へ出向くことになりました 王妃を一人残して皇都を離れたのです 世の女人は誰しも婚姻後の幸せを夢見てその日を迎えるのでしょう しかし上陽郡主は私のような男と婚姻し、その上、置き去りにされてしまった それこそが私が犯した最も大きな過ちです それでも王妃は何度も私を救ってくれた、聡明な妻を得て他に何も望みません」そこへ侍女たちが現れ、王妃の外套を真紅の衣装に着替えさせた。あの日、王儇は冠を壊していたが、蕭綦が新しい冠を王儇の頭に乗せてくれる。「この瞬間から私、蕭綦の生涯において女人は王儇ただ一人です」徐女官は蕭綦の愛情に胸を打たれ、長公主も喜んでいるだろうと涙した。皇太后は豫章王の婚姻が側室を娶るためではなかったと聞いた。実は皇都に戻って来た阿嫵(アーウォ)へ婚姻初夜の罪を償う宴だったという。「やはり豫章王はただものではない、頭が切れるわね」士族たちは権力を握った豫章王と姻戚になりたいはず、しかし皇都に不慣れな豫章王はまだ誰が敵か味方か分からないだろう。恐らく阿嫵に一途と見せかけ、厄介ごとを追い払ったのだ。蕭綦と王儇は初夜をやり直すことになった。しかし寝所に入った王儇は蕭綦の心遣いに感謝しながらも素直に喜べない。父が敗北した今、王氏と皇家が蕭綦を奪い合うのは必至だ。「私は罪人の娘よ、かろうじて王妃の肩書きで体面を保っているだけ…」誰からも愛され輝いていた上陽郡主も今や父や叔母の駒にすぎなかったという現実に打ちのめされ、すっかり自信を失っていた。「私たちは夫婦だ、この先どんな困難が待ち受けようとそなたと共にする」蕭綦は阿嫵を強く抱きしめ、疲れた時は自分がおぶって歩いてやると励ました。一方、刺客に狙われ続ける王藺はある策を講じた。その夜、小さな集落では王藺の命を狙う刺客が何組もかち合い、互いに王藺の護衛と勘違いして殺し合いになってしまう。ようやく1人の刺客が王藺の部屋にたどり着いたが、待っていたのは別人だった。王氏の護衛は刺客に暗器を放って仕留め、火をつけてから王藺の玉佩を置いて行く。そして集落を火の海にして姿を消した。皇太后は琅琊王氏から阿嫵に似た美しい娘を呼び寄せた。すると朝議で大臣たちが連名で皇帝に側室を迎えるよう上奏する。丞相・温宗慎(オンシュウシン)は先帝の崩御から100日未満だという理由で婚礼を反対したが、中書・顧閔汶(コビンムン)はむしろ子孫を重要視していた先帝への孝行だと訴えた。その時、急報が舞い込む。新帝の即位を祝い、忽蘭(クラン)王が使者を送るというのだ。寧朔軍との因縁が深い忽蘭に顔を曇らせる蕭綦、しかし皇帝は自分の力を知って下手に出て来たと喜んだ。王藺の一行が道中の辺ぴな村で火災に巻き込まれた。骸は焼け焦げ人相の判別も付かず、捜索に駆けつけた将軍は頭を抱える。罪人とは言え王藺は皇家の親戚であり豫章王の義父、すると部下が骸のそばにあった丞相の玉佩を渡した。王儇がふと目を覚ますと蕭綦がいた。「まだ朝議へ行かないの?」「戻って来たところだ…美しい人はまだ寝ていたのか?」蕭綦は阿嫵の手を引っ張って起こすと、王夙(オウシュク)からの伝言を教えた。琅琊から叔母と王倩(オウセン)が来ているので屋敷へ来て欲しいという。「いつもは着替えを手伝ってくれるが、今日は私が手伝ってやろう」「…嫌よ」「本当に?」「嫌!ふふふふっ」久しぶりに笑顔を見せた阿嫵、すると蕭綦は何とも愛おしくなり抱きしめた。皇帝・馬子隆(バシリュウ)は側室を迎えるかどうか決めかねていた。一方、この話を聞いた宛如は頭に血が上り、皇太后への怒りが爆発する。「あの老ぼれ!皇帝は即位し、正室が懐妊したのに、それだけでは足りないというの!」すると乳母がお腹の子に障れば皇太后の思うつぼだとなだめた。そもそも皇帝が多くの側室を迎えるのは当然、避けては通れない道だという。つづく(  ̄꒳ ̄)うむ…確かに皇帝のママだけど、王氏の皇太后がここまで威張ってるのってどうなの?
2021.12.23
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上阳赋 The Rebel Princess第32話「親子の情」罪人・王藺(オウリン)の処刑は明日に迫っていた。謀反の罪と母を死なせた恨みが父への情と絡み合い葛藤する王儇(オウケン)、一方、決断を迫られた蕭綦(ショウキ)も悶々としていたが、独りで出かけてしまう。やがて日も暮れる頃、王儇は意を決して天牢を訪ねた。門衛の話では父は皇太后から特別待遇を受け、不自由なく過ごしているという。王儇は独りで父に会いたいと頼み、地下牢へ向かった。すると父が壁に何やら書いている姿を見る。…天よ、我が祈りを聞け…父を殺した琅琊の山を打ち崩せ…国への忠心は叶わぬが、妻と共に戻られる王儇は父との幸せな日々を思い出し、居たたまれなくなって引き返してしまう。足音に気づいた王藺は柵の間から入り口を見たが、わずかな人影だけしか分からなかった。「…阿嫵(アーウォ)か?」しかし答えはない。一方、王夙(オウシュク)は父を助けるため嘆願を続けていた。侍女は頑なに動かない世子に困って皇太后に報告したが、皇太后は誰にも会いたくないという。父の命乞いのためひざまずき続ける王夙、なかなか戻らない蕭綦の帰りをひたすら待ち続ける王儇、それぞれの長い夜が明け、ついに処刑当日を迎えた。王藺は水を要求し、身なりを整えてから牢を出た。すると眩しい日の光の先に馬車を準備して待っている豫章王の姿が見える。一方、王夙は嘆願をあきらめ、刑場にいた。そこへ馬を駆けて王儇がやって来る。2人は父を見送りたいと訴えたが、門衛は朝廷からの命令で誰も入れないと2人を阻んだ。その時、ついに執行時間を知らせる太鼓の音が鳴り響く。愕然とする王夙と王儇、しかしそこへ宋懐恩(ソウカイオン)が駆けつけた。蕭綦は郊外まで馬車を走らせた。馬車を降りた王藺は豫章王の手で死ねるなら思い残すことはないという。「昨夜、皇帝に頂いた密詔です」密詔を見た王藺は蕭綦のおかげで命だけは助かったと知った。すると蕭綦はもうすぐ阿嫵と王夙が来ると告げる。しかし王藺は阿嫵に合わせる顔がなく、すぐ出発すると決めた。その時、王儇と王夙を乗せた馬車が疾走してくるのが見える。「蕭綦、阿嫵を頼む、娘を頼んだぞ…二度と会うことはないだろう」王儇が馬車を降りると父の馬車が走り出していた。「父親!」王藺は自分を追って必死に走ってくる阿嫵の姿に涙し、思わず窓から顔を出す。一方、王夙は蕭綦の密詔を確認し、呆然とたちすくんでいた。「ふーちーん!ふーちーーーん!」「あーうぉー!走るな!転ぶぞ!」王儇は幼子のように無我夢中で父を追ったが、やがて勢い余って転んでしまう。小さくなって行く父の馬車、すると父は思いを断ち切るように窓を閉めて辺境へ旅立った。その夜、王儇は蕭綦が父を救ってくれたと知った。蕭綦はどうであれ阿嫵の父であり岳父である王藺を助けるのは当然だという。一方、皇太后は蕭綦が免死金牌を使ったことに驚いていた。実は免死金牌が与えられたのは建国後たった2回、蕭綦はこれを惜しみなく使うほど阿嫵を愛しているのだろう。「阿嫵は大したものね、1人の男をあれほど夢中にさせるとは…はぁ〜その点は私よりも幸せね」しかしそんな蕭綦に辛く悲しい現実が待っていた。太医の見立てによれば王妃は寧朔(ネイサク)での大怪我が回復しないまま心労を重ね、今回の流産という悲劇に見舞われてしまったという。「今後、懐妊は難しいかと…」太医は王妃が懐妊することはできても、出産時に王妃まで危険に陥る可能性が高いと伝えた。皇太后は早速、皇都を発った兄に刺客を放った。「北の辺境に近づいた時に始末せよと…失敗は許されぬ、確実に骸を確認させよ」しかしその話を王藺の護衛班が聞いているとは知るよしもない。一方、子澹は皇帝陵に戻ると決め、皇后に報告した。宛如は子澹がいなくなったら謝氏を立て直せないと焦ったが、子澹は皇太后の脅威から逃れるためだという。「機を見て帰京し協力する…」子澹は領土をもらって藩王になればかえって帰京が難しくなると分かっていた。「謝氏はこれ以上、譲れない、いや譲らない」子澹の覚悟を知った宛如は安心し、自分でも動くことにした。そこで自ら皇帝を訪ね、政務に手こずる皇帝に力になれる者がいると謝守正(シャシュセイ)を推薦する。伯爵だが金銭や穀物の勘定に精通し、数字に弱い皇帝の手助けになるはずだ。素直に喜び、明日にも官職を与えると決める皇帝、しかし皇太后は謝氏である皇后をこのまま見逃すほど甘くはなかった。「早く手を打つべきだった 子隆は謝宛如に心の限りを尽くしている、妊娠中に手を打たねば… 謝氏の血を引く太子などもってのほか、王氏の皇后を私で終わらせてはならない」皇太后は琅琊に人を行かせて王一族の中から良い娘を選び、皇都に連れてくるよう命じた。政変が終わっても王儇は未だ心と身体の不調で伏せっていた。そこで療養のため母の痕跡が残る慈安寺に移る。すると王儇はいくらか心の平安を取り戻した。軍営に戻った蕭綦はひとりになってはぼんやりと考えることが多くなった。そこへ宋懐恩がやって来る。長い付き合いの懐恩は大王の様子で悩み事があると分かった。「…言いづらいのですが」「私たちの間ではないか、言ってみろ」実は王氏が没落したことで、今度は豫章王が朝廷を牛耳り、皇帝を操っていると噂になっていた。さらに王妃が慈安寺に移ったこともあり、豫章王と王妃の関係は終わり、じきに廃妃にするつもりだと憶測が流れる。蕭綦は無責任な人々の噂に呆れ、それに対抗する計画を立てると言った。「帰京する、皆に教えてやろう、私が心を決めたら政局をも動かせるとな」「ふっ、余計な心配でした」一方、辺境へ向かった王藺はその夜、宿で眠りについた。すると黒衣の刺客たちが現れる。つづく( ;∀;)アーウォ…これお兄ちゃんだったら笑い話になってたかも?w
2021.12.16
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上阳赋 The Rebel Princess第31話「三つの命」崩御した皇帝は自分の遺志を継いで国を治める次期皇帝に皇太子・馬子隆(バシリュウ)を指名していた。退路を経った王藺(オウリン)は火薬を爆発させて皆を道連れにすると脅したが、そこへ妻の馬瑾若(バキンジャク)が現れる。「…長い夫婦生活で借りは全て返しました 今日をもって私、馬瑾若、晋敏(シンビン)長公主はあなたと夫婦の縁を切ります 皇兄の言葉を聞かず、あなたに情けをかけたのがいけなかった… そんなに馬氏を嫌うなら私も皇兄と逝きましょう」すると馬瑾若は足元に落ちていた兵士の剣を拾い、自ら首を斬ってしまう。「瑾若!」「むーちん!」王藺は慌てて駆け出し馬瑾若に駆け寄ったが手遅れだった。父の腕の中で息を引き取った母の姿に王儇(オウケン)は呆然、その場で腹を抱えてうずくまり、目の前が真っ暗になる。「阿嫵(アーウォ)!」蕭綦(ショウキ)は驚いて阿嫵を抱きしめたが、その時、王儇の足元から血が流れ出した。長公主が命を以って丞相の謀反を鎮めた。こうして胤暦2年9月、大成皇帝・馬曜(バヨウ)の国葬が執り行われる。そして10月5日の吉日に皇太子・馬子隆の即位式が挙行された。新帝は恩人である豫章(ヨショウ)王・蕭綦に国政の補佐を命じ、温宗慎(オンシュウシン)を侍中に復職させる。子隆の姿に感無量の皇太后王氏と皇后謝氏、しかし安平王・馬子澹(バシタン)だけは複雑な面持ちでうつむいていた。…臣下たちは朝服姿の新皇帝をひざまずいて迎えた…喪中につき音楽は禁じられたが、鞭が三度打たれ、慶事を告げる鐘が鳴る…宮殿の外でも皆こうべを垂れた…新皇帝の即位と共に皇后は皇太后となり、皇太子妃は皇后に封じられる恐らく数千年後、歴史の記録に残るのはこのような数行の記述だけになるはずだ。馬瑾若の亡き骸は慈安寺に埋葬された。…あの日のおぞましい出来事は永遠に忘れられない…私は母を失い、まだ見ぬ子まで失ったのだ…一生分の涙をあの日、全て流した…命がけで私を守ってくれた母、もう二度とあの笑顔で私の名を呼ぶことはない蕭綦も徐(ジョ)女官も全快していない阿嫵を心配し、連れて帰ろうとした。しかし王儇は母の位牌を抱いたまま墓の前から動けない。悲しみに打ちひしがれる王儇、蕭綦はただ憔悴しきった阿嫵を抱きしめ、そばに付き添っていた。王儇は涙が枯れ果てた頃、ようやく母の墓をあとにした。蕭綦の話では皇帝の死を詮索させまいと新帝から式乾(シキケン)殿の侍女と医官を死罪にするよう密命が下されたという。また家族の情を鑑みて王藺を反逆の罪には問わず、王氏一族の罪も放免してくれた。しかし徒党を組んだ罪は重く、王藺は3日後に処刑されるという。「会ってこい、どうであれそなたの父親なんだ」王儇は食事も喉を通らず、伏せったままだった。…母を失ったと同時に私は我が子も失った…蕭綦に子を授かったことも告げられぬまま、お腹の子は私と共に子律(シリツ)に立ち向かい…蕭綦と共に苦難を乗り越えたのに、逝ってしまった蕭綦は阿嫵の様子を見に来たが、その哀れな背中を前にすると声もかけられない。この絶望からどうすれば立ち直れるのか、それは王儇本人にも分からなかった。皇太后は王氏一族を守るため、子隆が蕭綦に頼んだ残党の調査を止めた。しかし皇帝は未だ母が決定権を持つことに納得がいかず、今や恩人である蕭綦に絶大な信頼を寄せている。皇太后は蕭綦に惑わされるなと警告したが、皇帝は蕭綦に褒美を与えるつもりだと言った。すると皇太后はある策を思いつく。「…ならば免死金牌(一度だけ死罪を免除する札)を与えては?」そこへ皇后・謝宛如(シャエンジョ)がやって来た。皇后の懐妊が分かった。宛如はこの時期に合わせて来てくれた我が子の強運に喜び、流産した王儇の不運を笑う。「ふっ、どうでもいいわ、彼女の子なら薄命なのも仕方がない」そこで宛如は早速、報告に向かった。宛如の懐妊に天にも昇る心地の子隆、しかし皇太后はこの機に乗じ、妊娠初期は用心すべきという口実で後宮の権限を取り上げてしまう。その夜、皇太后は密かに王藺を寝宮に招いた。ただの兄と妹に戻って杯を交わそうという皇太后、すると王藺は妹の勝ちを認めたが、王氏を裏切ったのも事実だという。「王氏を裏切ったのは兄上です、私が誰より尊敬し頼って来たのは兄上 子隆は私の子ですが馬氏の末裔だとお忘れですか? 王氏は馬氏と代々を共にしながら朝廷の半分を手にしました だけど兄上は朝廷の全てを仕切っても満足しなかった 子を守る女の冷酷さを甘く見てはいけません」とは言え冷酷さで言えば王藺の足元にも及ばないだろう。これまで王藺を父と思って従って来たが、まさか兄が甥の皇位を狙うとはあまりに酷い仕打ちだ。しかし王藺は愚鈍な子隆に国を任せることなど到底できないという。「大事を成す者は家族を顧みぬ!」「兄上、もういないでしょう?阿嫵も長公主も実の妹である私も…兄上の家族は皆、背を向けた」「ふっ…ははは、確かに」すると王藺はようやく杯を手にした。「息子をしっかりと守ってやるんだな、そして家族仲良く幸せにな…」「兄上、ご心配なく…私がいる限り王氏の没落はありえません」皇太后は兄の言葉が最後の強がりだと思っていた。皇太后は子隆に皇后の懐妊中は安静のため出入りを自重するよう助言した。これを知った宛如は激怒、子隆はいつまでも母親の言いなりだと嘆く。しかし乳母はむしろ今は皇帝に尽くすべきだと助言した。翌朝、子隆は皇后からの差し入れを持って母を訪ねた。すると皇太后はせっかくの高麗人参湯を侍女たちに与えてしまう。子隆は顔をしかめたが、それより伯父を処刑すると決めながら豫章王になぜ免死金牌を下賜するのか聞いた。皇太后は王藺が失脚すれば豫章王が権力を独占し、何より阿嫵がそばにいると警告した。「私は阿嫵の能力をよく知っているわ あの夫婦を仲違いさせてこそ安心して一歩を踏み出せる」豫章王が免死金牌を手にしたと知れば当然、阿嫵は父を助けるよう懇願するはずだ。しかし豫章王の性分なら王藺の罪を許せず、2人の間に溝ができる。もし豫章王が王藺を助けると決めたとしても、今度は配下たちが阿嫵に不満を抱くだろう。すると皇太后はどちらにせよ兄は長く生きられないと断言した。「豫章王が助けたとしても辺境へ行くことになる、道中には山賊が待ち受けているわ…」王儇が目を覚ますと、帳(トバリ)の向こうで正座している兄の姿に気づいた。「父上を助けてくれ、どれだけ憎もうと父親だろう?」王夙(オウシュク)は皇帝の恩人であり、兵権を掌握した蕭綦なら助けられると期待する。「阿嫵、蕭綦は王氏の婿だ、あいつの入京を手助けしたのは父上だぞ? 愛娘まで捧げたのに…恩を返すべきだろう?!こうなったのも蕭綦のせいだ!」「…真実を知らないの?」王儇は父へのわだかまりを捨てられず、首を縦に振らなかった。父の処刑は明日、王夙は王儇の葛藤を理解できず、痺れを切らして帰ってしまう。「お前が助けないなら私が行く…私に何かあればこれが最後の別れになるだろう」つづく( ;∀;)むーちん…ついにオスマン帝国外伝が始まる!…え?w
2021.12.16
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上阳赋 The Rebel Princess第30話「崩御」その夜、皇都は激しい雨になった。王儇(オウケン)は皇帝から誕生日祝いの絵を授かって帰ることにしたが、式乾(シキケン)殿を出ると叔母である皇后が呼んでいるという。城門では蕭綦(ショウキ)が心配そうに王儇が出て来るのを待っていた。皇后は皇帝が寵愛する三皇子・馬子澹(バシタン)に皇位を譲るつもりだと疑っていた。かつては阿嫵(アーウォ)も子澹のために蕭綦に嫁ぎ、今や唯一、皇帝からの信頼を得ている。「皇帝とどんな話をしたの?」皇后の懸念に気づいた王儇はすでに豫章(ヨショウ)王に嫁いだ身だと断り、若かりし頃の情は捨てるべきだと言った。「″語り合い 酒を楽しみ 共に老いる 琴瑟かたわらに在り 安らかなる幸せ″…」「何ですって?」皇后は枕元に忍ばせている手巾を阿嫵が見たと気づいて目を丸くした@第21話。「ご安心ください、子澹哥哥は政に向かない、文人であり儒家です …皇権はすでに王氏のもの、疑う必要はありません」王儇はそこで帰ったが、皇后は何一つ疑念が晴れない。その頃、阿嫵を待つ蕭綦のもとに急報が届いた。「大王、竇(トウ)夫人が見つかりました、皇都にいました」すると蕭綦は急用ができたと阿嫵に伝言を残し、帰ってしまう。翌朝、皇后は意を決して独り式乾殿に入った。皇帝は起き上がる気力もなく、不機嫌そうに何の用かと聞く。そこで皇后は息子のために遺言書を要求したが、皇帝はすでに準備してあると言った。「しかし余が生きているかぎり見られると思うな…天下の主が誰かは余が決める」皇后は皇帝の心変わりを確信、子澹に皇位を譲つもりなら命が危うくなると脅し、助けたければ遺言書を燃やして今すぐ子隆(シリュウ)に譲位するよう迫る。すると皇帝は仕方なく遺言書を隠した場所を示した。皇后は皇帝のかたわらにあると知って寝台の奥に手を伸ばしたが、突然、皇帝が襲いかかり…。夜も更けた頃、豫章王府に宮中の使いがやって来た。「今夜、四更(シコウ)、皇帝が崩御されました、丞相は禁衛軍と入宮されました」蕭綦はすぐ兵を集め、慌ただしく出発する。一方、王儇は皇帝からもらった絵を眺めながら、昨日のことを思い出していた。…阿嫵、余の遺言書は扁額の上にある、余が死んだら開封しろ…太医の話では皇帝は冬が越せるはずだった。まさかたった1日で崩御されるとは…。しかし悲しんでいる時間はなかった。今夜、宮殿で大きな争いが起きるだろう。しかも刀を向け合うのは自分の愛する人たちだ。その頃、慈安寺でも静慈師太が晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)に皇帝の崩御を伝えていた。一方、将軍は式乾殿にいる皇后の元へ駆けつけ、手配が済んだと報告する。「成功すれば冨貴栄華と昇進を約束しよう」「命をかけて必ず成功させます」蕭綦は直ちに東宮へ駆けつけたが一足遅かった。すでに王藺が東宮へ入り、門前には禁衛軍が立ちはだかる。一触即発の様相となる寧朔軍と禁衛軍、そこで蕭綦はわざと寝殿まで聞こえるように叫んだ。「皇太子殿下の命令により東宮を警護します!皇太子殿下、ご無事でしょうか?!」しかし皇太子の返事はない。蕭綦はじりじりと迫ったが、その時、寝殿から皇太子の声が聞こえて来た。「私も妃も中にいて丞相に守られている!心配には及ばぬ!兵を連れて帰ってくれ!」「皇帝が崩御されて間もなく宮殿が騒がしい!私が東宮の外をお守りします!」仕方なく王藺は何食わぬ顔で皇太子夫婦を連れて出て来た。蕭綦は皇太子を拘束した丞相を非難したが、王藺は誤解だという。「我々は家族だ、兵を率いて岳父と婿が対峙していると知ったら阿嫵がどう思うか…」「ならば岳父のお考えをお聞かせ願いたい」「はお、しかしお前は用心すべきだ」その時、潜んでいた射撃隊が一斉に姿を現し、狙いを定めた。蕭綦は包囲されたと知って呆然、すると王藺は勝ち誇ったように東宮へ戻ってしまう。その頃、龐癸(ホウキ)が密かに王妃に接触していた。<コンッコンコン… Σ(❛_❛ *)ハッ!パンダ?!「どんな様子?」「王妃、丞相は入宮され要所に兵を配置しています、大王の軍は東宮へ…」覚悟はしていたが、まさかこんなに早くこの日が訪れるとは思いもしなかった。「輿を用意して、私も宮殿に行く」こうして王儇も夜が明ける頃、宮殿に到着した。しかし宋懐恩(ソウカイオン)が城門へ駆けつけ、皇太子が拘束されたと報告する。皇后は式乾殿にいるが、丞相が包囲していた。「王妃、中は危険です、たとえ殺されてもお通しするわけには…」「あなたを殺したりしない、でも父と大王にもしものことがあれば私が死ぬわ」王儇は龐癸を書室へ行かせ、式乾殿に入った。すると皇后は皇帝の顔を見ようとする王儇を止め、ゆっくり休ませるよう告げる。「拝礼して見送ってあげて」王儇は叔母の言葉に従った。「死因は?」「…天命には逆らえなかったのね」「本当に?」その時、将軍が駆けつけ、丞相の大軍が東宮に攻め入り、豫章王と対峙していると報告した。皇后は兄と豫章王が権力争いを始めたと知って憤慨していたが、その時、王儇は書室から戻って来た龐癸の姿に気づく。そこで王儇は遺言書があると皇后を安心させ、龐癸から受け取った。「そんな…私ではなく阿嫵に託したと言うの?寒門に嫁いだ王氏の娘に?!」皇后は激しく取り乱し、子澹に皇位を継がせてなるものかと遺言書を渡すよう迫った。「誰か!」皇后の号令で衛兵が式乾殿になだれ込み、王儇は皇后に遺言書を奪われてしまう。「子隆のためなら何でもする…」「姑姑!やめて!」皇后は火鉢に遺言書を落とした。しかし宮女として潜入していた王儇の密偵が危ないところで遺言書をつかみ、龐癸に投げ渡す。「動くな!」密偵は皇后の首に短刀を突きつけた。実は王儇は皇后が昭陽殿で命を狙われた時から配下を忍ばせていたという。「殿下、本当の戦いは私たちの間ではなく、大殿の外にあります」王藺は皇太子夫婦を人質にして逃げていたが、寧朔軍に追い詰められた。そこへ王儇が皇后を連れて現れ、戦いを止める。驚いた丞相と蕭綦は咄嗟に配下を制止した。「ここに皇帝の遺言書がある!愚かな真似をするな!」王藺が皇太子夫妻を盾に陣取っていたのは、奇しくも子律(シリツ)が皇帝を人質に取った場所だった。「この遺言書は亡くなる直前、皇帝が私に託されました ″皇帝いわく、皇位を受け継ぐ者は天の意思に従い天を敬い、民を安定させよ 徳を積み、先祖の教えを尊重し、民心に寄り添え、ここに皇位の継承を命じる 余の遺志を継ぎ国を治める次期皇帝は…皇太子・馬子隆とする″」皇后の不安は杞憂に終わり、そのまま卒倒した。驚いた子隆は母の元へ行こうとしたが、王藺はまだ皇太子夫婦を解放しない。阿嫵は執着を捨てるよう説得し、家族が再会した日のことを思い出した。「父上、あの時、私が何を祈願したと?私の願いは親が子を愛し、子は親に孝行すること… 阿嫵からのお願いです、2度と独断で動かないで、権力欲しさに孤立してもいいと言うの?」「親孝行だと?ふっ、阿嫵、そう思うならその遺言書を出してはならなかった これで私はもう引き返せなくなった…私を恨むなよ?」すると王藺は皇帝の遺命には従うが、子隆が皇帝にふさわしい人間になるまで自分が政を補佐すると宣言、これで騒ぎを収めたいと言った。しかし蕭綦は謀反という大罪を見逃すことはできないという。「婿をお許しください」「よし、こうなったら正直に言おう、実は式乾殿に火薬を仕掛けておいた 大王が服従せぬのなら、ここにいる者すべてが死ぬことになる」「父上?!」「王藺!」そこに馬瑾若がやって来た。つづく( ๑≧ꇴ≦)むーちん!
2021.12.10
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上阳赋 The Rebel Princess第29話「一家の再会」慈安寺に戻った晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は、豫章(ヨショウ)王が阿嫵(アーウォ)を大切にしていると分かって安堵した。しかし桓宓(カンヒツ)の件で深く傷ついた王夙(オウシュク)の様子が分からず、心配は尽きない。一方、王儇(オウケン)は蕭綦(ショウキ)に命の恩人である三皇子・馬子澹(バシタン)の見舞いに行きたいと頼んだ。蕭綦は快く送り出したが、子澹に付き添っている皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)から門前払いされてしまう。「うわべだけの礼など結構…王氏に心などあったかしら?」「…阿嫵の心の中ではあなたは今でも私の宛如姐姐です」仕方なく拝礼して馬車に戻る王儇、そこで蘇錦児(ソキンジ)は見舞いの品だけでもと差し出したが、結局、宛如は受け取らなかった。皇太子・馬子隆(バシリュウ)は宮中の名簿を豫章王に預けることにした。逆賊の残党を危惧し、蕭綦が兵士から女官まで調査して災いの種を絶つという。しかし王藺(オウリン)は宮中の衛兵なら選び抜かれた勇士ばかり、その必要はないと反対した。するとこれまで伯父の言いなりだった子隆が反論する。「父皇も母后も舅舅も監禁されたのですよ?阿嫵と豫章王がいたから命拾いしたのです! 他の者は信用できない!私たちがくまなく調べて、悪人を追い出します! 禁軍も問題です、あの時、子律(シリツ)を止めませんでしたから」子隆は伯父が子律の陰謀にかかって手も足も出なかったと指摘、もはや信用できないと言い放った。そこで王藺は隠居を申し出て反撃する。子隆と蕭綦は困惑していたが、その時、運良く皇后が通りかかり、うまく取りなしてくれた。その夜、蕭綦は宋懐恩(ソウカイオン)に尋ね人の消息を聞いていた。懐恩は大王のため長年、探し続けていたが音沙汰がないと落胆する。一方、王藺は夜が更けても書斎で二皇子と共謀者が書いた文に目を通していた。使えそうなのは2人だけ、王藺はその2人を屋敷に呼び、他は殺せと命じる。するとにわかに外が騒がしくなった。王夙が泥酔し、中庭で暴れていた。激怒した王藺は息子を引っ叩き、池に突き落としてしまう。「飲みたいならそこで思う存分、飲むがいい、死に損ないの息子などいらん!」「あなたなんか父親じゃない!母上も阿嫵もいなくなった…家族はとっくに崩壊している! 桓宓との婚姻に手を貸したのは私のためじゃない、自身のためだったんだ!」王夙は紙切れ1枚で離縁されたのが自分だったことに憤り、何より朝廷の大臣たちの前で自分の妻が子律に嫁いだことは忘れられない屈辱となった。しかも父は息子と娘の結婚を利用しただけではない。自分自身も言われるまま愛なき婚姻をしていた。「あなたは何でも犠牲にできる人だ!…ふっ、今でも覚えています 母上を傷つけてまで皇家と争ったのは、太后が毒を飲ませたあの女のためでしょう?!」「私は王氏のために尽力した、お前の母親に誤解されても仕方がないが、お前までそんなことを… 現実を見ろ!お前は王氏の跡を継ぎ、士族の責務を果たさねばならん その時が来れば私の気持ちが分かるだろう」一方、王儇も久しぶりに酔い潰れていた。しかし翌朝、目を覚ますと、いつの間にか蕭綦と一緒に寝台で寝ていたと知る。「玉秀(ギョクシュウ)に聞いた、1瓶(カメ)飲み干したと…」すると王儇は王氏と皇家の板挟みに苦しむ母を思い、もし父が権力争いに関わらなければ母と愛し合えたはずだと嘆いた。ある日突然、家族にきしみが生じて崩壊、どうあがいても元に戻せない、この気持ちが蕭綦に分かるだろうか。そこで蕭綦は初めて自分の過去を話した。蕭綦は両親の顔すら知らなかったが、村人たちが家族同然に可愛がってくれた。その村は2つの部族が共存し、部族間での婚姻も許され平和だったという。しかし和気あいあいと暮らしていた2つの部族がやがて敵対し始めた。そんなある日、放牧中で山にいた蕭綦少年がふと村を見下ろすと、火の海だったという。急いで村に戻った蕭綦少年が見たのは、親しい者の手で悲惨な最期を遂げた村人たちだった。「これでも家族の崩壊を知らないと思うか?」すると王儇は蕭綦にしがみついた。一方、鎮国公府でも王夙が目を覚ましていた。昨夜、父に怒りをぶちまけたおかげか王夙は憑き物が落ちたようにすっきりし、沐浴してから豫章王府に阿嫵を迎えに行く。「哥哥!…哥哥は来ないと思ったわ」阿嫵の誕生日の前には家族そろって寺で祈願をするのが恒例だった。王儇は今年ばかりは独りで行くことになると諦めていたが、どうやら王夙は吹っ切れたらしい。「心配するな、もう過去は忘れたよ」2人は揃って慈安寺を訪ねた。そこで思いがけず父と合流する。馬瑾若は王藺の姿に困惑したが、阿嫵は2人の仲睦まじい姿を見るのが何よりの誕生日祝いだと懐柔した。久しぶりに家族が揃い、今年も無事に祈願を済ませた。王儇は王夙と庭園で休んでいたが、そこで仲良く歩く父と母の姿を見る。久しぶりに幸せな気持ちになる王儇、その時、急にえずきそうになってしまう。徐(ジョ)女官は女同士の話があると王夙に席を外してもらい、王儇の脈を診た。「おめでとうございます、王妃、ご懐妊です」すると王儇はまだ秘密にして欲しいと頼み、誕生日の最高の贈り物を喜んだ。蕭綦が王府に戻ると、王儇が奥殿に戻らず待っていた。「こんなところでどうした?…寺へ行ったんだろう?」「一緒に食事をしながら思い出話に花を咲かせたわ… 母上は言ってた、私にそっくりな孫をいつ抱けるだろうかって でも私はあなたによく似た子ならどんな子かと考えていたの」「私はそなたによく似た子が欲しい」すると蕭綦は大事そうに阿嫵を抱き上げ、寝殿まで連れて行った。…数日後、私の誕生日の祝宴で小さな命が宿ったと伝えるつもりだった…きっと人生で最も幸せな日になると王儇は久しぶりに伯父の皇帝を訪ねた。療養中の馬曜(バヨウ)は阿嫵の祝宴に参加するほどの体力がないと話し、何でも持っている阿嫵のために絵を描いてくれる。その時、急に激しく咳き込み、皇帝は喀血して絵を汚した。そこで王儇は筆を持ち、赤い色で血の染みの周りを塗りつぶし夕日にする。「阿嫵、お前の母は家を出たそうだな?」「どうしても父上を許せないみたい…母上は″私は永遠に皇家の娘で皇帝の妹だ″と言っていました」「お前はどうだ?」「私は母の娘で蕭綦の妻です」皇帝は自分が犯した最大の過ちは蕭綦を疑ったことだと漏らした。すると最後にひとつだけ頼みがあるという。「余は遺言書を残した」つづく(  ̄꒳ ̄)哥哥…
2021.12.09
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上阳赋 The Rebel Princess第28話「反逆者の末路」太極殿の前庭で二皇子・馬子律(バシリツ)と桓宓(カンヒツ)の婚礼の儀が始まった。士族と大臣たちが参列する中、しきたり通り面紗(メンシャ)で顔を隠した新婦が入場する。王夙(オウシュク)は屈辱に耐えかね新婦に襲い掛かろうとしたが、衛兵がその場で取り押さえた。子律は愛する桓宓の手を取り上段へ導いた。すると皇帝が玉座に就き、詔書を読み上げる。その時、痺れを切らした王儇(オウケン)が思わず叫んだ。「いつまで待たせるの!」驚いた子律が振り返ると、刺客の花嫁が短剣を振りかざして二皇子に襲いかかった。子律は頬を斬りつけられながらも回避、阿風(アフウ)は二皇子を一撃で仕留めることができず、敢えなく衛兵に殺されてしまう。子律は阿嫵(アーウォ)の仕業だと気づき逆上、衛兵の剣で襲いかかった。すると咄嗟に三皇子・馬子澹(バシタン)が身を挺してかばい、代わりに刺されてしまう。子律は愛のため盲目になった弟を蔑み、せめてもの思いやりに阿嫵を一緒に逝かせてやると言った。しかし子律が剣を振り下ろそうとしたまさにその時、弓矢が刃に命中、その衝撃で剣が後ろに吹き飛び、次の矢が子律の冠を直撃する。その矢を放ったのは皇帝の密詔を受け取った蕭綦(ショウキ)だった。太極殿になだれ込む寧朔(ネイサク)軍、焦った子律は髪を振り乱して玉座へ駆けつけ、皇帝を人質にして式乾(シキケン)殿へ撤収する。蕭綦は阿嫵の無事な姿を見つけて安堵したが、言葉を交わす余裕はなかった。「蕭綦…陛下を助けて!」王儇は自分をかばって刺された子澹を心配した。「阿嫵、そなたの英雄が帰ってきたな…」「…傷むでしょう?」「大丈夫だ」王儇は子澹の背中から流れる鮮血に動揺し、太医を呼んだ。蕭綦の到着により形勢が逆転、子律の配下@赤マント組は全滅した。進退窮まった子律だったが父が助けに来てくれると信じ、皇帝の首に剣を突きつけ抵抗する。すると蕭綦は謇寧(ケンネイ)王の軍が鬼霧(キム)谷で敗れ、まもなく寧朔の大軍と一緒に謇寧王の亡骸が戻ってくると教えた。「殿下のそばには誰ひとり残っていません」気がつけば寧朔軍に囲まれていた子律、後ろには魏(ギ)将軍の機転で救出された宋懐恩(ソウカイオン)の姿もある。「引き返せない道を歩み始めた瞬間から死を恐れず成就のみを願ってきた… 邪魔するなら皇帝には一緒に死んでもらう!」「そこまでよ!」王儇が桓宓を連れてやって来た。子律は取り乱し、桓宓と引き換えに一度は剣を下ろしたが、運悪く王夙が乗り込んで来る。「お前を殺してやる!我々、王氏を侮辱した!よりによって私の女を奪おうとするとは!」桓宓はすべて自分が望んだことだと告白した。そもそも義父である王藺(オウリン)のせいで愛する子律と引き離されたという。実は桓宓を奪ったのは子律ではなく、王夙だった。妻の不貞に激しく動揺した王夙は思わず桓宓に剣を向ける。驚いた子律は桓宓に気を取られ皇帝から離れると、その瞬間に背後にいた宋懐恩が矢を放った。弓矢は子律の背中に命中、これを合図に射撃隊が追従し、子律は無数の矢を受け倒れてしまう。「子律っ!」すると絶望した桓宓は王夙の刃をいきなりつかみ、自ら腹を刺して愛する子律の後を追った。(  ̄꒳ ̄).oO(子律、帝位より桓宓を選ぶなんて…いい人じゃないのw王儇は怪我を負った子澹の元へ駆けつけた。子澹は眠っていたが、太医の話では幸い急所を外れていたため、薬を飲めば治るという。安堵した王儇は子澹が命懸けで守ってくれたことを思い出し、そっと子澹に手を伸ばした。しかし豫章王妃として子澹に触れることははばかられ、手を引っ込めてしまう。一方、昭陽殿では蕭綦のおかげで命拾いした皇后と王藺が一息ついていた。皇后は皇太子・子隆(シリュウ)の即位に蕭綦が必要だと考え、その忠誠心を高く評価する。すると王藺は皇后が蕭綦を飼い慣らせるとは思えないと牽制した。子隆は子律にこれほどの野心があったことに驚愕した。「…ずっとそばにいたのに気づかなかった、子律の忍耐力には私と子澹が束になっても敵うまい」そこへちょうど皇后が現れ、感心している場合かと叱る。「皇位を継ぐのはあなたです、誰が何と言おうが己の意志で道を選びなさい 揺さぶられてはだめですよ」皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)は子隆に他意はないと庇い、それより一刻も早く残党を始末すべきだと進言した。すると皇后は自分に指図したと激怒、子律の謀反を口実に華光殿での一件を蒸し返す魂胆だと疑う。「お前を廃妃し、謝氏を葬ることもできる!」焦った子隆はすぐ謝るよう助言したが、宛如は事実を言っただけだと拒否した。皇后は口答えした宛如を引っ叩くと、後宮の主はあくまで自分だと知らしめ、出て行ってしまう。傷ついた宛如はしみじみ自分の惨めな境遇を嘆いた。桓宓には子律がいたが、自分には寄る辺がないのだと…。反逆者の討伐により王藺には太師、蕭綦には太尉の名誉職が与えられた。さらに魏邯(ギカン)、宋懐恩、牟連(ホウレン)、唐競(トウケイ)、胡光烈(ココウレツ)、胡瑶(コヨウ)は爵位を3等昇格し、それぞれ金一千両を賜る。また二皇子・子律、謇寧(ケンネイ)王・馬睢(バスイ)、そして桓公など反逆者たちは反逆罪に処された。王儇が目を覚ますと蕭綦が付き添っていた。蕭綦は戦にかまけて宮殿の危機を知らずにいたと謝り、阿嫵を守ったのは不本意ながら三皇子だったと肩を落とす。すると蕭綦は自分の腕で王儇を強く抱きしめ、ようやく胸を撫で下ろした。「今までは戦地でも恐れ知らずだったが、今回ばかりは怖かった、そなたを失うかと…」「もう心配ないわ…」↓なぜか見てはいけないものを見ている気分にさせる2人w皇后はどうにも落ち着かず、子隆を訪ねた。「子律の内通者は一掃できた?」「舅舅が処理に当たっています」すると皇后は皇帝になっても王藺に従うつもりかと聞く。確かに朝廷で最も頼りになるのは王藺だっが、兄の野心を知る皇后は自分以外に誰も信じてはならないと釘を刺した。「分かりました…母后の言葉を胸に刻みます」←( ̄▽ ̄;)素直は素直なのよw蕭綦が庭園で阿嫵の武勇伝を聞いていると、静養中の玉秀(ギョクシュウ)がやって来た。「王妃…ゥッ…お怪我はありませんか?」「大丈夫よ」すると蕭綦は王妃を命懸けで守ってくれた玉秀に感謝し、後日、褒美を授けるという。その様子を蘇錦児(ソキンジ)が物陰から見ていた。王妃と玉秀の仲睦まじい関係はかつての自分と郡主をほうふつとさせる。錦児は結局、声をかけられず、黙って引き返した。晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は居ても立ってもいられず、豫章王府を訪ねた。王儇は蕭綦に母が初夜の件を持ち出すはずだと断ったが、蕭綦は心配いらないという。すると馬瑾若は知っての通り2人の婚姻に反対だったと切り出し、初夜に逃げ出して娘に恥をかかせたことに憤ったと伝えた。「あなたは賢い人だから私の気持ちを理解してくれるわね?」「私の過ちでした」しかし豫章王が娘に尽くし、何度も命を救ってくれたと知り、今回も少数の兵士で駆けつけてくれたことに感謝した。「お酒の代わりにお茶で感謝の意を表するわ」「ご心配なく…人生を駆けて阿嫵を守り、岳母を裏切りません」一方、子澹は父の叱咤激励により戦う覚悟を決めた。そこで付き添っていた宛如に協力してもらえるか聞いたが、宛如は皇太子妃という立場上、言葉に詰まってしまう。馬瑾若は屋敷へ戻らず、また慈安寺へ帰った。王儇は母を追い詰めた父を恨み、両親には自分に理解できない壁があると知る。すると見送りから戻る途中、偶然、薬を持って出てきた錦児と出くわした。「そのぉ~王妃を守って三皇子殿下が負傷されたと聞いて… 王妃が見舞いに行くかと思い、生薬を準備しておきました」錦児は大王の手前、言いづらそうに伝えた。「そう…分かったわ」つづく(^ꇴ^)子律、好演でした~しかしまだまだ色々なことが起きます、お楽しみに♪ ←誰?w
2021.12.03
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上阳赋 The Rebel Princess第27話「子律からの招待」宋懐恩(ソウカイオン)は西の軍営で捕らわれの身となり、拷問を受けていた。将軍は王氏の婿である豫章(ヨショウ)王が反逆したと疑い、懐恩の必死の訴えにも耳を貸さない。一方、簒奪も目前となった二皇子・馬子律(バシリツ)は父に早く詔書を渡すよう迫っていた。すると皇帝は3人の息子のうち顔も性格も若い頃の自分に似ているのは子律だという。「不思議でならん、なぜ信じて疑わぬのか お前の父が千里も離れた場所にいる謇寧(ケンネイ)王だと…」子律は皇帝の思わぬ指摘に言葉を失い、何も言い返せなかった。大役を終えた王儇(オウケン)は5刻ほど休んで目を覚ました。あれから皇帝の使いは来なかったが、宮女の話では三皇子・馬子澹(バシタン)が謁見を願い出て認められたという。また3日後には宮殿で二皇子の婚礼の儀が執り行われると知った。子律は父皇へ別れの挨拶をさせるため子澹の謁見を許した。しかし門衛に式乾(シキケン)殿を出る時には三皇子を牢へ連れていくよう命じて出て行く。皇帝はようやく子澹と再会を果たしたが、阿嫵(アーウォ)のために自ら入宮した息子に辛辣だった。「ふっふふ、阿嫵はお前と婚姻せず幸いだった 愛する女のために戦おうともしないお前に皇位を与えようとしたとは…余が間違っていた」皇帝は寵愛する息子の失態を嘆き、もはや子澹は嫌悪していた権力も愛する阿嫵も今世では手に入れられないと失望する。すると阿嫵にも父にも責められた子澹は虚しさから嗚咽を漏らした。「教えてください…私に何ができるのか」「天下を取るのだ」桓宓(カンヒツ)は自分が子律の足かせになるのではと怯えていた。しかし子律は桓宓がいなければ天下をとっても意味がないという。すると戦況報告が届いた。謇寧王が豫章王を鬼霧(キム)谷に封じ込め、3日後には攻めると知らせてきたという。文の日付は3日前、恐らく今日か明日には攻撃を始めるはずだ。謇寧王の勝利を確信した子律は桓宓との婚礼を2日後と正式に命じ、牢の王夙(オウシュク)に離縁状を届けさせた。しかも婚儀には王夙と丞相・王藺(オウリン)を招待するという。王藺はなぜか喜んで出席すると言ったが、王夙は一方的な離縁状に納得ができず、燃やしてしまう。一方、西の軍営では将軍が宋懐恩に″豫章王夫妻が丞相と結託して謀反を起こした″と認めるよう迫っていた。そこで懐恩は手を縛られたままでは署名できないと頼み、解放されたところで脱走を試みる。しかし深手を負った上に多勢に無勢、酒瓶で頭を殴られた懐恩はその場で倒れた。「愚かな真似をして…おい、署名を手伝ってやれ」こうして懐恩は無理やり署名させられてしまう。…王妃、あなたの信頼を裏切ってしまった、結局はご迷惑をおかけすることに…その夜、鳳池(ホウチ)宮に密偵が忍び込んだ。「誰?!」「王妃、ご安心ください、丞相のご命令で来ました」密偵が覆面を下ろして顔を見せると、王儇は青雲(セイウン)道士だと分かった。実は青雲も王氏の密偵で、皇帝の即位の時から皇帝のそばで身を隠していたという。青雲は牢の丞相に使いを送ったところ、王妃に会って指示を仰ぐよう命じられたと伝えた。宮殿に潜む王氏の護衛兵は幾つもの分隊あり、総人数は把握できないが青雲の分隊は26人だという。「宮殿の外と連絡を取りたいの」王儇は豫章王府の宋懐恩に3日後に動くよう伝えて欲しいと頼んだ。「もし宋将軍がいなければ魏(ギ)将軍でもいいわ」青雲は糞尿を外に運ぶ仲間に連絡を頼んだ。密偵は豫章王府に到着、合図の口笛を吹く。すると療養中の龐癸(ホウキ)が気がついた。しかしまだ身体が動かせず、仕方なく介抱してくれる侍女に代理を頼む。「この笛を門の脇で吹いてくれ、現れた人物を連れて来て欲しい」龐癸はようやく宮中の内情が分かった。王妃は鳳池宮に監禁されているが無事、しかし宮殿は二皇子が掌握し、丞相たちは投獄されたという。明後日には二皇子と世子妃との婚姻が決まり、儀式の後は血の雨が降るだろう。すると密偵は宋懐恩がいないと知り、その足で西の城門を守る魏邯(ギカン)を訪ねた。「魏将軍、将軍の″妹君″の使いが来ています」一方、臨梁関(リンリョウカン)では門衛たちが困惑していた。報告では謇寧王が到着する予定だったが、なぜか寧朔軍が開門しろと迫っている。対応に困った門衛は慌てて将軍に報告した。深夜に起こされた将軍は着替える間もなく城楼へ駆けつけ、豫章王を確認する。すると鎧を届けに来た夫人が戦神である豫章王に勝てるはずがないと訴え、ここは抵抗せず、ともかく急いで皇都に人を送るよう進言した。「そうだな…開門しろ!」←( ̄▽ ̄;)オイオイオイ___しかし数十万人はいると思った寧朔軍はわずかに1万人だけだと分かる。「…騙されたぁぁぁ」←( ๑≧ꇴ≦)wwwその頃、宮殿を移動中だった王儇は、誤って階段を踏み外した宮女とぶつかった。将軍は二皇子の命に従って王妃に触れた者は殺すと言ったが、王儇は二皇子の婚礼を前に殺生は縁起が悪いとなだめる。王妃のおかげで命拾いした宮女、実はぶつかった拍子に密かに王妃へ密書を渡していた。そこで王儇は寝宮に戻って小さな紙をろうそくの火であぶってみると、密偵の準備ができたと分かる。一方、宋懐恩の証文を手に入れた陸(リク)将軍は西の城門に到着した。魏将軍はすぐ門を開けたが、陸将軍たちは皇都に入ると途端に包囲されてしまう。「捕らえろ!」婚儀の朝、桓宓は身支度をしているうちに気を失った。実は桓宓の世話していた宮女は蕭綦が王儇の側に仕えさせた2人の女刺客、すると2人は桓宓を湯船の下に隠して外へ出すと、阿風(アフウ)が花嫁に成りすます。その頃、鳳池宮に衛兵が乗り込んできた。「豫章王妃には二皇子殿下の婚礼にご出席いただきますよう…」「…それはおめでたいこと、王妃からもお祝い申し上げます」子律は式乾殿を訪ねた。皇帝はすでに礼服を身にまとい準備万端、子律は久しぶりに見る父皇の盛装に思わず失笑する。「これこそ私が考える皇帝だ…これが最後になるとは残念だ」子律は詔書を受け取り、中を確認して安堵した。しかし皇帝から自分が読み上げなければ誰も信用しないと指摘されてしまう。太極殿の前庭で子律と桓宓の婚儀が始まった。大臣たちが戸惑いを隠せない中、釈放された皇太子・馬子隆(バシリュウ)と皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)、子澹の姿もある。そこへ衛兵の案内で王儇が現れた。王儇は兄の姿に気づいたが、言葉を交わすこともできない。こうして役者が揃うと、ずっとうつむいていた子律が目を開けた。つづく( ๑≧ꇴ≦)盛り上がってまいりました~!それにしても阿嫵の衣装が謎だわ…チャンツィイが好きなのかしら
2021.12.02
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上阳赋 The Rebel Princess第26話「勝者決定」王儇(オウケン)は宋懐恩(ソウカイオン)に虎符と皇帝の密詔を託し、西門で別れた。こうして懐恩は西の軍営へ、王儇は魏(ギ)夫人の馬車に同乗させてもらい一路、慈安寺を目指す。夜が明けるまであと1刻、何もなければ間に合うはずだったが、その時、追っ手が現れた。「夫人!追っ手が来ています!」「急いで!もっと急いで!」御者は必死に馬を駆けて慈安寺へ到着した。門で待っていた晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は阿嫵(アーウォ)と魏夫人をかくまって門を閉めたが、城内巡使・張棟(チョウトウ)たちが門を破って強引に乗り込んで来る。「待て!止まれ!」すると振り返ったのは長公主と魏将軍の母だった。張棟は無礼を謝罪し、疾走する馬車の報告を受けて罪人の脱走を疑ったと釈明した。そこで馬瑾若は馬車に乗っていたのは魏夫人だと教えたが、張棟は夜間通行禁止につき、どんな用件かと訝しむ。魏夫人は機転を利かせ、娘が出産を控えており、長公主から慈安寺が霊験あらたかだと聞いて駆けつけたと言った。「夜明け前に出発したので誤解されても仕方がない」「これ以上、遅れたら朝の香をあげられず、夫人の願いが叶わぬ 魏将軍は孝行息子で有名だとか…今日のことを知ったらどう思うかしら?」ネー(*´・д・)(・д・`*)ネーすると驚いた張棟は許しを請い、急いで帰って行った。王儇は危ないところで石垣の裏に隠れ、難を逃れた。「むーちん、私も行かなくては、体に気をつけて…魏夫人、あなたも保重!」一方、皇帝は阿嫵の帰りを待ちながら不安な夜を過ごしていた。しかし阿嫵が戻らないまま朝が来てしまう。するとついに二皇子・馬子律(バシリツ)が式乾(シキケン)殿にやって来た。皇帝は寝たふりをして誤魔化すことにしたが、寝所の戸が開いたところで侍従が二皇子を呼び止める。実は昨日、外に吊るした2人の太傅が死んでいた。これに憤慨した大臣たちが太極殿で騒いでいるという。子律は仕方なく引き返し、皇帝は首の皮一枚でつながった。子律は太極殿に向かうことにしたが、道すがら侍従がもうひとつ報告があると言った。「実は宮殿の外で豫章(ヨショウ)王妃を目撃したという報告が…」驚いた子律は慌てて式乾殿へ駆けつけたが、そこには皇帝に付き添う阿嫵の姿がある。しかし皇帝は阿嫵の上着の裾に泥が付いていると気づき、咄嗟に戻って休むよう命じた。子律は2人の様子に違和感を感じながら、実は宮外で阿嫵の目撃情報があったと教える。「そうなの?もしそうならここには戻らないわ」「…警告する、下手なまねをするなよ」王儇が鳳池(ホウチ)宮へ戻ると、三皇子・馬子澹(バシタン)が出迎えた。しかし心配で眠れなかった子澹とは対照的に王儇の態度は冷たい。子澹は阿嫵のためなら死も覚悟していると訴えたが、王儇は独り善がりだと呆れた。「本当に私が心配なら宮殿に来たりしなかったわ 子律を食い止める策も練らずに自ら罠にかかるなんて…へそで茶を沸かすわ!←とは言ってないw 自分の命も守れないくせに…ちっ!←舌打ちもしてないw 子澹…あなたは私情しかない、でも私は違う」すると王儇はいつの間にか洗濯が終わった上着をひるがえし、寝所に入った。一方、鬼霧(キム)谷ではいよいよ謇寧(ケンネイ)王が出陣した。すると合図の狼煙(ノロシ)が上がる。恐らく敵軍の飲み水に毒を入れたのが功を奏し、桓公(カンコウ)が陣営を制したのだ。勝利を確信した謇寧王は鬼霧谷の奥へと攻め込んだが、蕭綦(ショウキ)が兼ねてから準備していた巨大戦車が立ちはだかった。寧朔軍は巨大戦車で身を守りながら弩(ド)砲を放った。反乱軍の先陣は全滅、すると謇寧王は長い槍が接近戦に向かないことから、重甲兵に援護させて弩砲を打ち破ると決める。寧朔軍は重甲隊も長槍で倒したが、次から次へと新たな兵士が盾を持って迫って来た。「大王!敵軍が射程距離を越えました!」「投石機を用意!」すると寧朔軍の火弾が炸裂、谷に白い煙が充満した。その時、煙の切れ間から桓公が吊り下げられる姿が見える。謇寧王は自分たちの計画が失敗したと知り慌てて撤退を命じた。その頃、床についた王儇は自分の決断が正しかったのか悩んでいた。…蕭綦、あなたが信頼する宋将軍に虎符を預けたわ、国の運命を宋将軍の手に託したの…この選択が正しいのかは分からない、でも悩む暇も選択の余地もなかった一方、宋懐恩は無事に西の軍営に到着していた。そこで将軍に虎符を示し、皇都の危機を救って欲しいと嘆願する。しかし将軍は密詔を確認すると、いきなり懐恩たちを捕らえろと命じた。子律は父が余命幾ばくもないと知り、庭園の涼亭に連れ出した。「覚えています、ここで陛下の姿をよく見かけた…向こうから独りで座る陛下を見ていたんです 陛下は皇帝でありながら自分と同じように寂しいのだと思いました 太子には皇后が、子澹には謝貴妃がいて、陛下が後宮を訪ねれば彼らは父親に会えた しかし母のいない私は… あなたに褒められたくて夜を徹して勉学に励み、毎月の試験も1番でしたが、無駄でした…」子律は皇帝が王氏の機嫌を取るため桓宓(カンヒツ)を王夙(オウシュク)に差し出した日から、恨むようになったという。すると皇帝は初めから子律が謇寧王の息子だと知っていたら、生まれた瞬間に殺していたと言った。謇寧王は急いで引き返したが遅かった。「大王!やられました!唐競(トウケイ)が数万の軍を率いて我々を包囲しました! しかも六鎮(リクチン)が敵の手に落ち、彭沢(ホウタク)の太守が討たれました!」謇寧王は寧朔軍が援軍を呼んだと知り呆然となった。桓公と内外で呼応し寧朔軍を挟み撃ちにする作戦だったが、蕭綦に裏をかかれ、気がつけば自分たちが谷に追い込まれてしまう。そこへついに追撃して来た蕭綦が現れた。逃げ場を失った反乱軍は士気を失った。謇寧王は自棄になって馬車のまま蕭綦に突撃するも、蕭綦の大長矛で横転してしまう。生け捕りとなった謇寧王、しかしどうしても腑に落ちないことがあるという。「なぜ桓公との内通が分かった?…どうやって援軍を?」実は桓公が部下に命じて飲み水に毒を盛らせたことが発覚していた。蕭綦は桓公の裏切りに気づき、あの夜、包囲網を突破すると信じさせて偽の情報を謇寧王へ流したという。また退路をふさいだのは援軍だと思っていたが、胡瑶(コヨウ)が見つけた抜け道を使って奇襲した寧朔軍だった。蕭綦は降伏するか尋ねた。しかし謇寧王は皇帝と同じ空の下では生きられないと拒否する。そこで蕭綦は黙って自分の剣を投げ渡し、背を向けた。すると謇寧王は剣を拾い、自ら首をかっ切って自害してしまう。牢獄に侍従が食事を届けにやって来た。侍従はまず温宗慎(オンシュウシン)に料理を渡し、次に王藺の牢へ入る。「丞相、何日も食べておられませんね、お召し上がりください」侍従が差し出した皿を見た王藺はその意味を悟り、それとなく汁のついた箸で机に字を書いた。…王妃…すると侍従が監禁されている青雲(セイウン)道士のもとに将棋盤を差し入れた。青雲は密かに薬剤と密書を手に入れ、確認した密書は燃やして処分してしまう。その頃、宋懐恩は虎符を盗んで密詔を偽装した罪で拷問されていた。「宮殿に内通者がいるのか?豫章王は知っているのか?」「…虎符も密詔も皇帝から預かった…皇帝が内通者だと?!」しかし将軍はすべて豫章王が仕向けたと疑った。つづく( ๑≧ꇴ≦)かいおーん!拷問されてもハスキーボイスなんだぜ
2021.11.26
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上阳赋 The Rebel Princess第25話「託された使命」窮地に追い込まれた大成皇帝・馬曜(バヨウ)は王儇(オウケン)に助けを求めた。実は宮殿には秘密の地下道があり、その存在は代々、皇帝だけに引き継がれているという。「徳宣(トクセン)太后の墓がどこにあるか知っておるか?」「皇帝陵に葬られているのでしょう?」実は徳宣太后は息子たちが皇位を争い、粛宗(シュクソウ)が兄の高宗(コウソウ)を殺めたことに憤慨して慈安寺に身を寄せていた。それを機に粛宗は慈安寺を皇室の寺に指定、母の遺言通り極秘で慈安寺の地下に墓を造ったという。墓には2つの出入り口があり、ひとつは慈安寺、もうひとつは式乾(シキケン)殿にあった。二皇子・馬子律(バシリツ)が式乾殿に戻ると、ちょうど王儇が出て来た。そこで衛兵に王儇を鳳池(ホウチ)宮へ送るよう命じ、いよいよ皇帝に勅書を書かせることにする。しかし皇帝はあと3日だけ時間が欲しいと訴えた。もし詔書を書けば自分は用済みになり殺されるのを待つだけとなる。最後に3日間だけも阿嫵(アーウォ)と将棋を指したり、散策したり、穏やかな時間を過ごしたかった。「…頼む」熱り立っていた子律だったが、まさか天子が自分に頼み事をするとは予想外だった。「…陛下?私が同じように懇願すれば許してくれますか?」「許すとも…今の状況はどうであれ、お前は20年以上、息子だった」その言葉を聞いた子律は今にも涙があふれそうになり、慌てて背を向けた。「3日やろう」牢獄に子律が現れた。二皇子の姿に気づいた王藺(オウリン)は素直に自分が出し抜かれたと認める。「大したものだ、子澹(シタン)に刺客を送り皇太子を疑わせ、王氏と謝氏の争いを煽り、 豫章(ヨショウ)王を皇都から遠ざけ、謇寧(ケンネイ)王と手を組み、暉(キ)州の変を起こすとは…」しかし子律は王藺が犯した最も大きな失敗は息子と桓宓(カンヒツ)を婚姻させたことだと言った。「宓児?…子律!宓児がどうした?!」向かいの牢にいた王夙(オウシュク)は驚いて柵に駆け寄った。すると子律は王夙の首をつかみ、激しい嫉妬から息の根を止めようとする。「…貴様に宓児と呼ぶ資格などない!宓児は私の女だ!」焦った王藺は子律の恋慕を知りながら息子と桓宓を婚姻させたのは自分だと挑発した。子律はようやく王夙から手を離して冷静さを取り戻すと、急かさずとも数日後に開く宴に招待するという。「その時、死んだ方がましだと思わせてやる」その夜、王夙が冷たい寝床で恨みを募らせている頃、桓宓は様変わりした昭陽殿で愛する子律と枕を共にしていた。すると子律のもとに皇帝の具合が悪いと報告が来る。侍従は直ちに子律に報告、太医が薬を用意しても毒を敬遠し、豫章王妃が出した薬でなければ飲まないと拒んでいるという。子律は仕方なく阿嫵に看病を任せると決め、その代わり2人を式乾殿から出さないよう厳命した。皇帝は病を装い王儇を呼び出すことに成功した。そこで王儇に密詔を託し、仕掛け扉を開けて密道から外へ逃がすことにする。「必ず朝までに戻って来い…よいか?虎符(コフ)は仏像の足下、獣の頭の中だ」王儇はろうそくの小さな灯りを頼りに密道を進んだ。やがて徳宣太后の墓に到着、無事に虎符を手に入れる。そして慈安寺へ脱出し、母に助けを求めた。世俗を離れた晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)はようやく子律が謀反を起こしたと知り驚愕、娘をかくまおうとしたが、王儇は皇帝からの重責を負っているという。「皆の命が私にかかっているの」知らせを受けた宋懐恩(ソウカイオン)は慈安寺に駆けつけ豫章王妃と合流した。龐癸(ホウキ)の情報から世子妃と二皇子が恋仲だったと分かり、桓公も謇寧王と結託していたという。王儇は腑に落ちた様子で、急いで西の軍営に向かうと伝えた。城門を出るためには西門を守る魏(ギ)将軍を説得する必要があった。そこで宋懐恩が魏将軍の母を拉致、王儇は無礼を謝罪して協力を頼む。西門に到着した王儇は馬車の窓から魏夫人のかんざしを差し出し、門衛に魏将軍の妹だと嘘をついた。魏将軍に妹などいなかったが、母のかんざしを見た将軍はひとまず馬車へ向かう。すると窓から豫章王妃が顔を出した。魏将軍は部下たちに気づかれぬよう妹だと偽ったまま王妃と宋将軍を部屋へ通した。すると王妃が虎符を示して皇帝の密書を差し出す。密書には″宮殿へ向かい反逆者を処罰せよ″と書かれていた。「数日で状況が変わったの、陛下は二皇子殿下を利用して私の父を抑えようとしたわ まさか二皇子殿下が謇寧王と結託し、皇位を脅かすとは思わずにね …魏将軍、お願いよ、私を西の軍営に行かせて」一方、桓公は守りに徹した蕭綦(ショウキ)に手を焼いていた。そこで大事な王妃の危機を知れば蕭綦が焦ると考え、寧朔(ネイサク)の軍営に駆けつける。確かに宋懐恩からの報告が途絶え、蕭綦たちも皇都で何か起こったと気づいていた。するとついに蕭綦が決断する。「最も霧が深いのは日の出の頃、辰の3刻だ」蕭綦は出撃を命じたが、そこへ慌てた様子で胡瑶(コヨウ)が駆け込んで来た。「大王ーっ!多くの兵が次々と倒れています!」実は謇寧王は寧朔軍が飲み水に使っている川の上流から毒を流すよう命じていた。魏将軍は皇都を掌握しているのが二皇子だと知った。しかしにわかに信じがたく、判断に迷う。そこで王儇は魏夫人を呼んだ。魏将軍は母を拉致した豫章王妃を非難したが、魏夫人は豫章王妃のように知恵と勇気を兼ね備えた人に会えたと喜んでいる。実は王儇が暉州を守ったように、魏夫人は将軍が襄陽(ジョウヨウ)に駐屯した際、女子供を率いて防御壁を作ったという武勇伝があった。「息子よ、王妃を信じるわね?…柱国将軍になった日、私が贈った言葉を覚えている?」「別れ道が来たら大義を優先しろと…」王儇は魏将軍の偏見を払拭するため、豫章王も自分も父と一線を画しており、王氏のためではなく国の大義のために動いていると訴えた。魏将軍は覚悟を決め、西門を開けることにした。往復で2刻、朝には呉(ゴ)将軍の部隊と交代しなければならない。しかも12部隊のうち6部隊が二皇子の指揮下にあり、魏将軍ひとりの力では限界があった。「私に考えがあるの…」王儇は密道の存在を明かすことはできなかった。そこで宋懐恩に虎符と密詔を託すことにする。懐恩は自分に軍を動かせる力はなく、計画が水の泡になれば取り返しがつかないと困惑した。しかし王妃は時間がないと虎符と密詔を手渡す。「城を出たら大王に伝えてちょうだい、桓公に警戒しろと… 懐恩、全ての人と大成の運命を任せたわ」すると懐恩は腹を括ってひざまずいた。「必ずや遂行するとお約束します!虎符と密詔と生死を共にする覚悟です!」つづく(  ̄꒳ ̄)不思議なダンジョンには宝箱が欲しいよね~
2021.11.25
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上阳赋 The Rebel Princess第24話「伯父との和解」命の危険も顧みず自ら宮中にやって来た三皇子・馬子澹(バシタン)。すると二皇子・馬子律(バシリツ)は冥土の土産に昔の情に免じて阿嫵(アーウォ)に会わせてやることにした。王儇(オウケン)は子澹の姿に驚いた。「どうして帰って来たの?」「後悔していない…ふっ、幼い頃を覚えているかい?」鳳池(ホウチ)宮は王儇が皇太后から賜った寝宮だった。まだ幼い頃、阿嫵の姿が見えなくなって宮女たちが大騒ぎになったことがある。子澹は枝の揺れに気づいて木の上にいる阿嫵を発見、阿嫵は小鳥を追いかけてどんどん登って行った。そして小鳥を捕えようとした瞬間、枝が折れて阿嫵が落下してしまう。結局、阿嫵は無事だったが、受け止めた子澹は骨折した。「おてんばだったけれどいつも助けてくれたわね、でも今回は…宮殿中の全員が子律の配下よ?」「信じなくてもいいが、ここ一年で今が一番、楽しいよ」子澹はたとえ明日、死ぬことになっても悔いはないという。しかし王儇は死よりも大切なことがあると言った。その夜、桓公(カンコウ)の軍営に林(リン)将軍と黄(コウ)将軍が送り返された。二人は計画通り酔った振りで偵察していたが、豫章(ヨショウ)王に見つかって100回の杖(ジョウ)罰を受けたという。一方、謇寧(ケンネイ)王は機先を制して鬼霧(キム)谷の周りを包囲しながら、なぜか動く様子はなかった。胡光烈(ココウレツ)は明日になっても攻めて来なければ正面突破も辞さないと言ったが、蕭綦(ショウキ)は首を縦に振らない。一緒に入隊した仲間で生存しているのは今や自分と胡光烈2人だけだった。当時はまだお互い若く、勝つためならどんな代償でも払ったが、今は兵の遺族を面倒見る立場にいる。蕭綦は両親や家族の悲しみが痛いほど分かると訴え、最小限の犠牲で勝つための方法を考えることが自分の役目だと言った。その時、伝令兵が慌ててやって来る。実は桓公が規律を破って送り返された2人を見せしめに処刑し、寧朔軍へ首を届けていた。翌朝、太極殿に監禁された大臣たちは解放を求めて騒いでいた。そこへ子律がやって来る。大臣たちは朝廷が滞っては皇都が秩序を失うと訴え、そもそも何の罪も犯していない自分たちがなぜ閉じ込められているのかと迫った。すると子律は自分に楯突いたとして2人の重臣を外に吊り下げてしまう。「いつ降ろしますか?」「降ろす?…ふん、死んでからだ」窓からその様子を見た大臣たちは憤り、三代に渡り忠誠を尽くした太傅への仕打ちを嘆いた。子律は衛兵を従え、式乾(シキケン)殿の皇帝を訪ねた。皇帝が虎符を持っていないと知った子律はもはや孝行のふりなどできないと伝え、本当の父親は謇寧王だと暴露する。実は謇寧王が反旗をひるがしたのも息子である自分のためだというのだ。皇帝はあまりの衝撃に激しく咳き込んでしまう。すると子律は最愛の息子である子澹まで逃げる機会を棒に振り、自ら死ぬために宮殿へ来たと教えた。「誰のためだと思いますか? 残念ながらあなたがかけた愛情も、王儇の存在には及ばなかったのです」焦った皇帝は自分が兄を殺さなかったように子澹を見逃すよう訴え、何が望みか聞いた。「皇位継承の詔勅です」子律は正当に皇位を継いだという大義名分が欲しかった。一方、鬼霧谷では寧朔軍と謇寧王の軍が対峙したままこう着状態にあった。すると豫章王の密命で動いていた胡瑶(コヨウ)が戻って来る。「大王!大王!…裏山の洞窟が山の下までつながっていました! 少人数であれば十分、通れます!謇寧王の兵もいません!」実は蕭綦が鬼霧谷まで進んだ理由はこれだった。その頃、俗世を離れた晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は針仕事に勤しんでいた。徐(ジョ)女官は少し休むよう諌めたが、長公主は娘が婚姻して初めての誕生日のため、自分の手で縫い取りしたいという。すると馬瑾若はお茶を頼んだ。徐女官が茶瓶を手に外へ出ると、ちょうど宋懐恩(ソウカイオン)と出くわした。懐恩の話では皇都が物騒なため、王妃の命令で寺の外を兵が守っているという。「万が一の時には豫章王府に報告が来るはず、長公主には安心して欲しいとお伝えを」「分かりました、よろしくお願いします」子律が鳳池宮を訪ねると、子澹がひとりで中庭にいた。「お前を哀れに思うぞ、阿嫵のためにいくら努力しても報われないのだからな」「ふん、あなたに私と阿嫵のことなど分かってたまるか」子律は子澹の傲慢な態度に激怒し、皇帝に溺愛される弟への嫌悪感をあらわにする。しかし権力を失えば愛する人を守ることもできず、子律はしょせん虚勢だと鼻で笑った。子澹は幼い頃に病弱な二兄をいつもかばってきた自分と阿嫵への仕打ちに憤ったが、そこへ王儇が現れる。「どこへ行くの?」「皇帝に会いたいのだろう?実はあの老ぼれもお前に会いたいそうだ」「父皇に向かって何と失敬な!」「ふん、お前の父親だ、私は違う」王儇が式乾殿に現れた。皇帝は喜んだが、王儇は押し黙って借りて来た猫のように立っている。すると要求通り阿嫵と会わせた子律は約束を守れと迫った。しかし皇帝は阿嫵と2人きりで話したいという。「話しが済んだら詔書と遺言書を渡してやる」「…まさか皇位のために父子の縁まで切るつもりなの?」「阿嫵妹妹、舅舅に私の父親が誰か聞くといい」その時、太極殿でまた大臣たちが騒いでいると知らせが舞い込む。仕方なく子律は式乾殿を出ると、門衛に誰も入れないよう命じた。一方、謇寧王は二皇子が天下を取ったと報告を受け、明後日の晩に桓公と内外から攻撃すると決めた。しかし密書を受け取った桓公は困惑する。確かに策略を考えるだけなら簡単だが、あの豫章王を相手に実行するのは難しい。すると桓公は豫章王もさすがに大事な王妃が危機に陥ったとなれば心が乱れるはずだと気づいた。皇帝は阿嫵が自分を恨んでいることは重々、承知していた。すると王儇は目の前にいるのが皇帝なのか舅舅なのか分からなくなったという。皇帝はこの座を守るため争いの苦痛に耐えてきたが、その結果、孤独になったとこぼした。「許してくれとは言えない、信じてくれと言うつもりもない 余はお前に大きな借りを作った、そして余はこの国を憂いておる 阿嫵、すまなかった…もう残酷な皇帝ではない、これからは永遠にお前を愛する舅舅でいよう」その言葉を聞いた王儇はふと幼い頃の阿嫵に戻り、弱々しくなった皇帝を抱きしめた。一方、桓公は病を装い、豫章王を呼び出すことに成功した。そこでこのまま長期戦になれば軍の士気が落ちないかと心配してみせる。「我々両軍が力を合わせて包囲を突破し、やつらの不意を突いては?」「…急ぎません、桓公の回復を待ち、また話しましょう」見舞いに来た蕭綦があっさり帰ってしまい、桓公は地団駄踏んで悔しがった。皇帝と王儇は久しぶりに将棋を指した。思えば最後に勝負したのは婚姻の自由を許してもらった時、あれから何もかもが変わってしまった。「ポチッ…舅舅の負けです」「余は負けを認めぬ」「この状況では負けが明らかです」「まだ手が残っているとしたら?…信用できるのは阿嫵、お前だけだ」実は宮殿には皇帝だけが知る密道があった。「徳宣(トクセン)太后の墓を知っているか?」つづく(  ̄꒳ ̄)何もかも変わってしまった…ってまだ1年w
2021.11.19
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上阳赋 The Rebel Princess第23話「反乱」二皇子・馬子律(バシリツ)の隠れ家に何者かが侵入、桓公(カンコウ)との密書を盗まれた。配下の報告では侵入者の身なりから王氏の護衛兵ではないかという。一方、王儇(オウケン)は宋懐恩(ソウカイオン)に頼んで龐癸(ホウキ)を捜索していたが、なかなか見つからなかった。「…桓宓(カンヒツ)を見張って、関係があるはずよ」皇太子・馬子隆(バシリュウ)は伯父である丞相・王藺(オウリン)の指示に従い、大臣たちを招集した。実は摂政として国を安定させている王藺に敬意を表して九錫(キュウシャク)を授けて欲しいという奏書が各地から届いており、意見を聞きたいという。これを知った皇帝は欲を出した王藺に憤慨した。「王藺のやつめ、やつには夢から覚めてもらおう」すると子律はすでに皇帝の令牌を使って兵を待機させてあると報告した。その頃、謇寧(ケンネイ)王を追撃している寧朔(ネイサク)軍は陣営の場所を決め兼ねていた。豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)は本来、崤風(コウフウ)山の入り口に陣を張る予定だったが、桓公の使者としてそのまま留まっている2人の将軍が鬼霧(キム)谷に陣を張るよう提案する。胡光烈(ココウレツ)と唐競(トウケイ)は大王の指示通りにすると譲らなかったが、蕭綦は急きょ、鬼霧谷に変更した。「桓公は戦の経験が豊富、熟考した上だろう、我々が従うべきだ、明日の日没までに鬼霧谷を目指す」寧朔軍は鬼霧谷の東へ到着、陣を張って兵の配置が完了した。確かに鬼霧谷は地形が険阻で、攻撃が難しく守備し易い。しかしもし谷への入り口を塞がれたら寧朔軍は終わりだろう。胡瑶(コヨウ)もここにいると知られたら陣形を組む前に奇襲されると気づいたが、その不安が的中した。「大王!謇寧王の大軍がいます!」寧朔軍はすでに謇寧王の大軍に取り囲まれていた。どうやら内通者がいるらしい。そこで蕭綦は唐競に桓公への報告を指示すると、胡瑶を呼んで密命を耳打ちした。皇帝と子律がついに王氏排除に動き出した。宮城を出ようとしていた王栩(オウク)は侍従から皇后が呼んでいると足止めされ、仕方なく配下に巡回を指示して昭陽殿へ向かう。その背中を密かに射撃兵が狙っていた。宮中に太極殿の鐘の音が響き渡った。皇太子や大臣たちは皇帝の身に何かあったと驚き、慌てて朝堂へ集まる。すると玉座に皇帝が座っていた。「父皇?!」困惑する皇太子、そこへ遅れて王藺がやって来た。王藺は皇帝をしげしげと見つめていたが、その時、子律が現れる。「丞相?陛下にお目通りする際の礼儀も忘れたのか?」「二皇子殿下…陛下を無理に座らせた意図は何でしょう?」一方、鐘の音を聞いた皇后王氏は式乾(シキケン)殿にいた。しかし殿内は散乱、側仕えたちが全員、倒れている。皇后は唖然となりながら寝所を見回してみたが、皇帝の姿はなかった。子律は大臣たちに王藺の反逆をどう断罪すべきか問うた。その時、皇帝がついに口を開く。「丞相、余が健康で失望したようだな?」子律は王藺が手下の太医を使って皇帝に毒を盛っていたと暴露した。薛道安(セツドウアン)が発見しなければ今頃、皇帝は本当に乱心していただろう。寝耳に水だった子隆は言葉を失い立ちすくんでいたが、そこへ皇后が到着した。役者が揃ったところで子律は兵士を呼び、朝堂を掌握した。「王藺は皇帝に幾度も毒を飲ませ、皇后は謝(シャ)貴妃を毒殺した!許せぬ罪だ! 王氏一族をひっ捕らえよ!」「ふん、二皇子殿下、この程度の兵力で全てを手にしたとお思いか? 皇城のすべてとその周りを軍が包囲しておる」皇后は兄の言葉を聞いてほっと胸を撫で下ろしたが、その時、一人の兵士が現れ、王栩の首を投げた。「王栩は処刑いたしました、皇都を守る命をお下しください!」勝負がついた。子律は王藺と皇后、皇太子を投獄するよう命じ、他の王氏一族は太極殿で監禁すると決める。すると王藺は捨て置かれた王栩の首を抱え、思わず失笑した。「子律、喜ぶのはまだ早い、最後に笑う者が勝者だ お前の目論見など私も、もちろんお前の父皇も分かっている はお、天牢から見届けてやろう、貴様ら親子の今後の成り行きをな…」豫章王府に宮中から王妃の迎えがやって来た。押し寄せた禁衛軍に宋懐恩は激怒、勅書がないなら王妃を渡せないと拒む。しかし王儇は王宮で何かあったと勘づき、おとなしく指示に従うと決めた。そこで懐恩に急ぎ蕭綦に文を送り、病み上がりの玉秀(ギョクシュウ)の世話を頼んだが、懐恩は思わず王妃の腕をつかんで引き止めてしまう。王儇はそっと懐恩の手を外すと、懐恩は仕方なく拝命して王妃を送り出すしかなかった。子律は父皇を式乾殿に送り届けた。そこで王氏を完全に排除するためには虎符が必要だと訴える。しかし皇帝は朝堂での子律の態度で本当の目的を知り、咄嗟に虎符は玉璽と共に行方知れずだと嘘をついた。するとそれまで下手に出ていた子律は態度を豹変させ、黙って出て行ってしまう。その夜、外出していた王夙(オウシュク)と桓宓(カンヒツ)の馬車が鎮国公府に戻った。すると屋敷にいた禁軍が現れ、連行されてしまう。一方、皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)も投獄され、皇后と皇太子がいる牢へ入った。豫章王府に深手を負った龐癸が戻って来た。宋懐恩は軍医を呼ぶよう命じ、それまで応急手当てをしておく。すると龐癸は懐から密書を差し出し、息も絶え絶えに二皇子が謀反を起こすと教えた。さらに二皇子と桓公が共謀し、謇寧王と結託して豫章王を討つ計画だという。蘇錦児(ソキンジ)は三皇子の屋敷へ急いだ。すでに王府は兵士に包囲されていたが、どうやら子澹(シタン)は留守だったため捕まっていないらしい。その頃、子澹はひとり母が好きだった一歩軒で簫を吹いていた。すると錦児が駆けつけ宮殿で有事があったと報告、王妃も捕まったと伝える。「殿下、手遅れになる前にすぐ逃げてください」「…2度と阿嫵(アーウォ)を手放せぬ!」子澹は錦児の手を振り切って飛び出して行ってしまう。鬼霧谷では蕭綦が立ち入り禁止区域で何かを作っていた。そこで桓公の密偵である林将軍と黄将軍は酒甕を抱え、酔ったふりをして乗り込もうと計画する。しかし門衛に絡んでいるところで運悪く豫章王がやって来た。胡光烈は2人が戦時に酒を飲んで軍紀を乱し、警備の兵士に乱暴を働いたと断罪、剣に手をかける。驚いた2人はその場で平伏し、寧朔軍の規律を知らなかったと謝罪した。すると蕭綦は桓公に免じて死罪を免じたものの、100回の杖罰を命じる。実は蕭綦はここで巨大な戦車を作らせていた。天牢に捕らわれていた温宗慎(オンシュウシン)は同じ立場になった王藺の姿を見て大笑いしていた。その頃、王儇は懐かしい鳳池(ホウチ)宮に案内され、子律と対面する。「阿嫵妹妹、案ずるな、全て順調だ、父皇なら式乾殿で療養している」「…帝位を奪うつもりなの?」しかし子律は父皇に代わって王藺の反乱を平定すると訴え、すでに王氏一族を投獄したと教えた。王儇はまるで人が変わったような子律に驚きながら、たとえ宮殿と皇都を掌握しても豫章王がいる限り勝手はさせないと反発する。実は阿嫵を歓待したのはそのためだった。万が一、豫章王が謇寧王を破っても王儇を人質にすれば投降せざるを得ない。すると王儇は足かせになるくらいなら自死すると言った。雨は次第に強くなっていた。子律は桓宓のため昭陽殿の装飾を全て入れ替えるよう命じていたが、その時、三皇子が自ら参内したと報告が届く。つづく( ̄▽ ̄;)慌ただしい…第1話では子律がこれほど大活躍するとは夢にも思いませんでしたねw
2021.11.18
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上阳赋 The Rebel Princess第22話「偽りの支援」皇帝・馬曜(バヨウ)は二皇子・馬子律(バシリツ)が帝位を狙っているとも知らず、王氏の排除を命じた。一方、王栩(オウク)は謝淵(シャエン)の件に温宗慎(オンシュウシン)が関与していた証拠を手に入れ、王藺(オウリン)に今こそ適期だと伝える。「九錫(キュウシャク)大礼の件は私が手配する」※九錫:功臣に下賜された9種の恩賞「長らく待っていた時がようやく訪れますね」しかし王藺は妹の皇后が未だ温宗慎を案じているのが気がかりだった。その夜、数日ぶりに昭陽殿を訪ねた王藺は、なぜ温宗慎に面会したのか尋ねた。皇后は国政のためだと答え、朝廷で慕われる侍中の後押しがあれば息子の皇位継承へ大きな力になるという。「ならば良い、過去を引きずらないで欲しい、あやつの心にお前はいない」温宗慎にとって自分たちは裏切り者に過ぎず、王氏の破滅を今か今かと待っていたのだ。しかし皇后はつい感情的になり、同意できないと言い返してしまう。「あの人は旧交を重んじます、ですから…」「お前の希望だろう?太子のためか、それとも自分の未練のためか、胸に手を当てて考えてみよ」すると皇后は息子を思ってのことで異心はないと断言した。皇后は兄を見送ると、宮女に後をつけるよう命じた。やがて宮女が戻ったが、やはり兄は屋敷ではなく牢へ向かったという。その頃、妹の本心を計り兼ねた王藺は差し入れを持って温宗慎を訪ねた。「温宗慎、私は惜しいのだ、優秀なそなたを失いたくない、それを伝えたくて来ただけだ」温宗慎は毒酒だと疑っていながら覚悟を決めて杯を取った。「王藺、これで死しても悪には従わぬ、あの世で貴様の末路を見届けてやろう!」その時、突然、皇后が現れ、温宗慎を止めた。「飲まないで!…哥哥、この人を殺してはなりません」これで皇后の真意は明らかになった。すると王藺は自ら酒を飲んで毒酒ではないことを証明する。「温宗慎、恐れ入った、牢にいながら当代の皇后である妹を意のままに操るとは…見事だ」温宗慎はまるで狐につままれたようだった。王儇(オウケン)は瀕死の重傷を負った玉秀(ギョクシュウ)に付き添っていた。すると玉秀がうわ言で王妃に逃げるよう訴えている。玉秀の忠誠心は家族に裏切られた王儇の心を大きく揺さぶった。皇権や富貴のために騙し合うためではなく、こうして純粋に寄り添ってくれる人がいる。玉秀は自分の身をもって真の忠誠と庇護を王儇に教えてくれたのだ。…私はあなたを決して見捨てない徹夜で玉秀の看病を続ける王儇、するとついに玉秀の意識が戻った。「これからあなたは侍女ではなく私の妹よ…」食糧が底をつき、初めての撤退を決めた寧朔(ネイサク)軍、しかし桓(カン)公から食糧支援が届いた。すると使者は伝言があるので豫章(ヨショウ)王と2人で話したいという。実は食糧支援は丞相の指示によるもので、桓公の軍も出陣の準備が整っていた。皇帝の勅書でないことを訝しむ蕭綦(ショウキ)だったが、使者の話では病の皇帝に変わって皇太子が政を仕切り、丞相が摂政を行っているという。食糧が充足した寧朔軍は兵士たちの士気も上がり、腹心たちも出兵を今か今かと待っていた。しかし蕭綦は地図を見ながら首を傾げる。西側にいるのが謇寧(ケンネイ)王の軍、そこへ東側から桓公の軍が韓孟(カンモウ)関まで迫っていた。見方を変えれば両軍の中央にいる寧朔軍は挟み撃ちの様相になる。「私と桓公には親交がない、我々を助ける目的ではないのなら逃げ道がなくなる…」すると腹心たちは桓公の娘が王氏の世子妃であり、裏切るはずがないと訴えた。「…命を下す、80里ほど前進し、崤風(コウフウ)山の入り口で謇寧王と対陣する」そこで蕭綦は唐競(トウケイ)に朝廷への報告を命じ、王妃への文を託した。桓公の期待通り蕭綦がしびれを切らし、西側へ前進した。食糧を届けた使者もそのまま寧朔軍に留まり、命令通り内部に潜んでいる。「やつらを打ち負かし首をはねてやろう~ふっ」その夜、桓宓(カンヒツ)のもとに二皇子から菓子が届いた。そこへ突然、王夙(オウシュク)が現れる。滅多に来訪しない夫の出現に桓宓は困惑し、侍女・若秋(ジャクシュウ)にそれとなく菓子を託した。若秋は急いで菓子を持って下がろうとしたが、王夙に止められてしまう。「よこせ、私に食わせるのはもったいないと?」「あ!だめです、あんず入りです、酸味のある物は苦手でしょう?」「覚えていたのか?…しかし人の嗜好は変わる」王夙は菓子を一口かじると、桓宓はそれ以上、食べさせまいと用件を尋ねた。すると王夙はもうすぐ阿嫵(アーウォ)の誕生日のため、母を呼び戻して父と和解する契機にしたいと説明、祝宴の準備を頼みたいという。「それから…私と食事をしないか?」「ぁ…食欲がないので…」「もうよい」王夙は自分から桓宓に歩み寄ったが拒否され、結局、離れの側女のもとへ行ってしまう。…あの日もこうして王夙は落胆しながら寝殿を出た想い人の桓宓を娶り幸せの絶頂にいた王夙しかし上機嫌で床入りの儀に向かうと、桓宓が涙に暮れている『婚姻が嫌ならばなぜ承諾した?!』王夙は無理強いすることもできず、そのまま寝殿を出て行った…夫が出て行くと桓宓はその場にへたり込んだ。実は菓子の真ん中には二皇子からの密書が隠されている。…明日の誕生日は必ず会おう…その朝、王儇は昭陽殿で静養していた玉秀を迎えに行った。するとその帰り道、王儇は馬車の窓から偶然、店から出て来た桓宓の姿を見かける。「嫂嫂?…うちの輿(コシ)じゃないわ」王儇は咄嗟に馬車を止め、龐癸(ホウキ)を呼んだ。「パングゥェイ、前の輿に乗った人をつけてちょうだい」豫章王府では蘇錦児(ソキンジ)が王妃を出迎えた。玉秀と錦児が戻り一安心する王儇、すると宋懐恩(ソウカイオン)が王妃に大王から届いた文を渡す。そこで王儇は懐恩に時々は玉秀に顔を見せてやって欲しいと頼んだ。王儇は内向きのことを錦児に一任し、寝殿に戻った。独りになった王儇はようやく蕭綦の文を広げる。すると文にはただ自分の幼名だけが書き連ねられていた。一方、馬車を追跡した龐癸は世子妃の秘密を突き止めていた。実は桓宓は郊外の隠れ家で二皇子と密会、さらに屋敷の中には密室があり、そこで二皇子が桓宓の誕生日を祝っている。「皇后殿下の誕生の日をお祝いいたします」すると子律は侍女から冠を受け取って愛しい桓宓の頭に乗せた。「宓児、数日後には全てが叶う、この冠はそなたへの祝いだ、そなたは正々堂々と私の横に立てる」子律は自分たちに敗北はないと自信を見せた。今頃、桓公は王藺と豫章王を相手に同盟を結ぶふりをして近づき、決戦の時に寧朔軍を仕留める計画だという。二皇子と世子妃が移動すると、梁に隠れていた龐癸は密室を調べ始めた。やがて箱の中から驚くべき証拠を発見したが、敵に見つかってしまう。その頃、王儇はなかなか戻らない龐癸を心配していた。宋懐恩に事情を説明したが、懐恩は自分より腕が立つ龐癸なら安心だという。しかし王儇は胸騒ぎがした。つづく( ๑≧ꇴ≦)パンダーっ! ←違うw
2021.11.12
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上阳赋 The Rebel Princess第21話「伯父か皇帝か」皇后王氏は投獄された侍中・温宗慎(オンシュウシン)と面会、息子の皇太子・馬子隆(バシリュウ)を帝位につけてくれるなら復職させると持ちかけた。しかし若かりし頃に恋仲だった皇后の頼みでも、温宗慎は皇帝を裏切ることはできないと突っぱねる。皇后は落胆し帰ることにした。「子隆を皇位に就かせるためなら、たとえ相手があなたでも容赦はせぬ」入宮した王儇(オウケン)は伯父である皇帝の見舞いに向かった。すると側仕えの金全(キンゼン)が嫌がる皇帝に無理やり薬を飲ませようとしている。王儇は無礼な金全に激怒して追い出すと、伯父の哀れな姿を目の当たりにして胸が痛んだ。「舅舅、すっかり変わってしまわれて…ごめんなさい、そばにいるべきでした 私がいたらこんな目に遭わせなかったわ」伯父の手を握りしめ涙に暮れる王儇、しかし乱心していると聞いていた皇帝の表情が一変、実は病ではないと告白した。皇帝は生き延びるため病を演じていた。「だがお前は騙せぬ…阿嫵(アーウォ)、お前に話がある 謝淵(シャエン)と徐授(ジョジュ)そして杜盟(トメイ)…糸を引いていたのは余だ」阿嫵の父である王藺(オウリン)は丞相で軍の指揮権を持ち、皇位すらも脅かす存在だった。皇帝なら排除しようとして当然、不本意であってもやらねばならないことがあるという。「許してくれ…」しかし王儇はあまりの衝撃に言葉を失い、黙って寝殿を出て行った。玉秀(ギョクシュウ)は式乾(シキケン)殿を出てから意気消沈している王妃を心配した。しかし王儇は皇帝の病がこんなに深刻だと思わなかったと嘘をつく。すると昭陽殿へ向かう途中で薛道安(セツドウアン)が待っていた。「小郡主、私をお助けください…皇后に会えば全て分かります」皇帝の側仕えだった薛道安は粗末な衣で目の周りにあざを作り、かつての面影はない。そんな2人の様子を金全が見ていた。金全は慌てて昭陽殿に駆けつけ、皇后に報告した。「豫章(ヨショウ)王妃がお見えですが何だかご様子が…」しかし喜んだ皇后は金全の話を遮り、愛しい姪を出迎えに行く。すると王儇が玉秀と薛道安を連れて現れ、丁重に拝礼した。「阿嫵、会いたかったわ!長いこと来てくれなかったわね」「姑姑…私も姑姑が恋しかったです」言葉とは裏腹にどこかよそよそしい王儇、その時、薛道安が隠し持っていた短刀を振りかざした。薛道安は皇后へ復讐するため、弟子を使って上陽郡主を入宮させた。郡主が一緒なら厳しい警備をすり抜け、堂々と昭陽殿に乗り込むことができる。しかし王儇が咄嗟に薛道安の腕をつかみ、さらに廖(リョウ)女官長が体当たりして薛道安を倒した。その間に阿嫵は皇后を連れて奥の間へ逃げたが、廖女官長を刺し殺した薛道安が皇后を成敗すると叫んで追いかけて来る。戸を閉めて必死に押さえる王儇、そこへ玉秀が駆けつけ薛道安にしがみついたが、背中を刺されてしまう。するとついに薛道安が戸を突き破って踏み込んだ。王儇は身を挺して皇后を守ったが絶体絶命、その時、禁軍の長矛が薛道安をめった刺しにした。玉秀の背中の傷は心臓近くまで達するほど深かった。申(シン)太医は非常に危険な状態だと報告したが、全力を尽くすと約束してくれる。一方、皇后は腹心である廖女官長の死を嘆き悲しんでいた。その一方で自分を置き去りにして逃げ出した宮女たちに激怒し、追い出してしまう。王儇は皇后の怒号を聞いて慌てて駆けつけた。側仕えの話では皇后は頻繁に情緒不安定になり、太医も道士もお手上げだという。「謝妃のたたりだと言われています…」「たわ言を!…早く姑姑の薬を持ってきて!」王儇は皇后を寝かしつけながら、複雑な心境になった。果たして目の前で眠っているのは自分にとって皇后なのか叔母なのか。しかしあの時、確かに何の迷いもなく立ちはだかり、叔母を守っていた。すると王儇は叔母の冷や汗に気づき、ちょうど枕元にある手巾で拭う。その手巾には刺繍があった。…琴瑟(キンシツ)かたわらに在り 安らかなる幸せ 温郎(オンロウ)と宸汐(シンセキ)…叔母も苦しんで来たと知る王儇、そこへ事件の知らせを聞いた王藺が皇太子と一緒にやって来た。王藺は阿嫵の無事な姿を見て安堵した。父との再会に戸惑う王儇だったが、皇太子の手前、素直に父の腕の中へ飛び込む。皇太子は薛道安の仕業だと知り、母が尽善司に追いやったことを恨んでの犯行だと考えた。実は薛道安が皇帝の薬をすり替えていたことが発覚、長年の功を考慮し労役としたが、つまらぬ慈悲だったと後悔する。すると皇后が目を覚まし、子隆は枕元へ急いだ。王儇は父に皇后が衝撃を受けて以来、意識がもうろうとなってうわ言を繰り返していると教えた。驚いた王藺は人づてに聞いたのか確認したが、王儇はこの耳で聞いたという。「はっきりと聞き取れなかったけれど…」「苦労ばかりしてきた上に怖い目に遭ったのだ、心配するな」王藺が式乾殿を訪ねると、ちょうど二皇子・馬子律(バシリツ)が皇帝の将棋の相手をしていた。しかし皇帝は二皇子を子澹(シタン)と思い込んでいるらしい。王藺は昭陽殿に刺客が押し入り、皇后と豫章王妃が狙われたと報告した。2人は無事だったが、刺客は先日まで皇帝に仕えていた薛道安だという。結局、薛道安はその場で殺され、遺体は城外に捨てられた。「次は余の番か…お前の番か…」将棋になぞらえ思わず嫌味を言う皇帝、そこへ金全が皇帝の薬を運んで来る。皇帝は王藺の手前、仕方なく薬を飲んだが、急に激しい腹痛を訴えた。王儇が豫章王府に到着すると門前で子澹が待っていた。「そなたが心配で待っていたのだ。怪我は?!」子澹は思わず阿嫵の腕をつかんで引き留めたが、王儇は夫の留守に招くことはできないと冷たく追い返した。子律は皇帝の厠(カワヤ)に付き添い、金全を先に帰した。すると厠に入った皇帝が口から薬を吐き出し、香炉に入れて燃やしているのを目撃する。「…父皇?」「ひざまずけ…早くひざまずかぬか!」ほうけていた皇帝の様子が一変、子律は唖然となった。「子澹に刺客を送ったのはお前だな? 顧庸(コヨウ)の死も、迷香を嗅いだ子隆が謝宛如(シャエンジョ)を凌辱したのも、黒幕はお前だ」皇帝は全て知っていた。謝淵が最後に密告しなければ、今も欺かれたままだったという。驚いた子律はその場で平伏し、これも王氏に対抗するためだったと訴えた。「…でなければ許されぬ、立て 薛道安は余に30年以上も仕えた忠臣だったがむごい最期を迎えた、王氏には血の償いをさせる」そこで子律は機が熟すのを待ち、王藺の不意をついて必ずや父の大権を取り戻すと懐柔した。宋懐恩(ソウカイオン)は屋敷に戻った王妃を出迎えた。すると宮殿で事件があり、玉秀が王妃を守って深傷を負い、生死をさまよっていると知る。懐恩は玉秀なら必ず耐え抜くと励ましたが、王儇が部屋に落ち着いたのも束の間、玉秀が危篤との知らせが届いた。皇帝は子律がこれほど頭が切れるとは意外だった。「余がお前を苦しめた…己の身体はよく分かっている ひどく弱っているが、最後の力を振り絞って王氏を倒したかった しかし悔しいことに謝氏が滅び、温宗慎は投獄され、今や朝廷は王藺の意のままとなった その上、勇敢な軍を率いる婿までいる…馬氏の天下は終わる」「いいえ、父皇!諦めてはなりません! 父皇が逆賊を討てと密詔を下さるなら、江南の各地に送るようにいたします」王儇は急いで昭陽殿の偏殿に駆けつけた。申太医の話では玉秀の高熱が一向に下がらず、今夜が峠となるため王妃に知らせたという。最後の手段は石針での治療だったが、弱った身体で耐えられるか分からなかった。しかし王儇は玉秀の生命力に賭けることにする。「それ以外に救う方法はないのね?…お願い」「王妃、これで2日以内に熱が下がらなければ、どんな名医でも救うことはできません」つづく(  ̄꒳ ̄)あ…懐恩の普段着? ←そこ?!w
2021.11.11
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上阳赋 The Rebel Princess第20話「忘れ去られた過去」皇都に戻った王儇(オウケン)は父と再会するも、わだかまりが解けないまま豫章(ヨショウ)王府へ帰った。すると軍営のように殺風景だった屋敷がすっかり洗礼されている。そこへ兄・王夙(オウシュク)が現れた。「哥哥っ!」王儇は少女のように兄に抱きつき、ようやく家族の暖かを実感する。「皇都の美酒を取り揃えたぞ」この簡素な屋敷を設てくれたのは風流な王夙だった。王夙は阿嫵(アーウォ)と蕭綦(ショウキ)が相思相愛という噂を耳にし、安堵していた。母のことは話したがらなかったが、王儇に問い詰められ、重い口を開く。「夫と皇帝の板挟みでつらいに決まっている」「王氏は天下を支配したわ、これ以上、何を望むの?…母亲が心配だわ」二皇子・馬子律(バシリツ)は配下が呉謙(ゴケン)の始末に失敗したと知った。しかも王栩(オウク)の手に落ちたと聞いて激怒、あの王栩なら自白させるため残酷な拷問も辞さないだろう。焦った子律は呉謙が口を割ることを恐れ、直ちに殺すよう配下に迫った。その夜、王儇はなかなか寝付けずにいた。…平穏に見える皇都に嵐が訪れようとしている…私も姑姑や母亲のように1人で立ち向かわねば…これが私の運命なのだから同じ頃、昭陽殿では今夜も皇后王氏が悪夢にうなされ、飛び起きていた。一方、病床の皇帝は薛道安(セツドウアン)を呼び続け、夜番の侍従が手に負えず金全(キンゼン)に報告する。そこで金全は薛道安なら病で仕えることができなくなったと説明し、皇帝をなだめすかして休ませた。翌朝、王儇は慈安(ジアン)寺に母を訪ねた。出迎えに出た徐(ジョ)女官は晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)の健康に問題はないと安心させたが、王儇が嫁いでから丞相との溝が深まったという。「広い皇都にも九重の宮殿にも母亲の居場所はない…安らぎが手に入る場所はここだけなのね」王儇は母と再会した。「一緒に帰りましょう、この寺は寒くて湿気も多いわ、ここにいて欲しくない」「私には帰る家などないの、阿嫵、あなたが無事なら私はそれだけでいい」馬瑾若は誇り高い丞相の唯一の後悔が自分との婚姻だと教えた。しかし王儇は両親の夫婦の情は深いように見えたと首を傾げる。「韓(カン)氏を覚えている?」「韓氏?…聞いたことがあるわ、確か父亲の唯一の側女で、私が生まれる前に病死したとか」「いいえ、病死じゃないの」あの日、皇太后は娘の婿に愛妾がいると知り、激怒した。王藺は自分の過ちだと謝罪したが、皇太后は王藺の目の前で韓氏に毒酒を飲ませてしまう。馬瑾若は罪悪感に苛まれた。それ以来、自由奔放だった長公主の姿は影を潜め、悲劇の記憶もいつしか薄れて行ったという。しかし長子・王夙が婚期を迎えた頃だった。馬瑾若は皇族から嫁を迎えたかったが、丞相が激しく反対したという。結局、王夙が桓宓(カンヒツ)に好意を持っていたことから、2人の縁談が決まった。王儇はまだ12歳、詳しい経緯は知らなかったが、兄が自分で義姉を選んだと聞いて困惑する。それにしては兄夫婦が幸せに見えなかったからだ。実は王夙は当時、桓宓が二皇子の正室に冊立されるとは知らなかった。そこで馬瑾若は丞相に2人の縁談を反対したが、王藺が承諾してしまったという。あの日、馬瑾若は初めて丞相の本音を知った。『勝手に決めてしまっては皇家の面目が丸潰れです』『ふっ、皇家が私の顔を立てたことがあったか?…韓氏を生き返らせてくれるのなら考えを変えよう』馬瑾若は丞相が今でも皇家を恨んでいると知った。間もなく王儇が蕭綦に嫁いで1年、馬瑾若は阿嫵の誕生日を祝った後に出家すると伝えた。「止めないで、もう決めたの…さあ、帰りなさい」阿嫵は母の決意を知り、悶々としながら寺をあとにする。しかしどこかに母の出家を止めて家に帰るよう説得できる人がいるはずだとわずかな期待を抱いた。一方、桓公は蕭綦を仕留めるため、寧朔軍に食糧を届けたいと申し出た。そこで皇都を発つ前に二皇子と接触、即位の際に身にまとう上着を贈る。「地方は藩王らに蕭綦の軍を牽制させておき、皇帝の虎符と密詔さえ手に入れれば、 我々は天下を手中に収められます」呉謙が食事を届けに来た刺客に殺された。謝淵(シャエン)と徐授(ジョジュ)の件ならすでに解決済み、王藺はやはり背後に黒幕がいると気づく。王栩(オウク)は侍中・温宗慎(オンシュウシン)を疑ったが、王藺は自分が処理すると言った。「ただちに桓公と協力して食糧を調達しろ、どうも心がざわつく」尽善司に追いやられた薛道安は苦役ですっかり身体が弱っていた。すると弟子の侍従が内緒で肉の粥を差し入れに来る。そこで薛道安は玉を渡し、ひと仕事頼んだ。「ここへは戻るな…」王栩は朝廷を招集、罪人を告発した。「徐授が忽蘭(クラン)と結託し豫章王夫妻の殺害を企てました 徐授は寧朔で死して当然の罪ですが、朝廷に共謀者がまだ残っています 徐授と外敵の内通を密かに調査したところ、徐授の屋敷で1通の文を発見しました」その文の筆跡は温宗慎だった。皇太子・馬子隆(バシリュウ)は証拠の文を受け取り確認すると、まぎれもなく侍中の筆跡だと分かる。実は温侍中の墨痕には癖があり、誰かが模写しようとしても似せることは不可能だった。そこで王藺は温侍中を何日が投獄し、嫌疑なしと証明されれば王栩に謝罪させると提案する。温宗慎は思わず玉座の皇帝に視線を送ったが、皇帝はほうけたふりをして黙ったままだった。玉秀(ギョクシュウ)が王妃の身支度を整えていると、蘇錦児(ソキンジ)を呼び戻すよう命じられた。「王妃、実はお話が…」「玉秀?あなたは私と生死を共にし、錦児とは一緒に育った、考え過ぎないで、いいわね?」「…分かりました」王儇は錦児が戻ることで玉秀が自分の立場を心配しているだけだと誤解した。 皇后の使いが豫章王妃を訪ねて来た。「王妃にはあさってご入宮くださいますように…では失礼します」「待って、見かけない顔ね?」「あ、″尽善司″から昭陽殿に転属しましたので…」皇后は温侍中が収監されたと知り、牢獄を訪ねた。「私を恨んでいる?」確かに朝廷の件では丞相と皇后に不満があると認めた温宗慎だったが、過去のことなら心配いらないという。あの頃、2人は最も美しく幸せだったが、悲惨な結末を迎えた。お互い士族に生まれていなければ、今もあの幸せな日々は続いていただろうか。すると温宗慎は死ぬ前に皇后の顔を見られたのがせめてもの慰めだと言った。「悔いはありません、お引き取りを…」「いいえ、あなたを救いに来たの」その夜、皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)は人知れず怡慶(イケイ)酒館に錦児を呼び出した。バシッ!⊂彡☆))Д´)ァゥッ!「この役立たずめ…ギギギ…2度と子澹(シタン)の前に現れるな!」毒薬だと知らない錦児は確かに上陽(ジョウヨウ)郡主が飲んだのを見たと訴え、三皇子もなぜか郡主を忘れていないという。「薬が足りなかったのでは?もう一度だけ機会をください」宛如もまさか王儇を殺すつもりだったとは言えず、仕方なく三皇子のためだと言い聞かせて利用することにした。「豫章王府に戻り、王儇に仕えなさい」温宗慎は皇后が自分を助けると聞いてにわかに信じられなかった。かつて丞相のひと言で自分を捨てた皇后、今や決して近づくことのできない距離がある。「私を責めたいでしょうね、でも今度こそ背を向けぬ 何があろうと哥哥にあなたを傷つけさせないわ 太子につくならあなたは命拾いできる、私があなたを復職させましょう」つづく( ๑≧ꇴ≦)突然のオスマン帝国外伝w
2021.11.05
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上阳赋 The Rebel Princess第19話「父との確執」蘇錦児(ソキンジ)は猛毒とは知らず、上陽(ジョウヨウ)郡主・王儇(オウケン)のお茶に薬を混ぜた。すると厨房に玉秀(ギョクシュウ)が現れ、自分が茶菓子と一緒に運ぶと気を使う。錦児は動揺を悟られまいと玉秀に後を任せ、先に王妃の元へ戻った。錦児は王妃に三皇子・馬子澹(バシタン)の屋敷で世話になっていたと報告した。皇帝の病が悪化しているが、王妃もさぞや心配だろう。「そうね…」王儇は叔父の仕打ちを考えると、何とも答えようがなかった。そこへ玉秀が戻って来る。錦児は王妃にお茶を差し出すと、王儇は何の疑いもなく口をつけた。すると錦児は三皇子に仕える者がいないと心配する。「そうね、子澹哥哥のところへ行って…私たちが帰京したら帰って来てね」「はい、では失礼いたします…王妃、お茶をごゆっくり」そこで玉秀も王妃にそろそろ休むよう勧めて部屋を出たが、錦児の様子はどこかおかしかった。回廊を歩いていた錦児の前に突然、黒装束の刺客が現れた。「騒ぐなっ!皇太子妃の使いだ、王妃に飲ませたか?」「茶に入れ、口にするのをこの目で確認したわ…」しかし王儇は無事だった。あの時、錦児が出て行った後、玉秀はうっかり茶碗を落とし、茶をぶちまけてしまう。実は王儇が飲んだお茶は玉秀が入れ直したお茶だった。その夜、刺客は皇太子妃の命に従い、王妃を暗殺すべく寝所に潜入した。すると侍女に扮した護衛が駆けつけ失敗、慌てて逃げ出したが、宋懐恩(ソウカイオン)に阻まれ捕縛されてしまう。懐恩は刺客の覆面を取って確認したが、男は毒を飲んで自害した。「暉(キ)州は平定した、一体、誰が王妃の命を?」翌朝、王儇は帰京することになった。暉州のことは牟連(ホウレン)と夫人に任せ、すっかり元気になった恵心(ケイシン)には喪が開けたら皇都の屋敷へ来るよう告げる。すると門前には王妃を見送るため多くの民が集まり、別れを惜しんだ。皇都では王藺(オウリン)が寧朔(ネイサク)軍に潜入させた間者から音沙汰がないことをいぶかしんでいた。すると弟の王栩(オウク)が駆けつけ、どうやら間者だと勘づかれたらしいと報告する。王藺は阿嫵(アーウォ)が帰京するため新たな間者を送ることを断念、今は呉謙(ゴケン)の護送が最優先だと言った。「早急に黒幕を吐かせろ、先延ばしにすると危険だ」「お申し付けの通り徐授(ジョジュ)の屋敷を調べたところ、温宗慎(オンシュウシン)の文を発見しました」文には蕭綦(ショウキ)暗殺についての記述はなかったが、温氏と皇帝、謝淵(シャエン)が絡んでいたのは明白だった。謇寧(ケンネイ)王を追撃する寧朔軍は足止めされていた。実は北方では皇帝の病を良いことに丞相が朝廷を掌握、軍の指揮権は皇后一族にあると噂されている。謇寧王の出兵は奸臣を排除するためであり、丞相の婿である豫章(ヨショウ)王も一味だと疑われていた。そのせいで康平(コウヘイ)王たちは城門を開こうとしなかったが、靖安(セイアン)侯は通行を認めてくれたという。蕭綦は頭を悩ませた。「前には謇寧王、周辺に江南の皇族たちがいる…手を組まれたら強大な力になるな」王儇の一行は宋懐恩が先導、王妃の馬車を龐癸(ホウキ)が警護し、無事に城門へ到着した。すると子澹たちはそこで列を離れる。玉秀は初めて見る皇都の賑やかな様子に心を躍らせたが、王妃はどこか沈んでいるようだった。「母が心配なの…まずは実家に行って母に会うわ」しかし出迎えてくれたのは父だけだった。王藺は前庭に現れた阿嫵の元気な姿に安堵した。思わず両手を広げ、娘を抱きしめようとする王藺、しかしわだかまりが解けない王儇は父と距離を取り、丁重に拝礼する。すると屋敷の中にも母と兄の姿はなかった。王藺は母なら阿嫵を心配して床に伏せていたが回復し、今は慈安(ジアン)寺で静養中だと説明する。驚いた王儇はすぐ慈安寺に行こうとしたが、王藺は明日の朝にするよう命じ、せめて食事に付き合って欲しいと引き留めた。王儇は一旦はおとなしく座ったものの、結局、料理に手もつけず早々に帰ってしまう。皇宮では薛道安(セツドウアン)が皇后の薬を密かにすり替え、皇帝に飲ませていた。しかし皇后の間者である侍従・金全(キンゼン)に勘づかれ、皇后の耳に入ってしまう。激怒した皇后は薛道安が皇帝に薬を飲ませていなかったと断罪、すると驚いた皇太子・馬子隆(バシリュウ)が父の忠臣だとかばった。皇后は皇太子に免じて命だけは助けたが、尽善司に移動させてしまう。「金全、今日からお前が陛下にお仕えしなさい、薬を忘れるでないぞ、毎日飲ませるのだ」こうして皇帝は再び青雲(セイウン)道士の怪しい毒を飲まされてしまう。王儇が門を出ようとしていると、王安(オウアン)が慌てて追いかけてきた。実は王藺が季節外れの金木犀を温室で育て、娘の好物である桂花の菓子を作らせたという。「どうかお持ちになって下さい」玉秀は黙っている王妃の代わりに重箱を受け取ろうとしたが、その時、王儇が自ら手を伸ばした。王儇は帰りの馬車の中で重箱を開けた。好物の桂花の菓子をながめながら、幼い頃、父と一緒に食べた日を懐かしむ。しかし蕭綦から聞いた真実が頭をよぎり、父からの愛情を素直に受け取ることができなかった。一方、暉州で阻止された謇寧王はわざと百里ほど後退し、寧朔軍の食料を消耗させていた。また藩王の多くが蕭綦を煙たがって城門を開かず、通行できない寧朔軍は苦戦を強いられている。もはや食糧も残りわずか、蕭綦はあと3日で食糧を確保できねば撤退すると決めた。天幕を出た側近たちは寧朔軍に撤退などありえないと憤った。すると胡瑶(コヨウ)は思わず王妃と結婚したせいだと口を滑らせる。胡光烈(ココウレツ)は妹を叱責、王妃の暉州での功績を称え、例え事実でも大王の女人だと釘を刺した。豫章王府に王儇が戻った。屋敷の準備に追われていた使用人たちだったが、手を止めて整列し、主人を迎える。玉秀は皇都の屋敷を見回しながら、寧朔より千倍も立派だと感激した。すると王儇はふと上階を見上げ、婚礼の夜を思い出す。あの時、置き去りにされた腹いせに露台から冠を投げ捨てたことが遠い昔のことのようだ。つづく
2021.11.04
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