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第38話「盟友」

徐(ジョ)女官は豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)が避妊薬と知りながら補薬と偽って王妃に飲ませ続けていたと確信した。
…結局、大王は王氏を忌み嫌い、王妃との間の子を望まないのかもしれない…

一方、蕭棊は軍事費横領の罪で戸部郎中・謝守正(シャシュセイ)たちを捕まえた。
しかし知らせを聞いた皇后・謝宛如(シャエンジョ)がすぐ令旨を出し、拷問が免除されてしまう。
それにしても兵糧米の調達から運搬、保管を経て各部隊に配給するまで謝守正の一味だけではできないはず、共犯は誰なのか。
その時、胡光烈(ココウレツ)が謝守正と一緒に兵糧米を管理していたのは宋懐恩(ソウカイオン)だと教えた。

蕭綦は証拠として兵士に配給されていた兵糧米を朝議に運んだ。

蕭綦は謝守正が兵糧米を不正に転売したと告発、法にのっとり斬首すべきと上奏した。
すると謝氏の大臣が皇后の一族を死罪にすれば皇家の権威が失墜する恐れがあると反対する。
皇帝・馬子隆(バシリュウ)は皇后の親族を皆殺しにするわけにもいかず、官職を下ろし財産を没収、復職を認めないとする妥協案を出した。
しかし蕭綦は即位して早々に大罪人を減免しては民の怒りを買うだけでなく朝廷を正せないと諫言し、退位を余儀なくされた先帝と同じことになると警告する。
皇后と豫章王の板挟みで頭を悩ませる皇帝、結局、判断ができずにそこで退朝を命じた。

王府に戻った蕭綦は宋懐恩を呼んだ。
そこで玉秀(ギョクシュウ)との縁談を口実に懐恩に探りを入れる。
「兵士は生まれながら金とは縁がないゆえ、支度金をはずむよう阿嫵(アーウォ)に頼んだ
 婚礼の儀は盛大にやりたい」
「感謝します、私にも貯蓄があります、盛大な婚礼の儀を開いて見せます、皇族や士族のように…」
「皇族や士族のように?」


懐恩はずるがしこい男だったと答え、誕生日に贈り物が届いたが返したという。
「あの日は部下が受け取りました、翌日そのことを知って返させたのです」
「全てか?」
「そうです…ただくすねた愚か者がいないとは言い切れません、誰の仕業か調べます!」
「懐恩…今の我らは四方から見張られている」

蕭綦はそれ以上、追求しなかった。
結局、懐恩は部屋に戻ると恨めしそうに宝箱を手放すと決める。
「気をつけて処分してくれ」

その頃、虎視眈々と蕭綦の首を狙う賀蘭箴(ガランシン)のもとに謝氏から会いたいと連絡が来た。
まさか安平王・馬子澹(バシタン)だけでなく謝氏まで自分に会いたがるとは面白い。
「蕭綦の敵は俺の盟友だ…会おう」
一方、蕭綦は賀蘭箴が妓楼に閉じこもったままだと報告を聞いた。
酒色に溺れるふりをして一体、何を企んでいるのだろうか。
「監視を続けてくれ」

思い悩んだ徐女官は王氏の護衛・龐癸(ホウキ)を訪ねた。
しかし運悪く蘇錦児(ソキンジ)に見られてしまう。
徐女官はまさか錦児が立ち聞きしているとも知らず、龐癸に大王が長きに渡り避妊薬を王妃に飲ませていると教えた。
その証拠に太医が届けた薬材を渡す。
「私がうかつだった…王妃はもう数ヶ月もこの薬を飲んでしまったわ」
薬材は慎重に調合されていた。
徐女官も10日分の薬を合わせて名医に調べさせ、ようやく分かったという。
今は徐女官が新しい薬にすり替え煎じていたが、もし本当に大王がこの薬を作らせたのなら、間違いなくここは王妃にとって非常に危険な場所だろう。
「大王を調べて欲しいの」
すると龐癸は自分からも1つ報告があると言った。
実は丞相が亡くなったという。
知らせは宮殿にも届いたはずだが噂にもなっていなかった。
「すでに大王はご存じで王妃には言うなと…」
徐女官はこればかりは大王の判断が正しいと涙した。
この2年間、王妃は災難続き、母とお腹の子を失った上に父親まで死んだと知れば心が耐えられないだろう。



月柳(ゲツリュウ)閣は1年前に皇都に潜入した賀蘭箴の間者が作った妓楼だった。
妓楼には秘密の通路と部屋があり、その存在は間者しか知らない。
「事が成功したら忽蘭最高の礼遇をもって聖女として迎えよう」
「感謝します」
密かに裏山へ出た賀蘭箴は馬車で謝氏との待ち合わせ場所に向かった。

賀蘭箴を待っていた謝氏とは皇后だった。
「なぜ俺を呼んだ?率直に言ってくれ」
「あなたが欲しいのは蕭綦の首ね?…私も同じなの」
宛如は軍の指揮権を持ち摂政を担っている豫章王がお腹の子にとって脅威になりかねないと警戒した。
実情はどうあれ豫章王は謝氏の政敵である王氏の婿、蕭綦がいる限り謝氏の再起は望めないという。
すると賀蘭箴が古傷に触れた。
「本来は皇后が豫章王に嫁ぐはずだったそうだな?」
憤慨した宛如は席を立とうとしたが賀蘭箴がなだめた。
「好奇心で言っただけだ、真にうけないでくれ、敵の敵は味方だ」
そこで賀蘭箴は蕭綦を決して辺境に戻さないよう頼む。
寧朔(ネイサク)で蕭綦の首を取るのは至難の技だ。
皇后は了承し、実は豫章王妃の侍女が自分の間者だと教えた。
「必要ならいつでも使ってちょうだい」

錦児は思わぬ秘密を知り、いったん引き返してから徐女官を探しているふりをした。
「徐姑姑?徐姑姑?」
錦児の声を聞いた徐女官は話を切り上げ、豫章王が王妃を害するつもりなら豫章王を道連れに死ぬ覚悟だと伝える。
すると龐癸も同じ覚悟だと安心させ、2人は命をかけて王儇を守ろうと約束した。

その夜、いよいよ忽蘭の使節団を歓迎する宴が開かれた。
王儇も蕭綦と共に宮殿へ到着、すると偶然にも回廊で顧采薇(コサイビ)と一緒になる。
久しぶりに再会した采微は美しい娘に育っていたが、王儇が衣の汚れに気づいた。

王儇は采微を連れて鳳池(ホウチ)宮に向かい、自分の衣に着替えさせた。
すると不安そうな采微が王妃に尋ねたいことがあるという。
「王妃は豫章王と婚姻なさいましたが、望まれた婚姻でしたか?」
「…いいえ」
「私も嫌です」

一見、華やかに見える士族の娘も実際はただの駒、王儇は誰であれこの運命からは逃れられないと言った。
しかし立ち向かえば希望が見えることもあるという。

つづく


(´-ω-。` )采微…可愛いだけにアウォの気休めが酷いw





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最終更新日  2022.01.14 13:56:43
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