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第23話「反乱」

二皇子・馬子律(バシリツ)の隠れ家に何者かが侵入、桓公(カンコウ)との密書を盗まれた。
配下の報告では侵入者の身なりから王氏の護衛兵ではないかという。
一方、王儇(オウケン)は宋懐恩(ソウカイオン)に頼んで龐癸(ホウキ)を捜索していたが、なかなか見つからなかった。
「…桓宓(カンヒツ)を見張って、関係があるはずよ」

皇太子・馬子隆(バシリュウ)は伯父である丞相・王藺(オウリン)の指示に従い、大臣たちを招集した。
実は摂政として国を安定させている王藺に敬意を表して九錫(キュウシャク)を授けて欲しいという奏書が各地から届いており、意見を聞きたいという。
これを知った皇帝は欲を出した王藺に憤慨した。

すると子律はすでに皇帝の令牌を使って兵を待機させてあると報告した。

その頃、謇寧(ケンネイ)王を追撃している寧朔(ネイサク)軍は陣営の場所を決め兼ねていた。
豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)は本来、崤風(コウフウ)山の入り口に陣を張る予定だったが、桓公の使者としてそのまま留まっている2人の将軍が鬼霧(キム)谷に陣を張るよう提案する。
胡光烈(ココウレツ)と唐競(トウケイ)は大王の指示通りにすると譲らなかったが、蕭綦は急きょ、鬼霧谷に変更した。
「桓公は戦の経験が豊富、熟考した上だろう、我々が従うべきだ、明日の日没までに鬼霧谷を目指す」

寧朔軍は鬼霧谷の東へ到着、陣を張って兵の配置が完了した。
確かに鬼霧谷は地形が険阻で、攻撃が難しく守備し易い。
しかしもし谷への入り口を塞がれたら寧朔軍は終わりだろう。
胡瑶(コヨウ)もここにいると知られたら陣形を組む前に奇襲されると気づいたが、その不安が的中した。
「大王!謇寧王の大軍がいます!」



寧朔軍はすでに謇寧王の大軍に取り囲まれていた。

そこで蕭綦は唐競に桓公への報告を指示すると、胡瑶を呼んで密命を耳打ちした。

皇帝と子律がついに王氏排除に動き出した。
宮城を出ようとしていた王栩(オウク)は侍従から皇后が呼んでいると足止めされ、仕方なく配下に巡回を指示して昭陽殿へ向かう。
その背中を密かに射撃兵が狙っていた。

宮中に太極殿の鐘の音が響き渡った。

すると玉座に皇帝が座っていた。
「父皇?!」
困惑する皇太子、そこへ遅れて王藺がやって来た。
王藺は皇帝をしげしげと見つめていたが、その時、子律が現れる。
「丞相?陛下にお目通りする際の礼儀も忘れたのか?」
「二皇子殿下…陛下を無理に座らせた意図は何でしょう?」
一方、鐘の音を聞いた皇后王氏は式乾(シキケン)殿にいた。
しかし殿内は散乱、側仕えたちが全員、倒れている。
皇后は唖然となりながら寝所を見回してみたが、皇帝の姿はなかった。

子律は大臣たちに王藺の反逆をどう断罪すべきか問うた。
その時、皇帝がついに口を開く。
「丞相、余が健康で失望したようだな?」
子律は王藺が手下の太医を使って皇帝に毒を盛っていたと暴露した。
薛道安(セツドウアン)が発見しなければ今頃、皇帝は本当に乱心していただろう。
寝耳に水だった子隆は言葉を失い立ちすくんでいたが、そこへ皇后が到着した。

役者が揃ったところで子律は兵士を呼び、朝堂を掌握した。
「王藺は皇帝に幾度も毒を飲ませ、皇后は謝(シャ)貴妃を毒殺した!許せぬ罪だ!
 王氏一族をひっ捕らえよ!」
「ふん、二皇子殿下、この程度の兵力で全てを手にしたとお思いか?
 皇城のすべてとその周りを軍が包囲しておる」
皇后は兄の言葉を聞いてほっと胸を撫で下ろしたが、その時、一人の兵士が現れ、王栩の首を投げた。
「王栩は処刑いたしました、皇都を守る命をお下しください!」

勝負がついた。
子律は王藺と皇后、皇太子を投獄するよう命じ、他の王氏一族は太極殿で監禁すると決める。
すると王藺は捨て置かれた王栩の首を抱え、思わず失笑した。
「子律、喜ぶのはまだ早い、最後に笑う者が勝者だ
 お前の目論見など私も、もちろんお前の父皇も分かっている
 はお、天牢から見届けてやろう、貴様ら親子の今後の成り行きをな…」

豫章王府に宮中から王妃の迎えがやって来た。
押し寄せた禁衛軍に宋懐恩は激怒、勅書がないなら王妃を渡せないと拒む。
しかし王儇は王宮で何かあったと勘づき、おとなしく指示に従うと決めた。
そこで懐恩に急ぎ蕭綦に文を送り、病み上がりの玉秀(ギョクシュウ)の世話を頼んだが、懐恩は思わず王妃の腕をつかんで引き止めてしまう。
王儇はそっと懐恩の手を外すと、懐恩は仕方なく拝命して王妃を送り出すしかなかった。



子律は父皇を式乾殿に送り届けた。
そこで王氏を完全に排除するためには虎符が必要だと訴える。
しかし皇帝は朝堂での子律の態度で本当の目的を知り、咄嗟に虎符は玉璽と共に行方知れずだと嘘をついた。
するとそれまで下手に出ていた子律は態度を豹変させ、黙って出て行ってしまう。

その夜、外出していた王夙(オウシュク)と桓宓(カンヒツ)の馬車が鎮国公府に戻った。
すると屋敷にいた禁軍が現れ、連行されてしまう。
一方、皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)も投獄され、皇后と皇太子がいる牢へ入った。

豫章王府に深手を負った龐癸が戻って来た。
宋懐恩は軍医を呼ぶよう命じ、それまで応急手当てをしておく。
すると龐癸は懐から密書を差し出し、息も絶え絶えに二皇子が謀反を起こすと教えた。
さらに二皇子と桓公が共謀し、謇寧王と結託して豫章王を討つ計画だという。

蘇錦児(ソキンジ)は三皇子の屋敷へ急いだ。
すでに王府は兵士に包囲されていたが、どうやら子澹(シタン)は留守だったため捕まっていないらしい。
その頃、子澹はひとり母が好きだった一歩軒で簫を吹いていた。
すると錦児が駆けつけ宮殿で有事があったと報告、王妃も捕まったと伝える。
「殿下、手遅れになる前にすぐ逃げてください」
「…2度と阿嫵(アーウォ)を手放せぬ!」
子澹は錦児の手を振り切って飛び出して行ってしまう。

鬼霧谷では蕭綦が立ち入り禁止区域で何かを作っていた。
そこで桓公の密偵である林将軍と黄将軍は酒甕を抱え、酔ったふりをして乗り込もうと計画する。
しかし門衛に絡んでいるところで運悪く豫章王がやって来た。
胡光烈は2人が戦時に酒を飲んで軍紀を乱し、警備の兵士に乱暴を働いたと断罪、剣に手をかける。
驚いた2人はその場で平伏し、寧朔軍の規律を知らなかったと謝罪した。
すると蕭綦は桓公に免じて死罪を免じたものの、100回の杖罰を命じる。
実は蕭綦はここで巨大な戦車を作らせていた。

天牢に捕らわれていた温宗慎(オンシュウシン)は同じ立場になった王藺の姿を見て大笑いしていた。
その頃、王儇は懐かしい鳳池(ホウチ)宮に案内され、子律と対面する。
「阿嫵妹妹、案ずるな、全て順調だ、父皇なら式乾殿で療養している」
「…帝位を奪うつもりなの?」
しかし子律は父皇に代わって王藺の反乱を平定すると訴え、すでに王氏一族を投獄したと教えた。
王儇はまるで人が変わったような子律に驚きながら、たとえ宮殿と皇都を掌握しても豫章王がいる限り勝手はさせないと反発する。
実は阿嫵を歓待したのはそのためだった。
万が一、豫章王が謇寧王を破っても王儇を人質にすれば投降せざるを得ない。
すると王儇は足かせになるくらいなら自死すると言った。



雨は次第に強くなっていた。
子律は桓宓のため昭陽殿の装飾を全て入れ替えるよう命じていたが、その時、三皇子が自ら参内したと報告が届く。

つづく


( ̄▽ ̄;)慌ただしい…
第1話では子律がこれほど大活躍するとは夢にも思いませんでしたねw





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最終更新日  2021.11.19 13:42:16
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