華麗の空~本を楽しく読むブログ

PR

カレンダー

プロフィール

雪風ジョルノ

雪風ジョルノ

2005/04/30
XML

高校一年 伊勢物語 「梓弓」 を読んだ。

古典の授業ゆえ、古文を読み、文法を習う。
現代語訳 をし、より深い情景を味わう。

その日、 M先生 は提案した。

「皆さん一人ひとりの「梓弓」を書きましょう。」

伊勢物語「梓弓」の段を題材に、文章を書くことになった。

これが、筆者の執筆の始まりかもしれない。


ここで少し―

 梓弓ってどんな話?―概略 
とある片田舎に若夫婦。
が京へ出稼ぎに行くことになった。
若妻 は一心に夫の帰りを待ったが、男はなかなか帰って来ない。
そうして三年が経ち、女には何時しか親しい男ができた。
その男を夫として迎え入れようとした正にその夜、若夫が宮仕えから帰って来る。
しかし、家の中には新しい男。

扉を隔て、対峙する夫婦。歌詠む妻。

あらたまの年の三年をまちわびてただ今宵こそにひまくらすれ

三年間。事情を察した夫。返句。

梓弓ま弓槻弓年をへてわがせしがごとうるはしみせよ

身を引き、祝い、去りゆく男。

梓弓引けど引かねど昔より心は君によりにしものを

本当の気持ちに気付き、追いかける女。
しかしもう、男はいない。

あひ思はで離れぬる人をとどめかねわが身は今ぞ消えはてぬめる

力尽き、倒れる。




「梓弓」 の執筆には相当に時間を費やした。
400字詰原稿用紙12,3枚だったかな。

原文は 悲しい 物語なのだが、不幸話は書きたくなかったので、
ハッピーエンド の現代小説に決めた。
別れる人もなく、死ぬ人もなく。

まず オチ が浮かぶ。
当時ミステリ小説に凝っていたので、最後にアッと言わせる仕掛けを考えた。


喫茶店経営を夢見る主人公夫婦がいて、
夫:大和 伊武(ヤマト・イム)
妻:大和 亜鈴砂(ヤマト・アスザ)
という。

十分な資金を貯めるために ダンナ一人で 出稼ぎに出るか、
小さくても、苦労してでもいいから 二人で 始めてしまうか。

助言を求めた父から、父母若かりし頃の "梓 弓" 的体験を聞いて、
(←男女間の色んな困難を乗り越えて息子・伊武が産まれたという話)
二人で一緒にやっていく事を決意した伊武と亜鈴砂。

お店 の名前をどうしよっか?

あまり深く考えず、二人の名前から採ることにした。

「IMU&ASUZA」


ん? ヤマト を入れると、、

「IMU Y ASUZA」



「AZUSAYUMI」




「梓弓」!?



がびーん(笑)。


何とゆーかね、真面目話を展開しつつオチはそれかいっ!みたいナ (>_<)

作りが 「笑心旅行」 とよく似てるでしょ?(笑)


M先生に「回文だね!」と誉められて嬉しかったな。


月日は流れ、高校二年が過ぎ、三年生。

そして卒業間近に、嬉しい プレゼント。

M先生が生徒の梓弓論を製本し、 卒業記念文集 としてプレゼントして下さった!
先生の受け持ちクラス分、3×40=120人が思い思いに綴った梓弓。

生徒一人ひとり、独特のスタイルがあって読んでいて面白かった。
ただ現代語訳の人もいれば、小説家志望なのかな、物語の入り方からして別世界の人。
色んなアプローチがあった。120人分の物語。

文章を書く、本にするという楽しさを味わった体験だった。




最後に余談を。

クラス担任であり国語担当だった M先生。
進路指導の際、無謀にもT京大学工学部志望!なんて言ってた筆者に、
柳田邦男「零式戦闘機」 を貸して下さいました。

おそらく、浮ついた筆者の志望動機を強固なものにするため、
・工学部はどういう所か、
・プロフェッショナル・エンジニアとはどうあるべきか、
を伝えたかったのでしょう。

結局、T大とも工学部とも縁がありませんでしたが。。。

でも、本書を読んで ゼロ戦 がより好きになったし、父に詳しい戦史を聞けたし、
大学で歴史に興味を持って、巡りめぐって 駆逐艦雪風 に出会って、そして名乗って。

人生って、脈々と続くものだなって思います。

感謝。 (-人-)本当ニアリガトウゴザイマス。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005/04/30 04:37:03 PM
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: