おもいつくまま きのむくまま(経済指標グラフからみえるもの)

おもいつくまま きのむくまま(経済指標グラフからみえるもの)

2010年08月05日
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カテゴリ: 国内経済
 最低賃金(時給)の今年度の引き上げ額の目安を10~30円、最低賃金の平均額は現行の713円から728円となる見通しらしい。ただ、これでも、生活保護水準よりも最低賃金が低い「逆転現象」を起こしている都道府県は9県も残るらしい。生活保護水準が高すぎると言うなら笑える話なのだが・・・・ちょっと、そう言う話ではなさそうである。


 賃金と言えど需要と供給の関係で決定され、これを図示すれば下図のようになる。
 供給は、価格の上昇につれ増加する右上がりの曲線(供給曲線)となり、需要は、価格が下がるにつれ増加する右下がり曲線(需要曲線)となる。両曲線の交点が物・サービスの市場価格、価格や数量が偶発的に変動しても市場メカニズムにより均衡点へ自動的に引き戻され安定する。
 ただ、生産・消費要素は共に有限。数量を無限に増やすことも、減らすこともできない。この為、需要曲線及び供給曲線が左図の様な関係になる数量・価格の領域は、限られ、市場特性により大きく異なってくる。
 もし、均衡点がこの範囲をから脱してしまうと、問題は相当に深刻になる。
 生活保護水準が最低賃金を上回る労働市場の需要と供給の関係は下図の様になっている可能性が高い。
 供給は、生存限界点を底とする凸の曲線(供給曲線)となり、需要は、価格が下がるにつれ増加する右下がり曲線(需要曲線)となる。
 供給曲線は生存限界点の右側で通常の供給曲線となるが、反対側は、賃金(価格)が下がるにつれ労働時間(数量)が増える右下がりの曲線となる。生存限界収益以下では、人は生きられないから、賃金(価格)を下げるれば、労働者は労働時間(数量)を増やさざるを得ず、この様な曲線になる。
 もし、均衡点は安定性がある為、左図の様に生存限界点の左側に移動していると自律的に抜け出すことができず、大変なことが起きる。
 供給曲線が右肩下がりとは、1人雇っても10万円、2人雇っても同じく10万円と言う供給曲線も描けことになる。これでは、作業効率を上げる事が給与を上げる事に繋がらない。当該労働市場では、競争基準が逆転し、作業効率の低い者、なまけ者が勝ち残り、時間経過と共に生産性を押し下げることになる。

 生活保護の仕組みは、均衡点が右肩下がり供給曲線上に移動することを防止する役目も担なっている。しかし、当該ニュースは、低賃金労働市場でうまく働いていないことを伝えている。低賃金労働市場の若年労働者数が年々増えていることを考えると、日本の先行きは相当に厳しい。
 生活保護水準を下回る最低賃金か払えない事業・業種を放置する事は日本経済を衰退させる事と同義なのだが、経済界(経営者)の反応は鈍い。総論賛成で個別は反対と言う姿勢を崩さない。日本経済は『ゆでガエル』の道を突き進んでいるようにしか思えてならない。






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最終更新日  2010年08月07日 02時51分03秒
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