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(私のグッとムービー)林望さん「初恋・地獄篇」 滅びてしまった青春を重ねて 朝日新聞2014年5月16日 初めて見たのは大学生の頃。新宿の映画館だったと思います。共同脚本の寺山修司が「青春とは救いのないものなのだ」なんてブツブツつぶやいているような映画。うっとうしくていやぁな映画だなって。でも不思議な魅力を感じた。 幼くして父を亡くし、母に捨てられた彫金師見習いの孤独な青年シュンと、集団就職で上京したヌードモデルのナナミが出会い、引かれ合う。最後の最後、2人がいよいよ結ばれるっていう直前に、シュンは車にひかれてしまう。まるっきりネガティブな物語です。 40年以上前にしては相当前衛的な作品だったのではないでしょうか。過激なヌード表現やSM、性的マイノリティーなどが描かれます。また、幼女にいたずらをしたと誤解されたシュンは、精神科で催眠療法を受ける。性的な問題を原体験までさかのぼって治療するというフロイト的な精神分析がはやった時代でした。 主人公の若い2人が、進学高校の文化祭に行くシーンがあります。ナナミの友達、代数君が撮った自主制作映画を見に行くんですが、毛色の違うシュンとナナミは周囲から浮いてしまう。学者の家系で「坊ちゃん育ち」のような僕は、代数君の側だったのだと思います。ただ僕は授業も学生運動も冷めた目で眺め、一歩退いたところで薄く笑っているような若者でしたけどね。僕も65歳になりましたが、この映画は滅びてしまった青春を象徴するような、唯一無二の作品という気がするんです。(聞き手・中村茉莉花) * はやし・のぞむ 国文学者・作家 1949年、東京都生まれ。慶応大大学院博士課程修了。元東京芸大助教授。「謹訳源氏物語」全十巻(祥伝社)で毎日出版文化賞特別賞。最新刊「イギリスからの手紙」(東京堂出版)。 ■「初恋・地獄篇(へん)」 監督=羽仁進△脚本=羽仁進、寺山修司△製作=1968年△出演=高橋章夫、石井くに子、満井幸治、福田和子、宮戸美佐子、湯浅実ほか★【送料無料】 CD/初恋地獄篇/SWAX-69
2014.10.14
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(惜別)九條今日子さん 故寺山修司さんの元妻 朝日新聞2014年6月28日 ■演劇・映画プロデューサー■妻から「同志」に、新しい才能へエール 人生は途中から、常に劇詩人・寺山修司と共にあった。 「『同伴者』の後に『同志』になり『戦友』になり、最後には『義妹』になってしまった」――。2人の関係をエッセーにそう書いていた。 松竹歌劇団から映画の世界へ。人気女優だった1962年に寺山と結婚したが、67年に「演劇実験室◎天井桟敷(◎は内側の円が●)」を旗揚げし、暮らしは一変。自宅は劇団員のたまり場となり、裏方の仕事が次々に降ってきた。たまりかねて離婚を切り出すと、「分かった。これからは同志になろう」と寺山は言った。 いざ裏方に専念すると、どんどん仕事が面白くなった。「寺山さんは自己PRの天才。その売り込みの技を一番近くで学んだ」と、劇団の番頭格だった寺山偏陸(へんりっく)さん(64)。寺山没後は彼の母親に請われて養子となり、著作権管理に力を尽くした。 「寺山はお酒もたばこもダメだったから、その分私がね」。酒豪で愛煙家。明るい笑顔は誰からも好かれた。若い人が好きで、積極的に応援した。朝日舞台芸術賞(2001~08年)に「寺山修司賞」を提供し、新しい才能に光を当てた。 晩年、多くの仕事を共にしたテラヤマ・ワールド代表の笹目浩之さん(51)は「今も若い寺山ファンが次々と生まれているのは九條さんの力」と語る。 没後30年の大仕事を昨年やり終え、寺山の命日の5月4日を目前に、周囲には隠していた病で旅立った。遺品を整理していた笹目さんは、愛用のノートに「返礼のことば」と題された鉛筆の走り書きを見つけた。 「皆さん私は今日でお別れです/そして寺山の待つ世界に行きます(中略)/全ての皆さんと会えて楽しい人生を/送ることができて感謝の気持ちでいっぱいです/ありがとう!! 又(また)、会える日まで」(今村修) ◇くじょう・きょうこ、本名・寺山映子(てらやまえいこ)4月30日死去(食道静脈瘤(りゅう)破裂)78歳5月5日葬儀 この記事に関するニュース青森)三沢で寺山修司忌、過去最高の1200人集う【楽天ブックスならいつでも送料無料】【KADOKAWA3倍】回想・寺山修司 [ 九条今日子 ]
2014.10.14
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