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あと三日も過ぎれば寒が明ける。 椿はそのことを蕾か葉かで感知したのか、雨に刺激されてか、真っ赤な大輪を咲かせている。 30センチ程度の苗が、2メートルの高さになって枝順も整いつつある。 苗木の幼児期を過ぎ、人間でいえば20代、大人の成長を讃え声をかけたくなる。 ********** 花瓶や鉢に収まっている花とは違い、生き生きとした躍動感がたまらない。 椿は樹陰が似合うから、あと1本、これぞという木を植えて低木に育てたい。 茶花に執心したことがあって侘び助が多いから、色鮮やかな大輪を選ぼう。 徒然草では、庭の「草木の多き。」も「賎(イヤ)しげ」と酷評しているが、時代と場所が違うのだと気にしない。 ********** 椿花 どこで感知した 寒明けを
2009年01月31日
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去年、12月中旬に咲き始めた蝋梅の花が萎え、芳香も少なくなった。 が、花は枝をしっかりと握り、頂上には蕾も蓄えてまだまだ楽しませてくれそうだ。 今になって鳥が頻繁にやって来て啄ばみ、花を落としている。 今頃が美味しくなったのか、それとも、いよいよ餌がなくなったのか。 ********** 桜は散り際が良いと軍国主義教育に悪用された、悲惨な思い出がある。 が、蝋梅は、長持ちするということで今の時代に格好の花である。 華美な結婚式をしても桜のように散る風潮は痛々しい。どうせ離婚するのだから結婚しないという口実を与えて、少子化対策上由々しき事態にもなっている。 結婚式場の花を蝋梅にする、蝋梅の種でお手玉を作って記念品にするなどして、蝋梅にあやかってはどうかなぁ。
2009年01月30日
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昨日も、沿路の庭の景色を楽しみながら徒歩で所要を足した。 広い旧家跡のマンション敷地には、白梅が見事に咲いていた。 先祖伝来のこだわりの早咲きの梅を、マンション玄関口に設えたもの。 満開の蝋梅は、薬局経営者が花療法に関心があって植えたもの。 ********** それぞれの庭の遍歴を脳裏に浮かべると、思い出と一緒に歩行しているようだ。 行く先々で、目白が自信と気迫に満ちた声で鳴いている。 目白は、この庭は自己固有のテリトリーであり、主であると宣言しているかのようだ。 今、声をかけたのは、マイガーデンに遊びに来たことのある目白が挨拶したのかなぁ。 ********** 梅の香や 庭それぞれの 目白かな
2009年01月29日
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園路に大きな柚子の実が落ちていた。 皮が一部剥がれ大きな鳥が啄ばんだ跡があり、その鳥が落としたのだ。 鳥は酸味の強い果実を好かないと思っていが、新発見である。 それとも、大寒を迎えた柚子は、甘みが出るのであろうか。 ********** 万両の赤い実は、順次少なくなっていく。 鳥が啄ばんだ後には、赤い萼が花のように残る。 重たげな果実に代わって身軽な装い。 春の始動にふさわしい。 ********** 柚子落ちて 春躍動の ゴング聞く
2009年01月28日
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本日、特筆すべきことは梅がほころび始めたこと。 盆栽であったものを路地植えした紅梅、白梅である。 白梅は、僅かに青みがかっていて凛と澄ましている。 あまり強い剪定をせず、枝作りをしながら早咲き梅として育てたい。 ***** その他の梅は、堅いつぼみでまだまだである。 寒さがきつく、金魚は水槽の底で何匹も固まって頭を並べて眠っていて、丁度、竜宮城のように艶やかである。 一昨年は、ヒーターを付けて20度の水温にしたが、ホルモン異常を来してセックスレスになってしまった。 ペット、植物、そして、人間も、過保護な環境よりも、自然のままが良いと少子化対策面で考えさせられた。 ***** 凍つ水槽 琉金固まり 竜宮のごと
2009年01月27日
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昨日、塀を解体する工事を見積もりに業者が来た。 解体後の廃材のうち、大谷石は庭いじりに再利用することとした。 90センチの長さを半分に切って持上げ易くし、園路整備を自力で行う予定。 それに加えて、足腰の準備体操とカルシューム摂取に励む、春待つ楽しみが先行している。 ********** 庭は、造園業に一切を任せ、完成後は手を施すことができない造りでは借り物のようで味気ない。 その時の気分で土やごろた石を移動し、拘りの花を増殖したりするところに自然と交わる醍醐味がある。 庭は想像力を実践する格好の場であり、天からお預かりした地球の一隅を、責任を持って美化作業する勤行の場でもある。 そんな理屈は兎も角として、庭は、体力作りのトレーニングジムであることは間違いがない。 蹲の 水澄みゴロタ 輝ける
2009年01月26日
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昨日は、午後、雪模様になった。 初雪かと思いながら庭に出ると、かさこそと音がし、まさしく雪の音だと感激した。 当地では、降雪は珍しいので雪が音をたてて降るというイメージがなかった。 不思議だと思って耳を澄ますと、傘に舞い降りる雪の音であった。 ********** 同様に岩檜葉も傘のように小さな葉を広げて雪を集め、降る音を聞いていた。 室内はテレビの喧騒でうんざりでも、庭は、鳥も犬も猫も風も鳴かず静寂そのものである。 世間が不況、殺人、テロと騒がしい今、このような静けさの中に身を置いていいのかと自問した。 しかし、跡形もなく消えゆく雪を見ながら、明日は我が身、と自ら悟り達観した。 ********** 岩檜葉や 傘に舞いおる 雪の音
2009年01月25日
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紫陽花は悉く落葉したのに、柏葉紫陽花は落葉しない。 充血したような斑点模様をして、下向きではなくしっかりと水平に幹についている。 雪が降ったとき幹が折れてしまうと心配ではあるが、刺激を与えると容易に自ら葉を落とす。 柏葉紫陽の春の芽は、普通の紫陽花よりも大きく成長しているのも特筆すべきことだ。 ********** 一般の紫陽花が落葉した後も、セッセト光合成をして養分を根に運び、その蓄積されたエネルギーで若芽を育んでいる。 人が休んでいるときに働くことの大切さを、柏葉紫陽花は教えている。 それにしても、我々は、昼夜、土日祝日を問わずよく働き、その勤労こそが経済大国を実現した原動力となったーーと、密かに自負している。 柏葉紫陽花の若木を見ると、若き日の妻の働く姿に見え、実に意地らしくなり、大株になれと念ずる朝であった。 ********** 大寒朝 柏葉紫陽花 妻投影
2009年01月24日
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昨日の日中の気温は17度。陽ざしも柔らかく正に小春日和であった。 出がけに蹲周辺に目をやると、蠅がツワブキの葉にとまっていた。 生きとし生けるもの、大寒の霊気が浄化して清々しく見え、それは、蠅も例外ではなく不潔感はなく、むしろ、可愛かった。 この寒い中どこで生きていたのかと聞いたが、手足を合わせて「お陰様で」と言っている仕草だけであった。 ********** 天気予報は、今日から寒が戻るからインフル、風邪に注意するよう警告していた。 人間は天気予報で寒さに対する準備をするが、蠅は持って生まれた超能力で自然の変化を予見して退避する。 してみると、人間が地球環境破壊によって自滅した後でも、蠅は生き残っているに違いない。 地球の歴史は、「大」が自滅して「小」が残る。同様にして、人為的なこの不況下でも、「小」にこそ再生のチャンスがあるーー。小、S、頑張らナクッチャ ! ********** 小春日和 蠅も手をすり ひなたぼっこ
2009年01月24日
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妻が、胃のトラブルがなくなったと言ったので、「当然です。」と返した。 1週間おきにローズマリー・ティを飲んでいるからだ。 昨朝も、ローズマリーの若葉を摘んで二つの専用グラスに入れ熱湯を注いだ。 グラスの中でグリーンの葉が次第に変化し、同時に香りがたつのを楽しんだ。 ********** その日の各人の予定を話している間に、グラスが染まり温度も飲みごろになる。 ハーブティ担当者の心得は、長期に継続して飲用しないことと、過剰に作らないこと。 要するに、過ぎたるは及ばざるがごとしを基本としている。 薬効にとらわれずに、ハーブの生き生きとした色と香りと旬の味を楽しんでいる。 ********** ハーブティや 春の色香を すすりあい
2009年01月23日
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昨晩、オデンの鍋にプランター栽培の葉大蒜を刻んで入れた。 決してきつくない、ほんのりとした春の香りがした。 鍋は、肩の凝りも、風邪も「撲滅するぜ ! 」と息巻いていた。 葉大蒜は、行者大蒜の栽培が失敗したので、代替品として作っているものである。 ********** かつて、仙人が修行したという山岳を散策したことがある。 案内人は、行者大蒜の群生地で小休止し、仙人たちの修業、食生活の実態を説明していた。 山中に籠り苦渋の修業の中で、ひたすら、長生不死、空中飛行などの神通力を会得すべく刻苦勉励したが、その生命力を支えたのが行者大蒜であった。 その後、行者大蒜の苗が店頭販売され始めたが、平地では増殖しないことが判り諦めた。 ********** 葉大蒜 刻めば香る 神仙の里
2009年01月22日
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椿も寒さにふるえて咲きを中断した冬の庭に、元気を呉れるのは万年青である。 ピーンと背を反らしている分厚い葉が、紅い果実を大切に抱いている。 樹陰で叢生している万年青に漲る力を感じ、落葉に埋もれてポツンと淋しく生えた葉に孤独感を感じる。 そして、紅い果実を抱く葉に、自らの生きる役割を重ね合わせる。 ********** かつて、庭に万年青を増やそうとして列植したことがある。 来訪した義母は、「田植えのようだね。」とつぶやいた。 そのときは酷評、嘲笑の言葉と感じ、すぐに黙って植え替えた。 が、遠い昔のことを想い返すと、万年青は、彼女自身の農作業の姿を投影し、共感していたのが判らないのかと言っていたのかもしれない。 ********** 昔日の 気持ち見透かす 万年青の実
2009年01月21日
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晩秋に蒔いたサトマメが15センチほどになった。 先端に細い蔓をのばして、捕まるものを欲しそうに揺れている。 霜にも雪にもびくともせず、青々した春の色でプランターの淵に寄り添っている。 そして、あと1カ月もすれば、あたり一面に蔓をはびこらせてわが世の春を謳歌する。 ********** エンドウ豆の一種であるが、鞘が砂糖のように甘いためサトウ豆と言われ、それが詰まって〔当地では〕サト豆となったらしい。 古代エジプト王が愛用し、中国を経て遣唐使がもたらしたものの、一般に普及したのは明治になってからで、長寿のサプリメントとして門外不出の貴重品だったのだろう。 自家製であるからこそ本来の甘みがあり、舌に春を実感させる格好の野菜である。 が、それより、ツタンカーメン王がどのような取り巻きの中で、どのように料理されたものを食していたのかを、想像するのが楽しみだ。 ********** サト豆や 蔓を揺らせて 春探る
2009年01月20日
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昨日、寒梅がどの程度咲いているかと、偕楽園へ行った。 崖急から寒風吹きあがる個所に紅梅が咲いていた。 ほぼ全開で、花弁は草臥れ、散る間際。 それを見たいと早朝わざわざ来る自分を珍品漁りと卑下した。 ********** 春を待たずに咲く梅木を珍樹ありと、権力と金力に物言わせて移植されたものか。 できることなら、熱海の陽だまりに移してあげたい気分になった。 先日、販売店に寒梅があるかどうかを問い合わせたところ、入荷していないという。 珍品必ずしも名花ならず、樹木を愛する業者は、季節感を人為的に翻弄するのを慎んでいるのかと感心した。 ********** 大寒や 吹き揚げの梅 さが悲し
2009年01月19日
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昨日、所用で移動中、大明竹の垣根を見て感激した。 棹は密に叢生し、地茎が暴れず藪のように広がらない性質である。 偕楽園の大明竹の株に魅せられ、何時かは手に入れたいと思っていた。 今日は、花木センターへ電話して商品の有無を確かめてみたい。 ********** 竹は、食糧、建材、呪術、生活用具材等として神代から多角的に使用された。 特に、暗黒から這い上がる躍動の時代であった中世は、竹に格別の意義を見出した。 絵画の題材、哲理を解明する庵の建材、身を守る武器にもされ、正に、竹は中世を象徴する植物とされた。 今、世界経済は、暗黒の時代。これに耐え、躍動的に這い上がるために、竹を身近に置き、その強靭さにあやかりたい。 ********** 竿立てて 春呼ぶ準備 まめまめし
2009年01月18日
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昨日の朝は、-5.2度。庭の生きとし生けるものすべからく沈思黙考している。 昨年暮れまで、漬物好きの一家が住んでいた空き家を、整理し始めると漬物石がごろごろ出てきた。 永年、食生活の主要な道具として貢献してきた石に感謝と配慮を示す妙案が浮かんだ。 使用していない井戸におさめ、石の故郷、地球の懐で安らかに暮らしていただくことである。 ********** 異論があるかもしれないが、自分なりの沈思黙考の末の揺るぎなき結論である。 それ以外の方法による石の行く末を考えると心が痛む。 井戸も友を得たと喜ぶはずだ。試験的に小さめの石を一つ落とすと、冷徹にして澄んだ音がした。 寒に音があるとすれば、これぞまさしく寒の音である。 ********** 井戸深し 漬物石の 寒の音
2009年01月17日
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小正月の訪問者は、息子であった。 昨晩は一睡もできなかったと言って、妻の料理をバクバク食べていた。 職場の定期検診で引っ掛かり、万一の場合、あと2年間をどう過ごすかを考えたためだと言った。 精密検査の結果、誤診であったとその経過を説明する姿に成長を感じたが、黙って見ているだけだった。 ********** 正月早々、死に対面して思考するチャンスを得たことはこの上なく目出度いことだ。 自動車事故で急死する等、何の準備もせずして逝くのと雲泥の違いである。 悩み、自分の器で解決し、それを積み重ねながら強く逞しくなるのだ。 正月の宴での弟を思う兄の一言を、妻が話していた。母親は、その子にとって何が一番元気づける言葉かを知っていた。 ********** ロゼットに 蕾を隠す 薊かな
2009年01月16日
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樹の根元や塀のそばに、万両が赤い実を垂らしてかしこまっている。 かつての張りつめた黒紅の輝きはなく、くすんで見える。 今年は、鳥の影が薄く万両を好む鳥が訪問しないからかもしれない。 ********** 里山が豊穣でここまで飛んでくる必要がないのだろう。 おかげで妻は、洗濯物を汚されないと喜んでいる。 目白も、安心して飛び跳ねている。 ********** 里豊穣 万両完熟 誰を待つ
2009年01月15日
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アプローチのモッコクの根元と梅の木の下あたりに、ヤブコウジが生えている。 モッコクの下は緑色の葉で、梅の木の下は赤みを帯びて小ぶりの葉である。 あちこちに赤い実をぶら下げ、そのうちの一本は、今でも赤い花をつけている。 狂い咲きで寒の寒さを乗り切れるはずがないと思うが、実に強かで凄いものがある。 ********** 江戸時代後期、ヤブコウジは、橘(タチバナ)と称されて利殖の対象になったという。 好事家は競って奇品を求め、一鉢百両はざらで、大阪では一億円の値がついたという。 町人文化が円熟期を過ぎ、行き場のない退廃的な社会環境が園芸趣味を促し、それが利殖、マネーゲームに利用された。 園芸趣味と利殖が絡むのは、今に共通するものがあり、歴史は繰り返すということを実感する。 ********** 橘や ゆめまぼろしの 一億円
2009年01月15日
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朝5時、血液ドロドロと脅されているので、先ず水を飲む。 臓腑に沁み入る冷たさである。 古人は、寒九の水は投薬用に最適というが、この冷たさに霊気を感じたからか。 今は、投薬用の水はぬるま湯と相場が決まっているが、当時は真水で服用したのかも。 ********** 若水に先立ちて、今晩のウイスキーは「吐玉泉」の水でいただこう。 かつては、「飲用可」と表示してあったが今はどうかなぁ。 仮に、飲用不適でも、アルコールと霊気が解毒してくれるから大丈夫。 命に替えてもーーー、この程度の風流を味わって古を想う縁としたい。 ********** 明け六つや 臓腑に沁み入る 寒九の水
2009年01月14日
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昨日の朝、今冬最低の冷え、庭の呼吸も止まり庭は静まり返っていた。 花をたくわえたアザミは、頭を垂れそれに葉を被せてダウンした。 笹百合は、蕾の先を茶色にして凍傷状態、回復は絶望的である。 微風とてなく、小鳥、猫も来ず、動くものは全くない。 ********** でも、日の出は着実に早まり、その光も力んでいる。 ローズマリーは、新しい芽をのばし、花を次々に開いている。 水鉢の水は、氷に雑念を吸収させて澄み切っている。 その水の中、羊歯の新根は、1センチ程度に伸びて目高を励ましている。 ********** 風もなし 鳥 猫も来ず 日脚伸ぶ
2009年01月14日
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離れの留守番メダカの水槽は、径50センチのすり鉢状の水鉢である。 ポンプをつけ、羊歯の根を浮かせて、40匹の目高の稚魚は生息できると思った。 そして、みんな元気で年を越したと喜んでいた。 しかし、体つきが自宅の水槽のメダカの半分か、3分の1程度しかないのに気づいた。 ********** 目高は、餌の量に関わりなく、容器や環境に合わせて自己の身をコントロールしているのかと考えた。 身を削っても、全く生存競争をしない生物がいることに驚いた。 人間の歴史にも、局地的にはこの種の共存共栄の世界があったにはあった。 しかし、それは外圧からで実質は熾烈な戦いの連続。そして、今でも其処此処に破壊、難民が後を絶たない---。 ********** 羊歯若芽 舐めるメダカや 体位向上
2009年01月13日
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傾く冬陽を楽しみながら、椿の咲き具合を観察していた。 暖冬なのに咲きが遅いと思っていると、目の前に雪蛍が現われた。 とっさに、雪蛍の正体が知りたくなり捕らえようとしたが、はずみで窪みに足を取られた。 バランスを崩して立ち木に支えられ、阿呆の木好きも満更でないと感じ入った。 ********** 若い頃、自転車に乗っていて雪蛍の大群に逢うことがあった。 その頃、顔を拭い目を瞬くだけで、一途に前進した。 そして、ゴールが目前に見えてきた今、過去に耽溺したり立ち止まっていられない。 付いて来るものは道連れに、重かったらその分馬力をかけて、ひたすら前を向いて進むだけである。 ********** 雪蛍 追うてつまづき 年を知る
2009年01月13日
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昨日は寒かった。 本格的な冬到来という感じ。 このような朝は、庭先の野菜を土鍋でスープにして体の調整をする。 霜柱、寒風に堪えた菜と、高温で鍛えた土鍋のエネルギーとをそっくり頂戴する。 ******** 青梗菜は、根元が膨らみ滋養が詰まっている。 油菜はロゼット状でエネルギーの塊である。 葱は苗を植えて足掛け3年の不耕起栽培、太いが実に柔らかい。 すべてが、店先に並んでいる促成栽培とは雲泥の違いがある。 *** *** ロゼット菜 土鍋のエネルギー 招き寄せ
2009年01月12日
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10日は雨まじりの冷たい突風が吹き荒れた。 おかげで蝋梅の葉があらかた飛ばされ、花がむき出しになった。 昨日は晴天で、真っ黄色で光沢のある蝋細工のような花被が、陽の光で輝いていた。 12月始めから咲いているのに、落花せず蕾も豊富に付いて垣根は黄一色である。 ********** その垣を往来する目白は、黄葉の乱舞に見え、目白も風も黄色である。 子供のころ、目白捕りが流行り、小遣い稼ぎをしていた先輩がいた。 今は、保護法があるのを知っていて人を信用し身近に寄ってきて遊んでくれる。 目白の繁殖が盛んになり少子化対策が奏功したのは、経済的、身体的両面の安定、安全が保障されたからなのだと目白は呟いている。 ********** 蝋梅垣 往く風、目白 おうにかな
2009年01月12日
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花梨の果実、タッタ1個が寒風に揺らぐ梢についている。 年が明けても落果しない花梨は、小枝に支えられているのかと思ったが、帽子が飛ばされるほどの風か吹いているのにおかしい。 艶がなくなった大粒の果実が、枝にしがみ付いている姿は興ざめする。 黄門さん縁の西山荘の花梨は、このように大実ではなかったはずだ。 ********** 品種改良の結果と思うが、道理で幹に線虫がつき易く、果実は直ぐに虫が入る。 朝のうちに竿で落として供物にし、以後、大実とか新品種の木を買うのは止そう。 改良前の木の方が、古人がこの木の下で何を想っていたかを聴くことができる。 それよりも、樹木に想いを伝える期待が、短命で立ち枯れされると叶え られないではないか。 ********** 寒四郎 落ちずの花梨 供物かな
2009年01月11日
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西洋朝顔が2輪に咲いている。 軒の下で寒除けしていたが、寒に入って部屋に移した。 苗木を育てて、足掛け3年になる。 春から晩秋まで咲き続け、部屋に入れると正月でも咲く記録となった。 ********** 異郷の環境をプラス思考で採り入れている努力に頭が下がる。 特に、陰鬱な冬、精いっぱいに咲く朝顔を観ると、元気が漲ってくる。 景気は「冬の時代」と言われるが、正に、長い氷河期の幕開け。「冬」のマイナスイメージを払拭して勇猛果敢に乗り切っていきたい。 「売れぬ日は 萎(シオ)れて帰る 朝顔屋」と言われても、江戸の夏を彩った先人の努力を忘れまいぞ。 ********** 寒に咲く 朝顔 散るを 忘れおり
2009年01月11日
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今朝4.5分、はこべを抜いた。 5分という短い時間の活用こそ、庭を愛でる者の義務である。 十薬の枯葉を引くと地下茎がズズーと出てきた。 透き通った真白い根の先端が、真っ暗な地下を縦横に導く先兵隊なのであろう。 ********** その地下茎に1センチ程の薄緑の芽がついていた。 これが潜望鏡のように地上の様子を探索し、地上出陣のチャンスを窺っている。 人が蒲団に包まっていても、地下茎は真っ暗な地下で、脈々と地上場所取り作戦を展開している。 これが、大自然の掟、勝敗の分かれ道となることを地下茎は知りつくしている。 ********** 潜望鏡 先兵 十薬 地下組織
2009年01月10日
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今年、初めての雨、乾燥注意報さなかの慈雨である。 世の中、何処を向いても不景気なら、身の回り、なんでもかでも目出度くしてしまおう。 関西では、松の内は15日までであるがーー。 今日、九日、関東に降っても富正月、御下がりとして目出度いと考えよう。 ********** 去年、遅くまで咲いていた菊を外に移したがーー、 その根元の枯葉に隠れて花が三つ咲いていた。 正月早々、屋外の寒気の中で菊花に逢うとは目出度い。 孫は大家族、生えるは芽生え、菊、慈雨、富み、正月と全てが目出度く、それらを組み合わせて駄句とした。 ********** 孫生えの 菊花に慈雨の 富正月
2009年01月10日
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今年は、侘助が 白、紅色ともにキチンと咲いている。 今まで、高さ、枝順、樹形にこだわって花芽を虐待したから咲きが思うようでなかった。 強い剪定は隔年としたため、去年、強剪定しなかった木が元気づいている。 葉が多すぎて下向きよりも水平に咲いた方が良いが、無理なら葉刈りしてあげよう。 ********** 安土桃山時代に移入された当時、侘助は野生種に近く花も小さかったという。 「江戸図屏風」の「御花畠」の図には侘び助はないようだ。 まさか、豊臣の対抗意識があるわけではないと思うかーー。 椿の常緑、長い寿命、強靭な生命力に、徳川幕府の命運を重ね合わせて見ていたから、侘助は好まれなかったのかなぁ。 ********** 侘助や こっち見給え 我を見よ
2009年01月09日
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斑入り葉の椿は、野鳥に悪戯されてなかなか咲き揃わない それでも、神楽葉をこれ見よがしに広げて目を楽しませている。 江戸時代後期は、椿の改良は葉に興味が集中したらしい。 だから今でも、斑入り葉の椿は、葉っぱが主役と思い込み自尊心が高い。 ********** 確かに、椿の葉には、モッコクのように朝日に輝く光沢は見応えがある。 でも、花の美しさを直視しないで葉に注目するのは、日本文化の歴史そのものと感じた。 日本庭園、盆栽、茶道の精神文化には、この種の歪みが見え隠れする。 それらの土壌から、今でも、見た目よりも内面の美を求めるのを至上とする。 ********** 葉が主役 斑入り椿の 思い込み
2009年01月09日
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雀が、プランターのブロッコリーの花に降りた。 何やら啄ばんでいたがすぐに一羽が飛んだ。 ビタミン.シーをモット捕らニャァと叫んでいるように見えた。 が、離れて外敵の警戒をしっかりするように小言を言われているに違いない。 ********** 小鳥は、独りぼっちでは訪問しない。 事故があって独りぼっちになっても暫くするとペアで来る。 相手が見つからなければ死を待つのみか。 大自然の中では、独りぼっちでは生きていけない。 ********** 枯れ枝に 鳥寄り添うは 籠の夢
2009年01月08日
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昨秋に植えこんだ大蒜の葉が25センチ程度に伸びた。 葉の先は枯れているが、寒さか肥料不足のせいであろう。 1月は、追肥の好機。化成肥料を与えて散水し、即効性を促した。 去年は、今頃から鍋や酢味噌にして葉大蒜を食し、大寒を乗りきった。 ********** そして、鱗茎は蜂蜜漬けにして暑気払いに使った。 あのピラミッド建造の原動力となったのが、大蒜だという。 大王が毎日、大勢の人民に大蒜を配布したのだから広大な農園だったろう。 その畑に落ちたピラミッドの落日の影は、さぞかし、寒気が漂っていただろうなぁ。 ********** 塔の影 大蒜畑 悪寒かな
2009年01月08日
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昨年春ごろまでの「趣味の園芸」には、田渕義雄、柳生真吾氏の随筆が連載された。 それらのページだけには、思索があり哲学があった。 2008/1月号で田淵氏は何を語っているかに興味があり、ページをめくった。 信州は金峰山の麓のクレソン畑は、決して氷結しないと紹介してあった。 ********** 同じ水鉢でも、周りから草の根が入り込む鉢は凍結しないと不思議に思っていた。 竜の髭や、羊歯が、我が身を厳寒から守るために何らかの働きをしている。 メダカはそれに感謝しているかなぁ。 外気が氷点下何度まで、氷結阻止を実現できるかに興味がわいてきた。 ********** ビオトープ 氷結防止 一致団結
2009年01月07日
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車庫の入口の山茶花はかわいい。 一つの花で八重咲き、縮れ、白に赤の模様と面白い。葉は斑入りでもある。 寒さで他の山茶花は項垂れているのに、車庫で霜よけをして全開している。 立地を生かして咲き続けてくれそうだ。 ********** 5年ほど前に植えたのだと思うが、妻も気づいてきれいだねと言った。 山茶花に対する称賛は、相手に対する労わりでもある。 事物に対する優しい眼差しは、そっくり自分に向けられているのだとわかる年ごろとなったものだ。 そして、行動半径も狭まり、今年からは、1台の車を共用し行動を共にすることとなった。 ********** 山茶花や 見送る二人 車中かな
2009年01月07日
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各種の椿、特に、白芯卜伴や紅唐子が咲き始めた。白芯卜伴は濃紅色の花弁に、白色のはち切れそうな豊富な雄蘂が包まれている。さながら、小銭で満杯の硬貨入れと観た。500円硬貨であったら何枚はいるか。それが、次から次へと咲き続けるとしたらーー。不況脱却には、庭に出てこの程度の妄想も必要だ。卜伴や はち切れそうな 小銭入れ
2009年01月06日
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昨日、仕事初め。仕事場の留守番はメダカがしていた。 昨年の夏に孵化した白メダカ、約40匹、全部成長した。 尾が「く」の字に曲がった子も元気である。 メダカの天敵は大きな魚で、捕食の危機に遭遇しなければ、環境、同種競合等で自然淘汰されることはないと分かった。 ********** 大が小を駆逐することは自然の理で、人間の場合は、それを法律等の規制で調整していたが、悲惨な歴史的経験を経ずして得た教訓を安易に払い除けた結果、厳しい現実が露呈した。 正月のある新聞は、一定の制度的統制は自由主義経済下でも必要不可欠だと、外国人学者に言わせてトップ記事にしていた。 が、日本経済隆盛の基盤を築いた勤労者、中小業者が壊滅状態になってからではーーモウ、遅かりし由良之助。 それよりも、外国人に言わせなければならない日本の現実はそれ以上に情けない。 ********** 「く」の字尾の メダカ年越し ビオトープ
2009年01月06日
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今年は、垣根の山茶花の花が見事に咲いて道行く人の話題となった。 去年の刈り込み時期が良かったこと。 それから、厳寒の日が続かず花を凍傷させなかったことによる。 でも、小寒を迎え開花していた花はことごとく項垂れ、自然のサイクルの凄さを実感した。 ********** 熾烈な自然体感の中から生活をスケジュール化し、自然に立ち向かった先人の知恵は、それ以上に凄いものがある。 1月4日は、「石の日」と命名しているが、唯の語呂合わせで季節の実感はなくチャチで今流だ。 でも、故あって庭に来た石達に感謝し、その故郷を一緒に想う日とした。 遠い南洋の島で瞬時に埋没して生まれた木石、日本の寒は初体験かと労わった。 ********** 寒四寒九と 名付けし古人の 自然観
2009年01月05日
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畑の隅に雀の帷子(カタビラ)が、稲穂のように花を咲かせている。 抜くと豊富な土をくわえ、繊細な根はそれを離そうとしない。 そっくり瓶に入れて机上に置くと、春の息吹が聞こえる。 この強靭な生命力が農民を苦しめ、貧乏草という悪名になっているが、春を呼ぶにかけては梅を凌駕している。 ********** 聞けば南極にも雀の帷子が生えているという。 或は、ラクダの腹に付着した種が、星の砂漠で芽生えているかもしれない。 南極や砂漠の雀の帷子は貴重な植生であり、この地球に無駄なものはないと実感する。 自分も無駄な存在ではないのだという信念で、強かに、そして、有意義に生き抜こう。 ********** 寒中や 雀帷子 花広げ
2009年01月05日
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小寒まで耐えた金柑はどんな味かと試食した。 皮が薄く柔らかで、芳潤、かつ、ジューシーな味が口いっぱいに広がった。 蜂蜜漬けより味が濃厚であり、自然の風味がいかに貴重かを知った。 2週間前の蜂蜜漬けは全部食したので、新たに、小寒金柑を同じ瓶に入れ、明日から食膳の友とすることとした。 ********** 金柑のほか、ゆず、レモン、橙などの柑橘類も真っ黄色の果実を寒風に晒している。 インフルエンザに罹らなかったのは、柑橘類の効果によるものと感謝している。 柑橘類がインフルエンザ菌を撃退する防護壁となって庭を取り囲み、バリア機能を果たしている。 正に、庭は、ビタミンC、E、Pが豊潤の大きな容器である。 ********** 寒入り金柑 インフルエンザの バリアかな
2009年01月04日
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晩秋、アブラナを蒔いて春の野草として摘む楽しみを味わおうとした。 万葉人の春の七草摘みの詩に感化されてである。 しかし、ハコベが俄然優勢でアブラナはポツンポツンとしか生えない。 でも、ハコベにガードされたアブラナは、虫のつかない安全植物で貴重である。 ********** ハコベは、民間医療薬として使われていたらしいが、薬効はいくらかあるであろう。 ならば、食べて美味しく体に良いハコベを開発する人はいないかなぁ。 自然食のブーム、絶対に農薬の世話にならない安全食物として、爆発的に売れると思うがなぁ。 そうすれば、雑草として毛嫌いされるハコベは食べられてなくなるーーか。 ********** アブラナや はこべが守る 無農薬
2009年01月04日
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遅れ年賀を出すが何かアイデアがないかと、妻に問われた。 裏庭のクチナシの汁で「賀春」と書くと面白いと話した。 黄色の文字が何か失礼ということになっても、友達同士なら許される。 子供のころ、地べたに文字を書いたりして遊んだではないか。 ********** 昔ゃぁ、花の汁で文字を書いたり、葉の裏に書いたりしたものだ。 木簡などは大宮人や裕福の者以外は、使用できなかった。 正月に古を想うのは殊勝なこと。草木文字は格好の縁であり話題である。 と、付け加えたら、普段、異を唱えるクセのある妻は頷いていた。 ********* クチナシや 「賀春」ほのぼの 色滲みず
2009年01月03日
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黐の木は幹回りが115センチ、庭で最も太い木である。 樹齢は、柘植の方が多いが、太さで黐の木が優っている。 緑色の実。割ると果汁とともに種が2個出てきた。 万葉時代に「毛知」(もち)と詠まれ、漢字伝来以前から列島暖地に自生していた木ではないかと思われる。 ********** 黐の木は鳥や虫を捕獲するための接着剤の材料となる。 木皮を水でつぶし、それを煮て粘着剤を抽出する。 その過程をどんな動機から編み出されたのだろうか。 昔の人は偉かったなぁーー。 ********** 黐皮(チヒ)ボイル 縄文人の 冬仕事
2009年01月03日
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10時頃、初詣に行った。 参詣人、三ケ日、10万人の予測--、の通り混雑した。 樹齢700年(国の天然記念物)の御葉付銀杏の木が神木である。 立札は、漢名「公孫樹」と表記され時代の流れに感じ入った。 ********** 大きな気根が幾つも垂れ下り、人家では見られない風格を呈していた。 実は葉の先端につくので御葉付銀杏と言われる。 その周りが参詣の道順になっていて、人だかりが絶えなかった。 銀杏は生きた化石と言われ、強靭な生命力をもっているが、これほどまでに踏みしめられてーー、樹医に見せているのであろうか。 ********** 十万のドタ足 神木 初詣
2009年01月02日
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今では、大概のブルーベリーは枯木となっているが、ワイルドブルーベリーは落葉しない。 アントシアンのせいか小さな細い葉を真っ紅にし、冬でも光合成に努めている。 そして、春を迎えて、いち早く繁茂し、開花しようとしている。 しなる枝、細い葉、低く叢状に生える幹--、すべてが、冬を乗切るためにあると見た。 ********** 花木園でビルベリーを注文したら、「耐湿性が弱いからこれを植えなさい。」と渡されたのがワイルドブルーベリー。ビルベリーと同等の薬用効果ありと付け加えられた。 小さな葉でひたすら環境に耐え、そのエネルギーを果実に凝縮し、自守自保の秘薬として子孫に残そうとしている。 なんとなく、人間の「努力の結晶」、「刻苦勉励」に一脈通ずるものがある。 違う点は、人間は「子孫のために美田を残さず。」と粋がっているだけにすぎない。 ********** 寒に挑戦 ワイルドベリーや アントシアン
2009年01月02日
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昨晩の映画「エリザベス1世」を観て、中老女王のバイタリティに感動した。 が、ローズマリーを愛用したというハンガリーの女王は、もっと若々しく優雅であったのかなぁ。 恐慌時には、バイタリティよりエレガントがお似合いだ。 その方が国内需要が伸びる。まず、足元を見直すことが大切か。 ********** ローズマリーは数種類を3年間育てた。 その内の2本は寒風の中、次から次へと開花している。 今年は、ローズマリー・ティを優雅に飲み、アクセクしないようにしよう。 正月を寿ぎ、咲き続ける薄紫の花も浮かべてーー。 ********** 屠蘇抜いて ハーブテイ囲む 赤縄かな
2009年01月01日
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昨日、寒除けの軒下の鉢に父子草が生えているのに気づいた。 やわい茎の頂に小さな蕾をつけているが、寒さで先へ進めないでいる。 父子草は、母子草より背が低く、花は茶色で地味である。 根生葉は蕾を蓄えても残っていて、底力をアピールしている。 ********** それは、テレビ画像に現れる平和な家庭の父の像とそっくりである。 学齢前に父と死別し、父とはどうあるべきか試行錯誤してきた。 そのようなものかと悟ったときには、すでに遅かった。 多少の時間が残っているとすれば、良き亭主への反省の時間だけ。 ********** 外は霜 つぼみうなだれ 父子草
2009年01月01日
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