ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2004年02月03日
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「あんな若い女の子にできるなら、私にも直木賞や芥川賞を獲れるかも」と、考えた人も多いんじゃないか。

 文章を書くのが好きだったり、多少は書くことが得意だなあと思っている人は少なくないだろう。

 でも、自己満足で書いた文章が、多くの人の共感を得て、商品として成立するかどうかは、なかなか難しい。

 プロのライターとして生活している私は、生活の糧を得るために書いているわけだけれども、書くことの意味はそれだけじゃないと思っている。

 好きだから……それもアリ。得意だから……まあ、いままでの経験や訓練が、自信につながっていると思う。自己満足……うーん、そうだろうか。本当に満足しているかどうか、自問自答の日々のような気がする。

 寝付かれなくて、深夜に目が冴えてしまった日に、ふと閃いたことがあった。

 ライターの使命は、ドラキュラを描くことかもしれないと。

 吸血鬼ドラキュラ伯爵が本当に存在したかどうかはよくわからない。吸血鬼とは言わないまでも、かなり冷酷な性格のそのような名前の伯爵は実在したらしい。

 吸血鬼ドラキュラについて、現代に生きる人の誰もが知っている背景には、ライターの仕事がある。大昔から今日に至るまで、記録として書き残そうとした人、あるいは多少の脚色を交えつつ、創作でなければ表現できないものを含ませてフィクションとして書き残そうとした人の仕事があるはずだ。



 ノンフィクションは事実を描写し、フィクションは事実から読み取った意味を膨らまして表現し、人間性の深奥にある真実に迫る。そんなふうに違いを比較できるかもしれない。

 ともあれ、普通の人には簡単には表現できない何物かを言葉に置き換えて表現し、人々の感性や徳性に訴えて共感を得て、残すというのがライターの使命であり、やりがいではないか。

「ドラキュラを描く」という言葉が、私の中にストンと、杭のように打ち込まれたように感じた。「真夜中の啓示」にいかにもふさわしい道具立てだ。といっても、べつにスティーブン・キングみたいなホラー作家を目指すわけじゃないけれど(ちなみにキング大好きです)。

 そんなことを考えている今日このごろです。

 さて、楽天仲間の東京犬さんが日記で薦めていらっしゃった、『村上“ポンタ”秀一 自暴自伝』(文藝春秋)を読んでみました。ポンタさんは、山下達郎、坂本龍一、矢野顕子、井上陽水といった日本のポップス&ロック界のキラ星のような面々とさまざまに共演してきたドラマー。キャンディーズ、ピンクレディーといった、歌謡曲でも色々と叩いているらしい。

 プロのミュージシャンとしての出発点があの赤い鳥だったなんて。ああ、懐かしい。

 日本の音楽業界の舞台裏を覗き見するような楽しさがあります。本書は、ポンタさんが自在に語った「自分史」をライターが聞き書きでまとめたもの。ドラマーならではの、歯切れのいい語り口にぐいぐい引き込まれ、あっという間に読んでしまいました。

 しかし、才能のなさを自覚するアマチュア・ミュージシャンの私としては、ただただ、ポンタさんの天才ぶりにタメ息が出ちゃう。凡才だからこそ、天才の凄さが分かって、煩悩に苦しむのだよなあ。

 まあ、でも励まされる言葉もたくさん出てきました。ポンタさんは「物真似大魔王」を自負しています。とくにあのスティーブ・ガットの真似が得意だったので、ガットの代役でレコーディングしたことも何回かあるのだそう。クレジットはもちろんガットだから、影武者ですね。

 そうなんだよなあ。書くこともそうだけれど、あらゆる創作は、模倣という名の学習から始まるんですよね。私ももっと色々な曲を聞き、いいナと思った曲のフレーズやコード進行をいっぱい覚えて吸収しながら、創作へ近付いていけばいいんだな。

 それから、「仕込み」が大切という言葉にも深く深くうなづきました。ポンタさんは、輸入版CDに大金を注ぎ込み、毎月新しい音を取り込もうとしているとのこと。私も書籍や新聞・雑誌には惜しまずお金を投じて「仕込み」をしています。それほど収入がないのに、月に5万円以上もかかるので苦しい限りなんですが。



 つまり、「ポンタさんの……という言葉の背景には……という意味があるのだろう」といった分析や解釈を地の文で書き込みたいと思ってしまうのです。ライターの性(さが)というか、職業病みたいなものですかね。





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最終更新日  2004年02月03日 12時58分08秒


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