ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2006年08月24日
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 ニートやフリーターが増えている背景には、新卒とくに高卒採用を行わない企業が増えたこと、新入社員や若い社員にまともな教育研修を行わずに、過重労働を強制してスポイルしているという由々しき問題があります。

 さらにその背景には、団塊世代や中高年世代の人材がダブつきという問題や、かつての高度成長期とは異なり、長時間労働で商品をたくさん作り、たくさんセールスして回っても売れなくなっている。高品質の商品やサービスを多品種少量生産あるいはオーダー生産し、手の込んだマーケティングの仕掛けや、手間ひまのかかるコンサルティングセールスなどを行わないと売れない。そういうことのできる人材は、OJTを含め、時間をかけて丁寧に育てていかなければ育たないのに、長期的展望なしに目先の利益に追われるばかり……。

 ニートやフリーターという言葉で括ってしまうと、個々の問題や背景が見えてこないのではないでしょうか。

 それはさておき、また新たなフリーター支援策が打ち出されました。

年長フリーター対策、就職クラブで目指せ正社員 厚労省
2006年08月24日08時05分

厚生労働省は25歳以上になっても定職についていない「年長フリーター」向けの新たな就職対策として、10人程度でひとつの班を作り、3カ月で正社員を目指す「就職クラブ」を07年度から都市部のハローワークで始める。

 就職活動でも孤立しがちな年長層に対し、部活動のような集団を結成。「顧問」役の相談員の指導を受けながら、意見交換や自己分析を行い、目標達成を目指す。

 正規雇用と非正規雇用の格差を縮小する「再チャレンジ推進」は同省の概算要求の大きな目玉。次期政権として最有力とされる安倍晋三氏の政策を意識している面もある。一見、新奇な案にみえる「就職クラブ」も「再チャレンジ」案のひとつだ。

 若年者の就職支援を行っているヤングハローワーク(ワークプラザ)がある東京(渋谷)、横浜、名古屋、大阪(梅田)、神戸を中心に開設。これまでの個別支援に加え、同じような境遇にある求職者同士が相互に刺激しあうことによる相乗効果を狙う。

 初年度は1億円をかけて1000人程度の年長フリーターの組織化を目指す。効果が上がればさらに規模を拡大する。

 総務省のまとめでは05年の若年フリーター(15~34歳)は、201万人で前年より13万人減っているが、25~34歳がほぼ半数を占め、「高齢化」が進んでいる。

 これまでは政府の「若者自立・挑戦プラン」のもと、厚労省はフリーター25万人の正社員化を目標としてきたが、今後はより正社員への転換が困難な「年長フリーター」に重点的な支援を行う、としている。


 実はこれ、全然目新しいものではなくて、アメリカで考案され、カナダやイギリスの就業支援機関で取り入れられている「ジョブクラブ」をモデルにしたものなんですね。

 過去にはこんな記事もあります。

再就職支援クラブに脚光 埼玉県主催、「仲間の目」が効果
2002.01.10 朝日新聞東京夕刊 14頁

仕事を失った人たちが、立場や年齢の違いを超えて励まし合い、再就職を目指す「クラブ」活動が今年度から埼玉県で始まった。欧米で盛んな「ジョブクラブ」の日本版だ。参加者は、仲間の存在で孤独感から解放され、就職意欲を持ち続けられるといい、全国の自治体から問い合わせが相次いでいる。

 「そこまで言うと、嫌みだよ」
 「人柄を、もっとアピールして」

 模擬面接で、仲間から率直な助言が飛ぶ。

 埼玉県立女性職業能力開発センターの教室。同県が主催する「彩の国 再就職クラブ」は3週間で1クール。昨年8月から12月まで3回実施した。初回は13人中5人が再就職を果たした。次第に希望者が増え、3回目には20人の枠に73人の応募があった。

 センターの職業訓練指導員、小島貴子さんらが米国でキャリアカウンセラーが活躍している話を知り、資格を取って個別相談に力を入れ始めたのがきっかけだ。中高年支援事業を続ける中で、仲間の必要性やカウンセリングの希望が多いことがわかり、欧米で成果を上げているという「クラブ」づくりに踏み切った。

 参加した女性(39)は手伝ってきた家業の継承が難しくなり、2年前から求職活動中。「一人で探していると沈み込んでしまうし、わからないことがいっぱいある。ここで仲間から客観的に見てもらえるのは、本当に心強い」と話す。

 受講中に就職の内定を受けた男性(54)は、入社時期を1週間延ばしてもらい最後まで参加した。男性の分まで求人票を見てきてくれる仲間たちを得難く感じたからだ。「営業職しか目になかったのが、仲間と話しているうちにもう少し柔軟になってみようと思った」。再就職先では総務の責任者として働いている。

小島さんは「米国のように就職できた人から抜けていく競争型でなく、一緒に畑を耕す農耕民型を目指している。素直に自分を出し合えて、表現する力と自信をつけてほしい」と話している。4回目は2月に予定している。


 ここに書かれているように、「ジョブクラブ」は、年齢の高いフリーターばかりでなく、中高年、再就職志望の主婦といった、「就職困難者」を支援する方法として有効であると思います。

 私も専業主婦向けの再就職支援セミナーにおいて、ジョブクラブとまではいかないけれど、長期連続講座やグループワークという形式を採用することで、相互支援、相互啓発、相互刺激といったジョブクラブ的な効果をねらっています。

 そもそもジョブクラブの起源については、渡辺三枝子、E.L.ハー著『キャリアカウンセリング入門』(ナカニシヤ出版)に詳しく書かれています。

 カナダで成功し、いまでは他の国々にも紹介されている高齢失業者を対象とした「ジョブクラブ」というグループワークがある。

 これはカナダで始まったものではなく、アメリカのカウンセリング心理学者であるアズリンら(Azrin et al., 1980)が開発したキャリアグループワークである。

 もともとは就職が非常に困難なクライエントを対象とした、行動主義カウンセリングを背景とした職業探索プログラムである。

 彼らの主な対象者は(中略)、そのクライエントに共通しているのは、さまざまな社会的障害や過去のネガティブな生活体験がもとで、職業選択行動が身についていないだけでなく、自尊心も、働く意欲も喪った人々であった。

 アズリンらは、「失敗は、必要な行動を学習していないか、あるいは非効率的な行動を学習してしまっているのであり、失敗が予期不安をもたらし、そのために非効果的行動や不適応行動を引き起こし、ひいては自尊感情がもてなくなる」という考えに立ち、必要な行動を段階を追って一つひとつ学習するのを促すプログラムを開発したのである。

 そして、プログラムが進む過程での強化づけ(他者からの承認や成功体験)が自信を回復させることが不可欠と考えた。

 プログラムに一緒に取り組むなかで、相互に教えあい援助しあうことができ、その結果自尊心をもてるようになるし、安心してソーシャルスキルも学習できるということであった。



 自尊感情と、もうひとつ加えれば、自己効力感。この2つを獲得しないと、社会に対して立ち向かって行くのは難しいですね。





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最終更新日  2006年08月24日 19時45分36秒
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