ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2006年08月25日
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カテゴリ: 女性労働研究
 病児保育というと、「子どもが病気のときぐらい、会社を休んで一緒にいてあげたら」という批判をする人は少なくないようです。

 夫、姑、近所の専業主婦……。外野、ガイヤ、ガイヤ、ガヤガヤガヤ。

 なんて浅はかなんでしょう。その鋭い批判の矢を、それにいやまさる鋭い一矢を、働く母親自身は既に自分の身に当てているというのに、さらに矢を放つ気か。

 簡単に休めるほど「軽い」仕事じゃないからこそ、あるいは「軽い」決意じゃないからこそ、子どもを預けてまで働いているわけで、その重責とそれに応えようとする使命感の強さをないがしろにするような、そんな感性の鈍いことでいいのでしょうか。人間として。

「病気の子どもを犠牲にして働いていいの?」という人もいるかもしれませんが、ああ、かわいそう。なんと視野狭窄で愚かな意見であることか。

 そういう高みに立てる人は、前世紀の遺物である専業主婦優遇政策の上に乗っかっているのだけだということに気づかないのでしょうか。

 高度経済成長時代においては、サラリーマンと専業主婦の組み合わせがもっとも効率的であると考えられ、このモデルを増やして安定させるための政策が取られた。誘導です。配偶者控除とか、年金保険料の免除、所得税の免除ね。例の「103万円の壁」というやつです。それにのっかって、企業は配偶者手当(扶養手当)で優遇し、社宅その他、家にいる母子のセットを想定した優遇策を充実させてきた。

 年齢を横軸に、平均所得を縦軸にとったグラフをつくると、男性は正規分布に近いカーブを描きますが、女性の場合はいびつです。出産退職者の多い20代後半から30代でくぼみ、再就職者が増え始める30代後半から40代で再び少しだけ上がったかと思うと、また下がる。

 再生産という言葉をご存知でしょうか。国民総生産を拡大させる企業戦士を慰め、いたわり、新たな活力を生み出させる――それが再生産ね。それが主婦の、女性の役割として国家から期待され、婉曲に押し付けられてきた。



 そこのところをよーく考えて欲しい。

 ともあれ、病児保育と看護師の新たな専門領域の確立、大賛成です。

 いままで、働く女性はないがしろにされすぎた。配偶者控除という政策誘導は、いまにして思えば非常に優れた国家戦略でした。しかし、時代が変わった。

 ファミリーフレンドリーとワークライフバランスの両方を両立させ、推進させる政策に期待しています。

 実際、配偶者手当を支給し続けることが男女の役割固定につながり、結果として男性をスポイルすることにつながっているということに、うすうす企業も気づいているんじゃないだろうか。

 よーく考えると、高い成果を、高い生産性を生み出すためのワークライフバランスと配偶者手当は論理的に矛盾するんだよな。






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最終更新日  2006年08月25日 22時51分11秒
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