ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2008年08月12日
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カテゴリ: 女性労働研究
育児休業の取得率、男女とも大幅上昇 厚労省調べ

朝日新聞2008年8月9日

 育児休業の07年の取得率が、2年前と比べて女性は17.4ポイント増の89.7%、男性は1.06ポイント増の1.56%と、大幅に向上したことが、厚生労働省の調査で分かった。女性は14年度までに達成するとしていた目標値80%を上回った。男性は目標値10%を大きく下回っている。

 調査は、全国の約1万事業所を対象に実施し、6160事業所から有効回答を得た。事業所の規模が大きいほど取得率は高く、30人未満では65.3%に対し、500人以上では94%に上った。

 前回調査した05年に、企業の子育て支援を促進する次世代育成支援対策推進法が施行され、独自の育児支援策を設ける企業も増加。厚労省は「育児休業の仕組みが社会的に浸透したのでは」と見ている。

 以上の報道は、厚生労働省が発表した 「平成19年度雇用均等基本調査」結果概要 に基づくものです。2年前にも同様の調査を実施しており、それと比べると、男女ともに育児休業取得率は大きく増加しています。

平成19年度 女性89.7% 男性1.56%

平成17年度 女性72.3% 男性0.50%

この数字を、どのように評価すればいいでしょうか。まず、押さえておきたいポイントは、女性の育児休業取得率とは、「結婚・出産後も働き続けている女性のうち、勤務先に育児休業の申し出をして取得した人の割合」を示します。

育児休業取得率が上昇していると聞くと、「出産後も働き続ける女性が増えている」と早合点しがちですが、必ずしもそうではありません。「出産後も続けたい」あるいは「続けられる」と思った人だけが続けているのであって、「出産後は続けたくない」とか「続けられない」と思って会社を辞めてしまった人は、このデータの中には全く含まれていないのです。

女性の労働力率、すなわち働く人の割合は概ね上昇していますが、すべての年齢について上昇しているわけではなく、また、未婚か有配偶かで比較した場合、40歳未満の有配偶女性の労働力率は依然として低いレベルにあります。

ここでクイズです。総務省統計局「労働力調査」(平成19年度)によると、20歳~49歳の各年齢階級別の労働力率を未婚か有配偶かで比較すると、以下のようになっています。

20~24歳  未婚女性72.6%  有配偶女性42.9%

25~29歳  未婚女性90.9%  有配偶女性50.7%

30~34歳  未婚女性89.5%  有配偶女性(   )%

35~39歳  未婚女性87.8%  有配偶女性55.8%

40~44歳  未婚女性86.0%  有配偶女性67.7%

45~49歳  未婚女性78.1%  有配偶女性73.7%

(    )の中に入る数字は、次のどれでしょうか?

a. 38.7%   b.40.7%   c.45.7%   d.49.7%   e.52.7%

以上6つの年齢階級グループについて分析してみると、

20~24歳 は、中学・高校の既卒者と短大・4年制大学の新卒者及び既卒者が含まれるグループです。ここの女性全体の労働力率は69.5%で、10年前と比較すると4ポイントぐらい減っています。新卒無業者や大学院進学者の増加がその主な原因と考えられます。

25~29歳 は、未婚女性・有配偶女性をあわせた労働力率が75.8%にのぼり、女性のライフサイクルの中の最初のピークになっています。縦軸(y軸)に労働力率、横軸(x軸)に年齢階級をとったグラフでは、女性の労働力率の推移はM字を形成することが知られていますが、この年齢階級がM字の左肩に相当するわけです(ただし10年前は20~24歳がM字の左肩でした)。未婚女性の労働力率90.9%という数値の高さに驚かされますね。

30~34歳 になると、女性全体の労働力率が64.0%と急激に下がり、ここがM字の谷に相当します。第一子出産後、仕事を辞めて専業主婦という生き方を選択する女性が増えるため、女性全体の労働力率が下がると考えられます。

35~39歳 も、同様にM字の谷間の時期に相当します。全体の労働力率は64.3%。ただし、有配偶女性の労働力率が若干上昇する傾向が見られます。いわゆる「育児に手がかからなくなった」女性がパートあるいは正社員として、仕事にカムバックするケースが徐々に増えてくる年代です。

40~44歳 になると、有配偶女性の労働力率は67.7%まで上昇し、谷底から山へ向かう勢いが強くなってきます。女性全体の労働力率は72.0%で第2のピークまでもう少し。

45~49歳 で、女性全体の労働力率が75.6%と第2のピークに達し、M字の右肩を形成します。有配偶女性の労働力率は73.7%に達し、未婚女性と大差なくなります。

今回は、ここで正解をお示ししておきましょう。30~34歳の有配偶女性の労働力率は49.7%ですから、正解はc.です。

このまま少子高齢化が進むと労働力人口は確実に減り、2017年には440万人、2030年には1,073人も減少すると推測されています(2006年の労働力人口6,657万人との比較)。

ただし、若者、女性、60歳以上の定年退職者の労働力率が現状よりも高くなれば、2017年の減少は101万人、2030年の減少は477万人に抑えられるという見方もあります。

女性に関しては、M字の谷間を形成している人たち、すなわち、結婚や出産を理由に仕事を辞めてしまった女性たちが辞めずに仕事を続けることによって、少子高齢化による労働人口減少リスクをある程度までは抑えられるわけですね。

あと約10年後の2017年の時点で、もしも労働力人口が440万人減ったとすると、1人あたりの平均年収を300万円と低く見積もったとしても、440万人分では合計13.2兆円もの「稼げるはずのお金」が失われることを意味するわけですね。

育児休業取得率の上昇は、女性の意識のうえでも、職場環境のうえでも、育児休業がとりやすくなっていることを意味しているのではないでしょうか。

子どもができても仕事を続けたいと思う女性が今後さらに増えて、いったん仕事を辞めてしまった女性が1日でも早く再就職することによって、少子高齢化による社会・経済的ダメージを小さくすることができるでしょう。

ここでいきなり論理を飛躍させると、日本の将来は、女性にかかっていると言っても過言ではないのです。高齢者の就職を考えた場合も、平均寿命の長さでいえば、高齢者人口は女性のほうが確実に多いということを忘れてはなりません。

女性が、労働力の量と質の両方を左右するのではないでしょうか。質の面でいえば、男性と女性が協力し合い、どちらかに過重労働の比重が掛かりすぎることなく、ともにワーク・ライフ・バランスを実現することによって、自分も、パートナーも、子どもも、家族全体がQOLを追求できる。

会社のみならず、地域社会とのネットワークを築くことについても、女性のほうが長けています。健康で幸せな生活を続けていくには、自分ひとりの力では難しいし、核家族の小さなパワーでも頼りない。助け、助けられ、助け合う協力関係を、職場で、地域で、社会全体で築いていかないと、日本の未来はお先真っ暗でしょう。

そして、若い女性の問題。若い女性のなかでアルバイト、パート、派遣社員といった不安定な職に就く人の多くは、「仕事は結婚までの腰掛け(ひまつぶし)」と思っていたり、「女の人生なんて、どうせ結婚相手によって変わるんだから、女性にキャリアなんて必要ない」と思っているのではないでしょうか。それは大きな間違いですね。他人任せでは、自分らしい人生を切り開いていくことは難しいでしょう。






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最終更新日  2008年08月13日 12時54分47秒
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