……そんな話は、ありませんけれど、先日、訪問した特別養護老人ホームで働く介護職員の中にはジャニーズ系の若くてかわいい男性が何人もいて驚きました。
何しろ、揃いのユニフォームが格好いい。黄色いシャツにカーキ色のチノパン。オムツ交換のときに着用するらしい割烹着風のエプロンは薄いベージュ、食事のときのエプロンはもう少し色の濃さが違う同系色、女性が着用するスカーフはココア色と、カラーコーディネートがオシャレです。
若いだけあって、動きはキビキビしているし、報告のときの話しぶりもテキパキしていて信頼できます。お年寄りも、「若い人に介護されるほうが嬉しいらしいのよ。羨ましいほど」と、ある妙齢(?)の看護師さんが言っていました。
職場環境、働き方、教育方法、キャリアプランを変えたら、定着率が上がってきたと責任者が話していました。頼もしい。
待遇のほうはどうなんでしょうか。介護保険制度上、施設に入る介護報酬には限度があるため、大手企業のホワイトカラー並みを期待するのは難しい。新聞報道ではベテランでも「せめて月収で手取り20万円ほしい」といった悲痛な声が紹介されています。一方、いまや看護師は非常に好待遇です。急性期病棟における看護師配置基準が変わって以来、多くの大学病院は高額の初任給を提示して新人看護師の獲得のために必死になっています。
ちなみに、労務行政研究所の調査によると、今年4月入社の初任給は、東証1部上場企業の平均で 大学卒が20万4333円 (前年度比0.7%増の1500円)だったそうです。
看護師の初任給はどれぐらいかというと、ネット上に 某大学病院 の求人案内が公開されていました。
大学卒(新卒)の看護師で、初任給20万4,000円、諸手当が6万7,800円、年収が457万100円だそうです。高給ですね。
では、介護職員の平均収入はどの程度かというと、これから厚生労働省のほうで調査を始めるとの報道がありました。
(2008年8月14日 読売新聞)
待遇が悪ければ「なり手」が足りない。だからといって、インドネシアなり、フィリピンから大勢来てもらえればそれでいいのか?量が満たされれば、質はどうでもいいのか?
介護サービスの質を向上させるには、介護職員として働く人の質すなわち知識、技術、意欲が向上することが前提になります。
しかし、現実には介護職員の報酬も社会的評価も低い、低過ぎるのではないか。
介護福祉士という国家資格は、介護サービスの質的向上を目的として創設されたものであり、専門学校ばかりでなく、4年制大学にも養成課程が設けられていますが、最近、入学者が大きく減少しているとのこと。中には定員割れの大学もあり、来年から募集停止になるところも……。
各大学は、介護職が「低賃金・重労働」といわれることや、コムスン問題の影響を指摘。養成課程から撤退する学校もあり、介護保険を支える人材の不足が深刻化しそうだ。
(2008年5月4日 読売新聞)
この記事の別バージョン(?)は、最後にこう結んでいました。
「看護師や保健師、助産師のいわゆる三師レベルまで持っていくのは難しいかもしれないが、まずは職業認知度や社会への貢献度を普及することが大事ではないだろうか」
難しいかもしれないけれども、介護の専門資格者も「三師」レベルの資質、社会的評価、待遇を獲得することを目標にしていって欲しいものです。それだけの社会的ニーズがあり、ポテンシャルがあるのではないかと私は思います。
世の中の多くの人は知らないようですが、実は日本における看護師の資質的向上ぶりは目覚しいものがあります。
全国各地に4年制の看護大学あるいは看護学部が続々と設けられ、多くの卒業生を輩出しています。指導教官は、以前のように医学部出身者や医師ではなく、看護の修士課程や博士課程を修了した人ばかり。その多くは、臨床経験を経て、そのときに蓄えたお金を学資にして進学した人たちです。
志を高くもってキャリアアップするルートが拓かれていて、お手本になる先輩が数多くいるということがすばらしい!
修士課程を終えて、特定分野における高度な専門性を生かして現場に戻る看護師も数多くいます。医師による診断、薬の処方、治療、手術といった仕事とは異なる、看護という独立した分野の専門性を確立し、プライドとやりがいを獲得しています。
世の中の多くの人は、看護師を医師のアシスタントとしか見なしていませんが、それは大きな間違いです。
同様に、介護の分野にも、医師や看護師にはできない仕事があり、そこには医学や看護学にはない独自の専門性が発揮されてしかるべきだと私は思います。とくに生活支援の観点からすると、確かに医師や看護師は、身体状況についての知識や技術については豊富かもしれませんが、生活者個人の経済、社会、思想信条、人生観、価値観に応じた個別支援ができるかというと、それは難しい。
しかし、人間は、体の部分だけを切り取ってケアされるものではありません。心もあれば、魂もある。総合的であり、有機的であり、連続的な存在としての人間をケアする方法論は未だに発達途上です。
「寝たきり」がつくられ、一度オムツを当てられたら二度と取れなくなり、ひどい褥創が「仕方ないこと」と見なされ、認知症で問題行動のある人は縛られたり拘束され、女性の施設入所者にはオシャレする自由がなく一律に短髪の「施設カット」が施され……。
高齢者の尊厳を守り、最期まで自分らしく生きられるように支えるのだという崇高な職業倫理をもった介護専門職が多く輩出されることを願って止みません。
介護に携わる人の高度な専門性を国が評価し、「介護師」という資格が創設される日の遠くないことを祈るばかりです。
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