経済同友会は、「日雇い派遣」の原則禁止案に対する反対意見を表明しました。
その論点は、
1)学生、主婦の短期アルバイト等、短期の就労を希望する者にとっては便利な仕組みである。
2)日雇い派遣を禁止しても、すべて日雇い派遣労働者が直接雇用にシフトできる保証はなく、労働市場のミスマッチにより、雇用機会が失われ、多くが失業に繋がる恐れがあるからだ。
3)中小企業など迅速に直接雇用に切り替えることができない企業にとっても、十分な労働力を確保できなくなる可能性があることについても考慮に入れるべきである。
4)厚生労働省の調査では、今後の希望する働き方について、日雇い派遣労働者の5割弱が「現状のままで良い」と回答している。
このうち、日雇い派遣は主婦、学生、さらには「使用する側」の中小企業にはメリットのある制度であるという点については、7月8日の読売新聞の社説でも同様の主張をしていた。
「若者が結婚をし、家庭を支えていく働き方ではないが、学生や主婦には、時間に余裕があるときに仕事ができる便利さがある。
直接雇用のアルバイトなどと違い、企業も募集や面接業務の負担から免れる。中小企業などにはありがたい制度だ。
国が一方的に規制強化し、こうした労使双方のプラス面まで失われては、かえって職を失う人が増える恐れはないか。猫の目行政とのそしりも免れないだろう。」
これに対して、関西大学教授・森岡孝二氏は「 働き方ネット大阪 」上で次のように批判している。
「この読売社説の事実認識はお粗末すぎる。日雇い派遣で問題になっているのは、仕事の不安定さでも、賃金や労働時間の不透明さでも、社会保険の不備でもない。問題は、間接雇用でかつ細切れ雇用あるために、労働者の労働条件の決定が、派遣先と派遣元の「商取引」に委ねられ、労働の買い叩きと投げ売りが凄まじい勢いで働き手を襲っている点にある(中野麻美『労働ダンピング』岩波新書)。」
「読売社説はあたかも学生や主婦が時間に余裕があるときに仕事ができる便利な制度が日雇い派遣であるかのように言う。しかし、先頃発表された 2007年「就業構造基本調査」の結果 によると、2002年調査と比べ、「アルバイト」(408万人)は16万人減少したのに対し、「パート」(886万人)は103万人増加し、「労働者派遣事業所の派遣社員」(161万人)も89万人増加している。アルバイトが減ったのは派遣が大きく増えたからにほかならないが、増えた派遣の主力は、低賃金によって生活しなければならない非正規労働者であって、けっして「学生や主婦」などではない。
日雇い派遣は「中小企業などにはありがたい制度だ」とうのも見当はずれである。日雇い派遣の最大の需用者は大企業の製造現場であって、中小企業ではない。」
日雇い派遣は今後、禁止されるのか、条件付きで温存されるのか。
労働政策審議会職業安定分科会の労働力需給制度部会が8月28日開かれ、今後の労働者派遣制度の在り方の論点(たたき台)が事務局から示された。日雇い派遣については、30日以内の労働者派遣を原則禁止。ただし日雇い派遣が常態且つ労働者保護に問題のない業務については政令によりポジティブリスト化することを求めている。このほか、「グループ企業派遣」の人員を8割以下とすることなどを盛り込んだ。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/08/s0828-5.html
「ポジティブリスト」というのは、日雇い派遣であっても問題のない業種をリスト化して認めようとする方法。この反対語が「ネガティブリスト」で、こちらは禁止とする業種のリスト化である。
ねじれ国会のもとで、どうなる?日雇い派遣。
2008年7月8日asahi.com
自民、公明両党は8日、日雇い派遣の原則禁止など派遣制度の規制強化策を盛り込んだ提言をまとめ、舛添厚生労働相に今秋の臨時国会で労働者派遣法を改正するよう求めた。派遣先企業にも法律上の労災防止責任を反映させる措置や、特定企業だけに労働者を派遣する「専ら派遣」への規制強化、手数料(マージン)率の公開義務づけも盛り込んだ。
舛添氏は「(国会の)会派を超えて賛成してくれると期待している。しっかりと取り組んでいく」と述べ、この提言をもとに法改正をめざす考えを示した。
提言では、労働者派遣について「労働者保護の観点から様々な問題が生じてきている」と指摘。とりわけ問題の大きな日雇い派遣について、通訳など専門性の高い業種をのぞいて原則的に禁止するよう求めた。例外として認める業種は「ポジティブリスト」に明記するが、その選定については、労使の代表が参加する厚労省の審議会の議論に委ねる考えを示した。
また1日単位の雇用を求める学生などの需要に配慮し、日雇い派遣から日雇い職業紹介事業への切り替えの促進やハローワークの機能強化も盛り込んだ。
一方、派遣会社に登録して仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」の規制については、「希望者には、常用雇用へ切り替えることを促す仕組みを設ける」と記すにとどめた。社民、共産、国民新の各党が原則禁止を唱え、民主党が「2カ月以内の派遣契約の禁止」を主張する一方、自民党内には規制の強化に慎重な声もあることに配慮した。
一方、労働者派遣法を改正するのではなく、「労働者派遣法を派遣労働者保護法へ抜本改正することを求める意見書」を発表したのは自由法曹団。保護の対象とする観点がユニークですね。
◆ 08年9月1日、「労働者派遣法を派遣労働者保護法へ抜本改正することを求める意見書」を発表しました。
【2008年9月2日
記事全文
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