こんにちは、とっしぃです。
突然ですが、あなたは人生で「もう無理だ」と思った瞬間はありますか?
泣きながらご飯を食べたことがある人は大丈夫、なんてドラマのセリフがありましたが、実際に人生のどん底を経験したことがある人って意外と多いんじゃないでしょうか。
今回は、そんな絶望的な瞬間にこそ心に響く「絶望名言」について、とても興味深い本を見つけたのでご紹介したいと思います。
今回紹介するのは、柏木弘樹さん、NHK制作班、田中子さん、川野和さんの共著「絶望名言」という本です。
最初にこのタイトルを見た時、「絶望って名言になるの?」って思いませんか?普通、名言って前向きで励ましてくれるものを想像しますよね。
でも、この本を読んでみると、めちゃくちゃ心にしみるんです。「この言葉を知っていたら、あの時もう少し救われたかもしれない」と思える名言が何度も出てきて、静かに涙が出そうになります。
ここで興味深いのが、なぜ絶望的な言葉の方が心に響くのかという点です。
例えば、失恋した時って応援ソングよりも失恋ソングの方がしみませんか?それと全く同じで、絶望の中にいる時は、絶望の言葉の方が心に深く刺さるんです。
世の中にはポジティブな言葉が溢れているけれど、本当に絶望している時に「大丈夫だよ」「きっと良くなる」って言われても、正直辛いだけじゃないですか。
むしろ、今の自分をそのまま肯定してくれる言葉の方が、よっぽど救いになったりするんです。
この本の著者である柏木さんには、想像を絶する体験があります。
もしあなたが20歳で、これから自由を手に入れて「人生これからだ!」という時に、突然病気になって「もう就職できません、進学できません、親に一生面倒を見てもらうしかありません」と言われたらどう思いますか?
想像しただけで胸がギュッと苦しくなりますよね。
柏木さんは20歳で潰瘍性大腸炎という難病を発症しました。しかもかなり重い全大腸型で、数ヶ月の入院と自宅療養を何度も繰り返すことが日常になってしまったんです。
当時の自分の状態について、著者はこう語っています:
「人間的な弱みしか持っていない状態になって、完璧に無能な状態になってしまった」
もう想像を超えるような絶望ですよね。
そんな時に柏木さんが出会ったのが、作家フランツ・カフカの言葉でした。
「僕は人生に必要な能力を何ひとつ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない。無能、あらゆる点で、しかも完璧に」
普通に考えたら、読むだけで落ち込んじゃいそうな言葉じゃないですか?でも柏木さんは、この言葉にものすごく感動したと言っているんです。
なぜかというと、この言葉が今の自分をそのまま肯定してくれたから。同じ絶望をくぐり抜けた人の言葉だからこそ、心に深く響いたんですね。
そしてもう一つ、柏木さんが救われたカフカの言葉があります:
「生きることは絶えず脇道にそれることだ。本当はどこに向かうはずだったのか、振り返って見ることさえ許されない」
病気によって本来走るはずだったレールから外れてしまった人生に強烈な喪失感を覚えた柏木さん。でもこの言葉に出会って「そもそも人生はそういうものなのかもしれない」と思えたと言うんです。
みんな失敗しないよう、最短ルートを探して生きていますが、実際はそんなことないんだよって教えてくれているような気がしませんか?
脇道こそが人生。なかなか言える言葉じゃないですが、本当に絶望している時は、こういう絶望の言葉の方が変に前向きな励ましより心にしみるんでしょうね。
続いて紹介するのは、誰もが一度は名前を聞いたことがある文豪・芥川龍之介の絶望名言です。
「人生は地獄よりも地獄的である」
もうキャッチフレーズっぽくてインパクトがすごいですよね。でもこれ、よくよく読んでみるとめちゃくちゃ深いことを言っているんです。
普通に考えたら、地獄ってめっちゃ嫌じゃないですか。苦しいことしか起きない、救いがない。想像するだけで嫌ですよね。
でも芥川は、あえて「人生はその地獄よりももっときつい」と言うんです。
これはどういうことかというと、芥川が言う地獄って「必ず悪いことが起こる場所」なんです。だからあらかじめ構えておけるし、心の準備もできる。悪いことしか起きないと分かっている世界なんです。
一方、現実の人生はどうでしょうか?
この予測不能な未来に対する不安こそが、地獄よりもしんどいと芥川は言っているんです。
例えばこんな経験、ありませんか?
こういう「分からない状態」って、人間にとって一番ストレスなんです。じわじわと心を削っていく。
実際、人間って曖昧なものに耐えるのが本当に苦手です。
そんな風に、あやふやな状態に不安を感じてしまうのが人間なんです。
だからこそ芥川は、この先何が起こるか分からない未来、確証がないという曖昧な人生そのものを「地獄より地獄的」と表現したんです。
でも、そうやって言われてみると、なんだか少し安心しませんか?
「なんでこんなに不安になるんだろう」って自分を責めそうな時、「それは地獄よりも辛いことに立ち向かってるんだから当然だよ」って芥川が代わりに言ってくれているような気になりませんか?
今、先が見えなくて不安を感じている人にとって、この言葉がそっと寄り添ってくれるかもしれません。
最後に紹介するのは、自信がなくなった時に聞きたいシェイクスピアの絶望名言です。
あなたはこれまでの人生で「分かっちゃいるけどやめられない」って経験、どれくらいありますか?
例えば:
もう数え切れないほど、耳が痛い話ですよね。
そんな人間らしい弱さを、めちゃくちゃ的確に言い表してくれたのがシェイクスピアのこの名言です:
「後で1週間嘆くことになると分かっていて、誰が1分間の快楽を求めるだろうか?これから先の人生の喜び全てと引き換えに、今欲しいものを手に入れる人がいるだろうか?甘いブドウ1粒のために、ブドウの木を切り倒してしまう人がいるだろうか?」
「いやいや、それ全部やってるのが私ですけど」って突っ込みたくなりますよね。
でも、それがまさにシェイクスピアの鋭さであり、皮肉でもあり、優しさでもあるんです。
ここで大事になってくるのは、 人間は自分をコントロールできない存在なんだという前提から出発することなんです。
よく「自己管理ができないのはダメだ」「甘えてる」って言われますけど、実際誰だって完璧にはできないじゃないですか。
朝「今日は絶対にお菓子をやめよう」と決意して出かけたのに、昼にスーパーに買い出しに行った時についついヤマザキのドーナツを見つけて、気づいたら会計してるなんて経験、誰にでもありますよね。
でも、そのできなさを認めた上で設計された考え方や支援って、めちゃくちゃ温かみがあると感じませんか?
例えば、過去にダイエットで失敗した経験がある人がトレーナーになったとします。そういう人はきっと「甘いものを食べたら即アウト」とは言わずに、「食べたら夜は控えめにして、リズムを整えましょう」って提案をしてくれるんです。
それって、自分の弱さを知っている人だからこそ出してくれる優しさでもあるんです。
同じように、部下のマネジメントにおいても「自分も昔サボっちゃったな」「若い時やっちゃったな」「苦手なことあったな」っていう人の方が、その新人に寄り添って現実的にサポートできたりするんです。
つまり、 できないことがあるという事実こそが、誰かを支える力にもなるということを教えてくれているんです。
これ、めちゃくちゃ深くないですか?
完璧じゃない自分を否定するのではなくて、その不完全さを知っている自分だからこそ誰かに優しくなれる。他人にも自分にも。
そして、その優しさこそが生きづらさの中で一番効く処方箋だったりするんです。
ですから、自信をなくすような出来事があなたに起こっても、「ああ自分ダメだわ」って思うんじゃなくて、「この経験は同じようなことを経験した人を助けるための経験なんだ」ってポジティブに変換してみてください。
それだけで本当に心が軽くなりますから。
今回紹介した「絶望名言」は、どれも一見ネガティブに見えるかもしれません。
でも、本当に辛い時、どん底にいる時って、こういう言葉の方が心に響くんです。
なぜなら、それは:
無理に前向きになろうとしなくても、今の状況をそのまま受け入れてくれる言葉があることで、静かに寄り添ってもらえるような感覚になるんです。
人生は決して思い通りにはいきません。
予想もしない病気になることもあるし、大切な人に裏切られることもあるし、夢が叶わないこともある。
でも、そんな時にこそ出会える言葉があります。同じ痛みを知っている人が残してくれた、珠玉の言葉が。
カフカが言うように「脇道こそが人生」なのかもしれません。
芥川が言うように「予測不能な未来への不安」は地獄よりも辛いものかもしれません。
シェイクスピアが言うように「完璧にはなれない自分」を受け入れることが大切なのかもしれません。
でも、だからこそ人間は美しいし、だからこそ支え合えるんじゃないでしょうか。
あなたがもし今、何かに悩んだり、人生の脇道にいるような感覚があったら、これらの言葉がきっと何かを残してくれると思います。
絶望もまた、人生の大切な一部。そう思えた時、きっと新しい何かが見えてくるはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事があなたの心に少しでも響いたなら、きっとあなたにも誰かを支える力があります。完璧じゃなくていい。そのままのあなたで十分です。
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