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2006年03月30日
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それにしても、きっかけとなった小説の著者・浅田次郎さんですが、駒場出身と聞いて今まで頭の中でモヤモヤしていたものがすっきりとしました。
以前から氏の極道シリーズなどを読んでいても、どことなくインテリゲンチャの影が見え隠れして、自分の育ってきた不良の道とは多少の距離というか違和感がありました。
これで全て納得という感じです。

っていうか、氏が言うほどに氏の見てきた世界は人生の吹き溜まりにまでは行っておらず、まだまだ上流不良階層(なんじゃそりゃ)で、私のような財なし、閥なし、学なしの三拍子揃った下流底辺不良階層とはイジケ方やグレ方の感性が違っているわけです。(笑)
ただ、同じルーツのような部分で、江戸っ子気質みたいなところに共感が持てて、氏が不良として生息していた環境が自分のいた風景と重なったのでした。
「霞町物語」では氏のご母堂のエピソードが出てきますが、私はこの章が大変気に入っております。

ということで相変わらず前置きが長くなりましたが、小説の中味はともかくとして、当時(1950年代~60年代)の麻布界隈に生息していた不良の生態(笑)が描かれていますのでご興味のある方は是非お読みになってみて下さい。

さて、私の体験談的「踊り場」回想で、昨日はファッション、特にコンポラと踊り場の相関図(笑)などご紹介致しましたが、今日は当時の「踊り場」に集う不良少年達の実像に触れてみたいと思います。(笑)

まあ言ってみれば初体験でさほどのインパクトはなかったということでしょうか。
確か最初に行ったのはゲットだったと思います。
高校に入って本格的なバカ路線を走り始めた夏休み、堀越学園に通う地元の仲間T君と不良修行に明け暮れていた頃のことでした。

このT君は稼業が飲食業で、当時新宿にも店を出していた関係から、地元仲間の間でも頭ひとつ飛び出した不良でした。
すでにこの頃妙に大人っぽい彼女などを連れて新宿を徘徊しておりました。
まあ、どちらかといえば軟派タイプでしたが、このT君が彼女の元彼のツッパリに呼び出されてひと悶着おきそうだ、という知らせを受けて私が同行することになったのです。
まずはナリで負けてはいけないと、当時アイビーだった彼にボンタンを履かせ、革ジャンでハッタリをかまし、更に私は当時相当にかぶれていた日活ヤクザ路線のようなファッション、丈の長い背広に開襟シャツというような、どっから見てもただのバカにしか見えない可愛いツッパリ小僧二人は敵地へと向かったのでした。

確か西口辺りの喫茶店でその元彼と会ったと思います。
まあどちらかといえば、私も硬派というほどに腕に自信があったわけではありませんから、結構緊張しまくった状態でT君に連れられていったわけで、この時の記憶は断片的でほとんど覚えがありません。
薄暗い店内のカウンターに彼は座っていました。
当時は喫茶店とバーが一緒になった店が結構多かったので、もう店に入った途端、この雰囲気に威圧されかなりテンションが上がっていました。

蛇腹の学ラン、ボンタンに長靴、オールバックに剃りこみの後も青々しい(笑)、ガキ親爺のような風体にダチのT君ともども口の中が乾き、目の辺りが涼しくなりました。

T君は彼の手招きを受け、突然首を引っ込めるような仕草で「オッス!オッス!」の連発です。これが蛇腹の学ランのシキタリだとは知っておりましたが、まさか同じ学校に行ってるわけでもない自分たちが彼らのシキタリに合わせるのも妙な気がしましたが、ともかく私もT君に合わせて「オッス!オッス!」で後に続きました。
彼はカウンターでペパーミントフィズかなんか飲んでたと思います。
ごっついナリの割には可愛いもの飲んでたりして、当時の不良少年達の雰囲気がうかがい知れますね(笑)

結局、なんのこたぁない、この元彼からT君へ「彼女を頼む」みたいな涙ぐましい男の情みたいな浪花節で終わったのですが、この後この彼の先導で「踊り場」に行くことになったのです。

本当にこの後の記憶は曖昧です。
なんせ踊り場に向かう道すがら、時々声をかけられて緊張しまくっていたので、周りの景色などほとんど目には入っていませんでした。

「彼氏(私のことですね)はセイガク?」

「オッス!、自分はサクラです」

「サクラってニッサク?」

「オッス!」

「そうか、頭良いんだな」

「オッス!」

てな調子で、何を言うにもオッスが入ります。
まあこんな感じで伏せ目がちに歩いていたので、一体どこをどう歩いてどこに入ったかも殆ど分からぬままお店に着いたのですが、またここでも緊張が走りました。
店の前で同じ学ランに長靴姿の面々が一斉にオッス!の連発で、この元彼を出迎えているではありませんか。
更に彼らのスルドイ視線は私とT君に浴びせられます。
(なんだぁ、この小僧は~、みたいな)
こっちもなんだかわからずオッス!でお返しです。

この軍団に紛れて店内に入ると、もうそこは熱気ムンムン若人の集い、似たような奴らがくんずほぐれつ押し競饅頭のような状態でした。
ベースとドラムがやたらとインパクトのある音楽がガンガン鳴り響く中、蛇腹グループが入ると道が空きます。(モーゼのようだったですね)
しかも、店内の常連らしきツッパリ小僧たちがみな挨拶をしてくるではありませんか。
こんなシーンは映画でしか見たことのない私はもう緊張の限界でした。
テーブルに付くか付かずのところで、この蛇腹の大将の一団はおもむろに踊り出しました。両手を胸元辺りで左右に振りながら上に上げる仕草は、その蛇腹と長靴、オールバックのファッション・スタイルからは想像もつかない可愛い振り付けでした。
(ちなみに後で知ったことですが、この曲はジェームス・ブラウンの「恋が欲しくて」でした)

とまあ、記憶の断片を辿るとこんな一夜が私の踊り場初体験といったところでした。
もちろん、この体験で一気に踊りに目覚めたなんていうことはありません。
いくらなんでもそんな一足飛びに業界に迷い込んでいくわけはありませんよね。

とにかく踊り場に行った、という事実だけが地元のバカグループの間で尊敬されることであったという事実だけは記しておきます。(笑)
この後ドツボにハマって人生を踏み外していくのですが、やはりその影には女ありってことで、この話はまた明日。(爺の話はすぐ長くなるので、ごめんね)





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最終更新日  2006年03月30日 08時58分14秒
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