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2006年07月02日
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ということで、昨日書くつもりだった日記ですが、え~本日もDVD映画のお話デス。
前回の「下妻物語」に寄せられました、たまさんからのコメントでキーワードを頂きましたので今日は「パッチギ」のご紹介です。

実は今回購入しましたDVDは、元を正すと我が娘からのリクエストでございまして、以前にもお話しましたが長女18歳が通うハイスクールには日本人が彼女しかおらず、最近話題のニッポンのカルチャーについてクラスメートから頻繁に質問が寄せられると、返答に窮した彼女はその度に親爺に問いかけるといった具合なわけです。

でもって、特に韓国人や中国人(香港人ですね)の子達が日本文化(ポップ・カルチャー)に興味を持っているようで、ヒット映画などが自国のサイトとかで紹介されると、必ずウチの娘に問い合わせがくるといったような次第です。

夏休みに入る前に彼女に寄せられた溢れるほどの質問がこの2本の映画でした。

「ロリータ・モモコ知ってるか?」(下妻物語)

「日本に北朝鮮の学校があるのか?」(パッチギ)

「ダイカンヤマにはあんな日本人の娘が沢山いるのか?」(下妻物語)



え~、たぶん質問を受けた彼女の頭の中は、深い海の底を這いずり回る提灯アンコウのようだったと思います。(笑)

ということで、これらの質問はそのまんま道楽親爺のもとに委ねられたのですが、いくら道楽者だからって、今のニッポンの状況なんてわかるわきゃないし、せいぜいインターネットでキーワードから検索するのが精一杯でした。

とまあ、こんな状況から、今回たまたまタイ・ツアーで日本に立ち寄る機会がありましたので、お父さんのお財布の中身と相談して、数枚のDVDを買い込んできたというわけです。なんで長女ばかりに優しいんだと少々の不満が家族の口から親爺に浴びせられましたが、

「おまえ(末娘)にはバンコクで買ってきたチャイナドレスがあるだろう」
注)彼女はプレステの「鉄拳」に出てる中国人キャラのファンです。

「おまえ(長男)にはタイシルクのパジャマを買ってやっただろう」
注)彼は幼少の頃から唯一パジャマを着用しないと寝付けないという妙な習慣があります。(そりゃ妙じゃなくてフツーだろ)彼以外は大抵Tシャツにパンツ一丁です。(笑)

「おかーさんにはトムヤンクンのインスタント・パックとドライ・ドリアンを買ってきたし・・・」
注)母はインドとかバリとか東南アジア系のキワモノが非常に好きです。

という具合に、家族のみんながシヤワセになるようなお土産を取り揃えたつもりの言い訳がましい親爺でした。

相変わらず前置きが長くなりましたが、本題の「パッチギ」については、これはもうとにかくトップシーンから私らの時代の不良そのまんまの姿が描かれています。

だからグループサウンズに始まり、ビートルズが出てきたり、フォークが出てきたり、学生運動やヒッピーとか、昭和40年代のネタ満載のお話です。

舞台は京都で、いわゆるええとこのボンが朝鮮高校の女の子に恋をした、というようなラブストーリーを中心にその周りで起こるドタバタ人情喜劇みたいなものが散りばめられた青春コミックスみたいなドラマです。

ドラマの根幹を貫いているのはニッポンのフォーク史上、エポックメイキング的伝説を残したグループ、フォーククルセイダース、略してフォークルのエピソードでした。
当時、私もしっかりと記憶に残っていますが、フォークルの「リムジン河」というレコードが発禁(発売禁止)となった事件をベースにその裏側をうまく描いています。
これは南北に分かれた朝鮮民族と国家間の微妙な軋轢を背景にしているのですが、小難しい理屈や政治色を飛び越えて、その時代を生きた少年たちを中心とした風俗的描写は井筒監督ならではの手法ではないかと思います。


もちろんこの曲もきちんとこの映画のテーマを盛り上げる重要な挿入歌となっています。

しかしこの映画に登場する抗争シーンは、本当に見事なまでに当時の雰囲気を甦らせてくれています。
朝鮮高校との抗争はニッポン各地で起こっていたことですし、俗に「チョーパン」と呼ばれた朝鮮パンチ=パッチギのタイトルどおりの乱闘シーンは、経験したものでなければわからない臨場感がありました。

私も個人的に言わせて貰えば、世田谷の梅が丘にはこの北朝鮮を目の敵にする右翼学校・国士舘高校がありましたから、朝高(チョンコウ)対士官(シカン)の出入りは日常茶飯事でした。
駅前に蛇腹の学ラン、ボンタンに長ぐつ姿の生徒が整列していれば、もうこれは「チョン狩り」と呼ばれる一大抗争事件の始まりで、地元の不良予備軍は後について新宿駅まで見学に行ったものです。

朝高生が新宿の某地点に集まるという情報を元に、いわゆる「シキテン」とよばれる偵察部隊が駅構内を探索、朝高生グループを発見と同時に国士拳法とか浪士隊とか呼ばれる軍団が戦国時代の戦のようになだれ込んで乱闘となります。

外野で見物する不良予備軍はその乱闘の凄まじさを目の当たりにして、わけもなく興奮したものでした。
中には線路に飛び出して逃げ惑う者や、改札口を飛び越えて繁華街へ飛び出す者など、これはある意味ニッポン右翼対北朝鮮左翼の戦いに近いものだったのかも知れません。
っていうか、闘っている戦士たちにはそのような政治的教育はあまり施されてはいなかったと思いますが、これはある意味国家間の戦争に巻き込まれた国民の姿だったのではないでしょうか。(なんちゃって)

なんか映画の話からだいぶ飛躍してしまいましたが、ストーリーは極めて単純、コミック化されてますが、取り扱っているテーマは見る人によって幾分違ってくるのではないでしょうか。でも私が一番感動したというか、目を覚まさせられたというか、この映画から受け取った大きなメッセージがありました。

それは、「歌は情熱だ」という、子供の頃に体で感じたあたりまえのことでした。
映画の中で主人公の男の子が歌う「リムジン河」、とてもすばらしかったです。
映画の中のことではありますが、彼の人生で体験したすべてが歌になっている、そんなパッションを感じさせてくれました。
何故歌を歌うのか。
それは自分の中でうごめいているわけの判らないものを昇華させるための心の叫びです。

フォークだって、ロックだって、みなこのパッションから始まっていったのですね。
それが今はどうでしょう。
商業主義といっちゃあおしまいですが、本当にこのモヤモヤとした心の叫びを歌うアーティストが一体何人いるでしょうか。
ヒットチャート目指して、印税目指して、しまいには著作権だの言い出すアーティスト。

私らの時代とは随分かけ離れたところに来てしまった音楽業界のような気がします。
そういえば、なぎらけんいちさんもフォークについての認識の違い、誤解について語られておりましたが、ある意味メッセージソング、あるいは人間の生について歌っていたものがいつのまにかラブソングとかポップソングとかにすりかえられていった、というような表現をされていました。
これも親爺の愚痴かもしれませんが、もともとロックなんてものは、何か叫びたい、何を言いたいのかわからないけど、この体の中にあるエネルギーを吐き出したい、そんなところから出発したものだったと思います。

最近の音楽を聴いて無関心になってしまったのは、あながち時代や感性の違いばかりとは言えないような気がします。
歌から、演奏から、声から、訴えかけてくるものが感じられないんですよね。
なんだか音楽室で音楽の勉強をしているみたいな感じですか。
どれもこれも雛形にはまり込んでるみたいな。
それも音楽だけに限らず、文学、アート、ファッションとどれをとっても心の底、魂の奥底から湧き上がってくるような情熱のある作品が少ないような気がします。
なんか商売でやってるみたいな、そんなんばっかりですね、このごろは。

えー、話が長くなりましたが、決して昔が良かったとかいうノスタルジーではなくて、音楽、ROCKの原点を見せ付けられたというような感じの映画でした。
PASSIONを忘れるな!ってがーんと殴られた感じでしたね。
それがROCKERじゃないのかい、って言われたようで、いくつになっても捨ててはいけないモノがあるだろうって諭されてしまったようなもんです。
おまけにエンディングはサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにお願い」でした。
憎いねぇ~!





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最終更新日  2006年07月02日 07時15分12秒
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