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出雲の阿国★★★☆
前回のまとめ。姉と妹のけんか。慶長8年、阿国歌舞伎は世間に知れ渡った。三九郎とお菊の二人は仲がよい。残りの阿国の仲間は客が入るので喜んでいる。三九郎は「黙れ、くだらない」と怒る。 芸術派なのだ
。夜も三九郎はお菊と一緒に寝ている。それで、傳介がやって来て、阿国に酒を注ぐ。 阿国「ずっと一緒だと思った、私が踊れば一緒だと、出雲に帰らなかったのも、三九郎と一緒だから、簡単に終わるのか」。傳介「天下一の踊り手じゃ、しっかりしろ」。阿国「何もいらん、三九郎さえ戻れば・・」。傳介「終わったのだ、お前と三九郎は、よく頑張った、もう頑張らんでもよい、楽しい夢を見ろ」
。 傳介は、淋しそうな阿国が好きなのだろう
。
阿国歌舞伎は客を集めている。お菊は、こんな曲はいらんと言い捨てる。そこに笛の音が聞こえる。 都で有名な伊達男の浪人・名護屋山三郎(永澤俊矢)だった。
阿国は「出雲の川のせせらぎ」と笛の音に合わせて即興で踊り、さらに客の評判を取る。 この即興性が歌舞伎の神髄だったのだろうか、今でいう異業種のセッションだ
。山三郎も満足気だった。山三郎はキリスタン殿に勤めていたが、殿が亡くなって、都にいるのだ。槍の達人でもあった。その評判に対して、お菊「どこがいけんのじゃ、三九郎の言われる通り踊っている、何故だ!?」。それから、毎日、山三郎は小屋に来て、阿国は笛と一緒に踊った。三九郎は下がる、お菊「妬いているのか」。三九郎「あぁ~~」。
山三郎の所に阿国は、出かける。 そして、阿国は山三郎の大脇差しを貰って、歌舞伎に使う。傳介も登場して、笑いを取る
。 この何でも入れて、どんどん変化させていく、斬新性が歌舞伎の本質の一つなのかも知れない
。しかし、山三郎もやって来て、その笛とともに、阿国は嬉しそうに踊る。傳介は「お邪魔様」と舞台から消えるしかない。夜の月を山三郎は片手でつまむ。しかし、山三郎のところに会いに来た阿国は「どこへ行くか不安だ」。山三郎「どこへ行くものか」。二人はすっかり、愛し合っていた。抱き寄せられながら、阿国「山三郎様、私が踊りをやめたら・・?」。山三郎「やめたければ、やめればいい、ここで一緒に暮らそう」。阿国「本気か・・」と嬉しそうに微笑む。
それから、 阿国は、夜は山三郎の家に泊まるようになった
。朝、三九郎と会う。勘平からお招きを受けた。そして、三九郎は「(今の阿国の)あんな踊りは客の憂さ晴らしだ」と嘲笑する。 阿国「憂さ晴らしでいい、それが私の誇りだ、勘平様には阿国歌舞伎をごらんいただく」。勘平に呼ばれて、松平秀康、天下の移ろいに翻弄された男だ。松平「笑った、阿国、世に幾千万のおなごあれど、天下一のおなごは、おぬしだけだ、俺は天下一になれなかった、世継ぎが決まると、誰も来なくなった、商人の勘平だけだ、太閤殿下は生きていれば、おもしろがっただろうに、阿国、今一度踊れ」。
秀康は側室の子であったため、幼少時には家康からは遠ざけられており、1579年に長兄松平信康が岳父織田信長により自刃を命ぜられると、兄の死後は弟の秀忠が嫡男とされ、秀康は庶子とされた。
阿国は踊る。秀康は見ながら、涙を流している。
夜、三九郎は「もし太閤殿下がおいれば・・喜ばれた・・」と秀康の言葉を思い出していた。 自らの目標だったものは阿国は実現したのだ。三九郎は阿国に敗北したのだ
。山三郎と阿国「秀康は私は天下一になれず、劣っていると言ったが、私は踊っているだけだ、ただ、踊り続けている」と膝で寝る。秀康を泣かせた天下一・・。 阿国たちの小屋の周りでは、遊女屋が歌舞伎小屋を建て、遊女たちの踊りと、阿国一座にはない三味線の音色と、安い木戸銭で阿国たちの客を奪う
。一座は儲けなくても、遊女にはいればいいのだ。
山三郎は小屋に行かなくなった。山三郎「夢を叶える男だ、城を建てたい」。阿国「つまらん、城は崩れる、時が移ろえば」と肩を揉む。山三九郎「つまらぬか、城は」。阿国「はい~」。遊女の歌舞伎小屋の影響で阿国の一座の客の入りは悪くなった。そんな時に、山三郎がやって来た。しかし、笛を吹くこともなく、去っていく。淋しく、舞台から見送る阿国だ。 夜、山三郎の館に行くと、都を出て行った。阿国「何故だ」。世話人「妹のところに仕官の旅に出た、都に戻らない、その品は置くに様に差し上げるようにとのことです」。阿国「一人にして」。山三郎が残した着物、装飾品などをさわる。山三郎の笛もあり、その笛を胸に抱く
。
阿国の所に、三味線の鑑貞が来て、お菊は三味線を習うという。鑑貞は「銭はいらない、聞いておれ」。 この鑑貞の三味線はこれだけなのか
。傳介が阿国を誘う。傳介「皆出かけた、阿国がいるからやってこれた、お前がお前らしく踊れば小屋は持ちこたえる、責めるつもりはない、淋しいな一人は・・お前を笑わせてやれない、待っているのか、山三郎様を」。阿国「あぁ~」。傳介「いつまで」。阿国「ず~とじゃ」。傳介は行ってしまう。 阿国は一人で残る。そこに声かけた女を傳介は抱く。そして、あっという間に、女に傳介のややこができたのだ
。
阿国の前に、山三郎の使いが来る。便りを持ってきた。机にあったのだ。 山三郎様はお亡くなりになりました。手紙には、城作りを命じられ取り組んだが、城の場所に異を唱える武士に突然斬られたのだ
。阿国「城のために命を・・」と狂ったようになき笑う。山三郎--今一度武士として、己の力を試したい、お前は私に思い出させてくれた、天下一を踊れ、今も鮮やかに思い出す--。阿国は再び踊り出す。「南無阿無陀仏~」。客席に派手な衣装の阿国が武士の格好で登場する。 阿国が山三郎を演じているのだ。深々とかぶった笠を取り払い、阿国が顔を見せると、客席は驚く。そして、昔の阿国歌舞伎を一心に踊り出す
。それを三九郎は見ている。三九郎「あれは化け物だ、直ぐに飽きられる、また新しい踊りを見つける、もう手が届かない」。阿国--私は天下一の踊りを踊り続ける、命果てるまで---。亡霊が出て、踊る噂が出て、阿国歌舞伎は盛り返した。
お菊と三九郎が消えた。そこに九蔵が現れた。阿国「用はない」。久蔵「出て行くのはお前達だ、今日から、この小屋は儂の物だ、三九郎とお菊に金を渡した」。三九郎を阿国は越えてしまったのだ。
阿国は歌舞伎に時代の何でも取り入れた。形式を越えて、新しい物を取り入れた。自分が愛し、捨てられ、永遠に失った山三郎さえ、自分の歌舞伎に取り込んだ。形式で、芸術に高めたい三九郎は「阿国はお化けだ」と呟き、お菊と共に姿をくらます。これで、阿国は完全に一人で踊りだけで生きていくのですね。三九郎はお菊に取られ、傳助は一座の女に取られ、山三郎は男の夢にとられた。おっと、九蔵が残っていた。最後に登場して、来週は絡んでいくのですね。
菊川怜さんも、今回の山三郎との濡れ場はちょっと、よかったし、踊りも良くなってきた。でも、一代記を一気に6回で表すので、駆け足になってしまった。ドラマとしての深みがない。出来事をなぞっていくだけになっている。それはそれで、その行動の裏側を推測する楽しみがあるのかも知れない。山三郎が何故、阿国よりも男の夢の城を選んだのか。阿国にストレートに「つまらん」と言われたからだろうか? 阿国が自らの夢を突き進んでいる姿を見て、自分の夢を実現したくなったのだろうか? もっと、曖昧なものがあるのだろうか・・・。 ゲスト:伊達男の浪人・名護屋山三郎(永澤俊矢)、怖い顔ですが、何故か凄みの演技に見入ります。調べると白夜行の亮司の母、弥生子を演じている麻生祐未さんの旦那さんですね。