2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
全23件 (23件中 1-23件目)
1
ちょっとお知らせです。明日から2月2日まで、所用でネットに接続できません。石好きさんLINKへの参加申し込み、変更修正は2日以降になってしまいますので、ご了承下さい。この期間中は雑記もさぼりです。昨日が隕石だったので、今日はメテオライトで。メテオライトは、以前にも取り上げましたが、今日は、ちょっとおもしろい写真が撮れたのでアップします。メテオライトといえば、モルダバイトやリビアングラスを覗いて、まっ黒で不透明なイメージがありますが、実は厚みが薄い部分は褐色に透けます。とはいえ、テクタイトのイメージはやはり不透明黒。ところがこんな写真が撮れたので、やはり、テクタイトは、ガラスで透明感があるんだ……と認識を改めました。矢印をつけたのでおわかりいただけるかと思いますが、なんと、テクタイトのレインボー!出るんですねえ……虹。買ったときはもっと黒かったと思うんですけど……。いつのまに虹が出たのでしょう。それとも気が付いていなかっただけ?水晶の虹もきれいですが、テクタイトの虹もなかなかです♪ちなみにこれはオーストラリア産のテクタイトで、オーストラライトと呼ばれます。東急ハンズで買いました……。
2005/01/29
コメント(2)
別サイト「虚空座標」を更新しました。掲示板の書き込み後の画像も変更しました。どんな画像かはお楽しみ♪日付変更線を越境しての雑記です。今日のネタは、昨年末の池袋ショーで手に入れた変なモノ。ご一緒した石好きさんと「ぜったい変! ほかにない! あるわけない!」と大いに盛り上がり、買ってしまいました。変なモノ好きの私の心にクレーターを作りかねない勢いで飛び込んできたモノ。隕石ブレスレットです♪隕石というとナミビアのギベオンが有名ですが、これはアルゼンチン産。カンポ・デル・シエロ隕石です。カンポ・デル・シエロは地名で、「空の草原」という意味があるのだそうです。発見は1567年。そのときに15トンの塊が掘り出されたのだとか……。隕石は、見かけよりも重くて、グラム売りされている場合はどきどきしてしまいますが、それでも15トンともなれば、その大きさはいかばかりだったでしょう。日本では白萩隕石を用いた流星刀が作られましたが、アルゼンチンでは、スペインとの闘いのために鉄隕石から武器を作ったそうです。このカンポ・デル・シエロ隕石から作られた2丁の銃が、アメリカ大統領(ジェームス・モンロー)に贈られたのだとか……。さて、話を隕石に戻します。隕石は大きくわけて石質隕石と石鉄隕石、鉄隕石の3つに分けられます。それぞれが含まれる成分やその割合でさらに分類されるのですが、カンポ・デル・シエロ隕石は鉄隕石の中でも「オクタヘドライト」という分類に属します。なんだか舌を噛みそうな名称ですが、これは、ニッケルを6~14%含む鉄隕石だということなのです。鉄隕石は、ニッケルを含む鉄の合金です。そのニッケルの割合によって●ヘキサヘドライト(ニッケル6%以下)●オクタヘドライド(ニッケル6~14%)●アタクサイト(ニッケル14%以上)に分けられます。カンポ・デル・シエロ隕石のニッケル含有率は6.62%だそうですから、ぎりぎりオクタヘドライトだというわけですね。何をまためんどくさい話を……と思われるかもしれませんが、この割合がミソなのです。鉄隕石と言えば、ギベオンのスライスなどに見られる独特の格子模様が思い浮かびます。これはウィドマンシュテッテン構造といいます。ニッケルを含む鉄合金がどろどろに溶けたあと、ごくゆっくりと冷えていくとニッケルの多いところと少ないところに分かれます。これをスライスして酸で処理するとニッケルの少ない部分は、多い部分に比べて酸に溶けやすいので、溶け具合の差が模様となって現れるのです。さきほどごくゆっくり冷却すると、といいましたが、鉄隕石に観られるウィドマンシュテッテン構造を形成するには、100万年以上必要と言われ、合成することは不可能です。そして、このウィドマンシュテッテン構造はニッケルが少なくても多すぎても現れず、適度なニッケル含有量は約6~17%だそうです。ここでもカンポ・デル・シエロ隕石はぎりぎり。ショーではこの隕石で作ったエッグもありましたが、ウィドマンシュテッテン構造はあまりはっきりしていませんでした。ちなみにギベオンのニッケル含有率は7.82%。……とまあ、難しい話はここまでにしておいて、こんなのを買っちゃう私って……。星空に思いを馳せるロマンチストか、恐いもの見たさの好奇心人間か……。さて、どっち?最後に。鉄隕石はさびるそうなので、時々油を塗ってお手入れをお忘れなく。
2005/01/28
コメント(8)
TOPページから入っていける画像掲示板に、24日にご紹介したガネーシャの後ろ姿を載せてみました。またもやルチル入り水晶です。昨日のルチルは、太くてゴツい、男性的なルチルでしたが、今日のは細くて女性的。これもルチルなんですから、自然の造形というのは驚きです。このルチルは、まさに金色の髪の一房。昨日のアンテナ・ルチルが高さ2.7センチ、今日のは3.6センチ。ほっそりとした形とこのインクルージョンがあいまって、この石に精霊が宿っているとしたら、「金髪美人」な精霊ではないかと考えてしまいます。
2005/01/26
コメント(0)
水晶の中に景色を作るインクルージョンで私をクラクラさせるパワー(笑)の持ち主と言えば、クローライト(緑泥)。クローライトが西の横綱とすれば、東の横綱はおそらくルチルでしょう。クローライトがまるで自然を閉じこめたような景色を作り出すのに対して、ルチルが作り出す景色は千変万化。クローライトを具象とするなら、ルチルは抽象という感じでしょうか。金色だったり、銀色だったり、赤かったり。髪の毛のようにしなやかかと思えば、金属のような風情も見せる。そのくせルチルそのもの(原石)は光に透けると「金紅石」の名の通り赤いのです。「自然は偉大なる芸術家だ」と言いますが、こんな石を見ちゃうと、「ホントだね~」と感心して頷くことしかできません。自然の芸術、いやさ「天然の現代美術」!。まるで水晶の中に巨大なアンテナが入っているようです。磨きなので、もとがどんな結晶をしていたのかわかりませんが、このルチルは結晶を突き破っていたに違いありません。水晶が結晶する前からこんな姿でいたのか、水晶に包まれたからこそ、こんな複雑な構造が保たれたのか……。考えてみると、ルチルだけでこういう結晶になっているものを見たことがないのです。このインクルージョンは、まるでアンテナ。きっと見る人の心に向けて、石の言葉で情報発信しているのではないか……そんな気がしてきます。
2005/01/25
コメント(12)
今日はちょっと番外編で石以外のものをとりあげてみたいと思います。ガネーシュヒマール産の水晶を持っているからには、その名前にちなんで、ガネーシャ像がひとつ欲しいな……と思っていて、先頃ついにこれぞというものを見つけました。テラコッタ製のガネーシャです。大きさは4センチ。このくるりんとした目。愛嬌たっぷりの鼻。ちんまりとしたその姿。一目ボレ♪真鍮製のリアルなガネーシャはよく見かけますが、こういうかわいいのもいいですね~。ちなみに、後ろ姿はこんな感じ。おしりがかわいいです♪あ、ガネーシャの名誉のためにつけ加えておきますと、三●腹に見えているのは「腕」です。四本腕なので、後ろから見るとこうなります。
2005/01/24
コメント(6)
3日にわたってターコイズをネタに長々書いてしまったので、今日はちょっとあっさりと。 アフガニスタンのブル・フローライトです。青いフローライトといえば、フランス、スペイン、アメリカのニュー・メキシコ州、モロッコのものが有名かと思いますが、アフガニスタンのフローライトも美しいです。ただ、私はアフガニスタン産で結晶の形をしているフローライトを見たことがありません。ターコイズの青は、わずかに緑みを帯びた青。空の青のようであり、海の青のようでもある、不透明で強い青。それに対してこちらのフローライトの青は、やはりどこか緑みを帯びているようでありながら、空というよりは海の青。光に透けて輝くけれど、光の影響を受けて表情を変える青。まるで、海の一部を切り取ってきたようです。そういえば、水晶の発色については、シトリンとアメシストが鉄、スモーキーやモリオンがアルミニウム……というように、いくらか研究されていますが、水晶以上に色彩豊かなフローライトの発色について、どの色が何の影響によるものであるという話を聞いたことがないかも……。考えてみると意外です。
2005/01/22
コメント(8)
なんと3日めのターコイズ話です。とりとめもなく余計なことを書きすぎでしょうか。まさか、こんなに長くなろうとは。まとまらない話で申し訳ありませんが、お暇でしたら読んでみて下さい。ターコイズが装飾品として用いられはじめた歴史は古く、模造品の歴史もまた同じくらい古いのだと言われています。水晶のように石でありながら透けるというのはある意味特異な存在ですが、不透明であるがゆえにまわりの色に左右されることなく鮮烈な色を主張するターコイズも昔の(そして今も)人の心を捕えて離さなかったのかもしれません。古代中国人が玉を愛し、古代日本人が翡翠に心を寄せ、ネイティブアメリカンがターコイズに思いを込めるように、ひとつの文化が特定の石(あるいは色)を好む感覚というのは、もしかしてモンゴロイドに共通な感覚なのでしょうか。そのようなことを考えていくと、加工品だから、模造品だから、偽物で価値がないのだと簡単に片づけてしまうことはできないような気がします。たとえば、アメリカ産ターコイズは採掘量が減少しているため、インディアンジュエリーに使われるターコイズは、中国からの輸入品が中心となっていると言われています。さらにターコイズはあまり硬くないため、天然ターコイズであっても樹脂でスタビライズ(安定化)させるのが一般的です。何より、インディアンジュエリーに使われるターコイズは不純物が多く、イラン(ペルシャ)産のターコイズにくらべて宝石的価値は低いのです。しかし、彼らネイティブアメリカンは宝石的価値のためにジュエリーを作っているわけではありません。インディアン・ジュエリーの価値は素材ではなく、デザインに宿る文化・作る人の思いなのではないでしょうか。まさしく「インディアン・ジュエリーは身につける伝統文化」なのです。世の中にはいわゆる「インディアン・ジュエリー風」なものや、あるいは確かにネイティブアメリカンの手になるものが多くあります。ただ、デザインが好みだから、流行だからというだけでなく、これを生み出した人々の思い、文化にも思いを馳せるというのが、「インディアン・ジュエリー」を楽しむ「礼儀」なのではないかと思います。同時にそれは、ターコイズの真の魅力がどこにあるのかを教えてくれるような気がします。物(形)ではなく込められた思いに価値がある。それはネイティブ・アメリカンの考え方でもあります。私がターコイズに心を惹かれるきっかけとなるのは彼らの「言葉」です。「祈りの言葉」「感謝の言葉」、一方的な価値観を押しつけた白人に対して語った言葉。飾り気のない彼らの言葉の、なんと強くて鮮やかなこと。彼らの言葉を読んでいると、ネイティブ・アメリカンにとって自然も地球も宇宙も、当たり前で近しいものなのだと言うことが伝わってきます。たとえば、「われらは、知っている大地はわれらのものでなくわれらが大地のものであることを」という言葉は、「地球にやさしく」にくらべてなんと地に足の着いた言葉なのかと思ってしまいます。中でも今回ターコイズのことを書くにあたって、何故か頭にこびりついてしまったのが、ナバホ神話のある言葉。青いビーズのローブをまとい、青い雲を頭にのせ、右手にターコイズのガラガラを、左手にブルー・コーンを持ってやってきたブルーバードが人々に何を持ってきたのかと問われて答える一節です。「ブルー・スカイ、サマー・レイン。そしてやわらかいコーンだよ」青い空、恵みの雨、そして命の糧。こんな言葉で表すと仰々しく、よそよそしくなってしまう事柄を何と軽やかに語るのでしょう。ターコイズは、こんな人々が愛した石なのです。……ということで、やっとタイトルの「ブルー・スカイ、サマー・レイン」にたどり着くことができました以下はちょっと番外編で「ホワイトターコイズ」と「ホワイト・バッファロー」についてです。ターコイズについて調べようと、ネットで検索すると、山のようなターコイズ・アクセサリーが出てきます。単に「ターコイズ」だけのこともあれば、「ビスビー」だの「モレンチ」だのといった鉱山名が付いている物もあります。いろいろいろいろ見ていると、やっぱりナチュラル(っぽいの)はいいかも……と思っちゃいますが。さて、それはさておき、ターコイズに混じって「ホワイトターコイズ」「ホワイトバッファロー」という石が用いられているものも見かけます。「ほー、白いのもあるのか」程度で眺めていたら、ちょっと疑問です。サイトによって「ホワイトバッファローとホワイトターコイズは同じ」とするところ、違うとするところとがあり、それらはハウライトのことであるとする説と別の石であるとする説が出てきたのです。ついでに調べてみたので、忘れないように書き留めておきたいと思います。まず、私の結論から言うと、ホワイトバッファロー、ホワイトターコイズ、ハウライトは違う石だろうということです。まあ、違うとも言い切れないところもありますが。まず、ホワイトバッファローです。茶色いバッファローの中にごくごくまれに生まれる白いバッファローのように珍しい、ということから名付けられたそうです。この石は、一口で言えばターコイズのアルビノ(白子)版です。ターコイズの青は銅やアルミニウムによるものだといわれています。ホワイトバッファローと呼ばれる石は、基本はターコイズと同じような成分なのですが、銅やアルミニウムが含まれていません。一方ターコイズは、銅、アルミニウム、リン、などが結合してできたものと規定されているので、銅やアルミニウムを含まない「ホワイトバッファロー」は厳密にはターコイズと違う石と言うことになるようです。あるシルバージュエリーのお店で聞いたところ、「アルバーダイト」ともうひとつの種類の石がホワイトバッファローとして認められているようだと教えていただいたのですが、「アルバーダイト」が検索しても出てきません……。ちなみにホワイトバッファローと似た石で「ワイルドホース」という石もあります。ホワイトバッファローよりも鉄分が多く、黒い筋のところが茶色いのだそうです。次にホワイト・ターコイズです。ホワイトバッファローやハウライトと同じ石であるとするところもありますが、正確にはネバダ州のドライクリーク鉱山で発見された薄い青色やクリームホワイトのターコイズのことです。その色は石に含まれるアルミニウム成分が銅よりも優勢なためにつくりだされるそうです。白っぽくても一応、銅とアルミニウムを含んでいるのでターコイズというわけですね。ややこしいのがハウライトです。ハウライトは白にグレイの筋模様が入った石で、ビーズ等に加工されることが多いです。ターコイズと同じ多孔質であるため染色しやすく、青く染めて「ハウライト・ターコイズ」「ハウライト・ラピス」などとして売られていることがあります。繰り返しますが、ターコイズやラピスラズリとはまったく別の石です。ところがこの石、ホワイトターコイズやホワイトバッファローの代わりに用いられているだけでなく、ホワイトバッファロー=ハウライトホワイトターコイズ=ハウライトと説明している場合が多いのです。どうやらこれは、ホワイトバッファローやホワイトターコイズが非常に珍しいために代わりに用いられていたものが、いつのまにか同じ物にされてしまったということのようです。またもや繰り返しますが、ホワイトターコイズやホワイトバッファローは、ハウライトのことではありません。ハウライトのジュエリーは、それはそれできれいなのに、染められたり別の名前をつけられたり、ちょっとハウライトがかわいそうになってきます……。あるお店では、「何年か前に本当に白いバッファローが見つかって、それを記念してハウライトもホワイトバッファローとして認められたと説明して下さいましたが、本当なんでしょうか……?あと、余談ですがアメリカのターコイズ・ジュエリーのカタログを見せていただいたところ、練りターコイズのページがありました。よく見かける練りターコイズはパッと見はそっくりでも均一な色の感じなどで、何となくわかる気がしますが、そのカタログにのせられていたものは、あきれるほどナチュラル・ターコイズにそっくり!ターコイズには茶色の母岩がにじむようにまざった種類があったりするのですが、それもそっくりに再現されていました。ああいうのでは、とてもとても見分けが付きません……。 最後の最後に写真をひとつ。インディアンジュエリーを扱っているお店で買った物ですが、わかりやすいイミテーションの石(プラスチック?)を使ったズニ・フェティッシュのペンダントヘッドです。体長はたったの1.7ミリですが、カラフルでとってもかわいい♪これもズニの「インレイ」の技法ということになるんでしょうか。そざいそのものはイミテーションですが、考えようによっては、この大きさのヘッドだと細い鎖で直接肌に触れるようにつけるので、本当の石だと汗が心配なのですが、イミテーションだと安心です。心おきなく一緒に行動できる、夏のお供……ってとこですね。
2005/01/21
コメント(4)
ターコイズについて調べてみたら、天然ものから始まって、ターコイズじゃないターコイズまで、なんといろいろあるものだ……と感心してしまいました。これで水晶とかならば、やっぱり原石が好き! 加工しているのなら加工とはっきり言ってちょうだい!と声を大にしているところですが、ターコイズの場合は、結晶の形を持たない石だからでしょうか、それとも天然だか加工だか、なかなか見分けられないせいでしょうか。せめてハウライトトルコくらいは「これはターコイズではない」と明記して欲しいとは思うものの、加工品に対してあまり抵抗がありません。むしろ、こうまでしてターコイズ・ブルーを手にしたいのかという「情熱」すら感じてしまいます。やはり、石そのものだけでなくアクセサリーとして見ることが多いために、加工されていても全体のバランスとして良ければOKという意識があるのかもしれませんね。でも、やはり私は、より天然に近い石が好きです。ただし、ターコイズは加工品が大変見分けにくいので、正しくは「より自然に見えるもの」です。イラン産のターコイズは、色が明るくかつ深みがある「ロビン・エッグ・ブルー」と呼ばれる美しい石がとれるそうですが、真っ青一色で磨き上げられたアクセサリーよりも、マトリクス(トルコ石の青い部分と一緒に削られた母岩の一部)やスパイダーウェブ(網目状の筋)がある「原石」の表情を持った石の方が好みです。すると、アクセサリーのデザインも、すっきり繊細なものよりも、インディアンジュエリーにあるような、ハンドメイドの味のあるシルバーアクセサリーということになります。しかし、原石の味を残した模様を持つアメリカ産のターコイズは、現在では産出量が少なく、多くの鉱山は閉山していて、そういうところのターコイズは大変高価で高値で取り引きされています。そのため、インディアンジュエリーでも中国やチベット産の石を使用しているものもあります。中国は、何しろ国土が広いので、場所によって実にさまざまなターコイズを産出しますが、一般的にチベット産や中国産のターコイズは緑がかっているとされています。ターコイズの色は含まれる銅やアルミニウムの量によって左右されます。銅が多くなれば青が強くなり、アルミニウムが多くなると緑が強くなるそうです。(銅よりも鉄が多くなると緑が黄緑になり、「鉄トルコ石」になるという説明もあります)「これがターコイズ?」といいたいほど緑っぽいのがあるかと思えば、指が染まりそうに青いものもあり、不透明な石でありながら透明感がありそうなのもあれば、全くの不透明もある。無地も、色むらも、母岩とのまだらも……ターコイズは見れば見るほど個性的で、人によって好き嫌いが分かれるのもわかりますね。私は、どちらかというと緑より青……。青緑よりも「青」が好きです。マトリクスやスパイダーウェブも好きですが、完全不透明よりは、ちょっと透明感があった方がいいです。と、「ターコイズが気になる波」に揺られてターコイズを見ながら、「これは好み」「これはイマイチ」と分類していたら、どうやら自分にとってのターコイズの色は、「空の色」なのだなと気が付きました。ネイティブ・アメリカンにとってもターコイズは「空の色の石」なのですが、たとえば、スリーピングビューティー鉱山の色の濃い青いターコイズの色が、赤っぽい砂漠に映える空の色だとすれば、私がいいなと思うのは、砂漠にくらべて水蒸気が多くて幾分水色っぽい柔らかい日本の空の青。そして、天然(に近く見える)のターコイズの色のゆらぎ(均一ではなく、部分によって色が違う)をとても美しく感じるのです。そして、石とともに魅力的に感じるのがインディアンジュエリー……そこに息づくネイティブアメリカンの感じ方や考え方です。ネイティブアメリカンはかつてインディアンと呼ばれていました。これはコロンブスがアメリカを発見したとき、インドだと思いこんで、そこに住む人をインド人(インディアン)と呼んでしまったのが始まりです。その後、白人と「インディアン」のあいだには、重くつらい歴史が重ねられてきました。資料も私の理解も足りないので、あえてここではその歴史を紹介することはしません。それは軽々しく扱うことはできない事柄だからです。白人が持ち込んだ病気や戦争などによってネイティブアメリカンの暮らしは大きく変わりました。しかし、暮らしも、言葉も、取り巻く環境さえもが大きく変わってしまっても、彼らは先祖から受け継いだ変わらない「何か」を今も持っているように思います。ネイティブアメリカンがターコイズを神聖な石として重んじてきた歴史は長いものですが、実はシルバーとターコイズを組合わせたインディアンジュエリーの歴史は、意外に浅いものです1600年代にスペイン人の侵攻で銀細工の技法がもたらされ、細工技術が確立したのは19世紀になってからだといいます。ジュエリー制作で有名な部族は4つあります。大きな石を使ったり、模様の鏨を使ったスタンプワークが得意なナバホ族、小さな石を花のように放射状に配置する「ニードルポイント」や、細かく加工した数種類の石や珊瑚、貝を埋め込んで模様を形作る「インレイ」といった手法を得意とするズニ族、銀の板に、模様を切り抜いた別の板を合わせ、いぶしてへこんだところを黒くして模様を描くホピ族、ターコイズや他の石をいろいろな形のビーズに加工し組合わせる、サントドミンゴ族。それぞれに個性豊かですが、そこには先祖から受け継いだ物語や考えがモチーフとなって描かれています。はい、お察しのとおり、ナバホのジュエリーが好みです。ターコイズ=天の水 (母なる大地に雨を降らせ、作物を育てる天の父性を象徴)シルバー=地の火(地中深く眠るシルバーは母なる大地の息子。また、大地の女神たちを守る守護神の象徴)サンゴ=地の水(母なる大地の成熟した姿の象徴。海の女神の象徴でもある)と言われるそうですが、こういうことを聞くと、やみくもにインディアンジュエリーが欲しくなって困ります。タ、タイムアップ……!タイトルに帰り着けません~!ターコイズの色について追記。あちらこちらの資料を見ていると、ターコイズに含まれる成分のうち、銅が多くなると青くなり、アルミニウムが多くなると緑っぽくなるという説明を見かける一方、鉄が多くなると緑になるという説明も見かけます。さらに資料をあさってみて、個人的にまとめてみますと●銅が多くなると青みが強くなる●鉄が多くなると緑っぽくなる。(アルミニウムの一部が鉄になる、とも説明されている) アルミニウムが鉄に置き換わると「鉄トルコ石」(チャルコシデライト/Chalcosiderite:緑色か黄緑色)になる。●アルミニウムが多くなると白っぽくなる●亜鉛が主成分になる(銅の一部を亜鉛に置き換える)と、 ファウスト石(ファウスタイト/Faustite:アップルグリーン?)になる。……という感じではないかと。間違いがありましたら、教えていただけるとうれしいです。
2005/01/20
コメント(4)
先日は、突然ある石が気になる話をしました。まるで波のように高まったり静まったりする「石の波」……最大のものはヒマラヤ水晶ですが、そのほかにもいろいろ小波が打ち寄せます(笑)。ひとつが過ぎれば次の波、ときにはいくつか同時にやってきて、常にちゃぽちゃぽゆさぶられているのが石好き心なのかもしれません。いまのところ私の石好き心を揺らしているのは、ギルギット産の黒水晶(正確には濃いスモーキー)と……ターコイズです。ターコイズ波は過去にも1、2度やってきたことがあり、波が始まるきっかけははっきりしています。私は以前、文章書きのはしくれのようなことをしていたので、「言葉に惚れ込む」という一面があり、そのため、インディアン(ネイティブアメリカン)の言葉を集めた本を読むと、素朴であるがゆえに強くまっすぐな彼らの言葉にほれぼれし、ついでに石好き心もゆさぶられて「ターコイズ……」となっちゃうのです。今回は、すてきなターコイズを用いたグリッドの写真を見せていただいて、「あ、きれいなターコイズ」 ↓(文章書き心発動) ↓「インディアンの言葉」 ↓(石好き心活性化) ↓「ターコイズいいかも」……というちょっと回り道な経路をたどっています。しかし、ターコイズの波はここから他の石とはちょっと違ってきます。というのもターコイズという石、皆様よくご存じのように、原石で見るよりもはるかにアクセサリーとしてみる機会が多いです。私の場合、石屋さんに行くには電車に乗らなくてはならないのに対して、シルバーアクセサリーの店は徒歩圏内にあるので、気になれば欲しくなる、懲りない石好きとしては(サイフの)危険度が高いのですが、アクセサリーということになると、そのデザインなども大きな要素になってきます。シルバー・アクセサリー、インディアンジュエリーの系統は好きとはいえ、それでもこれぞというものにはなかなか出会えません。「お」と思えば予算外。シルバーアクセの値段のおかげで、気になるたびに散財する危機から免れています。もしかして「え、トルコ石を使ったアクセサリーって、そんなに高かったっけ」……と思われるかもしれません。まあ、私の「予算」が元々少ないというのもありますが(笑)、確かにトルコ石アクセの値段はピンキリです。そして、ここにアクセサリーとして広く用いられるターコイズという石の落とし穴があります。まず、ターコイズ(トルコ石)がどんな石かというと、トルコと名がついていますが、トルコでは産出しません。もともとはイランで採れたものがトルコ経由でヨーロッパに伝えられたため「トルコ石」の名前があります。その歴史は古く、古代メソポタミア時代からビーズなどの宝飾品として愛用されてきたそうです。世界でも産出するところは多く、アメリカ南西部、(アリゾナ、ネバダなど)、メキシコ、エジプト、ブラジル、中国、オーストラリアが主な産地です。また、産地によって色や網目状の黒い線や母岩の混じり方に特徴があり、アメリカなどでは、「キングマン」「スリーピングビューティー」など、鉱山の名前で呼ばれることもあります。(写真の石がちょうどスリーピングビューティーとキングマンです)鉱物学的に見ると、ターコイズは銅、アルミニウム、リン、などが結合した石で、瑪瑙などと同じように小さな結晶があつまってできた潜結質の石です。つまり、目に見えない小さな穴が無数にある石なのです。そのため、汚れや汗、薬品に弱く、変色したり、長年の間にひび割れる危険もあるそうです。しかし、ターコイズは、ネイティブアメリカンが空の神の化身として愛したほどの魅力ある色の石です。このすばらしい色を損なうことなく安全に身につけたい……ということで、樹脂を染みこませるなどの処理を行われている石が多くあります。ついでに、丈夫にする以上の手を加えたり、ターコイズ以外のもので代用しているものも多いです。どのようなものがあるのか、ざざっと列記してみます。(いくつかの資料をまとめたので、資料によっては違いがあるかもしれません)(1)ナチュラル・ターコイズ 磨いただけで手を加えていないもの。汚れ・薬品に弱いです。(2)エンハンス・ターコイズ 硬さなどは優れているのに、色がいまいちな石に電気的化学処理をしたもの。 (この処理には染色や合成樹脂は使われません)(3)スタビライズド・ターコイズ 透明なアクリル系樹脂を染みこませたもの。この処理により色が濃くなり、強度が増し、 光沢、汚れ、薬品に対する耐性が向上、変色の心配もなくなります。 通常見かけるターコイズはたいていこの処理をされていて、特に天然との違いを明記されることもないようです。原石派の私ですが、やはりターコイズは磨かれている方が美しいですし、扱い要注意よりも少しは安心して身につけられる方がうれしいかも……。ところが、これから挙げる例は少々過激になってきます。(4)カラートリーテド・ターコイズ (3)と違って「色つきの」樹脂を染みこませ、色を良くしたもの。 ダイド・ターコイズとも呼ばれる。(5)破片を固めたもの。 何と呼ぶのかはわかりませんが、ターコイズの破片を樹脂などで固めたもの。 黒い樹脂で固めると、ちょうどネット状の黒いラインが入ったターコイズのようになります。インディアンジュエリーの技法としてもチップ・インレイという、同じようなものがあるようです。(6)練り物、練りターコイズ ターコイズの粉末を色のついた樹脂で固めたもの。 新たに再生されたターコイズということで、 リコンストラクテッド・ターコイズとも言うそうです。 ターコイズは、色がきれいで厚みのある原石はめったに産出ないので、トルコ石でボリュームを得ようとすると、こういう技法も必要なのでしょうか。 練り物は複雑な形を作るのにも適しているようです。色と形はターコイズっぽくても、ターコイズではないものもあります。(7)ハウライト・ターコイズ 白地に黒、灰色のラインが入ったハウライトを青く染めたもの。 個人的に、これはターコイズではないよと、ひとこと言って欲しいかも。(8)ボーン・ターコイズ 骨や歯の化石(?)を青く染めたもの。あるいは水牛等の骨を染めたもの。(9)ガラス・ブラスチック ビーズのトルコ・ブルーは、意外に好みの色合いなので、 「波」が来ていないときは、ビーズで何か作って気分だけ味わおうかと考えちゃったりします。ああっ、終わらない!明日へ続きます。ごめんなさい~!あ、トルコ石には合成のものもあります。成分は天然のものと同じだそうですが、その程度出回っているのかはわかりませんでした。
2005/01/19
コメント(8)
今日はあたたかかったので、外出していました。……はい、お察しの通り石屋めぐりです(笑)。新年早々懲りもせず。……なんてことをしていたせいか、はたと気づけばこんな時間。なので今日はちょっと手抜き雑記&ファセット5面のマラウィ水晶とロシアン・ビー玉の後日談です。石屋さんには石を見に(買いに)行くわけですが、ときどき自分の石を持っていって、お手すきの時をねらっていろいろ教えていただいちゃうことがあります。(ありがとうございます)今日はファセットが5面しかないマラウィ産スモーキーとロシアン・ビー玉を持っていって2件の石屋さんにみていただきました。どちらかというと鉱物系の石屋さんだったのですが、どちらのお店の方も、マラウィ産スモーキーについては、「5面に見えるけど、どこかに6つ目があるはず!」と、真剣に探して下さいました。結果、プロでも6面めは見つからなかったようで、「上手に消えてるねえ!」と言っていただきました。ロシアン・ビー玉については、ガラスにも天然っぽいインクルージョンが入るのかどうかをお聞きしたかったのですが、最初、何も言わずに取り出したときは、やはり色合いとインクルージョンのために、天然シトリンと思われたようです。ガラスであるという話をすると、くるくる回して細い線が2重に見えるかどうかチェック。2重に見えなかったので、「ガラスだねえ……」ということになりました。お店の人もこういうガラスははじめて見たのだそうです。「こんなのがあるなら、仕入れの時に注意しなきゃ……」なんておっしゃっていました。結果。マラウィ・スモーキーもロシアン・ビー玉も、「変」のお墨付きをいただいた……ということになりますか(笑)いつもいろいろお話を伺うことができて、勉強させていただいています。
2005/01/17
コメント(6)
私の雑記を読んでいただくと、加熱シトリンや放射線照射モリオンをだめだと思っているな……と感じる方がいらっしゃるかもしれません。あるいは、そういう石を手元においていて、残念に思ったり不快に感じた方もいらっしゃるかもしれません。もし、そういうことがありましたら、言葉足らずで申し訳ありませんでした。そんなご意見をいただいたとかいうわけではないのですが、自分の雑記を読み返していて、ふと思ったので、今日はそれをとりあげてみたいと思います。私は、自然が作り出す色や形に感心してしまうので、大地のメカニズムが感じられる(と思う)天然・原石ものを偏重してしまうのですが、価値を見いだすポイントが違えば、人が手を加えた石の評価も違って当たり前です。天然・原石派の私も、色に重きを置くならば加熱シトリンには美しい石が多いと思いますし、もし、いただけるのであれば(笑)、加熱処理されているとしても美しいルビーや、アクアマリンの方がいいです。気に入ったのなら天然も人工も関係ない!……という例として、池袋ショーで買った丸玉をご紹介したいと思います。会場をぐるぐるめぐっていた私は、あるロシア人のお店の前で足を止めました。上品な「天然シトリン色」の丸玉を見つけたからです。お値段がシトリンではあり得ない値段だったので、天然シトリンであるとは思いませんでしたが、お店の人の言葉でがぜん興味がわきました。「Glass」 とお店の人。「えっ、ガラス?」 と私。お店の人は、別の種類の丸玉を取り上げて、「Quartz」くだんの丸玉を取り上げて「Glass」。じゃあ、まちがいなくガラスなんだ!と納得したところで買うことを決めました。ついでに身振り手振りでお願いして、ラベルまで書いてもらいました。こうして、私は「Glass」と明記されたラベル付きのビー玉を手に入れたのです(笑)。 直径が4センチほどあるので、ビー玉というには大きいですが、ガラス玉というよりもかわいい感じがするので「ロシアン・ビー玉」ということで。産地はモスクワらしいです。何と言っても決め手は写真にも写っているインクルージョンです。水晶のインクルージョンとそっくりに、大小のばらつきがあって列をなしています。ガラスのインクルージョンというと、小さな気泡が思い浮かびますが、これは気泡ではなく、なにかのちりでもなく、綿毛状の結晶っぽい……例えるならばホランド鉱入り水晶のホランド鉱が白く小さくなったものが行列したという感じ。「へえ……ガラスでも、こんなインクルージョンが入ったりするんだ……」と感心してしまいました。一般に丸玉などに加工された水晶とガラスを区別するポイントとしてクラックやインクルージョンが挙げられますが、このインクルージョンだけを見れば、水晶と間違ってしまいそうです。念のため、ぐるぐる回して見てみましたが、どの角度から見ても細い線が二重に見えることはありませんでした。間違いなくガラスです。(※水晶では、角度によって細い線が二重にダブって見えます。一センチ以上の大きさのあるものであれば、確認できるそうです)でも、この色! このインクルージョン!きれいです!左上が、肉眼で見たのとほぼ同じ感じですが、なんとも上品なシトリン色。右側の写真では、インクルージョンの様子がおわかりいただけるかと思います。(インクルージョンのアップを撮りたいのですが、焦点距離が合わなくて撮れません)そして!光の具合によっては、中に星空が入っているようです。考え方を変えるならば、ガラスもかつては高価なものであり、その美しさは神仏に捧げられるに足る神秘的なものだったはずです。ガラスはあまりにも一般的になりすぎて、その神秘性が薄れてしまったのかもしれませんが、はじめてガラスを手に下人々の思いはいかほどのものだったのでしょう。輝き、光に透ける美しいものを手にしたい。それを自らの手で作りたい。宝石の合成技術のどこかには、それが高価なものだからというだけでなく、美しく輝くものを作りだした大地のメカニズムを知りたいという情熱もきっとあるはずだと思うのです。
2005/01/16
コメント(2)
日付変更線を越境した後で15日分の日記を書こうとしたらば、みごとメンテナンスに遭遇。あら~。よって、15日分はついでにちょっと。アクセス履歴を見ていると、更新した直後は楽天ユーザーさんがどっと増えるのだけれど、それ以外の時は、楽天以外からのアクセスもかなりある様子。みなさま、ここを目指してアクセスしていらっしゃるのでしょうか。それともたまたま通りすがられたのでしょうか。ちょっとその内訳を聞いてみたい気分。楽天ユーザーさんもそれ以外の方も、気軽にカキコ下さいね。石好きさんLINK参加も大歓迎です。
2005/01/15
コメント(2)
私は石のパワーにニブいです。何度も繰り返し言ってきたことなので、今さらのだけれども、ニブいです。「絶対この石なら感じるはず!」言われた石をさわっても「?」、本やネットで書かれている、「ぴりぴりする」「あたたかく(or冷たく)感じる」……という体験もついぞ覚えがありません。そんな私ですが、ある人に「ちゃんと感じているんじゃないの? 言葉にする代わりに写真にしてるのよ」と言っていただいたことがあります。光栄です。ありがとうございます。うれしいです!石のパワーなるものがどのように感じられるのかさえわかっていないので、「鈍いのだろう」……と思っているわけなのですが、「この石は、こう撮ろう」「うん、雰囲気が出た」……と撮っている写真、写真を撮ることで「やっぱりこの石ってこんな感じだったんだ」と深まった印象……もしかしてそういうものは、その石が持つ「何か」の一端なのだと言ってしまって良いのだろうか……。ニブいニブいと連呼する代わりに、ちょっと見方を変えて大好きなヒマラヤ水晶について、「印象」を連ねてみたいと思います。というわけで、今日もネタ石はヒマラヤ水晶。やっとのことで産地が判明した、異形のガネーシュ・ヒマール産の石です。異形の……というのは言うまでもなくこの色です。ヒマラヤ水晶にはいろいろな産地がありますが、個人的に、ネパールのヒマラヤ水晶には「モノクローム」な印象があります。シトリンやアメシストはほとんど見たことがなく、色つきといえばスモーキー。緑泥が入っていても、それは緑と言うより黒い色彩を感じさせるのです。透明感はすばらしいものがありますが、ブラジルやアーカンソーのような開放的な明るさとは違って、その鋭いエッジと照りのためにコントラストが激しく、印象としてはモノクロームなのです。(昨日のヒマラヤ水晶も、かなり透明感があるのですが、光の具合でご覧の通りのモノクロームです)対してネパール産と並ぶ産地であるインドは、同じ透明な石でも「明るさ」「柔らかさ」を感じます。緑泥のインクルージョンも色が明るく「緑」の色彩を感じさせ、中には酸化鉄か何かで全体がほんのり色づいて見える石もあり、ネパールが「モノクロームのヒマラヤ水晶」とするならば、こちらは「色彩のヒマラヤ水晶」という感じ。「モノクロームのヒマラヤ」中で、この色はとても目立ちます。もちろんシトリンではなく、何か黄色いものでコーティングされて色づいています。お店の人の話では、ガネーシュ・ヒマールといってもネパールではなく、チベット側から買い付けたそうで、近くでタールらしき黒いインクルージョンが入ったハーキマー・ダイヤモンドのような両錐の水晶が出るので、この黄色もタール由来である可能性があるということでした。こういう黄色い水晶を「ゴールデン・ヒーラー」というのだとどこかで聞いたのですが、出典が定かではありません。(ご存じでしたら教えて下さい!)ネットで調べてみると、タール分におおわれていたものを剥がすと黄色くなっていることがあり、これをゴールデンヒーラーというのだとする説と、黄色いのは水酸化鉄や褐鉄鉱のインクルージョンによるものとする説、海外サイトでは、酸化鉄コーティングによる色だとしているものがありました。「ヒーラー」の名前の通り、「すべてのレベルでの回復を促す」というような強い力があるのだと言うことです。ゴールデンヒーラーは、ネパール産のヒマラヤ水晶だけに現れるのではなく、インド産にもありますし、ゴールデンヒーラーについて調べたサイトでは、アーカンソー産だったり、南アフリカ産だったりと産地はさまざまでした。アーカンソー産のは、白い磨りガラス調の一部が黄色く染まっていて、全体の感じがほのぼのと穏やかで、「心あたたまる癒し色」でしたが、こちらの「黄色」は、全体の形のイメージも相まって、「包み込んで癒す」というイメージではないように思います。これを「ヒーラー」だというのならば、それは一対一の癒しではなく、山も空も金色に染め上げる朝日や夕日の圧倒的な輝きの前には、日頃の小さな悩みは吹き飛んでしまう……。そんな感じの「問答無用の大自然治療!」写真を撮っていても、光に透かせば透かすほど、「金色だねえ……」「輝いてるねえ……」とその色合いに感嘆のため息です。偶然インド産でも自然コーティングによる黄色い水晶を持っているのですが、同じ黄色でも、ふんわりにじむような柔らかさ。……と、石を見て、さわって、写真を撮って、調べたあげくの印象を文章で表せばこうなるわけですが、これはこの石の持つ「何か」をどれほど表していることでしょうか。かつて、パンフレットなどの文章書きの仕事で、(場所が伊勢だったので)歴史について調べたことがあります。学術的な世界では、一般に「日本書紀」「古事記」の古い記述は、後世に創作された「神話」であり、厳密な歴史ではないということになっていますが、それに疑問を挟む説があったのです。神話は果たして根も葉もない「作り話」なのか。そうではない。それは語り伝えられた「事実」を違う言葉で語っているのだ。……というのです。たとえば、アマツカミという神を信じる一族がクニツカミを信じる一族と闘い、勝利して従えた……という出来事があったとき、神というものの存在を信じる視点で語ればアマツカミがクニツカミを従えた、という表現になります。長い間にもととなった出来事は誇張されたり、意味が違ってしまったりしたこともあるかもしれませんが、そこには、冬至の人々の心を揺さぶり、語り伝えるにたる出来事があったはずだというのです。突然こんなことを言い出したのは、石のパワーにも似たことが言えるのかもしれないと思ったからです。この石には「何か」がある。それをどう感じるのかは人それぞれであり、語る言葉もさまざまです。「パワー」であったり「気」であったり、はたまた「印象」であったり、「科学」であったり……。石を語るにふさわしい言葉を探してみたいものです。
2005/01/14
コメント(6)
石と波長を合わせる……というと、パワーストーン的意味合いでは、買ってきたら水やセージの煙や光で浄化し、一定期間身につけるとか、意識を向けて「石に語りかける」などという方法が紹介されていますが、石のパワーにニブい管理人のこの雑記では、ちょっと意味が違います。どんな石好きさんにも一度や二度は心当たりがあるのではないかと思われることです。突然、ある石が無性に気になり、欲しくなる。そういうことはありませんか。もちろん、私もあります。突然といっても、たいていは誰かのすばらしい石を見せていただいたとか、なにやら曰くありげな、あるいは石にまつわるロマンあふれる話を聞いたとか、そういう些細なきっかけがあって、欲しくなり、手に入れると落ち着くのですが……。理由らしい理由が見つからず、その石を手に入れてもおさまるどころか、ちょっとおさまりかけたかと思うとぶり返し、いまだもって症状継続中の「気になる石」……。何を隠そう、それがヒマラヤ水晶だったりします。思い返せば、そのころネットやお世話になっていた掲示板でヒマラヤ水晶の話題が続いていた……のかもしれません。しかし、話題になった石といえばエレスチャルであったりロシレムであったりと他にもあったはずですから、ヒマラヤ水晶でもちきり、というわけではなかったかと思います。とにかくなんだかとてもヒマラヤ水晶が気になって気になって……。そしてついに買ってしまったのでした。今日のネタ石は、そのときうちにやってきたヒマラヤ水晶です。産地はネパールのガネーシュ・ヒマール。緑泥のインクルージョンはありませんが、全体の形といい、表面のテクスチャといい、輝きといい、ガネーシュらしい石だと思います。……とは、今だから言えることで、買った時は「これがヒマラヤ水晶か……」とただひたすらそのことだけで感心し、ホクホクしていました。今の私でもちょっと「清水ダイブ」なこの石を、ヒマラヤ初心者のくせによくぞ買ったものです。それだけ心惹かれた石だった……といえるのかもしれません。それまで見ていた水晶とはひと味もふた味も違う姿。そして輝き。今も覚えている第一印象は「山の精髄」。もしかしたら、「突然気になる」という現象は、石と人との波長が交わり合う時……なのではないでしょうか。「欲しい時が必要な時」……とも言われますが、その人の意識、そのときの考え方、感じ方、そういったもろもろのものがある時パズルがのように特定の石への興味として組みあがる……そんな感じがしないでもありません。興味を持ち、探し、手に入れることは、その石により積極的な意識を向けることであるとも言えます。そうやって意識を向けた石が、その人の心にどう飛び込むか……それによって、その石と人とのつきあいが決まるのかもしれません。少なくともヒマラヤ水晶は私の心と趣味のど真ん中に飛び込んできました。「ヒマラヤ水晶はイイ!」突然、ヒマラヤ水晶の虜と化した私は、あこがれの石を手にしておさまるどころか、ヒマラヤ水晶と聞くと手にとって見ずにはいられなくなりました。とうぜん、その後もヒマラヤ水晶の数は増えていったわけですが、この石については、なかなか満足のいく写真が撮れませんでした。今にして思えば、私自身がヒマラヤ水晶についてわかっていなかったからかもしれません。ヒマラヤ水晶の産地がいろいろあることも知らず、その特徴も知らず、ヒマラヤ山脈の成り立ちについても漠然としか知らず……。そういった知らなかったことを、ぼちぼちと調べ、自分なりに考え、少しはましになったかと思われる今……もう一度、この石を撮ってみたら、この石の何を撮りたかったのかが見えてきたような気がします。今回の写真は、その一端を写し取れたでしょうか。……あ、ちょっとお断りしておきますと、石についての「知識」がないことがいけないと言っているわけではありません。調べたことを漠然と感じたこととつきあわせて、自分の中で整理する……それが私のやり方だということなのです。
2005/01/13
コメント(8)
私の石の多くは水晶です。形がおもしろいもの、変なもののほか、ある決まった色の水晶も集めています。これまでにいくつか紹介してきた青い水晶もターゲットのひとつですが、それ以前から集めているのが黒い水晶です黒い水晶は、モリオンともカンゴームとも呼ばれます。カンゴームの中で色の濃いものをモリオンと呼ぶのだとも、茶色がかったものをカンゴーム、黒いものをモリオンと呼ぶのだとも言われ、諸説さまざまです。そもそも黒水晶そのものが、煙水晶の濃いものだとする説と、煙水晶と黒水晶は別なのだとする説があります。明確な規定はないようですが、まっ黒な水晶にもつやがあるものと、つや消しのものとがあります。このつや消しの黒い水晶は、見かけは決して良くありませんが、何とも言えない迫力と、静謐な存在感があるように思います。黒水晶とは何なのか。いろいろ調べてみたり、石屋さんに聞いてみたりしました。その結果はフリーページの煙水晶と黒水晶のコーナーや、別サイトにまとめ直したコーナーに書きましたが、ここで簡単にまとめてしまうと、どちらも発色の原因はアルミニウム。水晶を形成する珪素の一部がアルミニウムに置き換わり、天然の放射線にさらされることで色が付いて見えているのだとされています。その中で煙水晶よりもさらに放射線を浴びて、結晶構造がくずれたもの……それがモリオンだといわれています。もちろん、これは一説ですが、とある石屋さんでモリオンは丸玉に磨いても他の水晶のようにつやつやにならないのだと聞いたことに符号します。なので、私は黒水晶はアルミニウムと放射線によって発色し、放射線によって結晶構造が崩れているもの……だと思っています。このたび新たな説を見つけました。それは放射線によって発色しているものが煙水晶、それ以外の原因によって発色しているものが黒水晶だというものです。そんな黒水晶があるのかと思われるかもしれませんが、あります。この石です。 イタリア産の黒水晶で、写真では影のために灰色っぽく見えていますが、真っ白な大理石の中にまっ黒で両錐の黒水晶が埋まっています。不思議なことにほとんどが両錐で小ぶり。クラスターになっているものは見たことがありません。なぜ、この石が放射線による発色でないとわかるかというと、この真っ白な母岩は天然の放射能レベルが低く、他の産地の黒水晶のように放射能による発色はあまり期待できないからだそうです。通常言われている放射線以外の発色原因とは何か……有機物の混入ではないかとする説もあるようですが、残念ながらわかっていません。いやあ、そういうことだとは調べてみるまで知らなかったのですが、真っ白な中のまっ黒な水晶……というこの取り合わせが美しくて探していて、珍しくネットで買ってしまいました。小さくてもつや消し黒の貫禄は十分。水晶の「晶」という文字には「輝く」という意味があるといいます。また「すいしょう」という音も、「きらきら輝く」という音象を持つようです。つまり、水晶は石でありながら輝き、黒水晶は水晶でありながら輝かない。こんな二重の二律背反が何とも言えずカッコイイ……というのは、ちょっと美化しすぎでしょうか。さて、この黒水晶、右側に写っているように、ざっくり傷が入っております。「だから、ネット買いは恐いんだよなー」という話かといえば、そうではありません。この傷、けっこう好きなんですよ(笑)。余計にすごみが増すようで。海王石などもそうですが、真っ白い母岩にまっ黒な石という取り合わせは、あるイメージをかき立てます。指輪物語に登場する、ゴンドールの執政・デネソールです。原作および映画をみた方にしか通じませんね、この話。映画の3作目で、どこかモダンな白い宮殿の玉座の下に、影のように座っていた黒衣の執政……。映画では時間のせいでその深みが殺がれてしまったのが残念でしたが、原作のデネソールの矜持と絶望……そのイメージにぴったりだと思うのです。
2005/01/12
コメント(8)
「あなたは、石をどのように選びますか?」という質問によく似ているようでいて、ちょっと違う質問をします。「あなたは、あなたの石の魅力をどのように見つけますか?」「石を選ぶ」、つまりお店に並んでいる石の中から「これだと思うもの、買おうと思うものを選ぶときの決め手として一番多くあげられるのは「きれいだから」が一番多いだろうと思います。かくいう私も、毎日毎日重箱の隅をつつくようなことを書いてはいますが、選ぶ理由は「きれい」「おもしろい(変)」が一番多いです。……とまあ、理由を一言で言うならば「きれい」なのですが、A店で選んだこの石も「きれい」。ミネラルショーでやっとみつけたこちらの石も「きれい」。B店で見つけたとたんに握りしめちゃった石も「きれい」……だったとしても、その「きれい」はそれぞれに違うはずです。言うまでもなくまったく同じ石はこの世に二つとありません。この世で唯一の石の魅力、石それぞれに個性がありながら、その中で自分の目を惹きつけ、手を伸ばさせたその理由を「きれい」から一歩すすめるとしたら……。石のパワーに鈍い私の場合は、とにかくみることに尽きるでしょう。目で見る。さわってみる、調べてみる……。「何かを見つける」という意識を持ってみていくと、ただ目的もなく見ているのとは別のものが見えてきます。また、いろいろ調べて知っていることが増えていくと、知らなかったときとは別のものが見えてきます。そして見えてくるものの多さに比例するように、謎も見えてきます。長々と前置きしましたが、まず「きれい」で選び、よくみて「変」にひきつけられ、さらによく見て「謎」を見つけたこんな石が今日のネタです。産地不明……おそらくブラジル産であろうと思われるファントムです。まず目を惹くのはそのファントムの数。10層以上のファントムがあるものを中国(風水?)では「龍脈水晶」と呼んだりするそうですが、これはそれどころではありません。右側が拡大ですが、きれいに等間隔でファントム、ファントム、ファントム、ファントム、ファントム……(略)。ほんのり緑がかったグレイの色合いといい、この重なり具合といい、思わず顔を埋めたくなるような柔らかな質感です。つまり、これが第1段階ともいうべき「きれい」。ところで、このファントムはしっかり色が付いているので、この脅威の重なり具合を見ることができるのは、たまたまファントムが半分しかないからです。半分だけのファントムはさほど珍しくありません。ご存じのように、ファントムは成長途中の水晶の表面に不純物が付着し、その上にさらに水晶の結晶が進んで成長の痕跡をとどめたものです。その不純物が一方方向から付着しているのですから、「もしかしたら、熱水にわずかな流れがあったのかもしれない」という想像が働きます。これは水晶の成長のしかたを知ってから考えられるようになったことです。「わずかな」と書いたのは、あくまでも想像ですが、強い流れだと水晶の結晶そのものが流れによって曲がったり斜めになったりするかもしれないからです。実際半分しかないファントムを持っているので、この石を見つけたときも珍しいとは思いませんでしたが、さらによく見て変なことに気が付きました。半分の具合が変です。ふつう、半分だけのファントムは、ファントムが薄れるようにして見えなくなっているのですが、このファントムは、まるで切ったようにくっきりと半分です。しかもその「断面」は平らではなく、「面」があります。こうなると謎です。いったい、どんな原因がこのファントムを半分にしたのでしょう!ファントムがない(見えない)部分に、別のポイントがあって、それがひとつのポイントであるように磨かれてしまったのでしょうか?仮にそうだとしても同じ条件で結晶している以上、片方のポイントにまったくファントムがないとは考えられません。外形がツインの水晶で、内部のファントムもツインになっているものがちゃんと存在します。ツインだった水晶の片方がはずれてしまって、残りの部分に透明な水晶が結晶したのでしょうか。……ちょっとこれはあり得なさそうです。この場合は一種のセルフヒールとということになるのだと思いますが、セルフヒールドの場合は、境目が完全に透明になることは難しいと思います。ならば……もしかして、人の手が加わっている可能性はどうでしょう?これも心配なさそうです。たしかにかなりはっきりくっきり半分なのですが、最初に「柔らかそう」と書いたように、ごくわずか角が丸く、人工的に「切った」というより自然な感じです。こんな感じで見れば見るほど、知れば知るほど石の不思議が見えてきて、ますます石にはまっていくのです……。
2005/01/11
コメント(4)
昨日は「ヅケのマグロ色」のロードクロサイトらしからぬ変なもの好きの私にはたまらないロードクロサイトをご紹介しましたが、今日は一転、ロードクロサイトらしい石で行ってみたいと思います。こちらはペルー産。写真に写っている結晶の大きさはひとつで4ミリくらいあるでしょうか。色はちょっとオレンジがかった華やかなサーモンピンク。こんな結晶がしっかりついた4センチほどの母岩付き標本がなんと500円!昨年末の池袋ショーで買ったものですが、どうやら二つに割れてしまったために激安になったようです。しかし、割れたといっても粉々になっているのではなく、パキッときれいに割れた感じで、結晶そのものにはほとんどダメージがありません。破片を合わせると6センチくらいになります。それにしても500円とは、本当にラッキー!やはり、ロードクロサイトはこういう華やかなピンクでなくては。ロードクロサイトという名前自体、ギリシャ語で「薔薇色の石」という意味になるようです。昨日、「菱マンガン鉱物」とは、何と色気のない名前だと嘆きましたが、これは、結晶の形と(菱形になることがある)、マンガンを含む鉱物であることにちなんでいます。名前も色も似ていて紛らわしいロードナイトもマンガンを含む鉱物で、かつてローズ・クォーツの色が何による発色であるかわからなかったころは、マンガンによるピンクではないかと考えられたこともあるようです。ロードクロサイトやロードナイトを見ていると、マンガン=ピンクの発色と考えてしまいますが、マンガンを多く含む鉱物の多くは黒いものが多いです。ほんの少しの割合と化学組成の違いで、こんなに色が生まれるのですから、鉱物の世界は不思議がいっぱいですね。日本でも青森の尾太鉱山や北海道などから鉱山の副産物として美しいロードクロサイトが産出しましたが、鉱山の閉山により、なかなか目にすることができなくなりました。……といっても私は、まだ産出されていたころのことを知るよしもないのですが……。そう言われれば、うちの尾太水晶のひとつに、ちょっとだけロードクロサイトが付いています。ロードクロサイトといえばピンクというイメージですが、産地によっては真っ赤な結晶も産出します。鉄分が多くなると赤みがますのだという説があるそうです。美しい石ですが、高度が3と柔らかいので扱いには要注意。特にブレスレットになっている場合にはあちこちにぶつけないようにしなくてはなりません。今日はおまけに写真をもう一枚。同じ産地ですが色が違う標本です。こちらは、ロードクロサイトの結晶の上を水晶が覆ったもの。ドゥルージーになっているので、ちらちらと光を反射し、ロードクロサイトをやさしい色合いに変えてみずみずしく見せています。
2005/01/10
コメント(11)
薔薇にもいろいろな名前、色があります。「ブラック・ティー」という茶色(茶色っぽい赤)の薔薇。「ブルー・ムーン」という紫色の薔薇。ビロードのような深い深紅の「黒真珠」。白にピンクの縁取りがお菓子みたいな「ニコル」。ショッキングピンク! な「マリア・カラス」……しかし、薔薇色と言えば華やかで深みのあるピンク色。個人的なイメージでは先日のアフガン・ローズの色がまさに薔薇色! なのです。石にもピンク色をしているために「ローズ」の名前を持つ石がいくつかあります。有名な(?)ところではローズ・クォーツ、ロードナイト、ロードクロサイトなどでしょう。まだいろいろありますが、私自身実物を見たことがないので、ボロを出さないように控えておきます(笑)。上に上げた3種類の石の中で、一番薔薇色な石に会える確率が高いのはロードクロサイトではないでしょうか。ロードクロサイトにもいろいろありますが、ビーズなどで見かける色が濃くて透明感のあるこの石の色は、心躍る薔薇色です。しかし……薔薇色の石の結晶というのは、総じてお高いのは何故でしょう?ローズ・クォーツの結晶はご存じの通り稀少で高い。ロードナイトはよくみかけるのは不透明なピンクで、透明感のある結晶はこれまたあまり見かけません。……そして、ロードクロサイトの結晶も……。ピンキリといえばそうなのですが、きれいなものはやはり高い。でも結晶が欲しい~! と探していた私は、2004年5月の新宿ショーで見つけました。「本日のセール品」のコーナーにあったのです。……ラベルは確かにロードクロサイトなんですけどぉ……。「これ、ロードクロサイトですよね?」と、思わずお店の人に念を押してしまいました。ガボン産のロードクロサイトです。まるでカルサイトのような犬牙状の結晶の形。(実際の大きさは2ミリほどで、根性でマクロ撮影しました)そのうえ色はローズというより「ヅケのマグロ色」……。確かにピンクというより深紅の結晶を見たことがあるのですが、これは深紅というよりは茶色がかっていて「ヅケのマグロ色」。けなしているようですが、実は「こちらの方が珍しいかも~♪」ということでうちにやってきました。これが私の初・ロードクロサイト結晶です。それにしても「ロードクロサイト」に対して和名は「菱マンガン鉱」。「蛍石」や「銀星石」「藍晶石」「空晶石」「天青石」など美しい和名はたくさんあるのに、薔薇色のこの美しい鉱物に対してなんと色気のない名前を付けるんでしょうか!?
2005/01/09
コメント(16)
「森林の思考・砂漠の思考」(鈴木秀夫・NHKブックス)という本があります。文化によっていろいろな考え方の差異はありますが、大雑把にくくると、ヨーロッパ(キリスト教圏)を中心とした西洋的感覚とアジア(仏教圏)を中心とした東洋的考え方……という大きな分け方があると考えられます。この本では、アジアは日本を中心に想定されているようなので、それに従って述べますが、片や自分の意見をはっきり持つことを良しとし、片や本音と建前を持つ。片やものごとを「量感」で見ているのに対し、片や「配置」で見ている。片やマクロな「総合」に長け、片やミクロな「分析」に長ける……そういった違いが文化の根幹をなす宗教に、さらにはその宗教が生まれた自然環境……砂漠と森林にあるのではないか……と考える、興味深い本です。砂漠と森林と書きましたが、冒頭にあげた西洋的感覚の中心となるヨーロッパはもちろん砂漠ではありません。これは砂漠(とその周辺部)から生まれた宗教(文化)の影響下にあるか、森林から生まれた宗教(文化)の影響かにあるかということです。この本の著者が言うところの砂漠的性格のものの見方・考え方の特徴は「視点が上にある」……つまり俯瞰で見ていることにあります。砂漠で生きていくためには、たとえばどこにオアシスがあるかなどを常に意識せねばならず、そのために俯瞰で物事を広くとらえ、俯瞰で見るために「量感」の感覚が発達し、厳しい砂漠で生きるために、ものごとをはっきり判断するという姿勢が生まれるというのです。一方森林的性格の考え方では、視点は地上の一点(自分)にあります。広い視界がきく砂漠と違い、木々に囲まれた森林世界の視界はものとものとが重なり合う「配置」の世界です。多くの命に囲まれる中では、あらゆるものに神が宿る多神教が生まれ、食物連鎖でつながる命を間近に見ることで輪廻転生の考えも生まれます。……これらの考え方は、細かい点ではどうかなと思うところもあるのですが、大筋では興味深く頷くことができます。……とまあ、いきなりカタそうな話からはじめてしまいましたが、それも今日のネタ石……大好きなガネーシュ産ヒマラヤ水晶のため。ガネーシュ産ヒマラヤ水晶はこれまでにもいくつか登場させていますが、ふと考えると、お気に入りのこの石を登場させていませんでした。フリーページや、ファントムなどのくくりで他の石と一緒に出したことはありますが、単独では初めてです。本の話はちょっと中断して、今日の石をご紹介します。長いのとずんぐり短いポイントがついたクラスターで、母岩もついています。緑泥も混じっていて、結晶面もやや磨りガラス調で、まさにワイルド・ガネーシュ!お気に入りなのですが、なかなかこれという全体写真が撮れない石でもあります。ガネーシュ産のヒマラヤと言えば、ワイルドな形、氷のような透明感やあるいは美しい緑泥が特徴。(←個人的意見です)ではこの石はというと、形はともかく、内包物が多くて透明感はいまいち、緑泥もきれいというわけではありません。なのになぜお気に入りなのかと言うと…… 実は、内包物と見えたのはファントムだったりするんですねえ……。しかもこのファントム、きれいな山形ではなく、時には先が欠けたような形だったりとさまざまで、光に透かしたときには、まるで石が蠢き、形を変えながら、天へ天へと伸びていこうとしているように見えました。それはまさにヒマラヤ山脈のイメージ。ご存じのように、ヒマラヤ山脈はインドプレートがユーラシアプレートに衝突し、下に潜り込んでユーラシアプレートを持ち上げる形となることで生まれたといいます。しかし、プレートの厚さを考えると、それだけでは6000メートルほどの高さにしかならないのだそうです。どういうことかというと、二つのプレートに挟まれることになったもろい地層が変形して押し上げられ、現在のような8000メートル級の大山脈になったのだとか。ヒマラヤでアンモナイトの化石が発見されるのも、この理由によるものです。こうして「世界の屋根」となったヒマラヤ山脈は、ユーラシアの気候に大きな影響を及ぼすことになりました。インドの南で発生した水蒸気はヒマラヤ山脈にぶつかって雨を降らせ、モンスーン気候を作り出し、さらに向きを変えて日本にも影響を与えています。チベット高原が乾燥しているのも、その高度だけではなくヒマラヤが壁となって水蒸気を遮っているからだそうです。もし、ヒマラヤ山脈が現在の位置になければ、日本の気候は今のようなものではなかったかもしれません。すると、森林に発した「森林的」なものの見方、考え方にも変化がおこっていたに違いありません。日本は、縄文の昔から山々は木々に覆われ、弥生時代の農耕、その後の木の文化……と常に森と共にあり、森林的ものの考え方の影響下にあったといえます。見方を変えれば、それはヒマラヤに端を発している……と言えるのではないでしょうか。ヒマラヤ水晶に惹かれる感覚の中には、そんな理由もあったりして……(笑)。石の話に戻ります。ともかく、この石は光に透かしたとたん一目惚れ。以来、手に持って光にかざし、ファントムが天へと昇るように見えたあの一瞬を写真に撮れないかと試行錯誤を繰り返しています。さらに、ずんぐり短い方にもファントムが入っていまして、なんとファセットがダウ。ヒマラヤのシャーマン・ダウ(もちろん非研磨!)だったりします。持ち歩くことはもちろん、飾るにも不安定過ぎて、トルマリンのさざれを敷いた皿に横たえておくしかないのですが、好きなヒマラヤトップ3に入る石です。
2005/01/08
コメント(2)
祝! スタート200日!当雑記が2004年6月22日にスタートして以来、200日目となりました。(朝見たときは199日だったんだけど……時間までカウントしてるのかしらん)ちょくちょくさぼっているせいで、記入率は100%ではありませんが、うざうざな私にしては快挙!もしかしてこれこそ石のパワーだったりして(笑)。さて、記念すべき200日目に登場させる石は何にしようかと考えて、昨年12月の池袋ショーで入手したこの石にしました。今回のショーで一番最初に惹きつけられ、そのくせ他の石に目移りしていったんは買わずに帰ってしまったのですが、不思議なことにその後も売れずに残っていて、「やはり初志貫徹!」とばかりに買ってしまいました。毎度おなじみ、変な水晶と言えばここを疑え、のダルネゴルスクです。ラベルは「Quartz」だけなので、ヘデンベルグ輝石によるものかどうかは断言できませんが、淡い緑色をしていて、写真に写っていない半面が緑泥のようなものにコーティングされています。形がご覧の通りの細長い紡錘形。ついでにDTだったりします。枝のように飛び出ている部分以外、本体にダメージはありません。第一印象は魚。全体の形といい、ドゥルージーとはちょっと違うのですが、表面の小さな結晶面がきらきらウロコのように輝くところといい、いかにも魚。何故かウロコ状のテクスチャーに弱い私は、「この微妙な色は、撮るの難しいんだよなー」と自分で自分にツッコミを入れながら、それでもあきらめきれずに買ってしまったのでした。で、恒例の撮影です。予想通り難航しました。真横から撮ったのでは、どうにも感じが出ないのです。ウロコ状のキラキラも写らなくて、なんだか緑っぽくて細長いモノにしかなりません。あーでもない、こーでもないと角度を変え、石を傾ける台を変え、珍しく石を横からではなく上から撮影してみました。その結果が今回の写真です。ウロコ状のキラキラも出ました。微妙な結晶の具合もなんとか。……で、印象は……やはり、魚。それも深海魚。光の届かない深海に下りた潜水艇が照らしたライトに一瞬浮かび上がり、音もなく再び闇に消えていく巨大な深海魚……。そんな感じ、しませんか。最初は「深海」までのイメージはなかったのですが、なんだか迫力が出てしまいました。自分自身が知らない心の深海に光をあてると、こんな石の魚が泳いでいたりするのかもしれません……。
2005/01/07
コメント(8)
新年初っぱなからシャーマン・ストーンに5面水晶……と、個人的にはおもしろくても、客観的にはあまり華やかではない石でスタートしてしまったので、今日はちょっとやさしげな石で行ってみたいと思います。ローズアゲートです。産地を聞き忘れてしまったので、今度お店に行ったら聞かなければ。いくつかあった中から一番色の濃いのを選んだので、ローズというよりオレンジがかった「ピーチ」なかんじです。左上の写真ではマダガスカル産のローズクォーツと色をくらべてみました。やはり「ピーチ」(笑)。色の薄い方の石であれば、もっとローズクォーツに似ているかと思います。ですが、色がオレンジがかっているぶん、あたたかみを感じる石でもあります。ハートでもなく、丸玉でもなく、ましてやとがった形など考えられない、不定形のタンブルが似合う、シロップのような甘い色。ふだんであればふんわりやわらかい、甘い色であるはずのローズクォーツがクールに見えてしまうくらいです。さて、名前はどちらも「ローズ」でも方や「クォーツ」で他方は「アゲート」。いうまでもなく「クォーツ」は結晶していて、「アゲート」は結晶してはいますが微細な結晶が集まってできた「潜晶質」。しかし、こんな風にタンブルにされてしまうとわからない……。もしかして、変わった色合いのローズクォーツだったりして……。なんて考えてしまいましたが、心配ご無用でした。よーく見ると、左下の画像のようにアゲートらしいもこもこ模様が見えたからです。ファイヤーアゲートのもこもこした表面と同じもの……この場合は一種のファントムということになるのでしょうか。もちろん、ローズクォーツには、こんな模様が現れるはずがありません。しかし……厳密に言うならば、アゲート=瑪瑙は縞模様があるものだから、これはカルセドニー=玉随なのでは……?色がきれいだから、アゲートでもいいのかなあ。ローズ・カルセドニーでも語呂はいいと思うのですが。以前にご紹介したアフガン・ローズが「無敵のしあわせ色」ならば、こちらは「至福のお昼寝色」。ぽかぽかあたたかな日だまりで、夢見心地でとろーり、のんびり。傍らにコーヒーとケーキがあれば言うことありません。
2005/01/06
コメント(12)
2004年の新宿ショーのうれしい驚きはアフガン・ローズでした。最終日に手に入れられるとは! とホクホクしましたが、ショーの最後、つまりは2004年最後の石はアフガンローズではありませんでした。2004年最後の石は、この石です。実は、初日に同じ産地で同じくらいの大きさのスモーキーを買ってしまっていたのですが……。長さ約8センチ、色はご覧の通りのコーヒー色。ちょっとブラウンがかったような色合いです。濃い割に透明感が高いところも好印象。最後も最後、4時に会場が閉まる15分くらい前に、「正直ちょっときついんだけど」と言われながらおまけしてもらいました。なぜ、そんなにまでしてこの石を買ったのか。決め手は数です。これを買えばキリがいい数! なんてのじゃありませんよ。右下の写真に注目して、ファセット(錐面)の数を数えてみて下さい。右側に光を反射してちょっと白っぽく見えている2つの菱形の面は錐面ではありませんよ。1、2、3、4、5……そう、この水晶は水面が5つしかない変わり種なのです。普通の水晶は柱面が6つの6角形で、錐面も6つ。ところがこの石は、面がひとつどこかに消えてしまっているのです。時々、錐面がとても小さく細くなっていて、よーく見ないとわかりにくいものがありますが、この石はよーく見てもわかりません。お店の人も気が付いていませんでした。マラウィの水晶は、一見まっ黒で光に透かすとインク・ブルーというすてきな石を見せていただいて以来気になっていたのです。さすがにインク・ブルーの石はありませんでしたが、マラウィのスモーキーがこんなにきれいだとはちょっと驚き。それに加えて5面の変わり水晶と来れば、私にとってはちょっとした掘り出し物です。しかも、ちょっぴり逆三角形もくっついていたりして(右上)。水面に浮き出た三角形をレコードキーパー、くぼんだ(凹凸両方あるという説もあり)逆三角形をトライゴーニックというのだそうですが、池袋の会場で6面全部に逆三角形がこれでもかと言うほど連打された石を見せてもらったので、それとくらべると逆三角形の具合も違うので、これはトライゴーニックと呼ばれるものではなさそうです。で、買ったあとにふと気が付いたら、2003年の池袋ショーでも最後の最後にこの店に飛び込んで、おまけしていただいてました……。すみません……。2005年こそは、もっと早く来ます。
2005/01/05
コメント(4)
あけましておめでとうございます。2005年も「虚空座標」をよろしくお願いいたします。……と、お願いしてしまうからには、私の方もがんばらなくてはいけません。なのでちょっと気合いを入れての新年第一号です。タイトルの通り、ネタは火星。実は、1月4日は火星に小型火星面車(ローバー)が着陸して1周年にあたります。最初は3ヶ月の運用予定だったローバーの一号機「スピリット」は、予定を遙かに超えて今も火星の調査を続けています。このローバーには、約20日遅れで「スピリット」とは反対側に着陸した2号機「オポチュニティ」があり、火星に水が存在した証拠と思われるものを次々発見して話題になりました。その証拠とされるもののひとつである「ブルーベリー」をおぼえておいででしょうか。NASAの人たちは、食いしん坊なのか、それともたまたまおなかがすいていたのか、ローバーの調査対象となる石や岩に「スシ」だの「サシミ」だのという食べ物の名前を付けています。(食べ物でないのもありますが)そんな食べ物ネーミングの第3弾が「ブルーベリー」です。これは、直径数ミリ程度の丸い感じのつぶつぶで、まわりのオレンジ色がかった砂岩よりも灰色がかっています。「水に流されて角が取れて丸くなったものかもしれない」「火山活動で飛び散ったものがかたまったものかもしれない」……など、さまざまな説が飛び交う中で、「これと同じようなものが地球にある!」と身を乗り出した学者がいました。その学者たちの脳裏に浮かんだもの……それがMoqui marblesです。 モキ・マーブルというより、シャーマン・ストーンと言った方が通りがいいかもしれません。サンダー・ストーンと呼ばれることもあるようです。採掘される地層の年代から、2億2千万年以上古いものだとする説もありますが、私はこの数値についてはどうかなと思っています。(理由は後述します)ネイティブ・アメリカンやアステカ族などが呪術的な目的で用いたと言われています。天然の状態で丸いその形が人々に神秘性を感じさせたのかもしれません。……で、この石の正体が何かというと、ヘマタイトなのです。もうちょっとくわしく言うと、砂岩のまわりをヘマタイトがぐるりと覆っているもので、私が見た写真では、ちょうどゆで卵の黄身の部分が砂岩、白身の部分がヘマタイト、という感じでした。写真のモキ・マーブルは2004年の池袋ショーで手に入れたもので、お店の人に火星の「ブルーベリー」との関係があることを教えていただきました。モキ・マーブルは1ミリ程度のものから20センチのビックサイズまでさまざまな大きさがあります。お店で見かけるのはころんと丸いものが多いですが、中には2つ3つがくっつき合った「だんご三兄弟」なものあります。一方「ブルーベリー」にも「だんご三兄弟」なものがあるようです。ただし、地球産のモキ・マーブルの鉄の含有量が数パーセントから30パーセントほどなのに対し、「ブルーベリー」はほぼ純粋な酸化鉄である点が異なっています。ところで、このヘマタイトの存在が火星に水があったことの証拠のひとつといわれています。オポチュニティが着陸したメリディアニ高原は、以前の調査からヘマタイトが多い場所であることがわかっていて、ヘマタイトが水のある場所でできることが多いので、この場所にはかつて水があったのではないかと考えられてきました。それが、今回「ブルーベリー」が発見されたことにより、水の存在の可能性がさらに高まったのだそうです。というのも、地球上のヘマタイトは水のそばのほかにも火山噴火によっても形成されるますが、火山の噴火で形成された場合には、同心円の模様が現れるのだそうです。しかし、「ブルーベリー」には(写真で見る限り)、同心円の模様が現れていません。また、地球の「モキ・マーブル」が地下水によって作られたことがわかっているため、「ブルーベリー」の形成にも水が深く関わっていると考えられるのです。モキ・マーブルがどのように作られたのかというと、もの自然球体が発見されるユタ州の砂漠(ナバホ砂岩)は、約2億年前のジュラ紀から今に至る砂漠の残留物が石化したものです。砂岩のもとになった砂は、現在オーストラリアの砂丘で見られるように鉄分でコーティングされてオレンジ色をしていました。砂が石化し砂岩になったあと、水が何層にも流れ、砂岩を洗浄し、そこから酸化鉄をはぎ取っていきました。そうやって水に流された鉄がモキ・マーブルを形成したのだというのです。同じ水でも海の底や湖では層状に堆積するだけですが、このように丸くなるのは地下水の作用によるものだとする説もありました。☆つまり、酸化鉄を含んだ砂岩の中を水が流れることで鉄分が凝縮され、地下水脈の中でころころ流されていた砂岩のかけらのまわりにくっついていった……ということなのでしょうか。(※☆印から以降は私の想像です。)前述した、モキ・マーブルが2億年以上の年月を経た古いものだとする説に頷けない理由はここです。たしかに地層はジュラ紀のものかもしれませんが、モキ・マーブルそのものは砂漠が石化して以降に形成されたのですから、もっと新しいはずです。また、地球でこのような沈殿物が作られる際にはバクテリアなどがそのスピードを速めることがわかっているため、火星の球体と微生物の活動との関連性についての研究が予定されているといいます。原始の地球や火星には隕石が降り注ぎ、そこから揮発した二酸化炭素を主体とする大気に包まれていました。隕石の衝突が少なくなると惑星は冷えはじめ、大気中の水蒸気が雨となって降り注ぎ、海を作りました。火星にも水が流れたと思われる痕跡が残っていることから、かつては大量の水があったと考えられていましたが、今回の「スピリット」と「オポチュニティ」の活躍で、実際に水が存在した可能性が高まったというわけです。もしかしたら、このころの火星は地球と同じような青い星だったのかもしれません。しかし、火星の赤道は半径は地球の約半分強。その大きさが地球と火星の運命を隔てたと言えます。それなりの大きさのある地球の中心はまだ熱くマントルの対流が起こっています。それによって二酸化炭素の循環がおこり、地球の環境は一定範囲内に維持され、常に液体の水が存在し続けました。しかし、火星ではその小ささが災いして冷却が遙かに早く進み、火山活動も停止してしまったのです。また、重力も弱いために火星の大気は宇宙ヘと拡散してしまいました。では、火星に海があったのはどれくらいの時間だったのでしょうか。クレーターの浸食具合によって計算したところによると、8~10億年間は火星に海があったとする説があります。地球では地球誕生から約7億年で生命が誕生していたことを考えると、火星にも生命が誕生していた可能性はあります。シャーマンストーンがあるナバホ砂岩の小さな穴にはバクテリアが存在するそうで、同じような「ブルーベリー」が存在する火星の岩からも、もしかしたら生命の痕跡が発見されるかもしれません。「生命はきっと道を見つける」……とは、個人的に映画よりもずっとおもしろかった「ジュラシック・パーク」の原作の中で登場人物がつぶやく言葉ですが、もしかしたら、痕跡どころか生命そのものが見つかるかもしれません。
2005/01/04
コメント(9)
全23件 (23件中 1-23件目)
1