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2012.08.29

　三重県四日市市内を走る近鉄内部（うつべ）線、八王子線が、存続の危機にさらされています。

　この内部・八王子線は軌間７６２ｍｍの「特殊狭軌線」です。乗客は決して少ないわけではなく、といって他路線と直通運転するような大きな需要もなく（湯の山線もかつて「特殊狭軌線」でしたが、観光資源の存在などのため１，４３５ｍｍの「標準軌」に改軌されました）、日本ではきわめて数少ない特殊な路線です。
　しかしながら、乗客減少や車両更新費用などの問題があり、近鉄としては鉄道は廃止、ＢＲＴ化を考えているという状況のようです。

　どこの路線でも乗客減少はしているというのもありますが、この路線の存続への障害となっている大きな原因は、特殊狭軌線ゆえの「特殊性」です。
　まず車体更新時期を約３年後に控えています。車体更新の問題は他路線も存在しますが、たとえば伊賀鉄道（旧・近鉄伊賀線）は、東急から車両を購入してこの問題をしのぎました。しかしこの内部・八王子線にはその手法は通用しません。
　仮に新しい車両を導入するにしても、特殊狭軌線ゆえに、一般路線の電車よりも車両はどうしても製造費が高くつきます。かといって、他路線の軌間と同じくする（改軌）も、今更用地に余裕もなく、それだけの投資効果が見込めるとも思えません。

　ただ、仮にＢＲＴとしても、ＢＲＴにしてしまうまでの間はどうしてもバスでの輸送となり、ラッシュ時などは渋滞するのが明白な四日市ゆえ、そうもうまく輸送の体を保てるのかという疑問もあります。

　それでも、現況のところは存続には厳しいと言わざるを得ません。というのも、現在は鉄道事業者が廃止を届け出れば、その約１年後に廃止できるため、決定打がない限りはこの方向に向かうと思われます。

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