夢工房 『浩』~☆”

夢工房 『浩』~☆”

PR

カレンダー

お気に入りブログ

いつもと違う場所で New! dekoponさん

美しい和紙でお洒落… lincl-ideさん
■Lifenaviの幸せの法… lifenaviさん
不良中年倶楽部 不良中年倶楽部さん
遙かなる悠久の古典… 美歩鈴さん
ぴよのおうちへよう… ぴよ0156さん
父ちゃん第二の人生… 父ちゃん第二の人生だよ!さん
ゆうあい工房 ゆうあいママtosaさん
渡り鳥が結ぶ友和の… gusinさん

バックナンバー

2025年11月
2025年10月
2025年09月
2025年08月
2025年07月

プロフィール

夢工房 『浩』

夢工房 『浩』

フリーページ

宝の地図の作り方


ジム・ドノバンの宝の地図


ジム・ドノヴァン


般若心経


生きて死ぬ智慧 柳澤桂子


新聞について


各社新聞


使い勝ってよくすんべぇ~ww


こっから富士山のライブ映像が見れるぞ!


富士山の写真でバーナーを作っちゃおう!


小説のページ


チルドレンズプラネット


サイ(超能力学級) 1


サイ(超能力学級) 2


サイ(超能力学級) 3


サイ(超能力学級) 4


一行詩、三行詩、自由詩


<風・アゲーンスト>


<シュールな雪だるまさんへ>


<砂浜にて  トコ7さんと合作>


こちらはパロディむかしばなし


つるの恩返し


桃太郎のその後


浦島伝説


おおきなかぶ


つるの恩返しv2


傘地蔵


一本の藁


三匹のこぶた


シンデレラ


赤ずきんちゃん気をつけて


桃太郎伝説;その後のその後


心理学瓦版


ジョハリの窓  


100匹目の猿


心理学用語辞典


追想(自分史の材料)


雪の日


ある海で


城山の見える町


悪友溜まり場の下宿(S県W市中学時代)


父の事、母の事


大失敗!(S県W市の保育園)


クリスマスの思い出


初恋


成人の日の思い出(18歳未満閲覧禁止)


高校の思い出。部活は・・・


初めての映画


test


超ひも理論


喜びの種を蒔こう


愛の手渡し


ヒント


お経


弥勒菩薩様


観音菩薩様


阿弥陀如来様


四弘誓願


お気に入りのスポット


セロリ畑


竹採公園


富士見水族館


いただきもの


マリリンさんからいただきました


トコ7さんからいただきました


ふ~さんからいただきました。


黒帽子さんから頂きました


ぴよさんから頂きました


大村父ちゃんから頂きました


hatupaさんより頂きました


akieさんから頂きました


杏樹☆さんから頂きました


ゆうあい工房ママさんから頂きました


俳人山頭火


愚を守る(俳人山頭火遺稿)


よい句はよい人からのみ生まれる。


碁中庵漫談筆


メモ


脳に関するリンク


『宇宙の存在に癒される生き方』


メモ


バナー一覧


好きな言葉







.



画像倉庫


.


/


/




英語・中国語・韓国語


平和の祈り


ベクターホームページ


一にデッサン二にデッサンの部屋



2004年12月10日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類



出来るようになりましたが、

昔は親の決めた結婚というのがありまして、

ましてや丁稚奉公と名ばかりの妾という時代も

あったようです。

昔、熱海の温泉宿にお雪という娘がおりまして、

不自由ない暮らしを大旦那おかみと三人で

暮らしていたそうな。

ある時お役人が客で来て、

たいそう娘を気に入られたそうで、

大旦那を呼んで気に入ったから

娘をくれと言う。

最初は断っていた大旦那も、

その役人にお金やら吉原へ遊興に連れて行ってもらうに

つれ断りきれなくなったよう。

娘のお雪には不憫だが温泉宿も

ご用達のお墨付きになると言われたから仕方ない。

毎晩、おかみと娘に理を話しそうすることがいいのだと

言い含めておったそうじゃ。

ところが娘には好いた男がいて、又衛門という

漁師の息子、いい仲だったという。

ある夜又衛門はお雪を連れて逃げてしまう。

「又衛門さま、雪は二人でここに来れて

うれしゅうございます。」

と雪は又衛門に擦り寄ると、

うむ、と頷きほうほうの呈で逃げたようで

髪の毛はざんばらとなり着ている着物もはだけている。

雪の着物は乱れてはなく商家の娘らしく

柄もつつましい成り。

暗い中でも手を取り合って小さい明かりを頼りに

かれこれ一時ばかり歩いてきた。

やがて小さな明かりが大きくなって二人は

野原へ出た。

霧が立ち込めていてよく前が見えない。

「雪、これはどういうことだ。

私たちはまた元へ戻ってしまったのだろうか。」

又衛門が言うと、

「雪はどこに行っても、又衛門さまといられれば

本望でございます。」

雪は答えた。

暗いところから明るい所に出たからか、

又衛門と雪は安心して抱擁を交わす。

「さ、お雪、また追っ手がくるやも知れませぬ。」

又衛門は雪の手を取って霧のかかった空の下を歩き出す。

半時ばかり行くとちいさな池が見え、

その横に小さな小屋があった。

四畳半位の広さの畳の真ん中に囲炉裏があり、

鍋もつるされている。

畳ではなく板の間だが、

莚がしいてありしばらくは過ごせそうだと

ここに居座る事にした。

お腹は空いていないか、喉は渇いていないかと雪に尋ね、

又衛門の目を見ながら首を横に振る雪。

二人は安心して、しばらく横になる。

横になって寝てしまうと二人は夢を見た。

「父さま、いくらなんでもあの方の妾にだけは

なりとうございませぬ。」

「何を言うか!

この店が藩ご用達の一つに加えられ

末代まで安心して皆くらせるようになるのじゃぞ!」

「雪には好いてる人がございます。」

もうその話はよせ、と言わんばかりに蔵の中へ連れて行き、

錠前をかける。

ひんやりとした部屋で夜通し泣き通す雪。

影で見ていた母は不憫に思い大旦那が寝ている間に

蔵へ行き錠前を外す。

これからはあなた方の思い通りに生きてみなさい、

と目だけで物を言い、

裏木戸の外で待ち構えたように又衛門に雪を引き渡す。

二人は母親に今生の別れと頷き夜の街に消える。

そのままここへ来たようでもあり、そうでもなかった。

小さな宿場町の事、役人に言われて用心していた浪人に

気がつかれ追いかけられた。

気がつくと真鶴岬の先。

二人は追い詰められて、気がつくと

野原の中の小さな池のほとりの小さな小屋にいる。

二人は互いの小指に結んだ糸の後を見た。

少し食い込んだ糸の後は暮らしと共に消え去っていく。

質素ながら穏やかな二人の暮らしは

池のほとりで何十年のようにも感じられたし、

二ヶ月のようでもあった。

やがて二人は思い思いにいろんな場所へ歩き出す、

いや宙を浮いているようにも見えたようじゃ。

そしてあるところへ出たという。

匂いかぐわしい美しい花が当たり一面にあり、

透き通ったようにきれいな人たちが

その上を往来していたんじゃ。

どうやら別れの時が近づいたと、

お互いが気づきそれぞれ行き先が違っていても

また会いましょうと言って、

互いに手を振りながら遠ざかる。

この先、生まれ変わっても

また一緒になれると思いを胸に刻んで。

さらに年月が立ち二人は地上に降り立つ事になる。

又衛門だった魂は数十年も先に来てしまったようで、

雪に巡り合えないでいる。

そうこうしてるうちに他の女御を娶り、

息子も出来て年月が経て爺になるときがきた。

「おおーやっとおなごが生まれたか」

と爺になった又衛門は言った。

見ると懐かしい雪の面影があった。

よしよしとあやす爺、

「ずいぶんおそかったなー」と赤子に言い聞かす。

すると又衛門だった爺はびっくり!

赤子が急に物申した。

「又衛門さん、遅れてごめんなさいまし。

ちょっと化粧をしてまして。」

(完)













お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年12月11日 07時42分58秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: