過去に物質を送り出せるものの、滞在できる時間はわずか10分たらず、そしてその時が過ぎると副作用のように時の流れに引っ張られ、元の時代よりも先の時代に飛ばされてしまう。それは過去に遡ればのぼるほど、そして過去にしがみつけばしがみつくほど、その反作用は大きくなる。 今その瞬間に起こってしまった事故から大切な人を救いたい!!過去に無くした大切な人を救いたい!!亡くなってしまってから実は大切だったと気がつき、その大切な気持ちを伝えたい!!そんな気持ちで過去に遡った人のほとんどは、現代にまともに帰ることもできず・・・もうその大切な人に会うこともできない。大切な人に逢えるわずかな時間、又は救うために払うその対価はあまりにも大きい。大切な人との大きな時間の差は、次元の差といってもいいほど遠く・・・。
タイムマシンにまつわる話としてはありがちですが、その人々の気持ちや絶妙な時間の「差」による軌跡と奇跡が織りなすお話は、この小説を読んでいた電車通勤時代に、危うく通勤途中の電車内でポロポロと涙を流してしまいそうになる思いで、ページをめくることとなりました。