第1話から52話まで特命課のナンバー2として活躍し、アメリカに渡っていた 桜井刑事(藤岡弘、)が復帰するドラマが、103、104話の2週連続で放送された「帰って来たスキャンダル刑事」です。
桜井VS橘
超エリート刑事としてアメリカでも特別な任務にあたっていたはずの桜井でしたが、現地ですっかりアウトローな刑事に豹変してしまいました。事実上の国外追放の形で日本に戻ってくることになったのです。
「席を空けて待っている」と送り出してくれた神代課長(二谷英明)は長期出張で不在。蒲生次長(長門裕之)が代理を務めていましたが、事実上の特命課キャップは 橘刑事(本郷功次郎)でした。
桜井は、ある犯罪者を追って日本に戻って来たのですが、特命課には加わらず、独断専行でダーティーな捜査をします。部下だった津上刑事(荒木しげる)はその豹変ぶりに唖然とし、怒りの言葉さえぶつけるのです。
大掛かりな麻薬組織を追う桜井に振る舞わされる特命課の刑事たち。その中で、橘刑事だけは組織とつながりのある男の家族を守りたいと、子供につきっきりになっています。その誠意が男の自供を引き出したのです。
組織の取り引き現場で、橘は桜井に対し「お前には俺のやり方はできないだろ?俺もお前のやり方はできない。それだけさ」と言い、さらに「お前が復讐の虎だったら、 俺は牛だ、牛でいいよ」と微笑みます。
桜井の復帰というキャスティングは、ともすれば「両雄並び立たず」の状況を生み出す恐れもありました。しかし、この前後編を通して、二人の違いを明確に示し、同時に「並び立つ」ことも示していたのです。
蒲生次長の存在
当時、神代役の二谷英明氏は、ドラマのロケ中に大けがをして離脱していました。長期出張中という設定を行い、代理として課長を兼務していたのが 長門裕之氏扮する蒲生警視。長門氏の友情出演だったそうです。
神代と蒲生はライバルであり、よき友人でもありました。神代には「カミソリ」、蒲生には「稲妻」の異名があり、切磋琢磨して出世してきたのです。そのキャラクターは正反対と言ってもいいでしょう。
「冷徹」なイメージがある神代と比べ、蒲生は 「直情径行」という感じで、課の雰囲気もガラリと変わりました。暴走する桜井に右往左往させられますが、一方で決断した時には腹をくくる度胸も持ち合わせていたのです。
蒲生次長は事件後、特命課から姿を消しましたが、おそらく桜井の監督責任を取らされたのだろうと推察されます。その理由は、その後の 「窓際警視」シリーズでの準レギュラー化からも読み取れます。
なお、ドラマのラストで「桜井刑事は再び特命課に配属された・・・警部の肩書を奪われて」とテロップが出ます。降格処分を受けたようですが、懲戒免職にならなかっただけマシだったということでしょうか?(苦笑)
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