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2017年12月10日

プリンス スカイラインスポーツ BLRA-3 R21-A/B



今回は、以前ウルトラマンシリーズの際に取り上げたスカイラインスポーツについて改めて考察してみようと思います。

元々スカイラインスポーツというクルマは当時のプリンス自動車が1962年に発売した当時としてはスタイリッシュな2ドアクーペとコンバーチブルタイプのクルマです。


そんなスカイラインスポーツですが、現在殆ど残っておりません。
生産台数の割には残存数は多いのですが、絶対数が少ないので有名な割にはまず走っているところにお目にかかることは無いレア車の筆頭かもしれませんね。


そんなスカイラインスポーツですが、少なくとも現在でも2桁以上の残存は確実な状況です。

日産に2台、日本自動車博物館に少なくとも1台、先の懸賞品としての1台の他にも私自身実際に目にした事のあるスポーツは複数台あります。


スキャン0002.jpg

これは 以前の記事 で書いた懸賞についての1961年当時の広告
前回のブログを書いたときには手元の資料が見つからなかったので今回こちらに掲載します。

これによれば、期間中に対象のプリンス車の購入一台につき抽選券一枚が貰えたようですね。
と、言う事は何台も買えばその分だけ当選確率が上がったということですね。
どのみち、欲しければ車を買わないと無理ということですが・・・


その他にも個人オーナーさんやショップ所有のものなど複数台確認されているので、生産台数からするとかなりの残存数ではないでしょうか?
DSC02775.JPG
日産自動車に保管されている2台のスカイラインスポーツ
青いほうはプロトタイプの一台なので、インパネのメーター等が後の生産車と違う。
グリルのエンブレムも実は違ったりする。

ゴールドのほうは個人オーナーさんのお宅に長い間保管されていたものを寄贈したもので、ガレージからサルベージしてきた個体。
長い間ガレージ内に保管されていた為に程度は良かったらしい。

この貴重なスカイラインスポーツですが、残念な事に特殊すぎる事が災いして部品供給は絶望的です。
旧プリンス車のパーツについては殆ど壊滅的な状況なので(これは旧車全般に言えることですが)エンジンやブレーキ関係については何とかなったとしても、外装等の専用部品についてはまず無いといってよく、今後維持管理をしていくにはかなり厳しい状況であります。
少なくとも私自身パーツリストの存在の有無も知りませんので(一応あったことを匂わせる記述は見たことがありますが)外装パーツの部品番号等も調べようが無いのが現状なのでは。

実は、スカイラインスポーツは一台一台がハンドメイドで作られていたため微妙に各車寸法が違うようで、モール類などは個々にシリアルナンバーが刻印されており、他の車とは合わないらしい。
そんなクルマなのでもしかすると外装品等は後から注文するにもオーダーメイド扱いだったのかも知れないですね。

とにかく残っているだけでも有難い、といえるであろうスカイラインスポーツですが、これからも末永く維持していくには前途多難なクルマなのは間違いありません。
あるオーナーさんは無い部品は特注で作っていましたが、それが出来るのはごく一部の人だけだと思うので、相も変わらず未だに庶民には高嶺の花なクルマですね。


話は変わりますが、このスカイラインスポーツは生産途中でメーカーの型式呼称の変更があったために2種類の型式が存在します。

初期は BLRA-3で、後期は R21-A(クーペ)及び R21-B(コンバーチブル)となります。(初期は型式によるクーペとコンバーチブルの区別は無い模様)

形式の変更は1962年に行われているので、スカイラインスポーツは初期のみBLRA-3なのですが、確認出来た実車としては車両番号が一桁のクルマはまだBLRA-3(懸賞品のクルマ)で、クーペの車両番号20番代前半のクルマでは既にR21になっていました。

エンジンルーム内に付くシリアルプレートについては、タイプ別に少なくとも3種類確認できています。
どのプレートがどのタイミングで切り替わったのかは分かりませんが、最後のタイプはS41D-1のものなどと同じタイプです。

上から、初期、中期、後期です。
BLRAプレート.jpg

1963-R21A-1プレート.jpg

R21A-1プレート.jpg



ちょっと分かりにくいのですが、プリンスのクルマは「車台番号」と「車体番号」の二つの番号を持っています。
ややこしいですが、車台(フレーム)と車体各々に番号が振られているのです。
車検証に記載されているのは車台番号で、プレートに記載されているのは後期のプレートの場合は車両番号のみです。(車体番号=車両番号か?)
ただし、古い年式のプレートには両方の記載があったりしますので、このプレートの考察だけでも結構面白そうです。

このスカイラインスポーツは、アレマーノ製のプロトタイプといわれている実車も現存しているので、もし見ることが出来たらプレートがどうなっているのか興味のあるところですが、そもそもプレートがあるのかどうかも分からないので機会があれば是非確認をしてみたいです。

また、以前の記事でスカイラインスポーツにG7エンジンを搭載していたら・・・
というようなことを書きましたが、当時実際に6気筒エンジン搭載の試作車が存在はしていました。
確か昔のノスタルジックヒーローの記事で写真があったと思います。

最近の書籍であれば、 以前の記事 でも紹介した「 プリンスとイタリア 」にも写真が載っています。
プリンスのスポーツ車課で試作したそうでボンネットにはエアスクープがあり、グリルも目の細かいメッシュ状のものではなく粗い格子タイプで市販車とは違うものが付いています。

生産数などの記載はありませんが、おそらくこの一台のみでしょう。

では実際にスカイラインスポーツの生産数は何台だったのか?
以前の記事には240〜250台位の生産を計画していたが実際には60台程度しか生産されなかった、と書きました。

多くの資料でも上記の台数が書かれているので公式な数字としてはある程度の信憑性がありそうですが、販売台数については53台という説と45台という説のほかに40台ほどという話があります。
この40台という記述の本によると、生産数も45台ほどと書かれており、今までの話よりも少ない台数です。
計画台数についても200台と書かれており、実際にガラス類は先行で200台分の発注をしていた・・・など

私が見た資料、というよりも市販の書籍等での確認でしかありませんが、53台というのは日産の広報誌の記事に書かれていた台数で、45台というのは「プリンス自動車—日本の自動車史に偉大な足跡を残したメーカー」に書かれていた記事によります。
40台というのはこちらも「プリンスとイタリア」に記載があったもので、当時を知る人の書いたこの記事の信憑性はどうなのか?


素人には判断が付かない部分なので答えは出せないのですが、当時メーカーが運輸省に提出していた生産車のフレームNoの資料などが入手できれば・・・答えが出るのかもしれません。

知人のところにはS54の車体番号と登録年の資料があるとのことなので、同じような資料があることを期待してこれからも調査をしてみようと思います。

とりあえず今回はここまでです。
何か新しい情報が入手できましたらまたお知らせします。

ではまた

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    子供の頃から古いクルマに興味があり今に至ります。同時に旧国鉄とWW2ドイツ軍も好きで、細々とですが現在も趣味として継続中。 主に旧車趣味について書いていこうと思っていますが、たまに脱線して昔話や鉄道絡みの話、ミリタリーの話も出てくるかもしれません。
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