市内を歩いていると、朝からバーがオープンしていた。特に朝ご飯を出している訳でもなくて、ビールをメインに軽いツマミがある程度だが、なぜ朝からやっているのに疑問を抱いたがフラッと入ってみた。大通りに面しているので人の往来を見ながらビールを飲んでいたら、背の高い老人が入ってきてビールを頼んだ。現役を引退した軍人といった所だろうか、やたら筋肉が付いていてゴツい。自分の隣に座ってきて「日本人ですか?日本語を話すのは久しぶりです。」と話しかけてきた。ほとんどパーフェクトな日本語だが、若い時にはペラペラだったみたいだが話さなくなると忘れてくるので久しぶりに話せて楽しいみたいだった。その老人いわく、このマンダレーには昔に関東軍が駐留していて、この街のインフラ整備や教育を現地のビルマ人にしたりして、かなり友好の絆を作っていったらしい。日本は侵略をする為にマンダレーにいたのではなく、白人からの侵攻をアジア各地で抑えようと抵抗していたのだった。その老兵は、日本人から教えてもらった事や、ここでの活動などを詳細に教えてくれた。むしろ、昔の話をしたかったのかもしれないが、かなり日本と日本人が好きな人と言う事が分かり嬉しかった。話とビールが進んで行ったが、話の終わり頃に「ところで、◯◯少尉は元気ですか?」と聞いてきたが、自分に言われても、その方が生きているのか、どこにいるのかも分からず、その老兵には悪いが嘘をつくしかなかった。元気にしてます。と。久しぶりの日本語が話せる事と、過去の話を話せる事の喜びが老兵に見えてしまい、そのお世話になった日本兵が生きているのか知りたいと言われて困惑したが、その老兵の話にピリオドを打ちたくなかったので、◯◯少尉は生きていると言わざるを得なかった。これほどの生き証人がいるのに、日本政府は過去の話は聞きたくないのか。と思ってしまったが、かなり重要な話をフラッと入ったバーで聴けるなんて嬉しかった。二度と会う事はないだろうが、日本に近いうちに行ってもらいたいと思った。その老兵は、凄い楽しい時間を過ごした。と言い自分の分まで払ってくれてバーをあとにした。
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