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2024年02月18日

確定申告|株式等運用の節税目的で申告する際は住民税への影響に注意!

所得税と住民税では、株取引に伴う所得(譲渡及び配当等)の捉え方に差異があるため確定申告には注意が必要です!

確定申告で所得税が軽減できたとしても、住民税ではかえって負担増に繋がり、住民税を元にする介護保険料等の負担増を招きかねません! 

昨年までは、「住民税不申告制度」によって住民税では確定申告と異なる課税方式が選択できましたが、この制度が廃止されたため、住民税は、確定申告と同一課税方式によって算定されることになりました。 

このため、株式等の譲渡所得や配当所得の税軽減のための確定申告される場合は、同じ課税方式によって所得が認識されるため住民税等への影響を勘案して課税方式を選択するように留意する必要があります。

1.住民税の「不要申告制度」が廃止されました!

昨年までは株式等運用に関わる節税のための確定申告をした場合、住民税では確定申告と異なる課税方式(総合課税方式か分離課税方式)が選択できたので住民税への影響を気にせずに確定申告ができました。

しかし、昨年の税制改正で、住民税は確定申告と同一の課税方式が適用される事になったため、住民税への影響を考えて所得税の確定申告を行なう必要があります。

2.株取引に伴う確定申告が住民税等では負担増を招く場合があるので注意が必要です!

所得税と住民税では、所得に対する課税の考え方が異なる部分があります。 

国税と地方税の背景が異なり、株式等の譲渡所得や配当所得の捉え方に大きな差異があります。 

所得税法では、株式等取引で生じた過去の損(=「繰越控除」)でもって本年の利益(譲渡所得+配当所得等)を圧縮して株式等取引に伴う所得税を節減できます。

しかし、住民税では、過去の損による利益圧縮は認められません。

また、住民税での所得を算定基礎とする「介護保険料」や地方行政サービス費などでも、過去の繰越控除との損益通算による利益圧縮は考慮されません。

2)住民税は確定申告で選んだ課税方式で算定される

今年度より住民税は確定申告で選んだ課税方式(総合課税方式か分離課税方式)で算定されることになりました。

3)所得税と住民税の税率の違いに注意が必要!

株式等取引に伴う収益(譲渡所得+配当所得)に対しては、所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が0.315%の税金がかかります。 

一方、給与等の収入には、所得税は、年収650万円までは税率10%、それ以上の年収の場合は税率が高くなる累進税率が適用されますが、住民税は収入に関わらず一律10%の税金がかかります。

4)所得税で節税できても住民税で負担増に繋がる可能性がある

住民税が確定申告と同じ課税方式で算定されるため、確定申告で「分離課税方式」を選択し損益通算によって節税できても、住民税では、分離課税において損益通算のための過去の繰越控除は認識されず本年度の譲渡所得(含む配当所得)のみが認識されることになるため、住民税では税負担が増大することになる場合が出て来る場合があります。

逆に、確定申告で「総合課税方式」を選択して「配当控除」を受ける場合、住民税では、配当所得によって課税対象金額が増えて負担増になる場合が出て来る場合があります。

5)確定申告での課税方式の選択は住民税への影響を考慮して決める事が重要不可欠!

上述の3)のような事が起こり得るため、株式等の譲渡所得や配当所得を確定申告する場合は、住民税への影響(跳ね返り)を見極めて課税方式を選択することが不可欠となります。 

このため、ややこしい場合は、e-Taxを利用して、両方の課税方式でどちらが有利かを試算されることをおすすめします。

3.住民税の節減は介護保険料等の節減に繋がる!

確定申告が所得税ばかりでなく住民税の節減に繋がれば、住民税を基に算定される介護保険料等の節減につながります。

 但し、 介護保険料の算定においては、過去の損失(繰越控除)との損益通算は認められずに、今年度発生した利益(譲渡所得+配当所得)のみが所得に加算されることにより、かえって介護保険料負担が増す可能性があるので注意が必要です。

4.最後に

所得税と住民税の算定では、株等の譲渡・配当所得等についての捉え方に若干違いがあり、今年度から確定申告で選んだ課税方式が住民税でも適用されることになったため、株等運用の節税で確定申告する場合は、住民税への影響を勘案して課税方式を選択する必要があります。 

住民税の算定所得は介護保険等へ用いられるため確定申告での課税方式の選択には注意が必要です。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーーーーー 完  ーーーーーーーーーー

下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2024年02月17日

確定申告|妻の株取引の確定申告は夫の配偶者控除を適用外にする可能性大!

配偶者控除対象の配偶者が株運用での確定申告をすると「配偶者控除」が適用外になってしまう可能性が大きいので注意が必要です!

専業主婦が夫の扶養内である証となる「配偶者控除」の適用を受けると夫には以下の様な大きなメリットが得られます。 

?@「配偶者控除」適用で所得税・住民税が軽減される(年収により 年間約5〜11万円

?A被扶養者の社会保険料負担が大きく軽減される(保険料を払わずに納付と見なされ国民年金受給ができる) 

?B会社から家族手当等の支援が得られる(会社規定により1〜5万円)

しかし、配偶者がパート勤務に就く場合や株取引等に伴う確定申告する場合には「配偶者控除」が適用外にならないよう留意する必要があります! 

当記事では、配偶者の株取引等に伴う確定申告が配偶者控除の適用に与える影響について留意点をまとめました。

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?T.「配偶者控除」とは

1.「配偶者控除」の特徴

1)「配偶者控除」は家庭を守る専業主婦に配慮した税制度

所得税や住民税では、配偶者が専業主婦で収入が少なく一定の要件を満たせば、納税者の税を軽減するための「配偶者控除」が適用されます。

「配偶者控除」は、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる「所得控除※」です。 

※所得控除とは、 納税者の生活状況に合わせて所得額から一定額を控除する制度

なお、「配偶者特別控除」は、専業主婦が、家業のかたわらパートや副業などをやり易くするために「配偶者控除」の枠を広げたものです。

2)「配偶者控除」のメリット

(1)納税者にとってのメリット
?@所得税が軽減できる  

⇒「配偶者控除額」×「本人の所得税率」 例 控除額38万円で本人の所得税率10%の場合 → 38万円×10%=3.8万円の還付金

?A住民税が軽減できる

⇒「配偶者控除額」×「10%の住民税率」例 控除額33万円の場合 → 33万円×10%=3.3万円分が次年度住民税で負担軽減される

?社会保険等の負担が軽減できる

・会社員の場合、配偶者を健康保険や厚生年金保険の扶養に入れられる。 ・会社員の場合、(制度があれば)家族手当の対象にできる。 ・住民税をもとに算定される国民健康保険料、介護保険料、児童手当、保育費、教育費などの負担が抑えられる。

(2)配偶者のメリット
?@配偶者の所得税負担が発生しない

夫の「配偶者(特別)控除」を受けることによって、配偶者の「所得税負担」は発生しない。

?A配偶者の住民税負担は発生しない。

夫の「配偶者(特別)控除」を受けることによって、配偶者の「住民税負担」は発生しない。 ※以下では、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」を含めて「配偶者(特別)控除」と表記します。

2.「配偶者控除」の適用を受けるための要件

「配偶者控除」は 次の要件を満たす場合に適用されます

(1)配偶者と生計を一つにしていること

(2) 納税者本人の合計所得金額が年間1000万円以下であること

(3) 配偶者の年間合計所得が次の要件を満たすこと

なお、合計所得は、「給与所得」だけでなく、株取引きで得た譲渡所得や配当所得、あるいは、不動産所得、事業所得、公的年金等の雑所得など合計した金額(純損失または雑損失等の繰越控除を適用する前の金額)のことをいいます。 

また、 株取引きで得た譲渡所得や配当所得については、詳細は(4)で述べますが、「特定口座の源泉徴収あり」を選択しておれば合計所得に含める必要はなく、配偶者控除の判定から除外されます!

但し、株式取引で確定申告する場合は、配偶者控除の判定に算入されてしまうので注意が必要です!

[配偶者控除の合計所得要件]

名称 配偶者の年間合計所得
配偶者控除 48万円以下(給与収入で言えば103万円以下)
配偶者特別控除 48万円以上133万円以下

※合計所得の中の「給与所得」とは、「給与収入(賞与等を含む)」から「給与所得控除(必要経費)※」を差し引いた金額です。

※給与所得控除(必要経費)

(4)配偶者の合計所得に含めなくて良い所得がある!(重要)

なお、配偶者控除の用件となる合計所得には、以下のような配偶者の所得は含めなくても良いことになっています。

◎配偶者控除の判定に含めなくて良い配偶者の所得

「非課税所得※」や次のような所得は、 配偶者控除の判定に際し配偶者の合計所得金額には含めなくてもよいことになっています。

従って、納税者の 確定申告に際しては、配偶者に以下の所得があっても一切表記しないよう注意してください。

※「非課税所得」とは「儲け」と見なされない通勤手当、慰謝料、各種手当金、宝くじの当せん金、保険金や生活用動産の譲渡による所得などが該当します。  

[配偶者の合計所得金額に含めなくて良い所得]

?@「確定申告しない」を選択した「特定公社債等の利子」、「上場株式等の配当」、「少額配当」

?A 「特定口座の源泉徴収あり」を選択した「株式等の譲渡所得」
但し、配偶者が損益通算等のため分離課税で節税のために確定申告する場合は計上が必要になる。

?B源泉分離課税の「預貯金や一般公社債等の利子」、「抵当証券の利息や一時払養老保険の差益などの金融類似商品の収益」、「一定の割引債の償還差益」

?U.配偶者が株式等運用で確定申告する際は要注意!

配偶者が、株式等で損が発生した場合に「損失の繰越控除」などで配偶者が確定申告をすると、次のような事態を招く恐れがあり注意が必要です。

1. 納税者が、配偶者控除を受けられなくなる場合がある

2.配偶者に所得税や住民税などの支払い義務が生じる恐れがある

1. 納税者が配偶者控除を受けられなくなる

1)38万円超の株式譲渡益がある配偶者が確定申告した場合

夫の控除対象配偶者である専業主婦が株式運用での確定申告した場合、繰越控除との損益通算前の段階で本年の株式譲渡益が38万円超ある場合は夫の配偶者控除の対象から外されてしまいます。

(但し、38万円超70万円未満なら配偶者特別控除が受けられます) 

従って、配偶者の税金だけを考えると、確定申告した方が有利かも知れませんが、夫の控除対象配偶者から外れることによる税負担増や、家族手当、妻の社会保険料発生などのデメリットが生じます。

参考「 配偶者控除と株式等の譲渡所得について 」(経済月報2019年2月号)

配偶控除対象の妻が確定申告で繰越した株式等の譲渡損失を使って還付を受ける場合や証券会社間の損益通算によって還付を受ける場合、納税者は、配偶者控除(配偶者特別控除)の適用が受けられなくなる場合もあるので留意が必要です。

なお、配偶者が源泉徴収ありの特定口座を利用し申告しない場合は、その特定口座内で生じた株式等の譲渡所得は、金額の多少にかかわらず「合計所得金額」に算入されません。

このため、「源泉徴収有りの特定口座」ならば繰越損失が有ろうが無かろうが、申告によるご自分の税金の還付金額と、夫の税金の増加金額、社会保険の扶養の範囲から外れないかどうか、夫が会社員なら家族手当等への影響等を充分に比較検討してから、確定申告するかどうかを決めてください。

2)配偶者控除の適用除外は住民税も同取り扱いになる

配偶者控除対象者が株式運用で確定申告をし、配偶者控除が適用除外になれば、住民税等においても同取り扱いになります。 

また、そのことにより、社会保険料負担増にも繋がります。

2.配偶者に所得税や住民税などの支払い義務が生じる

配偶者控除対象者が株式運用で確定申告をし配偶者控除が適用除外になれば、配偶者には、所得税及び住民税の負担が増加する可能性が発生します。

?V.最後に

確定申告不要の「源泉徴収有りの特定口座」で株式運用している「配偶者控除」対象の妻が株式取引で確定申告する場合、「配偶者控除」が適用除外になる可能性が高く、税や社会保険料負担の増大など世帯で大きなデメリットに繋がりかねません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーーーー完ーーーーーーーーー

関連記事

2024年02月16日

確定申告|パート年収が103万円以下だったら払い過ぎ所得税を取戻せる

パート勤務で年度末に年収が103万円以下であった場合は、各月度で徴収された所得税等は確定申告すれば全額還付されます!

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1.パート収入が年間103万円以下なら所得税はかからない!

パート勤務の場合、「扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出して非課税扱いを受けていれば、年収が103万以下の場合は、所得税等の税金は掛かりません。 

しかし、その場合でも、月額が8万8,000円を超えれば所得税が徴収されます。(詳細は後述します) 

なお、「扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出していなければ、パート勤務であっても、8万8千円にかかわらず月収全額に対して所得税が徴収されます。

※パートで非課税措置を受けるには「扶養控除等(異動)申告書」提出が必要!

パート勤務の場合、事業所は「扶養控除等(異動)申告書」の提出を求めます。
提出しない場合は、8万8千円の枠に関わらず月額パート収入が8万8千円未満の場合、3.063%の所得税が徴収されます。

1)会社員(含むパート)の給与収入にかかる所得税

パートを含む会社員等の給与等にかかる所得税は、年収ベースでは以下の様に算定されます。

所得税=(年収−給与所得控除−所得控除)×所得税率

つまり、「所得税」は、「年収」から「給与所得控除」と「所得控除」を引いた「課税所得額」に「所得税率」を乗じて算出されます。

?@「年収」とは

年収には、給与や賞与の他、給与の支払者から商品を無償や安く譲渡された際の利益なども含まれます。

?A「給与所得控除」とは

経費に相当するもので年収に応じて下表の様に決められています。 

表からわかるように、 「給与所得控除」は、年収がどんなに低くても最低55万円が適用されます。

従って、パート勤務の場合は、最低でも55万円の給与所得控除が受けられます。

?B「所得控除」とは

所得控除は、納税者の生活や 経済状況(扶養者有無、障害者有無、家族の所得状況など) によって所得額から差し引ける控除で、「医療費控除」や「扶養控除」、 「社会保険料控除」や「生命保険料控除」等の15種類があります。 

その中で、1年間の合計所得金額が2,500万円以下であれば誰にも適用されるものが「基礎控除」の48万円です。 

従って、全てのパートにも「基礎控除」の48万円が適用されます。

2)103万円以下の場合に所得税が掛からない仕組み

前項の所得税算定ルールにあるように、パート勤務の場合、年収がどんなに低くても、「給与所得控除」の55万円と、「基礎控除」の48万円の基礎控除が受けられます。

このため、この2つの控除額を合計した103万円を超えなければ、所得税は発生しないことになります。

給与収入103万円-(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)=課税対象所得0円

これが、 「103万円の壁」と言われる所以です。

2.パート勤務も月8万8千円を超えれば所得税が徴収される!

「扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出し非課税扱いを受けているパート勤務の場合でも、月収が8万8,000円を超えれば所得税が徴収されます。 

※雇い主には、所得税法で月収が8万8千円(103万円÷12か月)を超えれば所得税徴収が義務付けられている!

このため、パート勤務であっても、月額収入によって所得税が引かれるケースが多くあります。

3.年収が103万円以下であった場合、通常は年末調整でバックされる!

残業などで月収が8万8千円を超えた場合は所得税が徴収されますが、年末において年収が103万円未満であれば、通常、勤務先の「年末調整」で支払った税金は全て戻ってきます。

4.年収103万円以下だったのに所得税がバックされなければ確定申告で還付できます!

パート収入が年間103万円以下であった場合、各月度で徴収された所得税や住民税は、通常、勤務先の年末調整で払い戻しされます。

しかし、途中で勤め先を辞めたり変えたりした場合や勤務先の事情によって年末調整をしてくれない場合、或いは、副業などで源泉徴収された場合は戻りません。 

このような場合は、確定申告をすれば税金を還付してもらうことができます。

◎確定申告により住民税も還付できる場合もあります。
(補足)

住民税の課税対象額 住民税も、年収100万円(=給与所得控除65万円+基礎控除35万円)以下が無税ですが、それを超えると発生し、翌年度にも住民税支払い義務が発生します。

以上から、年間103万円以下の年収であった場合、徴収された税金が多ければ多いほどには確定申告で還付を受けることをおすすめします!

5.「配偶者控除」の適用を受けているパート勤務者本人が確定申告しても「配偶者控除」適用の不利にはならない!

パート勤務者が、夫の「配偶者控除」の適用を受けていても、年収103万円以下であれば、本人が確定申告しても夫の「配偶者控除」への影響は全くありません。 

従って、パート年収が103万円以下であった場合は、各月度で徴収された所得税が全額戻されていなければ、確定申告で還付を受けることをおすすめします!

6.補足:パート年収が150万円以下なら「配偶者特別控除」という名目で夫の配偶者控除は満額適用されます!

パートの年収が、103万円以下であれば課税所得が0円なので夫の扶養内(配偶者控除の満額適用)となります。 

しかし、収入が103万を超えても150万円以下であれば「配偶者特別控除」という名目で満額受けられます。(150万円〜201万円では、段階的に夫の配偶者控除額が少なくなります。) 

従って、年収150万円以下であれば、夫の扶養内(配偶者控除の満額適用)でいることができますが、本人のパート収入には、(所得控除項目がなければ)所得税や住民税が掛かる可能性があります。

このため、 所得税や住民税を掛からないためには、年収を103万円以下に収めることが必要です!

7.確定申告には源泉分離課税扱いの譲渡・配当所得は一切記載不要!

夫が「配偶者(特別)控除」の適用を受けている場合に、妻(配偶者)の確定申告によりパート収入以外の株式の譲渡所得や配当所得などが相当あると認識されれば不利になる場合があります。

しかし、妻が、源泉分離課税などで運用されている譲渡所得や配当所得は、一切、確定申告時に記載する必要はありません。 

従って、税還付のための確 定申告をする際には、「特定口座で源泉徴収あり」で運用している株式等の配当や売買による譲渡所得、あるいは源泉分離課税の利子所得などは、一切記載しないように注意が必要です。

参考 :確定申告|配偶者控除のメリット大!パートや株投資等での留意点

8.最後に

パート収入が年間103万円以下であった場合は、各月度で 8万8千円を超えた場合に徴収された所得税等は勤務先の年末調整で戻ります。

しかし、勤務先を辞めたり変えたり、会社で処理できなかった場合などは、確定申告すれば全額還付を受けることができます。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーー 完 ーーーーー

下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2024年02月05日

「住民税の申告不要」制度廃止により確定申告の課税方式選択にご注意!

住民税では、確定申告と異なる課税方式の選択ができなくなったため、 上場株式等の配当所得等についての確定申告では注意が必要です!

株式等の譲渡損益や配当所得の税計算においては、課税方式の選択によって納税額が変わってきます。

今年度から所得税と住民税は同じ課税方式となるため、確定申告での課税方式の選択には住民税への影響を考えて選択することが必要となります!

1.確定申告とは異なる課税方式が選べる住民税の「申告不要制度」は廃止に!

株取引に伴う節税目的で確定申告しても、住民税でかえって、負担が重くなり確定申告がしづらい面がありましたが、2016年の税制改正で、住民税で「申告不要」が行えるようになり、確定申告とは異なる課税方式を選択できるようになりました。 

しかし、残念ながら、令和4年初めに岸田政権で、この制度の廃止が検討されることになりました 従って、株取引の節税目的で確定申告する場合は、注意が必要です。

2.所得税と住民税とでは株取引の譲渡・配当所得に対するの考え方に相違があるので注意が必要!

所得税と住民税では、株式運用による譲渡所得や配当所得に対する考え方に差があります。 

住民税では、地域負担に応分の負担をという主旨から、配当控除や、過去の繰越損による本年度の利益圧縮には否定的で税負担の軽減という配慮は乏しいものになっています。

従って、確定申告で、折角、所得税節税に一番良い課税方式(総合課税か分離課税かの選択)を選んだにもかかわらず、住民税ではかえって負担が増大してしまうというケースが生じます。 

例えば、損益通算や損を繰り越すために「分離課税方式」で確定申告をすると、住民税でも「分離課税方式」が適用されます。 

この場合、住民税でも損益通算などで税還付を受けられる場合がありますが、損益通算や繰越損との相殺で益が残った部分は翌年の住民税算定に譲渡所得として参入されるため負担増になる可能性があります。 

特に、介護保険などでは、 繰越損による今年度渡所得の利益圧縮が認められず に今年度の利益(譲渡所得+配当)が所得に算入されて保険料の算定基礎に含められ負担増を招くことになりかねません。 

従って、確定申告で分離課税、特に過去の繰越損を活用する場合は、これら 介護保険料等の負担増よりも 住民税の還付金の法が大きく見込める場合を除いて得策な課税方式の選択とは言えません。

また、「配当控除」による節税目的で総合課税方式で確定申告した場合には、住民税でも総合課税方式が自動的に適用されることになりますが、この場合、住民税では、支払った配当課税5%よりも低い住民税率の2.8%しか税額控除が受けられずかえってマイナスとなります。

配当を受け取った時は、所得税で15%、住民税で5%の税金を徴収されています。

しかし、税額控除の適用を受ける「配当控除」の場合、所得税では、配当所得の10%ですが、住民税では、配当所得の2.8%しか受けられません。

このため、確定申告で「総合課税」を選択し、住民税でも「総合課税」によって「配当控除」を受けると、給与所得に配当所得が加算されてしまい住民税が高くなる可能性が大となります。

3.「課税方式の選択」は、所得税と住民税の節税メリット比較で判断する必要がある

住民税で異なる申告方法の選択ができなくなったため、確定申告の際は、所得税での課税方式が住民税に及ぼす影響も勘案して決定する必要があります。

所得税の税軽減ばかりに囚われると住民税で思わぬ負担増に招きかねません。 

従って、e‐taxで両税制での節税メリットを見極め、住民税への影響を考慮して課税方式を決める必要があります。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーーーー完ーーーーーーー

関連記事

2024年02月04日

株式等取引で損した時に不可欠な確定申告による節税対策・方法事例解説

株取引で損(配当を含めても損)した場合に、確定申告は福の神(節税補償)に変身!

「特定口座で源泉徴収選択」の場合、年間取引で損となれば、証券会社では、年度末に同口座の配当と損益通算して配当で徴収された税が還付されます。 

これは、証券会社が株式取引損益と配当との損益通算を分離課税方式で節税してくることによるものです。 

しかし、証券会社では、その年度で損(配当を含めても損が残る)となった場合や、他の証券会社口座との通算や過去の繰越控除(損)と損益通算などは行なってくれません。 

従って、これらの場合は、自分で確定申告して節税する以外に方法はありません。 

当記事では、 株取引で損(配当を含めても損)した場合に、損が福の神(節税補償)となる確定申告の方法をご紹介します。

?T.株式等運用で「損」した場合の確定申告の重要性

株式等の運用をしている場合、年度末において取引している各証券会社の口座では、売買取引での損益と配当を合算すれば益となった場合や赤字になる場合があります。 

いずれの場合も、確定申告すれば節税に繋がることが多くあります。

1. 配当込みで「益」となる場合の確定申告方法

売買損益と配当を合算して益が残る場合は、確定申告により、 

?@「他口座に損があれば損益通算する」 

?A「過去の繰越控除があればそれと損益通算する」 

などの節税方法があります。

※「 株取引の確定申告|株で儲けた時の確定申告による節税方法と事例解説

2.配当込みでも「損」となる場合の確定申告方法

売買損益と配当を合算しても赤字(損)となる場合は、確定申告により、 

?@「他に益(配当含めて)となった口座」がある場合は、その口座と損益通算してその口座の利益を圧縮して節税する 

?A「他に益(配当含めて)となった口座」がない場合は、損を繰越(「繰越控除」)し向後3年間の利益の圧縮(損益通算)に使って節税する 

などの節税方法があります。 

なお、配当を含めても損となる場合は、配当にかかった税金は全て当該証券会社から既に還付を受けているので総合課税方式を選択しても配当控除のメリットは受けられないばかりか、住民税等で不利益になる場合があるので注意が必要です! 

以上から、株取引で損した場合には、儲けた他口座との損益通算や、次年度以降の儲けが圧縮でき、税金を払わず売価の100%が収益化できるなどの節税対策がとれます。 

従って、株で損した場合は、確定申告により節税の「種」を得ることになるので、確定申告が重要となります!  

?U.株等運用で損した場合の確定申告による節税方法

株で損した場合の年度末の株式口座(特定口座で源泉徴収選択とします)の状況には、次の2つのケースがあります。 

1.株取引は損となったが配当を含めると黒字となった場合 

2.株取引は大きな損となり配当を含めても赤字と黒字となった場合

1.株取引は損となったが配当を含めると黒字となった場合の節税方法

株取引は損となったが配当を含めると黒字となった場合」は、その証券会社の口座が「特定口座で源泉徴収選択」であれば、配当で支払った税金は、年度末の損益通算によってその分の税金還付を証券会社から受け取っています。

従って、 残された配当の支払い済み税金については、

?@分離課税方式により、「損となった他口座」或いは「過去の繰越控除」との損益通算する ?A総合課税方式により、残された配当の課税分についての「配当控除」を受ける

等の節税方法があります。

いいい 細部は、「株取引の確定申告|株で儲けた時の確定申告による節税方法と事例解説」をご参考に願います。

2.株取引での損が大きく配当を含めても損となった場合の節税方法

この場合の確定申告による節税方法は以下の2通りの方法があります。 

なお、配当を含めて赤字の場合は、配当にかかった税金も既に証券会社で(分離課税方式により)還付されているため、総合課税方式は選択できません。※

※上場株式等に係る譲渡損失(赤字)と上場株式等に係る配当所得との損益通算は、申告分離課税を選択したものに限り可能であり明細書を添付することになっています。

1)益となった別口座と損益通算(利益圧縮)して税を軽減する

他の証券会社に口座があり、配当を加えて黒字であれば、その黒字と損益通算して利益を圧縮し税金を戻してもらうことができます。(「分離課税方式」による確定申告)

2)損を繰越し向後3年間の利益(含む配当)と相殺して税軽減に利用する

他の口座の利益と相殺しても赤字が残った場合、分離課税方式による確定申告で損を繰り越して向後3年間の利益相殺ができる「繰越控除」の申告を行う。 

なお、配当を含めて赤字の場合は、配当にかかった税金も既に証券会社で(分離課税方式により)還付されているため、総合課税方式は選択できません。

3.配当含めて損の場合の事例による節税方法解説

上述の「損した場合の確定申告による2つの節税方法」の各方法を、数字を使って事例化しました。

1)益となった別口座と損益通算して税を軽減する事例

複数の口座を持っていて、一部の口座で損(配当を含めても)が出ている場合、適当な口座間で「損益通算(利益圧縮)」の申告をすれば税還付が受けられます。 

あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。

(すべての口座を 取り上げる必要はありませんので、ご注意を!)

◯事例:2証券会社で特定口座を持っている場合

<ケース1:配当含めて損失55万円の場合>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 損失100万円 配当45万円 損合計55万円 源泉徴収税 0円
B口座 利益200万円と配当45万円で益合計245万円、源泉徴収税38万円

A口座では、損合計が-55万円(-100+45)で所得税は 0で納めていない。
B口座では、所得合計が 245万円(200+45)で所得税 38万円が源泉徴収されている。

二つの口座を損益通算すると、所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となる。

従って、実際に負担すべき所得税が29万円となり、既に38万円を納付しているので、 9万円(38−29)が還付されます。

<ケース2:配当含めて損失155万円の場合>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 損失200万円 配当45万円 損合計155万円 源泉徴収税 0円
B口座 利益200万円 配当45万円 益合計245万円 源泉徴収税38万円

A口座では、損合計が -155万円(-200+45)で所得税は 0で納めていない。
B口座では、所得合計が 245万円(200+45)で所得税 38万円が源泉徴収されている。

この二つの口座を損益通算すると、所得合計は 90万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 14万円となる。

従って、実際に負担すべき所得税が 14万円となり、既に 38万円を納付しているので、 24万円(38−14)が還付されます。

<ケース3:配当含めて損失255万円の場合>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 損失300万円と配当45万円で損合計255万円、源泉徴収は 0円
B口座 利益400万円 配当45万円 益合計445万円 源泉徴収税68万円

A口座では、損合計が -255万円(-300+45)で所得税は 0で納めていない。
B口座では、所得合計が 445万円(400+45)で所得税 68万円が源泉徴収されている。

二つの口座を合計して損益通算すると、所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となります。

従って、実際に負担すべき所得税が 29万円となり、既に 68万円を納付しているので、 39万円(68−29)が還付されます。

以上の様に、配当含めた損失額に15.32%乗じた金額が還付されることになります。

従って、損失額が大きいほど税軽減効果は大きくなります。 

ここでは、損失を超える利益(含む配当)が他口座にある場合を想定しましたが、利益が足りなければ、損は、「繰越控除」として翌年以降に持ち越せます。

2) 損を繰越し次年度以降の利益と相殺して税軽減する事例

他の口座の利益と相殺しても赤字が残った場合、あるいは、相殺できる他の口座がない場合は、「分離課税方式」による確定申告により、損を繰り越して向後3年間の利益(配当含む)と相殺ができる「繰越控除」※の申告を行う方法です。 

なお、配当を含めて赤字の場合は、配当にかかった税金も既に証券会社で還付されているため、総合課税方式で確定申告はできません。

※「繰越控除」とは

「繰越控除」は、確定申告で3年間を限度として損を繰り越せる制度です。 向後3年間において儲かった利益(含む配当)と相殺して、当該年度で源泉徴収された所得税の還付を確定申告により受けとれるための仕組みです。

◯事例:繰越控除額の違いによる節税事例

<ケース?T:損110万円を繰越控除した場合>

翌年度の取り引きが 、利益400万円と配当90万円の合計490万円となり、所得税75万円が源泉徴収された場合

繰越控除の110万円と損益通算して利益を380万円(490−110)に圧縮し、 これに所得税率15.32%を乗じて納めるべき税金は、58万円とします。

源泉徴収された75万円から17万円(75−58)を還付してもらうことになります。

<ケース?U:損310万円を繰り越した場合>

翌年度の取り引きが 、利益400万円と配当90万円の合計490万円となり、所得税75万円が源泉徴収された場合

 繰越控除の310万円と損益通算して利益を180万円(490−310)に圧縮し、 これに所得税率15.32%を乗じて納めるべき税金を28万円とします。

源泉徴収された75万円から47万円(75−28)を還付してもらうことになります。

<ケース?V:損600万円を繰り越した場合>

翌年度の取り引きが 、利益400万円と配当90万円の合計490万円となり所得税75万円が源泉徴収された場合

 繰越控除の600万円の内、490万円の損と損益通算して利益を0円(490−490)に圧縮し、納めるべき税金を0円とします。

源泉徴収された75万円全額を還付してもらうことになります。
そして、繰り越した損600万円は、翌年度に490万円分が利用されたので、残り110万円は、引き続き2年間の有効期間がある繰越控除として残ります。

?V.最後に

株で損した場合も、確定申告で高い税金の節税が可能となります。 

株で損した場合、その損失は、将来発生するの利益の納税を軽減する働きを担うため、損の確定申告(繰越控除)は、非常に重要な資産運用手段にもなります。 

従って、「特定口座で源泉徴収選択」であっても、損失の場合は、確定申告が重要な資産形成の機能を果たします。 

最後までお読みいただきありがとうございました。 

ーーーーーーー 完 ーーーーーーー

関連記事

2024年02月02日

確定申告|株式等運用で儲けた時の確定申告による節税方法と事例解説

確定申告には、株式等運用にかかる高い税金を節税するしくみとして分離課税方式と総合課税方式が用意されています!

分離課税方式は、運用益と配当併せて儲かった場合にその 利益を圧縮するために、他に損となった口座や過去の繰越控除(損)など損益通算して利益を圧縮して節税する方法です。

総合課税方式は、取引の損益には触れず、配当のみに焦点を当て、「配当所得」を「給与等所得」に合算して総所得として累進所得税率の適用を受けて「所得控除」を受ける節税方法です。

このように、株で儲けた場合も、確定申告で節税できるチャンスがあります。当記事では、株で儲けた場合の確定申告による節税方法を整理しました。

?T.株等の取引で儲かった場合の確定申告による節税方法

1. 株式等の運用(利益・配当)には高い税金がかかる

株で儲かった場合、株取引での利益に20%(所得税15%+住民税)の税金が徴収されています。さらに、配当にも、同率の税金がかかります。

課税対象 所得税 住民税
上場株式の 利益・配当
15.315% (0.315%は復興税)  5% 20.315%

従って、株で儲かった場合は、高い税金が源泉徴収された状態にあります。 

以下では、全て、特別口座で源泉徴収選択を前提として説明します。

所得の高い人ならいざ知らず、一般会社員や年金受給者も低金利時代の中で、資産運用を株式投資などに注力せざるを得ない中で20%の税率は余りに高いものとなっています。

2.確定申告には「総合課税方式」「分離課税方式」による節税の仕組みが用意されている

確定申告には、株式運用に伴う高い税金を節税できる仕組みとして、損益通算で利益圧縮できる「分離課税方式」や、配当を給与所得と同等扱いにし配当控除が受けられる「総合課税方式」という2つの課税方式が用意されています。

1)分離課税方式:損益通算による利益圧縮で節税できる仕組み

分離課税方式は、「株式売買で被った損失」と「他の利益や配当など」と損益通算して利益を圧縮し税軽減ができる仕組みです。

2)総合課税方式:配当を給与等に合算し給与等の所得税率が適用できる仕組み

配当を給与等の所得と同扱いとし、給与等と合算した総所得に給与等の所得税率(累進税率)を適用し、「※配当控除」の税額控除が受けられ、税軽減ができる仕組みです。

配当は、企業が法人税を既に支払済の原資であるため、配当に更に税を課しているのは二重課税になります。

このため、配当を給与等と同取り扱いにした上で「配当控除」を適用して二重課税を解消するというものです。

以上の2方式のいずれかを利用して株式等の運用に伴う税金の節税が図れることになります!

3.確定申告は、損した場合だけでなく儲けた場合も節税できる仕組みです

株取引で損した場合には、「分離課税方式」を使って、儲けた他口座との損益通算や、次年度以降の儲けが圧縮できる繰越控除にするなどの節税対策がとれます。 

しかし、株取引で儲けた場合にも、「分離課税方式」を使って、損した他口座との損益通算や過去の損(繰越控除)との損益通算で利益圧縮して節税することができます。 

また、そういったものがない場合には、「総合課税方式」を使い配当を給与所得等に合算して給与等の所得税率を適用する「配当控除」により節税することもできます。

?U.株で儲かった場合の確定申告による節税方法

株で儲かった場合の年度末の株式口座(特定口座で源泉徴収選択とします)の状況は、 「株取引は益となり配当を含めて黒字となった」となっています。 

そのような口座状況で、株式運用にかかった高い税金を取り戻すには、確定申告の仕組みを使って申告する必要があります。

1.儲かった場合の確定申告による3つの節税方法

以下の3方法があります。

1)損となった別口座と損益通算(利益圧縮)して税を軽減する

他の証券会社に口座があり、配当を加えても赤字であれば、その赤字と損益通算して利益を圧縮し税金を戻してもらう。(「分離課税方式」による確定申告)

2)今年度の利益(含む配当)と過去の繰越損と相殺(益の圧縮)して税を軽減する

他の口座との相殺を経ても黒字が残った場合、過去の「繰越控除」があれば、それと損益通算(利益圧縮)し税金を戻してもらう。(「分離課税方式」による確定申告)

3)株取引には触れず、配当を給与等所得に合算し給与所得税率を適用した上で配当控除を受けて配当に掛った税を軽減する

他に相殺すべき口座や過去の繰越控除が無い場合、株取引の損益には一切触れず、「配当所得」を「給与所得等」に合算して累進所得税率を適用し「配当控除」を受けて税金を戻してもらう。(「総合課税方式」による確定申告) 

なお、「総合課税方式」の選択は、他に相殺すべき口座や過去の繰越控除があっても、分離課税方式による節税効果が低ければ、株取引の損益には一切触れず済む「総合課税方式」を選択することになります。

2.3つの節税方法を数字を使って具体的に解説

上述の「儲かった場合の確定申告による3つの節税方法」の各方法を、数字を使って事例かしてみました。ご参考になれば、幸いです。

1) 損となった別口座と損益通算して税を軽減する方法

複数の口座を持っていて、一部の口座で損(配当を含めても)が出ている場合、適当な口座間で「損益通算(利益圧縮)」の申告をすれば税還付が受けられます。 

なお、あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。(すべての口座を 取り上げる必要はありませんので、ご注意を!)

ここでは、2つ証券会社(A社、B社)で特定口座を持っていて、それぞれの口座の年間取引結果が下記の3ケース(損失の大きさを変えて比較する為です!)を想定して、損益通算による節税方法をご紹介します。 

<ケース?T>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益200万円 配当45万円 益合計245万円 源泉徴収税38万円
B口座 損失100万円 配当45万円 損合計55万円 源泉徴収税 0円

A口座では、所得合計が 245万円(200+45)で所得税 38万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が-55万円(-100+45)で所得税は 0で納めていない。
二つの口座を損益通算すると、所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となる。
従って、実際に負担すべき所得税が29万円となり、既に38万円を納付しているので、 9万円(38−29)が還付されます。

<ケース?U>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益200万円 配当45万円 益合計245万円 源泉徴収税38万円
B口座 損失200万円 配当45万円 損合計155万円 源泉徴収税 0円

A口座では、所得合計が 245万円(200+45)で所得税 38万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が -155万円(-200+45)で所得税は 0で納めていない。
この二つの口座を損益通算すると、所得合計は 90万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 14万円となる。
従って、実際に負担すべき所得税が 14万円となり、既に 38万円を納付しているので、 24万円(38−14)が還付されます。

<ケース?V>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益400万円 配当45万円 益合計445万円 源泉徴収税68万円
B口座 損失300万円 配当45万円 損合計255万円 源泉徴収は 0円

A口座では、所得合計が 445万円(400+45)で所得税 68万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が -255万円(-300+45)で所得税は 0で納めていない。
二つの口座を合計して損益通算すると、所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となります。
従って、実際に負担すべき所得税が 29万円となり、既に 68万円を納付しているので、 39万円(68−29)が還付されます。

以上の様に、損失額が大きいほど税軽減効果は大きくなります。

ここでは、損失を超える利益(含む配当)がある場合を想定しましたが、利益が足りなければ、損は、「繰越控除」として翌年以降に持ち越せます。

なお、この場合、住民税に注意!(重要)が必要です!

確定申告を「分離課税方式」で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられますが、 次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。

このため、口座間で損益通算する場合は、益が大きく残らないよう、 益の小さい口座との損益通算に限定 して申告しましょう。

結局は、住民税については、還付金の大きさと住民税等への負担増の大きさ等の比較から判断しなければならないところがあり、住民税への影響が大きければ、見合わせることも必要です。

(住民税での還付金の大きさと、翌年の住民税負担の大きさを比較する必要があります)

2)今年度の利益(含む配当)と過去の繰越損と相殺して税を軽減する方法

過去に損が出て確定申告で繰越控除(3年間を限度として損を繰り越せる制度)の申告をしている場合、本年度の利益(含む配当)と繰越控除とを相殺して、本年度の利益に対して源泉徴収された所得税の還付を受けるのが目的です。 

あくまでも繰越損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。

(すべての口座を取り上げる必要はありませんので、ご注意を!

<ケース?T>繰越控除の有効分(3年以内)が110万円がある場合

本年度の 利益400万円 配当90万円 合計が490万円 所得税75万円が源泉徴収。
繰越控除の有効分(3年以内)110万円と損益通算すると、 本年の利益は、380万円(490−110)に圧縮、これに所得税率15.32%を乗じると 納めるべき税金は、58万円となる。
従って、既に 源泉徴収された75万円から 17万円(75−58)が還付される

<ケース?U>繰越控除の有効分(3年以内)が310万円ある場合

本年度収益は、 利益400万円 配当90万円 合計が490万円となり 所得税75万円が源泉徴収されている。
繰越控除には有効分(3年以内)310万円があるので、これと損益通算すると、 本年の収益は、180万円(490−310)に圧縮でき、これに本来の所得税率15.32%を乗じると 納めるべき税金は、28万円でいいことになる。
従って、既に源泉徴収された75万円から 47万円(75−28)が税軽減分として還付されることになります。
なお、住民税に注意が必要です!(重要)

確定申告を分離課税方式で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられますが、 次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。

くれぐれも、損益通算して益が大きく残る場合は総合課税方式にするかの選択が必要です。

なお、「住民税の申告不要制度」は廃止になり、住民税は確定申告の課税方式に沿った扱いにになります!

3) 株取引には触れず、総額課税方式により、配当を給与等所得に算入し配当控除を受ける方法

「年間の株取引結果は、大きな利益がでた」、あるいは、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式による配当控除のメリットの方が大きい」等の場合、配当に限定して節税できる仕組みが「総合課税方式」です。

(1)「総合課税方式」による税計算

税額の計算は、下の算式のようになります。

配当を「 配当所得 」として「 給与等の所得 」と合算した上で、社会保険料や基礎控除等の「 所得控除 」を差し引いた金額(「課税所得」という)に、その「課税所得」水準に該当する「 累進所得税率 」を乗じて「所得税額」(「 確定前の所得税 」という)を算出します。 

その「 確定前の所得税 」から「 配当控除(配当の10.00%の金額) 」が「 税額控除」され実負担となる「 確定所得税 」が算定されます。

算式(?@→?A)

?@{( 給与等の所得 + 配当所得 )- 社会保険等の 所得控除 累進所得税率 = 確定前の所得税
?A  確定前の所得税  -  配当控除(配当金額の10%分)   = 確定所得税

この計算の流れを分解すると下表の?@から?Dの流れとなります。

順序 求める額 計算式
?@ 「総所得額」 「給与または年金所得」+「配当所得」
?A 「課税対象額」 「総所得額」-「社会保険料等の所得控除額」
? 「所得税額」 「課税対象額」× 所得税率(累進税率)
?C 「最終の税額」 「所得税額」-「配当控除額」
?D 「還付額」 源泉徴収された給与・年金所得の納税額と配当の納税額」-「最終の税額」

「配当控除額」は、 配当所得の10.00%(参考:住民税の配当控除は2.8%)

(2)総合課税は、課税所得が900万円以下の方にメリット大で低所得ほどメリットが大きい

給与等の所得税は、「累進税率」であるため、「配当控除」によるメリットが享受できるのは、下表の通り、課税所得900万円以下の方となります。その中でも、低所得で配当所得の割合が高いほど配当控除のメリットが大きくなります。 

なお、総合課税では全ての所得が合算されるため、給与や年金の他に、不動産家賃収入、事業所得、株式・建物・土地を除く譲渡所得、一時所得等があると、その分メリットが少なくなります。 

[?T表 課税所得額別に見た配当控除による減税効果]

表で使われている各用語の意味は次の通りです。 

・「所得税率」は、課税所得額(給与等所得+配当所得)に対応した累進課税

・「配当控除率」は、「配当控除額」の算定に用いられる率。1000万円までは10%、1800万円までは5%、1800万以上は0%を配当所得に乗じて配当控除額をだします。 

・「実質負担率」は、所得税率が、配当控除率分の負担減になった実質負担率を表す 

・「源泉徴収率」は、配当で源泉徴収された税率を表す 

・「軽減税率」は、配当控除により源泉徴収された税率がいくら軽くなるかを示す率! 

また、「配当控除額」は、 住民税分を含めると 配当所得の10.28%となりますが、ここは、所得税分のみです。

なお、 投信等の元本取り崩しによる分配金の場合の「配当控除額」は、低くなります。

課税所得金額
所得税率
配当控除率
実質負担税率
源泉徴収税率
軽減税率
(所得‐所得控除)
累進税率
配当に乗じる
既に徴収済み
還付率
(A)
(B)
(C)=A-B
(D)
C−D
195万円以下
5%
▲10%
0%
15%
▲15%
330万円以下
10%
▲10%
0%
15%
▲15%
695万円以下
20%
▲10%
10%
15%
▲5%
900万円以下
23%
▲10%
13%
15%
▲2%
1000万円以下
33%
▲10%
23%
15%
8%追徴
1800万円以下
33%
▲5%
28%
15%
13%追徴

※源泉徴収税率には復興特別所得税0.315%がありますが省略しました。 

なお、「所得」は、「給与等所得+配当所得」であり、「所得税率」は給与等と配当の両方にかかります。 

そこに、配当には10%の控除率が適用となるので、「累進税率」は、その分負担軽減となります。 

これらを、下表の通り、算式を使って、整理すると、結局、配当には累進税率ー10%の税率でよいことになり、既に支払った15%の源泉徴収は、その分還付されることになります。

配当を給与等に加算し配当控除を受けた場合のメリットを算式の整理にて表します。

?@元々の所得税:給与等所得×累進税率
?A配当算入後の所得税:(給与等所得+配当所得)×累進税率Aー(配当所得×※10%)

なお、配当を加算することで累進税率を累進税率Aとしましたが、下表(課税所得額と累進税率)から、累進税率が変わるのは200万円位の加算を要します。

また、累進税率を乗じる前に社会保険料等の所得控除が実際にはありますが、割愛します。

従って、 基本的には累進税率はかわらないとして説明します。


10%:配当控除率で「配当控除額」の算定に用いられる率。
1000万円までは10%、


まず、?Aの算式 (給与等所得+配当所得)×累進税率ー(配当所得×10%) を並び変えると、
右の様になります。 ( 給与等所得×累進税率)+(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%)
ここで配当算入で税金に影響する部分は、
(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%B) の部分。
この式を整理すると右の様になります。  「配当所得×(累進税率ー10%」


以上から、 配当所得に課される税金は、累進税率より10%を差し引いた率で 良いことになります。
しかし、 配当には既に15%の所得税(他に5%の住民税)が源泉徴収されています。
従って、確定申告すると、払い過ぎた金額が還付されます。


<計算例>

◯給与所得が700万円で累進税率が20%、配当が50万円であった場合

配当にかかる税金は、50万円×(20%−10%)=5万円でよいことになるが、既に15%の所得税(他に5%の住民税)として7.5万円が徴
取されているので、 確定申告で1.5万円が還付される。

◯給与所得が400万円で累進税率が10%、配当が50万円であった場合

配当にかかる税金は、50万円×(10%−10%)=0円でよいことになるが、既に15%の所得税(他に5%の住民税)として7.5万円が徴取されているので、確定申告で7.5万円が還付される。

◯給与所得が300万円で累進税率が5%、配当が50万円であった場合

配当にかかる税金は、50万円×(5%−10%)=0円でよいことになるが、既に15%の所得税(他に5%の住民税)として7.5万円が徴取されているので、確定申告で7.5万円が還付される。

[結 論:課税所得900万円以下で低所得ほどメリット大!]

・給料や年金、その他所得等に配当を含めた課税所得が 900万円以上の場合はメリットがないが、 695万円以下の人にメリット(税軽減)が得られる。

・695万円以下でも、合算所得が低いほどメリットが大きく、かつ配当所得の比率が高いほどメリットが大きくなる。
(3)数字を使った「還付金額」算出
◯事例1
年金生活者で、年金310万円と配当90万円あわせた収入が400万円、両方で源泉徴収された所得税が22.4万円のケース

[申告データー]

?@年金収入が310万円で、年金で源泉徴収された所得税は6.6万円、株式の配当は総額で90万円で所得税13.8万円が源泉徴収された。

?A確定申告のため整理したところ、年度末での社会保険料控除額、生命保険料控除額、配偶者控除額、基礎控除額など所得控除額額は、合計で130万円となった。

「源泉徴収ありの特定口座」で運用)

「還付金額算出のシミレーション」

年収は、年金310万円と配当90万円合わせた400万円ですが、所得にすると、年金所得が190万円、配当所得が90万円で「合計所得」280万円となります。

ここから社会保険等の「所得控除額額」130万円を差し引くと、「課税所得」は、280?130より150万円となります。

この課税所得150万円に所得税率5%(上述?T表の195万円以下に該当)を乗じた7.5万円が所得税となります。

ここから「配当控除額」が税額控除されて「最終の所得税」が確定されます。

「配当控除額」は、配当の10%額ですから9万円(90万円×10%)となります。

従って、「確定所得税」は、「-2万円」(7.5万円ー9万円)となりますが、国から税金を徴収するわけにはいかないので「0円」、つまり税の納入は不要となります。

このため、源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「20.4万円」ありますので、これが還付の対象となり 「還付金20万円」が還付 されます。」

これを表を使って表すと下表のようになります の単位 万円

収入 所得 所得控除 課税所得 確定課税 配当控除 申告課税 源泉徴収税 還付
年金
310 190 130 60 5.0% 6.6
配当
90 90 90 15.3% 13.784
合計
400 ?@ 280 ?A 130 ?B 150 ?C 5.0% ?D 7.5 ?E 9.0 ?F -1.5 ?G 20.384 ?H 20.384

[表の説明]

年金と配当所得の合計280万円(?@)から所得控除130万円(?A)を差し引いて課税所得150万円(?B)を求め、所得税率(課税所得額ランク別?T表)の5%(?C)を乗じて課税額7.5万円(?D)を確定します。 

そして、この税額から配当控除額(配当90万円×10%=?E9万円)を税額控除し申告する課税額(?F‐1.5万円)が確定します。

ここでは「‐1.5万円」となっていますが、税金を徴収するわけにはいきませんので「0」とカウントされます。 

そして「税金が0でいいにも関わらず源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「?G20.384万円」ありますので、これが還付の対象となり「?H還付金20万円」が還付されます。」  

(4)総合課税方式による「住民税」への影響に注意が必要!

○住民税で総合課税方式の配当控除を受けると負担増に繋がるので注意が必要です

下表の通り、住民税の給与等所得に対する税率は「10%」であることから、住民税の配当控除「2.8%」の適用を受けても、実質「7.2%」の税率となるので、配当で源泉徴収された「5%」よりかえって負担増となります。 

[?U表 住民税:課税所得額ランク別に見た配当控除の減税効果]

課税所得金額
住民税率
配当控除率
実質の負担税率
源泉徴収税率
税軽減効果
(A)
(B)
(C)=A-B
(D)
C−D
1000万円以下
10%
2.8%
7.2%
5%
2.2%追徴

また、配当込みの課税所得が、次年度の住民税算定基礎(所得割)に適用され負担増になります。(住民税は昨年度の所得を基礎にするため)

さらに、住民税の課税所得を基準とする国民健康保険料、介護保険料、児童手当等の負担増にも繋がります。

○実際に数字を使った住民税のシミレーション

先程の事例で住民税でも総合課税だと下表のようになります。 (金額の単位 万円)

収入 所得 所得控除 課税対象所得 税率 確定課税額 配当控除額 申告課税額 源泉徴収税額 追徴金
年金
310 190 117 73 10.0% 7.3
配当
90 90 90 5.0% 4.5
合計
400 ?@ 280 ?A 117 ?B 163 ?C 10.0% ?D 16.3 ?E 2.5 ?F 13.8 ?G 11.8 ?H 2.0

年金と配当所得の合計280万円(?@)から、所得控除117万円(?A)を差し引いて課税対象所得163万円(?B)を求め、住民税率の10%(?C)を乗じて課税額16.3万円(?D)を確定します。

この税額から配当控除額2.5万円(?E配当90万円×2.8%)を税額控除し、申告する課税額13.8万円(?F)が確定します。

しかし、源泉徴収された住民税が、年金分と配当分合わせて11.8万円(?G)なので、申告の課税額13.8万円(?F)に対し2.0万円(?H)の不足が生じ、追徴されることになります。

?V.最後に

株で儲けた場合も、確定申告で高い税金の節税が大抵の場合はできます。 

確定申告方法には、「総合課税方式」と「分離課税方式」がありますが、どちらが税軽減に有利であるかは、およその見当はつくものの、住民税や住民税をもとに決定される介護保険料その他への影響も十分考慮する必要があります。 

微妙な場合や、節税の大きさを確認するためには、 「e-tax」が重宝なツールとなります。

是非、儲かった場合も、 「e-tax」を使って節税方法がないかチェックされることをおすすめします。

ーーーーーーー完ーーーーーーーー

関連記事

2024年01月31日

風水害や盗難等による損害は確定申告で税軽減措置が受けられます!

風水害や盗難、横領などで損害を受けた場合、確定申告で所得税等の軽減措置が受けられます!

台風や豪雨などの災害で被害を受けた場合、火災保険の保険金ばかり気をとられますが、確定申告の「 雑損控除」で、 所得税や住民税、固定資産税等で損害に見合った税の軽減措置が受けられます。

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?T.災害や盗難等の損害には税の軽減が受けられる!

1.災害や盗難等の損害に対する軽減措置がある税目

1)日本の税(国税と地方税)の構成

税金には「国税」と「地方税」があり、下表のような構成になっています。

課税主体 税金名
国税 所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、自動車重量税など
地方税 住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、自動車税など

2)災害や盗難等の損害に対する税軽減措置がある税項目

この中で、地震、風水害、火災などで損害を受けた場合には、以下の様な税軽減措置があります。

課税主体 軽減措置が受けられる税金名
国税 「所得税」
地方税 「住民税」、「固定資産税」

2. 所得税の軽減措置には「 雑損控除」と「災害減免法」によるものとがある

地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、次の2つの所得税軽減措置がある。

1)「雑損控除」による税軽減を受ける方法 

2)「災害減免法」の適用による「税額控除」を受ける方法

つまり、 風水害等で被った損害は、確定申告でどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部が軽減されます。

なお、 所得1,000万円以上の人は 「災害減免法」の適用外 となるため選択肢は「雑損控除」しかありません。

1)「雑損控除」による税軽減措置とは

「災害」や「盗難」などで自宅や家財などに損害を被った場合、損害補償として受け取った火災保険金などを差し引いた「実質損失額」に当たる部分を「雑損控除」として、他の「社会保険控除」などと同様に「所得控除」が受けられます。 

なお、 損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。

[ 雑損控除金額の計算方法 ]

次の2通りあり、 いずれかの大きい方が適用される。

ィ.(損失額-民間保険の保険金)- 所得の10%の金額=「雑損控除金額」
説明
失額より民間保険の保険金を差し引き損失額を出し、所得の10%の金額(免責部分)を差し引いた金額を 「雑損控除金額」とする方法です。

なお、 損失額は、自宅や車など資産ごとに算出 する。( 生活に通常必要でない資産は対象外

また、自宅の場合、「取得価額が判っている場合の損失額」は、時間の経過による減価を差し引いた時価に「被害割合」(100%、50%など)をかけた金額する。

「取得価額がわからない場合の損失額」は、総床面積に対する工事費用(国税庁発表都道府県別?u当たり工事費用による)に「被害割合」をかけた金額を損失額とします。


なお、「被害割合」は、災害時に自治体に申請して交付を受けた「罹災証明書」に記載の 「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らず」の4区分により国税庁の定める比率「%」を用います。
(詳細については「 国税庁の被害割合表」 をご覧ください。)
ロ.「災害関連支出-5万円」=「雑損控除金額」とする方法
説明
「災害関連支出」とは、損壊した自宅の修復費用や自宅内に流れ込んだゴミや土砂などの撤去費用など。

2)「災害減免法」による税軽減措置とは

所得1,000万円以下の者が、災害で住宅等に損害を受け「住宅や家財の損害額が時価の二分の一を超える場合」に、下記の「所得に応じた免除割合」が適用された金額が「税額控除」されます。

なお、この場合は、「雑損控除」は受けられません。

この措置の場合、損害が時価の5割以上で、 所得が500万円以下であれば、 所得税全額が還付されるということです!

[所得に応じた免除割合 ]
所得 所得税免除割合
500万円以下 所得税の全額免除
500万円を超え750万円以下 所得税の50%免除
750万円を超え1,000万円以下 所得税の25%免除

留意すべきは、「災害減免法」では、直接的に税金免除が受けられるので、本人の所得水準や被害状況と免除割合によっては、「雑損控除」よりも軽減効果が大きくなる可能性があります。

なお、災害減免法の適用は災害の年の1年だけとなるので、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合は、最大3年間繰り越しができる雑損控除を選択する方が有利となります。

なお、この制度は、所得1000万円以上の人は、適用外となりますので注意が必要です!

※給与所得者が「災害減免法」により所得税の徴収猶予や還付を既に受けている場合は年末調整されませんので、確定申告により所得税及び復興特別所得税を精算することになります。

3)「雑損控除」と「災害減免法」の大きな違い

(1)「災害減免法」は、災害による損害のみが対象ですが、 「雑損控除」は、災害以外の損害も対象になります。

根拠法 適用対象となる損害の範囲
災害減免法 災害 による損害
雑損控除 災害および盗難・横領等の損害も対象

従って、 住宅や家財への被害は、「災害減免法」と「雑損控除」のどちらか有利な方を選択することができます。

なお、 盗難や横領による損失は「雑損控除」だけが対象となります。 

また、 詐欺や恐喝による損失は残念ながら対象外です。

(2)災害減免法の適用は災害の年の1年だけとなる ので、損害額が1年で控除できない場合には、最大3年間繰り越しができる雑損控除を選択する方が有利となります。

(3)雑損控除と災害減免法の対比表

                          ( 税理士法人あたごコンサルティング引用

スクリーンショット 2024-01-31 173011雑損控除と災害減免法との違い.png

※1 生活に通常必要でない資産とは、別荘や競走馬、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とう等をいいます。

※2 資産に生じた損害の金額から保険金や損害賠償金などによって補填される金額を控除した金額をいいます。

3.住民税の税軽減措置は 雑損控除」のみです!

所得税では、軽減措置として「災害減免法」と「雑損控除」の2つの方法がありましたが、 住民税には 、「災害減免法」の適用はありません。(但し、市町村条例で減免措置を定めるところもあるので確認が必要です。) 

従って、 所得税の確定申告で「災害減免法」を選択した場合は、住民税では、別途、確定申告前に市区町村で「雑損控除の申告」をする必要があります。

なお、 所得税の確定申告で「雑損控除」を選んだ場合は、自動的に住民税に反映されるため別途手続きする必要はありません。

また、県民税では、 納税の猶予 や納期限延長などの制度もあるので、利用したい場合は確認が必要です。

4.固定資産税 での税軽減措置とは

1)災害等による滅失や損害に対する固定資産の減免措置とは

・所有する固定資産が台風、津波、地震、火災などの災害等により滅失又は甚大な被害を受けた場合、その被災の程度(一定程度以上被災していることが要件)に応じて減免されます。 

・固定資産税は、減免申請がなされた日以降に到来する納期限に係る分が減免される。 

・火災の場合に対象となるのは、家屋と償却資産のみです。

・被災の事実を証明する書類(罹災(りさい)証明書等)が必要です。

2)震災等により住宅用地が使用ができなくなった 固定資産の減免措置とは

震災等により住宅が滅失又は損壊し、住宅用地として使用することができないと認められる場合には、被災した年度の翌年度及び翌々年度について、被災住宅用地として住宅用地と同等の特例措置が適用されることがあります。 

?U.災害による減免措置に必要な確定申告書類

確定申告には、 

・災害に伴う「罹災証明書」 

・「火災保険などから受け取った保険金関係書類」 

・「災害関連支出の領収書類」 

などを取りそろえておくことが必要になります。 

また、過去5年間に遡って確定申告できるので、該当される場合は確定申告をおすすめします。

なお、還付金等の請求権は、「5年間」行使しないことによって、時効になるので注意が必要です。

1.「雑損控除」に必要な確定申告書類

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付する。 

なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます(雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。) 

また、給与所得者は、給与所得源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。

2.「災害減免法」適用に必要な確定申告書類

「災害減免法」の適用を受けるためには、確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、納税地の所轄税務署長に確定申告書等を提出することが必要です。 

?V.最後に

万一、台風や豪雨あるいは地震や火災、水害などで被害に遭われた場合は、確定申告で所得税などで収めた税金の還付が受けられます。 

火災保険などと違って、税軽減措置は忘れがち、あるいは、制度そのものをご存じなくて申告せずに終わられる方が多いので注意が必要です。 

確定申告は、例年、2月中旬から3月中旬が申告時期ですが、雑損控除などの還付申告は、年初から行えますので早めに申告しましょう。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーー 完  ーーーーーーー

なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2024年01月29日

特定口座・源泉徴収での株式等運用も確定申告すれば大抵節税できます!

確定申告には、株式運用に掛かる高い税金を軽減できる仕組みが用意されています!

株式等の運用(譲渡益や配当)に掛かる税金は、証券会社で「特定口座で源泉徴収あり」を選択していれば、基本的には、個人で確定申告を行なう必要はありません。 

しかし、確定申告すれば大抵の場合、利益を上げた場合でも損をした場合でも、運用にかかる高い税金を節税できるしくみが用意されていますます。 

従って、特定口座で源泉徴収を選択されていても、確定申告で節税できる仕組みを知って、機会を逸しないよう確定申告を活用されることをおすすめします。

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?T.確定申告には株式等運用にかかる高い税金を節税できる仕組みが用意されている!

1.株式の売買や配当には約20%もの高い効率が掛けられている

株式等の取引で得た利益や配当・分配金等には、運用者の所得や生活実態に関わらず 一律に20.315% (所得税15.315%、住民税5%)もの高い税率が掛けられています。

現在の低金利下において、資産運用には株式投資や投信運用に注力せざるを得ない中、一般会社員や年金生活者にとって、20%もの一律税率は非常に重い負担です!

課税対象 所得税 住民税
上場株式の利益・配当
15.315%( 0.315%は復興税  5% 20.315%

2.確定申告には、株式運用税を節税できる「総合課税方式」と「分離課税方式」の仕組みが用意されている

確定申告には、株式運用に伴う高い税金が節税できる仕組みとして、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2つの課税方式を用意しています。

1)分離課税方式

「分離課税方式」は、「株式売買で被った損失」と「他の利益や配当など」と「損益通算」して利益を圧縮し税軽減ができる仕組みです。

2)「総合課税方式」

「総合課税方式」は、配当を給与等の所得と同扱いとし、給与等と合算した総所得に給与等の所得税率(累進税率)を適用し、さらに、「※配当控除」の税額控除が受けられ、税軽減ができる仕組みです。

配当は、もともと企業が法人税を既に支払った原資であるため、配当受け取り時に税を課すので二重課税となります。

このため、給与等と同取り扱いにすれば「配当控除」の適用で二重課税が解消されるというものです。

従って、この2方式のいずれかを利用して税金の節税が図れることになります!

3.「特定口座で源泉徴収選択」でも、確定申告をすれば、大きな節税チャンスが得られる!

「特定口座で源泉徴収選択」であっても、 証券会社が節税してくれるのは、その年度の「口座内での売買損益と配当との損益通算」のみとなります。

つまり、その年度に赤字が生じた場合、赤字を繰り越して次年度以降の損益通算に利用したくても、証券会社では面倒見てくれずに、自分で確定申告して赤字を繰越控除として登録しなければなりません。 

また、複数の証券会社に口座を設けている場合、他口座との損益通算や繰越控除との損益通算、損の繰越などは、証券会社では行ってくれずに自分で確定申告しなければなりません。

証券会社が行う特定口座内での節税(売買損益や配当との損益通算)範囲

売買に伴う損と益との損益通算は、口座内であれば、取引ごとに損益通算がなされ、常に通算利益に対する税徴収額に改まります。

配当については、年度末に売買損があれば配当と損益通算され、配当の税徴収額が決定されます。

これらの結果をもって、証券会社が、年初に本人に代わって納税してくれます。

従って、次のようなケースは、自分で確定申告しないと、税の軽減を図ることはできません。

4)自分で確定申告することで節税できる4つのケース

逆に言うと、以下のケースがあっても、自分で確定申告をしないと、節税効果は受けられず、節税チャンスを放棄してしまうことになります。

(1)年間の損益が損となったが益となった別口座があるケース

⇒分離課税方式を選択し、損益通算で利益を圧縮する

「複数の特定口座を持っていて、配当を含めても損となっている口座がある一方、他口座では配当を含めて利益を出し高い税金が徴収されている。」という場合は、確定申告の分離課税方式を利用することによって、口座間での損益通算が可能となり、利益圧縮により税が軽減ができます。

(2)年間損益が損となったが益となった別口座がないケース

⇒分離課税方式を選択し、損を繰り越す

「配当を含めても損となっているが、相殺する相手が無い」という場合には、確定申告の分離課税方式を利用すれば、「繰越控除」として「損」をくり越すができ、以降3年間は、配当を含めた利益と相殺して節税に利用することができます。

(3)年間損益が益となったが過去の繰越控除の損があるケース

⇒分離課税方式を選択し、益を過去の繰越控除と損益通算して益を圧縮する

「損益通算しても配当含めて利益が残ったが、過去の「繰越控除」がある」という場合は、確定申告の分離課税方式を利用すれば、過去の繰越控除(損)と損益通算して節税ができます。

(4)年間損益が益となり損益通算できる他口座や繰越控除がないケース

⇒総合課税方式を選択し、配当を給与等所得と見做して所得税率を適用し「配当控除」を受ける

「配当含めて利益が出たが、相殺できる損となった他口座や繰越控除がない」という場合は、確定申告で総合課税方式を利用すれば、株取引の損益には一切触れず、「配当」を「給与所得等」と同等の所得と見做して、給与所得等と合算して累進の所得税率が適用され、さらに、「配当控除」という税額控除が受けられます。

4.特定口座内で対応できない損益通算や繰越控除による節税は、確定申告しないと消滅する!

先ほどご紹介しましたが、年間で利益が出た場合も損となった場合も、確定申告すれば、節税できるケースがほとんどです。 

しかし、損益通算や繰越控除等は、その年度において確定申告しなければ、大抵の場合、節税機会は消滅してしまいます。 

従って、永年、確定申告されてこなかった場合は、大きな節税チャンスを放棄してきたことになります。 

特に、確定申告義務がない会社員や年金者で、「特定口座で源泉徴収選択」の方の多くは、確定申告されていない方が多いのではないでしょうか?大変もったいない話です。

?U.総合課税方式と分離課税方式の利用法

確定申告には、節税の仕組みとして、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2通りの申告方法があり、実際の申告には、 どちらか一方しか選択できません。

なお、以下では、「特定口座で源泉徴収選択」を前提として説明させていただきます。(「一般口座」でも、基本的考え方は変わりません)

1.「総合課税方式」のしくみと留意点

1)株取引による損益には一切触れず、配当のみ着目した申告となる

つまり、「年間の株取引結果は、大きな利益がでた」、あるいは、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式による配当控除のメリットの方が大きい」等の場合、配当に限定して節税できる仕組みが「総合課税方式」です。

2)税額の計算は、下の算式のようになります

配当を「 配当所得 」として「 給与等の所得 」と合算した上で、社会保険料や基礎控除等の「 所得控除 」を差し引いた金額(「課税所得」という)に、その「課税所得」水準に該当する「 累進所得税率 」を乗じて「所得税額」(「 確定前の所得税 」という)を算出します。 

その「 確定前の所得税 」から「 配当控除(配当の10.00%の金額) 」が「 税額控除」され実負担となる「 確定所得税 」が算定されます。

算式(?@→?A)

?@{( 給与等の所得 + 配当所得 )- 社会保険等の 所得控除 累進所得税率  = 確定前の所得税

?A 確定前の所得税  -  配当控除(配当金額の10%分)   = 確定所得税

3)総合課税の場合、住民税への影響に留意が必要!

確定申告で総合課税を選択した場合、そのままだと住民税で不利益が生じる場合があります。

住民税にも「配当控除制度」があり、住民税に「総合課税方式」が適用されると、配当の「0.28%」が「配当控除」となり、実際に配当受け取り時に納めた「5%」よりも低い控除しか受けられなくなる不利益が生じます。 

このため、昨年までは、この不利益が排除できる「住民税申告不要制度」がありましたが、今年度より廃止され、確定申告と同じ課税方式を適用されることになりました。 

従って、確定申告で「総合課税方式」を選択される場合は、住民税への影響に注意が必要になります!

2.「分離課税方式」のしくみと留意点

1)株取引の損益や配当収入に焦点を絞り、「損益通算」や「繰越控除との相殺」などで節税が図れる仕組みとなります

つまり、 「年間の株取引の結果、配当を含めても大きなマイナス(赤字)だった」、あるいは、 「総額課税方式による配当控除のメリットよりも、損益通算による節税メリットの方が大きい」等の場合、配当を含む売買損益に限定して損益通算による利益圧縮で節税できる仕組みが「分離課税方式」です。

2)申告は、今年度の損益(含む配当)結果に基づいて、次の3つのケースがあれば損益通算を行い利益圧縮効果を出す

(1)他の口座があれば、他の口座と損益通算して利益(含む配当)を圧縮する

(2)他の口座等で損益通算しても損が残る場合、損を繰越して翌年以降の損益通算に使う (3)過去の繰越損があれば、それと相殺して本年の利益(含む配当)を圧縮する

3)分離課税方式により過去の繰越控除と損益通算した場合、介護保険では繰越控除が反映されないので注意が必要!

確定申告で、「今年度の利益(含む配当)」と「過去の繰越控除」とを損益通算した場合、介護保険料算定においては、過去の繰越控除が反映されずに、今年度の利益のみが所得とみなされて算定基礎に算入され保険料に跳ね返る恐れがあります。 

従って、その場合、損益通算メリットと比較して損益通算すべきか、あるいは、住民税において、 「住民税申告不要制度」使うべきかは検討が必要となります!

3.総合課税方式と分離課税方式の対比表

以上をまとめて対比表にすると次のようになる。

税軽減の方法 節税の仕組みと選択理由
総合課税方式
「累進所得税率」の適用と 「配当控除」による税額控除 株取引結果には一切触れず、配当を「給与等所得」に合算して所得税を算出した後、配当額の10.28%が「配当控除」として税額控除される。

選択理由: 株取引で利益が出ていて、損益通算や繰越控除の必要がない場合、又は、所得税率と配当控除メリットの方が大きい場合
分離課税方式
「損益通算」による利益圧縮 ◯給与や年金その他の所得とは関わりなく、株取引で生じた損益による「損益通算」や「繰越控除等の相殺」等による利益圧縮で税が軽減される。

選択理由: 配当控除メリットよりも「損益通算メリット」が大きい場合。

?V.最後に

株式運用では、利益及び配当に対し一律に20%(所得税15%、住民税5%)もの高い税金が掛けられていますが、確定申告では、損益通算により利益圧縮して節税できる分離課税方式と、配当を給与等と合算して給与等の累進所得税率を適用して節税できる総合課税方式が用意されています。 

特定口座で源泉徴収有りで運用されていてもこれらの節税効果を得るためには確定申告が必要となります。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーーー 完 ーーーーーー

関連記事

2024年01月27日

確定申告で株取引等の利益や配当にかかる高い税金を節税する申告方法

確定申告には株式等運用にかかる高い税金を取り戻せる仕組みが用意されています!

株式等証券投資には利益や配当に 一律に20.315% (所得税15.32%、住民税5%)の高い税金が掛かりますが、確定申告には、総合課税方式や分離課税方式の選択より、損益通算や配当控除などの節税できる仕組みが用意されています。

このため、株式等の運用者は、節税のための確定申告の仕方を是非頭において置かれることをおすすめします。

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?T.確定申告には株式等運用にかかる高い税金を取り戻す仕組みが用意されている

1.株式の譲渡益や配当には約20%の高い税率がかけられている

株式等の取引で得た利益や配当には、運用者の所得や生活実態に関わらず 一律に20.315%(所得税15.315%、住民税5%)もの高い税率が掛けられています。

課税対象 所得税 住民税
上場株式の 利益・配当
15.315%( 0.315%は復興税  5% 20.315%

2.確定申告には、赤字の場合も黒字の場合も節税できる仕組みが用意されている

確定申告では、 売買で被った損失と利益や配当などと損益通算して税の軽減ができる『分離課税方式』の仕組みと、給与等の所得に対する「配当控除」の利用により所得水準に見合った税軽減ができる『総合課税方式』の仕組みが用意されており、何れかを選択することにより、株式運用にかかる高い税金を軽減できる配慮がなされています。

仕組み 税負担の軽減方法
分離課税方式 損失と利益や配当などと損益通算して税軽減ができる方法
総合課税方式 「配当控除」より所得水準に見合った所得税率で税軽減ができる方法

なお、以下の記述では、全て「特定口座で源泉徴収選択」を前提とした取引を想定しています。 一般口座でも基本的な考え方は変わりません)

1)「売買損が大きく配当を含めても 赤字の場合 」の確定申告による節税方法

年間取引では大きな損となっており、年間配当所得を差し引いても大きな赤字が残った場合は、次のような確定申告によって節税が図れます。 

?@他の証券会社に持つ特定口座が利益又は配当で黒字となっている場合、分離課税の選択により損益通算で利益を圧縮し税金を節税することができる。

?Aそれでも損が残れば、その損を確定申告で「繰越控除」(損を繰越、将来の益と相殺できる)として登録をすれば、次年度以降の3年間、その繰越損が消えるまで、益又は配当所得と相殺して、税金を抑えることができる。

2)「売買で益となり配当を含めて 黒字の場合 」の確定申告による節税方法

年間で、売買益と配当で大きな黒字となった場合、次のような確定申告によって節税が図れます。 

?@他の証券会社に持つ特定口座が配当含めて赤字となっている場合、分離課税の選択により損益通算で利益を圧縮し税金を節税することができる。

?A過去の繰越控除があれば、分離課税の選択により損益通算で黒字を圧縮し税金を節税することができる。

?損益通算できるものがない場合は、 総合課税方式の選択により、 所得税率と「配当控除」の利用による所得水準に見合った税負担に軽減するこよができる。

3.株式投資の節税機会は確定申告しないと消滅する!

株式投資の損益通算や繰越控除等は、その年度年度に確定申告しないと節税機会が消滅してしまいます。 

一般の個人投資家は、大抵の場合、証券会社に 「特定口座」を設け 「源泉分離課税」を選択されています。 

この場合、株式運用に伴う取引や配当の履歴並びにそれに伴い納税業務一切を証券会社が代行してくれるので個人は基本的に確定申告の必要はありません。 

このため、個人投資家の方、特に、確定申告の義務がないサラリーマンや年金生活者の方は、あまり確定申告をされていないのではないでしょうか? 

従って、大変もったいない話ですが、大勢の方が、大きな税軽減チャンスを放棄していることになっています。 

確定申告は、各年度の都度行わないと権利が消滅します。 

是非、e-taxを利用して税軽減チャンスを逃さないようにしたいものです!

4.確定申告は住民税への影響を考慮する必要があります!

所得税法と住民税法とでは株取引の取り扱いに差があることに注意が必要です。

株式等の利益や配当所得の取り扱いは、所得税と住民税とでは若干捉え方に差があり、確定申告すると住民税の負担増を招く場合があります。 

住民税は、あくまでも応分の地域行政負担を求めるところがあり、 特に、介護保険では、過去の繰越控除との相殺を認めないところがありますので注意が必要です、

注:確定申告(所得税)と異なる住民税の課税方式の選択が廃止された!

節税の為の確定申告がし易いように平成29年度税制改正で、住民税では「所得税と異なる課税方式」が選べることになりましたが、令和4年度税制改正で、再び、所得税と住民税の課税方式を一致させる改正が行われました。

このため、令和5年分からは、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することはできなくなりました。

従って、 確定申告の課税方式選択は、住民税への影響を考慮して選択しないとトータルでメリットが損なわれることがあるので注意が必要です!

?U.総合課税方式と分離課税方式の仕組み

以下では、株式の運用を、「特定口座」かつ「源泉徴収」を選択していることを前提とさせていただきます。(一般口座でも、基本的考え方は変わりません)

1.株式運用に伴う申告は「総合課税方式」と「分離課税方式」のいずれかのみ

株式運用に伴う確定申告方法には、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2通りの申告方法があり、確定申告は、 どちらか一方しか選択できません。

2.「総合課税方式」とは

株式取引ににかかる税金については、

「給与や年金所得が低いのに、株取引による利益や配当への20%課税は高すぎる。 売買で得た利益に対する20%(住民税5%含む)はやむを得ないとしても、配当所得に課せられた20%税率(住民税5%含む)については総所得に見合った税率あるいは税額であってほしい」

と思われる方は多いのではないでしょうか? 

こういう願いに適うのが、「総合課税方式」です。 

「総合課税方式」とは、配当所得を給与所得等に合算し総所得に見合う給与等に関わる所得税率(累進5〜55%)を適用し、「配当控除」を税額控除するという仕組みです。

※もともと配当は、企業が法人税を納めた後の原資であるため、配当で個人に取得税をかけるのは二重課税ともなっています。

このため、配当を所得として給与等に合算し、所得水準に見合う所得税率(累進課税) を適用する代わりに、「配当控除」により二重課税を避けるという主旨があります。

以上より、株運用に伴う確定申告での「総合課税方式」とは、以下のように整理できます。

1)総合課税方式は株取引の損益には触れず、配当を給与等所得と見做し所得税率を適用し「配当控除」を受ける仕組み

つまり、「年間の株取引で大きな利益がでた」、あるいは、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式によるメリットの方が大きい」等の場合、に利用できる仕組みが、「総合課税方式」です。

2)税額の計算方法

配当を「配当所得」として「給与等の所得」と合算した上で、社会保険料や基礎控除等の「所得控除」を差し引いた金額(「課税所得」という)に、その「課税所得」水準に該当する「累進所得税率」を乗じて「所得税額」(「確定前の所得税」という)を算出します。 

その「確定前の所得税」から「配当控除(配当の10.00%の金額)」が「税額控除」され実負担となる「確定所得税」が算定されます。

算式(イ→ロ) イ. {(給与等の所得+配当所得)- 社会保険等の所得控除}×累進所得税率=確定前の所得税

 ロ. 確定前の所得税 - 配当控除(配当金額の10%分)=確定所得税

なお、総合課税方式のしくみや給与所得によるメリットの違い、具体的数字を使った事例等については後述します。

3)総合課税方式では住民税への影響に留意が必要

確定申告で総合課税を選択した場合、そのままだと住民税で不利益が生じる場合があります。

住民税にも「配当控除制度」があり、住民税も「総合課税方式」が適用されると、配当の「0.28%」が「配当控除」となり、実際に配当受け取り時に納めた「5%」よりも低い控除しか受けられなくなる不利益が生じます。 

従って、住民税で不利益も考慮して総合課税の選択を決定する必要があります。

3.「分離課税方式」とは

1)分離課税方式は、給与所得や配当控除に関わりなく、株取引損益や配当収入に絞った申告で、「損益通算」や「繰越控除との相殺」などの利益圧縮で節税が図れる仕組み

つまり、「年間の株取引の損益結果、配当を含めても大きなマイナス(赤字)だった」、あるいは、「総額課税方式によるメリットよりも、損益通算による節税メリットの方が大きい」等の場合、配当を含む損益に限定して損益通算の利益圧縮で節税できる仕組みが「分離課税方式」です。

2)申告は、「今年度の損益と配当収入の結果」に基づいて、以下のような損益通算による利益圧縮効果を算出する

(1)「他の口座と損益通算して譲渡所得(含む配当所得)を下げる」
(2)「他の口座等で損益通算しても損が残る場合は、損を繰越して翌年以降の譲渡所得(含む配当所得)を下げる」
(3)「過去の繰越損と相殺して本年の譲渡所得(含む配当所得)を下げる」

なお、分離課税方式のしくみや取引状況によるメリットの違い、具体的数字を使った事例等については後述します。

4.総合課税方式と分離課税方式の対比

以上をまとめて対比表にすると次のようになる。

税軽減の方法 節税の仕組みと方式を選択する理由
総合課税方式
「累進所得税率」の適用と 「配当控除」による税額控除 株取引結果には一切触れず、配当を「給与等所得」に合算して所得税を算出した後、配当額の10.28%が「配当控除」として税額控除される。

選択理由: 株取引で利益が出ていて、損益通算や繰越控除の必要がない場合、又は、所得税率と配当控除メリットの方が大きい場合
分離課税方式
「損益通算」による利益圧縮 ◯給与や年金その他の所得とは関わりなく、株取引で生じた損益による「損益通算」や「繰越控除等の相殺」等による利益圧縮で税が軽減される。

選択理由: 配当控除メリットよりも損益通算メリットが大きい場合。

?V.株等運用の状況に対応した確定申告の仕方

1.課税方式の選択は、株等の運用成績に絞るか、配当のみに絞るかで決まる

どちらの課税方式を選ぶかは、本年度の運用結果や過去の繰越控除の有無等に絞って申告するか、配当所得のみに絞って節税したいかの目的によって決まります。

目的(どうしたいか?) 選ぶ課税方式
・一部の口座で損失があるため、税金を払っている別の口座と損益通算して別の口座の所得(利益、配当)を減らして還付を受けたい! 分離課税
・利益(含む配当)を、過去の「繰越控除」で相殺して減らしたい! 分離課税
・損益通算しても損が残るので損を繰越し、次年度以降の利益相殺に使いたい! 分離課税
・どの口座にも損がなく、かつ過去の繰越控除もないので損益通算メリットが享受できない。この為、配当控除メリットを受けたい! 総合課税
・計算結果から、分離課税よりも総合課税メリットの方が大きい 総合課税
・計算結果から、配当控除よりも分離課税メリットの方が大きい 分離課税

※分離課税でのメリットとは、損益通算などで利益(所得)を減らしたことによる減税メリットのことです。

2.総合課税方式は課税所得9百万円以下にメリット

「総合課税方式」は、「配当」を「給与等所得」と同取り扱いとし、給与水準に見合った累進所得税率を適用するため、単純に言うと、5%の所得税率の人であれば、配当にかかった15%(他に住民税5%)が5%で済むことになります。

そこに、さらに「配当控除」(配当の10%)が税額控除メリットが付加され大きな節税につながります。 

従って、所得税率の低い人ほどメリットは高いものとなります。

1)「総合課税方式」の課税所得別のメリット表

では、実際に数字を使ってメリットを表してみます。 

表で使われている各用語の意味は次の通りです。 

・「 課税所得」は、「 給与等所得+配当所得」 

・「 所得税率」は、 課税所得額(給与等所得+配当所得)に対応した累進課税

・「 配当控除率」は、 配当控除額の算定に用いられる率。1000万円までは10%、1800万円までは5%、1800万以上は0%を配当所得に乗じて配当控除額をだします。 

・「 実質負担率」は、所得税率が、 配当控除率分で負担減になった実質負担率を表す 

・「 源泉徴収率」は、 配当で源泉徴収された税率を表す 

・「 軽減税率」は、配当控除により源泉徴収された税率がいくら 軽くなるかを示す率! 

これらを、数式を使って、分解しますと、結局、配当には累進税率ー10%の税率でよいことになり、既に支払った15%の源泉徴収は、その分還付されることになります。

[課税所得別軽減税率メリット]

課税所得 所得‐所得控除 所得税率 累進税率 配当控除率 配当に乗じる 実質負担税率 源泉徴収税率 既に徴収済み 軽減税率 還付率
(A) (B) (C)=A-B (D) C−D
195万円以下 5% ▲10% 0% 15% ▲15%
330万円以下 10% ▲10% 0% 15% ▲15%
695万円以下 20% ▲10% 10% 15% ▲5%
900万円以下 23% ▲10% 13% 15% ▲2%
1000万円以下 33% ▲10% 23% 15% 8%追徴
1800万円以下 33% ▲5% 28% 15% 13%追徴

※源泉徴収税率には復興特別所得税0.315%がありますが省略しました。 

また、「配当控除額」は、 住民税分を含めると 配当所得の10.28%となりますが、ここは、所得税分のみです。

なお、 投信等の元本取り崩しによる分配金の場合の「配当控除額」は、低くなります。

結 論:課税所得900万円以下で低所得ほどメリット大!

・給料や年金、その他所得等に配当を含めた「課税所得」が 900万円以上の場合はメリットがないが、 695万円以下の人にメリット(税軽減)が得られる。

・695万円以下でも、合算所得が低いほどメリットが大きく、かつ配当所得の比率が高いほどメリットが大きくなる。

結局、下表のように数式を紐解けば、「総合課税方式」で申告すれば、 配当は、「累進税率ー10%」の税率でよい ことになり、既に支払った15%の源泉徴収税は、その分が還付されることになります。

◯確定申告前の支払い税金 (給与等所得)×累進税率+配当所得×15%
◯総合課税後の税金額 (給与等所得×累進税率A)+(配当所得×累進税率A)ー(配当所得×10%B)

ここで累進税率は、上表の「 課税所得別軽減税率メリット 」からわかるように、所得に200万円以上の増加がなければ変動しないので、配当が加算されても累進税率は影響しません。

結局は、次の通りとなります。

(給与等所得×累進税率)+(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%B)
◯配当加算が税金に影響する部分は、次の式となります。
(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%B)

この式をまとめると 配当所得×(累進税率ー10%) になり、結局、 配当に掛かる税率は、「累進税率から配当控除率10%を差し引いた税率」で良いことになります

従って、配当受取り時に徴収された15%の所得税(他に5%の住民税)は、確定申告により、払い過ぎた分が還付されることになります。

2)「総合課税方式」による「還付金額」の算出事例

年収収入 310万円と配当収入90万円の 年金所得者の事例
年金収入が310万円、配当収入が90万円で、税金は、年金の所得税6.6万円、株式配当所得税13.8万円で合計20.4万円徴収されています。

なお、
社会保険料控除額等所得控除額額は、130万円であった。( 源泉徴収ありの特定口座)

「還付金額の算出」

年金収入310万円は「年金所得190万円」となり、「配当所得90万円」と合せた「合計所得は280万円」となります。
ここから社会保険等の「所得控除額額」130万円を差し引くと、「課税所得」は、150万円(280?130)となります。

所得税は、7.5万円(150万円×得税率5%)
ここから配当控除額9万円(配当90万円×配当控除率10%)が税額控除されます。
従って、「確定所得税」は、7.5万円ー9万円から「-2万円」となりますが、国から税金を徴収するわけにはいかないので「0円」となり、つまり税の納入は不要となります。

これらの結果、源泉徴収された所得税「20.4万円」が「0」で良いことになるので「20.4万円」の 還付金を受けることになります

これを表を使って表すと下表のようになります の単位 万円

収入 所得 所得控除 課税所得 確定課税 配当控除 申告課税 源泉徴収税 還付
年金
310 190 130 60 5.0% 6.6
配当
90 90 90 15.3% 13.784
合計
400 ?@ 280 ?A 130 ?B 150 ?C 5.0% ?D 7.5 ?E 9.0 ?F -1.5 ?G 20.384 ?H 20.384

[表の説明]

年金と配当所得の合計280万円(?@)から所得控除130万円(?A)を差し引いて課税所得150万円(?B)を求め、所得税率(課税所得額ランク別?T表)の5%(?C)を乗じて課税額7.5万円(?D)を確定します。

そして、この税額から配当控除額(配当90万円×10%=?E9万円)を税額控除し申告する課税額(?F‐1.5万円)が確定します。

ここでは「‐1.5万円」となっていますが、税金を徴収するわけにはいきませんので「0」とカウントされます。

そして「税金が0でいいにも関わらず源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「?G20.384万円」ありますので、これが還付の対象となり「?H還付金20万円」が還付されます。」

3)「総合課税方式」による確定申告の場合は住民税への影響を考える必要がある!

○注意!住民税でも総合課税方式で配当控除を受けると負担増に繋がる可能性が大になります。

下表の通り、住民税率は「10%」であることから、住民税の配当控除「2.8%」の適用を受けても、実質「7.2%」の税率となり、配当で源泉徴収された「5%」よりかえって負担増となります。 

[?U表 住民税:課税所得額ランク別に見た配当控除の減税効果]

課税所得金額
住民税率
配当控除率
実質の負担税率
源泉徴収税率
税軽減効果
(A)
(B)
(C)=A-B
(D)
C−D
1000万円以下
10%
2.8%
7.2%
5%
2.2%追徴

さらに、 配当込みの課税所得が、次年度の住民税算定基礎(所得割)に適用され負担増になります。 (住民税は昨年度の所得を基礎にするため)

その上、住民税の課税所得を基準とする国民健康保険料、介護保険料、児童手当等の負担増にも繋がりかねません。

従って、確定申告で「総合課税方式」を選択し何もしなければ、住民税では、確定申告の内容がそのまま適用されます。

先程の事例で住民税でも総合課税だと下表のようになります。

(金額の単位 万円)

収入 所得 所得控除 課税対象所得 税率 確定課税額 配当控除額 申告課税額 源泉徴収税額 追徴金
年金
310 190 117 73 10.0% 7.3
配当
90 90 90 5.0% 4.5
合計
400 ?@ 280 ?A 117 ?B 163 ?C 10.0% ?D 16.3 ?E 2.5 ?F 13.8 ?G 11.8 ?H 2.0

年金と配当所得の合計280万円(?@)から、所得控除117万円(?A)を差し引いて課税対象所得163万円(?B)を求め、住民税率の10%(?C)を乗じて課税額16.3万円(?D)を確定します。

この税額から配当控除額2.5万円(?E配当90万円×2.8%)を税額控除し、申告する課税額13.8万円(?F)が確定します。

しかし、源泉徴収された住民税が、年金分と配当分合わせて11.8万円(?G)なので、申告の課税額13.8万円(?F)に対し2.0万円(?H)の不足が生じ、追徴されることになります。

3.「分離課税方式」は、損が大きいほどメリットが大きい

分離課税方式は、配当控除には一切触れず、又、給与や年金その他の所得とは関わりなく、株式等の譲渡所得や配当に限定し、売買で生じた損失を活用して「損益通算や繰越控除」等により税軽減を図ることができる仕組みです。 

分離課税方式では、当然ですが、譲渡所得や譲渡損失、配当所得の大きさによって還付金の大きさが変わりますので、 損や益がが出たから分離課税が有利だとは一概に言えません。

あくまでも両方式を試算した上で、かつ、住民税などへの影響も踏まえて判断されることをことが必要です。

1)損や繰越控除が大きいほど税軽減(還付)効果が大きい!

分離課税方式では、一つの口座で損が大きく出た場合や、過去の繰越控除(損の繰越)額が大きいほど、利益と相殺できる額が大きくなる為、節税メリットが大きくなります。

損が大きすぎて相殺できる利益が足りなければ、損を繰越し翌年以降の利益を相殺できる権利が得られます。 

従って、損が大きければ大きいほど、分離課税選択のメリットは大きいと言えます。

2)株式運用の状況別に「分離課税方式」による節税効果の算出事例

数字の大きさにより税軽減効果がどう変わるか、総合課税方式と比較できるように表にしました。 

簡単にいうと、損益通算や相殺によって得られる税軽減額は、「損×15.315%」となります。(もちろん損失額以上に益(含む配当)があることが必要です)

なお、総合課税方式との比較は、前述した年金者モデル(年金収入が310万円、配当収入が90万円)の「所得税の還付金20万円」との対比でみます。

?@「 損が出たので別口座の益と損益通算して税を軽減したい」

複数の「源泉徴収ありの特定口座」を持っていて、一部口座で損(配当を含めても)となったので、益となった別口座と「損益通算」して税還付を受けるのが目的です。 

この場合、あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いので、すべての口座を取り上げる必要はありませんので、ご注意!

◯2つ証券会社(A社、B社)で特定口座を持っていて、それぞれの口座の年間取引結果が下記のケースを想定。

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益400万円と配当45万円で益合計 445万円、源泉徴収税 68万円
B口座 損失300万円 と配当45万円で損合計 255万円、源泉徴収は 0円

A口座では、所得合計が 445万円(400+45)で所得税 68万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が -255万円(-300+45)で所得税は 0で納めていない。


この二つの口座を合計して損益通算すると、A口座とB口座を合わせた所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となります。

従って、実際に負担すべき所得税が 29万円でいいにもかかわらず既に 68万円を納付しているの で、 39万円(68−29)が軽減され還付されることになります。

ここでは、損失を超える利益(含む配当)がある場合を想定しましたが、利益が足りなければ損は翌年以降にこち越せます。(「繰越控除」)

?A「益となったので過去の繰越損と相殺して税を軽減したい」

過去の確定申告で繰越控除(3年間を限度として損を繰り越せる制度)の申告をしている場合に、本年度の利益(含む配当)と相殺して、本年度の利益を圧縮して税の還付が受けられます。 

あくまでも繰越損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いので、すべての口座を取り上げる必要はありません。

<事例>

本年度収益は、利益400万円と配当90万円の合計が 490万円となり所得税 75万円が源泉徴収されている。
繰越控除には有効分(3年以内)110万円があるので、これと損益通算すると、本年の収益は、 380万円(490−110)に圧縮でき、これに本来の所得税率15.32%を乗じると納めるべき税金は、 58万円でいいことになる。
従って、既に源泉徴収された75万円から 17万円(75−58)が税軽減分として還付されることになります。
?「繰越控除や 損益通算しても損が残ったので、損を繰越したい」

シミレーションは省略します。

3)住民税への影響を勘案した対策が必要

なお、確定申告を分離課税方式で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられます。 

しかし、次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。 

くれぐれも、口座間で損益通算する場合は、益が大きく残らないよう益の小さい口座との損益通算に限定して申告しましょう。 

結局は、住民税については、還付金の大きさと住民税等への負担増の大きさ等の比較から判断しなければならないところがあります。

?W.最後に

その年の株式取引の売買損益と配当の状況、及び過去の繰越控除のあるなしによって、分離課税方式あるいは総合課税方式の選択によって、株式取引での高い税金を節税することができます。

従って、株式投資をされる方は、毎年の確定申告を大いに活用されることをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーー 完  ーーーーーー
関連記事

2024年01月24日

住宅リフォームは確定申告で所得税、固定資産税、贈与税が軽減できます!

宅リフォームは確定申告で所得税や固定資産税だけでなく、親等からのリフォーム支援贈与の贈与税なども軽減措置が受けられる可能性があります。

しかし、住宅リフォームで税の軽減措置を受けるには確定申告が必要です。 

過去5年以内にリフォームされた方は、軽減措置対象に該当するかどうかを知って確定申告されることをおすすめします!

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?T.住宅リフォームで受けられる税制優遇制度

住宅リフォームは景気振興の一環となるため、住宅をリフォームした場合、工事内容や住宅要件を満たしていれば、以下のような各種税制で優遇措置が受けられます!

対象税制 優遇措置適用の要件概略
1.所得税 住宅をローンや自己資金でリフォームをした場合、 工事内容や住宅要件を満たしていれば 、確定申告で所得税の控除を受けることができる
2.固定資産税 耐震、省エネ等の工事に50万円以上をかけてリフォームした場合 、確定申告で1年間に限り固定資産税の二分の一又は三分の一が減額措置が受けられる
3.贈与税 リフォームのために父母や祖父母から資金の贈与を受けた場合 、確定申告で一定額まで贈与税がかからない非課税措置の適用が受けられる場合があります

以下、それぞれの税制での税制優遇措置の内容をご紹介します。

1.住宅リフォームの所得税減税措置

住宅リフォームに適用される所得税の減税は、 「ローン負担軽減の為のローン減税」と、ローンに関係なく「 省エネ等推進の為に支援する省エネ等推進目的別の投資型減税」とに区分されます。

減税目的
減税制度
1)ローン負担軽減の為の
 「ローン減税」
10年以上融資対象の「住宅ローン減税」
5年以上融資対象の 「ローン型減税」
2)省エネ等推進目的の
「投資型減税」
省エネのための「投資型減税」

なお、リフォームの種類や内容により、利用できる制度が違いますが、併用できる場合もあります。

1)ローン負担軽減の為の「ローン減税」

ローン減税は、融資期間の長さによって、?@ 10年以上融資対象の「住宅ローン減税」と?A5年以上融資対象の 「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)があります。

?@ 「住宅ローン減税」

「住宅ローン減税」は、10年以上のローンを利用した場合に適用されます。

住宅ローンを利用して、「増築」や「省エネ」、「バリアフリー」など、100万円を超えるリフォーム工事をした場合に対象になります。

なお、 新築住宅の取得に対するローンの場合、令和4年度税制改正により、控除率は1%から0.7%に引き下げられ、控除期間は最長10年から最長13年へと延長されました

制度名 住宅ローン減税」(住宅課借入金特別控除)
対象者 返済期間10年以上のローン を借りてリフォームをした者
半分は自分の居住用である 住宅
本人の所得3千万円以下
要件 ・増改築、一室の修繕、耐震補強、バリアフリー、省エネなどの 改修工事など一切 リフォームする住宅の専有面積が「50平米以上」
補助金等を除いたリフォーム費用が「100万円以上」 などの条件がある。
減税の内容 10年間に亘り、年度末のローン残額(限度額4000万円)の1%分(令和4年度税制改正により1%から0.7%に引き下げられた)が「10年間」所得税から控除される。
但し、年間控除額は最高40万円(認定優良住宅50万円)、10年間で最大400万円(認定優良住宅500万円)が限度
なお、2019年10月1日以降(消費税率10%)のリフォームは、控除期間は13年。
・控除しきれない場合は、翌年の住民税から13万6500円を上限に控除。
・初年度に確定申告していれば、2年目以降は年末調整で可能。

なお、 住宅ローン減税は、 令和6年度税制改正において、制度内容が一部下記のような内容に変更されています。 (詳しくは こちら

※住宅リフォームの税制の手引き ※国交省「住宅ローン減税」

?A「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)

「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)は、5年以上の住宅ローンを利用した場合に適用されます。

5年以上の住宅ローンを利用して、バリアフリー工事や省エネのための断熱工事、同居対応・長期優良住宅化リフォームをした場合等の特定の増改築住宅借入金等に対し、 リフォーム工事の内容別に費用 の2%又は1%の所得税の特別控除が受けられます。

制度名 「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)
対象者 返済期間5年以上のローン を借りてリフォームをした者
要件 「バリアフリー」「省エネ」「同居対応」「長期優良住宅化」の一定要件(工事内容や住宅要件) を満たすこと
減税の内容 下記の(1)(2)の合計額または「控除限度額」のいずれか少ない額が、改修後から「5年間」、所得税から控除される。
但し、年間最大控除額は12万5000円、5年間で最大62万5000円になります。
また、各年の所得税額より控除額が多い場合は、所得税額が上限となる。
(1)年末のローン残高のうち、対象リフォームである バリアフリー・省エネ・同居対応・長期優良住宅化リフォーム工事費用 (限度額250万円/補助金を除く)分の2%
(2)ローンのうち、 対象リフォーム以外の工事費用 相当分 (限度額は(1)と合わせて1000万円)の「年末ローン残高の1%」
補足 併せて耐震リフォームを行う場合は「投資型減税」との併用ができる。

2)エネ等推進目的別の「投資型減税」

住宅ローンを利用していなくても、所得税の控除が受けられる制度です。

耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化等のリフォームをした場合、確定申告によって1年間、 工事費等の10% が所得税から控除されます。

控除対象限度額があって、リフォーム内容で異なります。

制度名 「投資型減税」
対象者 住宅ローンの利用有無に関わらず適用
要件 「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「同居対応」「長期優良住宅化(耐久性向上)」の一定要件を満たすリフォームであること。
耐震とバリアフリーの両方を行う場合など、制度の併用ができるものもある。
減税の内容 標準的な工事費用相当額(補助金等を除く)の10%、または「控除限度額(下記)」のいずれか少ない額が1年間控除される。ただし、所得税額より控除額が多い場合は所得税額が上限となる。
控除限度額は、リフォーム内容によって異なります。
・耐震、省エネ、同居対応、耐久性向上の場合、25万円(省エネリフォームで太陽光発電装置を設置する場合は35万円)
・バリアフリーリフォームの場合、20万円
これらリフォームにあわせて太陽光発電システムを設置したり、内容が異なるリフォームを一緒に行った場合には、控除対象限度額が上がるものもあります。

2.住宅リフォームの固定資産税減税措置

耐震、省エネ、バリアフリーの為のリフォームについて次の様な基準で、次年度の固定資産税の減額を受けられます。

種 別 要件 固定資産税の減税額
耐震
リフォーム
昭和57年1月1日以前に建てられた建物(戸建て・マンション・アパート含む)で工事費用が50万円以上の新耐震基準に適合する工事であること 翌年分の固定資産税の2分の1を1年間減額(指定道路沿い住宅は2年間)
省エネ
リフォーム
平成20年1月1日以前に建てられた自家で省エネリフォーム工事費用が50万円を超えていること 翌年分の固定資産税の3分の1を1年間減額
「バリアフリー」
リフォーム
・次のいずれかの方が居住していること
?@65歳以上の方
?A要介護または要支援の認定を受けている方
?B障害がある方
・築年数が10年以上経過しており、リフォーム後の床面積が50平方メートル以上であること
バリアリフリーが次のいずれかに該当すること 通路などの幅を広げる、階段の勾配を緩やかにする、浴室・トイレ・出入り口などの改良、手すりを取り付ける、段差をなくす、滑りにくい床材に変えるなど
翌年分の固定資産税の3分の1(ただし1 00平方メートルまでに限る)

(補足) 

固定資産税は、土地や建物等の評価額によって決まります。 

地域や建物の構造、設備などで異なりますが、戸建ての平均は年額10〜12万円程度と言われるので、二分の一であれば5万円程の減額となります。

3.住宅リフォームの贈与税非課税措置

リフォームのため、父母や祖父母から資金贈与を受けた場合、一定額まで贈与税がかからない非課税措置が設けられています。

●支援対象:住宅取得費用の贈与を受けて行う 省エネ性能等に優れた住宅の新築 、および、住宅取得等費用の贈与を受けて行う 省エネ性能等を有する住宅への改修工事

●内容: 一般住宅に比べ、非課税限度額を500万円加算

[贈与税の非課税額]

この措置には期限がありますので、利用される場合は、財務省のホームページの最新情報確認が必要です。 

なお、 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は、 令和6年度税制改正において、適用期限が3年間延長されることとなりました。 (詳しくは こちら

?U.リフォームの減税適用には確定申告が必要

以上の住宅リフォームによる税優遇措置を受けるためには、確定申告が必要になります。 また、これら減税優遇措置を受けるためには、各優遇制度利用に必要な書類を取りそろえた上で確定申告をする必要があります。 

確定申告に添付しなければならない必要な書類は、各優遇措置制度によって異なりますので各制度をご覧願います。 

なお、煩わしいと考えられがちな確定申告は、e-Taxを使えばパソコンやスマホで家にいながら税務署への申告手続きが完了できます。

e-Taxを使ってPCで簡単に確定申告を!

e-Taxを使って、パソコンやスマホで確定申告をする為に必要な事前準備と作成手順は、次の記事をご参考に願います。

なお、パソコンでe-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーか、読み取りに適したスマホが必要になります。 

簡単に読み取りができるICカードリーダーは、マイナンバーカード対応製品である必要があります。(対応は、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます)

◎おすすめカードリーダー

?V.最後に

ローン会社からの説明を受けるで住宅購入時と違って、リフォームの場合、減税措置を知らずに確定申告をしない人が多いと聞きます。 

住宅リフォームも確定申告で所得税(含む住民税)や固定資産税、贈与税などの各種の税制優遇制度が受けられます。 

是非、優遇措置を知って確定申告で住宅リフォームによる税の節減を確実にしましょう! 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーー

なお、関連する下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2024年01月23日

歯列矯正等の保険外診療費も確定申告の「医療費控除」の対象です!

誤解の多い健康保険が適用されない歯列矯正などの保険外診療(自由診療)も確定申告での「医療費控除」の対象になります!

保険外診療とは、健康保険で規定した治療法や薬剤・材料を使わないだけであって、病気や健康回復維持のための治療であれば、当然、所得税法上における税軽減措置「医療費控除」の対象になります。

従って、健康保険外治療だからといって、確定申告しなければ、所得税の軽減措置が受けられません。

美容目的でなく歯並びが悪く物がよく噛めないとか歯の本数が足りなくて日常生活に影響がある場合などの保険外での歯列矯正などは医療上の治療に該当します。

保険外の治療費は高額なので、是非とも医療費控除で負担軽減を図りたいものです。

?T.健康保険外治療も確定申告「医療費控除」の対象となる!

健康保険が使えないと「医療費控除」の対象にならないと勘違いしていませんか? 

歯医者から、材質をセラミックにしたり、インプラントにすると「健康保険が使えない」と言われたりします。

そんな時、前歯であったり、歯茎の状態から保険外でお願いすることが多々あると思います。

また、歯並びが悪かったり、あるいは歯の本数が少なくて長年のうちに物がよく噛めなくなったり、発声に支障をきたしたり、顎関節が痛みやすくなるなどの支障が出てきて歯列矯正が望ましいとなった時は、保険の効かない保険外(自由)診療に頼らざるを得なくなります。 

これらによる保険外診療は全て、確定申告での「医療費控除」の対象になります。

1.保険診療と保険外診療の違い

窓口2割負担等で治療が受けられる保険診療に対し、保険外診療(自由有診療とも言う)は全額本人負担となります。 

「保険診療」は、加入者の保険料で賄われるため、受けられる治療法や薬剤などには一定の縛りがあります。

一方、「保険外診療」の場合は、保険が適用されない特殊治療(歯医者ならだれでもできるというわけではないため)や贅沢費(セラミック材や個室など)などが受けられます。

「保険診療」 ・健康保険適用の診療のこと
「自由診療」 ・健康保険適用外の診療のことで、厚労省が承認していない診療や薬を使うことができるが、全額が患者負担となる
・がん治療の一部や出産費用、 歯の矯正やインプラント 、レーシック手術代、予防歯科など
「先進医療」 ・保険診療と自由診療の両方の性質を持つ医療で、部分的に健康保険が適用されるため、自由診療よりも負担が軽くなることもある

2.美容や予防目的でなければいずれも治療に該当する

保険診療と保険外診療の違いは、保険が適用されるか否かの違いであって、いずれも、美容目的や予防目的でない限り、治療には変わりありません。

3.美容や予防目的でない保険外治療は医療費控除の対象になる

保険診療の場合、材質等や治療法が限られ本当に必要な治療が受けられないことがありますが、金属アレルギーや、歯並びや歯茎の状態等に合わせた高度な診療が受けられます。 

このため、多くの方は、保険外を特殊贅沢費と勘違いして、「医療費控除」の対象外と思い込んでおられるのではないでしょうか? 

保険外(自由)診療は、日常の不自由さを取り戻す治療目的であれば、大抵、所得税軽減措置である「医療費控除」の対象になります。

4.治療目的の歯の保険外診療は、「医療費控除」の対象になる

歯の場合、「前歯など目立つところ」や「歯並などの加減」、「金属アレルギーなどの体質」等で、少しでも良い材質や良い治療法を選ばざるを得ないのですが、保険が効かないことが、医療費控除の対象にならないと勘違いして確定申告しないケースが多くあります。 

実は、歯の自由診療費は、美容目的でなく治療目的ならば「医療費控除」の対象になるのが一般的です。

5.「医療費控除」の対象外となる「保険外診療」とは?

「医療行為以外」の自由診療は医療費控除の対象外です。

従って 美容目的だけの歯の矯正や白い歯外来などは、医療費控除の対象になりません。

但し、歯列の状態(歯並びが悪く、あるいは歯の本数が少なく長年のうちに物がよく噛めなくなったり、発声に支障を来すとか、顎関節が痛みやすくなるなどの支障が出てくるなど)で、 機能的な問題を解決するために歯列矯正が望ましいといった場合の歯列矯正は医療費控除の対象になります。  

?U.国税庁の「医療費控除」の定義と具体事例

1. 一般的水準を著しく超える特殊なもの を除いて医療費控除の対象になる(指針)

国税庁は、「歯の治療には、保険のきかないいわゆる自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合など治療代がかなり高額になることがありますが、 一般的に支出される水準を著しく超える特殊なもの は医療費控除の対象になりませんが、 現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえるので、これらを使った治療費は、医療費控除の対象になります 。」といった言い回しで曖昧な表現で指針を示しています。 

しかし、「一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なもの」の具体的内容を示されておらず、かなりの幅のある指針となっています。

つまり、このことは、 美容目的でなく、治療目的で、虫歯や歯が欠けた、歯槽膿漏やぐらつき等治療で今日的に進んだ歯科治療を相当の費用で受ける自由診療には、健康保険は適用されないが、医療費控除で税制上支援する(認める)という考え方です。

(補足)歯の自由診療が、ほとんどが「医療費控除」の対象になるという紹介記事が沢山見受けられます。気になる方は、検索してみてください! 

・おすすめ記事⇒「 治療費・医療費控除/保険診療と自由診療の違い

2.国税庁のホームページ「医療費控除の対象例」

国税庁のホームページでは、歯の自由診療費が、医療費控除の対象となるかどうかの判断基準を、「 金やポーセレンを使用した歯の治療費 」や「 No.1128医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例 」といったテーマで次のように示しています。 

<国税庁ホームページ>

歯の自由診療事例
医療費控除適用の指針
金やポーセレンなどの材料は、歯の治療材料として一般的に使用されている現状にあることから、 これらを使用した歯の治療費は医療費控除の対象となります。
現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえますから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になります。
発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります

つまり、殆どは治療である限り、保険外であっても所得税法上では「医療費控除」として認めるということです!

?V.歯の自由診療費は「医療費控除」の対象と確定申告しましょう!

自由診療は保険がきかない為、医療費控除の対象にならないと諦めていた方は、是非、自由診療費を医療費控除に含めて確定申告されることをおすすめします。 

なお、「医療費控除」は、その年度の所得の節税のための「所得控除」の一つであります。 

このため、過去に確定申告したことがない年度において医療費控除による還付金の見込みがあれば、還付請求は、5年間に遡って申告が可能です。

?W.最後に

保険外(自由)診療は、健康保険で規定した治療法や薬剤・材料を使わないだけであって、病気や健康回復維持のための治療であれば、当然、所得税法上における税軽減措置「医療費控除」の対象になります。 

従って、歯並びが悪く物がよく噛めないとか、歯の本数が足りなくて日常生活に影響がある場合などで保険外で歯列矯正するのは治療に該当、「 医療費控除」の対象になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーーー 完 ーーーーーーーー

なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2024年01月16日

PCやスマホからe-taxで確定申告する為に必要な事前準備と利用方法

確定申告は、難しく手間がかかりそうと思って折角の節税チャンスを放棄している方が多いのではないでしょうか?

しかし、e-taxを使えばPCやスマホで簡単に作成できオンラインで送信すれば税務署に出向かずに確定申告が完了します。 

また、 確定申告は、節税の最大のチャンスでもあります!

確定申告義務がない「サラリーマン」方でも、医療費控除や住宅控除以外にも年末調整で織り込めなかった控除対象・金額やふるさと納税、寄付金、株取引等運用損や配当控除などで節税できることも多く、年金収入者も、生命保険や地震料、ふるさと納税や寄付金、株取引等運用損や配当控除などで節税できる場合が多くあります。 

e-Taxを利用すれば、節税に繋がるかどうかが パソコンで簡単に試算できます。是非、 e-Tax を利用して節税チャンスを逃さないようにしたいものですね!

?T.確定申告は節税の為の最大の機会!

1.確定申告不要の会社員や年金生活者も確定申告すれば節税に繋がる可能性が殆ど!

会社で年末調整を受けるサラリーマンも、医療費控除やふるさと納税、寄付金、配当所得や株式投資譲渡損などで還付を受けられる可能性が多々あります。

また、年末調整などの機会がない年金者の方も、医療費控除は勿論、生命保険料や地震保険料、ふるさと納税、寄付金、配当所得や株式投資譲渡損などで還付を受けられる可能性は高いのです。

2.e-Taxを使えば簡単に節税効果が試算できる!

確定申告書は、e-Tax(イータックス)を利用す れば、国税庁HP「確定申告書作成コーナー」の画面指示に従って、 パソコンで金額等を打ち込んでいけば簡単に作成できます。

しかも、 瞬時に還付金額が表示されるので、還付金の有無や大きさが簡単に把握できます。

このため、 e-Taxは 重宝な試算ツールとも言えますね!

?U.e-tax利用に必要な「事前準備」とは?

e-Taxを利用するためには、税務署への登録など事前準備が必要となります。

しかし、一度事前準備事項を整えれば、毎年、パソコンやスマホでe-taxを利用して 簡単に確定申告書が作成できて自宅に居ながら税務署に提出できます。

何よりも、簡単に還付金が得られるか、節税ができるかが瞬時に分かります。

e-Tax(国税電子申告・納税システム」を利用してパソコンやスマホで確定申告するためには、本人確認の為の個人認証ツールとして以下のような事前登録が必要となります。 

1. 「マイナンバーカード」か「IDとパスワード」の取得 

認証に必要な「マイナンバーカード」か「IDとパスワード」を事前に取得しておくことが必要

2.「利用者識別番号」の取得 

他者のなりすましなどを防ぐため、個人アカウント(16桁の利用者識別番号)とパスワードを事前に登録しておくことが必要 以下、取得方法等をご紹介します。

1.マイナンバーカードかID・パスワードの取得

e-taxで確定申告書を作成し申告するためには、間違いなく本人のものであることを裏付ける必要があります。 

このための本人確認に用いられるのが、「マイナンバーカード」か「税務署交付のIDとパスワード」になります。 

従って、パソコンやスマホで確定申告するには、「マイナンバーカード」か「税務署交付のIDとパスワード」のいずれかを事前に取得しておく必要があります。

本人確認方法 交付元
マイナンバーカード 市区町村への申請で交付される個人番号カード
ID・パスワード 税務署で交付され本人認証用ID・パスワード

1)「マイナンバーカード」の取得方法

マイナンバーカードは、住民票のある市区町村で取得しますが、取得方法には、次のような方法があります。 

なお、マイナンバーカードに登録された電子証明証の有効期間は、交付から5回目の誕生日を迎えるまでとなっていますので、有効期限には注意が必要です。

◯「交付申請書」による申請

通知カードに同封されていた「交付申請書」に必要事項を記入し、顔写真を貼って郵送するか、市区町村の窓口で申請できます。

いずれの方法でも発行までには1カ月程度かかるので注意が必要です。

◯オンラインによる申請

オンライン申請用サイトで必要事項を入力し、スマートフォンのカメラで撮影した顔写真を登録して申請できます。

◯証明写真機からの申請

マイナンバーカード対応のステッカーが貼ってある証明写真機から、画面の案内に従って必要事項を入力し、顔写真を撮影・送信して申請できます。

2)「IDとパスワード」の取得方法

パソコンやスマホで確定申告するために必要な「ID・パスワード」は、税務署で担当官と面会し、運転免許証などの本人確認書類と照合を経て、「 ID・パスワード方式の届出完了通知 」の形で受け取ります。 

なお、「確定申告書等作成コーナー」で、マイナンバーカードとカードリーダーを使って「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を送信することにより、「ID・パスワード」を取得することもできます。

3)なお、マイナンバーカード方式の場合は、それを読み取る「ツール」も必要

マイナンバーカード方式の認証手続きには、「マイナンバーカード」と、それを読み取るツールが必要となります。 

従来は、「カードリーダー」のみでしたが、現在は、「スマホ」で読み取る方法も可能となりました。 

従って、「マイナンバーカード方式」の場合は、次の2点を事前に準備する必要があります。 

・本人証明用の「マイナンバーカード」 

・読み取る為の「ICカードリーダー」か、適合機種の「スマホ」

なお、読取りについては、次の様な画面で選択を求められます。

ICカードリーダーの取得方法

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 

「マイナンバーカード(個人番号カード)」に対応したカードリーダについては、「公的個人認証サービスポータルサイト」の 「マイナンバーカードに対応したICカードRW一覧」(外部リンク) で確認できます。 

次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 

そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

・対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
・「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
・USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。
なお、 公的個人認証サービスポータルサイト にアクセスし、利用者クライアントソフトをインストールして電子証明書を予め確認をしておくことが必要です。
◎おすすめカードリーダー
読み取りに使える「スマホ」の適合機種

パソコンの画面に表示された2次元バーコードをスマホで読み取るためには、スマホが「マイナポータルアプリ」に対応している必要があります。 

マイナンバーカード読み取りの具体的方法は、スマホにインストールした「マイナポータルアプリ」でパソコン等に表示された2次元バーコードを読み込むことで、スマートフォンとパソコン等の連携(接続)が可能となります。

https://youtu.be/_bSyj4rs2nc 

◎スマホの対応機種確認は「 こちら

2.「利用者識別番号」の取得方法

e-Tax利用のためには、「利用者識別番号(半角16桁の番号)」の取得も必要となります。

「利用者識別番号(半角16桁の番号)」は、納税者個人のアカウントとなるものです。

主旨は、他者のなりすましを防ぐため、16桁の識別番号とパスワード事前に登録しておくというものです。

「受付システム」等の利用にも必要になります。

「利用者識別番号」の取得方法は、 下記のようにいろいろな方法があります。

【取得方法?@】WEBからマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する 

【取得方法?A】WEBから利用者識別番号を取得する 

【取得方法?B】マイナポータルの「もっとつながる」機能からe-Taxを利用する 

【取得方法?C】WEBからID・パスワード方式の届出を作成・送信する 

【取得方法?D】税務署に行って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する 

【取得方法?E】書面で利用者識別番号を取得する   

なお、「再発行」の手続きを行うと、今までの情報は消滅するので注意が必要です!

※既に利用者識別番号を取得されている方が、 新たに利用者識別番号を取得すると、今までの利用者識別番号は利用できなくなり、申告書等の送信結果が格納されている「メッセージボックス」の確認ができなくなります。

従って、今までの利用者識別番号、暗証番号が分からない場合は、「 変更届出 」の手続きを行ってください! 

具体的な取得手続きは、「 e-taxご利用の流れ 」をご覧になって、やり易い方法で取得してください。

[取得方法?@マイナンバーカードを使ってアカウントを登録する方法]

ここでは、取得方法?@の「WEBからマイナンバーカードを使ってアカウント(利用者識別番号)を登録する」手順をご紹介します。

?@受付システムログイン画面を開き、「確定申告書等作成コーナー」画面の右側にある「メッセージボックスの確認」の「確認する」ボタンをクリックする

?Aすると、「受付システムログイン」画面が開くので 「マイナンバーカードでログイン」ボタンをクリックする

?B次に、 マイナンバーカード認証方式の選択画面で、いずれかを 選択してマイナンバーカードの認証を受ける

?C マイナポータル画面が表示されるので、マイナンバーカードの「利用者証明用パスワード(数字4桁)」を入力し「OK」をクリックする

?D次の画面で「初めてe-Taxをご利用される方はこちら」をクリックする

?E 下に表示された「マイナンバーカード情報の確認へ」ボタンをクリックする

?F受付システム画面にある「 入力方法の選択」で「マイナンバーカードから読み取る」を選択し、「ICカードリーダライタで読み取り」か「スマホ」をクリックする

?G表示されたマイナポータル画面に利用者証明用パスワード(数字4桁)を入力 し「OK」をクリックする

すると、下に「マイナンバーカード情報」欄に氏名等が表示されるので、内容を確認、間違いがないことを確認して「次へ」をクリックする。

?Gすると、下表の「利用者情報入力」画面が表示されるので、必要事項を入力した後、「確認」をクリックする

?H提出先税務署名に誤りがなければ、「OK」をクリックする。

?I【既に利用者識別番号を取得されている方へ】の注意・警告メッセージが表示されるので、確認して「OK」をクリックする

これは、既に登録し利用されていたにもかかわらず、ここで新たに作成すると、前に登録していた識別番号は抹消され、今までのデータ等が見れなくなるとの警告です。

?J入力に誤りがなければ「送信」をクリックする。
?K「利用者識別番号の通知を希望する」にチェックを入れて「OK」をクリックする

?L画面に「利用者識別番号」が表示されるので、「次」へをクリックする

?M次に、保存等を促すメッセージが表示されるので、「OK」をクリックする
?N受付システムのメインメニューが表示されれば、「利用者識別番号」の登録が完了です

以上によりe-tax利用の事前準備が整えば、いつでもe-taxのシステムが利用できる状態になりました。

?V.e-Taxの利用手順

以上によって事前準備が整えば、いつでも「確定申告書等作成コーナー」を使って、所得税の確定申告作業ができるようになります。
以下、e-Taxの利用手順をご紹介します。

1.e-Taxの「 確定申告書等作成コーナー」を開く

【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)」を開き「e-Tax」ページの上方にある「 個人の方」タブを選択する。次に、表示された 「確定申告書作成等コーナーはこちら」をクリックすると、 「国税庁 確定申告書等作成コーナー」のページに入れます。

2.「作成コーナートップ」画面の「 作成開始」をクリックし、税務署への提出方法を選択する

「作成コーナートップ」画面にある「 作成開始」をクリックすると、「税務署への提出方法を選択してください。」という以下の案内が示されるので、いずれかを選択します。
以下の手順には、画面の案内に沿って進めて行くことになります。

3.作成する申告書等と年分を選択する

次の画面で「令和5年分の申告書等の作成」をクリックします。

4.「令和5年分の申告書等の作成」画面で「所得税」を選択する

5.次に「マイナポータル」選択画面でどちらかを選択する

マイナポータルを利用するかしないかを問われるのでどちらかを選びます。 利用しない場合は。右側を選択します。

以上で申告書作成準備が完了しました! 次に、今年度の確定申告のためのパソコン環境の整備のために「事前準備セットアップファイル」によりアップデートを行ないます。

6.今年度確定申告の為のPC環境整備を「事前準備セットアップファイル」によりアップデートする

5.のマイナポータル選択が完了すれば、同ページの最下段にある「次へ」をクリックし、「事前準備セットアップファイル」によりPCのアップデートを行ないます。

※PCでe-Taxを使って確定申告をする場合は、毎年、パソコン環境をこのファイルを使ってアップデートしておくことが求められます。 
これに対処していなければ、認証場面で、「事前準備を行ってください」や「セットアップが未完了です」などのメッセージが表示され、先に進めません

◎「事前準備セットアップファイル」をダウンロードする手順

1)PCで検索して「 e-Tax 事前準備 のご案内 - 国税庁 」にアクセスし、下の画面から、自分の個人認証方式に対応したタブをクリックする
例えば、マイナンバーカード方式で個人認証を行う場合は、 「マイナンバーカード方式」タブをクリックします。
2) 「事前セットアップのダウンロード」画面が表示されるので、Windows利用の場合は、 「windowsをご利用の方はこちら」タグをクリックする
3)タグの下の赤色ダウンロードボタンをクリックする
4)パソコン画面右上部の「 ファイルを開く をクリックする
5)ダウンロードを「 許可しますか?」の画面の「 はい」をクリックする
これでダウンロードが始まり、後は、 指示に従ってクリックしていく インストールが完了します。   
以上で、あなたのパソコンは、今年度の確定申告に対応できる体制が整いました。
なお、e-Tax利用の具体的手順は「 パソコンからe-taxを使って確定申告する手順をわかりやすく解説 」をご覧下さい

?W.最後に

確定申告は、 節税のための機会でもあり、会社員や年金者にも確定申告で節税できる方が殆どです。

一度、個人認証の為のマイナンバーカード登録やID等の 事前準備を行なえば、毎年、PCやスマホでe-Taxを使って簡単に確定申告できます。

簡単に節税確認できるe-Tax で機会を逃さないようにしたいものです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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関連記事もご覧いただければ幸いです。 確定申告

2022年03月04日

確定申告|住宅リフォームは所得税、固定資産税、贈与税の減税対象!(リニュアル)

風水害や盗難、横領などで損害を受けた場合、所得税等の軽減措置が受けられます!

台風や豪雨などの災害で被害を被った場合、国税(所得税や相続税・贈与税等)や地方税(住民税や固定資産税等)などで損害に見合った税の軽減措置が受けられます。

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?T.災害、盗難等の損害には税の軽減が受けられる!

税金には、課税主体が国である「国税」と、地方公共団体である「地方税」があり、 国税には、 所得税 、法人税、相続税、贈与税、消費税、酒税、たばこ税、自動車重量税など、 地方税には、 住民税 、事業税、 固定資産税 、地方消費税、自動車税などがあります。

課税主体 税金名
国税 所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、自動車重量税など
地方税 住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、自動車税など

地震、風水害、火災などで損害を受けた場合に、税の軽減が受けられる税金

課税主体 軽減措置が受けられる税金名
国税 「所得税」
地方税 「住民税」、「固定資産税」

1.所得税の軽減措置:?@ 雑損控除と?A災害減免法

地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、次の2つの所得税軽減措置がある。

?@「雑損控除」による税軽減を受ける方法 

?A「災害減免法」の適用による「税額控除」を受ける方法

つまり、 風水害等で被った損害は、確定申告でどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部が軽減されます。

なお、 所得1,000万円以上の人は 「災害減免法」の適用外 となるため選択肢は「雑損控除」しかありません。

?@「雑損控除」による方法

「災害」や「盗難」などで自宅や家財などに損害を被った場合、損害補償として受け取った火災保険金などを差し引いた 「実質損失額」に当たる部分を 「雑損控除」として、他の「社会保険控除」などと同様に一定額まで「所得控除」が受けられるというものです。 

なお、 損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。

[「 雑損控除金額」の計算方法 ]

次の2通りあり、いずれかの大きい方が適用される。

ィ.(損失額-民間保険の保険金)- 所得の10%の金額=「雑損控除金額」
説明
失額より民間保険の保険金を差し引き損失額を出し、所得の10%の金額(免責部分)を差し引いた金額を 「雑損控除金額」とする方法です。
なお、 損失額は、自宅や車など資産ごとに算出 する。( 生活に通常必要でない資産は対象外

また、自宅の場合、「取得価額が判っている場合の損失額」は、時間の経過による減価を差し引いた時価に「被害割合」(100%、50%など)をかけた金額とする。

「取得価額がわからない場合の損失額」は、総床面積に対する工事費用(国税庁発表都道府県別?u当たり工事費用による)に「被害割合」をかけた金額を損失額とします。


なお、「被害割合」は、災害時に自治体に申請して交付を受けた「罹災証明書」に記載の 「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らず」の4区分により国税庁の定める比率「%」を用います。(詳細については「 国税庁の被害割合表」 をご覧ください。)
ロ.「災害関連支出-5万円」=「雑損控除金額」とする方法
説明
「災害関連支出」とは、損壊した自宅の修復費用や自宅内に流れ込んだゴミや土砂などの撤去費用など。

?A「災害減免法」による方法

所得1,000万円以下の者が、災害で住宅等に損害を受け「住宅や家財の損害額が時価の二分の一を超える場合」に、下記の「所得に応じた免除割合」が適用された金額が「税額控除」されます。(この場合、「雑損控除」は受けられません)

つまり、損害が時価の5割以上で、 所得が500万円以下であれば、所得税全額が還付されるということです!

[所得に応じた免除割合 ]

所得 所得税免除割合
500万円以下 所得税の全額免除
500万円を超え750万円以下 所得税の50%免除
750万円を超え1,000万円以下 所得税の25%免除

「災害減免法」では、直接的に税金免除が受けられるので、本人の所得水準や被害状況と免除割合によっては、「雑損控除」よりも軽減効果が大きくなる可能性があります。

なお、 災害減免法の適用は災害の年の1年だけとなるので、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合は、最大3年間繰り越しができる雑損控除を選択する方が有利となります。

また、この制度は、所得1000万円以上の人は、適用外となります。

※給与所得者が「災害減免法」により所得税の徴収猶予や還付を既に受けている場合は年末調整されませんので、確定申告により所得税及び復興特別所得税を精算することになります。

「雑損控除」と「災害減免法」の大きな違いと対比表

◎「災害減免法」は、災害による損害が対象、「雑損控除」は、災害以外の損害も対象になります。

根拠法 適用対象となる損害の範囲
災害減免法 災害 による損害
雑損控除 災害および盗難・横領等の損害も対象

従って、 住宅や家財への被害は、「災害減免法」と「雑損控除」のどちらか有利な方を選択することができます。

なお盗難や横領による 損失 は「 雑損控除」 だけが対象となります。 

しかし、詐欺や恐喝による 損失 は残念ながら対象外です。 

◎災害減免法の適用は災害の年の1年だけとなる ので、損害額が1年で控除できない場合には、最大3年間繰り越しができる雑損控除を選択する方が有利となります。

◎雑損控除と災害減免法の対比表 税理士法人あたごコンサルティング引用

と減免法スクリーンショット 2022-03-02 164124雑損控除.png

※1 生活に通常必要でない資産とは、別荘や競走馬、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とう等をいいます。

※2 資産に生じた損害の金額から保険金や損害賠償金などによって補填される金額を控除した金額をいいます。

2.住民税での税軽減措置 :基本は「 雑損控除」のみ

所得税では、軽減措置として「災害減免法」と「雑損控除」の2つの方法がありましたが、住民税には 、「災害減免法」の適用はありません。

(但し、市町村条例で減免措置を定めるところもあるので確認が必要)

従って、 所得税の確定申告で「災害減免法」を選択した場合は、住民税では、別途、確定申告前に市区町村で「雑損控除の申告」をする必要があります。

なお、 所得税の確定申告で「雑損控除」を選んだ場合は、自動的に住民税に反映されるため別途手続きする必要はありません。

なお、県民税では、 納税の猶予 や納期限延長などの制度もあるので、利用したい場合は確認が必要です。

3.固定資産税での税軽減措置

○災害等により滅失又は甚大な損害を受けた固定資産

・所有する固定資産が台風、津波、地震、火災などの災害等により滅失又は甚大な被害を受けた場合、その被災の程度(一定程度以上被災していることが要件)に応じて減免されます。 

・固定資産税は、減免申請がなされた日以降に到来する納期限に係る分が減免される。 ・火災の場合に対象となるのは、家屋と償却資産のみです。 ・被災の事実を証明する書類(罹災(りさい)証明書等)が必要です。

○震災等により住宅用地が使用ができなくなった

・震災等により住宅が滅失又は損壊し、住宅用地として使用することができないと認められる場合には、被災した年度の翌年度及び翌々年度について、被災住宅用地として住宅用地と同等の特例措置が適用されることがあります。

?U.確定申告に必要な書類

確定申告には、災害に伴う「罹災証明書」や「火災保険などから受け取った保険金関係書類」、「災害関連支出の領収書類」などを取りそろえておくことが必要になります。 

また、過去5年間に遡って確定申告できるので、該当される場合は確定申告をおすすめします。

なお、還付金等の請求権は、 5年間行使しないことによって、時効になるので注意が必要です。

「雑損控除」に関する確定申告書

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付する。 

なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます(雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。)。 

また、給与所得者は、給与所得源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。

「災害減免法」の適用に関する確定申告

「災害減免法」の適用を受けるためには、確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、納税地の所轄税務署長に確定申告書等を提出することが必要です。

最後に

不幸にも台風や豪雨あるいは地震や火災、水害などで被害に遭われた方は、確定申告で所得税などで収めた税金の還付が受けられます。 

火災保険などと違って忘れがち、あるいは、制度そのものをご存じなくて確定申告せずに済まされる方が多いということです。 

災害の折には、貴重な節税となりますので是非記憶にとどめておいていただきたいと思います。 

確定申告時期は、例年、2月中旬から3月中旬に設定されますが、「雑損控除」などによる還付申告は、それ以前でも行えますので早めに申告されることをおすすめします。

ーーーーーーーーーーー 完  ーーーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 

次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

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2022年03月01日

確定申告|風水害・盗難等の損害には税軽減措置が受けられる!(リニュアル)

風水害や盗難、横領などで損害を受けた場合、所得税等の軽減措置が受けられます!

台風や豪雨などの災害で被害を被った場合、国税(所得税や相続税・贈与税等)や地方税(住民税や固定資産税等)などで損害に見合った税の軽減措置が受けられます。

zei_etaxパソコン確定申告.png

?T.災害、盗難等の損害には税の軽減が受けられる!

税金には、課税主体が国である「国税」と、地方公共団体である「地方税」があり、 国税には、 所得税 、法人税、相続税、贈与税、消費税、酒税、たばこ税、自動車重量税など、 地方税には、 住民税 、事業税、 固定資産税 、地方消費税、自動車税などがあります。

課税主体 税金名
国税 所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、自動車重量税など
地方税 住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、自動車税など

地震、風水害、火災などで損害を受けた場合に、税の軽減が受けられる税金

課税主体 軽減措置が受けられる税金名
国税 「所得税」
地方税 「住民税」、「固定資産税」

1.所得税の軽減措置:?@ 雑損控除と?A災害減免法

地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、次の2つの所得税軽減措置がある。

?@「雑損控除」による税軽減を受ける方法 

?A「災害減免法」の適用による「税額控除」を受ける方法

つまり、 風水害等で被った損害は、確定申告でどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部が軽減されます。

なお、 所得1,000万円以上の人は 「災害減免法」の適用外 となるため選択肢は「雑損控除」しかありません。

?@「雑損控除」による方法

「災害」や「盗難」などで自宅や家財などに損害を被った場合、損害補償として受け取った火災保険金などを差し引いた 「実質損失額」に当たる部分を 「雑損控除」として、他の「社会保険控除」などと同様に一定額まで「所得控除」が受けられるというものです。 

なお、 損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。

[「 雑損控除金額」の計算方法 ]

次の2通りあり、いずれかの大きい方が適用される。

ィ.(損失額-民間保険の保険金)- 所得の10%の金額=「雑損控除金額」
説明
失額より民間保険の保険金を差し引き損失額を出し、所得の10%の金額(免責部分)を差し引いた金額を 「雑損控除金額」とする方法です。
なお、 損失額は、自宅や車など資産ごとに算出 する。( 生活に通常必要でない資産は対象外

また、自宅の場合、「取得価額が判っている場合の損失額」は、時間の経過による減価を差し引いた時価に「被害割合」(100%、50%など)をかけた金額とする。

「取得価額がわからない場合の損失額」は、総床面積に対する工事費用(国税庁発表都道府県別?u当たり工事費用による)に「被害割合」をかけた金額を損失額とします。


なお、「被害割合」は、災害時に自治体に申請して交付を受けた「罹災証明書」に記載の 「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らず」の4区分により国税庁の定める比率「%」を用います。(詳細については「 国税庁の被害割合表」 をご覧ください。)
ロ.「災害関連支出-5万円」=「雑損控除金額」とする方法
説明
「災害関連支出」とは、損壊した自宅の修復費用や自宅内に流れ込んだゴミや土砂などの撤去費用など。

?A「災害減免法」による方法

所得1,000万円以下の者が、災害で住宅等に損害を受け「住宅や家財の損害額が時価の二分の一を超える場合」に、下記の「所得に応じた免除割合」が適用された金額が「税額控除」されます。(この場合、「雑損控除」は受けられません)

つまり、損害が時価の5割以上で、 所得が500万円以下であれば、所得税全額が還付されるということです!

[所得に応じた免除割合 ]

所得 所得税免除割合
500万円以下 所得税の全額免除
500万円を超え750万円以下 所得税の50%免除
750万円を超え1,000万円以下 所得税の25%免除

「災害減免法」では、直接的に税金免除が受けられるので、本人の所得水準や被害状況と免除割合によっては、「雑損控除」よりも軽減効果が大きくなる可能性があります。

なお、 災害減免法の適用は災害の年の1年だけとなるので、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合は、最大3年間繰り越しができる雑損控除を選択する方が有利となります。

また、この制度は、所得1000万円以上の人は、適用外となります。

※給与所得者が「災害減免法」により所得税の徴収猶予や還付を既に受けている場合は年末調整されませんので、確定申告により所得税及び復興特別所得税を精算することになります。

「雑損控除」と「災害減免法」の大きな違いと対比表

◎「災害減免法」は、災害による損害が対象、「雑損控除」は、災害以外の損害も対象になります。

根拠法 適用対象となる損害の範囲
災害減免法 災害 による損害
雑損控除 災害および盗難・横領等の損害も対象

従って、 住宅や家財への被害は、「災害減免法」と「雑損控除」のどちらか有利な方を選択することができます。

なお盗難や横領による 損失 は「 雑損控除」 だけが対象となります。 

しかし、詐欺や恐喝による 損失 は残念ながら対象外です。 

◎災害減免法の適用は災害の年の1年だけとなる ので、損害額が1年で控除できない場合には、最大3年間繰り越しができる雑損控除を選択する方が有利となります。

◎雑損控除と災害減免法の対比表 税理士法人あたごコンサルティング引用

と減免法スクリーンショット 2022-03-02 164124雑損控除.png

※1 生活に通常必要でない資産とは、別荘や競走馬、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とう等をいいます。

※2 資産に生じた損害の金額から保険金や損害賠償金などによって補填される金額を控除した金額をいいます。

2.住民税での税軽減措置 :基本は「 雑損控除」のみ

所得税では、軽減措置として「災害減免法」と「雑損控除」の2つの方法がありましたが、住民税には 、「災害減免法」の適用はありません。

(但し、市町村条例で減免措置を定めるところもあるので確認が必要)

従って、 所得税の確定申告で「災害減免法」を選択した場合は、住民税では、別途、確定申告前に市区町村で「雑損控除の申告」をする必要があります。

なお、 所得税の確定申告で「雑損控除」を選んだ場合は、自動的に住民税に反映されるため別途手続きする必要はありません。

なお、県民税では、 納税の猶予 や納期限延長などの制度もあるので、利用したい場合は確認が必要です。

3.固定資産税での税軽減措置

○災害等により滅失又は甚大な損害を受けた固定資産

・所有する固定資産が台風、津波、地震、火災などの災害等により滅失又は甚大な被害を受けた場合、その被災の程度(一定程度以上被災していることが要件)に応じて減免されます。 

・固定資産税は、減免申請がなされた日以降に到来する納期限に係る分が減免される。 ・火災の場合に対象となるのは、家屋と償却資産のみです。 ・被災の事実を証明する書類(罹災(りさい)証明書等)が必要です。

○震災等により住宅用地が使用ができなくなった

・震災等により住宅が滅失又は損壊し、住宅用地として使用することができないと認められる場合には、被災した年度の翌年度及び翌々年度について、被災住宅用地として住宅用地と同等の特例措置が適用されることがあります。

?U.確定申告に必要な書類

確定申告には、災害に伴う「罹災証明書」や「火災保険などから受け取った保険金関係書類」、「災害関連支出の領収書類」などを取りそろえておくことが必要になります。 

また、過去5年間に遡って確定申告できるので、該当される場合は確定申告をおすすめします。

なお、還付金等の請求権は、 5年間行使しないことによって、時効になるので注意が必要です。

「雑損控除」に関する確定申告書

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付する。 

なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます(雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。)。 

また、給与所得者は、給与所得源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。

「災害減免法」の適用に関する確定申告

「災害減免法」の適用を受けるためには、確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、納税地の所轄税務署長に確定申告書等を提出することが必要です。

最後に

不幸にも台風や豪雨あるいは地震や火災、水害などで被害に遭われた方は、確定申告で所得税などで収めた税金の還付が受けられます。 

火災保険などと違って忘れがち、あるいは、制度そのものをご存じなくて確定申告せずに済まされる方が多いということです。 

災害の折には、貴重な節税となりますので是非記憶にとどめておいていただきたいと思います。 

確定申告時期は、例年、2月中旬から3月中旬に設定されますが、「雑損控除」などによる還付申告は、それ以前でも行えますので早めに申告されることをおすすめします。

ーーーーーーーーーーー 完  ーーーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 

次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

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2022年02月24日

確定申告|歯の保険外診療費も「医療費控除」の対象って知ってた?(リニュアル)

健康保険が使えない保険外診療(自由診療)も「医療費控除」の対象!

保険外診療とは、健康保険で規定した治療法や薬剤・材料を使わないだけであって、病気や健康回復維持のための治療であれば、当然、所得税法上における税軽減措置「医療費控除」の対象になります。 

従って、健康保険外治療だからといって、確定申告しなければ、所得税の軽減措置が受けられません。大変もったいない話です! 

美容目的でなく、歯並びが悪く物がよく噛めないとか、歯の本数が足りなくて日常生活に影響がある場合などで保険外の歯列矯正などはれっきとした治療に該当します。 

保険外のため治療費は高額になりがちなので、是非とも医療費控除で負担軽減を図りたいものです。

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?T.健康保険が使えないと「医療費控除」の対象にならないと勘違いしていませんか?

歯医者から、材質をセラミックにしたり、インプラントにすると「健康保険が使えない」と言われたりします。

そんな時、前歯であったり、歯茎の状態から保険外でお願いすることが多々あると思います。 

また、歯並びが悪く、あるいは歯の本数が少なく長年のうちに物がよく噛めなくいなり、発声にも支障を来すとか、顎関節が痛みやすくなるなどの支障が出てきて歯列矯正が望まいいとなってきた時には、保険の効かない保険外(自由)診療に頼らざるを得なくなります。

1.保険診療と保険外診療の違い

二割負担等で治療が受けられる保険診療に対し、保険外診療(自由有診療とも言う)は全額本人負担となります。 

保険診療は、加入者の保険料で賄われるため、受けられる治療法や薬剤などには一定の縛りがあります。

一方、保険外の場合は、保険が適用されない特殊治療(歯医者ならだれでもできるというわけではないため)や贅沢費(セラミック材や個室など)などが受けられます。

(参考)

保険診療 健康保険適用の診療のこと
自由診療 ・健康保険適用外の診療のことで、厚労省が承認していない診療や薬を使うことができるが、全額が患者負担となる
・がん治療の一部や出産費用、 歯の矯正やインプラント 、レーシック手術代、予防歯科など
先進医療 保険診療と自由診療の両方の性質を持つ医療で、部分的に健康保険が適用されるため、自由診療よりも負担が軽くなることもある

2.美容目的や予防目的でない限り、いずれも治療に変わりなし

保険診療と保険外診療の違いは、保険が適用されるか否かの違いであって、いずれも、美容目的や予防目的でない限り、治療には変わりありません。

3.美容目的や予防目的でない限り、保険外も医療費控除の対象

保険診療の場合、材質等や治療法が限られ本当に必要な治療が受けられないことがありますが、金属アレルギーや、歯並びや歯茎の状態等に合わせた高度な診療が受けられます。 

このため、多くの方は、保険外=特殊贅沢費と勘違いして、「医療費控除」の対象外と思い込んでおられるのではないでしょうか? 

保険外(自由)診療は、日常の不自由さを取り戻す治療目的であれば、大抵、所得税軽減措置である「医療費控除」の対象になります。

4.治療目的の歯の保険外診療も「医療費控除」の適用対象

歯の場合、「前歯など目立つところ」や「歯並などの加減」、「金属アレルギーなどの体質」等で、少しでも良い材質や良い治療法を選ばざるを得ないのですが、保険が効かないことが、医療費控除の対象にならないと勘違いして確定申告しないケースが多くあります。 

実は、歯の自由診療費は、美容目的でなく治療目的ならば「医療費控除」の対象になるのが一般的です。

5.では、医療費控除の対象外となる保険外診療とは

原則、医療行為以外の自由診療は医療費控除の対象外です。

従って 、美容目的の歯の矯正や白い歯外来などは、医療費控除の対象になりません。 

但し、歯列の状態(歯並びが悪く、あるいは歯の本数が少なく長年のうちに物がよく噛めなくなったり、発声に支障を来すとか、顎関節が痛みやすくなるなどの支障が出てくるなど)で、 機能的な問題を解決するために歯列矯正が望ましいいった場合の歯列矯正は医療費控除の対象になります。

?U.国税庁の医療費控除の対象指針と具体的事例

1.国税庁指針「一般的水準を著しく超える特殊なもの」を除いて医療費控除の対象になる」

国税庁は、「歯の治療については、保険のきかないいわゆる自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合などがあり治療代がかなり高額になることがあります。 

このような場合、 一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なもの は医療費控除の対象になりませんが、 現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえますから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になります 。」といった言い回しで曖昧な表現で指針を示しています。

「一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なもの」の具体的内容を示されておらず、かなりの幅のある指針となっています。

このことは、 美容目的でなく、治療目的で、虫歯や歯が欠けた、歯槽膿漏やぐらつき等治療で今日的に進んだ歯科治療を相当の費用で受ける自由診療には、健康保険は適用されないが、医療費控除で税制上支援する(認める)という考え方だと思われます。

(補足)歯の自由診療が、ほとんどが「医療費控除」の対象になるという紹介記事が沢山見受けられます。気になる方は、検索してみてください! おすすめ記事⇒「 治療費・医療費控除/保険診療と自由診療の違い

2.国税庁のホームページ「医療費控除の対象例」

国税庁のホームページには、歯の自由診療費が、医療費控除の対象となるかどうかの判断基準を、「 金やポーセレンを使用した歯の治療費 」や「 No.1128医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例 」といったテーマでQ&A形式で示しています。

 <国税庁ホームページ>

歯の自由診療事例
医療費控除適用の指針
金やポーセレンなどの材料は、歯の治療材料として一般的に使用されている現状にあることから、これらを使用した歯の治療費は医療費控除の対象となります。
現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえますから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になります。
発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります

?V.歯の自由診療費は、「医療費控除」の対象として確定申告しましょう!

自由診療は保険がきかない為、医療費控除の対象にならないと諦めていた方は、是非、自由診療費を医療費控除に含めて確定申告されることをおすすめします。 

なお、「医療費控除」は、その年度の所得の節税のための「所得控除」の一つにあります。 

このため、過去に確定申告したことがない年度において医療費控除による還付金の見込みがあれば、還付請求は、5年間に遡って申告が可能です。

?W.最後に

保険外(自由)診療は、健康保険で規定した治療法や薬剤・材料を使わないだけであって、病気や健康回復維持のための治療であれば、当然、所得税法上における税軽減措置「医療費控除」の対象になります。 

美容目的でなく、歯並びが悪く物がよく噛めないとか、歯の本数が足りなくて日常生活に影響がある場合などで保険外の歯列矯正などはれっきとした治療に該当します。 

保険外のため治療費は高額になりがちなので、是非とも医療費控除で負担軽減を図りたいものです。 

しかし、確定申告しなければ、所得税の軽減措置が受けられません。 

確定申告で、所得税の節税ができれば、住民税や、介護保険や地域行政サービス費の負担軽減に繋がります。 

是非、e-Taxを利用して、還付金請求の可否を試算してみてください。

ーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 

次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

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