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2021年12月03日
何時の間にか忘れられた NHKの受信料問題
NHKの受信料問題
NHKの受信料には法的根拠が無い?
判決の根拠を突き崩す事態が続出
12/3(金) 5:57配信
受信料問題 知らぬ顔のNHK 12-3-11
早稲田大学教授 有馬哲夫 12-3-13
10月31日の第49回衆議院議員選挙は思いの外、与党の自由民主党・公明党が善戦し、安定多数を確保する結果に終わった。立花孝志党首率いる 「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」 は、色々と目立つ事には成功したが議席はゼロに帰した。
「NHKのスクランブル放送を実現」 と云う公約は、最早有権者の心に響か無く為って居る。次の選挙では公約に為ら無いかも知れ無い。
サテ、コロナ対策や衆議院議員選挙で忘れ去られて居る感が在るが、NHKの受信料の値下げが棚上げされて居る。現在、国民が平均で1週間に数分しか見ず今後も視聴時間が減り続けるのに、NHKの地上波デジタルの受信料はこのママ据え置きなのだ。
NHKそのものの在り方の見直しも沙汰止みに為って居る。私の予ての主張は 〔現行のNHK受信料を廃止しそのコンテンツはネットに移して、他の民放と一緒に共通プラットフォームで動画配信し、ソコに受信者は視聴料を払うか又は国が税金を投入する〕 かと云うものだ。
コレが放送から通信へ移行した現在の状況に相応しい遣り方だ。これに依って弱体化して居るコンテンツ産業、取り分けアニメ産業を強靭化出来ると考える。
受信料に纏(まつ)わる法理的な解釈
ソコで、これ迄書いて来た事とは少し角度を変えて、受信料に纏わる法理的な解釈、詰まりこれ迄の裁判所の判決が如何に 〔放送の時代〕 を前提として居て、それが現在の 〔通信の時代〕 にソグワ無いかを明らかにして行こう。 受信料判決の 〔親判決〕 と云うべきものが、2017年12月6日に最高裁判所大法廷で下された判決だ。
NHKが受信契約の申し込みに応じ無い男性に対して起こした裁判で在る。最高裁迄争われた結果、大法廷は 「受信契約を義務付ける放送法の規定は、憲法に違反しない」 と云う初めての判断を示した為、当時可成り注目された。判決文は非常に長く、色々な論点が盛り込まれて居るが要点をまとめると次の二つに為る。
1. NHKだけが公共の福祉の為に、遍(あまね)く日本全国に於いて受信出来る様に放送を行う事を目的として居る。
2. NHKは民間放送とは違って営利を目的としない 〔公共的性格〕 を持って居り、広告が禁じられて居るので受信料を徴収する事が出来る。
受信料を徴収出来無い一つ目の根拠
先ず 〔1〕 の点だが、NHKが過つて 「遍く日本全国に於いて受信出来る様」 離島に至る迄電波のリレー網を整備した事、その為に多額の資金を継ぎ込んで居た事は事実で在る。これは素直に評価し無ければ為ら無い。
しかし、このリレー網は現在必要無い。今では、宇宙空間に在る衛星から衛星波で日本全国に放送出来る。事実、衛星放送のアンテナとチューナーさえ在れば、日本の何処でもBS日テレ・BS朝日・BS-TBS・BSフジ・BSテレ東を受信し視聴出来る。
地上波アナログ放送の時代は、NHKのみ全国的リレー網を持って居た為に、民放は全国何処でも視聴出来る訳では無かった。地方ではNHKプラス民放1局又は2局と云う時代が長かった。現在でも民放5系列を全て視聴出来る県は少ない。
処が、衛星放送が始まってからは、NHKだけが 「遍く日本全国に於いて受信出来る」 放送局では無く為ったのだ。
NHKが設備投資した放送リレー網も、それ迄に得た受信料収入で減価償却は終わったと見るべきだ。この段階で 「遍く日本に於いて受信出来る」 ので、民放とは違って、受信料を執る事が出来ると云う根拠は無く為って居る。
政府の広報機関と化す
では 〔2〕 は如何か。確かに減行法ではNHKは広告収入を得る事を禁じられて居るので 〔法律を変えて広告収入を得ても好い事にすれば〕 如何か。
日本だけ見て居ると気が付か無いが、世界では公共放送が広告を流すのは珍しく無い。 韓国・中華民国・スリランカ・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン・アイルランド・アイスランド・オーストラリア・ニュージーランド・ベルギー等の国々では 公共放送が広告収入を得て居る。
これ等の国々の公共放送は、受信料や国からの交付金が収入の大部分を占めて居て、広告収入はそれ程多く無い。しかし、それは受信料・交付金が入るからで在って、コレ等に頼る事が出来無いと為れば、広告放送への力の入れ方も違って来るだろうし、それに依って収入を大幅に増やす事が出来るだろう。
それでは、広告を流す事に依って 〔公共的性格は損なわれる〕 だろうか。答えは、そもそもNHKは民放には無い 〔公共的性格など持って居ない〕 ので、損なわれるものは何も無いと云うものだ。
寧ろ、NHKは受信料制度が在るが為に殆ど 〔政府の広報機関〕 と化して居て、報道機関として 〔民間放送には無い大きな欠陥を持って居る〕 好く勘違いされて居る事だが、不偏不党・表現の自由を確保する事・健全な民主主義の発達に資する事は、NHKノミに課された責務では無い。
それは、民放を含めた放送全体が果たさ無ければ為ら無い放送法上の義務だ。従って、コレ等の事はNHKだけが持って居る公共的性格では無い。NHK独自の公共的性格が在るのか、と云えばそれは見当たら無い。歴代の総務省のNHK受信料を審議する委員会のメンバーは 「NHKの公共性とは何か」 と問い続けて来た。詰まり公共性等無いのだ。NHKはこの公共的性格と云う点でも、受信料を徴収する根拠を持って居ない。
イラネッチケー訴訟
次に少し前に話題に為った 〔イラネッチケー訴訟〕 で在る。東京都文京区在住の女性が、NHKを相手どって、NHKの電波を減衰する装置 《イラネッチケー》 を取り付ければ、NHKと受信契約を結ぶ義務が無い事の確認を求めて裁判を起こした。
これに対し20年6月26日 東京地裁は原告の訴えを認めた。詰まり 《イラネッチケー》 やそれに類したものを取り付ければNHKと受信契約を結ぶ義務は無いと云う事だ。
NHKはこの判決に対して直ちに控訴した。21年2月24日、控訴審は 「受信出来無くする機器を取り外したり、機能を働かせ無くさせたり出来る場合は、その難易を問わずNHKの受信設備に当たる」 と判断、原告が敗訴した。
しかも、驚いた事にコノ判決は 〔公共放送と民間放送の二元体制を維持する為には、NHKを観ない人も受信料を負担する事を放送法は求めて居る〕 と述べて居る。
実は 〔親判決〕 でも同様の事を言って居る。 「NHKは、民放との二本立て体制の一方を担う公共放送事業者として・・・テレビを設置する者全体に支えられる」 と。又、21年の判決は、親判決の原理詰まり・・・
「NHKだけが公共の福祉の為に、遍く日本全国に於いて受信出来る様に放送を行う事を目的として居る」
「NHKは民間放送とは違って営利を目的としない公共的性格を持って居り、広告が禁じられて居るので受信料を徴収する事が出来る」
・・・を踏襲して居るのが判る。電波を受信出来るか如何かと云う技術的な点はホボ無視して居ると言って好い。言い換えれば、地上波アナログの時代の論理で受信料の徴収を正当化して居る。
「最初からNHKの主張に乗るつもり」
21年3月4日付「デイリー新潮」の「NHK受信料は税金と同じ扱い?イラネッチケー控訴審で書かれた理解不能な判決文」でも原告代理人の 高池勝彦弁護士 はこう言って居る。
「マア、高裁は最初からNHKの主張に乗る積りだったと云う事です。NHKは公共放送が設立された意義を申し立て、民放との二元体制の維持を主張しました。
スポンサーを付けた民放に対し、スポンサーに影響されず受信料で賄われるNHKと云う2本が在ってこそ、バランスの取れた放送が出来ると云う訳です。高裁もこの二元体制の維持に同調し、その為には公平に支払わせると云う訳です」
高池氏が言う様に、この判決は 「最初からNHKの主張に乗る積りだった」 詰まり、 公共放送とは何か・何故二元体制が必要なのか・それを維持する事が必要なのか・・・ と云う問いには全く答えて居ないし、考えてすら居ないと云える。
以上、受信料判決に於ける時代錯誤な解釈を指摘したが、放送から通信への移行が進んで居る現在では、更に判決の根拠を突き崩す事態が進行して居る。
全てスマホで済ませる時代に
先日、親戚の若者から話を聞いてビックリした。テレビ受像機は持って居無いと云う。プロジェクターにファイヤースティック(Fire TV Stick・配信動画を見る為のアマゾンが販売する端末)を挿し込んで、壁に映像を映して見て居ると云う。
同じ事はモニターにファイヤースティックを挿しても出来る。パソコンは持たず、全てケータイで済まして居ると云う。
と云う事は 「NHKの電波を減衰する装置」《イラネッチケー》 も要ら無いと云う事だ。 NHKが金科玉条の如く盾にして来た放送法64条1項には 「協会の放送を受信する事の出来る受信設備を設置した者は」 と在る。
動画配信は放送では無く通信だ。詰まりファイヤースティックは電波を受信する為の設備では無い。それを挿すプロジェクターやモニターも電波を受信する為の設備では無い。これは完全に放送法が適用出来無い。放送では無いからだ。
放送法に基づいて間接的ながら支払い義務を負わせて来た受信料も徴収出来無い事に為る。こう言われても、ケータイを持って居ればNHKに受信料を払わ無ければ為ら無いと云う19年3月12日に出た判決結果を覚えて居る人が居るかも知れない。
アレはワンセグと云う放送を受信出来る端末だから出た判決だ。電波を受信し無ければ問題無い。実際ケータイでも、最近のタイプはワンセグ等を受信しないので、NHKに受信料を支払う必要が無いとメーカー自身が宣伝して居る。
テレビ受像機を買うか
周知の事だが若者達はテレビ放送を殆ど、或いは全く見て居ない。 Twitter・LINE・Facebook・Instagram・TikTok の閲覧や投稿に可成りの時間を費やして居て忙しい。見るものも YouTube・Netflix・アマゾンプライム・U-NEXT・ディズニープラス 等 〔動画配信〕 だ。
これではNHKは基より民放の放送番組の入り込む余地は無い。これ迄テレビ放送の長時間視聴者と云えば私の様な60代以上の老人だった。しかし、私もSNSの閲覧や投稿に忙しく、暇な時に見るものもYouTubeやNetflix等でテレビ放送では無い。
動画配信に慣れてしまったので、好きな時間に好きなだけ見る事が出来、好きな処で中断し再開し・巻き戻し・早送り自由・・・で無ければ不便を感じて仕方無い。こう感じてテレビ放送視聴を辞めて居るのは私だけでは無いだろう。
とすれば、この先、誰がワザワザNHKに受信料を払う為にテレビ受像機を買うだろうか? 老年層もプロジェクターやモニターにファイヤースティックで、動画配信を見る事を選ぶだろう。もう受信料もNHKも終わりだ。
日本版Netflix
NHKはNHKプラスと云う動画配信サービスを始めた。現在200万人が登録して居ると云う。イギリスのBBCは既にiPlayerと云う同様のサービスを始めて居る。初めこそ登録者数を増やしたが最近は頭打ちに為って居る。
当然で在る。放送なら、限られた公共の電波の既得権益に守られ余りライヴァルも居ないが、動画配信サービスは前述の巨人達が熾烈な競争を繰り広げて居る。そこではBBCと云えども弱小事業体だ。
それでもソコへ出て行か無ければ座して死を待つのみ。ヨーロッパ各国の公共放送もBBCの後を追って居る。NHKを含め日本の放送チャンネルも不可避的に通信に移行して行か無ければ為ら無い。
全チャンネルが一緒に為って日本版Netflixの様なものを作り、ソコに優れたコンテンツを投入して行か無い限り、他国の動画配信サービスに伍して視聴者を惹き付ける事は出来無い。
NHKを解体し、日本の放送業界を〔通信の時代〕にも生き残れる様に再編成し無ければ為ら無い。受信料を払うとすれば・或いは国費を投入するとすれば、この 日本版Netflix に対してだ。
これ迄日本のコンテンツ産業はテレビ放送産業に搾取されて来た。安く買い叩かれ、高視聴率を上げても何のボーナスも無かった。広告収入の慢性的減少に依って、コンテンツ産業はテレビ放送産業に依って制作費を抑えられ青息吐息に為って居る。
動画配信為らば、ヒットを出せば次回作からは好条件で契約出来、収入の面で見返りが在る。ソコに制作奨励金の様なものを出せばコンテンツ産業の強靭化に為る。
「鬼滅の刃」の大ヒットで見え難く為って居るが、実は世界に誇る日本のアニメーション産業でも中国に依る 〔静かなる侵略〕 が進行して居る。手遅れに為ら無い内に根本的対策を打つ必要が在る。新政権も、是非、この観点は忘れ無いで貰いたい。
有馬哲夫(ありまてつお) 12-3-12 早稲田大学教授 1953年生まれ 早稲田大学卒 東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得 メリーランド大学・オックスフォード大学等で客員教授を歴任 著書に『原発・正力・CIA』『歴史問題の正解』等
「週刊新潮」2021年12月2日号 掲載 新潮社
【管理人のひとこと】
この有馬哲夫教授のご意見に賛同される方々は、是非この記事を拡散して頂きたい。決してNHKを誹謗中傷するのでは無く、法的にも現実的にもNHKの主張する根拠は現在は完全に消失して居る。これ以上税金の掛かる訴訟は控え、先ずは経営規模を1/10に縮小し〔通信事業者〕として再出発すべきだ。
これに依り〔存在根拠〕を得られ社会的必要性も生まれるだろう。現在は、ニュースや解説は三流以下だし単なる政府の伝達機関に過ぎない。巨大なエンターティメントの企業としては、規模が必要以上に大き過ぎ他(民放)を不必要に圧迫するだけだ。一体、不払いの視聴料を獲得する為に多数の職員や下請けを使い訴訟する・・・その費用は、支払われた視聴者の視聴料なのだ。NHKは一体何様の積りなのだろう・・・
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