久しぶりに良質の短編小説集を、耽読させていただきました。その本は
等で、いつもその変態的な登場人物で楽しませていただいておりましたが
、今回の我が家のヒミツは、70代になった私にとって、とても重いテー
マを含んだ短編集でした。奥田さんの小説の素晴らしいところは、このよ
うな重いものも含んだ題材にも拘らず、読後感がとてもすっきりしている
事です。
目次は
?@ 虫歯とピアニスト
?A 正雄の秋
?B アンナの十二月
?C 手紙に乗せて
?D 妊婦と隣人
?E 妻と選挙
となっています。
ある意味で誰にでも起こりうるテーマですが、その顛末が、いかにも奥田
さんらしい展開で、大いに楽しめます。
内容は読んでのお楽しみですが、私が特に感動したのは、?Aと?Cと?Eです。
「正雄の秋」は同期の河島に次期局長職を奪われてしまった主人公の植村
正雄が社内での噂や、閑職に追い込まれる事、本人に何と言葉をかければ
良いのか等で悶々と思い苦しむ。自分のほうが実績を上げているとの自負
もあり、正直この人事には納得できず、河島を妬む。
そんな中会社から有休消化の為の休暇を提案され、妻の美穂の希望もあり、
二泊三日の四国への温泉旅行に出かける。その途中で同期河島の親父さんが
亡くなったとの訃報。いろいろと考えるところはあったが、自分の父の葬儀
にも河島が参加してくれた事もあり、旅行途中から夫婦で河島の実家に向か
う。
河島の育った地域や、親戚の方々の話などもあり、河島は親戚中の希望であ
り、重い期待を背負って頑張って来た事も理解できた。段々と河島に対する
妬みの気持ちも消え、心から河島に弔いの言葉をかけることができた。
「手紙に乗せて」は53歳の若さで脳梗塞で亡くなった妻の思い出から回復
出来ず、うつ症状となり、食事も出来ずに体調を崩し弱っていく父親。その
様子を息子若林亨の会社の上司石田部長が心に留め、自分の妻も同じく若く
して亡くなった時の経験と心情を手紙に認め、息子に託す。その手紙を読ん
だ父親も同様に石田部長に手紙を託すが。同年代の妻を亡くした男同士の心
の交流が胸に沁みる。
最後の「妻と選挙」。直木賞作家の大塚康夫の妻が突然、市議会議員選挙へ
の立候補宣言。驚きの康夫は妻の気まぐれと放任していたが、どんどん話が
具体的になり、立候補する事になってしまった。当初は応援にも消極的であ
った康夫だが、妻の懸命の選挙活動と挫折に黙っていられなくなり、直木賞
作家としての知名度を生かして、苦手だった応援演説もしてしまう。妻の知
名度も徐々に上がり遂に選挙当日を迎えるが、なかなか当確マークが出て来
ない。選挙を通じ一体となれた家族の運命は?
タイトル通りどの家族もいろいろな問題を抱えているわけですが、夫々の家
庭のテーマ(ヒミツ)によって、更に固い家族の絆を実現していく物語です。
それでは又。
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