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2021年09月06日

timing on call

上着の前のボタンを留める。

鏡の中の女に気合が入る。
バスルームを出て部屋に戻る。

クローゼットからバックを取り出し、肩にかける。
姿見に踵を返して、玄関に向かう。

佇む紅いピンヒールに、足を滑り込ませる。
脹脛からお尻までの筋肉が目覚め、身体の芯から力が漲る気がする。
部屋を出て、エレヴェータに乗る。

地下の駐車場までおりる。
来客スペースのレンタカー。
乗り込んでエンジンをかける、二度ふかす。

勢いのまま、地上に飛びだす。
気持ちと裏腹に、物憂げな午後の車列に滑り込む。

ノラリクラリと走る車列、縫うようにして走る。
後ろでクラクションが遠ざかる。

記録になりそうな短時間で、彼女の事務所にたどり着く。
車をとめたときに、懐かしいメロディ。
携帯を取り出す。

画面表示を見なくてもわかる、bishop。
「はい、ワタシです」
こんな時にと思いながらも、反面、タイミング良すぎ、とも思う。
「もう聞いているかな」
「なにを?」
「我々は動けないが、協力はしよう、情報がある」
「どういうこと?」
それには取り合わずに、一方的に話し続ける。
「C団体のビルの近く、解体予定のビル、地図を送る」
「なにを隠してるの?」
「手強い相手だ、気をつけろ」
携帯が切れる。

メールの着信を知らせるメッセージが流れる。
メッセージを開く。
写真と地図のgif画像で、場所を確認する。
そんなに遠くない。
いずれにしても、救出は夜になる。
車を降りて、事務所のあるビルに入る。

事務所の扉の前、インタホンのボタンを押す。
「どちらさま…ですか」
どことなく不安げな秘書の声。
「ワタシです」
言い終わらぬうちに、扉が開く。

秘書が、素早くワタシを招じ入れる。
タグ: 携帯 call
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posted by afakenation at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 8.assault
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