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2021年08月16日

suitcase for bodyguard

スーツケースを引きながら、扉の前に立つ。

昼間見かけた秘書の一人が、扉を開ける。
ワタシを見るや、待ってましたと言わんばかりに招じ入れる。

オフィスは、議員にしては意外と狭い印象。
入り口脇のソファ、掛けて待つよう言われる。

スーツケースを横に置いて、ソファに浅く腰かける。
タイトなスカートの膝を合わせて、やや右に傾ける。
左内腿のスリットのおかげで、いつでも左脚を上げられる態勢。

待つことなく、彼女が奥の部屋から出てくる。
ワタシを見るなり言う。
「時間通りね、助かるわ」
「…」
黙って頷くワタシ。

彼女が続ける。
「じゃあ、行きましょうか」
「はい」
応えてソファから立ち上がる。

彼女が、二人の秘書に向かって言う。
「後はよろしくね、じゃあ、お先に失礼しますね」
「はい、気をつけて」
男女の秘書が、声を揃えて応える。
チームワークは良いようね、思いながら、彼女の後を追うようにスーツケースを引いて歩く。

事務所のあるビルを出て、彼女の一歩斜め後ろを歩く。
歩きながら彼女が言う。
「いつも、健康のためにも歩くようにしてるの、今日は、タクシー拾うわね」
ワタシを振り返り、スーツケースに目をやって言う。

思わず口をつく。
「ありがとうございます、でも大丈夫ですよ」
そう言うワタシに手を振って言う。
「気を遣わないで、あなたの仕事だけ考えて、それに、雇い主の言うことはきくものよ」
最後は、悪戯っぽく笑う。

ネットやテレビに流れる議員の姿からは、想像もつかない程あどけない表情をする。
何となく、彼女を好きになりそうな自分がいる。

空車を待ちながら歩いていると、黒い外車が、彼女の横に滑るように停まる。
不意のことに、二人して脚を止める。
後部席のウィンドウが下がる。
何かで見たことのある顔。
彼女に向かって静かに言う。
「ちょっと、つきあってもらえないかな」

穏やかな顔つきに似合わぬ有無を言わさぬ口調。
タグ: bodyguard suitcase
posted by afakenation at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 6.defence

2021年08月17日

bodyguard with stiletto heels

彼女が臆することなく、きっぱりと応える。

「あなたに用はありません」
言って、歩き出そうとする彼女。

左ハンドルの運転席が開く。
恰幅のいい運転手、兼用心棒?らしい男が降りてくる。
警護という言葉が憚られるような風貌で、彼女の前に立ちはだかる。

もう一度、後部席の政治家?ワタシには政治屋にしかみえない男が言う。
「手荒なことは、したくないんだが」
「あなたにも、あなたの関係する集団にも、私は興味ありません」
彼女が、再度言って一歩踏み出す。

運転手兼用心棒の男が、彼女の腕を掴む。
後部席の男は、笑って見ている。?「はなしなさい」?彼女が、身を捩って逃れようとするが、男の力は容赦ない。
両手で押しのけようとする彼女を、意にも介さない。

スーツケースから手を離すと同時に、ピンヒールトゥの前蹴り。
彼女の身体のカゲから、男の向こう脛に容赦なく極まる。

男が、彼女から手を離す。
彼女が一歩下がる。
ワタシが一歩踏み出す。
丁度、彼女と前後を入れ替わる形になる。

脛をさする男が、ワタシに向かって悪態をつく。
「貴様あ、やられたいのかっ」
スーツを着ても隠せない、用心棒らしい本性が現れる。

間合いを見切るように、身構えるワタシ。
その様子を見て、男が続ける。
「女のくせに、この俺とやろうってのか」
男が言い終わらぬ内に、重心を移動するワタシ。

左脚を軸に右中断の蹴り。
男の左大腿裏に鮮やかに極まる。
男が、堪らず片膝をつく。
「てめえっ」
男が言って、左脚を震わせながら立ち上がる。
反撃に備える。

「手加減はしねえぜっ」
言うと同時に、男が右の拳を飛ばす。

ワタシの顔に迫る拳。
posted by afakenation at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 6.defence

2021年08月18日

stiletto heels with slit

ギリギリで思い切り屈む。

男の拳が、頭の上で空をきる。
そのまま男が前にのめりこむ。

透かさず、男の身体を横に躱して高く跳ぶ。
空中で、大きく腰を捻る。
左の飛び回し蹴り。
深いスリットのおかげで、男の後頭部にきれいに極まる。

男に背を向けるように着地する。
着地したピンヒールでターンする。
男に向き直る。
男が、ゆっくり歩道に倒れこむ。
しばらくは、動けないはず。

男を跨いで後部ドアに詰めよる。
政治屋が、顔を振りながらウィンドゥを上げる。
ドアを試すが、ロックされている。
スモークを貼ったウィンドゥを睨みつける。

「あなた…」
声に振りかえる。
彼女が目を丸くして、ようやく言葉を続ける。
「…あなた、強いのね…」

倒れている男を跨いで、彼女に近づく。
「大丈夫ですか?」
「ええ、なんともないわ」
「警察呼びますか」
一応訊いてみる。

彼女が笑って歩きだす。
「無駄よ、すぐに揉消すわ、寧ろ悪用されるかも」
慌てて、スーツケースを掴むと、彼女を追って横に並んで歩く。

歩きながら思わず訊いている。
「よくあるんですか?」
「今日みたいに強引なのは、はじめてね、いよいよ本気ってことかしら」
笑顔のまま話す彼女の顔を、訝しげに覗き見る。

ワタシの様子に気づいて、彼女が言葉を続ける。
「今は、あなたがいるから」
「…」
「いい人がいるって奨められてよかったわ」
「奨められた?誰に奨められたんですか」
思わず訊いている。
彼女は、それにはこたえず、ウィンクすると不意に手を上げる。

並んで歩く二人の脇に、タクシーが滑りこむ。
後部席のドアが開く。
彼女が運転手に向かって、タクシーの後部を指差す。

運転手が降りてくる。
トランクを開けて、スーツケースに手を伸ばす。
片手で制して断ると、自分でトランクに入れる。

運転手が、ゴム製のネットでスーツケースを覆う。
上から押さえて、がたつかないことを確認すると、トランクを閉める。
彼女に続いて、後部席に乗りこむ。
彼女が運転手に行き先を告げる。
タクシーが、発進する。

後方に小さくなる黒い外車と政治屋。
posted by afakenation at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 6.defence
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