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2014年11月05日
Change Change Change @Seoul
7日目にあたる帰国日は、すっかり雨が上がっていた。
それでも天気予報は「昼からは下り坂」と伝えている。
梅雨だものね、それが普通の在り方なのさ。
ソウル市内から空港へのリムジンバスは、
専用のバス停があり、わかりやすく便利だ。
宿の目の前にあるバス停からリムジンバスに乗り込むと、
広い道路はガラガラでバスの速度はどんどん上がった。
それもそのはず、この日は日曜。
朝の道路を駆けるのは路線バスとタクシーばかりだ。
おかげで空港まで一時間ジャストで到着、
ラウンジでゆっくりと朝食を摂れそうだ。
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ユナイテッドの自動チェックイン機で搭乗券を打ち出す。
前日にオンラインでチェックイン済みなので、
パスポートを読み込ませるだけで、搭乗券が受け取れる。
預ける荷物もないので、出国へ向かおうとすると、
スタッフに呼び止められた。
「日本へ向かう方ですか?」
「そうですけど?」
「一時間早いアシアナのフライトがありますが、
よかったらそちらへ振り替えませんか?」
矢継ぎ早に英語で言われたことがわからず、戸惑った。
確認するためにもう一度説明してもらった。
どうやら日本で降りる人をアシアナの便に振り替えたいらしい。
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「オーバーブックですか?」
「いえ、違うんですが、日本人の方を振り替えてます」
航空会社は満席状態を保って飛びたいため、
ある程度のオーバーブック(予約超過)を行う。
これは正規に認められている行為で、
ホテルなども当日キャンセルを見越して、
100しかない客室に120の予約を受けたりする。
まして航空券はフレキシブルなものなので、
(ノーマルチケットは「日付」「便名」などを
「いつでも」「好きなだけ」変更することができる。
ツアーなどの「格安航空券」は
これができないキビシイ縛りがあるために「格安」なのです)
「当日キャンセル」や「当日変更」は当たり前のように派生する。
コンピューター・システムが普及し、
ブッキングの状況はコントロールしやすくなっているが、
特定の便や人気の路線などでは「予約超過」が多々生じるのだ。
そうなると「ノーマルチケット」を持った人(高いチケットを持った人)に
迷惑をかけるわけにはいかない。
予約を受けておいて「乗れません」では済まないのだ。
そうなると「空気を運ぶよりまし」という程度でしかない「格安チケット」の人を、
他社に動かしてまで、席を確保したほうがよい、ということになる。
♪日常での撮影や旅行時の思い出写真など、いつもと違った撮影をエンジョイできちゃう!!★
航空会社同士、互いにそうやって席を融通しており、
その利便性をあげるためにも
「アライアンス」(マイレージの連携グループ)が存在しているわけですね。
「よかったら一時間早いアシアナに変更してくれませんか」
ユナイテッドのスタッフは繰り返しそう言った。
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2014年11月04日
Money Money Money @Seoul
6日目も朝から雨が降り続いた。
鬱々として過ごし、読書だけがはかどった。
時計の針が午後を指すころになって、
ようやく雨雲も休憩時間をとることにしたらしい。
この雨雲はこの後、
西日本で死者を出すほど猛威を振るったツワモノだった。
ソウルでも漢江(ハンガン)の一部が決壊し、
浸水の被害を出すほどに暴れ、ようやく息を潜めたようだ。
市内を流れる漢江は茶色く濁り、満々と水を湛えていた。
【あんまん-10個入】横浜中華街で行列が出来る人気店『世界チャンピオンのお店皇朝』
通りの店で大きな蒸し釜が派手な湯気を上げている。
それに吸い寄せられるように蒸かしたての饅頭を買い求めた。
日本の肉マンの倍は軽くあり、ひとつ1,000W(¥80弱)。
横浜中華街のそれの上をいくサイズでこの値段。
中に何が入っているかはハングルが読めないので、出たとこ勝負。
まあ、この値段なら気軽な勝負だ。
「おばちゃ〜ん、マンドゥ(饅頭)一個ちょうだい」
店番のおばちゃんに声をかけると、
大きな蒸し釜のふたを開け、蒸かしたてを紙に包んでくれた。
「あ、でかいのしかない」
声をかけてから気がついた。
饅頭のサイズではない、お金の問題。
世界チャンピオンの肉まん5個・チャーシューまん5個セット
海外を歩くとき、いつもポケットにお札を突っ込んでいる。
そのつど、財布を出し入れしなくて済むように、
どこの国の通貨でも2〜3千円は、
コインと一緒にポケットに直接放り込み、
大きなお金だけ財布に入れていた。
小銭、小額のお札を切らしていた。
さっき使い切ったのをうっかり忘れていたのだ。
100W硬貨が数枚あったが、饅頭の値段に見合う枚数はない。
しかたなく財布を取り出し、50,000w札を取り出す。
この春に導入されたばかりの新登場の紙幣。
差し出すと、おばちゃんは首を振り、受け取らない。
饅頭の入った小袋を持ちながら、反対側の手で空を切る仕草をした。
どうやらお釣りがないようだ。
「これしかないんだよお」
財布とコインを見せて、日本語で語りかける。
おばちゃんはお釣りが入ったカゴを見せて、首を振った。
化粧箱入手ごろな100gの饅頭セットです★横浜中華街 聘珍樓
うちも細かいのがないのよ〜、
おばちゃんはたぶんそういっているのだろう。
言葉はわからなかったが、身振り手振りがそれを表していた。
ガム一個買うのに一万円札出すようなものだもの。
こちらが無粋でございます。
お釣りがないんじゃ仕方ない、商取引は不成立。
「ごめんね〜」
ハングルでそういうとおばちゃんもこう答えた。
「ごめんね〜」
お互い笑顔で別れる饅頭屋の店先、雨上がりの午後。
2014年11月03日
Location Location @Seoul
オーナーが部屋を見せてくれるという。
ドミトリー(相部屋)やシングル、
そしてファミリー・ユースの部屋を見せてもらう。
どうやら部屋のサイズは、自分が泊まっている宿のほうが広い。
ここもシングルはマンガ喫茶のイメージ。
うちの宿は日本のビジネス・ホテル・サイズかな。
料金はこちらのほうが少し高いのは、
学生街に近い「恵化」(ヘファ)というロケーションのせいだろう。
楽天トラベルならソウルのホステルも予約できる
うちの宿のスタッフにいわせると「新設洞は遠いん」だという。
東大門のスグ隣なのに、と疑問を投げかけてみた。
ここは東大門駅から一駅北、うちの宿は東大門駅から二駅東側なだけなのに。
「観光客にとっては明洞に近い」ことや
「ソウルの中心から空港側にある」ことが便利なイメージらしい。
明洞から4号線一本で行ける「恵化」はロケーション・グッドなのだろう。
「地下鉄駅から徒歩ですぐ」とか、
「空港へのリムジンバスが近い」とかはアドバンテージにならないらしい。
ローカル・エリアが好き、なんて観光客は自分以外にそうそういないよね。
なにせ明洞へは足を向けないヤヤコシイ観光客なのだから。
それよりも2本の地下鉄が乗り入れる駅が近いほうが
機動性が高く、便利なのだ。
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「どちらからですか?」
廊下を行き来していたヨーロピアンに声をかけた。
「ターキー(トルコ)です」
「おお! メルハバ〜」
「メルハバ〜」(トルコ語で「こんにちは」)
「あなた、トルコ語が話せるの?」
アイサツ交わしているのを見て、オーナーが驚きの声を上げる。
「あはは、アイサツとアリガトウだけだよ。
ツアーでよく訪問していたからね」
「なあんだあ、驚いたよ」
「テシェクルエデリム」
「なに? それ?」
「トルコの言葉で『アリガトウ』です」
オーナーの問いかけに廊下のトルコ人が英語で説明をくれた。
「コーヒーが入りました、飲んでください」
スタッフの声が響く。
「ベッド、運ばなくていいの?」
「彼とぼくで運べるから、コーヒー飲んでいてよ」
「そうそう、それよりもうちのスタッフに宿のアドバイスと
日本人旅行客の好みや情報を教えてやってください」
オーナーが明るい声で頼んできた。
うちの宿のスタッフがなぜベッドを運んでいるかというと、
オーナーが宿の経営を切り替える際、
道路を挟んだ別棟の「ドミトリー」部屋を借り上げることにしたそうだ。
彼ともう一人でスタッフの仕事を兼任しながら、
共同経営していくことに至ったらしい。
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ここに来るまでの渋滞の車内でそんなことも話ししていた。
スタッフに甘んじることなく、彼らも独立の道を探し当てたのだ。
まずは借り受けだが、自分たちで手を入れ、これからがんばっていく、という。
ここのオーナーとも情報交換や家具やベッドなどを物々交換しつつ、
お互いがんばろう、というわけだ。
「そうだ! あとでうちの新しい宿も見て、チェックしてよ!」
ベッドを運び出しながら、彼が遠くから叫んだ。
どうやら帰りがけに彼らがオーナーとなった新しい宿も覗くことになりそうだ。
雨がそぼ降る一日、やることもないので、拒む理由もないし、
世界各地で見てきた経験が生かされるならそれもうれしい。
どうやらソウルで新しい仕事を発見、報酬は「コーヒー一杯」でどうだろう。
2014年11月02日
Clean Clean Clean @Seoul
クルマを停めて、2Fにあるゲストハウスに駆け上がった。
ゲストハウスの扉を開けると、
「安宿」とは程遠い色使いが飛び込んできて、かなりオドロカされた。
上がってきた薄暗い階段とは対照的な色合い。
自分が泊まっている宿もかなりキレイなのだが、
ここは内装やリネンの色使いがかなり凝っていた。
オーナーとスタッフを紹介される。
「オーナー」といってもまだ20代らしく、意気揚々と動き回り、働いていた。
彼を助けるようにマメに動いているスタッフも同年代なのだろう。
そのスタッフの男性にイキナリ日本語でアイサツされ、驚いた。
「はじめまして」
「こちらこそ、はじめまして」
異国で異国の人に日本語で話しかけられるとなんとも恐縮してしまう。
勝手な思い込みだが、正しい日本語を話さなくては、と思ってしまうのだ。
「きれいな日本語ですね」と話しかけると、
その彼はオーナーとこのゲストハウスを立ち上げることになった経緯を話してくれた。
36種類の野菜・果実を配合し、さらに生酵母、乳酸菌をプラスしたカロリーコントロール
そもそもは兵役時代に知り合い、
その後、オーナーは世界放浪へ、彼は日本へ留学、とそれぞれの道を進んだ。
放浪から帰国して「ゲストハウスを開く」と志を立てたオーナーに
日本語が使えるところを見込まれ、声をかけられた、というのだ。
「兵役で仲良くなった」というのがなんとも韓国的である。
東南アジアの国では徴兵制は珍しくはないのでそのことには驚かなかったが、
彼らがいい意味でたやすく「起業」してしまう「意欲」に驚かされた。
うちの宿の彼とオーナーがアレコレ語っている間、
日本語を話せる彼から矢継ぎ早に質問を浴びせかけられた。
明るく広いリビングでは北欧系の滞在客が
黙々と無線LANにつながったPCをいじっている。
「いま、コーヒー、淹れますよ」
「いいですよ、客じゃないんだから」
「コーヒーぐらい遠慮せずに、ゆっくり飲んでくださいよ!」
後ろのほうからオーナーの気さくで明るい声が響いた。
「ニホンの人に聞きたいことがあったんです」
「なんでもどうぞ。元旅行屋ですから、そっち方面ならなんでも答えますよ」
「旅行会社の経験が? それは助かります。
ニホンの人は『朝食』のサービスは必要ですか? 大事ですか?
今はトーストと玉子とコーヒーをサービスしてますが、他にもなにか必要ですか?
キムチとご飯もありますが他になにかいりますか?」
「う〜ん、十分でしょう。食べる人と食べない人がいるし、
必要な人は自分で買い足しますよ。冷蔵庫も自由に使えるでしょう?
それよりも『朝食がついている』ということだけでもいいイメージに受け取りますね」
「シングルは部屋に冷蔵庫がありますし、共同のものはキッチンにもあります」
「問題ないですよ、わたしの泊まっている宿と同じですね。
それよりもPCが置いてあって、無料で使えること。
あとヘアドライヤーの貸し出しやソケットがあることを
ちゃんとHPに載せると喜ばれますよ」
「おお!それは気づかなかったなあ」
戻ってきたオーナーに彼がそう伝えると、二人して手を叩いて納得している。
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「ニホン女性にはドライヤーが一番の問題なんですよ、特に旅行において」
「それはカンコク女性も同じですよー」
これには笑いながら、ハイファイブを交わした。
「オーナーはすごくきれいなホステルを創りましたね」
「お金がないので、彼と二人で創り上げました。
内壁を全部ウッドを張って、天幕を張って明るい雰囲気にしたんですよ
ホント、全部自分たちで工作しました」
「たくさん働かされましたあ」 スタッフの彼が笑顔でいう。
「彼は世界中、バックパックで歩いて、いろんな安宿を見て、
それを不満に思って、ここを創り上げたみたいだよ」
うちの宿のスタッフが助け舟を出す。
美味しいコーヒーは、コーヒープレスから生まれる。リバーズ コーヒープレス
「わたしもいろんな国でいろんな安宿に泊まりましたけど、
こんなキレイなホステル、清潔なゲストハウスは初めてです。
安いところはキタナイというのが相場と思ってました。
わたしが泊まっている宿も清潔でそこが気に入っているんですが、
ソウルにはキレイなゲストハウスが多いですね」
「新しいところはみな清潔でキレイですね。
そうじゃないと、お客さんは来ないですよ。ネットでウワサが広まりますから。
無線LANも完備しているし、朝食をサービスするところも多いですよ。
ぼくは『床でもゴロゴロできる清潔な安宿』を経営したかったんです」
「いいなあ、こっちに移ろうかなあ。エスプレッソ・マシンもあるしね」
「うちの客を取らないでくれよ〜」
明るい笑い声が明るいリビングに響き渡った。
2014年11月01日
Flag Flag Flag @Seoul
新設洞から東大門へ向かう通りはかなり混雑していた。
「雨だからかな、混んでるね。それとも金曜だから?」
「さあ。それにしてもどっち方面も混んでいるね」
「あのさ、気になっていたんだけど、
昨日から道路脇に国旗が掲揚されているんだけど、
なんかVIPとか国賓とか来ているの?」
「さあ、知らない」
「それにしても混んでいるなあ」
ワイパーの向こう、
片側3車線の広い道路がクルマで埋め尽くされていた。
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「あ!」
ハンドルを握っている彼が大きな声を上げた。
「ナニ?」
「ああ!今日は・・・」
「ナニ?」
「憲法記念日です」
「韓国の祝日?」
「そうです。制憲節、チェホンジョルといいます。
お〜〜〜、なんてことだあ。スッカリ忘れていたあ!」
「だから連休で道路も混んでいるわけね」
「今日は7月17日ですか?お〜〜制憲節〜〜。忘れてました〜〜〜」
運転しながら、大きな声で悔やんでいた。
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「外国人のあなたが国旗に気づきながら、わたしは全然気づかなかった」
忙しくて、忘れていたことがよほどオドロキだったようだ。
「外国人だから見慣れない国旗に気づいたんだよ。
誰でも忙しければ、忘れることがあるさ」
「連休だったんですよ、今週末は。忘れてましたあ」
「あはは」
たわいのない話をしているとようやくクルマは流れ出した。
東大門の北にある恵化(ヘファ)へ。
「友達もゲストハウスを経営しているの?」
「ゲストハウスのオーナーやスタッフの飲み会があって、知り合ったんですよ。
同業者の交流会、みたいな感じですね」
「へえ。日本じゃ、20代で経営とかに挑む人は少ないなあ」
「韓国は『起業』や『独立』を目指す人はとても多いですよ。
このゲストハウスのオーナーも若いんです」
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駅前のゴチャゴチャした通りを縫い、
友達になったという彼が経営するゲストハウスのそばにクルマを停めた。
そこでは意外な展開が待っていた。