★(1)日本人の40〜60歳代の約4割が悩まされているといわれる「腰痛」。とはいっても、腰が痛くなる原因はさまざま。腰痛を引き起こす代表的な病気と最新治療を10回にわたり連載する。
突然、腰にギクッと強い痛みが走り、瞬時にして体が動かせなくなる通称「ぎっくり腰」。ドイツでは、杖(つえ)で腰を一撃されたような激しい痛みから「魔女の一撃」という言葉で表現されている。
医学的な正式名称は「急性腰痛症」と呼び、痛み方は体を動かすと腰が痛む「体動時痛」が特徴。痛む場所は腰だけで、脚に痛みやしびれを伴うことはない。山田記念病院・整形外科(東京都墨田区)の長谷川伸医師が説明する。
「発症は、日常生活の中で不用意な動作をした瞬間に起こることが多い。たとえば、前かがみで物を取ろうとしたとき、洗面台などで中腰の姿勢をとったとき、くしゃみやせきをしたとき、掃除機をかけている最中など。ただし、その瞬間でなくても、翌朝起きたら痛くて動けないというケースもあります」
実は、ぎっくり腰の痛みの原因ははっきり分かっていない。レントゲンなどの検査をしても、骨や椎間板、神経などに異常が見つからない腰痛(非特異的腰痛)の1つに分類されている。病態の説としては、肉離れのようなもの(筋・筋膜由来)、関節ねんざのようなもの(椎間関節由来)といわれているという。
しかし、発症は腰の疲れがたまっていたり、運動不足など、もともと腰のコンディションが悪いと起こりやすい。加齢による腹筋や背筋などの筋力低下も発症要因となるので、若年層よりも中高年の方が要注意だ。
「発症直後はむやみに動かず、らくな姿勢で安静を保つことが大切です。ただし、安静にしていても痛みが強い場合には、尿路結石などの内臓疾患による腰痛も考えられます。また、発熱を伴う腰痛は細菌感染による脊椎炎の可能性もあるので、必ず受診して鑑別してもらう必要があります」
消炎鎮痛薬や湿布で痛みをやわらげながら、安静にしている日数は長くても2〜3日が目安。少し動けるようになったら、動ける範囲で元の日常生活に戻った方が回復は早いという。通常、1週間から10日以内には痛みがほとんどなくなるのが一般的だ。
ぎっくり腰を起こす人は再発が多い。それは、その人の動作や生活のパターンに発症しやすい要因(クセのようなもの)があるからだ。日常的に無理な格好や動作をしないことを意識しておくことが大切になる。
「日頃から運動やストレッチで体幹や股関節の柔軟性を良くしていることも対策になります。特に『ジャックナイフ・ストレッチ』はぎっくり腰の予防に有効です」
そのストレッチを図にした。不安な人はぜひチャレンジしてほしい。(新井貴)
■ジャックナイフ・ストレッチ
(1)しゃがんで両手で両足首をつかみ、胸を太ももに寄せる
(2)胸と太ももが離れないように、膝をできるだけ伸ばす
(3)そのまま10秒くらいキープ。これを3回繰り返して、1セット
(4)1日3セットくらい行う
健康新聞「健活手帖」最新号はこちらから!
ツィートするFacebookでシェアする
zakzak
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image