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2015年11月20日

本当に必要な子育て支援策とは

保育制度のみならず少子化の問題に対して言いますと、お仕事をしている人の子育て支援のみならず、日本の人口を増やして行くことも非常に重要です。これは就労者支援という狭義の保育対策以上に大きな問題で、国力自体が劣ってしまいます。国力は人口数です。アメリカや中国、ロシアを見ると分かるように、国力は人口の数こそが要です。
経済政策の話になってしまいますが、労働力を増やしてGDPを上げるのではなく、GDPを上げるためには消費を増やさなくてはなりません。消費を増やすという意味で人口を増やす必要があります。人口が増えているときは、国力が上がります。それは中国然り、日本の高度経済成長期然り、実は労働力が増えたから経済成長したのではなく、人口が増えたから経済成長するのだという大きな側面があります。消費者が増えなければGDPが上がるわけがありません。人口が減ると、日本の文化も無くなってしまうし、伝統も無くなってしまう、日本の思想も無くなってしまいます。つまり仕事をしている人だけのための保育政策が必要なのではなくて、子育てしている全てのお母さん方へ提供できる保育サービスが必要であり、仕事は持っていないけれど、家でおじいちゃんの介護している人や、習い事をしている人、勉強中の人や育児ノイローゼの問題を考えても、そのような人達に提供できる保育サービスも今の認可保育園では全く十分に提供できているとは言い難いと考えます。人間関係も昔と変わり、近所のお友達に預けるなどが、気軽に出来る社会ではなくなってしまいました。近所の友達に預けたら気を遣う、お友達に預けて事故が起こったら訴訟になるかもしれない心配をしながら、苦労しながら子育てをしている人もいます。近所の人、お友達の代わりになる、急にお願いしても頼める、気軽に頼める、不定期に頼める、今日だけ頼めるとか、そういう子育て支援策が必要で、フレキシブルさが無ければ現代の子育て世代のサポートにはなりません。
「働く女性に保育サービスを提供することこそ」が、これまでの本来の目的ですが、保育所の供給という、本来「手段」のひとつであるものが「目的」になってしまっていることが大きな間違いだと考えます。子育て世代に対する育児支援策が大切な目的でありながら、「保育所」という器を数多く作ることがあたかも目的となってしまっているのでは無いでしょうか?行政が待機児童対策として、ここ20年ほど認可保育園の設置強化期間を設けてやってきたにも関わらず、待機児童がゼロにならないということは、まさに箱型保育所拡充政策が真の保育ニーズに対応した手段では無かったという事ではないでしょうか?
「保育サービス」を提供し、働く女性の子育て支援をすることが目的であるはずなのに、そのひとつの手段でしかない保育所拡充策に偏りすぎていると考えます。現代の多様な仕事をするお母さん方に対して“真に必要な保育サービス”が提供できていません。先にも述べたように、認可保育園を使えるのは近隣約2km以内、毎日定時で仕事をしている人、定型的な仕事をしている人が利用者の前提条件であることから、そんな働き方をしている人ばかりではないということに気付かなくてはいけません。
国が行うべき就労者支援という目的での子育てサービス、ひとつの手段として箱型認可保育園は必要ですが、週3日しか仕事をしていない人、長時間仕事をしている人、勤務時間が日によって時間が異なる人、出産してすぐに仕事がしたい人、兄妹がいて兄弟とも同じ環境で育てたい人・・・。
そういうことに対応できるサービスの種類、メニューを用意すること、条件を設ける事、更には新たに働き方にあわせたサービスや、「箱型」以外の新しいサービスを作っていくことが必要なのであって、絶対に保育施設の数を増やすだけが方策では無いと考えるのです。
2015年度から新たに認可保育園でも短時間労働者に対する保育制度が出来ました。
週30時間を目途に預けるという制度です。現実に利用者の方を受け入れると、正社員ではないこのようなお母さん方の働き方は、決して行政が考えるような1日時間、週5日をニーズとしているのではなく、つまりお昼間、定型的パート労働を前提として考えられたようなのですが、現実に受け入れるお母さん方は週3日、オペレータ業務などで1日10時間労働をしているようなケースを多々見受けられます。使い方がフレキシブルであるべきと考えるのですが、短時間労働の実態が現実と乖離しているのです、その結果正社員と同じように月極め契約を行いつつ、延長保育を更に申し込まないといけないという悪しき矛盾が多々生じているのが現実です。当社はこれまで認可外保育園で実際のお客様のニーズを見てきました。その中で商品づくりのノウハウ、現場のオペレーションのノウハウを築いてきました。どうしても認可保育園の経験者や保育行政の関係者の人たちからすると、認可保育園の利用者あるいは認可保育園に入れない人たちの利用予定者のニーズを「市場のニーズ」だと理解してしまいがちですが、本当のニーズは認可保育園の近くの人たちのニーズではない、実際の利用者の姿を知っている認可外保育施設の事業者の方が、本当の市場のニーズを理解しているのだと自負しています。
物理的問題として、エリアを限定した「箱型」の保育供給(保育所)は、「箱型」を利用するお母さん方がそこに預けに行く必要があります。それも毎日になってくると、当たり前ですが近隣の保育所を選びます。保育所の商圏は約半径2km。約半径2km以内の人にしか満足させられない論理的限界があります。昔と違い、現在は出生率が下がっているので、約半径2km以内にたくさん子どもは存在しなくなっています。かつては1家庭に子どもが3人いることが普通でしたが、現在は1家庭の平均の子どもの数はせいぜい1人。単純に考えると商圏内の家庭の数は変わっていなくても子どもの数は1/3になっていることを意味します。
つまり「箱型」サービスでカバーできる可能性がある子どもの数は非常に少なく、1箇所50人、100人入れる保育所を作っても、そこに通える家族が少ないのが現実なのです。逆に、全国で約230万人の定員を持つ保育所からすると、統計上の待機児童が2万人以上存在しているといったところで、実は“2万人もいる”のではなくて“全国規模で2万人(約1%以下)しかいない”のです。実は待機児童は多数存在しているのではなく、「点在」しているので、「箱型」の施設をいくら作ったところで、そこの施設を利用できる対象者数が少ないのが現実です。ただし、人口が集中している都市部は、小規模・中規模の保育所を点在させて作ることが必要だと思います。単純に大規模マンションエリアには大規模な保育所を必要があると考えます。つまり全国規模、日本全体で保育所を考えるのではなく、地域的、局所的に保育制度のあり方を考え、かつ、働き方や保育ニーズの多様性に合わせた、時代に合った箱型サービス以外の新たなサービスを作ること。及び、箱型サービスであっても既存の定型的サービス、定時的サービス以外の新たなサービスが必要な事は顕著です。
現在の保育所は、終戦後の1947年に、はじめて保育所の法的根拠となる「児童福祉法」が制定されたことが始まりです。戦後の日本は、男手が無い、子どもを見てくれる親族がいない等、日本を復興させるために女性の労働力を必要としていた特殊な社会でした。その特殊な時代背景に始まった制度が、70年経っても、まだこの当時の保育所制度を基本とした制度自体に、疑問を持つ必要があるのでは無いでしょうか?
戦後の時代、仕事はお昼間にするものでした。それから少し時代が進み、社会が変わり、9時〜17時の定型勤務が主流になりました。それも定型的労働であり、女性が本当に社会進出していたのではなく、男性の仕事社会の補助作業をしていた時代でした。その頃はまだ、定型的な保育所制度でよかったと思いますが、現代社会では、女性は男性と同じ立場で仕事をし、平等にチャンスがあり、その結果女性の仕事はどんどん定型的な労働ではなくなり、お客様に期待され、上司に期待され、部下に期待されるという仕事になり、責任感も重くなってきたのです。
17時以降もやりがいを持って仕事をしている人や、土日も仕事をしている人。仕事のしかた、職業自体が戦後70年経って完全に変わったのです。また多くの女性は、女性の気配りの素晴らしさからサービス業や販売業に従事している人が大多数です。
時間数や曜日の問題だけではなく、不定形な仕事は当然として多くなり、さらに女性特有の仕事や、女性の能力を活用した、人のお世話をする仕事、女性だからこそ出来る仕事、接客業等になると多様性のある仕事の仕方と、そんな労働時間帯になっているのです。時代は著しく変わっているのに70年前の保育所制度を基本にし、改良はされているのですが、「箱型」「施設型」の保育所だけでは、本当の女性の働き方に対する事への無理がどんどん大きくなっていると感じています。
posted by jun at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 少子化対策
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