「血圧の薬は一生飲み続ける」と思い込む患者さん
CareNetから転記
血圧が高いのに医療機関を受診せず、
薬を飲むのを嫌う患者さんがいます。
その理由の1つとして「血圧の薬を飲み始めると、
一生飲み続けなければいけない」
と思い込んでいることが挙げられます。
しかし、血圧コントロールが良好な患者さんでは、
降圧薬を中止しても血圧が正常範囲に保たれる割合が
40%程度存在したとの報告があります1)。
こういった患者さんには、もともと軽症の高血圧(I度高血圧)だった、
減塩・減量などで生活習慣を改善
できた、
1種類の降圧薬で良好な血圧コントロールができた若年者などのパターンがあると考えられます。
また、 血圧には季節変動がある
ことが知られており、
夏季に血圧が低下する患者さんでは、
一時的に降圧薬の減量あるいは休薬を考慮してもよいです。
一方、冬季には血圧が上昇して増量や追加が必要になることも少なくありません。
患者さん一人ひとりの血圧変動に合わせた服薬調整が大切です。
血圧を良好に保つことが将来的な動脈硬化を防ぎ、
脳血管疾患、心血管疾患、認知症などの予防につながることを強調して説明してみてはいかがでしょうか。
■患者さんとの会話でロールプレイ
医師 今まで、血圧の薬を飲んだことはありますか?
(服薬歴の確認)
患者 ありません。
血圧の薬を飲み始めると、
一生やめることができないんでしょう?
医師 そんなことはありませんよ。
薬を飲み始めても、食事や運動などに気を付けて、
血圧が落ち着いたら薬の量を減らすことや、
お休みすることもできます。
患者 えっ、そうなんですか?
医師 それに、血圧の薬を飲むことは血圧を下げるためだけ
でなく、 動脈硬化を予防する
ためでもあるんです。
患者 動脈硬化を予防するということは…?
医師 動脈硬化の予防は、脳卒中や心筋梗塞、
そして認知症の予防に
もつながりますよ。
患者 なるほど…。
医師 ただし、薬ですから、副作用が起こることもあります。
血圧の薬はたくさんありますから、
自分に合った薬を見つけることが大切です。
患者 そうなんですよね。
副作用が心配で、なかなか気が進まなくて…。
医師 それでは、血圧の薬について、
どういう種類があるか説明させてもらいますね。
患者 はい。よろしくお願いします。
■医師へのお勧めの言葉
「血圧の薬を飲み始めても、食事や運動などに気を付ければ、
薬の量を減らせたり、お休みできたりする人もいます」
「血圧を正常範囲に保つことは、動脈硬化の予防になります。
脳卒中や心筋梗塞、さらには認知症の予防にもつながりますよ」
参考文献
1)Nelson M, et al. Am J Hypertens. 2001;14:98-105.
講師紹介
坂根 直樹 ( さかね なおき ) 氏
京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長
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2018年12月19日
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