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2015年04月24日

「カイジ2」からの「パリテキサス」

b.この春は雨ばかりで嫌になりますね、

a.自転車のシーズン到来のはずが真逆の結果や、あかん、ふざけたらあきまへん、

b.気象庁によると1960年以来の異常事態やそうです、こんな雨だらけの春は、

a.あかん、あかん、ふざけたらあきまへん、

b.それって、カイジ2(=逆境無頼カイジ破戒録篇)の後半でカイジとコンビを組む坂崎のオッチャンですね、

a.ほんまや、そのとおりや、今じゃ国民的人気番組に成長した「日本縦断こころ旅」の火野正平さんもこう雨続きじゃたまらんで・・・

b.雨やと具体的にどう大変なんすか、自転車乗りは、

a.まず整備するヒトが大変や、きれいに洗って乾かして油注いで、晴天の倍ほどかかる、

b.乗るほうは?

a.火野さんは細いタイヤだから、見てる方まで怖い、スリップしそうで・・・あれだけ細いとほんのちょっとのきっかけでツルンって行くしなあ、それに雨で行き交うクルマのタイヤノイズが3倍ほどデカくなるから耳を覆いたくなるほどうるさい、あと、体がずんずん冷えて来る、春の暖かい雨でも、かいた汗が乾かないままずっと水浸しで風を受けて走るから、じわじわと体温が奪われていく、晴れたら晴れたで濡れた路面の照り返しがギラギラと目もくらむほど、ホンマ雨の日のチャリンコは悲惨や、

b.ところで、「カイジ2」、つまり「アニメ逆境無頼カイジ破戒録篇」の事ですけど、そんな気に入っちゃったんすか、

a.もう何年にもなるけど、いまだ熱冷めやらず、ここまでのめり込むとは思ってもみんかった、最近じゃ音だけ抜き出してiPodにレギュラー入りしてる、

b.音だけでオモロイんすか、

a.十分楽しめる、というかとりわけ音が素晴らしい、声優陣が神がかって素晴らしいし、重低音の利いた効果音やシーンごとにきめ細かく配される音楽もすごい、

b.カイジっていうと「ざわざわ」の効果音が有名やけど、耳障りじゃないんすか、あれだけ押しが強いと、

a.なんべんも「ザワザワ」っていうから耳障りかと思ったら、全然そんなことなくて、色んなザワザワのパターンがあって、効果音スタッフの力量・意気込みが伝わってくる、

b.あと筋書きも、出てくるギャンブルもシンプルで分かりやすい、

a.アニメ化された福本3部作、つまりアカギ・カイジ1・カイジ2、そのなかでは1番スカッとしてて後味が良い、どん底から勝利を求めてひたすら這い上がっていくわけで、あつかうギャンブルも前半はサイコロ3個だけで勝負が決まるチンチロ、後半は銀玉がたった一個、入賞穴に入ればそれで勝利というシンプルなパチンコ、

b.そういえば、カイジ1に出てくるギャンブル、限定ジャンケンのシステムって、思えばけっこう中身複雑やったなあ、アカギの場合はマージャンやけど、マージャンのルールをかなり知ってないと話自体に付いていけないし、

a.オマケにカイジ1は後半になるほど残酷シーンが多くて観るのもつらいほど、アカギはアカギで最後が未完成みたいで後味悪いし、だからカイジ2がいちばん完成度高いし万人受けする内容になってる、

b.カイジ2はカイジ1のその後を扱ってるんすね、つまり両方足したら50話を越える長編アニメ、1話20分としても17時間超えてる、

a.カイジ1の切なさ・やり切れなさをベースにしてるから、勝利へひた走るカイジ2がなおさら光り輝いて見える、

b.ついでと言っちゃなんすけど、お気に入りのキャラは?

a.わき役やギャラリーたちの歓声までぜんぶふくめて熱演してるけど、キャラクター的面白さであえて1人挙げるとしたら大槻(オオツキ)、第1話でカイジが送り込まれる地下強制労働施設で班長をやってるタヌキ野郎、

b.どの辺が良いんすか、

a.柔らかい物腰とずる賢さでカイジをじわじわと追いこんでいく偽善的な感じや、みんなの反感を受けながらも、斑をまとめ上げて大金を貯蓄していく堅実な面とか、大槻だけで外伝を作りたくなるほどキャラが立ってる、

b.で、そんな中、なぜまたロードムービーの金字塔「パリテキサス」が乱入して来るんすか、

a.この春は雨があまりに多くて、チャリンコ乗る気にならんし、ああだったら映画でもってことで、

b.まだ観てなかったんすか、

a.評価の高い映画って事は知ってたけど、なんかおっくうで放置したままになってた、

b.で、どうだったんすか、カイジまみれの目と耳には、

a.カイジ2に比べると、信じられんほどゆったりしたぜいたくな間合いやった、そんで、そのゆったりたっぷりした時間や空間の使い方が、すごく映画っぽく感じたんや、カイジ2の原作は週刊ヤングマガジンやけど、これに対して「パリテキサス」は美術館で絵画や彫刻を眺めるような感じ、つまりヒトコマずつたっぷり余白が設けてあって、最初はこの進まない時間に慣れるのが大変やった、

b.監督のヴィム・ヴェンダースは小津安二郎監督を敬愛してるそうですが、

a.すんまへん、小津作品まともに観てないんでコメントできないっす、

b.小津作品も素通りですか、しっかりして下さいよカイジさん、

a.「悪いな、三好、誰かが泣かなきゃならないのがギャンブル、ここはオマエが泣く番だ・・・」、

b.ところで、「パリテキサス」のそんなゆったりした間合いに慣れて、それからどんな感想が、

a.ウィキペディアではロードムービーの金字塔ってあるけど、むしろ家族や夫婦のきずながメインテーマのように感じた、クルマでアメリカの風景が映し出されはするし、冒頭もテキサスの砂漠をさまよう主人公で始まるけど、観客もいっしょに旅するようなロードムービーの散文的な感じより、もっとねっとりした情念のやりきれなさに焦点が当たっていて、旅から旅という感じは希薄だった、

b.じゃあ、ロードムービーの典型っていうとどんな作品が、

a.「砂の器」のほうが、はるかにそれらしいけどなあ、

b.「パリテキサス」のラストは風俗店のマジックミラー越しに延々とやり取りされる、別れた夫婦の会話、

a.観客はそれをまたマジックミラー越しにつぶさに眺めるような設定で、正直つきあうのしんどかった、別れた夫婦の心のすれ違い・葛藤がつぶさに描かれていて、おまけにマジックミラー越しの密室だから息が詰まりそう、

b.うまく行かないで別れた夫婦の内輪もめの話に延々クビ突っこむのは確かにしんどいっすね、

a.うん、ラストの一番大事なシーンはまったくロードムービーじゃなくなってる、

b.ところで、「砂の器」のラストシーンはこれだけでも短編作品になりそうなほど充実したロードムービーすね、

a.昭和17年、ライ病をわずらった36歳の父親が6歳の息子と故郷の山村を捨て、乞食をしながら石川県から島根県へと1年かけてさすらう光景がピアノとフルオーケストラをバックに描かれていく、ちょっとお涙ちょうだい的に過ぎるけど、コレはコレで映像も素晴らしく完成度も高い、作曲も演奏もロケ地もピアノもすべてジャパンメイド、

b.この映画は出だしからずっと旅してますね、殺人事件の捜査で、

a.秋田県由利本荘市に始まって、島根・三重・石川・滋賀・大阪・東京・岡山・・・列車内のシーンも多いし、これこそロードムービーや、「男はつらいよ」シリーズとならんで、

b.しかし、砂の器もまた別の形で親子や家族の問題をあつかってますね、

a.そういえばそうやった、でも、「パリテキサス」ほど密室的なねちっこさはない、

b.あんまり良い印象やなかったんすか、

a.そうやなあ、ラスト手前まではおもろかったんやけど、最後がやっぱりねちっこくてなあ、もうちょっとさらっとやって欲しかったなあ、ロードムービーなんやし風景流し流しやるとか、観客を楽します工夫が欲しかった、忙しいのに長い時間つきあってるわけやから、





posted by なおいのおじさん at 19:51| 映画
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