2015年11月15日
近江八幡へ(4)「野洲川のむかしの川筋」
b.同じびわ湖なのに、この橋わたるだけで気分が区切れる、
b.こっから湖岸道路にそって近江八幡へ向かうんすか、
a.いや、あそこはクルマが多くて騒がしい、それに景色も一本調子なんでひと工夫しよう、
b.じゃあ、この旧野洲川にそってすこし内陸へ、
a.なんか書いてある、「人々に豊かな恵みと多くの洪水被害をもたらした旧野洲川」、
b.そんな暴れん坊には見えないけど、かつてはそうとうヤンチャしてたんすね、
a.岡山に引っ越して気づいたけど、近畿の方がずいぶん刈り入れが早い、
b.せっかちなんかなあ、近畿の方が、
a.でも、この辺はのんびりしてるしなあ、
b.ところで、刈り入れたあとの田植えのラインってなんか味がある、基本まっすぐやけど揺らいでて、
a.うまさの秘訣はこのゆらぎだったりして、
b.そうなんすか、
a.いやなんとなく、そんな気が、
b.この1枚に色んな要素が詰まってますね、遠くに近江富士、左手は旧野洲川の堤防、手前には天日干しのトウガラシ、
a.まだあるぞ、刈り入れの田んぼとビニールハウス、近江富士へ伸びてゆく電柱の列、
b.びわ湖周辺は干拓地が多いから、直線道路にそってこんな電柱のならびが地平線までつづいてる、
a.「十合の池」、滋賀県守山市で最大のハス池か、
b.湧き水ですね、むかし野洲川が暴れてこのへん水びたしやったから、
「野洲川の 暴れたころの 水が湧く」
a.これがかつての川筋、
b.なんもありませんね、まるで荒野、
a.過密な京都に暮らしてると、この広がりがすごくありがたい、
b.これだけ広いと、畑までびわ湖の延長みたいな、
a.田植えのころは水でひたひたになるから、なおさらや、
b.右手のピークは比叡山(ひえいざん)、京都市内からだともっと険しく感じる、
a.反対からやと別の山に見えるな、
b.久しぶりの人工的造形物、
a.そういえば、琵琶湖大橋からずっと畑と荒野の連続、
b.高校の校舎にはすこし立派すぎる時計台、大学なんかで見かけるような、
a.おかげで校舎全体がぐっと引き締まって見える、
b.校舎側面の階段部分もさりげなくデザインされてる、
a.にくいね、
b.ここの卒業生の何名かは今ごろ、都心の一流企業で夜おそくまで働いてるんでしょうね、
a.当時は何とも思わなかったここらの広がりを、湧き水のように思い出してるかもなあ・・・
「東京で あの広がりが 湧きあがる」