ブルックナー
No.6 ブルックナーのシンフォニーでクレンペラーが最も愛していた6番。録音嫌いな彼がこれだけは自分から録音を希望したほどだが、プロデューサーからまだ早過ぎると却下され、ニューフィルハーモニー時代になってようやく実現した名盤。第1楽章3分58秒からアンサンブルが数秒乱れて残念だが、何よりもこの演奏の最高の場面は、第2楽章の11分24秒からの3分10数秒間。ヴァントも朝比奈もこれほど共感に満ちあふれた音は出せなかった!!
No.8
終楽章の大幅カットばかりが問題にされるが、6番と並んで圧倒的に素晴らしいのがこの8番。録音状態もクレンペラーの全録音中ベストの部類に入る。ゆったりしたテンポが特に生きるのは第2・第4楽章。たとえば、第2楽章の中間部分、前後2つに分かれたスケールの大きいトリオは第3楽章以上にココロへ深く刻まれる。第4楽章は最後の盛り上がる部分でクレンペラー以上にテンポを遅くする指揮者も多いが、クレンペラーがすごいのは、スローテンポでも響きが引き締まって、アクセントがしっかり刻み込めていること。これはブルックナーに限らず、クレンペラーすべての名演に当てはまる最大の美点だ。
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ベートーベン
シュテファン王序曲(1959年録音)
フィデリオ序曲(1962年録音)
レオノーレ序曲 第1番(1964年録音)
レオノーレ序曲 第2番(1964年録音)
献堂式序曲(1959年)
小品でもまったく手を抜かないクレンペラー。同時期に交響曲全集を完成させているけれど、残念ながらすべての楽章が横綱なのは7番くらい。それに対して、序曲集は完成度の高い作品がずらりとならぶ。フィルハーモニア時代初期の録音が多いが、クレンペラーが最晩年にたどり着いた彫りの深い明晰で力強い響きが味わえる。これだけスゴい音には今後もう二度と出会えないんじゃないか。ステレオ録音が始まって間もない時期とは信じられないほど良好な音質もありがたい。
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合唱幻想曲 (Fantasy in C Minor for Piano, Chorus & Orchestra, Op.80)
序曲にふくめなかったのは、あまりに素晴らしい演奏だから。コンチェルト集に埋没してるけれど、ピアノコンチェルトの三番と並んで、クレンペラーが到達した最高の境地。曲も親しみやすく、新進気鋭のピアニストだったベートーベンが突如耳を病み、絶望の淵から作曲家として這い上がり栄光をつかんで行く様が、コンパクト(21分)かつ劇的に語られて行く。独唱・合唱も力強く充実している。ダウンロード版なら750円、一生楽しめます!
Fantasy in C Minor for Piano, Chorus & Orchestra, Op.80 (2006 - Remaster)
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