来年の理事選は苦戦必至(C)日刊ゲンダイ
無所属3人は援軍にあらず 貴乃花派“勢力激減”の自業自得
日刊ゲンダイ2017年12月26日
貴乃花親方(45)に援軍が加わったと、一部スポーツマスコミが騒いでいる。
去る18日、錣山親方(54=元関脇寺尾)、湊親方(49=元前頭湊富士)、立田川親方(36=元小結豊真将)の3人が時津風一門を離脱、今後はどこの一門にも属さない無所属となることになった。
3人は前回の理事選で、時津風一門の枠を超えて貴乃花親方を支持。来年初場所後に行われる理事選でも貴乃花一派を支持する目的で時津風一門を離れたといわれるが、真相は逆だという。
「3人は来年の理事選で貴乃花一門を支持しないと聞いた。それでも時津風一門を離れるのは、前回の選挙で貴乃花一門を支持したみそぎ、けじめだというんだな」と、ある親方がこう続ける。
「貴乃花一派の親方11人が女装したカレンダーが一派の後援者に配られていたことが協会内で発覚、問題視されたのが今年の9月ごろ。錣山親方や湊親方の気持ちは今回の騒動もあってすでに、貴乃花一門から離れていたのですが、女装カレンダーに出たこともあって時津風一門に対する負い目のようなものが膨らんだのだろう。来年の理事選をにらんだ今回の一門会で、いったんは派閥を離脱して無所属になることが責任を取ることだと判断した。この3親方に加え、前回の理事選で貴乃花一派を支持した時津風親方(44=元前頭時津海)以下の3親方もすでに離反、時津風一門からは計6人が貴乃花親方から離れることになります」
■山響親方は理事選で落選濃厚
いまだ貴乃花親方を支持しているのは、もともと貴乃花一派に籍を置く立浪親方(49=元小結旭豊)や阿武松親方(56=元関脇益荒雄)らほんのひと握り。一門外の離脱者は後を絶たない。
日馬富士の師匠で、前回の理事長選では貴乃花親方に票を投じた伊勢ケ浜親方(57=元横綱旭富士)にしても事件が起きる以前からたもとを分かっているし、すでに理事を辞任。貴乃花親方は来年の理事選で、その伊勢ケ浜親方の代わりに九重親方(41=元大関千代大海)を理事にして勢力拡大をもくろんでいたが、勢力は拡大どころか減少の一途をたどっているという。
「貴乃花親方を支持する理事は本人も含めて3人だったが、今度の選挙では理事は本人ひとりになる可能性も出てきた。山響親方(47=元前頭巌雄)も出羽海一門の支持は得られずに落選するともっぱらさ」とは別の親方だ。
とはいえ、こうなったのも自業自得ではないか。
貴乃花親方が20日に行われた理事会の直前になって突然、バタバタしたのは保身目的以外の何物でもない。
貴乃花親方はこれまで、弟子の貴ノ岩も含めて協会の聴取をかたくなに拒んできた。それが理事会前日の19日になって急きょ、聴取に応じると言ってきた。第三者による公正な裁きを望んでいたというが、協会の聴取に応じたからといって、警察や検察の捜査がどうにかなるものではない。
これまで親方の中で、ただひとり拒んでいた誓約書も19日に提出。公益財団法人への移行に伴って力士の法的身分などを制定、協会と師匠が人材育成業務委託契約を結ぶことが明記されたものだ。それを、わざわざこのタイミングで提出したのは、理事としての義務や責任への追及から逃れるためだろう。
とどめは20日の理事会で配布された言い訳と責任逃れの弁明書だ。貴乃花親方はこの中で、自分は巡業部長としての職務をまっとう、批判されるいわれはないと主張している。
貴乃花親方の一連の変節は、このままでは理事職を失いかねないと危機感を覚えたからだ。協会は信用できない、改革のために断固闘うとの気概があれば、一貫して聴取に応じず、誓約書提出の要請を無視し続けることもできた。まして「自分は職務を果たしている」なんて弁明する必要などなかったはずだ。
シンパが続々と離反しているのは、貴乃花親方の掲げる「改革」とやらの正体が結局、保身であり、私利私欲だと看破されたからにほかならない。
前出の親方の票読みによれば、次回の選挙で一派から理事になるのは貴乃花親方ひとりだが、そもそもこのまま理事でいられる保証はどこにもない——。
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