日本経済新聞 電子版
IBMはイベントなどを通じ量子計算機を扱う人材の育成を進める(2019年11月、山梨県)
※ 量子の説明は最下段にあります。
量子技術、世界がしのぎ
科学&新技術 2020/9/19 2:01日本経済新聞 電子版
次世代計算機の量子コンピューターをはじめとする量子技術を巡り、世界の覇権争いが激しくなってきた。国の基礎研究力を示す論文数では中国が米国を抜いてトップに立つ。半導体技術が支えたデジタル社会に次ぎ、量子技術が21世紀の革新をけん引する可能性が強まっている。新たな時代の勢力図は産業競争力や安全保障にも影響を与える。日本は対応が遅れ、脱落の懸念がある。
量子技術は量子力学と呼ぶ理論に基づく次世代のテクノロジーだ。計算機や暗号、センサーの技術に革新を生む可能性を秘める。新型コロナ危機の中でデカップリング(分断)を深める米中が早期の導入に向け、激しくしのぎを削る。
量子計算機で先行する米国は、この分野の研究論文の数(2014〜18年)で1948本と世界1位だ。中国は2位の1495本。これにドイツや英国、日本が続く。日本経済新聞社が出資するアスタミューゼによると、応用開発力とみなせる特許出願数(01〜18年)も、米国(1852件)が中国(1354件)をおさえた。
安全保障に関わる量子暗号関連の分野では、中国が優位だ。論文数は2169本と米国(1051本)の約2倍。人工衛星や北京—上海間の通信網を生かし、情報漏洩を防ぐ技術の導入を急ぐ。センサーを含む全体の論文数でも中国が首位だ。
焦りを募らせる米ホワイトハウスは8月、6億ドル(約630億円)超を投じ米エネルギー省傘下に5つの研究センターを設けると表明。「未来の産業で米国が主導権を握るため強力な行動をとる」と強調した。量子技術の諮問委員会にはグーグルやIBMの関係者も名を連ね、民間とも連携して投資を拡大する。
IBMが7月に開いた量子計算機の「オンライン夏合宿」には世界から約4千人の学生らが参加した。米国は官民で人材育成にも取り組む。
欧州勢も手を打つ。新たに20億ユーロ(約2500億円)の投資を打ち出したドイツのほか、英国やオランダも研究を急ぐ。
各国が力を入れるのは、産業競争力や安全保障に影響を与えるとみるためだ。20世紀を変えた半導体やレーザーの革新に次ぐ「量子革命」が進行中といわれる。19年にはグーグルが量子計算機でスーパーコンピューターより約15億倍速く問題を解いたと発表した。
強大な計算力は困難だった材料や薬、金融商品の開発や人工知能(AI)の利用に道を開く。米ボストン・コンサルティング・グループによると、量子計算機の経済効果は本格導入時に世界で最大8500億ドル(約90兆円)に達する見通しだ。
真空管でできた初期のコンピューターは、トランジスタの登場や半導体の進化を通じてデジタル社会を築いた。同じ道をたどるとすると、いち早く量子技術を使いこなした国は別次元の世界へと踏み出す。
開発レースはこれからが本番だ。現在主流の量子計算機は構造が複雑で技術的な課題は多い。壁を乗り越えれば覇権を握れる。中国ではアリババ集団などが研究力を高める。中国でグーグルを上回る性能の量子計算機ができたとの報道もある。
7月に米エネルギー省が「量子インターネット」の構想を打ち出すなどソフトとハードを合わせた総力戦となる中、日本が取り残される懸念が強まる。(AI量子エディター 生川暁氏 以上日経電子版
※ 量子を下記に分かりやすくしました。
量子とは私たち(私は・昭和25年生まれ)が学校で教わった「原子」や「原子核」をさらに小さい単位にしたもの。図にあるクォークを別名で素粒子ともいいます。
この量子は肉眼では見えません。見えない素粒子の世界を扱うのが量子学とも言えますね。日経が紹介している研究では計算機・コンピューターの世界を紹介しています。この見えない素粒子の塊(かたまり)の一つの種類に、霊魂と呼ばれる塊の存在があります。いわゆる地球という星に住む人間には、霊的世界が存在するのだろうか?という事に『素粒子というかたまりで存在する』と、先人が結論を出した世界でもあります。私の知る限り、日本で初めて物理的に捉えたのは、日本の宗教家で五井昌久氏です。
そんな馬鹿なことがあるか、科学と宗教は同じ次元ではない。と結論付けされそうです。が、量子学が見えない世界を解き明かして行きます。大いに期待しようではありませんか。
私に言わせれば、政治の世界より科学の方が余程正直な世界です。では、量子の説明です。
1)量子ってなあに?
https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/ryoushi/detail/1316005.htm
文部科学省のページから
量子とは、粒子と波の性質をあわせ持った、とても小さな物質やエネルギーの単位のことです。物質を形作っている原子そのものや、原子を形作っているさらに小さな電子・中性子・陽子といったものが代表選手です。光を粒子としてみたときの光子やニュートリノやクォーク、ミュオンなどといった素粒子も量子に含まれます。
量子の世界は、原子や分子といったナノサイズ(1メートルの10億分の1)あるいはそれよりも小さな世界です。このような極めて小さな世界では、私たちの身の回りにある物理法則(ニュートン力学や電磁気学)は通用せず、「量子力学」というとても不思議な法則に従っています。
図:身の回りの物質はとても小さい量子が集まって形作られている(画像提供:高エネルギー加速器研究機構)
タグ: 量子力学
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