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2005.12.28

「ハレ」の行事がなし崩しに「ケ」に成り下がってゆく現代

(9)

テーマ：考えたこと　想い出したこと　読んだ本(435)

カテゴリ： 🔴 Ｍ【メモ・サブノート】

昔は子供はあくまで子供らしく、大人はあくまで大人らしく、祖父母はあくまで・・・。
いや本当に、そうだったのだ。

トルストイの長編小説「アンナ・カレーニナ」の有名な冒頭にこういう文章がある。
「幸福な家庭というものは、みな同じように幸福なものだが、不幸な家庭は、その家庭それぞれの様相に於いて不幸である」

つまり、幸福という境地は、それほど個別の違いが無い・・・、またはそんな違いを意識するほど、考え込むことのない幸せな状態なのだが、反対に不幸な家庭なり人々は、本来、幸福、幸せになれる可能性があるはずなのに、いろんな原因によってそれを阻まれ、「なぜこんなに不幸にならなければならないのだろう？　私の過去の行動がこういう不幸を呼び込んだのだろうか？」と、思いをめぐらせ、心が千々に乱れるものである。

それに、私も経験があるのだが、いったん不幸を呼び込んでしまうと、「お医者の車」状態になることが多い。
その心は「悪い方にばかり向かって行く」ということだ。
(つまらない冗談だった)
あるいは「弱り目に祟り目」と言い換えても言い。
「貧すれば鈍する」でもいい。

長い回り道をしたが、要するに私の言いたいことは、昔の正月は、日本全国津津浦々、みんなが厳粛に、し～～んとした時間・空間の中、かしこまって神様のおいでを待つ、新しい年の生誕だったのだ。

生活の暦の大きな節目だったのだ。
お正月を迎えるときには、本当に一年の計を考えたり、今年こそちゃんとした人間になろうとか、生まれ変わったように勉学にいそしもうとか、若水を飲んだりして、要するに自分も生まれ変わることが出来るような気分になったものだ。

それに比べ、今の正月は、単なる冬休みの中心であったり、新しいカレンダーを買う時期だったりで、正月そのものの意味などほとんど意識されない行事に成り下がっている。

昔は、どの店も少なくとも三賀日は完全休業だったし、われわれもその覚悟で買い物をしたものだが、この頃はコンビニなどがその代表だが、365日24時間営業で、明けても「明けましておめでとうございます」が照れくさくて言えないような状況になっている。

そう言えば、クリスマスも商業主義に侵されて、クリスマスソングにはやされて、カップルがホテルで過ごす夜だとか、プレゼントを交換する日だとか、クリスマスツリーを飾ったり、イルミネーションを考える機会に成り下がっている。

民俗学の言葉に「ハレとケ」というものがある。
「ハレ」とは「晴れの舞台」というように「非日常」であり、「ケ」はその反対の「日常」である。

「正月」も「クリスマス」も、その他の祝祭日も、どんどんなし崩しに「ケ」の世界に呑み込まれて行くのが現代である。

「私の旧い正月」は、明日にでも書き継ぐ。

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最終更新日 2006.01.03 22:29:52
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■コメント

Re:「ハレ」の行事がなし崩しに「ケ」に成り下がってゆく現代(12/28)

shococo さん

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
昔の正月っていいものだったのでしょうね。私は核家族に育ったから、個人的な正月感は今とあんまり変わらなかったようです。
以前は七日十日店が開いてなかったような気がするんですけど。
その点は、すごく不便でした。 (2006.01.04 01:02:57)

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Re:「ハレ」の行事がなし崩しに「ケ」に成り下がってゆく現代(12/28)

shococo さん

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何のために休むのか

印南野きつねさん

たしかに　あけましておめでとうございます、なんて、わざわざいう気になりませんね。
そのかわり、略して、あけおめ、ことよろ、などいったりするんですね。
何のために休んでたかというと、歳神様やら、ご先祖様やらをお迎えするためなんですね。盆休みもそうです。自分達も休むのですが、基本的に、感謝するための休みなんですよね。
一年無事に過ごせました。また、今年も宜しくお願いしますと、人様、世間様にもいう。
そこには、自分達は、自力だけで生きているわけではなく、今風にいうと「活かされている」ので、自分本位に生きず、他者に感謝して生きなければという感覚があり、日本人の美徳なのですが、これはまた、日本社会でよく見られる責任逃れの構造(個人というより、社会構造として)も、垣間見えたりします。商店でいえば、みんな休んでるんだから、需要があっても、商いしなくても良い・・みたいな、客に不便を強いていたわけです。でも、今は、かつての、なぜ休むのか、という意味が忘れられてしまってますから、年中無休で営業しているお店が満ちあふれている世の中を見ると、目先だけの快適さを追い過ぎ、物は足りても心は足りぬ、いう現代日本の見本としても見えますね。 (2006.01.04 05:53:48)

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Re[1]:「ハレ」の行事がなし崩しに「ケ」に成り下がってゆく現代(12/28)

alex99 さん

shococoさん
＞遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
＞今年もどうぞよろしくお願いいたします。
----
よろしくお願いいたします。

＞昔の正月っていいものだったのでしょうね。私は核家族に育ったから、個人的な正月感は今とあんまり変わらなかったようです。
＞以前は七日十日店が開いてなかったような気がするんですけど。
＞その点は、すごく不便でした。
-----
その不便さが普通だったんです。
元旦から店が開いていては厳粛さは感じられませんね。

(2006.01.04 07:41:48)

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Re:何のために休むのか(12/28)

alex99 さん

印南野きつねさん
＞たしかに　あけましておめでとうございます、なんて、わざわざいう気になりませんね。
＞そのかわり、略して、あけおめ、ことよろ、などいったりするんですね。
＞何のために休んでたかというと、歳神様やら、ご先祖様やらをお迎えするためなんですね。盆休みもそうです。自分達も休むのですが、基本的に、感謝するための休みなんですよね。
＞一年無事に過ごせました。また、今年も宜しくお願いしますと、人様、世間様にもいう。
＞そこには、自分達は、自力だけで生きているわけではなく、今風にいうと「活かされている」ので、自分本位に生きず、他者に感謝して生きなければという感覚があり、日本人の美徳なのですが、これはまた、日本社会でよく見られる責任逃れの構造(個人というより、社会構造として)も、垣間見えたりします。商店でいえば、みんな休んでるんだから、需要があっても、商いしなくても良い・・みたいな、客に不便を強いていたわけです。でも、今は、かつての、なぜ休むのか、という意味が忘れられてしまってますから、年中無休で営業しているお店が満ちあふれている世の中を見ると、目先だけの快適さを追い過ぎ、物は足りても心は足りぬ、いう現代日本の見本としても見えますね。
-----
おっしゃるとおりで、昔の正月には、いろんな意味があった。
生活のスピードはずっとゆっくりだったし、正月で区切りを入れることも可能だった。
信仰・慣習の力も民衆に行き渡っていたから、自然・万の神への畏敬の心を正月に再認識した。

そんなものが、あっと言う間に、ほとんど無くなって、区切りも節目も、形からは言って深く考える機会も無くなり、生活の時間は工場の生産ラインのベルトコンベヤーのように、ノンストップになってしまいました。

(2006.01.04 07:49:56)

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Re:「ハレ」の行事がなし崩しに「ケ」に成り下がってゆく現代(12/28)

七詩さん

年々それは感じますね。晴れ着や子供の正月遊び･･･そんな光景も珍しくなってきているようですし。 (2006.01.04 08:05:00)

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Re[1]:「ハレ」の行事がなし崩しに「ケ」に成り下がってゆく現代(12/28)

alex99 さん

七詩さん
＞年々それは感じますね。晴れ着や子供の正月遊び･･･そんな光景も珍しくなってきているようですし。
-----
「ハレ」無くして「ケ」のみの世界。
そんな風になっていますね。

だから「ケ」の生活の中に、個人的な人工的な「ハレ」を見つけよう、作り出そうとする。
それが「オタク」かもしれませんね。

(2006.01.04 08:21:55)

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Re:「ハレ」の行事がなし崩しに「ケ」に成り下がってゆく現代(12/28)

夢子0506 さん

こんばんは。
本当にあまりにも日常生活の利便さを求めすぎて我々の生活に特別の日がなくなってきていますよね。あんまり関係ないかもしれないけど、昨晩オジサンと「コンビニや自販機に代表される日本の現状は本当に豊かなんだろうか」という我が家にしてはアカデミックな会話をしました。
いろいろな意味で、今年も本当によろしくお願いします。ｍ（＿＿）ｍ (2006.01.04 18:20:08)

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Re[1]:「ハレ」の行事がなし崩しに「ケ」に成り下がってゆく現代(12/28)

alex99 さん

夢子0506さん
＞こんばんは。
＞本当にあまりにも日常生活の利便さを求めすぎて我々の生活に特別の日がなくなってきていますよね。あんまり関係ないかもしれないけど、昨晩オジサンと「コンビニや自販機に代表される日本の現状は本当に豊かなんだろうか」という我が家にしてはアカデミックな会話をしました。
＞いろいろな意味で、今年も本当によろしくお願いします。ｍ（＿＿）ｍ
-----
そうですよね。

私もよろしくね。

(2006.01.05 01:42:41)

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