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2015.10.30

人民元ショック　国際通貨へ「一石二鳥」の虚実

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カテゴリ： 🔴 【ニュース・時事・政治・経済・社会】

人民元ショック　国際通貨へ「一石二鳥」の虚実

　国際通貨基金（ＩＭＦ）は11月中にも、特別引き出し権（ＳＤＲ）と呼ぶ準備通貨に、中国の通貨・人民元を採用すると決める方針を固めた。米ドル、ユーロ、円、英ポンドに続く５つめのＳＤＲ採用通貨となり、人民元は「国際通貨」としての一歩を踏み出す。だが、今年８月には中国人民銀行（中央銀行）が突然、人民元の基準値を切り下げたことで国際金融市場が動揺し、世界同時株安につながったことは記憶に新しい。人民元は国際通貨になれるのだろうか――。

■「輸出振興」と「人民元の国際化」同時に狙う

　2015年８月11日火曜日午前９時13分、上海の外国為替市場でディーラーの間にどよめきが走った。人民銀が突然、人民元売買の取引の目安として毎日発表する対ドルの「基準値」を、前日に比べて1.9％切り下げたからだ。

　12分後の午前９時25分、人民銀はホームページで前日の市場の終値を参考に基準値を決める方式に切り替えると発表した。「基準値と市場の為替レートのかい離が大きくなっており、基準値の地位や権威に悪影響を及ぼしていた」と狙いを説明した。

　人民銀は続く12、13日にも基準値を切り下げ、合計の切り下げ幅は4.7％に及んだ。「中国景気の予想以上の減速に対応したパニック的な政策決定」ととらえた市場の動揺は、瞬く間に世界に波及していった。人民銀が２日連続で元を切り下げた12日はアジア株が全面安となったほか、欧州、米国にも株安の波が広がり、米ダウ工業株30種平均は一時300ドル近く下げた。

　「中国の夢」を掲げる習近平指導部は、国家目標として人民元の国際化を進めてきた。海外の企業や金融機関による人民元の利用をさらに促すには、為替相場の過度の変動を避けることが不可欠の条件になる。

　李克強首相も15年３月末、英フィナンシャル・タイムズ（ＦＴ）紙のインタビューで「さらなる人民元安は望まない」と輸出促進のために元安に誘導する可能性を否定した。元の対ドル相場は８月初めまで５カ月近くにわたり１ドル＝6.2元前後で推移し、半ば固定相場の様相を呈していた。

　にもかかわらず、人民銀はなぜ市場が全く予期しない８月というタイミングで元切り下げに踏み切ったのか。背景には「輸出振興」と「人民元の国際化」という一見相矛盾する２つの目的を同時に達成する「一石二鳥」が可能との判断があった。

　切り下げ直前の８月８日、中国税関総署が発表した７月の貿易統計で輸出額は前年同月比8.3％減と大幅に落ち込んだ。ゴールドマン・サックスによると、過去12カ月間に元の実質実効為替レートは15.3％上昇し、他の新興国通貨が平均8.8％下落したのとは著しい対照を見せた。

　「大きな貿易黒字を確保し続ける点を考えると、人民元の実効為替レートは各種通貨に対して高い」。人民銀が切り下げ初日の同11日に発表した声明には、国内経済への配慮を求める習指導部の本音がにじむ。産業政策を担う中国商務省高官も「輸出に一定の刺激になる」と手放しで歓迎してみせた。

■市場と対話できない人民銀の姿浮き彫りに

　さらに、政策転換を背中から後押ししたのが、ＩＭＦが８月４日に発表したＳＤＲ見直しに関する報告書だ。通貨がＳＤＲに入るには「貿易の量」と「自由に取引できるか」という２つの大きな基準を満たす必要がある。報告書では中国が輸出量で欧州連合（ＥＵ）、米国に次ぐ世界３位の座を維持するなど前者の条件は十分に満たす一方、通貨取引の自由度についてはさらに議論が必要との見解を示した。

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　報告書は人民銀が決める基準値が「現実の市場の取引に基づいておらず、オンショア（国内）市場の為替レートから２％近く離れている」と指摘。ＳＤＲに人民元を採用する場合は「中国当局と相談し、市場実勢に基づいた代表的なレートを確定する必要がある」としていた。

　実際、ＩＭＦは８月12日に「為替レートの決定に市場の役割を強める点で、人民銀の決定は歓迎すべき一歩だ」とのコメントを発表、中国の決定を裏書きした。

　だが、中国国内に向けた「輸出のテコ入れ」と海外向けの「元の市場化」という説明の使い分けは、世界の株式・為替市場の動揺を増幅する結果を招いた。反響の大きさに驚いた人民銀は、基準値の切り下げ発表から２日後、火消しに動き出した。

　13日午前、人民銀の易綱副総裁は国内外の一部のメディアを集めて緊急記者会見を開き、「元相場を10％切り下げて輸出を刺激するといった見方は事実無根だ」と語った。同席した張暁慧総裁助理も「人民元相場の基準値と市場実勢がかけ離れ、差は約３％累積していた。その是正は基本的に終えた」とした。

　翌14日の金曜日、人民銀は基準値を４日ぶりに引き上げた。「人民銀の元安誘導はひとまず終了した」との受け止めが広がり、市場はつかの間の落ち着きを取り戻したが、市場と対話できない人民銀の姿が改めて浮き彫りになったのは確かだ。

　先進国の中央銀行とは異なり、人民銀は首脳による定例記者会見を開いていない。人民元が国際通貨へと歩み出そうとするなかで、中国当局の透明性の欠如は今後も大きな波乱要因になりかねない。

　　　――――　私の感想　――――

今回、IMFが、中国元をSDRに採用する事を決定したとは
驚天動地の驚きである
too soon
too early
である

米国は主資金比率17.67%を持っているのに､なぜ、理事会で拒否権を発動しなかったのか？
私には、理解出来ない
場の空気におされたのか？

IMF総務会[ウィキペディア]
「英語: Board of governors（一般的に総務会と訳される）」は、各国2人の代表者（財務大臣や中央銀行総裁など）で構成される最高意思決定機関で、年1回開催される。投票権は出資金の支払い比率に応じて与えられる。この出資金がIMFの財源であり、経済規模に応じて定められている。

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