一夜にしてひっくり返された糖質制限の万能説
2018年03月21日 06:00
黒坂 岳央
こんにちは!肥後庵の黒坂です。
3月15日付の日本農業新聞でどでかいニュースが飛び込んできました 。「ご飯やうどんなどの糖質制限をすることで、60代後半以降で老化が顕著になる」という東北大学大学院が発表したというのです。
この記事のリリースを受け、ネット上は大変な盛り上がりを見せています。これまで「糖質制限こそが、老化を防止して理想的な体系を維持できる魔法のような食事法だ」と言わんばかりに、様々な書籍や記事が出ていましたが、その定説がひっくり返すような発表です。
今回、感じたことをお話ししたいと思います。
マウスを使用した実験結果の信頼性
報道されたのはマウスを使った食実験です。
“ マウスに日本人の一般的な食事に相当する餌を与えた場合と、糖質制限食を与えた場合を比較した。
一般的な食事を与えたマウスは多くが平均寿命よりも長生きしたが、糖質制限食では平均寿命まで生きられなかった個体が多かった。死んだ個体は平均寿命より20~25%ほど短命だった。また、糖質制限の個体は見た目も同齢の一般食の個体と比べて背骨の曲がりや脱毛などがひどく、老化の進度が30%速かった。
引用元:日本農業新聞「ご飯、うどん・・・ 炭水化物減らすダイエット 60代後半で老化顕著に 糖質制限ご用心」
”
ということで、一般的な食事を与えられたマウスと、糖質制限食を与えられたマウスでは、後者の方が寿命も短く、老化も早かったとあります。
これをみて「うわ、怖い!糖質制限食は危険だ!」と脊髄反射的に考える前に、どうか冷静になって下さい。
こうした実験の多くは結果の違いを明確に出すため、極端に糖質制限をしたものと考えられます。
また、炭水化物はご飯やうどん以外にもあらゆる食物に含まれていますから、一般的な人が今回のマウス実験の時ほど極端な糖質カットをした食生活を送ることはあまり現実的ではないと思います。ですので、この実験結果が、そのまま糖質制限ダイエットをしている人間に当てはまるとは言い切れません。
しかし、そうはいっても過剰な糖質制限ダイエットに励んでいる人にとっては、無視できる話でもないようです。今回の発表を読んだ私は「マウス実験の結果を人間に置き換えて考えても良いのだろうか?」と疑問が湧いたので調査してみました。
こうした実験で使用するマウスは高度に管理されており、そこらにいるネズミなどではないのです。ネズミの遺伝子は90%以上が人と共通なので、同じことを人にやると近い結果が得られるということです。
結論的には、人が糖質制限マウスとまったく同じ食生活をすると、マウスと同様に 短命で老化が早まる可能性
が高そうだということです。
定説はいつの時代もひっくり返されるもの
より厳密で詳しい話は栄養学や医学の専門家にお任せするとして、私から言えることがあるとすれば、「定説はいつの時代もひっくり返されることを理解しておく」ということでしょうか。
ポリフェノールが健康に良いと言われて、赤ワインがめちゃめちゃ売れたと思ったら「アルコールの害の方が、ポリフェノール摂取効果より大きい」と言う話が出てきて赤ワイン健康ブームの盛り上がりはどこかへいってしまいました。また、牛乳はカルシウムが豊富!というお話も、「飲みすぎて骨粗鬆症」という真逆の話が出てきたりしており、最近は牛乳の健康効果を疑問視して子供に飲ませるのを躊躇している人も多くいるようです。
定説がひっくり返るのは食事だけではありません。筋肉隆々でかっこいいイメージのティラノサウルスは、実はどちらかといえば鳥の見てくれに近くてフサフサの毛で覆われていたとか、二酸化炭素は地球温暖化の原因ではなかったとか、うさぎ跳びはめちゃめちゃ健康に悪いとか、マイナスイオン効果なんて全くなかった。こうした話は枚挙にいとまがありません(最終的に何が正しいのかははっきり分からないものもありますが…)。
このように科学技術や歴史の世界でも、それまでは「絶対に正しい」と思われていたことが、後からひっくり返されてしまうことがいくらでもあるのです。百歩譲って歴史は間違っていても、個々人に大きなダメージはないでしょう。しかし、これが食事とか健康となるとこれがシャレになりません。今回の糖質制限食も、「これこそが最先端で医学的に効果が証明された最高の食事だ!」と思って取り組んでいた人にとっては冷水を浴びせられたように感じたのではないでしょうか。
結局、糖質制限は良いのか?悪いのか?
今回、大きな話題を呼んだ記事を読んだ人が知りたいと思ったことは「結局、糖質制限は良いのか?悪いのか?」という結論でしょう。
この問いに対する答えは、すぐに出てくるものではないと思います。実験結果はマウスを使ったものであって、人体実験ではありませんし、そもそも糖質制限食がブームになったのがごく最近のことですので、信頼のおける結論が出るのはまだ先になるでしょう。
「なんだよ、結局分からないのか!?」と思われたかもしれませんね。分からないからこそ、一つ確実なことが言えます。
それは、「食事は極端に走らない方がいい」ということです。
今回のようにブームになった糖質制限ダイエットも、それまで日本人が長い歴史の中でおいしく食べてきたご飯やうどんをバッサリカットしてしまうのは考えものです。
どんなに健康的なものでも、極端に食べ過ぎる、制限しすぎることは返って毒になるということです。
今はOKと言われていても、ある日突然に「実は間違えていました」と定説が覆る可能性があるのですから。
人の体は複雑系です。
いつの時代も色んな食材をバランスよく、そして何よりおいしく食べるという事に勝る健康法はないと思います。
ーーー まとめ ーーー
● この筆者の言う事には賛成・同感
● 食事では極端に走らないこと
● 糖質制限は効果は確かにある
● しかし実験室的な極端な糖質制限には弊害がありそう
● しかし、実験室ならともかく、普通の人間の糖質制限は、極端というレベルには達し得ないので、安全と言える
ーーーー
ただしこの著者の
● それまで日本人が長い歴史の中でおいしく食べてきたご飯やうどんをバッサリカットしてしまうのは考えものです。
私はこの意見には異論がある
「日本人が長い歴史の中で食べてきたご飯やうどん」 は、つまり穀物だが
人類が農業を発明して穀物を食事に取り入れた次期についてはこの記述を参照
「1万年ほど前、食料供給を容易、かつ、予測可能なものにする方法として、植物を食料として栽培し動物を家畜として飼育し始めました。」
だから食物としての穀物の歴史はたかが、一万年にしか過ぎない
それ以前には人類は最終狩猟生活だったから、穀物など、野生の門は例外として口にしていなかったのだ
人間の身体は急激には変化しない
穀物を食して全く害が無いとは言い切れない
現に、この糖質制限が行われているという事は、穀物摂取の弊害があると言うことの証でもある
その一方、最終狩猟時代には、人類は猛獣が食べ残した肉を採集して食し、狩猟で動物を捕食していた
つまり肉食の歴史の方がはるかに長い
そこで出て来たのが米国で流行中の原始時代の食生活を再現した
肉食中心の「パレオ・ダイエット」
もともと、肉には豊富なタンパク質とビタミンが含まれていて、ビフテキに含まれている各栄養素を個々に摂取するのは困難と言われていている
肉と炭水化物が好きな私としては、悩ましいところだが
(野菜も好き)
結局、バランス良く食べる
これが結論!
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