京極夏彦「魍魎の匣」 | 未定の予定～ラビ的非日常生活～

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2006年06月28日

京極夏彦　「魍魎の匣」

(8)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：読書感想（作家別　あ行・か行）

匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物は落とせるのか！？日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第２弾。

先日読み終わった京極夏彦さんの「魍魎の匣」の感想です。
「京極堂」シリーズ２作目という事で、当然キャラへの馴染みがある分、今作の方が読み易かったのですが、それだけでなく前作同様に長さを感じさせない面白さは流石ですね。
文庫版でも６００ページ以上ある前作「姑獲鳥の夏」を読んだ時も動きが少ないと感じる位に独特の世界に引き込まれ、あっという間に読み終わりましたが、今作も１０００ページを超えていても全く苦になりませんでした。

今作は同時期に起こった事件と偶然に関わってしまった木場や関口を通して事件が語られますが、前作ではメインだった関口が少し脇に避けて木場が大いに活躍しているのが嬉しい所です。
前作では少し出番が少なかっただけに今回の一連の活躍はキャラを掘り下げる意味でもシリーズの幅を広げる意味でも大成功だと思います。
やはりダウナー系の関口君だけが語り手というよりも真っ直ぐな木場の言動を通しても事件を追えた方が良い気がしますｗ

事件も前作以上に不気味で複雑な事件が同時多発的に起こり、どこかで少しずつ繋がっているのかなと思いつつ読み進めましたが、ラストで明かされる京極堂の推理は論理的であると共に複雑に絡まった事件を鮮やかに解きほぐしたのには痺れました。
途中で挿入される「匣の中の娘」も非常に効果的で不気味な雰囲気に一役買っています。
物語の大きな謎となる密室からの消失もまさかこれは無いだろうと思った想像が的中した時には嬉さではなく唖然としました。
前作の密室トリックも凄まじかったですが今作も全然負けていないですし、何よりもそれを納得させてしまうだけの世界観を構築してしまう京極さんの手腕には今回も脱帽です。

キャラとしては、活躍の度合いが上がった木場には惹かれつつも本領を発揮しだした榎木津が最もお気に入りですねｗ
特に関口君と頼子の母親の所に調査に行くシーンは最高で、しつこく関口君を亀と連呼したりエキセントリックな会話をするのに笑いっ放しでしたが、更に御亀様と言い出す下りで大爆笑してしまいましたｗ
おそらく、まだまだ続巻では個性が発揮されるのだと思いますが、現時点でもこの万年躁病の探偵がダントツで好きですよｗ

ただ「狂骨の夢」の上巻だけが無いので続きがすぐに読めないのが残念ですが、揃ったら真っ先に読み進めたいシリーズですね♪

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