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2024.10.11
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カテゴリ: I whisper


きょうは診察&治療日。

抗がん剤治療4回目(予定)。

老人ばかりが溢れる朝8時の採血場。

30分以上待って採血を終え、外科外来へ。
さらに30分以上待った後、
怖い主治医のアナウンスに従って、診察室へ。

きょうの虫けらの戦略は、

「とにかく怖い主治医の言葉を聞く」
「自分からは言葉を発しない」
「怖い主治医の言葉に疑問を持ったら、
 深く考えたのち、質問をする」

だった。
不要な意見を言ったり、質問したりして、
怖い主治医の意識を撹乱するのを防いで、
実のある診察時間にしたいと思ったのだ。

そして、浅薄な人間性を少しでも封印し、
思慮深い人間を装うために努力するのだ!


診察室。

怖「いかがですか?」

出鼻をくじかれた。
質問から始まるとは。
まず、検査結果を評価されると思っていた。

虫「いつもどおりです」

沈黙。

モニター画面に目をやるが、
字が小さくて見えない。

表示サイズを変えたのか?

ふと机の上を見ると、血液検査の結果票が置かれている。
(以前は毎回プリントアウトして置いておいてくれたのに、
ここしばらくは、プリントアウトされておらず、
モニター画面を見るようにしていた)

結果票を手に取って、項目を目で追う。

問題は、「白血球」と「好中球」だが、
一目見て、相当低いことには気づいたが、
治療を休むほどのことではないと思った。
判断は、怖い主治医がしてくれるので、
他の項目を見る。
気になっていたのは、「血小板」と「尿素窒素」「クレアチニン」。

尿素窒素とクレアチニンは基準値。
腎臓はOK。
肝臓関係も大丈夫。

「血小板」……低い。

虫「血小板が下がってる」

独り言のように言葉をこぼしてしまった。

怖「血小板は大丈夫。14あるからね」

「L」がついているのだから、
基準値より低いのだし、抗がん剤治療を始めてから
最も低い数値だ。

虫けらがなぜ「血小板」を気にしていたかというと、
抗がん剤の副作用に「内出血」「皮下出血」など
血小板が少ないことに起因する症状があるからで、
今週、虫けらの足首からふくらはぎあたりに
点状の内出血ができた。
以前にもこういう症状があったのだが、
2日ほどで引いてしまう(消滅する)ので、
怖い主治医に見せるに至らなかった。

このことは、診察前の問診票に書いていたので、
気づいた怖い主治医が

怖「皮下出血はどこ?」

と。

虫「下腿です」

と言いつつ、スカートのスリットの間から左下腿を出す。

怖い主治医が虫けらの足首上を親指を上にして掴む。

何を診ている?

親指に少し力を入れたり、上下させたりする。

何を診ている?

怖「右は?」

虫「同じです」

右下腿を見せる。
こちらには触れなかった。

怖「手は?」

虫けら、シャツをまくり上げながら

虫「ないです」

怖「採血のあとは? 血が止まってる?」

虫「はい。いつもどおりです」

怖「そう」

ちょっと不審な声色と表情。言葉はない。

いつもこんな調子。
なぜ、この症状が出たのか、どう対処したらいいのか、
どうなれば治るのか、知りたいことは何一つ解決しない。
ここでしつこく質問するのが虫けら。
でも、きょうははしないことにした。
(と言いつつ、後でもう一回この話題になり、
質問し倒した。そこで面白い言葉が怖い主治医から出た)


怖「さて、一回延期する?」

え、虫けらが決めるの?

怖「数値的にいったら、延期してもいい数値や」

虫けらが見る限り、決行しても問題ないと思うが、
怖い主治医としては、何か心配な部分があるのだろう。

怖「いま無理して、副作用が出て、
  長いこと休まなあかんということになるより
  休んだ方がええわな」

虫けら、返答せずに考える。

怖「途中で検査してないから推測やけど、
  数値が上がり調子でこの数値やったら問題ない。
  多分、何日か前に最低になって、
  いま、上がる途中やないかと思うねん。
  推測でもの言うて悪いけど」

虫「延期になったら楽ですが、
  いつまでも前に進めないのが……」

怖「これ(抗がん剤治療)は、
  いつまでに何回やらなあかんというものじゃないし、
  継続するのに意義があるから」

虫けらは、検査を気にしていた。
3ヵ月(治療6回)を目安に造影剤CT検査をする。
その結果によっては、治療を終了することも
考えているのだ。

延命とはいえ、数ヶ月の効果しかない治療なのに、
副作用に苦しむのはQOLを下げるもの以外の何物でもない。

幸い、体感的な副作用は余りないが、
体内では確実に反応していて、
程度の差はあれ、全身の各機関に通常ではない反応が出ている。

数ヶ月のために我慢するのが賢明なのか、
それとも、治療をやめて、副作用のない短い日々を過ごすのが得策なのか、
両者を天秤にかける作業を常にしている。

故に、早く検査をしたいのだ。

怖「どうしますか?」

虫けら、この展開に戸惑う。
「治療を受ける」と言えばいいのか、
「延期する」と言えばいいのか。

怖い主治医の心理状態を考える。。

…わかるわけがない。

虫けらを試しているとも思えない。
今回は、虫けらが決めるしかないのだろう。

? これは、怖い主治医の高等戦術か?

K子さん(古い友人。ご主人が医者で、
医者側から見た貴重な意見をいただける)が言っていた。

K「患者さんは、自分が望んでなかった結果になったら、
     医者のせいにしたがるから」

と。
虫けらはそんなことはない。
怖い主治医の指示や指南であっても、
それに同意したら、その全責任は虫けらにあると思っている。
少しでも疑問があるなら、解決してから同意するし、
そもそも嫌なら拒否する人間である。

虫「これまでのように、2回やって1回延期、
  が、いいペースだと思っています」

怖い主治医、笑う。
なぜ笑う!

怖「やりますか? と言いながら、
  やる前提で話を持っていってるような感じやけど。
  よろしいか?」

虫「はい」

えらく慎重だが、結局虫けらの意見が通る格好になった。

これは、予期しなかった展開だ。

昨夜、相当戦略を練ったのだな?
K子さんが言うように、
シミュレーションしたのだろうか。

…そんなことはしない人だ。

虫けらの顔を見て、
瞬時に思いついたのだろう。

「こいつ、相変わらず元気そうだな」
「まだ強い副作用が出てないのか」
「意外にしぶといぞ」
「治療するかしないかは、投げてやれ」

てな具合か。

というわけで、浅薄な人間性を是正する機会を得られないまま、
いま、治療室のベッドの上でこれを書いている。

次は2週間後。

多分、治療は延期だろう。

それをひっくり返すために、
この2週間、大節制生活をしてみるか。

いや、本末転倒だ。

好きなように食べて、飲んで、遊んで、
ストレスフリーな生活をする以外に、
何があるというのか。

残命1年を切っているのだ。

楽しく過ごそう。

と言いながら、診察の数日前になると
「どうしよう」
と悩むのだ。


こんな優柔不断な虫けらは人生初めてのこと。

原因は、怖い主治医にあることは明白なのだが、
虫けらのこの状況を解明したり、説明したりする術がない。

解明できたときは、言葉を尽くして
このブログに書こう。


ところで、今回の診察で、思わず笑う場面が幾つかあった。
(前述の、点状皮下出血のくだりでも登場)
虫けらの常識や人生観を逸脱するような
意外なものなので、別記したいと思う。


それにしても……、怖い主治医の話し方というか
口調が、「私、先生の友達ですか?」
と問いたくなるような気軽さ、
遠慮のないニュアンスになってきた。
言葉だけではなく、言葉の間に入る意味のない言葉が
主治医と患者のそれではないような。。

それも書いてみるか。




点滴はあと1時間以上ある。

下書きでもするとする。
いや、YouTubeを視聴するか。

治療の後は、おきまりの寿司&ビールコース。

楽しみ。。





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Last updated  2024.10.11 19:24:31
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